黒崎凪は不純物である 作:三世
やっと出せた……やっと出せたわあ…
轟音と共に、おにぃが穴から出てくる。
「……死覇装に……仮面……!?」
どっちつかずの不安定な状態だ、霊圧も虚のような死神のような、違和感がする
「……」
背中の鞘から折れた斬魄刀を抜く……だが、これではっきりとした。
「浦原さん……」
「……分かってます」
ガッと音がし、おにぃが斬魄刀の柄で仮面を剥がす。
「……ふうっ」
成功だ
「……いやーおめでとうございます黒崎さん!」
「…………」
おにぃが静かにこちらへ歩いてくる……ご愁傷さま、浦原さん
「これでステップ2! クリアふっ!! 」
「……まあ、そりゃそうだよね」
拳が浦原さんの顔にクリーンヒットする。そりゃそうだろう、たまに穴の中から怨み言が聞こえたし
「……ひ……酷いっすねぇ」
「あ?」
「おー怖い怖い」
威圧感がすごい、だから不良と間違われるんじゃないのかな
「……えー改めて、おめでとうございます黒崎さん! ステップ2、クリアっス!」
「おう」
「それじゃそのままステップ3へと入りますね!」
あれ、もう入るのか……もうちょっと後だと思ってたんだけど
「で、今度は何すんだよ」
「今度は……彼女の仮面を落としてもらいます」
「……彼女?」
はいはーい、私でーす
「私のこと」
「……アンタ女だったのか?」
あ?
「浦原さん……殺していいんだっけ?」
「ダメっスよー半殺しでお願いします」
「了解」
話している内容とは裏腹に、おにぃは余裕の笑みを浮かべている。
「アンタが相手でも容赦はしねえぞ」
「そうして、じゃなきゃ本当に殺しちゃうから」
腰に添えた鞘から久々に彼女を抜く。
「私も、容赦はしないからね」
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岩を砕く音がする、地面が剥がれる音がする、人の駆ける音がする。
「ほらほら、逃げてばっかじゃ死んじゃうよー」
「……や……やるじゃねえか、そんな細っこい剣でよ!」
「あれ、褒められちゃった」
だからといって手加減しないけど
「……クソッ」
折れた斬魄刀を振り払い、おにぃが私と距離を置く
「あれ、離れられちゃった」
「はっ、安心しろ、今すぐそっちに行ってやるからよ!」
真っ直ぐに突っ込んできて、懐に入られる
「気、緩めたね」
だけど、甘い
「!?」
下から振り上げ、おにぃの仮面を弾く。
「自分の方が刀が短いから懐に入る、そこまではいいけど、私が攻撃出来ないと思って気緩めたでしょ?」
つくづく甘い
「浦原さん、いいんだっけ」
「ハイ、やっちゃってください」
許可が降りた……じゃあ、やろうか
「それじゃ、尸魂界で死んじゃうよ?」
久しぶりだね
─
─
形が変化していく。
柄は伸び、刀身は太く短く、みるみるうちに矛の形となる。
「……!?」
「……この子は真面目でさ、油断した敵を逃がすほど優しくないんだよ」
片手で捩月を廻し、鋒をおにぃへ向ける。
「行くよ、『
轟音と共に岩が崩れる、砂埃が舞い上がりその奥へとおにぃが転がっていく。
「ほら、
手首を使い捩月を廻しながら、おにぃを追い込む
「ッ!!」
「……よく止めました」
上から斬りかかった刀身を、折れた斬魄刀で受け止める。よくもまあそんなに短い斬魄刀で受け止められたものだ
「けど」
けれど
「そんな
刀身に捩月がめり込む
「……ッ!!」
ガッと音がして刀身が折れ、斬魄刀がさらに短くなる。
「……クソッ!」
おにぃは奥へ走っていく
「言われたでしょ?」
けど、瞬歩もできないなら直ぐに追いつく。
「なっ!?」
「
斬魄刀を振り上げ応戦してくるが、やはり短い
「だからこうして簡単に砕け散る」
捩月の
「…………!」
「……さて、どうする? まだ
もう刀身は無い、残っているのはただ短い柄だけだ
「別に私を倒そうってんじゃない、仮面を落とすなんてその柄だけでも十分可能だ」
……意地悪な役だ、こんな事するだなんて
「けど、それはもう勇気とかじゃないって話」
おにぃがこちらを向く、嗚呼嫌になる、何故、私がそんな顔をさせなくてはいけないのか
「先に言っとくね」
つくづく自分が嫌になる、甘さを捨てろったってこれは無理な話だろう……だから
「まだその
……だからそんな顔をしないでくれ
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情けない
何なんだ、俺は?
何故逃げる?
そんなもんだったのか、俺の“覚悟”なんてもんは?
情けねえ
情けねえっ!
全く
救いようの無え甘ったれだ
『お前は』
目の前に、あの時の男が現れる。
「……おっさん……!」
『何故逃げる、一護』
時が止まったような感覚がする。
「!!」
霧のような物が、周りを包む。
『お前はまだ私を呼んでいない』
男の声が、後ろからする。
『前を向け一護、今のお前になら聞こえる筈だ』
サングラスの奥に、男の目が見える。
『お前の耳を塞いでいるのは、取るに足らない恐怖心』
足が止まる
『敵は一人、お前も一人、何を畏れることがある?』
身体を覆っていた恐怖が、消えていく気がする
『恐怖を捨てろ、前を見ろ、進め、決して立ち止まるな』
体が火照る、力が溢れる
『退けば老いるぞ、臆せば死ぬぞ!』
柄を握り直す、もうこれは瓦落多じゃない
『叫べ!! 我が名は……』
前を向く、恐怖はもう無い
「『
捩月の形ですけど、海燕殿の「捩花」がそのまま矛になったみたいなイメージですね