黒崎凪は不純物である 作:三世
ランキング、ルーキーに10位以内入りました!本当にありがとうございます!!!!
「斬月!!!」
霊圧の渦がおにぃを中心として立ち上り、地面から巻き上がった砂塵が周囲を包む。
「……」
砂埃が晴れ、少しずつ、斬魄刀の姿が現れていく。
「……すごい」
霊圧が、ある程度は離れているここからでも感じ取れる程に高い、総量だけで言えば私と同等かもしれない。
「……それじゃレッスン3、本格的に始めようか」
……久しぶりに、滾ってしまう
「……わりぃ」
「?」
「うまく避けてくれよ」
……まさか
「多分、手加減できねえ」
突如霊圧が急上昇する。
まさか、この状態であれを出そうと言うのか
「……ッ
噴火のような霊圧の爆発と共に、仮面の端を斬撃が掠める。
掠っただけだ、だがそれだけで仮面は吹き飛ぶ。やがて霊圧は収まり、おにぃの霊圧も元に戻った気配がする。
「…………ふう……」
正直、直撃していたら腕くらいは持っていかれていただろう
「『捩月』が逸らしてくれなきゃやばかったかもね」
コトンと、仮面が地面に落ちる音が聞こえる。
「……壊れちゃった」
斬撃の掠った部分がひび割れてしまっている、早めに作り直さなきゃな
……それにしても
「一振でこれか」
背後を向くと、勉強部屋の地面に深々と、ものすごく大きい切れ込みが入っている。
「凄いなあ、こりゃ」
おにぃはそのまま斬魄刀を杖として寝てしまっている。
「……喜助さん、クリア?」
「……はい、レッスン3、クリアっス!」
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「ほらほら、そんなんじゃ当たんないよ」
「クソッ!」
おにぃの斬魄刀が出てきた次の日、早速修行を続けていた。
「それにしても、『斬月』か」
「『月』を『斬る』か……いいね、君らしい」
「……アンタの名前はなんてんだよ」
「……私?」
そんなに必要なものだろうか、
「アンタも尸魂界に着いてくるんなら、名前くらい分からねえと面倒だろ?」
「……名前、名前かあ」
……正直言うと考えてなかった、いやそのまま行けるかなって思ったんだもん
「……『
「時化さんか、それじゃ宜しくな」
「……ん」
なんというか、変な罪悪感がある。
「……なあアンタ……」
「ハイハーイ! 集合してくださーい」
ふと、喜助さんの声が響く。
「……呼んでる、行こっか」
「あ、ああ」
……なんか、勘づかれそうだなあ……
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八月一日、晴れ
夏祭り、フルーツジュースの屋台にて
「……お父さん、それお酒入ってないよね?」
目の前には、顔を赤く染めてだらしのない笑みを浮かべる女児が2人、夏梨と遊子だ。
「入ってるぞ?」
「殺すぞクソ親父」
やはりお墓参りに行った時に確実に潰しておくべきだったか。この所業、生かしておけぬ
「死ぬがよい」
「わー待て待て待て!!!」
こいつ……避けやがった!?
「故意じゃない、故意じゃないんだ! あの屋台のおっちゃんボケてるから薄めるための水が酒になっちまってたんだよ!!」
「お父さんそれ前夕飯の時に話してたよね」
「ああ」
「だから気を付けろって前言ってたよね」
「……あ、ああ」
故意じゃねえか
「吹き飛べ」
「ギャアアアアアア!!! 」
1回……2回……3回バウンドをし、河川敷へと転がっていく。新記録だ、やったね
「……おにぃのとこ行くか」
夏梨と遊子はお父さんの所へ走って行ってしまったし、多分お父さんの所にいたらろくな事にならないだろう。
「……1週間後か」
10日間に渡るおにぃの修行も終わり、今は言うなれば浦原さん側の準備期間だ。
「……本当にあの名前使うのか」
まあ確かに、おにぃの言う通り名前が分からなければ不便な事も多いだろう、言うまでもない……だが
「……気に入らないなあ……」
『
咄嗟に決めたにしてはまあ、まだマシと言える……だがやはり罪悪感と言うか、偽っていると自覚してしまう分名乗るには少し勇気がいる。
「……あ、いた」
おにぃだ
「おにぃ」
「あ? なんだ凪、お前も来てたのか」
「……お父さんと一緒にね」
「……そりゃまあ、大変だったな」
おにぃにはこの大変さが分かるだろう、小さい頃はよく連れ回されてたし。
「……もしかして凪? 久しぶり!」
「そんなに久しぶりでも無いよたつきちゃん」
多分1年ぶりとかか……いや、割と離れて……い……る……
「たつきちゃん、その腕は?」
「あーこれ? インハイ行ったらやられた」
「……?????」
たつきちゃんの腕を折るって……どんなバケモノが相手なんだ……?
「お、お大事に……」
「? うん、ありがとね」
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「……おにぃ、そろそろ代わろうか?」
「いや……大丈夫だ……!」
「……そっか」
時刻は夜、お父さんに酔わされた2人を背に背負い、家への帰り道をおにぃと並んで歩いている。
「親父はなんでか河原で寝てやがるし……あのヤロー絶対ぶっ飛ばす」
「……いやーホント、ナンデデショウネ」
一体何処の黒崎さんのせいだと言うんだ……!
「……なあ凪」
「ん?」
「お前は、俺が居なくても大丈夫か?」
……いきなり何を言うかと思えば
「……どうしたの、らしくもない」
「うっせ」
そんなの、決まってるじゃん
「おにぃはさ、私が大丈夫って言った方が助かるよね」
「…………」
「……けどごめんね、私はいじわるだから、そんな事言えない」
おにぃが居なくなったら、私は
「大丈夫じゃないよ。たくさん泣くし、たくさん悲しむ」
生きる事を選べないから
「たくさん悔しがるし、たくさんさみしくなるかな」
だけど、大丈夫
「けどさ」
「それでも私は、お姉ちゃんだから」
「……ああ」
「遊子と夏梨を残してなんて逝かないよ!」
「……ああ」
だから
「だから」
貴方は
「心配しなくて大丈夫だよ! お兄ちゃん!!」
そんな事は、考えなくていいのだから