黒崎凪は不純物である 作:三世
だいぶ短いです
「ここ……どこだ?」
地の果てまで見えるのではないかと言うほどまでに、何も無い空間。いや……ただ一本だけ、一護のすぐ後ろに、粉白色の実のなった巨木が生えていた。
「あ! やっと起きたんだ!」
「!」
木の後ろから、鈴を鳴らしたような、綺麗で少し幼くも感じる声が聞こえた。
「……誰だ?」
「さあ! 誰でしょう?」
そう言いながら姿を現したのは、まだ10歳にもならないであろう少女だった。少女はスキップをしながら此方へ近付いてきて、一護のすぐ近くまで寄ってくる。
「ここがどこか気になるみたいだね!」
「ああ」
「しりたい?」
「……まあな」
「じゃあ私と遊んで!」
「はあ?」
少女はまた木の後ろまでかけ足で行くと、1枚の紙を持ってきた。
「……絵か?」
「そう! 夏の絵!」
上手い、少女の見た目から出されてはどうも納得の行きにくい程に上手い絵だった。……ただ、一護はその絵に対して言いようの無い違和感を感じてしまう。
「……上手いな」
「でしょでしょ!」
何処か見覚えのある様な、不思議な感覚だった。
「いまはこの一枚しかないけど、これからどんどん色んな絵を描くんだよ!」
「……ああ、頑張れよ」
その時ふと思う、自分はここに居て大丈夫なのだろうか? ……と
「悪ぃ、俺行かなくちゃならねえ」
「……お友達が待ってるの?」
「……ああ、大切な友達だ」
少女はしゅんと落ち込んだような顔をしているが、直ぐに顔を上げ笑顔を見せてくる。
「じゃあ次はそのお友達ともいっしょにお絵描きしよ!」
「……ああ」
その笑顔は何処かで見た事がある様な、何時も見ているかのようにも感じる、少し哀しげな笑顔にも見えた。
「久しぶりに会えてうれしかったよ、じゃあね ! おにー……────」
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「……ここ……は」
真っ白な天井が目に入り、部屋の外からは花太郎と岩鷲の寝息が聞こえる。
「……寝てんのか」
今がどれくらいの時間なのかは分からないが、ここまでフラフラになりながら治療してもらった手前、無理に起こすことは出来ない。
「……もう少し待つか」
先程の夢のことも気になってしまい、一護はその場に座り込んだ。
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……さて、これで私のすることは三分の一くらいは終わった訳だが……やはりさっきのことが気になる。
私の夢の中では、あそこまでの深手を負っていなかったはずだ。つまり、あそこまでやられる何かがあったと考えるのが妥当だろう。
…………私以外いないよな、その何かって
実際夢の中では喜助さんがおにぃに修行をしていた……つまり、その相手が私になることでおにぃの戦闘の仕方が少しだけ変わり、想定以上に深手を負うことになってしまったと言ったところか。
……自分を刺し殺してやりたい
自分を罰するのはあとからでもできるとして、問題は他の
石田さん、井上さん、チャドさん。この中で唯一夢の中であまり傷を負っていないのは井上さんだけで、石田さん、チャドさんの二人は隊長格にやられて捕縛されていたはずだ。
つまり、怪我が大きくなりそうなのは今の所この二人で、あまり傷を負っていない井上さんは、悪いが後回しにさせてもらおう。
確か一番近くて最初にやられるのはチャドさんだったはずだ、ならばそこから行くのが妥当だろう。
……けど、チャドさんの相手ってあの人なんだよなあ……