黒崎凪は不純物である 作:三世
「貴方がチャドさん?」
「
初めて会ったのは去年、おにぃがケンカをしている前でチャドさんが椅子に縛り付けられてるのを見掛けた時だった。
「……脚長いですね、羨ましい」
「……取り敢えずワイヤーを解いてくれないか?」
あの時おにぃはケンカした後だったから地面に寝転がってて、少し怪我をしていた筈だ。
「おにぃ、救急車呼ぶ?」
「いや、もう呼んだ」
「何台?」
「5台」
おにぃの周りには5人の不良が倒れていて、その人たちの分の救急車だと分かる。
「チャドさんの分は呼んでないんだね」
「別に必要ねえだろ、なあチャド」
「……茶渡だ」
おにぃの手を掴んで立ち上がらせてから、チャドさんのワイヤーを解きにかかる。
「いいじゃないですかドミニク・チャドみたいで」
「知らない……だれだ?」
「似てますよー、目が隠れてるとことか」
「……ユージン・チャドボーンなら知ってる」
「……誰?」
ギタリストらしい。
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「……キミは、何者なのかな?」
「どうでもいいでしょう、敵の情報なんて」
女物の羽織を着て、二振りの斬魄刀を此方へ向ける男……京楽春水は話しかけてくる。
……私の後ろには、チャドさんが倒れてる。
やはり私が思っていた以上に重症だ。チャドさんは死ぬことはないだろうけど、こうなると石田さんが心配になる。
「死神は、一人だけって聞いてたんだけどねえ……」
「私が見つかってなかっただけですよ」
「こんな可愛いコ斬るなんて、心が痛むよ」
「冗談、顔見えてないでしょ」
羊の仮面を触りながら捩月の鋒を向ける。
「いやいや、女の子はみんな可愛いもんさ」
「随分と
余裕な表情は崩さない癖に、私が鋒を向ける前から抜刀している。隙がない
「……戦らないって選択肢は?」
「舐めんな」
隙がないなら、作ればいい。
「縛道の六十一『
「……鬼道まで使うのかい!!」
避けられた、けど想定内だ。
「六十番台を詠唱破棄かあ! 是非ウチの隊に欲しいねえ!!」
「残念、セクハラする男は好みじゃないんで」
─
─
「ッその形……!?」
「隙を見せたな、京楽春水」
何に動揺してるのかは知らないが、戦場での其れは命取りになる。
「『
「ッ!!」
防がれるが、これも想定内
「君臨者よ、血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ……」
この距離でノータイムで
「雷鳴の馬車、糸車の間隙、光もて此を六に別つ縛道の六十一『
「……っ二重詠唱か!!」
光の帯が京楽の周りに現れ、動きを抑え込む。
「散在する獣の骨、先塔・紅晶・鋼鉄の車輪……」
そして、二重詠唱ではない。
「心理と節制、罪知らぬ夢の壁に僅かに爪を立てよ! 」
「動けば風、止まれば空、槍打つ音色が虚城に満ちる! 」
三重詠唱だ。
「破道の三十三『
右手からは蒼火墜、左手からは雷吼炮、どっちも本来は片手で放つものじゃないから腕がジンジンする。
「縛道の八十一『
京楽春水ではない、女性の声が響いた。
「いやあ、ありがとねえ七緒ちゃん」
「……縛道は、避けられたはずですよ」
分かっちゃいたけどさ、こうも簡単に防がれるとヘコむんだけど。
……やっぱり習いたての鬼道は使い難いな
「いやね、力量を見てみたくてさ」
完全に舐められてた、確かに今霊圧抑えてるけどさ
「霊圧隠蔽は席官レベル、さっきの技も異常に強かったし、鬼道に関しては……」
「……隊長レベルです」
「七緒ちゃんがいなかったら不味かったかもねえ」
嘘こけ、縛道は避けれたって今言ってただろ
「それに、其の斬魄刀の形も気になるね……キミ、何処の出自だい?」
「……現世の一般家庭ですが?」
何かを疑う目を向けられる、何か罪を疑うとかではなく、何かが気になるらしい。
「……本来なら貴方と戦うつもりは無かった、悪いけどここは引かせてもらいます」
流石に隊長格二人はキツイ、其れに早く石田さんの所に行かなきゃいけないんだから。
「……ならなんでさっきすぐに逃げなかったんだい?」
「私がなんで貴方にすぐ斬り掛からなかったか、分からない?」
京楽さんの手前から、赤色の煙が一気に立ち上る。
蒼火墜に乗せた鬼道が、やっと発動したみたいだ。
「縛道の二十一『
『曲光』を私とチャドさんに掛けて、肩に担ぐ。
霊圧を完全遮断して距離を取ってから、京楽さんへと話しかける。
「次は味方として会えることを願ってるよ! 京楽隊長!!」
取り敢えずチャドさんを遊び場まで運ばなきゃ
戦闘させようか迷ったんですけど、京楽隊長と戦って勝てるとは思えないので引かせました。
関係ないけど多分京楽隊長は敵なら女の子でも斬ると思う。