黒崎凪は不純物である 作:三世
あの日から、6年。
おにぃは高校生に、遊子と夏梨は小学生に、私は中学生になった。
おにぃはいろんな人を助けていた。
困っている人が居れば、人間でも幽霊でも、誰にでも手を差し伸べていた。
小さい頃に“色々な人を護りたい”と言っていたことを思い出す。
遊子は家事を出来るように、夏梨は姉らしく凛とした性格に変わっていった。
私は、私だけが何も変わっていない。
死神の力を手に入れて、何かが変わった訳でもない。
ただ虚を倒していても、心の孔は埋まらない。
家族の中で私一人だけが、過去に取り残されている。
…わかっている。
小さい頃からずっと見ているあの夢の中に
私は、本来この物語に居るべき人間では無い
黒崎凪は、本来存在しない
携帯電話から、けたたましい音が鳴る。
…この物語の全てが終わったら、消えよう。
どこか遠く、誰も知らない場所で、静かに死ぬことにしよう。
右手に握られた白い刀を振り払い、携帯電話を見る。
(だから、それまでは)
目の前の白い仮面から、赤い眼がギラギラとこちらを睨み付ける
(どうか)
仮面を割ると、憎悪に塗れた表情を覗かせる
(死なないで)
目の前の怪物が腕を振り上げる
(一護…)
────黒崎凪/14歳
髪の色/ブルー
瞳の色/ブラウン
特技/ユウレイが見える
職業/
「GYAAAAAAAAAA!!!」
「うっさ」
最後の抵抗も虚しく、怪物は灰のように消えて行った。
中学生:死神
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────西空座町 浦原商店
「喜助さん、伝令神機壊れた」
「またっスかぁ…この頻度だと流石に故意かと疑っちゃうんですけど…」
「流石に次は壊さない…多分」
「多分じゃ困るんですけどねぇ…」
時刻は午後4時、割れた画面を前に目の前の男は頭を捻っている。
「もっと丈夫な画面にしてくれないと、戦ってる最中に割れちゃうんだけど」
「う〜ん…それなら値段は張りますけど、もう少し丈夫なヤツもあります…けど…」
「じゃあそれ下さい」
「大丈夫ですか?このくらいしますけど」
紙に書いて見せてきたのは、考えていたよりも0が2個ほど増えた数字。
「…考えます」
「そッスか」
これ以上その話はするつもりが無いのか、紙を仕舞い此方へ顔を向けてくる。
「そういえば最近、新しい死神の方がここの担当になったらしいっスよ」
暗に、“バレたら面倒臭いから余り動くな”と言っているんだろう。
前の担当だった死神はサボり癖があったのか、余りこの町で活動しているのを見た事が無いが
「分かった、じゃあ暫くはあんまり動かないようにする」
「助かります…お礼と言っちゃ何ですが、『勉強部屋』使って行きます?」
「良いの?」
『勉強部屋』浦原商店の地下にある修練の為の部屋。
「悪い理由がないですよ、どうぞどうぞ、使っちゃって下さい」
だがここで気付く、この男なにか怪しい
「…つまりここで私を『勉強部屋』に行かせて、あなたに何か得することがあるわけだ」
「…な〜んのことスかねぇ〜」
「分かってるよ、夜一さん来てるんでしょ」
ビクンと、肩が大きく跳ねる
「……いや〜バレたなら仕方ありませんねぇ」
「なんでこっち来んのさ、ちょっと待て何その縄」
縄を両手に持ちジリジリと近づいてくる様は、格好も相まってまさに不審者にしか見えない。
「離せ!あの修行は服が消し飛ぶから嫌なんだ!」
「許してください凪サン…!これも全部ボクのためなんです…!」
「どうせアンタが勝手にお菓子食べたとかだろ!私は関係ない!!」
気がついた頃には縄に巻かれており、身動きが取れなくなる。
クソっこの程度の縄が私に外せないはずがない…!
「別に服は消し飛ばん、両肩と背の布が消し飛ぶだけじゃ」
「!?」
いきなり後ろから声がする、猫の鳴く声の様な綺麗な声だ。
「…お、お久しぶりです…夜一さん」
「三日ぶりじゃなあ…しかし貴様前回、よくもまあぬけぬけと儂の修練から逃げ出しおって…逃げ足の良い弟子を持って儂は嬉しいのお」
「……ははっ…お褒めに預かり誠に光栄デス…」
「別に褒めてはおらんが」
あっやべっこれ完全に答え方ミスったやつだ、殺される
「殺しはせん、死ぬまで修練するだけじゃ」
…!?コイツ心を読んで…!
「別に心など読んどらん、お主がわかり易いだけじゃ」
「読んでるじゃないですかぁ!!!」
今日が命日かなと、呑気なことを考えることも出来ずに縄で縛られたままに連れていかれる。
取り敢えず喜助さんは後でぶん殴ろう。