黒崎凪は不純物である   作:三世

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多分、というか絶対設定がよく分からないと思うので後で前日譚を書いときます。なんなら今後追加する可能性すらあります、すんません



死神代行篇
1 黒崎凪は霊媒体質である


 

 この世界で初めて見た人の顔は記憶に残っている。

 

 にへらと笑った口に、蜜柑色の髪がよく似合う、まだ3歳にも満たないであろう男の子。

 

 直ぐに、私はその笑顔に見とれてしまっていた。

 

 

 △▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

────空座町 午後七時十三分 金曜日

 

「なんだァ!? いきなり出てきて山ちゃん蹴倒しといてその上俺らにココをどけだァ!?」

 

 五人組の不良達の中、同じく不良のような見た目をしたオレンジ髪の少年は面倒臭そうな顔をし、カリカリと頭の横を指先で搔いていた。

 

「何考えてんだてめぇ? 死ぬか? あァ!?」

 

────黒崎一護/15歳

 髪の色/オレンジ

 瞳の色/ブラウン

 職業/高校生

 特技/

 家族構成/

 

「何とか言えこの……ぉプッ

 

 仲間を蹴られ激昂し、掴みかかろうとしたところに少年の靴底が不良とキスをする。

 

「ああッ!」

 

「トシりんがやられた!!」

 

 理不尽、第三者から見ればそれ以外の言葉では言い表せないだろう。このオレンジ髪の少年は見ず知らずの人間を蹴倒し、ましてやそれに激昂したその仲間の顔すら蹴飛ばしたのだから。

 

「な……なんだか知らんがヤベェ……あんな理不尽な暴力見たことねぇ……」

 

「あいつ絶対アレだ……あんなのと()ったら確実に()られる……!」

 

 いきなり現れ、理不尽極まりない暴力を振るわれたなら、幾ら喧嘩慣れした不良でも普通の感性を持ってさえいれば怖気付くことは明白だろう。

 

「ギャーギャーうるせぇ!!」

 

おフッ

 

 倒れた不良へ追い討ちをかけるかの様に、少年は不良の頭を踏み付ける。ゴンッと鈍い音が道路に響いた。

 

「お前ら全員あれを見ろ!!」

 

 少年は傍にある電柱を指差す。そこには、倒れて口の方が少し割れた、模様もない無骨な花瓶が転がっていた。

 

「問1!!」

 

 ビクッと体のはねる不良二人に構わず、少年は問いかけを続ける。

 

「アレは一体なんでしょうか!? ハイそこの一番臭そうなお前!!」

 

「え……? お……俺?」

 

 困惑しながらも臭そうな自覚があるのか無いのか、ニット帽を被った臭そうな不良が答える。

 

「あ……あの……こないだココで死んだガキへのお供え物……」

 

「大正解!!」

 

 先程の不良と同様、顔への横蹴りが極まり、後ろへと倒れ込む。

 

「ミッちゃーん!!」

 

「問2!!!」

 

 倒れた不良に対して目もくれず、少年は無慈悲にも質問を続ける。

 

「じゃあどうしてあの花瓶は……倒れてるんでしょうか?」

 

 ────黒崎一護/15歳

 髪の色/オレンジ

 瞳の色/ブラウン

 職業/高校生

 

「そ……それは……」

 

「俺らがスケボーして倒しちゃった……から?」

 

 ―───特技/

 

「そうか……」

 

 

 “ユウレイが見える”

 

 

それじゃコイツに謝んなきゃだなァ!! 

 

 少年の後ろから、顔半分を血で濡らし、眼をぎょろんと上へと向けた少女が現れる。

 

いやあああああああ!! 

 

 不良達は甲高く喧しい叫び声を上げ、その場から走り逃げて行った。

 

「ふー……あんだけ脅しときゃもうここには寄り付かんだろ」

 

 少年は浮いている少女へと体を向け、話しかける。

 

「……悪かったな、こんな風に使って」

 

「ううん、あの人たち追っ払ってってお願いしたのあたしだもん、このくらい協力しなきゃ」

 

 傍から見た場合、この少年はどの様に見えるのだろうか、壁に向かい独り言を呟く異常者な見えるかもしれない。

 

 まあ、私には関係の無いことだが

 

 

()()()

 

 

「あ? なんだ(なぎ)、いたのか」

 

 ────家族構成/父、妹()()

 

「うん! おにぃが一人目をぶっばすところから!」

 

「……ほぼ最初からじゃねぇか」

 

 黒崎凪(わたし)は、不純物である

 

 

 △▽△▽△▽△▽△▽△▽▽△▽△▽△▽△▽△

 

 

「ただいまァ「遅ーい!!! 」」

 

 家の扉を開いた瞬間、待ち伏せをしていたのか、父の飛び蹴りがおにぃへと炸裂する。

 

「わぁ、お父さん……今日は一段と情熱的だね」

 

「そうだろう! 俺は我が家の家族団欒を乱すのならば例え息子に対しても血の制裁を下す!」

 

「うーん、そう言うこと言ってるんじゃないんだけど……ま、いっか」

 

 皮肉が通じず、起き上がったおにぃと父の喧嘩を横に見ながら私はリビングの椅子へと腰を落とす。

 

「もーやめなよ二人ともーご飯冷めちゃうよー」

 

「ほっときなユズ、おかわり」

 

「夏梨の言う通り、ほっときなユズ……あ、私もおかわり」

 

「お姉ちゃん食べるの早くない?」

 

 妹二人に同調しながらテレビをつけると、最近流行りの霊媒師の特集がやっていたが、興味が無いので直ぐに消した。

 

「あれ、おねえちゃんもう新しいヒトついてるよ」

 

「うげっ! ホントだ、お祓い行こっかな?」

 

 背中側を見ると小太りのサラリーマンの様な見た目の幽霊が憑いていた。

 

「だけど一兄は効果無かったっていってたよ」

 

「詐欺じゃん」

 

「世の中の霊媒師なんざ殆ど詐欺だろ」

 

 父との乱戦を終え、服がしわくちゃになったおにぃがリビングへ入ってきてそう言う。確かに()()は詐欺だろう、私は一人だけ本物を知ってるけど

 

「おにぃにもついてるよ」

 

「コイツッ! いつの間に!」

 

 見ると、眼鏡を掛けたサラリーマンのような風貌の幽霊が憑いていた。

 

「見える触れる喋れる上に超A級霊媒体質の四重苦。大変だねぇ、一兄と凪姉はハイスペックで」

 

「でもさーちょっとうらやましいよねお兄ちゃんたち、私なんてぼんやりとしか見えないし」

 

「……そんな楽しいものでもないけどね、コレ」

 

 ただついてくるだけならいいだろう、けれど耳元で知らない人への恨み言とかを 呟きまくるのはやめて欲しい。頭がおかしくなる。

 

「凪姉の言う通り、それにあたし幽霊とか信じてないし」

 

「? 夏梨は見えるんじゃなかったっけ」

 

「見えようが何しようが信じなきゃ居ないのとおなじ」

 

 部屋の中に吹雪が吹いたような気がした、まだ夏なのに

 

「それよりさ、新しい企画思いついたんだけど」

 

「なになに?」

 

「“初夏の風と共にユウレイ達と戯れて見ませんか”5月限定企画『軽井沢ゴーストピクニック』」

 

「去年はお花見だったよね」

 

「夏梨、人でお金稼ぎをするのはやめようか」

 

 冗談じゃない、先月のだっておにぃに全部押し付けなきゃ危うく見世物にされるところだったんだから

 

「ごちそーさま、私もう寝るね」

 

「えーもう寝るの? まだ沢山あるのに」

 

「後は全部お父さんに無理やり詰め込んどいて」

 

「了解した凪、よし夏梨やるぞ」

 

「なっ!? 凪ちゃん!? お父さんもうはらパンパン……ギャア!!」

 

 おにぃがやる気になりお父さんと追いかけっこを始め出した……冗談で言っただけなんだけどな

 

 ……今日が本当にあの日なら、後でおにぃの部屋に行こうかな

 

 ……本当に、()()()()なら今日は

 

 ……おにぃが『死神』になる日だ

 

 

 ▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△

 

 

 騒がしい家の中、コンコンとドアを叩く音が部屋に響く。

 

「おにぃ、入っていい?」

 

「あ? 凪か、なんか用か?」

 

 最初に目に入るのは蜜柑の色をした髪、これのせいで学校では不良の様に扱われていると前話していたのを覚えている。

 ……けれどそれでも染めない辺り、気に入っているのも確かなんだろう。

 

「……どうした、突っ立って」

 

「あ、ごめん髪に見とれてた」

 

「……? そうか」

 

 あまり言われ慣れていないのか、よく分からない表情をしている。逆にわかりやすい。

 

「で、なんの用だ?」

 

「明後日さ、除霊行かない?」

 

「……さっき夏梨と話してたの聞いてたが、俺は効かなかったぞ?」

 

「ウッ」

 

 確かにそうだ、言われたし憶えている。

 

「で、本当の目的はなんだ?」

 

 尋問かな、心做しかおにぃの目がニヤついている気がする。

 

「……一緒に出かけたいです」

 

「そうだったら最初からそう言え、別に俺は断らないんだからよ」

 

「だって恥ずかしいんだもん」

 

 もうすぐ15歳になるのにこんなお願いをしていると、姉の威厳というものがだね

 

「俺の方が年上なんだからそんな大人ぶらなくてもいいんだよ」

 

「いてっ」

 

 頭をコツンと小突かれる、全く痛くは無いが反射的に声が出る。

 

「またそうやって年上ぶって……1歳しか違わないくせに……? ……黒揚羽?」

 

「あ? 一体どこから入って……」

 

 瞬間、時が止まったかのような静寂が訪れる。黒装束の少女がおにぃの机の上に立っていた。

 何秒たっただろうか、もしかしたら何時間も止まっていたのかもしれない、それくらいに部屋の中は静かになっていた。

 

「……な……」

 

 最初に口を開いたのはおにぃだった、いきなりの見知らぬ人の来訪に驚いているのだろう、私も驚いている。まあ、()()()()()()()()()()()

 

近い……! 

 

 初めて少女が口を開く。その瞬間、やっと状況を飲み込めたおにぃが少女を蹴飛ばした。

 

近い……! じゃあるかボケェ!!」

 

「ちょっおにぃ! 女の子だよ!?」

 

「? ? ?」

 

 少女は困惑したように固まり、倒れた姿勢から元に戻らずに居る。

 

「き……貴様ら……私の姿が見えるのか……? ていうか今蹴り……」

 

「? 何訳分からんこと言ってんだ? そんなもん見えるに「うるせえぞ一護2階でバタバタすんなァ!!」あ」

 

 お父さんが部屋に入って来て、いつもの如くおにぃへとドロップキックを決めようとした。

 がしかしドアからの直線上には私しか居ないわけで……

 

「「あ」」

 

 ゴドンと鈍い音が脳まで響き、少しクラクラする程の衝撃が来た。すごいなおにぃ、毎日これを食らっていたのか

 

「ギャアアア!! てめぇ何やってんだクソ親父!!」

 

「わ……悪ぃ凪ちゃん! 本当は一護を狙うつもりだったんだが……」

 

「お父さん」

 

「ハイッ」

 

「明日から一週間家族と接触禁止ね」

 

「えっいや、それは「返事は?」アッハイ」

 

 お父さんは目に見えて顔を青くして部屋から立ち去ろうとする、が

 

「ちょっと待て親父! コイツ見えねェのかよ!」

 

「あ? 見えねえって……何がだよ」

 

「何って……このサムライ姿の」

 

「侍……? ……あァそうか……()()()()か」

 

「あ? 何言って」

 

「一護、俺は今ものすごく落ち込んでる所だから幽霊なら後にしてくれ……うぅ、ちゃんと確認してから蹴りゃ良かった……」

 

 ドアが音も立てずに閉まる。あれだけの事をしておいて一週間だけだぞ? 寧ろ良心的だとさえ思うのだが。

 

「もしかしてお前……幽霊なのか?」

 

「……違う」

 

「あ? じゃあお前一体……」

 

「私は───『死神』だ」

 

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