最後のイタズラ   作:曽良紫堂

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第3話

 俺は決意も新たに奴の謎へと挑む事にした。スマホ君は相変わらずおねむなようで静かに体を横たえている。このままずっと静かでいてくれると俺は幸せだなぁ。

 そしてもう一つのスマホ君を弄り倒していく。

 

 さあ続きを我に見せるがよいぞ! ははは!

 

 おかしいテンションのまま続きを見ていくが、相も変わらず自室と病院ときどき自撮りである。いい加減飽きてきたぞ。もっと変化をつけてくれ。

 写真の日付が一年も過ぎた頃、写真は終わりを告げた。最後の写真の日付は奴が亡くなる前日。内容は奴のクラウドストレージのアカウント名と何かの数式が書いてある紙であった。

 恐らく数式の答えがパスワードなのだろうが、困ったことに俺にはこんな複雑な数式を解くことが出来ない。

 

 どうしようか考えた俺は大学の時の友人Bを頼ることにした。そいつは数学科にいたから簡単に解けるだろうと思ったのだ。

 思えばこいつとも随分会ってないな、などと思いながら連絡すると丁度暇してたところだからいいよと言ってきた。

 偽りの自由を謳歌している俺が言えた口ではないが、平日の昼間から暇してるなんてコイツ大丈夫か? まともな仕事してんの?

 そのように頼み事してるくせに自分を棚にあげて大変失礼なことを思っていると、友人Bが連絡してきた。

 

 いいね! 仕事が早い奴は好きだよ、(ぼか)ぁね! で、回答は? 早く教えろや! 何? 解けない? なんでだよ、数学科この野郎! あぁ? そもそも数式じゃないだあ? じゃあ、一体こりゃ何だってんだい!

 

 急に似非江戸っ子になった俺に突っ込むこともなくコイツは淡々と話す。そうだ、コイツこういう奴だったわ。

 その友人B曰く、この式は数式ではなく何かの暗号か、もしくは意味のない文字列だろうとの事。

 

 何だよ! どうせコイツもこの式解けなかったから、それっぽいこと言ってるだけじゃねーの?

 

 内心で失礼な思いを重ねながら、表面上はにこやかに礼を言う。そうして今度会う約束をして連絡を終えた。

 しかし、困ったな。当てが外れてしまった。これ自力で解かなきゃならんの? 無理だよ? 奴は俺の実力をわかってこの問題を出したのだろうか?

 いくらなんでも、そんな訳はないだろうと思う。

 

 ……まさか。まさかね。

 

 そう思いながら、その式をそのままパスワードに突っ込んだところ無事弾かれる。

 

 クソが! わかってたよ畜生! そもそもこんなワケわからん記号打てないわ!

 

 全く見当がつかなくなった俺は、部屋の隅に置いてある奴の遺品が入った段ボールを漁る。奴の遺品には箱が多い。中身は見ていないので何だかはしらんがまあまあ量がある。その中の一つを取り出して見てみると、最近どこかで見た記号が書いてあった。

 

 ……まさか。まさかね。

 

 そう思いながら箱を全部引っ張り出して一つ一つ検分すると、全ての箱にどっかでみた記号と数字が書いてあった。その箱の一つを開くと一枚の紙が入っていて、そこにはアルファベット一文字が書かれていた。

 

 嘘だろ。まさかこれ全部中身こうなの? 奴はどんだけ暇だったんだ? あと、これを俺が引き取らなかったらどうするつもりだったんだ?

 

 ちょっとした山になっている箱達を見て俺はおののいた。

 

 ひーこら言いながら数式の順番通りに箱を開け、中の文字をパスワードに入力という作業を結構な回数こなした俺は、これで入れなかったらあの世に行ったとき必ず奴をぶん殴ると決めエンターキーを押した。

 我が家の遅い回線君が必死にデータのやり取りをしているのを固唾を飲んで眺めていると、画面が切り替わり無事アカウントのなかに入ることが出来た。

 これで奴を殴らずに済んだかと安堵と若干の寂しさを感じながらストレージの中身を拝見する。

 

 さーて何が出るかな? おっと? これは何でしょうねぇ。一つしかファイルがありませんねぇ。

 

 その中には圧縮ファイル一つしかない。自分のパソコンにそのファイルをコピーしウイルススキャンをする。

 

 ま、まぁ、一応ね? 奴を信じてないわけではないんだけど一応ね?

 

 安全が確認できたところで、解凍しようとするとまたもやパスワードを要求された。

 もうわかったから、勘弁してほしいといった思考が過るが、同時に奴がせせら笑っている姿も過りまたもや負けず嫌いに火が着いた。

 試しに奴が最後に送ってきた謎の文字列を入力してみるも解凍不可とでる。

 これじゃないのかと落胆するが、奴がこんな簡単なことするわけないなとも思い納得する。

 じゃあ何なのよとなるわけだが、もう今日は疲れたので寝ることにする。

 

 寝たいときに寝れるなんてなんて素晴らしいんだ! ビバ自由! この自由が偽りなんて事忘れて寝てしまえ!

 

 そうして今朝の決意など何のその、俺は酒をしこたまかっくらって寝た。

 

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