最後のイタズラ   作:曽良紫堂

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第5話

 やあ、久しぶり。

 この動画をみているってことは、僕のイタズラが無事達成されたということなんだろう。

 僕はそれを見ることはないが、君が右往左往している様を想像すると笑いが止まらないね。

 

 怒ったかい? 呆れたかい? 君は今どんな表情で僕を見ているんだい?

 

 この世に未練というものは特にないけど、その表情を知れないのが未練なのかもしれないね。

 

 さて、ネタバラシをしよう。

 

 何で僕が今回君にこんなはた迷惑なイタズラをしたかといえば、三つ理由があって一つは単純に暇だったんだ。

 恐らく君も知っているように僕は面倒な病にかかってね、余命宣告を受けたわけだ。しばらくは落ち込んだりもしたけど、まあどうでもよくなってね仕事を辞めたのさ。

 そうしたら実に暇でね。おおよそやることと言えば通院くらいしかないじゃないか。僕は無趣味だし、親も友達もいない僕が話す相手は君くらいなものだ。

 

 だから考える暇だけは売って配れるほどあった。

 

 暇に飽かせて色々と考えていったら、ほぼ全ての思考に決着がついたんだけれども、どうしても一つだけ解決できない思いが残ってしまったんだ。

 君は何だか忙しそうにしているからね。巻き込むのはどうかとは思ったんだけれども、やっぱり巻き込むことにした。

 

 どうか僕の最後のわがままだと笑って許してくれたまえ!

 

 さて、そうして君に迷惑をかけることにした僕は、目的のために君が解いてきたイタズラを仕込むことにしたんだけれど、いやはやこれがアホみたいに面倒でね。時間が有り余ってなければ途中で飽きて投げ出していたよ。

 まあ、四苦八苦している君の顔を思い浮かべれば、あの程度問題はなかったけどね。

 

 どうだい? 記憶に焼き付くほど面倒だっただろう?

 

 二つ目の理由は僕は君に忘れてほしくなかったのさ。

 色々解決して、捨てていって、最後に残ったのは君の事だったよ。

 

 僕は君に忘れてほしくない。

 忘れられるのが怖かった。

 何せ僕の唯一の親しい人間だからね、その辺の者とは価値が違う。

 

 だから色々仕込んだ。

 君の記憶に残るようにね。

 

 思えば昔から僕は何だかんだ理由をつけては君にイタズラを仕掛けていたけど、本当はただ君に構ってほしかっただけなんだ。

 

 最後にそれに気付いた。気付いてしまった。

 

 もう手遅れなんだから気付かなければ良かったと後悔もしたけど、やっぱり捨てられなかった。

 

 どうだい? 僕の事を忘れることはできそうかい?

 

 君はこんな僕にも関わってくれるいい奴だからね。

 そんな君の事が僕は好きだよ。

 さっき未練はないとか言ったけれどあれは嘘だね。僕は君に未練ありありなのさ。

 

 

 しかし、ここまで見て君は疑問に思っただろう?

 計画が杜撰すぎて、上手くいかなかったらどうするつもりだったんだって。

 さっきは確かにああ言ったけど、駄目なら駄目で良かったんだ。

 君が僕を見つけなくても、遺品を引き取らなくても、この動画を見つけなくても、それはそれで良かったんだ。

 僕は君に忘れられたくないけど、君には君の人生がある。

 

 

 だから、これは賭けなのさ。

 

 そして僕は賭けに勝った。

 

 それだけさ。

 

 

 さて、最後に僕がすることは、死にそうになる前に頑張って君に連絡することだけだ。

 ここだけの話、僕は本当にもう長くない。日々体調が悪化しているのがわかるんだ。

 だから奇跡でもおきない限り、もうすぐ僕は死ぬね。

 君の事だから変な暗号が届いて、そのあと僕の連絡がなければ、君はきっと僕の家まで様子を見に来るだろう。

 なるべく早く来てくれることを祈ろうか。僕も腐った自分を見せたくはないしね。

 そういう記憶には残りたくはないよ。面白くないしね、見るなら綺麗な僕を見てほしい。

 

 

 長々語ったけれどそろそろ終わりにしよう。

 

 ここまで見てくれてありがとう。

 僕は君がいて良かったよ。

 

 愛してる。

 

 じゃあね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうそう、言い忘れてたけど最後の理由は、昔アニメでこういうシチュエーションを見てね、密かに憧れてたんだ。

 だから僕もやってみたくなったんだよ。

 この病気になって唯一良かったことは、この憧れが叶ったことだけだったね。

 

 

 

 

 じゃあ、またね。

 あの世で待ってるからゆっくりおいで。

 

 僕の最愛の友人君。

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