楽しみだ!
人類は古代から異形との戦いを繰り広げてきた。それと対峙していたのが魔法力を持つ
そして1939年、何の前触れもなく我々人類の前に現れた。我々は異形をネウロイと名付けた。
ネウロイは瞬く間に欧州のほとんどを支配した。目的は不明。残された人類はその版図を取り返すべく日々ネウロイと戦っている
「これが、この世界の敵ですか」
瑞鶴は投影機から映し出された写真を凝視していた。この世界の説明を受け、敵であるネウロイの写真を見ていた。航空機のような姿をしているのもあれば、気球みたいな姿をしているのもいると思えば、ロケットのような姿をしているものまである。箱型で分裂し増殖するのもあれば、雲を貫いてそびえ立つ塔の存在もある。驚くべきものは人型のようなものまであり、宮藤が接触している写真まであった
坂本とミーナがこの世界の現状を分かりやすく説明していたため、事態を把握していた。まだ、この世界へ来た事へのショックはあるものの、彼女達のお陰で何とか落ちつつあった
「ネウロイは我々の想像しない姿をするからな」
「……だから私を素っ裸で身体検査をしたんですね」
「あー、スマン。それは……ウィッチの頃の私なら魔眼で一発で見破れたんだが」
瑞鶴は不貞腐れている最中、周りは申し訳なさそうにし、坂本少佐は謝罪していた
しかし、この人達は謎の身体検査は兎も角、悪い人達ではないのは分かる
高圧的な士官でも無いし、周りもそこまで悪い人達はいない。
この世界での説明の前に一人一人自己紹介をしてくれた。日本……いや、扶桑皇国からの出身で宮藤芳佳と服部静夏。帝政カールスラント出身である、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケとゲルトルート・バルクホルン、そしてエーリカ・ハルトマン。ブルタニア連邦出身のリネット・ビショップ。ガリア共和国のペリーヌ・クロステルマン。リベリオン合衆国出身のシャーロット・E・イェーガー。ロマーニャ公国出身のフランチェスカ・ルッキーニ。そして、スオムス共和国エイラ・イルマタル・ユーティライネンとオラーシャ帝国出身のサーニャ・V・リトヴャクだ
国名と世界地図の場所で教えてくれたが、国名と内政が違うだけで、何処の国かは大まかに把握した
瑞鶴は教えてもらった事を思い浮かべていたが、瑞鶴はあることに気づいた
「ウィッチの頃って坂本少佐はウィッチだったんですか?」
「そうだ。魔法力は失ったが、軍に残ってウィッチをサポートしているぞ」
坂本少佐の説明に瑞鶴はポカンとしていた。魔法力を失う?
「ウィッチは20歳を過ぎると魔法は減衰し行使出来なくなります。だから必然的にウィッチは10代で編成されているの」
「だから若くても階級が上なんだ」
瑞鶴は納得していた。確かにパイロットの階級は士官からである
(まあ、『艦だった頃の世界』で搭乗員の階級はやっぱり特殊過ぎね)
瑞鶴は心の中でそう呟いていた。旧日本軍では下士官から操縦出来る*1
田村1尉の世界での自衛隊は、パイロットは幹部しかなれないのを考えると旧日本軍は特殊過ぎているのを改めて実感した*2
「そう言えば、ウィッチの説明で陸上用と航空用は分かりましたが、海上用と潜水用はないですね」
「ネウロイは水に弱い性質を持っているから船のように水上に浮いたり、水に潜ったりはしません。例外もありますが、極一部に留まっています」
ミーナ中佐の説明に瑞鶴は納得した。確かに水上戦や水中戦を仕掛けない敵に対しては不要なようだ。そのせいで発達しなかったかも知れない
「人類共通の敵か。私の世界の敵と同じね」
「深海棲艦、という敵ですか。海を支配して空路や海路を妨害してダメージを与えて、通常兵器では撃破が出来ない水中生命体でしたね」
瑞鶴は以前に深海棲艦について簡単ではあるものの説明はしていた。と言っても、こちらは写真なんて持っていない。なので、宮藤がピンと来ないのは無理もなかった。写真など持っていないため、口頭で説明するしかない
「しかし、よくそんな恰好で海にいられるな。防水仕様なのか?」
「はい、海の上を走って艦載機を飛ばしています」
瑞鶴は零戦53型を見せた。搭乗員妖精である岩本隊が敬礼したが、みんなは唖然としていたシャーリーもポカンとしている
「本当に空母だね。というか、よく長時間海の上を歩けるね。でも、低体温症と脱水症状になりそうだけど、そこは平気なの*3?」
「そう? そんな事は気にしたことないけど。でも、私からしたら酸素マスクも防寒着もなしによく空高く飛べると感心するわ*4」
「あ、そこは突っ込むのね」
ハルトマンは力なく言った。こちらでは常識と思えているものが、他の人からだとその常識が通用しないのが分かる瞬間だった
「では、泳ぎは得意なんですか?」
「まあ、海上戦と対空戦と対潜戦が主だから艤装が破壊し機能しなくなった時に泳ぐからね」
瑞鶴は答えにリーネは感心していた。実はウィッチが海上に落ちた時のための訓練として溺れないためのリーネと宮藤は水泳をしていることを瑞鶴は知らない
「そうか、海との戦いだから泳ぎは得意なわけか。どれくらい泳げるんだ?」
「そうね。戦闘で大破して撤退した時に途中で艤装が使い物にならなかった事があったけど、その時は鎮守府まで泳いで帰ったわ。提督に怒られたけど」
「そちらの提督は厳しいな。艤装を大切にしなかったから怒られたのか?」
「いや、無線使えるんなら31Km泳ぐ必要ないだろ、と言われて。あの時は無線が通じなかったんですね。帰ってからは何故か直っていて。それに近くの岸に上がってよその家に電話を借りるのも失礼かと思って自力で泳いだの」
坂本少佐は感心していたが、途中の瑞鶴の予想外の事に固まった
「え?」
「え?」
((((化け物か?))))
坂本少佐のドン引きに瑞鶴は頭を傾げたが、他のウィッチは唖然としていた。実はこの芸当が出来るのは瑞鶴ぐらいである。瑞鶴の艤装の中では彩雲の搭乗員妖精がドヤ顔でしているのを知らない。瑞鶴の水泳が異常に高いのは彩雲の搭乗員の影響かも知れない*5
「でも、ネウロイが使用している兵器ってビームなんですよね? しかも、何発も撃っていますし、皆さんよく立ち向かえますね」
瑞鶴は感心していた。映像だが、ネウロイが使用している武器はビームを主に使っている
「ああ。それは……そうだな。実際に見てもらった方がいいだろ。宮藤、来てくれるか?」
「はい」
坂本少佐は宮藤を呼び、宮藤は前に出たが、坂本少佐は何と拳銃を取り出したのだ
「宮藤、シールドを」
「え? な、何を?」
瑞鶴は慌てた。あの拳銃は本物だ。恐らく実弾が入っているだろう。宮藤という少女も艤装のような防弾性がある物を持っていない
だが、瑞鶴は目を疑った。宮藤は両手を前に出すと宮藤の頭から動物の耳が。お尻あたりから動物の尻尾のようなものが突然現れ、彼女の前に青い盾のようなものを出現させた。その盾は丸く、しかも奇妙な文字のようなものが浮かび上がっている
「な、何あれ?」
瑞鶴が呆気に取られている時に発砲音がしたため瑞鶴は我に返った。宮藤は無事だ。だが、シールドに先ほど発砲されたであろう銃弾がシールドで止まっている
「これが、ウィッチの強みだ。シールドを展開してネウロイの攻撃力を防ぐとともに、身体的能力も向上する」
坂本少佐は説明したが、瑞鶴は半ば聞いている状態だ。シールドで止まり床に落ちた銃弾を拾い上げた。弾が熱く硝煙の臭いもすることから演技でも何でもない証拠だ
「す、凄いですね……」
「深海棲艦ではビームは出さないんですか?」
瑞鶴は弾を見ていると、宮藤からは質問があった。
「いいえ。出さないわ。……いえ、1体だけビームを発射する固体があったわ。異質な力を持った敵が」
「え? いたんですか?」
「ええ。強力なレーザー砲のお陰で艦載機は全て叩き落されるわ、生物兵器や化学兵器を使われて鎮守府が壊滅寸前になるわ、数人の仲間が捕まって拷問されるわ、で酷い目にあったことか、で嫌な戦いだった。しかも、一度は倒したのに生き返ってくるし。何とか勝てたけど*6」
瑞鶴は暗い表情で語った。自分もあの時は酷い目にあったのだ。エボラ出血熱にかかって姉である翔鶴と一緒に生死を彷徨った事がある。レーザー砲も強力で艦載機は全て叩き落され、空母組のほとんどは何も出来なかった
「どんな敵なんですか?」
「生物兵器? 化学兵器? 拷問? 何それ?」
「そんな敵とよく勝てたね」
宮藤は驚き、聞いていたシャーロットもハルトマンも引き気味だった。流石にネウロイでも生物兵器や化学兵器は使っていない……はずだ
「どんな敵なのか詳しく」
「知らない方がいいです」
バルクホルンは身を乗り出したが、瑞鶴は首を振った。あれは知らない方がいい
「そう言えば、名前は『瑞鶴』? 本名ではないのですか?」
「私の名前よ。艦娘ですから」
「苗字名前がないのに疑問もないのですか?」
「え?」
「え?」
宮藤は質問したが、瑞鶴にとってはこれが当たり前だ。なので、苗字名前が無い事には不満はなく、宮藤の疑問に瑞鶴は分からなかった
「それで何時から出撃するんですか?」
瑞鶴は話題を切り替えた。このままでは埒が明かないからだ。価値観や常識が違い過ぎることもあるが、どうもこの世界はこちらの自然法則とは違う
田村1尉の世界とはただでさえ認識が違うのに、それとは違う世界だとこちらの常識が全く通用しない
「そうね、今は連合艦隊が例の雲の調査に向かっていると連絡が入ってきたから、それに参加する形で貴方を同行出来るわ」
ミーナ中佐が話題を切り替えた事にホッとしたのか、テキパキと説明してくれいた
「あ、ありがとうございます」
「どちらにしても、例の雲を野放しには出来ませんから。軍の上層部にはこちらでやっておきますから、貴方は心配しなくていいわ」
瑞鶴は目を輝かせた。これで帰れる!
「艤装をつけると身体能力を向上出来る訳か」
ミーナ中佐と坂本少佐が上層部と連絡をするため、他の者は待機していた。ウィッチのシャーロットは納得していた
「怪我はしないとはいえ、銃弾をそのまま受け止めたら痛くありませんの?」
「服が破れるくらいだから」
「服?」
ペリーヌは困惑した。服が破れる? はしたない姿を外で晒す?
「おかしいですわ、そのシステム!」
「まあ、ね……」
瑞鶴はそれには同意だった。確かに服が破れるのは恥ずかしい気はする。但し、砲弾銃弾を食らっても服が破れる程度ならある意味凄いかも知れない
「夜間哨戒みたいな艦娘もいるんですか?」
「いるよ。忍者みたいな人が」
「へぇー」
サーニャは目を輝かせていたが、横でエイラが酷くにらんでいた事には気にしなかった
(姉妹……ではないよね?)
苗字も違う事から姉妹ではなさそうだ
元の世界
「日に日に空が酷くなっていないか?」
「やっぱり提督もそう思います」
提督と大淀は『おおすみ』の艦橋から空を眺めていた。天気が崩れているのを心配しているからではない。怪しげな雲から活発に稲光が発している。その雲は風にも流されず、また全く衰えることなく淡路島付近に居座っている。通常の雲なら有り得ない事だ。現在は警戒任務と博士と教授の援助でこの怪現象を治める方法を模索しているが、どうなるか分からないのが本当だ。それに、数時間前に不思議な報告が来た。五十鈴とそれを率いる海防艦から海底から奇妙な音を聞いたと
「不思議な音?」
「ええ。現場海域から数キロ先のところで変な音を聞いたの。生物を発生させるような音だった。深海棲艦のものじゃない」
「対潜警戒はしておけ。もし、ゴジラが現れたら偵察に徹しろ」
提督はそう指示した。本来ならこんな馬鹿げた命令はしない。敵なら先制攻撃すべきである。だが、相手はこちらの攻撃は全く通用しないのだ。いたずらに戦力を無駄にするわけにはいかない
そんな時、呉からこちらに向かっている増援部隊からおかしな知らせを受けた。旗艦は扶桑だが、彼女は困惑しているようだ
『提督、瀬戸内海沖で深海棲艦とは違う、おかしな生き物を拾ったのですが』
「拾った?」
無線から扶桑が困り果てた声で話している
「海洋生物なら逃がしてやれ」
『それが、この生き物……喋っているんです。緑色のもこもこしたもので、ここは何処なのか? とかしきりに聞いてきて。しかも火を吐いて』
「え?」
提督は思考停止になった。火を吐く?
『ええ。その火を受けて山城は真っ黒にこげになってしまって。生き物は平謝りしていますけど』
「取り敢えず、こちらで保護しよう」
支離滅裂な報告に提督は困惑した。奇妙な生き物? なんだ?
提督は無線を切ったが、その直前に微かに聞こえた
山城と……例の生き物だろうか?
『こんなに黒焦げになって不幸だわ。あんた何者なの?』
『僕はチビゴジラ。よろしく、怖そうなお姉さん!』
妙な声を拾ったが、そんな事を気にする暇はなかった。明石から強力な無線機が作れたとの連絡が入ったからだ
「これで瑞鶴と連絡が取れます」
「だといいんだが」
近くにいた翔鶴は喜んだが、提督は不安だった。無線はフルに稼働しているが、雲からの電波は全く拾えていない。瑞鶴の無線に故障があったのだろうか?
「夕張、教授に別世界に電波を送受信出来る穴でも作れるかを聞いてくれ」
「難しいですよ。博士も教授も──」
「無理は承知だ。軍が雲に対して空爆を実施する決定をしたそうだ。地上部隊もこちらに向かっている。爆弾で例の雲が消えるかどうか分からないが、急いでやらないと瑞鶴は帰って来れなくなる」
提督は深刻そうに話したため、夕張は顔を引きつった。このままだと、瑞鶴は異世界で一生迷子になるかも知れない
宮藤「そう言えば、建造という方法で艦娘は出るんですよね?瑞鶴さんは人間ではないのですか?」
瑞鶴「ええっと……」
瑞鶴(どう答えよう?人間ではないと答えると、またネウロイなのかと疑われるし、というか、食べ物がないと餓死するし、筋肉痛や肩こりを起こすし、汗をかいたり、酒を飲むと酔っぱらうし……う~ん)
瑞鶴「……私は人間です」
宮藤「悩むところなんですか、それ?」
これがジェネレーションギャップ(意味が違う)!
艦これの世界にて新たなゴジラ(?)が出現?