年末年始はどうやって過ごそうかな
翌日、提督は巨大不明生物の発見と追跡を命じた。瑞鶴の証言によると50メートル以上もあるデカイ生き物だ
海中なら兎も角、海上に姿を現したら発見は容易だろう
但し、駆除できるかどうかは知らないが
「陸奥、本当に映画に出てくるゴジラだったらどうする?」
「製作会社が泣いて喜ぶんじゃないかしら」
「それだけで済む話だといいが。しかし、巨大不明生物って。確か映画の設定では50メートルだったような」
長門と陸奥は哨戒に当たっていた。尤も、艦隊編成は6隻で主力艦は長門陸奥だ。残りは駆逐艦と軽巡で編成されている。その駆逐艦はずっとソナーで海中を探っている。別の海域には空母を中核とした艦隊もいるため、深海棲艦の空襲を受けたら助けを呼ぶつもりである
しかし、例の巨大不明生物は上半身だけでも、50メートルなのだ。全長はそれ以上になる可能性が高い。駆逐艦の主砲では無理だ
……戦艦の大砲に効果あるかは知らないが
別の海域には翔鶴と瑞鶴がいた。残りは駆逐艦だ。彼女の任務は広範囲による捜索任務だ
「彩雲でも引っ掛からない。何処なの」
「瑞鶴、落ち着いて」
帰還してくる彩雲を着艦させたが、妖精の報告は「異常無し。何も発見されず」だった
「提督も言っていたでしょ? 巨大生物でも時間がかかるかも知れないって」
「そうだけど」
翔鶴の指摘に瑞鶴は口を尖らせた
『軍上層部もマスコミも新種の深海棲艦の親玉と思っているが、これは無視していい。巨大不明生物にしろ、映画に出てくる怪獣にしろ、貨物船やタンカーなどの航路に影響が出るのは必須だ。瑞鶴や海保の情報を基にして海域での調査部隊を編成する。未知の巨大生物が相手だから、交戦規定は深海棲艦と同じように発見したら攻撃しろ。問題は発見できるかどうかだ。今までこんな馬鹿げた生物の目撃情報は無かったのだから、海底深くにいる生物かもしれない。そうなると、発見は困難だ。最悪、数ヶ月かかっても発見出来ない可能性も覚悟することだ』
提督からは説明されたが、皆は何処か楽観視していたこともあった。何しろ、相手は深海棲艦ではなく生物だ。発見は容易だろうと思っていたが、結局は発見できなかった。現れても深海棲艦の艦隊である
唯一の例としてはアメリカの潜水艦娘であるスキャンプが海中で約10メートルぐらいのダイオウイカと遭遇したぐらいである
ダイオウイカをバックに他の潜水艦娘と一緒に水中カメラで記念撮影したため、鎮守府ではちょっとした話題になったが
「はぁー、博士も教授も当てにならないし」
「でも、二人とも前向きだから大丈夫だよ」
瑞鶴の愚痴に随伴している駆逐艦娘の時雨が慰めたが、2人の意見も微妙なものだった
瑞鶴は一昨日に提督の父親である博士と岐阜で宇宙ロケットの開発に専念している柳田教授に問いただしたが、反応は今一つだった
「確かに深海に未発見の生物がいてもおかしくはないのー。じゃが、光のようなもので攻撃をしてきた、は信じられんのう。蛍のような生物発光と見間違えたんじゃないかの?」
博士は首を捻りながら答えた。艦娘を生み出した博士でも未知の巨大生物は彼にとっては専門外だった
次に別世界から来た天才科学者である柳田教授も深海に巨大生物がいる可能性はあると言いつつも瑞鶴などの目撃談については困惑していた
『確かに海底に巨大生物がいてもおかしくはないし、未発見の生物が発見されても不思議ではない。但し、地球最大の生物はシロナガスクジラで全長30メートルだ。絶滅したモササウルスやメガロドンでも17メートル。ダイオウイカは最大記録で18メートル。しかし、50メートル以上は規格外だ。残念だけど、サンプルや写真がないと断言出来ない。僕の友人だったら食いつくだろうが、確固たる証拠がない以上は推測でしかないな。何かあったら連絡してくれ*1』
電話越しにそう答えただけだったため、参考にはならなかった
ただ、宇宙ロケット開発は中断して宗谷と共に鎮守府に来るとのことだ
瑞鶴の頭は一昨日の出来事を思い出していた。2人の反応は困惑していたものの、海底に巨大生物がいてもおかしくはない、とは言っていた
「そんなことより、巨大不明生物の名前はどうするつもりなんだろう?」
「深海棲艦でも無いなら命名権は私達にあるわね」
時雨の問いに満潮は何処か嬉しそうな表情をしていた
潜水艦娘は10メートルのダイオウイカで注目されたのだ。50メートル以上もの巨大生物が現れたら発見した艦娘は人気になるに違いない
目的とは違うものの、楽観している感があった
深海棲艦と違って相手は生物だ。モンスターパニック映画のような事はならないだろう
こちらには武器があるのだから
しかし、捜索は一時中断された。急遽、ある任務が来たからである
ある日の事、館内放送で集められた。突然の召集には特に驚かない。しかし、集められた広場には人が余裕に入れそうな大きな鉄の箱が2つ置いてあった。しかも頑丈に造られているらしく、人が余裕で入れそうなものだ。鍵も掛けられており、何かとんでもないものが入っていそうだ
「例の巨大不明生物の捜索は一時中止だ。これからは、コイツらを北海道まで護送していく」
提督は巨大な鉄の箱に指を指した
「運ぶのは小型輸送艦に載せるから君達は、輸送艦の護衛だ。中身は……姫級の深海棲艦を捕獲したものだ」
提督から衝撃の発言を聞いた艦娘達は驚愕した。深海棲艦と幾度も戦ったことはあるが、捕獲した情報はない。大抵は逃げるか、降伏もせずにそのまま撃沈するからだ
「捕獲に成功したのは海軍だ。といっても、深海棲艦の姫級が大破して気を失い漂流していたところを哨戒していた海軍の軍艦に発見されたのを誇張している。誰にやられたのかは分からないが。しかし、今は無機物になって石像になっているから厳重に管理している」
「「「「「え?」」」」」
皆は驚いた。姫級鬼級が石像?
「正確には無機物状態になった、といった方がいいかな? まあ、これは実物を見せた方が良いだろう」
提督は合図をすると工作艦である明石が鍵を外し鉄の扉を開けた
中の姿をみた艦娘達は息を飲んだ。確かに深海棲艦の姫級がいた
「ウソ……」
瑞鶴は驚いた。見覚えがある。間違える訳がない。自分と似た姿の深海棲艦。深海鶴棲姫だ。だが、今では白い肌は、石像のように黒くなっており、銅像にも見える
だが、まだ生きている。直感的に感じられた
そして、もう一つは未確認の深海棲艦だ。人がタコのようなものに乗っているようなものだ。後で聞いた情報では戦艦未完棲姫と名付けられたらしい
二つの深海棲艦は微動だにせず、動きもしない
「提督、このまま攻撃して粉微塵に──」
「そうしたい所だが、研究機関が調べたいと打診してきた。しかも、軍の上層部に掛け合ったらしくて破壊は却下された。……元帥も済まなそうに言ってたが。──失礼。深海棲艦の生態は不明だ。俺の父は無機物になることで自身を修復するだとか」
長門は石像を壊そうと身構えたが、提督は手で制止しながら説明しだした。途中、小言で愚痴を言っていたが、いつもの事だ
「それは兎も角、こいつを北海道の研究施設に送る。だけど、陸ではテロを警戒してか海上で運ぶよう言われたんだ」
「海上輸送? 鉄道輸送や航空輸送ではダメなのか?」
「万が一、石像状態の深海棲艦が復活して襲われたら大変、だそうだ。まあ、これが本当の理由だろう」
提督はため息をつきながら言っていた。世間では深海棲艦に対する認識はあまり宜しくない。が、深海棲艦は特殊な技術を施した兵器と艦娘以外は通用しない。それがイヤほど知っているため一般の人は関わろうとしなかった
稀に興味本位で深海棲艦に接近する者がいた。そんな人を艦娘達は必死に阻止していたが、中には強引に海に出る猛者もいた
何でも深海棲艦を保護しようとする団体がおり、実際にこちらの活動の妨害行為をすることも少なからずあった
しかし、これらは深海棲艦と遭遇し攻撃を受け負傷し救助隊に助けられてから初めて後悔するのが定番であった。……中には自分の信念を曲げないものもいたが
「こいつの生態系を調べるために国の研究機関へ海上輸送する。こちらの輸送艦を出すから護衛も必要だ。戦艦水鬼改による襲撃も十分あり得るから戦艦も空母もつける」
提督の説明に周りは騒めいた。研究機関への海上輸送は別にいい。しかし、仮死状態(?)になったとはいえ、深海棲艦を護衛するなんておかしいのではないか?
「気持ちは分かるが、捕虜を護衛すると思えば……」
「納得いきません! 敵の護衛なんて! 第一、そいつ等を見つけたのは部隊がやるべき仕事でしょ!」
山城は不満そうに言い、数人がうなずいた
瑞鶴も同意見だった。面倒な仕事をこちらに押し付けられた感じだ
だが、提督は予想通りと言わんばかりに口を開いた
「では、襲撃を予想して連合艦隊を組む。最低でも12名必要だが、志願する者は?」
提督の答えに皆は頑として手を上げなかった。誰もが不満なのだ
「提督さん、当然よ。誰もこんな──」
瑞鶴は抗議したが、言い終える前に提督は瑞鶴の講義を遮るかのように大声で言いながら、小さな黒板を掲げていた
「ちゃんと休暇と特別手当はつく。因みに日額はこの金額だ」
「「「「行きます!」」」」」
黒板にはチョークで金額と日数を見て大半の艦娘達から手が上がった。結構いたらしく、この反応に瑞鶴は固まってしまった。瑞鶴は手を挙げていなかったが、姉である翔鶴はなんと挙手していた。山城もこの反応にはマネキン人形のように立ち尽くしてしまった
「まさか、みんなが金額と有休に釣られるなんて……不幸だわ」
「山城、仕方ないわ」
扶桑は落ち込んでいる山城を優しく慰めていた。休暇も危険手当も提督は約束を守っているからこその反応だろう。だから、艦娘達はどんな任務でも不平不満は言いつつも引き受けてくれるのである
「そうか。なら、挙手してきた人から選抜する。……ああ、言い忘れていた。瑞鶴、護衛任務には強制参加だ。訳は後で話す。解散」
「えー!」
まさかの提督の宣言に瑞鶴は解散前の敬礼もせずに叫んでしまった
数時間後、捕虜である深海棲艦を輸送する艦隊が出撃した。普通の輸送艦と艦娘の支援艦である『おおすみ』に艦娘が囲うように護衛していた。呉鎮守府から出撃し目的地である北海道へ向かったのである
???海域
陸地から遠く離れ海の底で悠々と泳いでいたソレが反応したのはある意味で必然であった
しかし、ソレはこの世界から来る時から不機嫌さは増していた。ある世界の
最初は襲うつもりなどは毛頭無かった。ただ邪魔なものが近くを通り過ぎるぐらいの感覚であったが、あまりにも五月蠅かったために威嚇しようとしたが、あろうことかいきなり攻撃を浴びせられた。腹を立て暴れたが、追撃している最中に海に浮かんでいる
やっと自分自身の身体に慣れたが、視界に映ったのは見たこともない場所だ。変な
本来ならこの奇妙な出来事に戸惑うのだが、生憎ソレは人間ではなく恐竜……いや、恐竜だった生き物である。吹っ飛ばされた変な二足歩行の動物は吹っ飛ばされたが、ソレはどうでも良い事でさっさと海に潜っていった
ソレは以前よりも大きくなっていき、体は強く逞しくなっていた
本来ならばとっくに成長が止まってもおかしくはない年齢に達しても、その恐竜は大きく成り続けいった。例の怪光線で変化していったらしいが、その生き物にとってはどうでもいい事だ
縄張りを勝手に作り、自分の近くを通るものは全て威嚇し、口から光線を吐いて追っ払った。付近を通った
いや、異様な力を持つ気配は他にもあった。
だが、その力を持つ気配は身に覚えがあった。島で平和に暮らしていた時に鉄の船から攻撃されたことを。以前はやられたが、今回は違う。攻撃を受けた怒りを抑えることが出来ず、生き物は向きを変えた
距離はあるものの、どうやって最短で来れるか、既に自身の能力は把握していた。狙いは異様な力を持つ集団。能力を発動させそちらに向かった
ごーや(伊58)「哨戒任務おわったでち!」
提督「そうか。では、報告してくれ」
ごーや「海を潜っていたら人魚と出会って挨拶して、海坊主に追いかけられ、竜宮城と遊んできたでち!帰路にアクアマンと名乗る人に送ってもらったでち!」
提督「……お前は何処へ行って来たんだ?」
海底は未知なものがいっぱい!
次回は1月になる予定です。よいお年を