瑞鶴の特別任務 ~怪獣撃滅プロジェクトG~   作:雷電Ⅱ

5 / 26
皆さん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします!
今年は卯年。兎といえば漣と巻雲が持っている謎の動物、ピンク色のウサギがいましたね
まあ、「だから何?」と言われたらそれまででしたが(苦笑)
今話はいよいよ怪獣王と艦娘のご対面です


第5話 ゴジラ出現

 瀬戸内海・明石海峡付近

 

「全機爆装、準備出来次第発艦! 目標、艦娘支援艦『おおすみ』の艦長席にいる提督、やっちゃって!」

 

「瑞鶴、『おおすみ』を沈めたら私たちが困りますからね。それに偵察機だけ出したでしょ」

 

「言ってみただけよ!」

 

 弓矢を放ちながら瑞鶴は翔鶴に言われながらも偵察機である彩雲を飛ばしていた。本当に爆撃するつもりはないが、やはり不満である

 

「瑞鶴、これは完全に巨大不明生物を引き付ける作戦」

 

「だから言っただけだって!」

 

 瑞鶴はヤケクソ気味になって発艦させながらも出撃する前のブリーフィングを思い出していた

 

 

 

 数時間前

 

「なんで私が出撃? 別に参加しなくても──」

 

「瑞鶴、君は例の未確認生物らしきものに出くわしたな」

 

 瑞鶴は反抗的な態度で聞いたが、提督の思わぬ言葉に何も言わなかった

 

「深海棲艦の研究についてはどうでもいい。親父や博士以外の者は解析なんて録に出来ないからな。期待するだけ無駄だ。だが、誘き寄せる罠としては役に立つ」

 

「お、囮?」

 

 予想外の事に瑞鶴は面食らった。提督は何が言いたいんだ? 

 

「深海棲艦の新たな姫級を鹵獲したんだ。敵の親玉……戦艦水鬼改は当然、奪還を企てるだろう。そのための迎撃だ。但し、これは任務範囲内だ。もう一つは──」

 

「私が目撃した巨大生物?」

 

 瑞鶴は数日前の出来事を思い出した。雷雨でハッキリとは見えなかったが、巨大な生物を見たのだ。しかも、攻撃を受けている

 

「他の艦娘達からの目撃情報はない。しかし、海保や貨物船からの不可解な目撃情報がある。深海棲艦かどうか、映画に出ていた怪獣かどうかは分からない。しかし、目撃したのは瑞鶴、君だけだ」

 

 提督は真っ直ぐ瑞鶴の方を見た

 

「先日、出会って攻撃を受けたんだ。だから、確認は出来るだろ?」

 

「そうだけど……」

 

 瑞鶴は混乱した。また、あの生物と出会うとなると気が進まない

 

 余談ではあるが、この世界の時代は1940年代。浦田重工業の暗躍があった事もあり、高度成長期時代に発展はしたが、まだスマホやインターネットなどはまだ出回っていない。リアルタイムの映像を保存しデータを送るなんて、この時代には存在しないからだ

 

「それにこれは俺の感だ。引き上げられた負傷した深海棲艦の姫級。恐らく、瑞鶴と同じように巨大不明生物と出会って黒焦げにされたと見ていい」

 

「え?」

 

 瑞鶴は耳を疑った。巨大不明生物にやられた? 

 

「対深海棲艦兵器を持っていない部隊が都合よく瀕死状態の敵を引き揚げられるか?」

 

「で、でも……」

 

 瑞鶴は口ごもったが、確かに筋は通っている。深海棲艦は特殊な技術を使った兵器や艦娘以外は倒せないのはハッキリしている

 

「田村1尉みたいな世界なら兎も角、ここでは無理だ。だから、囮を使う。『おおすみ』には俺も乗る。鎮守府は陸奥が代理して貰う」

 

「仕方ないわね」

 

 瑞鶴は不満そうに呟いた。つまり、今回の輸送作戦は敵を誘き寄せるための罠なのだ。しかも、無断でやるらしい

 

 但し、提督は何も上層部に全く報告していなくはなく、元帥には秘匿回線で連絡はしていたらしい

 

 元帥は渋々承諾はしたとの事だが、デスクワークの事は分からない

 

 今週は秘書艦隊担当ではないからだ。提督がめんどくさがり屋で他人に仕事を押し付けるような人だったら、機密情報の一つか二つを盗み見れるかも知れないが、生憎提督はそんな人ではなかった

 

 

 

 現在

 

「だからって海上輸送しなくてもいいじゃない」

 

 瑞鶴はブツブツと文句をいいながら彩雲を交互に飛ばしていた。海上輸送と聞こえはいいが、戦力が多い

 

 まず、例の二体の姫級は小型輸送艦に載せている。本来なら『おおすみ』を出す程でもない

 

 しかし、仮死状態とはいえ捕虜は新しい姫級だ。当然、深海棲艦は奪還してくる。それに加えて、巨大不明生物の話もある

 

 結果として艦娘支援艦である『おおすみ』も出撃し警戒と待機で入れ替わっていた

 

 戦艦娘も4人が控えており、『おおすみ』に載せている

 

 但し、大和を初め長門やアイオワやサウスダコタは未だに海面を走っていない。これは仕方のないことであり、戦艦娘は資源の消費が大きいからである。そのため、不満はあるものの敵を発見したら出撃していい、と提督が言ったため納得はした

 

現在は『おおすみ』の艦内に待機している

 

 他にも空母娘は瑞鶴翔鶴も入れて4人、重巡級4人、重巡級3人、軽巡と駆逐艦は15名、潜水艦4名となった

 

 なぜ、駆逐艦軽巡が多いというと、本来は海上輸送任務だからである

 

 戦闘するための航行ではない。少なくとも今では

 

 瑞鶴は配備された状況を思い出しながらも、やはり納得はしていなかった

 

 現在は瀬戸内海を航行していたが、もうすぐしたら明石海峡を通過する。淡路島も見えてきた

 

「空路で運んだ方が早いのに。深山改という四発輸送機が軍にあるのに何で使わないのよ」

 

 瑞鶴は独り言を言っていたが、突然無線から提督の声が聞こえてきた

 

『深山は空軍所属*1だ。深海棲艦の輸送にはキッパリと断られたから、どうしようもない』

 

「なんで分かるのよ。というか、仲良く出来ないのかしら」

 

『図星か。それは俺の仕事ではない 。しかし、不満そうだな。輸送対象が深海鶴棲姫だからか?』

 

「……」

 

 瑞鶴は答えなかった。いや、答えられなかった。仕事の内容は理解しているが、どうも深海鶴棲姫が他人とは思えなかったからだ

 

 自分と姿が似ている深海棲艦。何度か交戦はしたが、今回は仮死状態として発見されたのだ

 

 全く関心がない、となると嘘になってしまう

 

『もうすぐしたら明石海峡だ。大阪湾を通りすぎたら太平洋側に出る。敵が出やすい海域に出るのだから、気をしっかりしていけ』

 

「了解」

 

 瑞鶴は返信したが、今度はハッキリと言った

 

 確かに提督の言う通りだ。呉から今までは瀬戸内海を航行していたからだ

 

 明石海峡を抜け大阪湾から出れば太平洋で出られる。言い換えれば安全圏から出ることになる

 

「そうね。翔鶴姉、敵を見つけたらアウトレイジでやっつけてやりましょう」

 

「ハイハイ」

 

 翔鶴は瑞鶴のやる気にクスリと笑った。本来の瑞鶴の姿に安心したのだろう

 

「しかし、神戸と大阪を通過か。上陸して観光したいわ」

 

 瑞鶴も何気なく言った。神戸大阪は都会であり、発展してることもあって栄えている

 

 夜景も綺麗だ

 

 そんなことを言っていたが、ふと見ると満潮と朝雲と山雲が全力で必死に両手を振っていた

 

 しかも、こちらに向いて何か言いたそうでもあり、それどころか満潮は隊列を崩して全力でこちらに向かってきている

 

「どうしたのかしら?」

 

 翔鶴は首をかしげた

 

「隊列を乱すなんて……ちょっとあんた達何を──」

 

 瑞鶴は満潮に注意喚起した。退屈な輸送任務だろうが、任務は任務だ

 

 そのため瑞鶴は注意したが、最後まで言満潮は小声で、そしてハッキリと言った

 

「何じゃないわよ! 無線で無駄話しているのは結構だけど、時雨も参加しているのよ!」

 

「それとどう関係が?」

 

 瑞鶴は首をかしげたが、直ぐに思い出して口を塞いだ

 

「忘れていた。大阪って」

 

 瑞鶴は時雨が何を経験したのか書類上で見ただけだが、彼女にとって大阪は辛い経験の始まりだ。時間軸が違うとは言え時雨にとっては良い印象ではない

 

「時雨。大阪は無事だし、臨時基地は建設なんてされていないから安心して」

 

「逆効果だから止めなさいよね」

 

 瑞鶴は慌てて無線で言ったが、満潮に怒られた

 

 周りからは駆逐艦娘から怒られる光景は中々の見物らしく、視線ご集まり瑞鶴はあたふたしていたが、時雨は何も反応はしなかった。特に動揺している様子もなく、淡々と航行していた

 

 そして、空を見上ながら無線で答えていた

 

『瑞鶴さん、満潮。僕は大丈夫。もう気を遣わなくていいから』

 

「そう、良かった」

 

 瑞鶴は安堵した。扶桑山城の耳に入ったら演習でしつこく追い回されるだろう

 

『だけど、嵐が来そうだ。変な雲……』

 

 時雨は無線でそう言ったが、瑞鶴はハッとした。淡路島辺りに奇妙な雲がこちらに向かってきている

 

 奇妙というのは、その積乱雲は低く垂れこめた雲が竜巻を発生する時のように渦巻いているからだ。しかも、暗く内部から発光している。こちらに気づいた時には強い風が吹き荒れていた

 

 怒っていた満潮も宥めていた翔鶴も奇妙な積乱雲に見とれていた

 

「提督さん……私が言っていた例の積乱雲」

 

『見えている。しかし、あんなのは初めて見るな。深海棲艦のものでも無さそうだ』

 

 提督も困惑しながら連絡をして来た。他の艦娘も同様だ。誰しもが思っているのだろう

 

 こんな奇妙な積乱雲は見たことがない、と

 

 深海棲艦の仕業とも考えられていたが、こういう現象は必ず深海棲艦が近くにいる。だが、

 

 しかし、偵察機にも電探にも深海棲艦が発見された報告はない

 

「どうします?」

 

『警戒しつつ観察しておけ。それぐらいしか今は出来ない』

 

 翔鶴は指示を求めたが、提督からの返答はそれだけだ

 

 積乱雲相手に何も出来ないのだから仕方ないが

 

 皆は警戒をしていたが、突然吹き荒れていた強風が止んだ

 

 辺りは静かになり、太陽も奇妙な雲に隠れたため不気味な空模様になった。余りの奇妙な出来事に沿岸部には野次馬が集まっているのが確認出来る

 

 だが、一向に雨が降る気配がない

 

『雨は降るかな?』

 

 時雨が呟いたその時、稲光が淡路島の陸地に落ちた

 

 

 

「きゃ!」

 

 翔鶴が悲鳴を上げた。真っ黒い雲から何度も青白い稲光が降ってきたからだ。しかも、閃光は目を覆うほど眩しかった

 

「嫌な天気に合うなんて!」

 

 瑞鶴は腕で目を覆いながら嵐を睨んだ。周りの艦娘も動揺しており、暁は泣き出しそうにしていた。雷は苦手らしい

 

「なんて日! 雷がこんなに降ってくるなんて!」

 

 満潮は悪態をついた。簡単な輸送任務なのに、こんな天気になるなんて

 

 幸い、雷は全て淡路島の陸地に落ちているため、こちらには被害はない

 

 しかし、雷は連続して落ちているため近くに落ちてもおかしくはない

 

 そんな異様な天候に時雨は無線で提督と連絡していた。オープンチャンネルであるため、他の艦娘とのやり取りは聞いていたが、そのやり取りも驚くべきものだった

 

『提督、変な嵐だ。おかしい。雨が降る気配がない』

 

『それだけじゃない。あの雷。雷鳴はしないぞ。しかも、同じところばかり落ちている』

 

 時雨と提督の無線のやり取りに瑞鶴はハッとした。確かに雷鳴がない

 

 色んな海域に出撃したが、こんな嵐は聞いたことがない

 

 雨も降らず巨大な積乱雲から放たれる稲光。しかも、全て淡路島の陸地に落ちている

 

 何度も稲妻が淡路島の陸地に落ちたが、唐突に雷が止んだ

 

「何なの、あの稲妻?」

 

「26回も落ちたのに、雷鳴は聞こえなかった」

 

 瑞鶴も翔鶴も奇妙な積乱雲を見上げながらいった。あの奇妙な積乱雲は淡路島から動いていない

 

『各員、警戒しろ。幸い、積乱雲は淡路島上空だ。今のうちに明石海峡を通り抜け──』

 

 提督が無線で連絡していたその時だった。再び積乱雲から稲光が走った。だが、以前の稲光とは違い、巨大な雷鳴を轟かせていた

 

 まるで爆撃したかのように稲光が落ちたところか大爆発が起こり、土煙が舞った。だが、稲妻が落ちた付近……正確には淡路島方向は急速に暗くなった。低く垂れこめた雲が発達したかと思ったが、違う。この暗さは影だ

 

「なぁ……淡路島のあそこに尖った山なんてあった?」

 

「山? ……あれが山!?」

 

「山が動いている!」

 

 天龍と鳥海、そして摩耶が驚いた。淡路島の沿岸部に山が突然出来るわけがない。土埃でハッキリと分からないが、何か巨大なものがいる。しかも、動いている

 

 土埃や塵が納まり、視界が良好になった時、全員が驚愕した

 

「か、怪獣?」

 

「いや、怪獣というか……あれって」

 

 時雨と満潮は声を震わせながら淡路島の方へ見ていた。巨大な尻尾に背中にはギザギザの背鰭、そして二足歩行の巨大なモンスター(怪獣)

 

 全員が突然現れた巨大な巻雲に驚いた。公開されている映画に出てくる怪獣とは違い、生物感がある。何よりも殺気立った視線をこちらに向けている

 

 艦娘は武器を構えながら、警戒していた。どう動くか分からない。だが、何もしない訳にもいかない

 

 艦娘達が混乱している最中、怪獣は動き出した。口を大きく開いたと思った瞬間──

 

 ギャーンゴーン グワワァン! 

 

 並外れた咆哮が辺りを響き渡った。淡路島と艦娘達が航行している場所は離れているにも拘らず、その鳴き声で艦娘達は耳をふさぎこんだ

 

「ひぃ!」

 

 普段ではマイペースでのんびりとしている山雲でも耳から脳へ伝わった咆哮は、原初的な恐怖を無理矢理呼び起こし、半ば強制的な恐怖状態になってしまったのだ

 

 驚いているのは艦娘達だけではない。一緒に航行している輸送艦『おおすみ』に乗っている者も驚愕していた

 

『おおすみ』の艦橋から一連の出来事を見ていた者達は驚愕していた

 

「ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ」

 

 明石は半ばパニック状態なのか、うまく言葉が出なかった

 

「ゴジラ!?」

 

 パニックになっている明石とは対照に大淀は冷静になっていたが、誰もが思っていたことを口にしていた

 

「ほ、本当にGodzilla!」

 

「え? あ、あれが?」

 

 アイオワも大和も驚愕していた。まさか怪獣映画に出ていた怪獣王が現れるとは思っていなかったのだろう。しかも、映画と比べて顔つきが険しい

 

「総員戦闘配置! 標的はゴジラ! こちらに向かってきたら迎撃しろ!」

 

 提督は即座に無線で伝達した。姿形からして、ゴジラと分かった今、『巨大不明生物』などと呼称する必要性がない

 

「おい、大和! 艤装を纏って出撃しろ!」

 

「え? あ、あれとやり合う気ですか?」

 

 予想外の命令に大和は驚愕した。深海棲艦や悪徳会社である浦田重工業の連中ならまだわかるが、まさか怪獣王と戦え、という命令を下すとは思わなかった

 

「ねぇ、映画に出ていたGodzillaの身長って幾ら?」

 

 大和とは違いアイオワはゴジラを双眼鏡で見ながらマジマジとみていた

 

「確か公開していた映画では50メートルだったが、それがどうした?」

 

 提督は軽く言ったが、アイオワは既に計測したのかハッキリといった

 

「倍の100メートルある」

 

「そうか……誰か巨大化出来る艦娘いるか?」

 

 提督は力なく言った。あんな巨大な怪獣が出るなんて想定していない

 

「流石にいませんよ。超進化する薬品も教授と博士がいないと無理ですし」

 

「理系二人の力なしで乗り切らないといけない訳か」

 

 提督はため息をついた。幾度も奇妙な出来事が起こっているのを目の当たりにしたため、ゴジラが出現しても感覚がマヒしているせいか驚かなくなっていた

 

 逆に記録用として撮影用のカメラは回すよう言っているが

 

 

*1
史実では旧日本軍には空軍は創設されていない。この世界では設立している設定である




大和「あれ?出現なのに全然嬉しくない?」


淡路島にゴジラ出現!
因みに「何で淡路島なんだ?」と言いますと淡路島にはゴジラミュージアムとアトラクションがあるんですよね
去年、旅行した時に立ち寄ってみてきました。結構楽しめましたし、その時は歴代のメカゴジラのフィギュアや写真が沢山ありましたね
え?メカゴジラ出るって?知らない()
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。