瑞鶴の特別任務 ~怪獣撃滅プロジェクトG~   作:雷電Ⅱ

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こんにちは。雷電Ⅱです
今回は会話形式が少しだけ入れています。ご了承ください


第8話 異世界

「何!? これは何!? 止まらない!」

 

 瑞鶴は悲鳴をあげていた。自分はまるでスーパーマンのように空を飛んでいる。いや、正確には吹っ飛ばされているのだ。翔鶴姉と大和さん達を庇うためにゴジラの前に躍り出た。死ぬのは覚悟していた。艦娘で戦う以上、戦死者が出てもおかしくない。浦田重工業や深海棲艦との戦いで、今まで艦娘達が負傷者だけで済んだこと自体が奇跡なのだ

 

 ……実際は違うらしいが

 

 しかし、今回は自分自身は奇妙な体験をしている。ゴジラの熱線をマトモに受けたと思ったら自分は空を飛んでいた

 

「誰か助けて!」

 

 瑞鶴は叫んだが、助ける者はいない。目に飛び込んでくるものは風景がガラリと変わる姿だ。瞬きする度に視界には違ったものが目に入る。街を飛んでいると思ったら、山や海を飛んだり、立派な超高層ビル群の間を飛行したり、正体不明の飛行物体と危うく衝突しそうにもなった。耳には高速で飛ばされているせいか風の音しか聞こえなかった。時折、ガラスが割れたような音が何回か聞こえて来たが、瑞鶴は何の音か分からない。その音は次元を突破した時の衝撃音だが、瑞鶴は知るよしもない。たまに何かにぶつかったりしていたが、痛む箇所を抑えたところでどうすることも出来ない

 

 尚、瑞鶴が飛翔する姿に別次元の住民達は目撃していた

 

 

 

 異世界の住民による目撃談

 

 A世界

 

 花垣武道「……壁の薄いボロアパートで6歳も下の店長にバカ扱い。彼女は人生一回きり。しかも中学生の頃。極めつけはドーテイ。何処で間違えたんだろう」

 

 花垣武道「ん? 何あれ? 弓道着を着た女が空を飛んでいる?」

 

 ドン! 

 

 花垣武道「え? 誰かに突き飛ばされた?」

 

 

 

 B世界

 

 山瀬 2尉「ん? 今の見たか?」

 

 谷口 2尉「どうしました?」

 

 山瀬 2尉「いや、なんでもない」

 

 山瀬 2尉(緊張し過ぎて幻覚を見てしまったか。OH-1に乗っている時に)

 

 森3佐『オメガ1、応答しろ』

 

 

 

 C世界

 

 ドラえもん「ウワァー! ……何なんだ、今の? 時空間に妙なものが横切ったけど」

 

 

 

 D世界

 

 エメット・ブラウン博士「おい! 今は運転飛行中だ! 飛び出すな、バカ野郎! ワシのデロリアンに傷でも付いたらどうしてくれる!」

 

 

 

 E世界

 

 トランクス「ん? タイムマシンに鳥か何かにぶつかった? しかし、故障していないからタイムスリップは大丈夫か」

 

 

 

 F世界

 

 パラドックス「私の名はパラドックス。私は時空を越え最善の歴史を探し求める者。歴史のあらゆるものを検証し、実行する。……どうした? 歴戦のデュエリスト達。衝撃を受けた表情をして。そんなに私の実験に感激をしているのか?」

 

 武藤遊戯(今、女の子のようなものが)

 

 遊城十代(パラドックスの後ろに)

 

 不動遊星(突然現れて消えた?)

 

 

 

 G世界

 

 DIO「我が運命に現れた天敵どもよ、さらば──な、何!? 時が止まっている世界で動いているものがいるだと! しかも突然現れたと思ったら消えた!? バカな! 犬のクソにもならない人間が動いているだと! 時が止まった世界で我がザ・ワールドと同じように動けるとは!」

 

 承太郎「……」

 

 

 

 H世界

 

 T800「未確認飛行物体検知……脅威なし……ロスト……引き続きT-1000よりも先にジョン・コナー発見を優先……」

 

 

 

 I世界

 

 アブソリュートタルタロス「我は究極生命体、アブソリューティアンの戦士。 アブソリュートタルタロス!」

 

 ウルトラマン達「!?」

 

 タルタロス「そうだ。私の存在に恐怖するのだ、ウルトラの諸君」

 

 ウルトラマンゼロ(さっき人間の女の子が素通りして消えたけどどうしよう……助けるべきか……)

 

 

 

 J世界

 

 坂田銀時「ここが5年後の世界。一体何が……ん? 目の前の空間にヒビが」

 

 その時、瑞鶴が飛び出し銀時と激突。銀時は衝撃で奇声をあげて地面に倒れたが、瑞鶴は止まらずそのまま別次元に飛ばされてしまった

 

 坂田銀時「ロザリー……グリュンネ!*1 ……いてぇー! おい、ぶつかっておいて謝りもせずに逃げるなんて卑怯だぞ! クロスオーバーと聞いたから出演してやったのに! 出演料だけでなくて、慰謝料を寄越せ!」

 

 タイム泥棒「銀時様、それは止めた方が宜しいかと」

 

 

 

 K世界

 

 山城「あれが第一遊撃部隊の主力部隊」

 

 最上「大きいね」

 

 時雨「うん……ん?」

 

 山城「どうしたの?」

 

 時雨「今、瑞鶴さんが猛スピードで空を飛んで行った」

 

 山城「時雨、昨日はちゃんと寝たの?」

 

 

 

 L世界

 

 トニー・スターク「フライデー、スーツのディスプレイに異常があるようだ。高速で飛ぶ変な格好をしたレディをキャッチした。しかも突然現れたと思ったら直ぐに消えたんだ」

 

 フライデーAI『診断結果。マーク85に異常は見られません』

 

 トニー「しっかりしてくれ。誤作動で時間泥棒作戦失敗とかキャップに怒られてしまうからな」

 

 

 

 このように異世界の地元住民が驚いているが、現れてから数秒で消えてしまうため、ほとんどの場合大事にはならなかった

 

 その間も瑞鶴は吹っ飛ばされていく。数々の別次元を超えていき、そして……

 

 

 

 ストライクウィッチーズの世界

 

 1939年、人類の前に突如として現れた謎の敵、人はそれを『ネウロイ』と呼んだ。ネウロイは瞬く間に欧州の大部分に侵攻し、国と家を奪っていった人類は徹底抗戦すべく対ネウロイ用新兵器を開発した。魔法力を備え持った少女、ウィッチのみが使用可能な飛行装置、ストライカーユニットである

 

 これを装着し、ネウロイと戦うために世界各国からウィッチが終結した。そして、結成された精鋭部隊……第501統合戦闘航空団

 

 人々は彼女たちを『ストライクウィッチーズ』と呼んだ

 

 激しい戦いが長きに続き1946年の春、カールスラント北部を侵攻していたネウロイの巣、モルハの消滅に成功。ベルリンは解放された

 

 しかし、ネウロイの巣はまだ点在している。501統合戦闘航空団は今も戦いを続けている

 

 そして、今ではネウロイの残党狩りを行っている。戦いはまだ終わっていない

 

 復興作業を行っているところ、奇妙な現象が起こった。カールスラントの沖合の海上に不可解な雲が出現した

 

 初めはネウロイの巣かと慌てたが、形状が全然違う。積乱雲のようにも見えるが、まったく動かない。その積乱雲は低く垂れこめた雲が竜巻を発生する時のように渦巻いている。稲光が走っているのか、暗く内部から発光している。しかも、不思議なことにネウロイを全く吐き出さない

 

 代わりに奇妙な音を聞いたという話もする。しかも、ネウロイの音にしては違うとの事だ。まるで地獄から響き渡るようなものだとか。この報告に軍の上層部は頭を捻った。こんな奇妙な事は今まであったのだろうか? 

 

 ともあれ、何もしない訳には行かない。501JFWと数機の戦闘機が出撃を行った。目的は奇妙な雲の調査である

 

『目標を捕捉。数日前に報告があった例の雲だ』

 

「了解。これより偵察を開始する。各員、展開」

 

 数機の戦闘機は無線交信すると散開し例の雲から距離を取ったが、501JFWはそのまま突っ込んでいった

 

「しかし……変な雲ね」

 

 指揮を執っていた第501統合戦闘航空団の隊長であるミーナ・ディートリンデ・ヴィルケは雲を睨んだ。彼女は501戦闘航空団を結成する前から参戦し200機以上もネウロイを撃墜したことがあるが、目の前の雲の不気味さには動揺を隠せずにいた

 

 ウィッチであり、ネウロイの巣は幾度も見たはずなのに……

 

 それに厄介なことが起こっている。ミーナ自身の固有魔法に何故か支障が出ている

 

 

 

「固有魔法が通じないんですか?」

 

 宮藤芳佳は唖然としていた。ミーナ中佐の固有魔法は三次元空間把握能力だ。これは感知系魔法の一種で一定範囲の敵味方の位置を三次元で把握できるものだ。いや、それだけではない。サーニャの感知系魔法である全方位広域探査も障害が起こっている

 

「まさか、これもネウロイの仕業? それにしてはおかしくないか?」

 

 バルクホルンも唸った。確かにおかしくはない。ネウロイの姿形も色んな種類はあるし、能力も様々だ。虫型や人型、そして都市型のネウロイもいたくらいだ。しかし、こんな妙な雲は聞いたことが無い

 

「でも、数々の妙な現象も結局はネウロイの仕業だったよ。水が苦手なはずなのに、なぜか氷山の塊で現れたこともあったからね」

 

「あの時は大変でした」

 

 シャーロットが陽気に話し、宮藤も苦笑いしながら以前に出くわしたネウロイを思い出した

 

 以前にベルギカのアントウェルペン沖に現れたネウロイと出くわしたことがあったからだ。そのネウロイは氷を身に纏いアントウェルペン湾を襲おうとした。ヴェネツィア海軍のリットリオ級戦艦のドージェも奮闘し被害を被ったのだ。たまたま、「ドージェ」の艦長がアルテア・グリマーニの父親で無線連絡している時に断片的ではあるものの状況が知れて宮藤が駆けつけたのだ。

 

 もし、タイミングがズレていたら戦艦『ドージェ』がどうなっていたか分からない。いくら対ネウロイ装甲を纏っているとはいえ、最悪の場合は艦長であるカルロ・グリマーニを始め乗組員全員が死亡していたかも知れない。いや、付近を通過した『ドージェ』は無線が使えなかったのだ。アントウェルペン湾の街も被害は甚大になっていたかも知れない

 

「キール湾で霧を発生させたネウロイがいたけど、それに近い感じだな」

 

 エイラは雲を観察していた。雲が厚いのか中の様子が分からない。あの時は未来予測とサーニャの感知系魔法である全方位広域探査で倒したが

 

「不気味だけどネウロイ出る気配が全然ないね」

 

 ハルトマンは四方八方を見渡した。他のものも捜索したが見つからない。ネウロイが発するビームですら出てこないのだ。何時もならウィッチを襲うべくビームを照射してくるが、今回はそれがない。ネウロイを倒せば、正体不明の雲も消滅するかも知れないという期待がない

 

 かと言って、不可解な出来事を解決する糸口が見つからない

 

「仕方ないわ。一旦、退却を」

 

 ミーナ中佐が撤退命令を出した。数十分も雲を観察してもネウロイが現れないのなら、ここにいても意味がない

 

 その時だ。宮藤は何か奇妙な音を聞いた

 

「あれ? 何か聞こえますよ?」

 

 宮藤は何かを聞き取った。声が聞こえるのだ

 

「まさか歌うネウロイ?」

 

「それにしては悲鳴のような……」

 

 サーニャは昔、夜間哨戒中に雲に隠れながら自分の歌を真似たネウロイと遭遇したのを思い出しながら言った。だが、エイラは首を傾げた。正確には女の悲鳴だ。まるでトンネルの中にいるかのように音が反響しているようだ

 

 しかも、悲鳴は大きくなり全員がはっきりと認識できる状態だ

 

「なんですの、この──」

 

 ペリーヌがいら立った時だ。雲から突然、何かが現れ猛スピードでこちらに飛行するものがいた

 

「え?」

 

 宮藤はシールドを貼る余裕はなかった。油断した訳ではないが、急に現れたため反応が遅れたのだ。そして、鈍い音がし、宮藤は激突した何かと共に海に落下した

 

「ぐはぁ!」

 

「芳佳ちゃん!」

 

 宮藤は何かがぶつかったと同時に意識を失ってしまった。近くを見たリネットは慌てて急降下し、対装甲ライフルを構えた。激突した何かを攻撃するためだ

 

 だが、スコープを覗いたリネットは驚愕した。人型ネウロイでもウィッチでもない。変な恰好をした女の子だ。しかも、ストライカーユニットを履いていない。つまり、この女の子は空を飛ぶどころか海に落下してしまう

 

 無線でありのままの情報を連絡したが、ミーナ中佐を始め全員戸惑っていた。だが、そんな事よりも宮藤と落下している正体不明の女の子の救助が先だ。高度は高くないため、海面に激突してしまう! 

 

 

 

 瑞鶴は意識を取り戻した。激突した衝撃に気を失っていた。どうやら、ゴジラが発した光線の能力から脱出できたらしい。だが、視界に入ったのは海が迫ってくる光景だ。しかも、自由落下している。身体が垂直に落下している事により空気抵抗が少ないため、双方とも十数秒後には海に激突するだろう

 

「え? な、何が起こっているの! 不味い! 起きて!」

 

 瑞鶴は足に変な機械をつけた女の子が自分自身同様に落ちているのを認識した。このままだと女の子は海面に激突してしまう。海面や湖に落下することはコンクリートに激突するのと同じだ

 

「こうなったら!」

 

 瑞鶴は小さな女の子の腕を掴むと伏せを伸ばし両手両足を広げた。この姿勢はベリーフライといい、空気抵抗を大きくして落下速度を軽減させるためだ。女の子は無事にこちらに取ったが、それでも落下している事には変わらず、数秒で海面に激突してしまう。瑞鶴は心を落ち着かせ、艤装を再チェックした

 

「艤装に問題ない。なら、着水可能!」

 

 瑞鶴は女の子をおんぶさせるようにすると、かかとを上空に向けて膝を抱えた。これで着水準備は出来た。そして、物凄く衝撃が襲い、水飛沫が舞った

 

「はぁ……はぁ……大丈夫? ケガはない?」

 

 瑞鶴は艤装が機能し海面に浮かんだことを確認したと同時におんぶしている女の子に質問した。女の子は目を回していたが、無事であることに胸をなでおろした

 

 だが、安心するのはまだ早かった

 

「え?」

 

 足に奇妙な機械をつけ頭に動物の耳のようなものを生やした謎の集団がホバリングをしながら瑞鶴を囲った。全員がこちらに銃を向けている。その中には対装甲ライフルとロケットランチャーを構えている者もいるが

 

「直ちに武装を解除し、投降しなさい。何者か知りませんが、貴方を拘束します」

 

「え?」

 

 瑞鶴は緑色であるコート式の軍服に間抜けな返事をした。銃を突き付けられたという状況よりも人間が空を飛んでいる事に呆気に取られていた

 

 そして……

 

「えー!」

 

 現在は地下牢に監禁されている。武器である艤装は取り上げられたのだ。数々の次元を突き破ったお陰で身体があちこち痛いのに加えて遭難している自分に戦う理由がないということで降伏したが、逆効果だった。仮に万全だとしても単体で複数勝てるとは思えない

 

「ちょっと! 私は不審者じゃないよ!」

 

 瑞鶴は鉄格子に手を掴みながら必死に無罪を訴えたが、外にいる二人の女の子は奇異な目で見ている

 

「バルクホルンさん。あれは本当にネウロイなんですか?」

 

「分からん。随分と精巧な姿をした人型ネウロイだ」

 

「でも、私を助けてくれました。ネウロイには見えませんけど」

 

「宮藤。あの雲から出現したんだ。ネウロイにしろ人間にしろ、調べる必要がある」

 

 厳格そうな女の子と小柄な女の子が遠くから見ていた。宮藤と呼ばれる人は兎も角、バルクホルンはこちらを警戒している

 

「だからネウロイって何ですか!」

 

 瑞鶴は叫んだが、解放されることはなかった

 

 

*1
ストライクウィッチーズの第506統合戦闘航空団「ノーブルウィッチーズ」の隊長。CVは瑞鶴と同じ




瑞鶴が素通りした世界

A世界 東京卍リベンジャーズ
B世界 戦国自衛隊1549
C世界 ドラえもん
D世界 バック・トゥ・ザ・フューチャー
E世界 ドラゴンボール
F世界 遊戯王(劇場版・時空を超えた絆)
G世界 ジョジョの奇妙な冒険 第三部
H世界 ターミネーター2
I世界 ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀
J世界 銀魂 万事屋よ永遠なれ
K世界 アニメ2期 艦これ
L世界 アベンジャーズ エンドゲーム

後2,3は入れたかったですがここまで。アニメ2期の艦これが何気なく入っているけど、気にしない
そして、ストライクウィッチーズの世界の住民と遭遇
現在は捕虜扱いになっていますが……
次話から章が変わります

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