視られるほどレベルアップ? 露出少女のフルダイブMMO   作:緑茶わいん

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もういっそのことノーパンにしよっか

「一回も戦闘しないでレベル27? お前、どういう条件付けたんだ?」

「そんなこと現実(リアル)で言えるわけないでしょ。お兄ちゃんの変態」

「急に罵倒するなよ動揺するだろ!?」

 

 どっちの側に非があったかはともかく。

 夕食時に感想を言い合うと両親がうるさそうだったので食べ終わってから兄の部屋で話をした。

 なお、主に小言を言われるのは兄の方だ。美奈は普段品行方正にしているし成績も悪くないので部屋で遊んでいる分には何も言われない。

 

「で、金は増えたのか?」

「まだ。絵は一枚描き上がったからそれが売れればお金になるって」

「NPCじゃなくてPCの画家を捕まえたのか。描いてる間退屈じゃなかったか?」

「ううん。女の子同士でお話しながらだったし、楽しかったよ」

 

 NPCの画家とPCの画家だと出来上がるまでの時間に倍くらいの差があるらしい。依頼(クエスト)としてこなす場合は何時間もじっと座ったままなんてとてもじゃないがやってられないので、一、二時間で終わるように調整されているのだ。

 一方、PCの画家であるラファエラは割と凝りたがる性格らしいのもあって描くのに時間がかかった。

 それでも退屈しなかったのは兄に言った理由の他に「お互い興奮していたから」というのがあるが、それは言わないでおく。

 

「びっくりしたよ。中にいると時間の流れ方が遅いなんて」

「それはMMOじゃないフルダイブアプリでもおなじみの技術だぞ。思考のクロック数を上げることで体感時間を伸ばしてるんだ。今は二倍が限度だけどいずれは──」

「お兄ちゃん。あんまり難しい話されてもわかんない」

「お、おう」

 

 要するに現実での一時間が向こうでは二時間になるということ。

 現実の身体はベッドに寝ていられることを考えると疲労も少ないのでいろいろお得である。

 

「VR空間で宿題とか課題やると捗るって話もある」

「なにそれずるい。どうしてもっと有名になってないの?」

「単にお前がそういうの疎いっていうのもあるけど、まあ、誘惑が多いっていうのが一番だろうな」

 

 MMORPG以外のフルダイブ作品──FPSやレーシングゲーム、単純なコミュニケーションゲームなどは以前からあって、それらには外部アプリを内部で利用する機能がついていることが多い(『UEO』にももちろんこの手の機能はある)。

 この機能を使うと例えば普通のRPGを二倍の時間プレイできる。友人との雑談だって二倍楽しめる。

 

「二倍も時間があるから少しくらい遊んでも大丈夫だろ、って始めると気づいたら予定時間を過ぎてるんだよな……」

「あー。面倒くさいことは後回しにしたらだめだよね」

 

 美奈はなるべく先に済ませるようにしている。兄は「できるなら見なかったことにしたい」派なので、母親の心象の違いはこういうところも原因なのだろう。

 

「金が入ったらどうするんだ?」

「服を買うよ。それで街をぶらぶらして、雑貨屋さんに入ったりお茶したりするの」

「お前ならリアルでもできそうだけど……現金が減らないのはメリットか」

「うん。服っていろいろ買うと高いんだもん。お菓子食べ過ぎると太るし」

 

 野望実現のためには絵が売れてくれないといけない。

 早く売れてくれますように、と思いつつ、寝る前の時間に「ちょっとだけ」とログインして──。

 

 

 

 

 

 

「いい値で売れたわ!」

 

 ログアウトしたのがラファエラのアトリエだったのでそこに出た。ちょうど少女もログインしていたらしく、ミーナを見ると挨拶を飛ばしてそう言ってきた。

 

「え、もう売れたの!?」

「あれからリアルで二時間くらい経ってるじゃない。こっちじゃ四時間経ってるんだから売れてもおかしくないわ。ま、もちろん私の実力があってこそだけど──」

「いくらで売れたの?」

「聞きなさいよ」

 

 まあいいけど、と言いつつラファエラは売り上げの半分を渡してくれた。

 かなり多い。ミーナがなけなしのお金で泊まったあの宿に何十回か泊まれる額だ。なんだか急にお金持ちになった気分である。

 

「ラファエラさんって実はすごい画家……?」

「ラファエラでいいわよ、もうフレンドなんだし。……まあ、それほどでもあるけど、と言いたいところだけど、実際は需要の問題よね」

 

 なにしろ女の子の裸だ。リアルのお金が減らないのもあって出来が微妙でもわりと売れるらしい。金がなくなったらモンスターでも倒して稼ぐ。

 たまーに本職のイラストレーターが降臨して莫大な値がついたりもする。

 

「小さい子が買っちゃたりしないのかな?」

「登録する時に年齢認証したでしょ? 未成年は買えないようになってるわ。まあ、誤魔化して登録すればいいわけだけど」

「それはどうしようもないね」

 

 敬語はなしでいいと言うのでお言葉に甘えさせてもらった。

 軍資金が手に入ったミーナはさっそく着替えを買いに行くことにする。ラファエラに用件を告げると「私も行こうかしら」と言ってきた。

 

「いいの?」

「あんたって街中でも露出しそうじゃない。いい絵が取れるかもしれないし」

「変態」

「お互い様でしょ」

 

 確かに、と思ったのでついてきてもらうことにした。

 基本、NPCのショップは大通りに面しているらしい。ラファエラが検索機能の使い方も教えてくれたので、まずはそちらから回ってみることに。

 念願のショッピングである。

 鼻歌交じりに歩いていると隣からちらちら視線が送られてくる。スクショ──スクリーンショットは視界に映ったものをそのまま写し取る機能、ラファエラはミーナを視界に収めている必要がある。

 なんだか視姦されている気分だった。

 

「で、ミーナ? ショップには大まかに二種類あるわ。ゲーム的な性能の高い『装備』を置いた店と趣味で着る『お洒落』の店。どっちにする?」

「もちろんお洒落のお店!」

「だと思った」

 

 ゲーム内のお店はどんな感じなんだろう?

 期待と不安を半分ずつ抱きながら来店すると、大通りにあるだけあって綺麗でお洒落な雰囲気だった。個人経営のセレクトショップという感じだ。店に並ぶ色とりどりの服に「わぁ……!」とテンションが上がる。

 現実とあまり変わらないというか、現実だったらこんなお店なかなか手が出ない。

 今着ている初期装備とは雲泥の差の洋服たちを笑顔で眺め、その印象を胸に刻み込みながらふと値札を手にして、

 

「結構高いよ……!?」

「趣味のアイテムだもの」

 

 初心者でもお金を貯めれば買えないことはない。ただ、装備を後回しにしてまで買うものではない。ミーナの所持金でも上から下まで一式揃えたら割とギリギリ。

 

「コーデを楽しむにはもっとお金を貯めないとかあ」

「もっと私のモデルになってくれればいいじゃない」

「持つべきものは友達だね」

 

 そんな会話をしつつ二、三件を回った。ひとまずはなにも買わずに商品をチェックした結果、

 

「ラファエラ。なんかどれも服が大人しいよ?」

「落ち着きなさいミーナ。ここは神聖王国の首都よ」

 

 設定的に神様への信仰が強い街。その分、街も綺麗だし設備も整っている、宿も良心的な価格で周辺のモンスター強くないものの、ファッションも大人しめのものが多い。渋谷と原宿と秋葉原では浮かないファッションが変わるようなものだ。

 王都のファッションは白系と黒系が多く、肌をあまり見せないのがトレンド。神様の印をさりげなくあしらったものも多い。

 これはこれで可愛いのだけれど、

 

「別の街に行けばえっちな服が売ってるってこと?」

「売ってるでしょうけど、それにはモンスターを倒しながら徒歩で移動するか、お金を払ってNPCに転送してもらうか。転送魔法の使えるPCを捕まえて拝み倒すか」

「ハードルが高い」

 

 仕方ないのでいったん王都の服を吟味することにした。

 清楚系のファッションでも見せ方次第。むしろ清楚系に強いこだわりを持つ人もいるとミーナは(えっちなサイトをこっそり覗いたりした)経験上知っている。

 例えばさりげなく下着を透けさせるのもアリだ。黒い下着は大人っぽく見えるので意外とえっちなのである。

 

「……あれ? ねえラファエラ。ゲーム内(こっち)の服ってサイズ合わなくなると着られなくなる?」

「あー。リアルほど厳密じゃないけど体型が違うときつくはなるわよ。あんたの場合、胸が大きくなると大変かもね」

「うん」

 

 魅力のステータスが上がって可愛くなった結果、胸はCよりのBカップ程度まで成長している。もちろんまだ成長する予定なので今ブラを買ってもすぐ使えなくなるかもしれない。

 

「いっそノーブラにしたら?」

「うん、そうする」

「え。あれ? わりと冗談のつもりだったんだけど?」

「わたしは真剣だよ……!」

 

 となるとメインカラーは白で決まりだ。トップスとボトムスを分けて買うよりワンピースタイプにした方が安くつく。

 今は七月の初め。あと一か月もしないで夏休みなのでちょうどいい。

 せっかくだから下着の代わりに帽子を買おうか。麦わら帽子は見つかるか怪しいのでつば広の白い帽子にして、ワンピースのスカートは長め。

 

「もういっそのことノーパンにしよっか」

「あとでたくし上げてるところ描かせなさいね」

 

 ツッコミを諦めたらしいラファエラが乗っかってきたのでブレーキ役が誰もいなくなった。

 白ワンピに帽子にミュール。ついでに小さな白いハンドバッグを買うとお金はほぼ底を尽いた。しかし、試着室を借りて着替えさせてもらったミーナは懐が寒くなったことなど二の次。可愛くなった自分を鏡に映して至福の息を吐いた。

 

「ああ、いい……っ♡ 清楚なのにえっちだよ♡ もうちょっとおっぱいとお尻が大きくなったら最高……♡」

 

 現実の試着室ではここまで興奮しづらい。せっかくなので鏡に向かってポーズを取ってみたりスカートをめくり上げてみたりして恥ずかしい姿を堪能。

 ついでにスカートの中へ手をのばそうとして──カーテンの隙間から覗いているラファエラと目が合った。

 こほん。

 

「あー、ミーナ? お楽しみのところ悪いけどそろそろ店を出ない?」

「ラファエラ。後でスクショをわたしにもちょうだい」

「うん。あんたのそういうところ大好きだわ」

 

 帰りに少し街をぶらぶらして、見かけた喫茶店で軽くお茶をした。

 

「ちょっとくらい寝るの遅くなっても平気よ。だって身体は今も寝てるんだし」

 

 アトリエに帰ってきたところでそう言われたので「なるほど」ともう一枚絵を描いてもらった。

 ラファエラの斜め後ろあたりに鏡を置いてもらって、そこに映る自分の姿を眺めながらしたらとても捗った。経験値も入った。

 

「あれ?」

「どうしたの?」

「うん。わたしたちの分以外にも経験値が増えてる」

 

 経験値が加算された回数はチェックできるようになっているのだが、それがミーナが把握しているよりも一回多い。

 ということは、

 

「へー。着飾って街を歩いた甲斐があったじゃない」

「……わぁ。わたしが、そういうことする対象になったんだ」

 

 普通の女子なら「うわぁ(ドン引き)」だがミーナの場合「うわぁ(恍惚)」である。増えた回数を見てニコニコするミーナにラファエラが「うわぁ」という顔をしているが、女の子の裸を嬉々として描いている彼女もぶっちゃけ同類だ。

 

「わたしたち以外にもゲームのなかでひとりえっちする人いるんだね」

「『たち』って。いや、達で合ってるけど。そりゃまあいるでしょ。なんならゲームの外でやった分もカウントされるはずだし」

「え?」

「スマホ用の連携アプリがあるのよ。基本的にはログインしてない時の連絡用だったりお知らせの受信用だけど、スマホの他の機能とも連携してるから」

 

 今の時代のスマホには所有者の体調管理機能が標準搭載されている。

 体温や心拍数、生理周期などから病気の兆候を教えてくれる便利機能であり「ひとりえっちの回数」なんていう表示項目は設定しない限り出てこないが、内部的にはカウントされている……らしい。

 

「もしくはログインした時にまとめてカウントされるのかしら」

「どっちにしてもすごい技術だよね?」

 

 ミーナのレベルが「27→31」になった。

 ミーナは「避暑地のお嬢様風コーデ」を手に入れた。

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