加えてたくさんの高評価、感想ありがとうございます!
読み直してみてまた誤字があったんで引き続き修正中です……。それでも見落としてる誤字がきっとあるんだろうからキリがない………。
これからも頑張ります!
『……ほぅ。それがキミの選択なら尊重しよう。だが残念だ。キミには資質がある。強者になれる。こちらの思惑は別として、それを活かせる場を私なりに用意したつもりだったのだが』
「あなたは鷹岡とは違う。アイツは自分の為に生徒を強くしようとしたけど、あなたは純粋に俺たちの為に強くしようとしてる。それには感謝してます。椚ヶ丘では価値がなくなったも同然のE組に落ちた後も、なんだかんだで気に掛けてくれました」
『才能は活かされるべき場所で活かされるべきだと思ったからだ。それほどの資質を周囲とのすれ違いで潰させてしまうのが惜しかった。キミは他人を気にし過ぎるところがあったから、A組で他者を踏み躙ってでも自分の目的を果たす姿勢を身につけ、強者として卒業して欲しかったよ』
「俺に強者の資質なんてないですよ。他人を踏み躙り続け、1人だけ生き残っても、何処かで背負った何かの重さで潰れるだけなんだろうって。今回の件で身をもって痛感しました。それに、自分の思う強者像は先生のそれとは違うようにも思いますので」
『…………残念だ。参考までに私とは違うと言う強者のイメージについて聞いても?』
「まぁ、あくまで漠然としたイメージなんですけどね。周りを踏み躙ってでも1人だけ生き残る奴と、必要なら周りを頼ってみんなで生き残る奴。どっちが信頼されるのかって話ですよ」
『…………』
「そりゃあ、どんなことをしてでも生き残るのは強い証拠でしょうけど、それを繰り返して生き残ったとして、ソイツが本当に助けが欲しい時、助けてくれる誰かはいるのかなって思うんですよ。何でもかんでも1人で出来るほど現実は甘くないですから」
『………なるほど。どうやら我々は強者という定義については相容れないらしい。本当に残念だ』
「まぁ、そう言うことです」
『それでは明日、小テストをキミの病室に持っていくついでに小一時間ほど意見を交わそうじゃないか』
「ぇ゛」
『楽しみにしてると良い』
暗殺教室復帰前の一コマである。
「2学期から新たに教える暗殺訓練。火薬に続くもう一つの柱がフリーランニングだ」
暗殺教室に合流して早々の体育の授業。烏間先生に集められたと思ったらそんな説明をされた。
フリーランニング。なんとなく聞いたことはある響きだ。しかし、どんなものなのかと説明できるほどの知識はない。
みんなも俺と似たり寄ったりらしく、烏間先生の言葉があまりピンと来てないらしい。キョトンと顔を見合わせる生徒達を認めると、烏間先生は徐に俺たちが集まってる広場から見える少し離れた位置の一本松を指差した。
「例えば、あの一本松まで行くとしよう。三村くん。大まかで良い。どのように行って、何秒かかると思う?」
「えっ、え〜っと……」
指名されたのは三村だが、みんなで烏間先生の設定した目的地までのルートを探るべく、前に出た。
一本松は俺たちのいる広場を少し行った所にある崖の下、小川を越え、茂みを突破した奥の岩の上に聳えていた。
「まずはこの崖を這い降りて、小川は狭いから飛び越えて……茂みのない右側から回り込み、最後にあの岩をよじ登って…………1分で行ければ上出来じゃないですかね?」
三村の横で同じようにロケーションを見ていたこのクラスで機動力の高い木村も同意見なのか頷いた。そして、これに関しては概ね俺も同意見である。強いて違いを述べるなら、実際に下まで降りた時、茂みの下が確認できるかどうかで迂回しないルートを取るかもしれないくらいかな。
「では、実際に俺が行ってみよう」
烏間先生がネクタイを緩めながら前に出る。測っておくようにと三村にストップウォッチを、近くにいた俺に外したネクタイを渡すと俺たちが見下ろしてる崖に背を向けて説明し始めた。
「フリーランニングは自身の身体能力を把握する能力、受け身の技術、目の前の足場の距離や危険度を正確に計るチカラを養うことができる。コレが出来るようになれば……どんな場所でも暗殺が可能なフィールドになる」
先生は不敵に笑い、崖に背を向けたまま、吸い込まれるように背後の絶壁に落ちていった。
あまりにも自然で躊躇いのカケラもない動きに驚愕するが、烏間先生は俺たちを気にすることなく、綺麗に5点着地を決めるが、その勢いと動きを切ることなく流れるように身体を畳んで、飛び上がると小川の横にある崖を地面と平行になりながら走り抜け、茂み地帯を突破。再び高く飛び上がると、そのまま岩と岩の間を蹴って上がって行き、瞬く間に一本松へ辿り着いた。
「タイムは?」
「じ、10秒です……!」
「………マジかよ」
もうある程度のことには驚かないと思っていたのだが、これは流石に驚きを隠さずにはいられなかった。
地球防衛軍のレンジャーの如く、高所から飛び降りても平然と行動し、ソニックの如く壁を走り抜け、マリオの様に壁キックで高所に登るとか人間業じゃねぇと言いたい。
言いたいが……。烏間先生に出来るのだから、人間でも出来ると言うことなのだろう。恐らくは。きっと、多分……。
「道無き道で行動する体術。熟練して極めれば、ビルからビルへと忍者の様に踏破することも可能となる」
「す、すげぇ……」
「あんなん身につけたら超かっけくね!?」
クラスメイト達が興奮気味に歓声を上げる。
無論、俺とて新しい技術の習得というイベントに内心盛り上がってはいるのだが、こうして新たに暗殺の次のステージが見えてくるといい知れない不安が湧いてくる。
こうして新しく、そして強力な技術を伝授されるというのはそれだけ俺たちが成長したという証明であり、同時にそれだけの時間が経ったと言う証拠であり、残り時間が確実に減っていると言う姿ない誰かからの警鐘の様に思えた。
「これも火薬と同じく取り扱いを間違えたら危険なチカラだ。初心者のうちに高等技術に手を出せば死にかねない。が、幸いな事にこの裏山は地面が柔らかく、トレーニングに向いている。危険な場所や裏山以外で試したり、俺が教えた以上の技術を使うことは禁止とする!いいな!」
「「「はいっ!!」」」
「では基本の受け身から練習だ!俺の動きに倣うように。それから何処か痛めたとか、違和感があれば躊躇せずに名乗り出る様に。特に乃咲くん!病み上がりで体力も落ちているだろう」
「はい、了解です」
「名指しされてる。信頼ないねー」
「うっせほっとけ、カルマ」
「まぁ、ほっといたらいつの間にかとんでもない技術を身につけて、いつの間にか倒れてそうな奴筆頭だもんな、乃咲」
「杉野ぉ………」
「あはは……、えっと、頑張ろ?乃咲」
「茅野が優しい…………」
「まぁ、みんなの気持ちもわからなくないけどね。でも乃咲だって反省しただろうし過労弄りはここまでにしてあげようよ」
「渚………女神か……」
「僕は男だよッ!!!」
「女の名前なのに……なんだ男か」
「渚が男の名前で何で悪いんだ!僕は男だよ!」
「お前らネタが古いんだよ……」
数日後。なんやかんや、身体の鈍りも解消しつつある。これも強化人間パワーなのか。何はともあれ、動けるのは良い事だ。もともと付いていた体力を取り戻すのは案外容易だった。
まあ、自分の体力的なものを数値化した時に過去の最高値に並ぶかどうかで言えば間違いなく首を横に振るが。
「………流石に体力の戻りが早いな」
朝、俺は烏間先生と補習をしていた。
これまでの2週間でみんなが習った技術の習得と、感を取り戻す為の軽い組み手。習った技術を復習する様に繰り出していると、息一つ乱れていない烏間先生が言った。
「まぁ、全盛期程じゃないですけどね。この言い方が正しいのかは一旦別として」
「だが充分付いて来れている。心なしか、確かに体力は落ちた様に思うが、戦闘技能は上がっている様に見える」
「ん〜………。多分、前より悩みとか、迷いとか、そう言うのが少なくなったからですかね。無意識のうちに考えてたことを考えなくなったからか、少し、視野が広がった様に思います」
「なるほど。そう言うこともあるか。だが、今後の暗殺において広い視野というのはかなり重要なポイントになる」
「まぁ、フリーランニングを本格的に使うようになったら、足場の危険度とかそこまでの距離だけじゃなくて、仲間の位置とか進行方向、選択コースなんかも見てなきゃ事故りますもんね」
「そう言うことだ。キミの洞察力を頼りにしてるぞ」
「頑張ります」
烏間先生の期待というのは、やはりやる気に繋がる。この人は目を見て意思を込めて、思ってることを伝えてくれる。確かに俺はもう、過剰に認めて貰いたいという欲求はなりを潜めたが、それでもこの人の期待に応えたいと思うのは、烏間先生からの信頼があってのことだろう。
「さて、一旦ここまでにしよう」
「はい、ありがとうございました」
お開き宣言に頷き、教室へ向かう。
靴箱で上履きに履き替えていると、パタパタと不破さんが忙しなく走ってきた。
「おはよう、乃咲くん」
「おはよ。大丈夫か?遅刻寸前だけど」
「いやぁ、ジャンプが何処にもなくてね。探してるうちに気がつけばこんな時間になってました……」
たはは、とあまり反省してなさそうに笑う不破さんに苦笑しながら教室まで歩き、扉を開けて……手に手錠を掛けられた。
「遅刻ですねぇ。逮捕する」
よく見ると不破さんも逮捕されていた。
「……何やってんのよ、朝っぱらから。邪魔だからさっさと教室に入んなさい」
後ろからズカズカ入ってきたビッチ先生が俺の手錠が繋がれた鎖を掴み、グイグイと引っ張って来る。
「やめて……俺に乱暴する気でしょう?エロ同人みたいに」
「しないわよ、とっとと入れ」
エロ同人のあたりで倉橋さんがガタッ!と勢いよく立ち上がった。もしかして彼女、そう言う本が好きなんだろうか。
なんて悪ふざけしていると、座っていた木村が俺たちのやりとりよりも、殺せんせーの格好に面食らった様子で言う。
「つか、なんだよ殺せんせー。その悪徳警官みたいなカッコ。朝っぱらからテンションたけーな」
「ヌルフフフ。君たちは最近、フリーランニングを習得したようですねぇ。そこで先生、やってみたいことがあるんです!ズバリ!それはケイドロ!この山という立体的な地形に加えて君たちが習ったフリーランニングなどの機動力を高める技術を惜しみなく使った超立体的鬼ごっこです!!」
それは確かに面白そうだ。
まあ、提案した本人が一番楽しそうにしてるが。
「皆さんには泥棒側として鬼から逃げ回って貰います。身につけたスキルを使って裏山に潜んで下さい。追いかけるのは先生自身と烏間先生です。1時間目内に全員を捕まえることが出来なかったら我々の負け。先生が烏間先生の財布で全員分のケーキを買ってきます」
「おい……」
「ただし、全員捕まったら宿題は2倍とします!」
「ちょっと待てよ!?」
「1時間も殺せんせーから逃げるなんて無理だって!?」
「そこはご安心ください。先生が動き出すのはラスト1分から。それ以外は校庭の牢屋スペースで待っています」
「つまり、鬼はそれまでは烏間先生1人って事ですか」
「はい。どうです?」
「……確かに、それならなんとかなるか……」
みんながやる気になった様だ。
殺せんせーと烏間先生。この2人のコンビネーションは凄い。俺たちに新しい技をくれる烏間先生。新しい技を楽しく、けれど一定の緊張感を持って使う機会を用意してくれる殺せんせー。
もしも、2人が殺し殺される仲で無かったのなら、案外、彼らはいいコンビなのかもしれない。
「念の為に最初に言っとくが、仮に生徒達が勝ったとしても、お前の分は払わんからな」
「にゅやぁっ!?そんな殺生な〜ッ!!」
…………多分。
烏間先生と殺せんせーのやり取りを眺め、ホームルームを終え、着替えた俺たちは早速ながら校庭に出た。
ケイドロか。懐かしい響きだよな。子供の頃にやった遊びを色んな技術を仕入れ、駆使して行うのは感慨深い。
「あ、いた。ねぇねぇ乃咲クン」
「どした」
「このケイドロ、勝てると思う?」
「普通にやったら勝ち目ないわな」
「だよねぇ〜」
準備体操をしているとカルマ達が来た。
どうやら今回のケイドロについて話したいらしい。
「まぁ、言わずもがな、勝負はラスト1分だな。山中特有の障害物が生えているとは言え、相手は殺せんせーだ。まともに逃げて勝てる筈がない。でもまあ、手がない訳じゃない」
「殺せんせーに対して出来る対策かぁ……。うーん。1分間耐えればいいんだよね?出来そうなこと………。水に潜るとか?」
「茅野の言う通りだ。あの人は弱点が多いからな。ラスト1分は水に潜ってやり過ごすとか、対先生弾を足場にばら撒いてトラップ設置しまくった洞穴にこもるとか。対策は出来る」
「あれっ?それって案外楽勝じゃねぇーの?」
「いや。確かに山場は最後の1分だが、これから50分以上、俺たちは烏間先生から逃げなきゃならないんだぞ?」
「いやいや、流石にこの裏山全体を使った鬼ごっこで人間1人から逃げるくらいどーって事ないだろ?」
「バカだね〜、杉野。相手はただの大人じゃなくて烏間センセだよ、俺らにフリーランニングとか諸々の技術教え込んでる張本人だ。加えて、あの人には俺たちみたいな危険な技術は使わないって制限はない。むしろ、『最終的にはこれを出来る様になってもらうぞ』ってばかりに積極的に使ってくるだろうね」
「カルマの言う通りだな……。んで、さらに付け加えるなら、烏間先生は自衛隊の中でも精鋭中の精鋭だ。逃走するターゲットを追いかける技術を持ってない訳がない。いくらフィールドが広くても、何処にいるのかを知られてれば意味がない。向こうの方が圧倒的に速いんだからな。最悪、殺せんせーの出番が来る前に全滅する可能性すらあるぞ」
「………このコンビ、どうやって突破するよ?」
「およそ死角らしい死角がないのが怖いな」
「あの2人、絶対に組ませちゃいけないって」
「最強の生物と最強の人間が宿題を増やす為に襲って来るのか。そう考えてみると中々にシュールなシチュエーションだ」
全員の顔が苦いものに変わった。
このまま士気が下がりっぱなしなのも良くないので、いくつかの打開策を打ち出し、みんなに伝える。
「でもまあ、鬼ごっこではあるけど、今回やるのは増え鬼とかじゃなくてシンプルなケイドロ。つまりは誰が捕まっても牢屋まで行って泥棒にタッチ出来れば復活させる事だって可能だ」
「そうかっ!………って、その牢屋に殺せんせーが待機してるから鉄壁なんじゃねぇかよ!?」
「あぁ。でも良く考えて欲しい。牢屋には殺せんせーしかいない。女装してケーキバイキングに並んだり、ティッシュを揚げて食べたり、エロ本を毎日拾い読みしたり、生徒の命と尊厳が懸ってない場面ではかなりアレなことをしている殺せんせーしかいない訳だ。手段はいくらでもある」
「お前、何気に酷いこと言ってるぞ」
「まぁ事実だし………。それで?その手段ってのは?」
「買収だ。捕まった時に岡島の秘蔵の巨乳チャンネーの写真でも渡してみろ。確実に受け取る筈だ」
「無いとは言えないのが悲しいね………」
「だろ?」
殺せんせーを買収出来れば復活も出来るかもしれない。その事実は実現できれば、という注意書きはつくものの、このケイドロでの勝利を掴む活路に通じるとみんなも思ったらしい。
「……でもよ、ラスト1分になったら烏間のセンコーも動くだろ?水とかトラップ仕掛けてタコを封じるとして、アイツはどうするよ?その条件だと下手したら一番の障害になるぞ」
「そこは寺坂の言う通りだねー。ならさ、単純な話、殺せんせーと烏間センセを分断しちゃえば良いんだよ。ラスト6分くらいで烏間センセをプールとか殺せんせー対策が出来そうな場所から全力で遠ざけて時間を稼ぐのが良いんじゃない?」
「んー、でもさ、烏間先生乗ってくれるかな?」
「そこは心配しなくて良いかもしれないぞ。烏間先生にとって、こう言うイベントは俺たちがどれだけ成長してるか確かめるための試金石でもあるし、機動力自慢の小隊をぶつければ乗ってくれると思う。あとはその小隊の頑張り次第にもなるけど」
「悠馬の意見に俺も概ね賛成だ。でも、そうだな……。策はあるに越したことはない。機動力特化小隊が烏間先生を陽動してる間にそれ以外の連中はそれぞれ殺せんせー対策が出来そうなポイントに散開しよう。出来るだけ距離を空けることを忘れるな、少しでも烏間先生の移動時間を稼ぐ為だ」
「逃げ方はどうする?機動隊以外はバラバラに逃げる?その方が時間は稼げそうじゃない?」
「それもアリだと思うけど、俺は4〜5人の小隊で動いた方が良いと思うな〜。目と耳の多さは情報の多さでもあるからね。4人もいれば取り敢えずは360度の警戒は出来るでしょ。烏間センセの接近にも気付きやすい。乃咲クンはどう思う?」
「カルマに同意だな。編成は……機動隊は、片岡、岡野、木村、前原で行こう。片岡が指揮、前原は捕まった時の買収役、岡野と木村は索敵しつつ、なりふり構わず逃げまくれ。他のチームは指揮、索敵、買収、逃げ足の速い奴って感じで組もう」
「指揮役って言うと……既に決まってる片岡を除外するなら、磯貝、カルマ、乃咲の3人かな?」
「……いや、俺は除外して、悠馬、カルマ、寺坂、中村さん、竹林が良いと思う。割と戻ってきてるけど、俺の体力が落ちてるのは事実だ。ぶっちゃけ戦力としては期待できないだろうし」
「…………お前が指揮を降りるのは一旦、置いておくとしてよ、磯貝とカルマ以外の追加メンバーの真意はなんだ?」
「今んところ、各個人が中心になった作戦以外で指揮を執ったことがあるのは俺とカルマだ。悠馬と片岡はもともと高いリーダーシップがあるし、俺たちを束ねて指揮することも出来る。でも、何かあった時に俺たち4人のうち誰かが必ず側にいるとは限らない。指揮が出来る奴は増やした方が良いと思って」
「何かあった時って?」
「普久間島とか良い例だ。あん時は先生方もいてどうにかなったが、もしも先生方がいない場面に出くわしたり、なんらかの手法で俺たちが分断された時、取り敢えずみんなを束ねられる奴がいるに越したことはないだろ。普久間島の事件があった以上、今後も同じ様なことがないとは言い切れない」
「…………なるほどね。確かに。あんなこと何度もあって欲しくないけど、今後もないとは言えないもの」
「そう言うこと。そんで今回のメンバーの選出理由だけど、寺坂の場合は実働隊として優秀だ。こっちで大まかな方針を決めた後、コイツが動いて目的を達成するのに最低限、少人数でも指揮が出来た方が効率が良い。数は力だからな。それに、観察力もあるし、ガキ大将気質なのもあってもともとリーダーシップもあるからな。かなり期待できる」
「チッ………。ガキ大将気質は余計だっての。しゃーねぇ。やってやんよ、あとで文句言うんじゃねぇぞ」
「はいはい。次に中村さんだが、シンプルに地頭が良くて頭がキレる。そんで臨機応変さもある。ギャルなのにギャルギャルしくなくて、コミュニケーション能力も高いし、どんなこともそつなくこなせるキミになら、指示を出されても『なんで自分が』とか思う奴はいないだろう。あと、陽キャなのに良い人だし」
「随所にめちゃくちゃ個人的主観が混ざってる気がするけど、概ね了解。アンタにそんな風に評価されてたとは思わなくて少し驚いてるけどね。まあ、頑張っちゃおうかなぁ〜」
「頼んだ。そんで竹林だが、まずは判断力だな。ココイチで一番冷静な対処が出来るのは間違いなくお前だ。普久間島の時を思えばお前以外に適任はいないだろう。んで、直接的な暗殺は得意ではないが、みんなをサポートできる一歩引いた視点を持ってる。サポートが得意な裏方組を動かす役割にぴったりだ」
「分かった。みんなもそれで良いのなら」
「竹林なら大丈夫だろ。俺らの中、特に普久間島の時に世話になった連中でお前を疑う奴なんていねーよ」
「だね〜。あの時の竹林くん、凄く頼り甲斐があったし」
「…………みんながそう言うのなら、謹んでお受けしよう」
こうして、新しい指揮官候補が決まった。
まぁ、もともと学級委員の2人がやってたのをいつの間にか俺がやる機会が多くなってたし、それでもなんとかこなせたんだ。俺に出来たのだから、彼らに出来ない理由はないだろう。
「実行班、フォロー班、サポート班ってところか」
「ま、そんなところだな」
「………はいはい!質問!」
「ん?どうした、倉橋」
みんなも納得したらしく、話が纏まりそうになった時、倉橋さんが元気よく声を上げた。
首を傾げながら悠馬が問い掛ける。
「圭ちゃんはどうするの?今回は指揮しないんだよね?」
『あ、確かに』と言いたげな顔でみんなが俺を見た。
まぁ、当然の疑問という奴なのかな。
「……今回、俺は別行動させて貰いたいんだ。ちょっと試しておきたい事があるっていうか、今の自分の能力を把握したいんだ」
「あー……。そっか。圭一はなんだかんだで1ヶ月ぶりか。こういうのに参加するの」
「そゆこと。みんなも知っての通り、A組に戻ってからはめちゃくちゃ鈍ってたし、それもだいぶ良くなったけど、色々と感覚が抜けてるのが多い。みんなと合流して一緒に作戦をこなす為にまずは、自分が何を出来るのか、どこまでなら行けるのか。それを事前に把握しておきたいんだ」
「……なるほどね。別に良いんじゃない?」
「そうか?それならいっそ俺たちと行動して連携する感覚を取り戻した方が良くないか?」
「前原の意見ももっともだけど、俺も乃咲クンにサンセー。こっちとしても、本人が何を何処まで出来るか把握しておいて貰った方が指示も受けやすいし、頼りやすいしね」
「ま、それもそうか」
「よし、んじゃぁ、今話した流れに異論ある奴は挙手!……うん、いないみたいだな。じゃあこの作戦で行こう!」
悠馬の号令にみんなが頷く。
こうして俺たちの怪物教師2人を相手にしたケーキと宿題倍増を賭けた、ガチの鬼ごっこが始まった。
相手が相手なだけに、リアル鬼ごっこ味が無いわけではないが、E組に戻ってからの初めてのみんなでの作戦。俺は少し……いや、かなり楽しみでウキウキになっていた。
「あ、でも乃咲」
「くれぐれも」
「無茶は」
「絶対に」
「しちゃダメよ?」
「分かったね?」
「…………はい、すんません」
指揮官全員に釘を刺されてしまった……。
あとがき
はい、あとがきです。
やっと原作と再合流しました。
過労が回復し、メンタルも万全!このケイドロの時間で今の圭一のフルスペックを見せられれば!と思っております。
夏休み中、銃弾避けたり、殺せんせーに蹴りを直撃させていた圭一。そんな彼の現在の実力はどんなものなのか!
今回もご愛読ありがとうございます!
ps. コトブキヤでステイシス発売するらしいですね、買わねば……!