暗殺教室 不良児は認められたい   作:ZWAARD

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加えてたくさんの感想、高評価ありがとうございます!

今回も投下しますのでお付き合いください……!


100話 コードネームの時間

 

 名前。それは集団の中の1個体を指す為に用いられる記号である。悪く言えば記号でしかない訳だが、それでもそこに意味を持たせたがるのが人間のサガでもあると言うか。

 

 名前に意味や由来を込める文化がある故に、突拍子のない名前なんかは笑われてしまう風潮が昨今問題になっている。

 別に名前を付けられた本人が悪いと言うことは決してなく、かと言って子供に悪意を持ってそんな名前を付ける者もそうそういないだろう。そこにあるのは感性の違いだったり、その時の雰囲気と勢いとかもきっとある。

 

 さて、そんないわゆるキラキラネーム問題を抱えた、迷える子羊がこの暗殺教室にもいたのである。

 

「病院で公開処刑されたぁ?」

 

「そうなんだよ……。まだ淀みなく呼ばれるなら良いんだけどさぁ、『えっ、えっ?この読み方で本当にあってるの……?』って看護師さんの動揺が明確に声になってるのがキツくて」

 

「そんで呼ばれたは良いけど、『はぁ!?今の名前か!?』って周りの人たちには反応されちまう訳だ」

 

「…………はぁ………。憂鬱だ。卒業式でもう一度、みんなの前で公開処刑されるかと思うと」

 

「まぁ、俺たちには分からない苦労だよな」

 

 本当に憂鬱そうな木村に励ましの言葉が見つからない。生憎と苗字以外でこの名前に苦労させられたことはないから。

 

「そうなんだ……。これ、本当にジャスティスって読むんだね。普久間島で乃咲が呼んだのって下の名前を英読みしただけだと思ってたからビックリだよ」

 

「みんな武士の情けでマサヨシって呼んでくれてんだよ。まったく……子供がどんな苦労するかも知らないで」

 

「ま、確かに入学式は驚いたよな」

 

「ほんと勘弁してくれよ。『親の付けた名前に文句を言うとは何事だ!!』って叩いてくるしよ……」

 

 うーむ。確かに親から貰った名前に文句を言ってるって部分だけ切り抜くと罰当たりに見えるかも知れないが、木村の文句を言いたくなる気持ちも分からないではないし。何ともデリケートな問題だな。俺にはちょっと難しい。

 

「はぁ……。親なんて所詮はそんなもんよ。私なんてこの顔で『綺羅々』よ、『きらら』!どう?キララっぽく見えるかしら?」

 

「い、いやっ……」

 

 いや、木村よ。そこで『いや』と答えるのもソレはソレで失礼な返しではないだろうか。気持ちが分からないではないが。

 

「家の母親、メルヘン脳の癖に自分の気に入らないことがあると直ぐにヒステリックを起こして喚き散らすの。そんな家庭環境で育った奴が名前みたいに可愛らしく育つはずないのにね」

 

「そ、そこまで言わなくても……」

 

 狭間さんの自虐的な言葉に思わずツッコミ。

 なんつーか。人様の家の闇を見た気がした。

 

「大変だねー。みんな、親にへんてこな名前つけられてさ」

 

 そんな中、ひょこっと現れたカルマがそんな爆弾を落とす。ほぼ全員が彼へと驚いたように視線を向けた。

 彼の名前は赤羽業。業と書いてカルマと読む。

 

「あー、俺?案外気に入ってるよ、この名前。親のへんてこなセンスが遺伝したんだろうねぇ〜。たぶん」

 

「そう思うとこのクラスって変わった名前の人多いのかな?正義と書いてジャスティス、綺羅々と書いてキララ、業と書いてカルマ……。あと、イトナくんも糸成って書くんだっけ?」

 

「ま、変わった名前って言うのは失礼だろうけど……。あんまり聞かない名前なのは事実だよな」

 

 人の名付けに対しての奥深さを噛み締めていると、俺たちの会話に混ざるように殺せんせーがニョキっと現れた。

 

「先生も名前については不満があります」

 

 思い詰めた顔でそんなことを言う殺せんせー。

 なんか意外だ。

 

「殺せんせーは気に入ってんじゃん。茅野が付けたその名前」

 

「はい。気に入ってるから不満なのです。未だに2名ほど、名前で呼んでくれない人がいますので…………」

 

「………」

 

「だって、いい大人が『殺せんせー!』とか正直恥ずいし」

 

「烏間先生なんて私を呼ぶ時、『おい』とか『お前』とか。熟年夫婦じゃないんですからっ!」

 

 そう言えば、確かに烏間先生が彼の名前を直接呼んだところを見たことがない。せいぜい、「君たちが殺せんせーと呼ぶあの超生物だが』とかそんなタイミングでなければ、殺せんせーという単語自体が口から出るところを見たことがない気がする。

 

「あ、じゃあさ!いっそのことコードネームで呼び合うのはどうかな?」

 

「コードネーム?」

 

「そう!覚えてない?南の島であった殺し屋さんたちもお互いのこと本名隠して呼び合ってたじゃん?あれを真似してみようよ!なんか殺し屋っぽくてカッコいいじゃん!」

 

「なるほど、良いですねぇ。頭の固いあの2人もあだ名で呼ぶことになれるべきです」

 

「「…………」」

 

 烏間先生とビッチ先生が釈然としない顔をしている。

 

「それに、皆さんが親になった時の為の名付けセンスが養われます。まぁ、将来の予行演習ということで」

 

「……あだ名と名前の名付けセンスって一致する?」

 

「まぁ、楽しそうだからいいじゃん?」

 

 近くにいた倉橋さんに聞いてみると何とも軽い返事が来た。

 

「こうしましょう。皆さん各自で全員のコードネーム候補を書いてもらい、それを先生が無作為に引きます。引いて出たモノが皆さんのコードネームです。折角ですから、今日1日、名前で呼ぶの禁止にしましょう」

 

「うーん……。なんかどっと傷付く奴が出てきそう」

 

「……あんまり変なコードネーム書かないでよね、乃咲」

 

「そうは言うがな、茅野よ。俺はネーミングセンス皆無ぞ?」

 

「そう思ってるならソレでもいいけど……この前みたいなの引っ張り出してきたらしばらく口きいてやらないんだから」

 

「この前……?」

 

 何やらツンツンしてる茅野の様子を見て記憶を探る。

 俺が茅野に付けたあだ名…………………あっ。

 

平胸盛(たいらのむねもり)?」

 

「わざわざ声に出すなぁ!!」

 

「「「「(思い浮かばねぇし平胸盛(ソレ)でいいや)」」」」

 

「圭ちゃん?この前から貧乳弄り過剰だよ?そういうの、本気で気にしてる子もいるんだから良くないと思うな」

 

「……そうか。すまない。別に馬鹿にしてるつもりはないんだけど。気にしてるのが面白かったからつい」

 

「ぐぬぬ……。馬鹿にしてないって言うけど!実際、矢田さんと私のだったらどっちがいいのさ?!」

 

「あれ!?流れ弾飛んできたけど!?」

 

「前も言ったけど俺は胸の大きさで人を判断したりしない。重要なのは誰の胸かだ。巨乳族も平い胸族も、虚乳族も関係ない。まぁ、強いて優劣を決めるなら、平い方が便利なんじゃない?身軽そうだし、面積取らないだろうし、風通し良さそうだし」

 

「風通しが良いって何だコラーーーーッ!!」

 

「いって!?今のは別に馬鹿にしてないでしょうが!?」

 

「馬鹿にされてなくても!なんかムカつくー!!」

 

「流石に理不尽だろ!?俺だってデケェ胸で溺死して事故物件にしてやりたい気持ちはあるさ!でも!コンパクトなのは機能美があって素晴らしいだろ!?ロッククライミングで邪魔にならなそうだし、物陰に隠れやすそうだし、機動力も高そうだ!被弾面積も少ない!暗殺の面では利点しかないだろ!?」

 

「乃咲は胸を機能美でしか見てないのかな!?」

 

【圭一弱点メモ⑤:おっぱいの機能美】

 

「……つーか、胸を事故物件にするってなんだよ?」

 

「まぁ……乃咲だし。陽菜乃がこの浴衣どうかな?って聞いて似合ってるどうこうじゃなくて浴衣を見た感想を言う奴なんだよ?案外、本当に貧乳じゃなくて貧乳を気にしてる茅野っちを面白がってるだけなんじゃない?」

 

「ねぇ、これ言外に私もディスられてない!?好きでこんなに大きくなったわけじゃないもん!」

 

「あ゛!?だったらその乳よこせぇぇ!!」

 

「きゃぁぁぁ!!カエデちゃんが暴走した!?」

 

 ぎゃーぎゃーと騒ぎながら時間は流れて行き……。

 

⬛︎

 

⬜︎

 

⬛︎

 

「こちら《死神ファザコン》。《平胸盛》応答せよ」

 

『こ、こちら胸盛……。どうしたの、死神ファザコン』

 

「現在の心情を述べよ」

 

『あとで覚えてなさいよ、アンタ……!』

 

 俺は乃咲圭一改め、死神ファザコン。

 茅野は茅野カエデ改め、平胸盛となった。

 

 まぁ、そんなこともあるじゃろうて。何せ、俺の死神ファザコンも、彼女の平胸盛もクラスメイトたちの前で広まってしまったあだ名だ。パッと良い感じのコードネームが出てこなければ候補に出されるだろう。

 

『やべぇ!死神ファザコン!《堅物》に抜かれちまった!!』

 

「なぁにやってんだ!《女たらしクソ野郎》!!」

 

『うーん。ここだけ聞いてると単なる罵倒だよね……』

 

「《凛として説教》!フォローに回ってくれ!堅物は1人で抑えられる相手じゃない、《ギャル英語》と《性別》は彼女の指揮に従うこと!《鷹岡もどき》はお前たちだけで加点を狙え!《ゆるふわクワガタ》と《キノコディレクター》は射線管理で堅物の進路を誘導だ!《萌え箱》はみんなに情報共有!」  

 

『よし、死神ファザコンの指示が聞こえたわね?行くよ!ギャル英語と性別!堅物本人は狙わず、下手に動いたら当たるくらいの密度で弾幕形成!鷹岡もどきたちに繋ぐわよ!』

 

『『了解!!』』

 

『凛として説教が動いた!《美術ノッポ》と《野球バカ》!俺たちは堅物の退路を塞ぐぞ!』

 

『分かったぜ!《貧乏委員》!』

 

『こちら《メガネ(爆)》。女たらしクソ野郎は《すごいサル》と《ポニーテールと乳》に合流し、西から烏間先生の側面に回り込んでくれ。出来るだけ早く進路を塞ぐ!』

 

『おう!』

 

『もしもしもしもし!こちら、ギャル英語。堅物の進路誘導に成功!《神崎名人》と《椚ヶ丘の母》と《毒メガネ》は女たらしクソ野郎たちと挟み込むように東側から詰めて!』

 

『うん、分かった!』

 

「相手は堅物だ。これでも包囲網を抜けられる可能性がある。《変態終末期》と《このマンガがすごい》は更に後詰でプレッシャーを掛けつつ、隙があれば迷わず撃て!」

 

『こちら《ギャルゲーの主人公》。狙撃に失敗した。射線を完全に読まれてるみたいだった。すまない』

 

『こちら《ツンデレスナイパー》。信じらんないけど、スコープ越しに堅物と目が合った。私達は警戒されてるみたい』

 

「了解した。《中二半》、戦局は?」

 

『今のところは順調だよ。こっちの本命にも気付いてないみたい。このまま視線が向かないように惹きつけようか。《E組の闇》は堅物の正面から奇襲。スナイパー2人もポイントを変えて隙を見てどんどん狙っていこう』

 

『よっしゃぁ!堅物にヒットさせたぜ!』

 

「ナイスだ、鷹岡もどき!そのまま《へちま》、《ホームベース》、《コロコロ上がり》と一緒に後詰に加われ!」

 

 戦況は固まりつつある。

 

 指示を飛ばしながら色んな策を講じていると、遂にその瞬間はやって来た。

 

『堅物に隙が出来た!』

 

 とうとう烏間先生……改め、堅物の防御が崩れたらしい。

 そんな声が聞こえた瞬間、みんなの思いが一つになった。

 

『行け!《ジャスティス》!!』

 

 声に応えるようにスマホから聞こえてくる4つの発砲音。

 どうやら、今回は俺たちの勝ちだったようだ。

 

 それはそうと、『行け!ジャスティス!』ってなんかカッコいいな〜とか思ってしまった。

 

⬛︎

 

⬜︎

 

⬛︎

 

 そんなこんなで体育の授業を終えた俺たちは、内容だけは変わり映えのしない授業を聞く。まぁ、事あるごとにファザコンだの死神ファザコンだのと呼ばれる所為でかなりいつもと違った感覚だったのは間違いない。

 

 何と言うか、ちょっとした言葉でも名詞が違うと罵倒してる、あるいはされてる気分になるのだから不思議だ。

 

 前原の《女たらしクソ野郎》が良い例だろう。

 例えば、鬼ごっこしてる時のセリフなんか酷い。「捕まえたぞ、前原ぁ!」が「捕まえたぞ、女たらしクソ野郎ぉ!」になるのだから割と傷付くだろう。

 

 その他にも岡島が鬼だったら、「岡島が来たぞ、逃げろ!」が「変態終末期が来たぞ、逃げろ!」になる。

 

 

 以下、今日発生した会話のまとめである。

 

「なぁ、すごいサル(岡野)

 

「なによ、女たらしクソ野郎(前原)

 

 

「なんでコロコロ上がり(イトナ)がJUMPなんて読んでるんだ?」

 

 

「ちょっとぉ!どうしてくれるのさ!?みんなに平胸盛ってすっごい呼ばれるんだけど!?」

 

「ま、実際にすごいネーミングだよな。その上で本人も別に貧乳を馬鹿にしてるわけじゃないのがまた………」

 

野球バカ(杉野)には分からないよ!だいたい、なんか最近になって私に対して当たり強くない!?しかも何が悔しいって『あ、ちょっと上手い』とか感心しちゃってるところだよ!ぐぬぬ……!おのれ乃咲ぃ……ファザコンの癖に!」

 

 

 などなど。側から聞いてると口悪いなぁってものから、公開処刑、悪口になってるものが多数だ。

 茅野の最後の奴に関しては完全にファザコンってコードネームの乃咲くんじゃなくて、ファザコンの乃咲くんに向かって言ってる気がするが。まぁ、気にしないでおこう。

 

 ちなみに、なんか原さんは神々しさを感じる。

 「椚ヶ丘の母(原さん)が微笑んでいる」とか、「椚ヶ丘の母(原さん)の手作り弁当」とか、「椚ヶ丘の母(原さん)が見守っている」とか。

 なんか、原さんが地母神か何かのように思えてくるのは俺だけなのだろうか?

 原さん=椚ヶ丘の母=地母神が成り立つのなら……原さんの夕食=地母の晩餐……。何考えてるんだろ、俺。

 

「さて皆さん。どうでしたか、コードネームで過ごしてみた感想は?」

 

「「「「なんか、どっと傷付いた」」」」

 

「そうですか、そうですか」

 

 1人ノーダメージな殺せんせー。

 みんなが項垂れる中、木村がおずおずと手を挙げる。

 

「なぁ、殺せんせー。なんで俺だけ本名だったんだよ?」

 

「今日の体育の内容は知っていましたからね。キミの機動力なら必ず活躍すると思っていました。今回みたいにカッコよくキメられれば、『ジャスティス』って名前もしっかり来たでしょ?」

 

「うーん……でも、恥ずかしいもんは恥ずかしい」

 

「え〜?私も良かったと思うよ?ね?」

 

「だな。映画のワンシーンみたいだったぜ!」

 

「………うぅぅーん……」

 

 照れくさそうにしながらもやっぱりコンプレックスの方が強いみたいで、木村は腕を組んで唸っていた。

 そんな彼に殺せんせーから鶴の一声。

 

「安心のために言っておくとね、木村くん。キミの名前は比較的簡単に改名手続きが出来ます」

 

「そうなの?」

 

「えぇ。極めて読みずらい名前であり、キミは読みやすい方の名前を周りに通している。昨今、俗に言うキラキラネームが原因で生活に支障をきたす場合もあるため、条件も優しくなっている。改名の条件はほぼほぼ満たしています」  

 

「そうなんだ……!」

 

 心なしか嬉しそうにする木村。しかし、そんな彼に殺せんせーは続けて口を開き、諭す様に伝える。

 

「でもね、実際のところは親のくれた名前に大した意味はない。込められた願いはあっても、付けられた者がどんな風に生き、何を残すのか。それは本人次第です。名前は人を造らない。人が歩いた足跡にそっと名前が残るだけです」

 

「名前が足跡に?」

 

「えぇ。もしもキミが私の暗殺に成功したのなら、その功績を見た未来の人たちはこう思うでしょう。『まさしく正義(ジャスティス)だ!地球を救った英雄に相応しい名前だ!』と」

 

「それは流石に言い過ぎなんじゃ……?」

 

「いいえ。名は体を表すと言いますが、その言葉だって当人の行動が他者に広まり、結果として名前という足跡をみた人々が"相応しい名前だ"と解釈したからこそ生まれた言葉のはずです」

 

「そう………なのかな………?」

 

「えぇ。先生はそう思います。無論、これをキミに押し付けるつもりはありません。が、もうしばらくはその名前……。大事にとっておいてみてはどうでしょうか?少なくとも暗殺に決着がつくその日まで」

 

「………うん、そうしてやっか……」

 

 殺せんせーは凄いな。コンプレックスすら励ましに変える。欲しい言葉を必要な奴に掛けられて、それをしっかり相手に響かせてやれる。こんな力があれば、もっと上手くコミュニケーションが取れるんだろうな。

 

 腕の傷をなぞって考える。

 俺に必要なのはそう言う技術なんだろう。

 

 自分の中で身につけたい技術を見て、どうすれば身につくのかを考え出したと同時、空気を切り替えた殺せんせーがくるりと身を翻して黒板に文字を書き始める。

 

「さて、今日はコードネームで呼び合う日でしたねぇ。先生のも紹介するので以後、この名前で呼んでください。"永遠(とわ)なる疾風(かぜ)運命(さだめ)皇子(おうじ)"と————」

 

 なんだか凄いコードネームが飛び出した。

 

「1人だけなにスカした名前つけてんだ!!」

 

「しかもなんだ!そのドヤ顔!!」

 

「そうよそうよ!ルビが振りにくいったらないじゃない!!スマホでルビ打つの大変なんだからね!!」

 

「不破さんは何言ってるの!!?」

 

「にゅゃぁっ!?ちょっとくらいいーじゃないですか!!先生だってたまにはかっこいい名前で呼ばれてみたいです!!」

 

「「「「この、バカなるエロのチキンのタコ!!」」」」

 

「た、タコォ!?」

 

 殺せんせーは、せっかくいいことを言ったのに、最後の余計な一言の所為で今日の残りは《バカなるエロのチキンのタコ》と呼ばれることになりましたとさ。

 

 めでたしめでたし————。

 

 で、終わるわけもなく。

 

「永遠なる疾風の運命の皇子先生。すみません、ここなんですけど教えて貰えません?」

 

「おぉっ、その名前で呼んでくれますか!いいですとも、いくらでも教えてあげます!でも、それはそれとして随分と先の所をやってますねぇ。死神ファザコンくん。既に高校の範囲まで手を付けているとは……。今度、問題を作ってくるので、ここまでの確認テストをしましょう」

 

「ねぇ、永遠なる疾風の運命の皇子せんせー。次のテスト範囲なんだけどさ〜。せんせだったらどんな風に出題する?俺はこんな感じの問題が出ると思うんだけど〜」

 

「いい質問です、中二半くん。先生ならば……」

 

「永遠なる疾風の運命の皇子先生」

 

「永遠なる疾風の運命の皇子せんせ〜」

 

「にゅゃぁぁぁぁぁぁ!やめて!もうやめてつかーさい!!皆さんがバカなるエロのチキンのタコとか呼んでくるのにキミたちだけ!こんな時だけ!真面目に先生の考えたコードネームを呼んでくると恥ずかしくなって来ましたぁぁぁ!!」

 

「そんなこと言わないでくれよ、先生」

 

「そうそう、名前に大した意味はないんでしょ?なら別にいいよねぇ?俺たちがどんな風に呼んでもさ?」

 

「そうは言いましたけどもぉぉぉ!そういうことじゃないじゃありませんか!!ごめんなさい!気取ったコードネームだしてすみませんでしたぁぁぁぁっ!!」

 

 カルマと即興で合わせた、殺せんせーの考えたコードネームで呼ぶ遊びは精神攻撃としてはかなり有能だった。

 そう。これは暗殺の為である。決して小っ恥ずかしいネーミングセンスを揶揄っているとかそんなことはない。

 

「……乃咲とカルマが活き活きしてる」

 

「あぁ。絶対にアレは楽しんでる」

 

「カルマは兎も角、乃咲もかなりそう言うのを敏感に感じ取っては弄るからな。鷹岡との戦いでもやってたし」

 

「ろくでもない所で気が会うのよね、アイツら」

 

 決して楽しんでいる訳ではない。

 

「「ね、永遠なる疾風の運命の皇子せんせ?」」

 

「にゅやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!」

 

 殺せんせーの羞恥の絶叫が響き渡った。

 

 

 




あとがき

はい、あとがきです。
キラキラネーム問題はデリケートですよね……。別に悪意があるわけでもない親と名前に一生迷惑する子供。込められた願いとかあるんでしょうが……うーん。自分には何も言えませんね……。

最後にお知らせです。
実は『なにかあったルート』も細々と書いていたんですが、想定では本編とは全く違うエンディングになりそうでして、細かい修正などを加える為に現在投稿している『なにかあったルート』を一時的に削除しようと思います。
5月12日に削除しますのでご迷惑をおかけしますが、ご理解のほど、よろしくお願いします!

今回もご愛読ありがとうございます!
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