加えてたくさんの高評価、感想ありがとうございます!
超余談ですけどフリーダムウォーズのリマスター出るとかマジですか!?ノーマークだったから出遅れてしまった……。
今回も投下しますのでお付き合いください……!
「……ここは?」
「洪水対策で国が使った地下水路さ。密かに僕のアジトと繋げておいた。操作室から指示を出せば、毎秒200tの水が近くの川から流れ込む。その水圧は対先生物質を混ぜて作ったこの檻に殺せんせーを押し当て、ところてん状にバラバラにするって寸法さ」
「なんという………」
殺せんせーが絶句した。僕らも何も言えなくなった。だって、そんな計画に組み込まれているなんて知りもしなかったから。
「ビッチ先生……。知ってて俺たちを騙したのかよ……!」
「仕方ないでしょ!?アンタらお気楽な学生とは違うっ、私は殺し屋なのよ!!結果が出さなきゃ意味がない!!"今回出来なかった、でも次は頑張ろう?"そんな理屈が通じない世界で生きてるの!!!今回できなければそれで終わり!!!出来なければ顔が割れて指名手配されるか、命を失う、そんなシビアな世界が私の生きる世界なのよ!!!!」
ビッチ先生はヒステリックを起こした様に大声で喚いた。
肩を振るわせ、地団駄でも踏む様に暴れて、癇癪を起こしたみたいに、首に付けていた僕らと同じタイプの爆弾を外すと、殺せんせー目掛けて投げつけた。
裸足でコンクリートのざらざらした床を暴れながら擦る様に足を動かすピッチ先生は見ているこっちが痛々しく感じるほどに暴れる本人が傷ついていった。
「あーあ、それなりに情を抱いていた子供達を殺すのがそんなにストレスだったのかなぁ。どーでも良いけど。イリーナ。一通り暴れて気が済んだら追っておいで。死にたくないならの話だけど。生徒たちと運命を共にするならどうぞご自由に」
死神はわざと音をカツン、カツンと立てながら去って行った。
「ビッチ先生……」
髪がボサボサになるまで暴れた先生は顔を上げた。
「……そう言うことだから、そこで足掻くのは諦めなさい」
さっきまでの暴れ方が嘘だったみたいに冷静な顔で僕らを見ると、血が出ている足を動かして牢屋の前に来た。
コンコン、と壁を叩く。すると、隣からは空洞の音が聞こえて来た。音が反響し、返ってくる。
「ここの壁は薄い。さっきみたいに爆弾が使えれば壊せるだろうけど、生憎と爆弾は私が捨てて来たわ。アンタらはそこで大人しく待ってなさい。ここは監視カメラで見られてるから、度がすぎたら死神が止めるでしょうけど、まぁ、人間の力では壊れないだろうし、蹴るなりぶつかるなりするのは無駄な抵抗であることに変わらないから見逃してくれるんじゃない?」
ビッチ先生はそう言うと、スマホを一つ、牢屋の外に置くと、踵を返して歩き出してしまった。
「ヒナノのスマホ、ここに置いとくわ。そんじゃ〜ね」
キィ〜バタン!と金属の軋む音を響かせて今度こそ誰もいなくなった。2人は制御室に向かったんだろう。
「くそっ!このまま死んでたまるかよ!!」
男子の数名がビッチ先生の言葉通りに扉に身体をぶつけて始める。クソッ!こんちくしょう!と怒鳴り声を上げながら。
それでもやっぱり壁はビクともしない。ただ音が反響し、イタズラに体力を奪っていく。
絶体絶命という4文字が頭の中に浮かんだその時、タックルの音の中になにか、ほんの僅かに異音が混ざった。
「寺坂、一旦ストップ。なんか聞こえる」
「あぁ!?」
カルマくんが寺坂くんに一声かけて動きを止めると、釣られて抵抗していたみんなが動きを止め、その異音が鮮明になる。
コンコンコン、と一定のリズムでさっきビッチ先生がノックした時と同じ様なこと音が繰り返されていた。
僕らの牢屋ではなく、明らかに壁の向こうから。
コンコン、コンコンコンと何かリズムを刻む様に聞こえてくるノック音。それに耳を傾けていた殺せんせーがハッとする。
「みなさん!壁から離れて伏せなさい!!」
叫び声にみんな一斉に壁から距離をとって、飛び込む様に伏せる。その様子を見届けた殺せんせーが再び声を上げた。
「今です!!」
合図としか思えない声、そして立て続けに響く爆音。その直後、僕らの首にあった違和感はなくなり、バキン!と金属音が何個も響く。何がなんだか分からないでいると、聞き慣れた声が爆発のした方向から聞こえた。
「みんな、無事か!」
「か、烏間先生っ!!?」
駆け寄ってくる声に思わず身体を起こす。
爆発によって壊れた壁の向こう、空いた穴の先から銃を構えた烏間先生が入って来たところだった。
多分、さっきまでのリズミカルなノック音はモールス信号って奴だったんだろう。
「みんな、無事で良かった……!」
「茅野!?間に合ったのか……いや、にしてもどうやって!?いくらなんでも速すぎるだろ……!?」
壁の向こうには心配そうな顔をしている茅野もいた。
前原くんが驚きながら捲し立てる様に聞くと、少し慌てながらも彼女はしっかり説明してくれた。
「みんなのお陰で逃げられたから、ダッシュで律の本体まで行ったんだ。緊急時だからフリーランニングも使ってなりふり構わずね。それでなんとか烏間先生と連絡取ったんだけど、殺せんせーと一緒に既にこっちに向かってたみたいで、そのまま拾って貰って、ここまで案内して来たの」
「で、でも、この壁をどうやって!?」
「竹林くんの爆弾だ。通路に落ちていた。いや、置かれていたと考えるのが正しいだろう。恐らくはイリーナの仕業だ」
「ビッチ先生は俺たちを裏切ったんじゃ……」
「恐らく、アイツは君たちを助ける為に従っているのだろう。ここに来るまで、まるで俺たちを導く様に、イリーナの口紅で印があった。今は彼女を信じる他ない。いくぞ、乃咲くんが危ない」
「皆さんの首輪は爆発に乗じて外しておきました。手錠は移動しながら外しましょう。恐らくは、さっきの爆発で死神は牢屋を確認しに戻ってくるか、監視カメラの映像で我々が逃げたことを把握して行動を変えるはず。急ぎましょう」
「先生、圭一が危ないんだ!死神は圭一をもう1人の自分にするとか言ってた。どう言うことなのかさっぱり分からないけどさ、でも、アイツが圭一に何かするつもりなのは確かなんです!」
「……やはり、か」
「やはりって……?」
「事情は後で話す。どこでなにが聞いてるか分からんからな。とにかく、乃咲くんを見つけなければ……」
見つける。そう言ったってどうやって?烏間先生たちはビッチ先生が実は協力者で、先生の口紅で付けられた印を追ってここに来たと言った。
でも、ここから先にもそれがあるとは限らない。しらみ潰しになんてやったらそれこそ時間が足らないと思う。
そんな時、倉橋さんが口を開いた。
「ねぇ、私のスマホに何か入ってないかな……?あの状況で態々置いて行ったってことは何か意味があるのかも……!」
「可能性はあるか」
烏間先生と目配せした殺せんせーが触手を伸ばし、鉄格子の間を通ってスマホを持ってくる。
表面上にはなんの違和感もない。でも、持ち主の倉橋さんは違和感に気付いたのか、しきりに外観を確認し、思い至ったみたいにスマホのケースカバーを外す。
すると、一枚の紙がヒラリと地面に落ちた。
烏間先生が拾い上げてその正体を告げた。
「……地図だ」
「ほんとですか!?」
みんな先生の手元の紙を覗きこむ。
確かにそこには簡単な地図が描かれていた。
黒で塗り潰された丸と星が描かれた地図を見て、烏間先生が少しだけ考える素振りを見せて呟く。
「……どうやら、この黒丸がこの部屋らしい。地図に書かれた通路とその分岐方向はここに来るまでの道順で見覚えがある」
「じゃあ、この星は……」
「制御室か、乃咲くんか。あるいは両方か……」
「どちらにせよ、移動はすべきでしょう。壁が壊れてるこの状況なら、放出された大量の水がこの通路に入り込んでくる可能性がある。そうなれば誰も助かりません。死神が作戦を強行しかねない今、ここに留まるのは避けるべきです」
「そうだな……。行こう」
烏間先生が先頭、殺せんせーが最後尾。
隊列的にはさっきと変わらない。それなのに、安心感は凄い。頼れる大人がいてくれることがこんなにも頼もしいなんて。
「……ねぇ、みんな顔色悪いよ。大丈夫?」
前を向いて歩いていると、茅野の心配そうな声が聞こえた。僕らを気遣うように問い掛けてくる声。
超体育着のおかげで肉体的ダメージは少ない。でも、僕らの脳裏には死神の言葉が残っていた。
「ねぇ、殺せんせー」
「はい、どうしましたか、カルマくん」
「……アンタと乃咲クンってどんな関係なの」
カルマくんの確信を突いた質問にみんな息を飲んだ。シンと静まり返った通路で足音と息を飲む音だかが聞こえる。
「死神がさ、言ってたんだ。彼は触手に関わるべくして産まれたとか、彼がいるから触手が産まれた、とか。俺らにはさっぱりだけど………センセなら何か知ってるんじゃない?」
「………否定はしません。前に話したことがある様に……先生は……この触手は人工物です。そして人工物であると言うことは、誰かが作ったものであると言うこと」
「…………どう言うことなの、殺せんせー。乃咲のお父さんは科学者だよね。じゃあ、乃咲博士が触手を作ったの?」
「そうではありません、茅野さん。触手自体に乃咲家は一切関わっていません。でもね、これは非常にデリケートな問題です。決して私の口で語っていい内容ではない。必ず皆さんを無事に帰します。だから、本人に聞いてください」
「そんなこと、どうでもいいよ」
ぴしゃりと倉橋さんが話を切った。
そんなこと話している余裕はない、と言いたいのか、それとも乃咲への疑念が湧いて来ていることが我慢できないのか。
「死神さんの話しが気にならないわけじゃないよ?聞きたいことだって一杯あるよ?でも、圭ちゃんは毒を盛られてもみんなの為に限界まで頑張って、最高の殺し屋にも1人で立ち向かったんだよ?触手がどうとか、お父さんが云々とか、今はどうでもいいじゃん。早く助けに行ってあげようよ」
答えはどっちでもなかった。乃咲の正体がどうとか、今は関係ない話だ。友達を助けるのに、そんな話に意味はない。
今はそんなことをしてる場合じゃない。その通りだ。
「ごめん、気になっただけ。今する質問じゃなかったよね」
「みんな気になってたことだろうから仕方ないよ」
倉橋さんの言葉にカルマくんは頷くと先を急ぐ様に歩幅を広げた。あのカルマくんが素直に謝って、こうして急いでる辺り、やっぱり心配なんだと思う。
単純に、乃咲が触手と関わり深いからってマイナスな思考をしてるんじゃなくて、それで乃咲の身に危険がないのかって心配なんだと思う。僕らですらほとんど知らない触手の秘密を知る材料に利用されちゃうかもしれないんだから。
「乃咲……無事だよね………大丈夫だよね……。死んじゃったり………しないよね………?」
「カエデちゃん……。うん。圭ちゃんなら、きっと大丈夫だよ。少なくとも、あの人は殺すつもりはなさそうだったから」
茅野の心配と不安の入り混じった声と気丈に振る舞おうとする倉橋さんの声が僕らの意見の全てだった。
どうか無事でいて欲しい。
そんな風に思って進む僕らの先頭が止まる。
視線を向けると、十字路があった。
「……どうやら、ここを左で合っている様だ」
「…………合ってるって……地図以外に何か判断材料あるの?」
「正解側の壁に赤い印がある。俺や茅野さんをキミらが囚われていた部屋の横まで案内した印と同じだな。紅みと状況からしてイリーナの口紅だろう」
「…………口紅ってよくそんなの分かりますね………?」
「………………俺は君たちが思うほど鈍くない。ただ、アイツは褒めると調子に乗る。プロとして一線を引いていただけだ」
「………………………烏間先生、無事に戻ったらしっかりそう言う所も口に出して褒めて上げてくださいね」
「………………………………善処する」
善処するという言葉に僕らはガックリと肩を落とした。
烏間先生、実はビッチ先生のことをよく見てるけど、こう、肝心なところで一歩ひいてるのは、素なのか、あるいは狙ってるのか。判断に苦しむところだ。
「……私、ビッチ先生、きっと喜ぶと思うなぁ〜。そんな所まで見てないんだろうなぁ〜って思ってる人が気付いてくれるの嬉しいもん。私も夏祭りの時は嬉しかったし。前髪切ったとか、リップ変えたとか気付いてもらえて」
「あれは乃咲が特殊なだけ……いや、分からんか。烏間先生と乃咲って似たもの師弟だし。そう言うところはあるかも」
「ともあれ、まずはみんなで無事に帰りましょう」
殺せんせーの締めくくりにみんなで頷く。
烏間先生はビッチ先生が残した手掛かりを疑いも迷いもせずに使って行き、すいすいと進んでいく。
「………ここか」
烏間先生が足を止めると、呟く。
壁に背を預け、拳銃を構える。
いざ、扉を開けようと烏間先生が手をかけた時。
「駄目だっ!開けたら爆発する!!」
部屋の中から声が聞こえた。
それは僕らが探している人物とも、僕らが警戒している人物とも同じ声で。分からなかった。この先にいるのがどっちなのか。
乃咲が僕らを案じて言ってるのか。死神が時間を稼ぐために言ってるのか。
「圭ちゃんだよ」
「倉橋さん、どうして分かるの?」
「なんだろ、死神さんの………話し方とは違うって言うか。圭ちゃんが本気で心配してる時の声してる」
「………うん。そう言うことなら私もなんとなくそう思う。ねぇ、律、今の声はどっちって声のパターンから判別できる?」
『……いえ。声の特徴と言える音の波が乃咲さんのそれと死神のそれは一致しています。声を聞くだけでは判別できません』
そっか。茅野のスマホは律の本体と繋げたから、ハッキングは解除されてるのか。でも、律にすら判別できないなんて。
「扉の裏側っ!取手を下げたらピンが抜けるタイプの仕掛けがあるっ、だから開けるなっ!!」
「……これは圭一の声だ」
「だね。乃咲クンの荒っぽい声は俺が一番聞き慣れてるし。俺もそう思うよ」
彼と付き合いの長い、磯貝くんとカルマくんも頷いた。
烏間先生も納得した様で、僕らを下がらせると取っ手に手を掛け、険しい顔で言葉を紡ぐ。
「本当に仕掛けがされてる。取手の重さに多少の違和感がある……仕掛けの内容も乃咲くんの言葉通りで間違いなさそうだ」
「でも、じゃあどうやって開けるの!?」
「内側に仕掛けられてると言うことは、別の扉もあるだろう。そうでなければ出入りができん。しかし……そんなものを探している余裕はない。ここは俺が開ける。奴の目的が彼なら、被害の及ぶ範囲に拘束はしないだろう。生徒たちを頼むぞ」
「待ってください、烏間先生。私が中の様子を伺います」
殺せんせーが顔を変形させながらドアに耳があるであろう部分を押し当てる。すると、この何がわかったのか、先生は頷く。
「ドアの正面にはいません。息遣いが聞こえるのは部屋の左奥辺りです。ここは私が開けるべきではないでしょうか」
「……お前は環境の変化に弱い。爆風と煙で視界を遮られた状態になれば少なからず隙ができるだろう。1秒の隙であっても、噂に聞く死神相手なら致命的だ。今はお前を失うわけにはいかん。生徒たちの安全の為にも」
「…………私を殺せるチャンスだとしても?」
「生徒28人の命は地球よりも重い」
「………承知しました。お任せします」
殺せんせーは僕らをかなり後ろまで下がらせると、烏間先生と僕らの中間に立つ。2人は目配せをして、烏間先生が躊躇いを感じさせない動きで取手を下げて扉を開く。
その直後に響く爆音。思わず烏間先生の元に駆け寄りそうになるのを殺せんせーの触手が抑えた。
パラパラと殺せんせーの触手から落ちる瓦礫。僕らへの飛び火を抑えてくれた殺せんせーがそのまま触手を払って風を起こすと、いつもの黒いジャケットを脱いで煙の中から無傷の先生がスタスタと乃咲のいる部屋に入って行った。
「……なんだ……?烏間先生、爆発を涼しい顔でノーダメ突破しなかったか、今」
「烏間先生は爆発で飛散する瓦礫と同じスピードで後ろに飛び、自分に向かって吹き飛んでくる扉を盾にしたのです。お陰で私も君たちの防御に専念することが出来ました」
「どっちが化け物なのか分からん……!」
呟いた瞬間、今度は銃声が聞こえた。
ズドォォォン!と鋭く、そして重たい音が。
「乃咲、烏間先生ッッッ!!」
殺せんせーを先頭に慌てて烏間先生のいる部屋に駆け込むと、そこには、乃咲を人質にする様に銃を持つ死神がいた。
扉の奥からみんなの声がした。
モニターの様子を見ることでみんな逃げることが出来たのは知っていたが、いかんせん、首の爆弾を外せたか分からなかったので、暴れることが出来ずに大人しくするしかなかったが、実際に無事な肉声を聞いてひとまず安心した。
けれど、同時に不安にもなった。
聞こえていたのだ。俺にも。モニターから聞こえてくる死神と仲間たちの会話。俺が死神の再従兄弟って話も、みんなが俺と触手の関係について一部知ってしまったことも。
「駄目だっ!開けたら爆発する!!」
口から出た叫びはみんなの身を案じたものか、あるいは不安から出た拒絶か。扉の奥の気配に耳をそば立てて、様子を伺う。
「扉の裏側っ!取手を下げたらピンが抜けるタイプの仕掛けがあるっ、だから開けるなっ!!」
でも、心配する気持ちは本当だ。
だから、叫んだ。可能な限り、こっちの状況と危険を伝え、扉を開けるな、と力一杯に伝えた。
でも、だと言うのに、強化した聴覚が捉えたのはあんまりにも予想外で、規格外で、"らしい"言葉だった。
「生徒28人の命は地球よりも重い」
烏間先生のそんな言葉。
この死神と結託すれば殺せんせーを殺せるかも知れない局面。それが例え信念に反することでも、超生物の殺害という任務を負っている者なら……立場と責任と責務を背負った大人なら、プロであるなら、俺たちを切るべき場面でそれを言ってのけた。
「……ッッ」
憧れた人からこれだけの言葉をもらって、胸に響かないはずがない。俺が第三者、オーディエンスだったのなら、スタンディングオベーションしていたに違いないだろう。
感動で泣きそうだ。俺を後回しにすれば、少なくともみんなは確実に助けられるこの状況で、そんな言葉を聞いてしまった。
次の瞬間、爆発が起きた。
俺の視界の端で入口が吹っ飛んだ。
が、それから間を置かずに無傷の烏間先生が入って来た。
「烏間先生ッ………!?」
「無事か、乃咲く………!!?」
「——させないよ」
次の瞬間、鋭い銃声が響く。
先生の足元に放たれ、床を抉った弾丸の射手はもう一つの出入り口から蜃気楼の様に現れると、烏間先生を牽制しながら俺の鎖を持ち上げ、首に手を回し、人質にする様に立ち回る。
「乃咲、烏間先生ッッッ!!」
怒声と共に入って来た仲間たちが俺たち状況を見て足を止めた。人質にされた俺と、死神と同じ様に銃を持ちながらも、先に死神が構えていることで動くことが出来ない烏間先生。
感情のジェットコースターとはこう言うことを指すのだろう。烏間先生の言葉に感動し、爆発の中を無傷で歩いて来た姿に安心し、そして銃を向けられる姿に心配が勝る。
「驚いたよ。爆発が聞こえたから監視カメラを見たら誰もいないし、試しに爆弾を起爆させたら、首輪が床で爆ぜるだけなんだもん。よくあの状況で脱出できたね」
「死神も大した殺し屋ではないらしい。律のハッキングまでしてわざわざ制御室まで移動することを選ぶとはな。それだけの技術があれば、遠隔でダムを動かすことも出来ただろう。キミの捕まえている少年なら、それくらいは思いつきそうなもんだがな」
「言ってくれるね、銃を突き付けられて絶体絶命の癖に。参考までに教えてよ、なんでこんなに早くここにくることが出来たのかな、烏間先生?キミは会議だか殺し屋の面接だかがあるって話しじゃなかったか?」
「会議のあと。俺は乃咲くんに電話した。その内容に違和感があったので、そこのタコに連絡を取り、最速で移動した」
「へぇ。違和感って?」
「電話の中で、乃咲くんがコイツを"タコ"と呼んだ。その呼び方自体は珍しくない。乃咲くんだって呼んだことがない訳ではない。だが、ここ最近の彼は……生徒たちが殺せんせーと呼ぶこの男を信頼し、尊敬してるのは見てとれた。だから違和感があった。果たして、今の彼が理由もなくコイツをタコ呼びするのだろうか、と。事実、そう呼ぶ姿を最近は見ていない」
「————へぇ。随分と"見て"貰ってるんだね、圭一」
正直、俺も驚いている。何気なく内心でタコと呼ぶことはあったが、言われてみるとツッコミするでもなければ声に出してそう呼ぶことは減っていたような気がする。
俺ですら知らなかった俺の言動を見抜き、俺と同じ声であるにも関わらず、それだけで疑問を持ち、わざわざブラジルにいた殺せんせーを呼び戻したのか、この人は。
こんな状況なのに、それがすごく嬉しかった。
「観念しなさい、死神。いくらキミでも……この場で私や烏間先生から逃げることは不可能です」
「それはどうかな?この場にいないイリーナ、そして捕まえている圭一。キミらにとっての不安要素は沢山あるよ。まぁ、状況的にイリーナはやっぱり裏切ってたんだろうし、そっちは宛に出来ないけどね」
やはりそうか。ビッチ先生はそうだったのか。
しかし、状況的に死神の方がやや有利だ。こんな狭い場所では殺せんせーもいつものスピードは出さないだろうし、烏間先生が動くより、死神が指を引くほうが早いのは確実だ。
仲間たちもいるし、最悪、全員で仕掛ければなんとかできるかも知れないが、ガチガチに警戒している死神相手にそんなことしたら、死人が出るのは考えるまでもないだろう。
ということは、今、この盤面を崩せるとしたら、ここにいないビッチ先生か、もしくは……俺しかいない。
「イリーナはしっかり働いてくれたよ。本当はもっと色々と使い道はあったから今手放すのは勿体無いけど……痛手という程でもない。知ってるかい?彼女って思ってる以上にキミらのことが好きでね。プレゼントに渡された花束を叩き落としてやったら、想像以上に酷い顔になったよ」
「っ、テメっ……!!」
「落ち着きなさい、冷静さを欠いてはいけません」
「————くっ……」
朗らかで、笑う様に話す死神の言葉を聞いて飛び出しそうになる前原を殺せんせーが制止した。
そうだ。怒らせて相手の冷静さを奪う。それは効果的だ。俺だって鷹岡にやったからわかってるさ。
落ち着け、落ち着いて考えろ。
俺に何ができる。この男相手に何ができる?
烏間先生にあれだけの言葉を貰って、文字通り飛んできた殺せんせーと、自分たちだって危険なのに俺を助けに来てくれた仲間たちを前に、無力なお姫様を演じる様な情けない男だったのか?お前はそんな奴でいいのか?乃咲圭一。
「しかし、まぁ、このままだとお互いに身動きが取れないのも事実だ。ねぇ、先生たち。取引をしないかい?僕らを見逃してくれれば、今後、一切キミたちを狙わないよ」
「できん。乃咲くんは返して貰う」
「戦力的に不安なのかい?なら、僕が何体か人形を送るよ。ゆっくり言って聞かせた奴には心当たりがあるんだ。1人あたり生徒3人分くらいの実力はあると思うけど。作戦に組み込みずらいたった1人のワンマンアーミーより、作戦に組み込める実力者数名の方が効率は良いだろう?」
「彼は俺の生徒だ。それだけでどんな戦力、実力者でも、決して釣り合うことはない。金を積まれようが、命を並べようが、手を離す理由になりはしない」
「はははっ、教師の鏡だね。圭一が尊敬するのも納得だよ。こういう人に憧れたなら、この子がこうなるのも当然か」
死神は遠い目をすると、俺を見た。
何処か哀愁を帯びた、目だった。
「圭一。キミはどうしたい?僕ならキミが欲しいものを全てあげられる。キミのことは調べたから知ってる。小さい頃から自分だけを見てくれる、褒めてくれる、認めてくれる人がいなくて鬱屈してたことも、それが原因で家庭内不和を起こして父親と疎遠になりかけたことも。僕ならキミを理解できる。同じ悩みで一番近いところにいた人と道を違えた僕になら」
瞳の奥、そこに写っているのは、俺なのか、あるいは死神なのか。もう1人の自分が垂らす甘い蜜が誘惑する。
「俺は……アンタとは行かない。自分を見てくれる人がいることを今は知ってる。見てくれないってのは、自分が目を向ける範囲が狭かっただけだって、身を持って体験したばかりだから」
それを自ら振り払った。
きっと、夏休み前に言われたのなら、俺はその蜜を啜ることを選んだだろう。他の誰かに言われたのなら、『お前に何が分かる』って突き返しただろうけど、同じ顔、同じ声のこの男に誘われたのなら、俺は手を取っていたと思う。
でも、今は違う。確かにすれ違いはあった。全て俺が悪いとか考えられるほど、大人になったわけでもない。
それでも自分が間違っていた自覚ならある。だから、自覚のある過ちを肯定し、共感してくれた彼の手は取れない。
立派な矜持とか信念があるわけじゃないが、死神の手を取るのは、それに気付いた自分と、気付かせてくれた人たちを裏切る行為に他ならないと言う確信だけはあった。
「………そっか、残念だよ。僕の努力を……僕を見てくれたのはキミだけだったんだけどなぁ」
死神は俺にだけ聞こえる様にそう呟くと、硬く拘束していた手を唐突に離した。
パッと音がしそうなくらい呆気なく、拍子抜けするくらいにあっさりと、まるで飽きたみたいに。
その直後、再び銃声が驚き、左足に焼ける様な痛みが走った。
「ぐっ……!!?」
体勢を崩し、倒れ込む。
「圭ちゃん!!!!?」
「乃咲ッッッッ!!」
「っ、乃咲くんっ!!!」
死神の銃が俺に向けられた一瞬の隙に撃てる位置まで自身の銃を持ち上げた烏間先生が、俺が倒れたことでその射線上に死神以外の存在がいなくなった瞬間、間髪入れずに発砲した。
けれど、そこは死神だ。烏間先生の目の動き、手の微妙な角度から射線を割り出したのか、ステップを踏む様に鉛玉を回避して流れる様に部屋の外へと走り出す。
だが、その背中を黙って見送るほど俺はお人好しではない。無防備な背中、下ろされた拳銃。今日一でその姿は隙だらけだ。
地面が迫る中、ゾーンに入って両腕を無理矢理広げる。モノクロに移り行き、時間が止まったかのような世界で張り詰めた鎖が音を立てて千切れ、大きな破片が一つ出来上がる。
一瞬だけゾーンを抜けて、身体を翻し、尻餅をつく体勢になりながら再び集中。再度止まった世界に入って空中に止まっていた鎖の破片を掴み、死神の持つ銃へ向かって投擲した。
集中を解くと、一瞬の間に三つの出来事が起こった。
尻餅を着いた俺、鎖の破片がぶち当たってひしゃげる死神の銃、そしてその衝撃で片手を負傷したらしく右手を抑える死神。
「くっ……、本当によく育ってるよ、圭一ッッッ!」
吐き捨てて走り去る死神。
「大丈夫か、乃咲くん!?」
「俺は大丈夫ですっ、奴を追ってください。全員、アイツの顔を見てる。このまま逃したら何があるか分かりません!」
「っ……すまない、ここは任せる!」
烏間先生は死神の後を追ってかけ出す。
奴に負けず劣らずのスピードで駆け出した烏間先生の背中を見送っていると、無数の声と共に背中から勢いよく柔らかい何かがぶつかって来た。
「圭ちゃんっ、大丈夫!!?」
耳元に聞こえる声。顔を向けると目と鼻の先、僅か数センチの所に倉橋さんの顔があった。
心配そうに目に涙を浮かべている。
「脚っ、血が出てるよ……!」
視線を向けると、左足のふくらはぎの外側から真っ赤な血が流れ、ズボンにはシミを、床には血溜まりを作っていた。
「…………まじかよ」
そんな光景を見ても、案外、心は冷静だった。
ガストロに撃たれた時は模擬弾だったとは言え、銃で撃たれることはこれで2度目だからだろうか?
確かに痛いし、怖いし、驚いたし、内心で色々な感情が渦巻いているが、それでも案外、平気だった。
「銃撃されたってのに、『まじかよ』で済ませるかね、フツー。でも、ほんトに無事で良かったよ、乃咲クン」
「……圭一。俺、なんて言えばいいか………。ごめん、アイツの目的の一つがお前だって気付かなかった」
「それは俺もだし、気付きようがねぇと思うけど……。何はともあれ、みんな、助けに来てくれてありがとう」
死神から俺のことをかなり断片的に、誤解を生むような部分しか聞いてないのに、みんな心配してくれる。
それが嬉しいし、同時に申し訳なく思う。俺が死神よりも強ければ、こうはならなかったんだから。
「乃咲……………!」
反省していると、茅野の声と共に、倉橋さんがいる方とは逆から固い感触が背中と腕に触れた。
今度は何事か、と顔を動かすと、そこには涙を浮かべた茅野がいた。この前、雪村先生の墓前で見せてくれた顔でも、みんなと過ごしている時の顔でも、ふとした時に見える演技のような顔でもない。明らかに動揺し、心配し、涙を溜めている茅野がいた。
「茅野っ……!?どうした!?」
「どうしたじゃないでしょ……!」
ポコっと背中を叩かれた。
それと同時、逆方向からも嗚咽が聞こえた。
「倉橋さんっ!?」
「私っ、圭ちゃんは何かあったら、背中を押してもらえる方が嬉しいからって、背中は押すけど、心配してないわけじゃないんだよ………?なんでこう、いっつも危ないことにばっかり巻き込まれちゃうのかなぁ……っ!」
「乃咲まで死んじゃったらどうしようって……思ってたのに、まじかよって一言だけで済ませないでよッ、もっとあるでしょ!?自分の心配をしてよ!!倉橋さんに励まされて、頭の中でも乃咲なら大丈夫って自分に言い聞かせてたのにっ、銃を撃たれるところをみて、本当に怖くて心配だったんだよッッ?!」
……まいった。女子を2人も泣かせてしまった。
いつも泣かせてしまっている倉橋さんに加えて茅野まで。嗚咽を漏らしながら、背中を2人にポコ、ポコ、と力無く叩かれる。本当に申し訳ない思いでいっぱいだ。
何がみんなより強いだ。こんな風に心配かけてばかりの奴が強いわけがないだろうに。本当に思い上がりだった。
「どなたかナイフを貸して下さい。それから、乃咲くんと同じ血液型の人は輸血に協力を。これからオペに入ります」
「……殺せんせー、まさか治せるんです?これ」
「はい。でも誇ることはできませんね。全て、私の至らなさが招いた結果です。キミにそんな怪我をさせてしまったのも」
殺せんせーは今まで見せたことがないほど沈痛な面持ちで俺を見ていた。いつもと変わらない黄色い顔、三日月の口。それなのに、纏っている空気は今日までのソレと違う。
顔は見えているのに、その内面で渦巻くモノは決して見えない。そんなあり方は……どこか、死神に似ていた。
「殺せんせーは俺たちを守ることに自罰的すぎ。いくら先生がマッハ20でも、超生物でも、1人でやれることには限界があるんだから、その全部自分が悪いみたいな考え方はしないでくださいよ。俺ら今年で15っすよ?4分の3は大人なんだから、怪我の責任くらい自分で持ちますって」
「だとしても、4分の1はまだ子供なのです。その未熟な部分を補完し、護ることこそ大人の役目なのですから。………脚をこちらへ。折角の装備ですが、このまま触れさせていると雑菌が入るかも知れないので、その部分を切り取ります」
殺せんせーは口を動かしながら、触手をそれ以上の速度で動かす。弾丸で軽く抉れていたふくらはぎがあっという間に元の形に戻っていく様はまるで魔法でも見ている様だった。
「銃撃で抉れた部分が元に戻ってるのってどんな理屈です?俺と同じ血液型のみんなから血を分けて貰ってるのは見て分かるんですけど、それだけじゃ肉は戻らないですよね?」
「死神が銃撃した時は間に合いませんでした。この密閉された空間では初めから銃弾に勝る速度を出すことが出来なかったのです。でも、決定的な瞬間に間に合わせることは出来ませんでしたが、触手が弾がキミの脚を抉ったその瞬間に居合わせることが出来た為、細胞が飛び散る前に回収することができました。それを先生の粘液と電気で繋ぎ合わせているのです」
「そういえば、溶けたゴムで火傷した時も、トラックに引きずられた時も、殺せんせーに治して貰いましたっけ」
殺せんせーの触手が離れた頃、脚は元に戻っていた。
腕と脚に力を入れ、立ちあがろうとするのを察したのか、倉橋さんと茅野が支えてくれた。
「ありがとう、殺せんせー。大丈夫っぽい」
「……無理は禁物です。今日は戦闘に参加しない様に。これからしばらくは、定期的に足の様子を確認しましょう」
「…………はい、お願いします」
殺せんせーの有無を言わさない雰囲気と、左右の女子2人からの無言の圧力。それらに屈した俺は頷いた。
「先生は烏間先生の後を追います。君たちは——」
「俺たちも行くよ、殺せんせー。烏間センセが強くても、やっぱり心配だし、死神が完全に無力化されるまで脱出しても安全とは限らないもんね」
「分かりました。先頭は私が行きます。皆さん、決して離れないように着いてきてください」
殺せんせーはそう言うと、いつもより気持ち早足気味に進みだし、俺たちもそれに続いた。
本来なら、走って行きたいのだろうが、俺が脚をやってる所為でペースを落とさなければならないのが歯痒い。
茅野たち2人が左右から支えてくれてるが、やはり、身長差と体重差があって3人揃って足の進みは悪い。
「茅野、倉橋。変わってくれ。気持ちは分かるけど、流石にそれは歩き辛いだろ。お前らも、圭一も」
「そだね。俺らがやるからさ、茅野ちゃんたちは警戒をお願い。トラップとかあるかもだしね。乃咲クンは任せて」
悠馬とカルマがそう言ってくれた。
倉橋さんたちが視線を向けて来たので頷く。
「分かったよ。圭ちゃんをお願いね」
「乃咲、絶対に1人で歩こうとしちゃ駄目だよ?」
2人と入れ替わるように悠馬たちが腕の下に入ってくる。
「悪いな、2人とも。毎回肩借りてる」
「普久間島でもこうだったね」
「本当に毎回毎回、どうしてこうなるんだろうな……。厄介な奴らは必ず俺らを狙う。その度にお前は無茶をするし。俺らもそれに甘えてた。次が無いに越したことはないけど……でも、守られてばかりなのは今回だけにしたいな」
「適材適所って言葉があるからな。悠馬は考えすぎだ。それに、今回の件、烏間先生が何も動かないとは思えないし、俺たちを狙った暗殺は今後無くなるだろ」
「なんでそう言い切れんの?」
「烏間先生は俺たちの命は地球より重いって言ってくれた。あの人は言ったことに責任を持ってくれる大人だから」
「………信頼してんねぇ」
大人にも色んな奴がいる。
殺せんせーや烏間先生の様に全力で子供を守ろうとする人。
ビッチ先生や浅野先生の様に自分なりのやり方で導く人。
鷹岡の様に自分勝手で保身的な奴。
今回の死神はどれなんだろう。
アイツは先生方とは違う。それは確実だが、だからと言って鷹岡の様なタイプではない様に俺は思う。
どちらかと言えば……大人になりきれなかった大人って言えば良いのかな。俺は彼の言葉を聞いて、こう思った。
この男は、自分のあり得たかも知れない未来なのではないかと。殺せんせー、烏間先生、みんなと出会わなければ、こうなっていたのかもしれないって考えてしまう。
『キミはこれからもう1人の僕になる』
『僕を見てくれたのはキミだけだったんだけどなぁ』
きっと、俺とアイツは本質的には同じだ。
死神の口から"僕"と"先生"って言葉が何度か出た。
先生も依頼者も自分を見てくれないと言っていた。
多分、アイツにとっての"先生"は俺にとっての父さんで、アイツから見た依頼者は俺から見た周りの人間だったんだ。
もう1人の僕になる、ではない。死神と名乗った男は、どうしようもないくらいに俺と同じだった。
それこそ、もう1人の自分と言っても過言ではないくらいに俺たちは似過ぎていた。顔も声も、生い立ちも。
だからこそ、俺は自問する。
自分と死神は何が違ったのか、と。
あとがき
次回、死神編決着予定です。
圭一と死神の違い。それは一言で言うと環境なんでしょうが、圭一は満足できる答えを出すことができるのか。
その答えが出るのはだいぶ先の話……。
今回もご愛読ありがとうございます!