暗殺教室読んでたら、なんとなく妄想が爆発し、妄想発散の為に書き殴りました。よろしければお付き合い下さい。
出来れば週一投稿を目指す予定です〜。
——追記——
2024年9月25日
物語の着地点が見えて来たので、前々から描写不足だと思っていた部分を修正しました。具体的には冒頭のセリフ追加とその部分が不自然にならない様に地の文を追加しました。この調子で完結目指して頑張りますので、最後までお付き合い頂ければ幸いです……!
プロローグ
今でも覚えてる。あまりにも理不尽で、非現実で、非日常的な新しい日常が始まったあの日のことを。俺たちの人生を変えてくれた恩師との出会いを。何もかもが鮮烈な日々を。俺はいや、俺たちは忘れないだろう。絶対に。
「……ほんと、律儀だね。キミも」
かつての学舎に花を捧げる。真っ赤な彼岸花を3本だけ。
「ヌルフフフフ、とか言いながら嬉しそうですねぇ」
「……ヒガンバナ、だったか。キミはその花が好きだな」
「ほんと、乃咲くんが来る度に笑ってますもんね」
「まぁ、嫌いではないな。俺が初めて花言葉を調べた花だ」
「……2人ともうるさいなぁ……!」
「キミが供えているのを見て調べたことがある。たしか、あまり良いイメージはなかった。どちらかと言えば都市伝説チックな不穏な内容だった様な気がしたが」
「実際、どんな意味なんです?」
「花言葉なんてのはそんなモンだよ」
「色によって変わりますが、彼の解釈は……」
この花にどんな気持ちが込められているのか。それを見出すのはこれを見た者にその解釈を託すとしよう。
「"また会う日を楽しみに"って言われたよ。7年前に」
今でも覚えてる……いや、きっと、いつまで経っても彼と出会った日のことも、彼と過ごした日々の事も忘れることはないだろう。きっと死ぬまでは。
「……えぇ。その日を楽しみにしましょう」
あれから7年。俺たちが殺せんせーを殺した日から、ちょうど7回目の春に深く息を吸って、肺の中の空気と一緒に気分を入れ替えるように息を吐いた。でも、センチメンタルな気分は晴れない。いつまで経っても慣れない。
「でも、あんまり早く来るなよ……圭一」
「圭一。もう時間だろう?恩師に会うのに遅刻は感心しないな」
「もうそんな時間か」
「防衛省との業務提携。まさか中学の頃の縁がこんな形で巡ってくるとはな。師弟の絆と言う奴か」
「お前も似た様なモンだろうがよ。今、俺を社長だの隊長だの死神だのと呼んでる奴ら全員、元々敵じゃねぇか。お前に至ってはソイツらのリーダーだったじゃん」
「ふっ……違いない。よもや中学生に敗れ、その後7年に渡って付き従うことになるなど当時の俺に言っても信じないだろう」
俺たちの象徴だった全体の7割を失った三日月はもう、見上げた空には浮かんでいない。そこには自らの重さで潰れて崩れた月があるだけだ。やっぱり少しだけ寂しいな。
「そろそろ行こう。社長が時間も守れない奴だと舐められるのは俺としても面白くない」
「すっかり秘書が板についたよな、アンタ」
「秘書兼護衛だ。ちなみに先日秘書検定1級と簿記1級を取得した。仕事に役立つと思うと学ぶのも楽しいものだ」
「はいはい……ってか、随分と頑張ったな、おい」
時々、夢に見る。先生と出会った日のこと、みんなと過ごした日々、もう1人の自分との出会い、先生を殺した日のことも。
見上げた月から視線を外す。
数年前までは殺せんせーのことを思い出して辛い思いをしたことだってあったけど、それでも俺は思い出を糧に前を向いて歩けるようになった。いや、歩かないといけない。
また会う日を楽しみにする為に。
「そう言えば、もともとキミと彼の出会いはどんな形だったんだ?なんだかんだ、聞いたことはなかっただろう?」
「おっ、気になるか?」
「惚れ込んだ男の強さのルーツ、これが気にならない者は生憎とウチの部た……もとい、会社にはいないさ」
「そうか。なら、防衛省までの道すがら、昔話と洒落込むかね」
だから今日はあの日々の話をしよう。
俺を変えてくれた恩師との出会い、仲間たちとの交流、人生の先生達からの助言を受けた日、そして彼らとの別れまでの日々を。15回目の誕生日を迎えたあの日のことを。
「頑張りなさい、乃咲くん」
「……あの日は————」
「いつの日かまた、キミを褒めさせてください」
「はじめまして。私が月を
突然として我ら落ちこぼれの3年E組に現れた未確認生物。タコのような身体に黄色い体色、三日月を横にしたような口とまん丸い小さな目。地球に飛来した宇宙人と説明されたら納得してしまいそうな生き物。
「防衛省の烏間という者だ。まずは、ここからの話は国家機密だと言うことを理解して貰いたい」
そして数人の部下を引き連れて現れた防衛省所属だと自称する強面のがっしりした男性。
彼らがやって来た日に俺たちの日常は殺意蠢く非日常へと姿を変えた。烏間さんの一言によって。
「単刀直入に言う。君達にこの怪物を殺して欲しい!」
それは唐突な殺害依頼。防衛省なんて、むしろ殺人事件を始めとした暴力沙汰なんかを抑制してそうな場所にある人間から齎された非日常への片道切符。
誰が予想できただろう? 月が爆発して全体の7割が蒸発するとか、その犯人だとか言う怪物が担任になるとか、防衛省からソイツの殺害を依頼されるとか。
「……えっと、何スか。そいつ、攻めて来た宇宙人か何かスか?」
「失礼な! 生まれも育ちも君達と同じ地球ですよ!」
「(嘘つけ……)」
「詳しいことを話せないのは申し訳ないが、そいつの言っていることは全て事実だ。月を破壊した、この生物は来年の3月、地球をも破壊する」
「まじかよ」
「この事を知っているのは各国首脳だけ。世界がパニックになる前に、秘密裏にコイツを殺す努力をしている。つまり——暗殺だ」
締めの言葉と共に目にも止まらない速さで胸元から引き抜いたナイフを超生物めがけて振るう烏間さん。しかし、その攻撃は躱されたようで、元気そうにピンピンしてる怪物。間を空けることなく追撃を放つがそれも全て躱されてしまったらしい。
1秒に何度ナイフを振っているのだろう? 烏間さんの攻撃の予備動作から後は目で追えない。躱されたのだと理解できるのは、彼の追撃を試みる予備動作を見てからのこと。
既に目の前で人並外れた攻防が繰り広げられていて、自分達の様な素人なんかよりもよっぽど鍛えているであろう、屈強な人物が赤子のようにあしらわれ、攻撃を躱されてから、追撃するまでの僅かな間に眉毛の手入れを施されてしまっている。
そんな彼らを見ていて思う。こんな奴、本当に殺せるのだろうか? と。
「コイツはとにかく速い! 殺すどころか、こうやって攻撃しても避けられ、眉毛の手入れをされる始末だ! 丁寧にな!」
額に青筋を浮かべる烏間さんと彼をおちょくる様にますます速度を上げて手入れに力を入れる超生物。
今、こうして見ているこの光景が現実のものなのか、疑わしくなってきた。
「満月を三日月に変えるパワーを持つこの生物が全力を出した時の速度は実にマッハ20! つまり、コイツが本気で逃げれば我々は地球滅亡のその時まで手出しすらできない!」
ありきたりな怪獣映画の設定みたいだが、現在進行形で残像を作りながら烏間さんの攻撃を避け続けてるのを見る限り、彼の言っていることは大袈裟でも拡大解釈でもないだろうことが伝ってしまう。
だが、同時に奇妙だとも思う。だって、それならどうして態々、こんな落ちこぼれの掃き溜めに担任としてやって来たのか。
「あの、なんでそんな怪物が態々うちの担任になるんですか? なんで地球が壊れるのが来年なのかも分からないけど、仮に地球を壊す為のパワーを貯めてるとかなら、逃げれば良いじゃないですか、マッハ20なんでしょ? ここに留まるメリットあるんですか?」
「ヌルフフフ、良い質問です」
なんとなく挙手して聞いてみた質問に返って来たのはやけに癖の強い笑い方と賞賛の声。
俺の問い掛けに待ってました、と言わんばかりにE組の生徒を一度だけ見回すと烏間さんの眉毛を整えていた一連の道具を片付けて答えた。
「マッハ20で逃げ続けるのでは、あまりにも面白くない。そこで私から国に提案したのです。殺されるのはゴメンですが、椚ヶ丘中学校3年E組の担任ならやってもいいと」
烏間さんの肩に手……というか、触手を馴れ馴れしく乗せると新たな疑問を残す答えを提示した、超生物。きっと、俺以外のクラスメイトたちも心の中でツッコミを入れただろう。『何で!?』と。
というか、よくもまあ、国もそんな提案を了承したもんだ、防衛省所属を名乗る人物たちに何気なく目を向けると、目が合った。
「コイツの狙いはわからん。だが、政府はこの提案をやむなく承諾した。理由としては2つ。担任をやっている間はコイツの動きをこの学校の中に限定して監視できること。そして何より、2つ、30名近い人間がコイツを至近距離から殺すチャンスを得られること」
こちらの言いたいことを察してくれたのか、意外と詳しく説明してくれた。
「コイツが教師をやる条件として君達生徒に危害を加えないことを約束させているし、万一にでも君達に危険が及ぶような事態には我々がさせない」
「まあ、地球が無くなってしまえば安全もクソもないですがねぇ」
「……不安を煽るような事を言うな。ひとまず、コイツが君達に危害を加えることはないと思って欲しい。信頼できないかもしれないが、国が君達の安全を全力で確保する」
胡散臭い超展開と現実離れというか、もはや乖離と言っても差し支えない話だ。
マッハ20の怪物から国がどうやって俺達を守ってくれるのか、と問い詰めたいが、烏間さんは力強く、正面から一人一人に目を合わせる様に言ってくれた。
ただ、目を合わせて言ってくれただけなのに、何故だか、彼の言葉は自分の父やこの学校の教師達の物よりも真摯で、信じてみても良いと思わせてくる。
「そして、これは暗殺依頼。つまりは仕事として君達に頼むのだから無論、報酬も出る。成功報酬は100億円! コイツを殺すことができた者にはそれだけの金額が支払われることになっている」
「ひゃ、ひゃく……!?」
「当然の額だ。コイツを殺すことは冗談抜きで地球を救う事なのだから」
提示された金額に誰が驚いた声を出すが、烏間さんの説明を聞いて納得する。確かにこの怪物が来年に地球を破壊するのであれば、それを殺すことは80億の人類どころか、地球に生きるあらゆる生物、そして星そのものを救うことになる。
漫画やアニメ、ゲームの中でしか聞くことはないと思っていた、世界を救うなんてワードがまさか現実のものになるとは。
けれど、そう考えるとむしろ100億は安いくらいじゃないか? 人類だけで考えても成功報酬100億ってのは、人口1人につき約1円ってことだろ? 少数点以下を切り捨てて考えると。
つい、なんとなくこんな事を考えるのは俺が荒んでいるからなんだろうか?
「幸いなことに、コイツは君達をナメ切っている。みろ、しましまになっている時はナメている顔だ」
「どんな皮膚してんだ!?」
黄色いタコの顔に緑色の横ラインが数本走り、口元はニヤニヤと分かりやすいニヤケ面。うん、顔色見るまでもなく確かにナメられてる。
「当然でしょう? 国が
「だからなぜ手入れする……!?」
ツッコミ所の絶えない超生物だこと。つか、高速巡航してる戦闘機にワックスって大丈夫か? 空気中のゴミとかが乾いてないワックスに付着して手入れ前より返って汚くならないだろうか。
「この様に、コイツは君達をとにかくナメ切っている。そのスキをあわよくば、君達に突いて欲しい。人間には無害だが、コイツにのみ殺傷能力を発揮するナイフと専用のBB弾とエアガンを支給する」
彼の言葉が終わると同時にその部下らしい人たちがキャスターの付いた台車を運んでくる。
台車に乗って運ばれて来たのは、緑の柄のナイフとピンクに着色された大量のBB弾が詰まった容器とハンドガン型のエアガン。
「このことは君達の友人や家族には絶対に秘密だ。ここまでの情報は全て国家機密だからな。とにかく、時間がない。来年までにコイツを殺さなければ地球が消える。そうなってしまえば逃げる場所など、どこにもない。仮に宇宙に逃げても無駄だ」
烏間さんの額に汗が浮かんでいる。きっと、ここまでのことは全て本当の事なんだろう。何となくだが、言葉の端々から焦りを感じる。
「そういうことです。それでは皆さん、残された一年を有意義に過ごしましょう!」
挑発する様に声高らかに宣言する超怪物を前にクラス全員が呆然と支給されたナイフとエアガンを見比べる。まるで思考が追いついていない。
けれど、時間は待ってはくれない。結局、何が何だが、どっちが右で、どっちが左かすら分からないままに、この日、支給された装備を受け取り、俺たち椚ヶ丘中学校3年E組の生徒は暗殺者になった。