暗殺教室 不良児は認められたい   作:ZWAARD

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加えてたくさんの高評価、感想ありがとうございます!

今回も投下しますのでお付き合いください……!


176話 男子会の時間

 

 楽しい男子会の始まりだ。

 みんな始めこそぎこちなかったが、いざ始まって色々やってみると根っこの部分はやっぱり面白いこと、楽しいこと、無駄なことが大好きな男子中学生。割と直ぐにいつもの雰囲気に戻った。やってることこそ、教室と同じくバラバラではあるが、それでも不自然に暗殺の話題を避ける雰囲気はない。

 

 そんな空気の中で、俺は岡島に"調整"を施していた。

 

「いいか、岡島。ルド剣にデブ産の重打特化32.6%を3個積んだ場合、攻撃力は筋力25技術12で火力はどれくらいになる?」

 

「694………。技術も25にすると839になる………。だが、この構成だとルド剣のモーションは変形前と変形後の突きが機能しなくなる……。変形後の突きが使えなくなるのは痛手だが……。ノコ鉈をサブに仕込めば…………フォローできる………」

 

「パーフェクトな解答だ。褒美に脳液を落とす敵の位置を教えよう。さぁ、DLCのメインヒロインの1人に会っておいで」

 

「アッアッ………」

 

「1周目でここまで来れる腕を身につけたんだ。ラスボスくらいまでなら今日中にクリアできるだろう。どうする?獣狩りの夜を終わらせるか、終わらせないかはお前次第だ。罹患者共を根絶やしにしてこの短く繰り返される夜を終わらせるか、闘争を求める身体に従って、戦い続ける歓びに打ち震えるか……お前次第だ……。その時は宇宙の如く無限に続く地下の深淵へお前を誘ってやろう……。さっき教えたデブ産血晶を求めるもよし、形状変化を狙って未来永劫地底人になるのも楽しかろう……」

 

「アッアッアッアッ………」

 

 うんうん、いい感じに岡島も染まって来たな。

 そうだよ、宇宙は足下に広がってるものさ。だから宇宙とかにロマンを感じる男子が最終的に地下遺跡を目指して出て来れなくなるのは自明の理なんだよ。

 

「うわぁ……岡島がフロムに染まってく……」

 

「あぁ……。しかもヤーナムステップを使いこなして敵を蹂躙してるぞ……。つか、あんなにルド剣講座してる癖に使ってるの斧じゃねぇか。意味あったのか……?」

 

「俺はあくまで一つの解を教えたに過ぎないさ……。まぁ、それに俺としては最初に選ぶ武器は圧倒的にノコ鉈派だけど、他の武器に比べてリゲイン性能が高い斧の方がブラボのコンセプトの死闘感をより強く感じられるだろ」

 

「斧で血塗れになっていく……タノシイ……」

 

「よーし、よく言った岡島。そんなお前にはとっつきを使ったシモンの弓剣の楽な取り方を教えてやろう」

 

「弓で獣に挑むなどと……」

 

「そう言うなって。あれである程度のスタミナあればミコラーシュをハメ殺し出来るんだぜ?弓剣の変形後のため攻撃の射撃が実は近接と同じく背後からならダウンさせられる属性を持ってるっぽくてな、延々と走って逃げ続けるミコラーシュを後ろからため射撃で無限にダウンさせるって寸法よ!」

 

「よくそんなの知ってるな、お前……」

 

「一つ目のデータは千景をメインにサブに弓剣って構成で遊んでたんだけどさ。2周目で試してみたら案外行けた。おかげさまで無駄に長々と追いかけっこをしたのは初めての周回の時だけだな。だから、メンシス神拳とは一回しか対峙してない」

 

「やりこんでるのかサボってるのか判断に困るな……」

 

 しかし、まぁ……岡島はしばらく獣狩りから帰って来られないだろう。今はそっとしておいてあげようじゃないか。

 プレイ画面を見る限りフロムではある種の常識である、『ヘタなボスより密集してるザコが怖い』って教えを徹底してるようで、ステップを駆使しながら敵を基本正面に入れながら立ち回ってる。本当、上手いことやるな、岡島。

 

「乃咲クーン、こっちでドラクエやろ〜」

 

「ドラクエ?」

 

「JOKERやろ、ノビス島だけでゾーマ作る動画をこの前みてさ〜。んでも1人でやるのはキツそうだし」

 

「ノビス島っていっちゃん最初の島だろ……!?」

 

「まぁまぁ、杉野とイトナくんが既に手伝ってくれてるからさ〜。やってみようよ。そういうの好きそうじゃん?」

 

「確かに好きだけどさぁ……。モンスターズ系で序盤にグレイトドラゴン作れた時の安心感半端じゃないよな……でもそれ、魔王の使いとかで留めて置いた方が良くない?」

 

「ロマン以上に追い求めるモノがある?」

 

「ないな、やろう」

 

「即答!!?」

 

 俺の家のリビングにこんだけの人数が集まってるのも珍しい光景だ。みんな好き勝手に遊んでる。岡島のブラボを悲鳴を上げながら見てたり、ボードゲームやってたり、カードゲームではしゃいでたり、竹林が持って来たアニメをプレイヤーで見てたり、モンハンとか俺たちみたいに協力プレイしてたり。

 

 それぞれが入れ替わり、立ち替わりして色んな遊び方を楽しんでいる。ちなみに岡島さんはと言うとマリア様に勝てずにオーバーヒートを起こしてしまったので今、テレビではスマブラ大会が行われていた。

 まぁ、復活した岡島がスマブラに参加した時に渡されたコントローラーをナチュラルにAC持ちしていたのには俺も流石にドン引きした。おかしいな、そこまで教えてないのに。

 

「よーし……!こっちはスライムベホマズンまで作れたぞ……!そっちのシドー作成チームはどうだ?」

 

「こっちも何とか一体目が作れた……。でも、もう一体必要だね……また同じ工程をやるのかぁ……」

 

「いや……。一応俺たちが使ってるのはクリア後のデータだからな。これまでは雰囲気でノビス島で手に入るモンスターだけでスカウトもしてたが……。精鋭たちを使っていいなら、キングスライムのスカウトで工程を短縮できる……!」

 

「乃咲、それは邪道だ……!!」

 

「くそっ……やはりダメか……!」

 

「杉野、お前はそっちを手伝ってやれ。あとの配合とレベリングはこっちでやっとく」

 

「おお、頼んだ。ほら、やるぞ!乃咲、カルマ」

 

「やるかぁ……。今作ったスライムベホマズンを魔王の使いまで配合してレベリングしながらなら、多少はスカウトも楽になるかなぁ……」

 

「その方向でやるか……。魔王の使いはカルマが使っていいから、スライムのスカウトちょっと多めにして貰っていいか?」

 

「それでいいよ。んじゃ、やろっか」

 

 いくら4人でやっても地道な作業は心が折れそうになる。まぁ、それがこのゲームの面白さだけどさ。

 モンスターズの醍醐味と言えば、普段は敵としてしか出会わないモンスターを仲間にできること、そして地道な配合を重ねて、各シリーズのラスボスとかを作り上げたり、最低ランクのモンスターとか好きだけどあんまり強くないモンスターを極限で強くできることだろう。俺もそう言うところが好きだ。

 そういう意味で初代JOKERは地味にやればやるほど成果がわかりやすく出るので、少年乃咲くんはどハマりした。

 

 だが。この初代主人公は滅茶苦茶鈍足なのである。

 

 ゲームに対してストレス云々言うのはアレかもしれないが、個人的には主人公の足の遅ささえカバーできれば、ゲームの内容そのままでも懐かしさから手に取るファンは大勢いるんじゃないだろうか。リメイクでないかなぁ……。

 

「うーむ。魔法少女ものだろ?ってバカにしてたけど…………これは案外、バカにできんなぁ」

 

「そうだろう」

 

 こっちでモンスターの掛け合わせを楽しんでいると、竹林たちアニメ組はキャラクターたちの掛け合いを楽しんでいた。

 

「魔法少女ものと言えば、代表的なのは……まどマギや今見てもらってるリリなのだろう。前者は可愛らしい絵柄と対照的に重厚なストーリーがさまざまなファンに突き刺さり、後者は友情・努力・勝利の3拍子が揃っている。どちらも魔法少女という単語がライト層から嫌厭されてしまいがちだが、食わず嫌いは勿体無い名作だ。これを機に是非興味を持って欲しかった」

 

「まぁ、俺たちはJUMPキャラだしな。友情・努力・勝利の作品を否定できないだろう」

 

「何言ってんの千葉………」

 

「千葉のメタ発言は置いておいて、だ。今回は今挙げた2つのうち、耐性がなくても楽しみやすいリリカルなのはを持って来た。ちなみにこのアニメの原作はとあるエロゲのスピンオフで、そのスピンオフ元の作品の主人公が習得してる古武術の奥義が乃咲のゾーンの原型だ。興味が出たら調べてみてくれ」

 

「竹林!?」

 

「不破がいないと千葉がメタ役になるのかと思ったら竹林まで被害に遭うとは……」

 

 うーん。この空気は少し良くないよなぁ。

 仕方ない。ここは一つ、空気を変えるか。

 

「なぁ……思ったんだけどさ。高町なのはとガルマッゾって似てるよな」

 

「…………」

 

「…………」

 

「「「………………」」」

 

『にゃはは……』

 

【にゃはははは!】

 

 俺のあんまりな一言に一同が静まり返った。

 その中で1人、プルプルと震える男が1人。

 

「な、なのはちゃんに謝れダボがあぁぁぁぁぁ!!」

 

「あべしっ!?」

 

 誰あろう、竹林である。

 震える拳が右頬にクリーンヒット。思いの外に力が入っていた。うむ、鋭いツッコミである。

 

「ぶったね……」

 

「ふんっ!」

 

「あふんっ!……に、2度もぶった!親父にもぶたれたことないのに!!」

 

「それが甘ったれ……あまっ………あっ……す、すまない……。流石にネタだと思っててもキミの今までの家庭環境を考えると甘ったれとは僕の口からは口が裂けても……!」

 

「お前も人のこと言えない家庭環境してるもんな……なんかごめん。この話題止めよう」

 

「「「「お前が始めた物語だぞ!?」」」」

 

「お?なら続けるか?いいぜ?全員不幸になるぜ……!テム・レイを父親に持ったカミーユが俺だぜ……!」

 

「微妙に否定しにくいな……」

 

 よし、メタな空気は消え去った。

 引き換えに少し空気が重くなったが。

 

「……んで、この可愛いキャラとガルマッゾがどう似てるって?」

 

「竹林、なのはちゃんの笑い方は?」

 

「……にゃはは、だね」

 

「杉野、ガルマッゾの笑い方は?」

 

「にゃははは、だな」

 

「竹林、なのはちゃんのイメージカラーは?」

 

「白か桜色だろう」

 

「イトナ、ガルマッゾのイメージカラーは?」

 

「……ピンク、じゃないか?」

 

「竹林、なのはちゃんの学生以外の職業は?」

 

「今見て貰ってる作品だと嘱託魔道師だね」

 

「カルマ、ガルマッゾはどんな風に育てる?」

 

「そりゃ賢さ高いし、俺は呪文多めで育てるかなぁ。賢さが高いから呪文にもそれなりに耐えるし、防御も低くないから耐久力を伸ばすのもアリだと思うけど」

 

「竹林、なのはちゃんって防御力高い的な設定なかった?」

 

「あった……」

 

 一通りの箇条書きが出揃ったので声に出す。

 

「笑い方が同じ、イメージカラーが一緒、魔法だとか呪文だとかが強い。そして防御力もある。ガルマッゾは実質、高町なのはだ……!!AED!」

 

「「「「……確かに……」」」」

 

「確かにじゃねぇよ!?気は確かか!!?」

 

 寺坂から真っ当すぎるツッコミが入った。これには思わず俺や寺坂組の連中もニッコリ。やはり彼はツッコミが似合う。

 

「つか、AEDじゃなくてQEDだろバカ」

 

「俺にバカって言って良いのはこの前のテストで全教科満点とった奴だけですぅー、ばーかばーか」

 

「乃咲クンのばぁ〜か」

 

「ぐぬぬぬ……」

 

「ぐぬぬ……じゃねぇよ、レスバ最弱か」

 

「いや、論点そこじゃねぇだろ。乃咲も乃咲で箇条書きマジックにかこつけたトンデモ理論ぶっ放すなよ」

 

「あぁ……。ガルマッゾをなのはと同レベルまで引き上げることで彼女の株を落とすとなく、尚且つギリギリでファンが怒りそうなラインを攻めてやがる」

 

「ギリギリどころかコースアウトしてんだろ。普通に。ファンがいたら殺されるぞ、乃咲」

 

「おっ、そうかそうか。やれるもんならやってみぃ!自分で言うのも何だが、地上最強の生物候補だぞ、俺は」

 

「そうだった。殺せんせー以上にこいつを殺せる奴の方が貴重なんだったわ。タチ悪りぃなほんと」

 

 ドヤァ!としてると今度は仲間達がぐぬぬと噛み締めた。

 うん、俺が持ってる中でも最強のカードだよな。学年主席と強化人間ネタ。大体の奴はこれで沈められる。

 

「まぁ、良いじゃんか。その最強生物乃咲クンもゲームでまで最強ってわけじゃないだろうし。今日なら下剋上かもよ〜」

 

「……確かに!」

 

「ふんっ、やれるもんならやってみぃ!ブラボをとっつきでカンスト周回したあとでガラシャの拳オンリーでクリアしようとして心が折れたのが俺だぜ?」

 

「とっつき…………フロムにおけるパイルバンカーの呼び名であり、大体の作品で扱いずらい代わりに一撃必殺級の威力がある………AFもモノによっては一撃で落とせることから、ハード攻略の最適解として選ばれることも……………」

 

「岡島!?そろそろ戻ってこーい!」

 

「ガラシャの拳は————」

 

「岡島ぁぁぁぁ!」

 

「ひどい、誰がこんなことを!!」

 

「「「「「てめぇだよ!」」」」」

 

⬛︎

 

⬜︎

 

⬛︎

 

 そのあともまぁ、色んなことをして遊んだ。

 スマブラ大会もやったし、カードゲームでトーナメント戦もした。誰かの持ってきたカードケースから適当なカードをぶっこぬいて40枚集めたコンボもへったくれもないデッキで遊んだりとか。マリオで誰が最速で1面を攻略できるかとか。

 

 ひとしきり遊んだあとは全員で近くの銭湯に行って、帰ってくる。むろん、寺坂のちんこでっけぇ〜!みたいな定番ネタも欠かさなかった。渚がE組の中でも5指に入る凶悪なモノを持っていたのは予想外だったが。

 

 そう言えば、岡島の奴、南の島で一回全裸になってなかったか?当時はそれどころじゃなくて記憶が曖昧だが、中村さん辺りから『ちっさw』みたいな反応をされていたような……流石に気のせいか。気のせいだよな?

 

 さて、そんなこんなでもう夜もいい時間だ。

 確実で持参した寝袋と暖房、そしてこの人数で割とぎゅうぎゅうな部屋の人口密度的な暑さで割と快適なリビングにみんな集まっていた。

 

「寝袋……。まさか烏間先生から支給されるなんてな」

 

「超体育着自体がもともと精鋭向けに作られた超特殊装備。それを身に付けて実際に作戦行動を取るのなら、野外で夜を明かすことも当然視野に入れられる。そんな状況に備えて携行性と温度管理に重点を置いた各野営道具もセットで作られてたって話だな」

 

「あり得なくはない話だけど、間違いなく俺らを気遣ってくれてるよな」

 

 驚くほど薄く、柔らかく、そして中は暖かい寝袋に身を包みながら、烏間先生に感謝する。あの人の立場的に本当なら俺たちに考えさせる時間なんて与える必要はないんだ。

 それなのにここまで気遣われて。自分たちがどれくらいの大事にされて、これ以上ないくらいに尊重されてるのかが分かる。

 

 今日は俺も自分の家だけど寝袋で就寝だ。

 

「ほんと、今日は色々やったよなぁ。なんか、久しぶりに何も考えずに遊び倒したって感じだ」

 

「俺も思った。今日やってないのって何がある?」

 

「トランプとか?」

 

「じゃ、せっかくだしそれも今からやるか」 

 

「大富豪とかどうよ」

 

「いいな。スペ3返しはどうする?」

 

「ありでいいだろ」

 

 どうやら大富豪はやる方向で確定らしい。

 どれ、ここは一つ、参加表明してみるか。

 

「はい、俺やりたい。修学旅行の時はババ抜きだったけど、乃咲くんはカードゲーム弱いみたいな風潮を終わらせてやる」

 

「あはは、んじゃ、俺もやろっかな。乃咲クンを横で笑える最近珍しい機会だし」

 

 カルマも立候補してきた。

 

「この2人と……あとはどうする?楽しくやるなら人数的にあと2くらい欲しいよな」

 

「んじゃ、俺もやろっかな。圭一が修学旅行のリベンジしたいなら、当時一緒にやってた奴も1人はいた方がいいだろ?」

 

「これであと1人だけど………」

 

 悠馬が続いて挙手をした。あと1人、誰かいた方が盛り上がるだろう。そんな空気の中で悠馬がチラリと視線を送る人物がいた。なんか意図があるのかと思って視線を向けると、そこには渚がいた。

 

「……はい、僕もやりたい」

 

「お、渚が自主的に手を上げるのは珍しいな。みんなは異論ないか?」

 

 場を仕切っていた前原の言葉にみんな頷く。

 俺たち4人がみんなの中心に座り、俺、悠馬、渚、カルマの順で回ることに決まった。前原がシャッフルしてカードを配ってる中で、そういえばこの面子は珍しいなと思った。

 

 別に仲が悪いわけではない。悠馬とカルマは俺の親友だし渚とも良好な関係だ。悠馬は誰とも分け隔てないし。渚も悠馬と同じだ。カルマだって俺や渚と仲良いし、悠馬とも関係が悪くない。

 それでも、4人だけで揃ってる場面は中々見かけない面子だろう。端的に言えば、普段遊ぶ時に集まるグループではない。

 

 だからか、物珍しさがあった。

 

「ねぇ、乃咲。そろそろ話そうよ。暗殺の……今後について」

 

 カードが配り終わって、ゲームが始まる直前に渚が口を開いた。そのこの場の誰もが意識しながらも、いけないとは分かりつつ流したかった話題の浮上にみんなが息を呑んだ。

 

「……暗殺の今後について話す。それは賛成だけどさ。渚くん、こんなに空気読めないヤツだった?明らかにこれからそんな話をする流れじゃなかったよね」

 

 渚の言葉にカルマが冷たい目を向けて言い放つ。言葉を選ばない、端的でそれでいて的確に抉るような言葉に渚がムッとしたように目を釣り上げて、肺の空気を入れ替えてから言葉を続けた。

 

「分かってる。それは悪いって思ってる。でも、いい機会だって思ったんだ。乃咲が殺す派なのは知ってるし、カルマくんも同じだってのは前から理解してた。磯貝くんが殺したくない派ってのも実は今回の男子会を企画してる話が聞こえて来てたから知ってた。そして僕も殺せんせーを殺したくないって思ってる。今、この場で明確に自分の意見を持ってる人が集まったいい機会だから話し合いたかったんだよ。磯貝くんが視線で誘ってくれて理解するのにちょっと時間かかったけど」

 

 渚の言葉にカルマが悠馬へ視線を向けると、彼は一瞬苦笑したあと真剣な顔になり俺たちを見た。

 

「まぁ、俺も言い出しっぺだからさ。丁度いいかなって」

 

「ふーん……。まぁ、別にそれでいいなら俺も良いけどさ。流石にカードの結果で決めるつもりはないよ?」

 

「それは当たり前だろ、まぁ、ただの雰囲気作りだよ」

 

 3人がカードを手に取ったのを見届けてから俺もカードを持った。順番は俺からスタートだ。だから、僭越ながらちょっと気取ったやり方をしてみよう。そう思って手札を見ると、中々の事故っぷりだった。

 他のメンツを見るけど、どうやら彼らも同じらしい。これは類稀に見る泥試合になりそうだな。

 

「んまぁ、うだうだ言ってても始まらないよな」

 

 そう言いながら、ひとまず様子見のために俺は開始宣言のつもりでハートの3を出した。




あとがき

はい、後書きです。
次回、冬休み明けのサバゲーの前哨戦みたいな話になります。
これを女子パートもやるのか……。やっぱり少し長くなるかな……。男子パートとどんな風に書き分けるか……というか、それだけの技量が自分にあるのか……。とりあえず頑張ります!


おまけ
【ありえるかも知れない未来の世界線】

「ふぅ……DクラスとCクラスの件も一旦落ち着いたね」

「だな。清隆と龍園のやり口を見れたのは大きかった」

「堀北さんじゃなくて綾小路くんなんだ?乃咲くん的に、あの2人はどう?」

「清隆は底が知れないな。ぱっと見ではぬぼーっとしてて平凡っぽく見えるが、身体の重心やら歩き方とか常人のソレじゃない。あとは………まぁ、言いたいことは色々あるけど、普通=平均みたいに思ってるのかな。普通すぎて俺には普通には見えない」

「そうなんだ……?じゃ、龍園くんは?」

「アレはダーティープレイ盛り沢山に見えて、裏では泥臭いことを1人でやるタイプだな。人に言うからには自分もやる、自分ができねぇことは周りに言わねぇ。ただし、能力的にできると思う奴にはやらせるし、それに見合った見返りも用意する。今は恐怖政治に近いが、人心掌握という点では各クラスのリーダーの中では上位だろう」

「結構よく見てるよね、そういうところ。じゃあ、クラスのリーダーとして聞くけどどっちを警戒するべきだと思う?」

「今の一之瀬は相性的に龍園だろうな。お前は頭がキレるし、行動力もある。人望でならDクラスの櫛田を差し置いて1年トップだろう。だが……悪辣なことはできない。簡単に言えば"良い人"すぎる。無論、それはお前の美徳だし、そんなお前がどうしても冷酷にならざるを得ない状況になったのなら、『あの一之瀬さんがそういうなら仕方がない』ってついて来てくれる奴も大勢いるだろう。その冷酷さを手に入れるまでの高くて分厚い障害だな」

「綾小路くんはあんまり警戒する必要ないってこと?」

「この学校で出来た友達1号としては全力で擁護してやりたいけど……それこそ愚策だな。俺から清隆への評価はさっき言った通りだ。その上で、一つ俺のポリシーを説くなら……警戒できない相手ってのが一番怖いってのを覚えておけ。どんなに非力でも、頭が悪くても、一見すると良いところが無さそうな奴でも、絶対に油断するな」

「…………なんか意外かな。乃咲くん、周りを見下してる感はないけど、そこまで周りを高く評価してる人でもないと思ってた」

「自分の物差しでは評価できない項目があるってのを知ってるだけだ。弱点ってのは欠点じゃない。育ち方と磨き方では武器にもなる。まぁ、なんだ。偉そうに言ったけど、とりあえず頑張れ」

「にゃはは……なに?その微妙な投げやり感。まぁ頼りにしてるけどさ!」

「………にゃはは、か」

「ほぇ?」

「なんでもない。お前の笑い方がゲームのキャラに似てるっておもっただけだ」

「え、なになに?どんなキャラクター?」

「ガルマッゾ」

「………?」

「調べないことをおすすめするぞ。傷付きたくないなら」

「え!?そう言う方向のキャラ!?」

「ほら、そろそろ行くぞ、ホナマッゾ。リーダーが授業に遅れたら示しがつかないだろう」

「ホナマッゾ!!?」

ありえるかも知れない未来の世界線
〜完〜
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