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高評価ありがとうございます!
今後も妄想投下していきますので
読んでいってください。
そろそろ俺から仕掛けてみるか。
ビッチ先生がクラスに馴染みだした頃、放課後の帰り支度中に本当に何気なく俺はふと思った。
今日まで俺はクラスメイトたちの暗殺のサポートに回り続けるだけで、自分から暗殺を仕掛けたのは殺せんせーが体育を教えていた頃の数回だけ。
今日まで得た情報と烏間先生から貰った武器の性能などの信憑性や有効性を確認・証明するのに良い機会だろうしね。
「渚ぁ〜」
「乃咲? どうしたの?」
「ちょっと暗殺してみようと思ってさ。良ければ弱点メモ見せてくれない?」
「そういうこと? うん。勿論良いよ」
「サンキュー」
昼休み、捕まえた渚に事情を説明すると快くメモを見せてくれたので使えそうなモノからそうでもなさそうな情報全てを頭に叩き込む。
メモ帳と睨めっこしてると渚と雑談しに来た茅野と杉野が、俺が自分から絡みに行ったことに珍しさを感じたという礒貝と前原が、面白そうなことしてるとカルマがやって来た。
「なになに? 乃咲が暗殺するって?」
「うん。だから弱点メモみたいってさ」
「へぇー。乃咲クン。なんか手伝おうか?」
「あの圭一が真面目に暗殺ねぇ」
なにやら賑やかになりつつある。
1人、また1人と人が人を呼び、しまいには話を聞きつけたらしいビッチ先生まで会話に乱入している始末。
けど、その辺の会話に俺が気づいたのは暗殺のプランを考え終えた数分後のことだった。
渚の弱点メモにあるのはまだ数項目。
1、カッコつけるとボロが出る
2、テンパるのが意外と早い
3、器が小さい
4、パンチがヤワい
5、おっぱい
これだけ。
だけど、4と5以外はかなり使えそうだ。
あとは普段の殺せんせーの癖を考えよう。
殺せんせーの癖と言えば朝の英字新聞購読やら水曜日の恒例テストとか、そんなもんだが……それ以外だとなんだろう? 暗殺者は必ず手入れするみたいな?
あ、いや、まてよ? そう言えば殺せんせーって暗殺止める時はまず、武器を奪うよな。中村さんが授業中に暗殺した時はハンドガンを奪われた。ハンディキャップ暗殺大会の前は皆んなからナイフを、俺からはハンドガンを奪っていたな。
それに、思えば殺せんせーが余りにも警戒心なく武器を奪うのでハンドガンとかに対先生コーティングしてたらどうなるんだ? とか考えた事もあった。
てことは、殺せんせーを上手く煽って俺の縄跳びとかハンドガンを奪わせれば確実にあのタコの触手を破壊できるのではないか?
そこに関しては恐らく上手くいく。授業に暗殺を仕掛けた中村さんは奪われてたわけだし、弱点メモ3『器が小さい』だし。ひたすらに殺せんせーを煽り倒してやればここはまず上手くいくだろう。もしくは『カッコつけるとボロが出る』んだから、上手く行動を誘導してやれば良い。
んで、殺せんせーは基本的に俺たちを舐めてる。暗殺する気があるとアピールする奴には大抵の場合、緑のしましまの顔を見せるのがその証拠だ。
だけど、あの人は予想外のことに弱い。だから、顔が緑のしましまの時に触手を破壊してやればテンパる筈だ。『テンパるのが意外と早い』んだからな。
問題はその後だ。
触手破壊まではなんとかなるだろうけど、問題はその後。多分、追撃するだけでは俺1人の火力手数では足りないだろう。確実に。となると、応援が必要だ。
そもそも暗殺を仕掛けるのはいつにする?
殺せんせーが武器を奪って来そうなのは授業中の暗殺だが、そうなるとクラスメイトたちに迷惑が掛かる。
……いや、道徳や学活、総合学習なんかの時間なら受験にはあまり関係ないから迷惑はそんなにかけないだろう。
なんなら、手伝ってくれた奴に報酬山分けするとでも言っておけば乗り気で手伝ってくれそうな気さえする。
あとは殺せんせーをどう殺すか、だ。
殺せんせーはマッハ20だけど、教室の中ではそんな速度は出してないだろう。出していたらソニックブームで教室中がしっちゃかめっちゃかどころか俺たちが爆発四散してる可能性あるし。
けど、分身作れるレベルの速度で動くモンスターを追い込むにはどうすれば良いのか?
毎朝、点呼中の一斉射撃すら1発も着弾しないんだ。
攻撃を当てられるヴィジョンすらない。
いっそのこと、殺せんせーを迫る壁か何かで圧死させられれば手っ取り早いんだろうけど、あの人に面の攻撃を仕掛けるのは……。
いや、まて。弾幕はあくまで点の攻撃に過ぎないが、もっと、濃密な弾幕を張れないだろうか?
例えば、コップ一杯に入れたBB弾をぶっかける様に殺せんせーに投げつけるとか。これなら面の攻撃にならないだろうか?
面の攻撃で仕留めるまではいかなくても、殺せんせーの退路を塞ぐくらいならできるはずだ。
あとは止めをどうするかだが……そうだ。あえて退路を一つだけ残しておくのはどうだろう?
例えば教卓を暗殺のフィールドにして、クラスのみんなと窓、教室の真ん中への退路を塞ぐ。そうすると残るのは教室のドアしか退路はなくなる。教室の外に烏間先生やビッチ先生に待機してもらって、退路を塞いだら、仕上げに扉を開ける、それと同時に対先生弾を発射。
……それなりに上手くいきそうじゃないか?
「圭一!」
「……? あ、ぁ。悪いな、磯貝。自分の世界に入ってたわ。今何時?」
「は? いや、まだ1分も経ってないけど」
まじか。感覚的には結構長い時間考えてた筈なのに、まだそんくらいしか考えてなかったのか。
まあ、いい。都合がいい。幾つかプランを練りながら皆んなに協力を仰いでみよう。
「んで、どうするんだ? 暗殺するなら力貸すぞ」
「うん。触手を初めて破壊した人の暗殺だもん。期待しちゃうよね?」
磯貝と意外な事に倉橋さんが口添えしてくれた。
ここに来て初めて気づいたのだが、クラスの半数以上というか、寺坂グループ以外が集まって来ていた。
「んじゃあ、皆んなにお願いがあるんだけどさ——」
俺は一つ一つ作戦を伝えた。
「……いや、触手破壊を作戦開始の合図にするってマジ?」
第一段階は【触手破壊】
俺が授業中、教卓まで出て窓際に陣取り、殺せんせーに攻撃、触手を破壊する。ただし、他のみんなにはできるだけ自然体でいて欲しいから詳しい方法は伝えない。ここで触手が破壊できなければ作戦は失敗とする。
「そこに関しては俺が絶対になんとかする」
口にするのは実行する時だけ。
烏間から学んだことを実践する。
「んで弾幕を張るのか?」
第二段階に【弾幕形成】
触手破壊されてパニクってる殺せんせーを弾幕で包囲する。そしてこの際、部隊を二つ作る。一つは殺せんせーを狙う部隊でもう一つは殺せんせーの退路を塞ぐ部隊。自分を狙う弾だけでなく退路を塞ぐ様に張られた弾幕にまで注意を向けさせて殺せんせーを更にパニックにする作戦。
「あぁ。でも、ここで寺坂の力を借りたい」
「あいつ帰ったぞ?」
「追いかけるさ。でも、あいつら説得するのに報酬の分前少しだけ操作するけどいいか?」
「別にいいでしょ。私たちも分前貰えるんだし、発案者は乃咲なんだからさ」
「ありがと、岡野」
第三段階が【面での攻撃】
殺せんせーを狙っていた部隊に予めBB弾の入った大きめの器を持たせておいて、弾幕形成で殺せんせーに混乱が見えたら俺の指示で器の中のBB弾を横薙ぎに振りかぶって中身をぶちまけて貰い、空中でBB弾の壁を作る。
「面での攻撃って……」
「わかりやすく言うと……あれだ。ボウルとか洗面器に溜めた水って思いっきり横から振りかぶってぶちまけると水の壁みたいなのが作れるだろ? アレを意識して貰いたい」
「あー、ガキの頃風呂でよくやったわ。んで? これは誰がやるんだよ?」
「教室の席の並びで各列の最前列にいる奴らに頼みたい。だから……片岡、前原、岡野、磯貝、倉橋さん、木村だな」
「分かった、任せとけ」
「うん。乃咲の指示に従ってぶちまければいいのよね?」
「あはは、掃除大変そう」
「掃除は発案者が責任持ってやるからそこは気にすんな」
第四段階は【トドメ】
面での攻撃をする際の俺の指示を聞いた別働隊が指示から一拍子開けて教卓側の扉を開け放ち、殺せんせーに銃弾を浴びせる。逃げ場のない殺せんせーは撃ち抜かれるって寸法だ。
「んで、トドメと」
「別働隊って?」
「ビッチ先生と烏間先生だ」
「あら? 私も参加するの?」
「上手くいくかは時の運次第なところありますけど、分前が欲しくないなら不参加でも構いませんよ」
「ほんっと、生意気ね。このクラスのガキは。んで? 烏間は?」
「烏間先生も一応は教師としてここにいますが、それ以前にあの人の目的は殺せんせーの殺害です。要請すれば答えてくれますよ」
あらかたの作戦説明は終わった。
が、ここで磯貝が疑問を投げてくる。
「なあ、圭一。お前は第一段階のあとどうするんだよ? ずっと最前列の前の窓際にいるのか? 危なくないか?」
磯貝の危惧は最もだ。第四段階のトドメでの銃撃は即ち俺の方の銃撃と同じ。だが、そこに関しても対策済みだ。
「大丈夫だ。ほら」
そこで俺はこの前、殺せんせーからチョロまかした彼の抜け殻を見せびらかす。
「……あぁっ! 確かにそれならBB弾くらいへっちゃらだよね」
この抜け殻の効力を身をもって知ってる渚が合点のあったらしい柏手を打つとその場の空気は作戦は決行するという雰囲気になった。
「んじゃあ、作戦決行は明日の5時間目の学活な」
「殺せんせーには不意打ちじゃ無くて前もって伝えておこう。磯貝、口貸してくれ」
「なんだよ口貸すって……。まあいいけどさ」
「んじゃあ、ひとまず頑張るぞー」
「「「おーう!」」」
前原の音頭にこの場にいる生徒ほぼ全員が共鳴した。
「寺坂、吉田、村松、狭間さん。明日、5時間目の学活で殺せんせーに暗殺仕掛けるから手伝ってくれ」
「やだね」
「断る」
「メリットねぇし」
「皆んなでとか馴れ合いゴメンだわ」
うーん。この団結力の無さ。
いや、彼らのグループの中では団結力あるのか。
頭を下げて頼んでみたが、案の定断られた。一応はE組の不良グループ気取ってる連中なので狭間さん以外は"分からせてやる"のもやぶさかではないが、出来るだけ平和に行きたいので拳は引っ込める。
「正直、お前が頭下げるのは意外だったけどよ。村松の言う通り、俺たちにメリットがねぇだろ」
「報酬の山分けじゃ足らないか?」
「足らねぇな。俺はお前のこと嫌いだからよ」
うっわぁ。なんでこんなに嫌われてるんだろ。
寺坂から正面切って嫌い発言が飛び出して俺ってば少しだけ傷付いたぞ。
「法に触れない程度になら『言うこと何でも聞いてあげる券』やるからさ」
「ガキか!?」
ちっ、乗らないか。
だったら奥の手だ。
「じゃあ、3億だ」
「あ?」
「成功したらお前ら1人ずつに3億円、山分け分にプラスして払う」
「……まじかよ」
ここに関しては問題ない。
皆んなに作戦説明する時に分前に関しては俺の方で多少コントロールすることは宣言してあるしな。
流石にここまで啖呵を切ると俺の作戦が気になってくるのか、村松が口を開く。
「つか、勝算はあんのかよ」
「ある」
「どんくらい?」
「五分五分あとは時の運次第だ。別に参加したくないなら明日の5時間目をサボってくれればいい。ただ、人数が多い方が勝算は多少上がるだろうし、助かるなってのが声を掛けた理由だ」
「……俺はやらねぇぞ」
問題児、寺坂が率先して反発してくるので、寺坂にとって一番のメリットを提示してやる事にする。
「寺坂、俺が居心地の良いE組に戻してやるって言ってるんだ」
「……んだと?」
「いつだったかな。思ったんだよ。お前は俺と同じだ。誰にも期待されない出来損ないが集まるあのクラスが居心地良かったと思ってる筈だってな」
「テメェ」
「事実、殺せんせーが来るまでは居心地良かったんだろ?」
「…………ちっ」
たしか、ハンディキャップ暗殺大会の時、烏間先生がうちの教師になると知らされた時に俺は寺坂を今言った様に評価した。
一応、俺なりに彼の人となりを理解して下した評価だったが、間違ってなかったらしい。
俺に内心を言い当てられた寺坂は居心地悪そうに頭を掻きむしると頷いた。
「わあったよ、乗ってやる。ただし、上手くいったら今言った報酬全部よこせよ」
「ああ、分かった。ついでに頼みがある」
「頼みダァ?」
「そ、前に渚に持たせた手榴弾。あれの威力をほぼ無くした奴を明日までに作って欲しい。必要経費は出すから」
「おまっ、サラッと要求えげつないぞ!?」
「ああ。明日、俺が指示した時に投げてくれれば良いから」
「人の話聞いてねぇのか!?」
とまあ、こんな具合にリーダーの寺坂が折れたら他の面子も折れてくれたので一通りの作戦を説明した。
正直、寺坂達が来てくれるのはありがたい。戦力的にというより、明日、殺せんせーの説得をするのにかなり有効なカードになる。
「と言うわけで、烏間先生も協力願います」
「分かった。イリーナからある程度、作戦の概要は聞いている。クラスメイトたちを巻き込んだ大規模な暗殺作戦。俺にとっても君達をどの程度育成出来たのかを確認する良い機会だ。参加させてもらおう」
寺坂たちを説得して学校に戻って来た俺は今度はE組校舎の職員室で烏間先生の説得をしていた。ビッチ先生があらかじめ説明してくれてたらしく、話自体はスムーズに出来た。
あとは明日の学活を暗殺に使って良いかどうかを殺せんせーに交渉するだけだが、ここが一番ネックだ。もし失敗したら作戦を強行するしかないかな?
「おや、乃咲くんに磯貝くんじゃありませんか。どうしましたか?」
「殺せんせー。ちょうど良いところに」
ちょうど良いところに殺せんせーが来た。
折角なのでこのまま説得に移る。
「殺せんせー。実はお願いがありまして」
「ほぅ? 乃咲くんがですか」
物珍しそうに俺を見る殺せんせー。
だが、気にすることなく会話を進める。
「はい。実は明日の学活の時間、俺の考えたプランで殺せんせーの暗殺に使わせて貰いたいんです」
「……なるほど、それで磯貝くんがいるんですね?」
俺の用事なのに磯貝がいた事に合点がいった様で、殺せんせーが頷きながら磯貝を見ると、今度は磯貝が口を開いた。
「そうです。殺せんせー。圭一が暗殺するってさっき話しが出たんだけど、結構な人数が必要そうなプランで。一応ここに来る前にクラスメイト全員で明日の学活にでも実施出来ないかなって話になって」
「全員となると、寺坂くんたちもですね?」
「はい、寺坂、吉田、村松、狭間さんにも話してきて、4人とも協力してくれることになってます」
「そうですかそうですか。そうなると、朝の点呼以外では初めてとなるクラス一丸となった暗殺になるわけですね?」
「そうなります」
寺坂たちも説得して来たことを伝えると感心したように頷き、俺たちが説得材料として用意して来たクラス一丸となった暗殺と言う単語を出された。
恐らくは殺せんせーに会話を誘導されているのだろう。もしくは俺たちがどんな風に会話を締めようとしているのかを確かめているのか。
どちらかは分からないけれど、俺なりの回答をする。
「この学級が始まって1ヶ月が経とうとしてますし、修学旅行も控えてます。ここらでクラスメイトたちの親睦を深める為にも全員で何かをしたいんです。例えば、地球を滅ぼす超生物の暗殺、とかね」
「なるほどなるほど。確かにクラス一丸となるには十分な目標です」
そこまで言うと殺せんせーは顔を緑のしましまに染めた。
舐められてる。けど、この声色で分かった。
「ヌルフフフフ、やれるもんならやってご覧なさい! というわけで、良いでしょう。明日の学活は楽しみにしてますよ」
殺せんせーが了承してくれたと、一足早く。
ほんの少し、教師を説得するという仕事に緊張していた俺を労う様に磯貝がポンと肩を叩いてくれた。
はい、後書きです。
次話、いよいよ圭一主催の暗殺です。
はて、どうなることやら……