暗殺教室 不良児は認められたい   作:ZWAARD

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皆さん、ご愛読ありがとうございます!

なんとか出産できたので二日続けて投下してみます!
一応読み返してみたんですが誤字が心配……!

——追記——
誤字報告ありがとうございます!


13話 集会の時間

 

「あーあ、来ちまったよ、全校集会」

 

「だな」

 

「面倒くさいな〜」

 

 先頭を歩く磯貝がその後ろで早く前原の愚痴に同意して、その横を岡野が苦笑しながら歩く。

 俺は片岡にこの前の小テストの難問の解き方を教わりながら彼らに続いて歩いた。

 ちなみに、全校集会が億劫なのは俺も全面的に同意だ。何故かって? 面倒な奴が絡んでくるからだよ。

 

「なんだよ、乃咲? 勉強か?」

 

「あぁ。この前の暗殺の後からやる気がまた出てきたんだ。なんつーか、殺せんせーを見返してやりたいって言うかさ」

 

 勉強を教わっていると前原が歩くペースを落として俺の持っていた50点の小テストの答案を見て揶揄う様に喋りかけて来たので、経緯を話してやる。

 すると、磯貝が予想しなかったことを言い出す。

 

「お? "銀の秀才"の復活か」

 

「磯貝くん、その銀の秀才って?」

 

「一年の時、浅野とやり合ってた頃の圭一の渾名だよ。まあ、A組の中でしか呼ばれてなかったけど」

 

「ちょっと待て、俺、その渾名聞いたことないんだが!?」

 

 知らない渾名がまた飛び出して来た。

 何それ、聞いたことないんだけど。

 なんでどいつもこいつもそんな渾名付けてくるわけ? 俺何かした? 一年の頃はただ勉強してただけ。去年から今年にかけてはただ喧嘩してただけなのになんで秀才やら死神やら渾名が付く訳? 

 

「当時は小テスト含めてテストで満点が当たり前、その上に話しかければ人当たりもいい。けど勉強の片手間に友達と談笑してる姿から圭一が秀才」

 

「そうそう、浅野くんは学校では必死に勉強してる姿が見えないから天才って呼ばれてたもんね」

 

「浅野なぁ……」

 

 浅野学秀。当時の俺にとっての目の上のタンコブ。多分、一方的に俺が奴をライバル視してただけなんだろうけど、俺のE組への転落は彼に負けたことから始まったと言っても過言ではない。

 当時の俺は小学校からずっと1位で有り続けた自信と努力に対する自負があったから、誰にも負けないと言う自信があった。

 それまで誰にも負けたことがないという実績もあったから天狗になっていたと言っても過言ではない。

 そんな時に本物の天才、浅野学秀が目の前に現れ、俺はアイツを目の敵にして努力を重ねた。

 努力をした結果、というか、努力し過ぎた結果流石に体調も崩し、俺は二学期の実力テストで2点差で彼に敗北。そっから親父との関係の拗れが発生したことでやる気を無くしてしまったのだ。

 

「あの頃は浅野とも仲良かったのになぁ」

 

「何処が」

 

「勉強教え合ってたじゃん」

 

「あれは教え合ってたんじゃなくて、アイツにマウント取れる要素を探すために当時の最難関問題をアイツに投げつけてただけだよ」

 

「乃咲って意外とガキだったのね」

 

 岡野の呆れたような呟きが胸に刺さる。

 うん、本当にガキだったと思う。

 

「つーか、雑談してないで足動かそうぜ? じゃないとその浅野からまた手酷い差別受けることになるぞ」

 

「あーっ! そうだったぁ……」

 

「だな、この前遅れた時は本校舎の花壇への水やりだったっけか」

 

「あー。あん時は大変だったな」

 

「お前が遅れたからだけどな、前原」

 

 うちのイケメン2人が爽やかに笑い合う中で、岡野が耐えきれないと言った様子で大爆発した。

 

「あーんもうっ! どうして私たちだけこんな目に遭わなきゃいけないの──っ!!?」

 

 俺たちE組は本校舎の連中からエグい差別を受けている。それは生徒も教師も例外ではない。

 そもそも、この学校に入学する時にこう言う制度があることは説明を受けてたし、それに対する抗議は行わないなど誓約書も書かされた。

 そんなある意味では保護者同意の下で受ける差別は本当にエグい。

 

 部活禁止から始まり、エアコンなどインフラが整ってる本校舎に比べて扇風機一つない隔離校舎、普段は用なく本校舎への立ち入り禁止だったり、この全校集会へ参加への移動もまた差別の一つ。

 

 本校舎から隔離校舎への距離は約1km。そんな距離の山道を昼休みを返上して移動しなければならない。

 昼休みと言えば昼食を取る時間だろう? そんな昼食の時間を削ってまでの移動である。

 春や秋ならまだ移動しやすいが、夏や冬は地獄だ。

 その上、他の学年や学級の連中よりも早く整列して無いといけないわけだからな。

 

 それでもまあ、春でもトラブルは付き物だが。

 

「よう、お前ら」

 

「岡島、千葉、三村」

 

「お前らも急ごうぜ?」

 

「あぁ、そうだな」

 

 山に流れる小川。そんな小川を渡る小さな橋を渡ろうと岡島が足を踏み出した瞬間、バキっと不吉な音が鳴った。

 

「あっ」

 

 岡島の足下の板が割れた。

 さらば、岡島。お前のことは忘れない。

 

「助けて乃咲ぃ!」

 

「ちょっ、おまっ!?」

 

 川に流される直前、岡島の奴が俺のズボンの裾を掴みやがった。思いの外に川の流れる力が強いのか、俺の足は滑る様に川のほうへとズレて行き、ジャボンと川に落ちてしまった。

 

「ちょっ、岡島!? 圭一!!?」

 

「磯貝ぃぃぃ──!?」

 

 俺は岡島に巻き込まれた。

 

⬛︎

 

⬜︎

 

⬛︎

 

 辛うじて川の岸まで寄り捕まった俺たちは本当になんとか流されるギリギリで止まることに成功した。

 

「だ、大丈夫か、岡島」

 

「だ、大丈夫。すまん乃咲」

 

 ヘトヘトになりながら川を上る。

 

「やべぇ。何処に流されたかわからねぇ!」

 

「でも一応は学校の敷地内だし、危ない道はそうそうないだろ。走るぞ!」

 

 俺たちが遅れたからと言う理由でクラスメイトたちに迷惑を掛けるのは忍びないし。

 ひとまずは岡島を伴って走り出す。

 

「「「きゃー!!?」」」

 

 矢田さんたちの声が聞こえた。

 とりあえず正道に戻れたらしい俺たちは茂みから飛び出すのだが、そこには何故だか、無数の蛇がいた。

 

「「へ、蛇!!?」」

 

 何故だか蛇が全部俺たちの方を見ていた。

 首を立てて舌を出す攻撃姿勢を取る蛇たちは一気に俺と岡島に飛びかかって来たので避ける様に走り出す。

 

「「「岡島くん、乃咲くん!!?」」」

 

 なんかすっごい災難に巻き込まれてる気がするが、ひとまずは道なりに走る。めちゃくちゃ頑張って走る。

 

 すると今度は崖上から落石。

 インディージョーンズか何かに有りそうな丸い岩がゴロゴロと転がって来た。

 

「おい!? この学校おかしくねぇか!?」

 

「いや、今日に限っておかしいだけだろ!?」

 

 普段、岩とか川とか渡って通学してた覚えないんだけど。なんか今日1日で学校が様変わりした様な気がするのは俺だけなのかな。

 

「「「乃咲、岡島ぁぁぁぁ!」」」

 

 あ、寺坂いたのかよ。

 村松に吉田、狭間さんまで? 

 

 まあ、それでも気づいたところでどうしようもないので走って逃げ続けるしかないのだがなぁ。

 

 必死こいて走り続けた。

 

「誰だよ!? 蜂の巣刺激した奴!?」

 

 杉野の叫び声が聞こえる。

 なんだか、嫌な予感がする。

 

「どわぁぁぁ!? 蜂だぁぁぁぁ!!?」

 

「バカっ、大声出すな岡島ぁぁぁ!」

 

 大きな音に刺激されたらしい。蜂が攻撃態勢で俺や岡島の方に突っ込んでくる。

 解せぬ、蜂は白い奴は攻撃しないんじゃなかったのか!? 俺の銀髪は効果なしなのか!? 

 

 祖父母や母の知り合いからお母さんに似てると言われる以外だと唯一のメリットだった蜂に襲われずらいって項目が今日、頭の中から削除されてしまった。

 

「「「乃咲、岡島ぁぁぁぁぁあ!!?」」」

 

「誰か助けてくれぇぇぇ!」

 

 叫ぶ岡島に全力で同意した。

 

 そして走ること数分後、俺たちは漸く本校舎へと辿り着いた。岡島は虫刺されや蛇に噛み付かれたあとなど、無数の傷を負ったが、俺は川に落ちた時に制服が濡れたくらいですんだのは奇跡だったな。

 

「大丈夫か、岡島」

 

「あ、あぁ。大丈夫……。ってか、お前、よく息切れしてないな」 

 

「烏間先生に鍛えられてるからな」

 

「さ、流石だぜ……」

 

 ゼーハーゼーハー言ってる岡島を尻目に制服に着いた汚れを落としているとゾクゾクとクラスメイトたちが山から降りて来た。

 皆んな疲労困憊って様子だ。

 

「くそっ、なんで俺らだけ……」

 

「言ってる場合か、ほら、折角早く来たんだから並ぼうぜ。また学校全体の花壇に水やりとか勘弁だ」

 

 まだ休みたいだろうに渋々動き出す面々。

 俺は彼らに続いて移動して、体育館に入る。

 

 さて、今日に関しては遅刻はいない。罰喰らうことはないだろう。まあ、カルマは欠席しているが、仮病でも隔離校舎で休んでる奴にとやかく言う奴はそういないだろ。

 

「うわ、今日も早いですねぇ」

 

「俺たちはああなりたくないよな」

 

 横からぶつぶつと聞こえる野次、直接絡んでくる輩を無視したり、あしらったりしているうちに漸く集会が始まった。

 ちなみにE組の連中が全校集会を嫌がる理由は実を言うとあの長距離移動だけではない。

 集会が始まるまで投げられ続ける野次、そして集会に出席した全校生徒と教師陣からイジメ、過剰とも取れる弄りを受けるからだ。

 

「皆さんは全国から選ばれたエリートです。ですが……どっかの誰かさん達みたいにしょうもない人達もいます。エリートの皆さんは彼らの様にならない様に!」

 

「「「あははは!!」」」

 

「「「きゃははは!!」」」

 

 ちなみに、笑い声の前のセリフはこの学校の教頭のセリフである。これだけでこの学校の異常性がわかるだろう。

 何も集会でこういう言動をしているというアンチE組の様なムーブをしている訳ではなく、素でこの言動をしているのだ。

 異常なのがよく分かるだろう。

 

「続いて生徒会からの発表です」

 

 司会がそう言うと同時にようやく野次が止んだ。これで漸く少しは静かになるだろう。

 集会中に静かにするなんて小学生でも出来ることができない連中になんてこう、偉そうにものを言われなきゃいけないんだろう? 

 

「え、なにあの先生?」

 

「シュッとしててかっこいいー」

 

 なんかまた五月蝿くなってきた。

 

「どうも、E組の担任の烏間です。普段は隔離校舎にいるのでご挨拶が遅れました。この場を借りてご挨拶させて頂きます」  

 

 なんだ。烏間先生か。

 

「いいなー。うちの校舎、男子レベル低いから羨ましいー」

 

 だろ、俺らの烏間先生かっこいいだろ? とか思ってるとカツ、カツと鳴り響くヒール音。誰だろう? 

 

「なんだ!? あのハリウッド女優見たいな先生」

 

 ビッチ()である。あの人、体育館の中でまだヒールなのかよ。せめてスリッパに履き替えろよ。

 

「あ、渚〜」

 

 しかも渚に絡み出したし……。

 

「あ、見て見て烏間先生〜!」

 

「ナイフケースデコッたんだー」

 

「可愛いでしょー!?」

 

「可愛いのは良いからここで出すな!? 暗殺のことは内緒なんだぞ!?」

 

「「は、はーい」」

 

 烏間先生ぇ……。

 アンタ、やっぱり苦労人なんだな。

 ていうか、どいつもこいつも集会中なんだから前見て静かにしてろよ……なんでこれ見よがしに騒ぐかね。

 

「はい、生徒会活動についてまとめたプリントは行き渡りましたね?」

 

 プリント? そんなの貰ってないけど? 

 隣と後ろにそんなの渡されたか? と確認するが、誰も首を縦に振らない。

 

「あの、E組の分まだなんですけど」

 

 磯貝が最前列で指摘するが、返ってくるのは……。

 

「あら、ごめんなさーい。E組の分、忘れちゃった見たい。すみませんがE組は全部記憶して帰って下さーい」

 

 そんな無責任な言葉とギャハハという品のない笑い声。そんな連中につい、俺も思わず溢してしまう。

 

「はっ、大事な集会で使うプリントを1クラス分まるまる忘れるとか、記憶力弱いのはどっちだかなぁ」

 

「なっ!?」

 

「おっと、すんません。集会中なのに大声出しちゃいました。すみません。あぁ、でも問題ないか〜。集会中に静かにするなんて当たり前のことができない奴らの集まりだもんなぁ」

 

 俺の一言に静まり返り、シーンとする体育館に響く様に言ってやると慌てて来たどっかのクラスの先生が俺の腕を掴んだ。

 

「……乃咲、お前か。ちょっと来い」

 

「はーい」

 

 俺は教師に捕まり、職員室まで連行された。

 

⬛︎

 

⬜︎

 

⬛︎

 

 本日も理不尽なり。

 ただ事実を語っただけなのに、教師陣から『E組のお前が悪い』と言われる始末。

 ちなみに、俺は集会のたびにこうして野次を返しては職員室に連行され、説教されていた。

 

「あの、6時間目に間に合わなくなるので帰って良いですか」 

 

「……はぁ。もういい。行け」

 

「ありゃっとございました〜」

 

 こう言っておけば必要以上に先生たちに絡まれることはない。何事よりも学業優先としてあの校舎に送ったんだから、勉強に遅れると言っておけば引き止められはしないのだ。

 説教とか言っても大してありがたい話はされていないが、ここで感謝の念を伝え忘れてはならない。ので、適当にお礼を言って職員室を出る。

 

 職員室常連の俺やカルマはこの手でいつも集会をサボるか、途中で抜け出している。

 お陰様で野次を返してからの先生方の対応も早い早い。手慣れてる感じが既に出てる。

 まあ、このサボりと抜け出し方の一覧の動作はカルマの方が軽やかでしなやかなんだけど。

 

 時間的に全校集会も終わったところだろう。

 どうせ次の時間は移動時間を考え見た結果、道徳にしようって話になっていたので、急ぐ必要はない。

 

 などと思っていると、渚がいた。

 

 なにやら、絡まれてるらしい。

 

「おい、聞いてるのか、渚! 殺すぞ!」

 

「——殺そうとしたことなんてない癖に」

 

 おおう、渚が他の組の連中を押し除けて歩いて行くぞ。どうなってるんだ、これ? 

 なんか今の渚から凄みを感じたぞ。

 

 ただ、絡まれてるのなら助けたほうがいいかと思ったのだが、どうやら俺の取り越し苦労だったらしい。

 少し安心して渚の後を追いかけようと足を一歩、前に踏み出したその時、背後から聞き覚えのある、懐かしい声に呼び止められた。

 

「圭一」

 

 鼻持ちならないといえば言い過ぎだが、少しばかり気取った声音に聞こえる上擦った声。

 今の所は磯貝くらいしかしない下の名前での馴れ馴れしい呼び捨てでの呼びかけ。それをする奴はアイツ以外だと1人しかいない。

 

「なんだ、呼んだか? 浅野」

 

 カルマほど真っ赤ではないがそれなりに茶っ気のある赤毛を短く切り揃えたい男子。この学校に入学してから常に頂点に立ち続けた、俺たちの学年のみならず全国模試も1位をキープしている、俺がかつてライバル視していた男。

 振り向いた先にいたのは浅野学秀その人と、その他の取り巻き4人だった。

 

 なんだ? どうしてここで呼び止める? と思ったのだが、そういえばコイツ、生徒会長だったことを思い出し、俺が集会中に退場させられたことを咎めに来たのだと思い当たる。

 というか、浅野が集会の後に絡みにくるのはいつもの事だった。E組に落ちる前から変わらない。コイツは謎に俺に絡んでくる癖があるのだ。昔から。

 

「集会中に大声を出して周りの生徒を挑発するな」

 

「とか言うなら集会中に騒ぐあの馬鹿どもを生徒会長として注意するのが先なんじゃないのか? 俺は集会中は静かにするもんだってのを皮肉ってやっただけだぜ? あと、1クラス分のプリントを忘れるような無能が生徒会にいるのはどうなんだ?」

 

「なっ、言わせておけば!」

 

 浅野の取り巻きが発狂する。

 目に見えて怒ってる。血管ピクピクで殴りかかってくる寸前。まあ、万年最下位にこんな風に煽られたらそりゃ怒るか。

 

「俺たちは常に総合5位以内に入っているんだぞ! お前みたいなド底辺に馬鹿とか無能呼ばわりされる筋合いはない!」

 

「学術的な馬鹿じゃないのに無能って奴いるよな。テストで満点、実技で3点みたいな奴。東京大学行ったからって仕事できるようになるのかよ? 頭でっかちが」

 

「くっ! この!」

 

 取り巻きが胸ぐらを掴もうと一方的前に出てくるが、浅野がそれを片手で制すると大人しく引き下がる。

 所詮は腰巾着か。悔しそうに下唇を噛むその姿はなんと言うかハマり役というかよく似合っている。

 と言いたいが、言ったら絶対に暴力沙汰になるのであえて煽るような事はこれ以上言わない。

 

 浅野は浅野でため息を吐きながらソイツを黙らせると呆れたように俺を見て口を開く。

 

「確かにお前の言う通りだ。アレはイジリではなく、イジメだな。荒木、資料くらいは普通に配ってやれ」

 

「浅野くんまで……というか、それさっきも言われたし……。E組の肩持ちすぎじゃないかい?」

 

「我々は生徒会役員だ。彼らもこの学校の生徒である以上、選挙への投票権や意見を述べる権利を持つ生徒会の一員であることに変わりない。であるなら僕たちくらいは中立であるべき。違うか?」

 

「わ、分かったよ」

 

「と言うわけだ。すまなかったな、圭一」

 

「……いや、こっちそ大声で言うべきことではなかったな。すまん」

 

 浅野は何を考えているのか分からない。

 ただ、完璧に善意であるとは思っていない。コイツは昔から何を考えてるのか想像しづらい。

 この学校の生徒に対する絶対的な支配者である癖になぜ、落ちぶれた奴にこんなに絡んでくるのか。それが理解できない。

 

 誰に対しても明るい声、表情で柔和に接する生徒会長。初めて参加した生徒総会では当時1年でありながら当時の生徒会長に推薦される形で会長職に立候補。それ以降、3年間生徒会長の職務を全うし続けているカリスマの持ち主。

 彼の何が俺にこんな絡み方をさせているのかさっぱり理解できないことから、自分の中では浅野学秀という男は珍獣のような扱いだ。

 

「話は終わりか? そろそろ校舎に戻りたいんだが」

 

「そうか、引き留めてすまなかったな。次のテスト、期待してるぞ。頑張ってこっちに戻って来てくれ」

 

「それ、本音で言ってる?」

 

「勿論だとも」  

 

「あ、そう」

 

 これだ。集会がある度にこうやって煽ってるのか、本音なのか、分からないセリフを残して奴は去って行くのだ。

 なぁ? 真意の読めない奴が絡んで来るって本当に面倒臭いのだ。億劫にもなるだろう? 

 俺は首を捻り、ため息を吐きながらE組校舎へ向かって歩き出す。

 

 浅野との因縁、どっかで決着つくのだろうか? 色々と考えると思わず追加でため息が溢れた。

 

 

 

 

 




後書き

はい、後書きです。
圭一と浅野くんの関係に関してはもうちょっと話が進んだから過去編みたいな感じで出そうと思います。

過去編第一弾が圭一視点の過去、第二弾が磯貝〜見たいな感じになるかな?もしかするとそこの順番は入れ替わるかも……。

何はともあれ、ご愛読ありがとうございます!
次回もぜひいらして下さい!
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