暗殺教室 不良児は認められたい   作:ZWAARD

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それから高評価・誤字脱字報告下さっている方々、誠にありがとうございます!

皆さんの応援を受けつつ今後も妄想を投下し続けますので、よろしくお願いします!


15話 第二の刃の時間 その1

 

 翌日から殺せんせーは燃えていた。

 その証拠に1時間目から6時間目にかけて全ての時間で高速強化テスト勉強を行うと宣言し、ざっくり1人につき5人くらいの分身を用意して、朝からやる気に満ちていた。

 理由は言わずもがな、昨日の理事長とのやりとりにあるだろう。言ってしまえば、殺せんせーの教育論を真っ向から否定された様なものだから、ある意味、プライドを傷つけられたのかもしれない。

 

「今日はもっと増えてみました」

 

「いや、増えすぎだろ!?」

 

「昨日の今日でなにがあった!?」

 

 前原と杉野のツッコミが今日も冴える。

 そんな中で俺は一つ、気になった。

 

 殺せんせーは昨日、成績も待遇も最底辺だとこのクラスを評した割に、一度もE組という制度は否定しなかったのだ。

 それはどう言うことなのか、俺は少しだけ考えるが、まだ、答えは出せない。

 

 だから代わりに勉強に少しでも集中しよう。

 今の俺に出来るのはそれくらいだ。

 

 それに昨日、理事長の持論を聞いて、家に帰って、風呂に入りながら考えた事がある。

 あの人は未来を見ていた。誰が暗殺に成功した後のことを考えていた。俺はその点に関しては全く考えていなかったというのに、ある意味で暗殺にノータッチな部外者の浅野先生の方が深く暗殺のことを考えていたことになる。

 それが少しだけ悔しかった。

 

 例えばこの前の合同暗殺が成功していた場合、俺たちの手には何が残っただろう? 

 山分けした賞金と殺せんせーを殺した達成感や皆んなでやり切った充実感。それくらいしか残らないんじゃないだろうか? 

 

 成績は最底辺のまま、金はあるけど生きてく術がない。そんな状況に陥っていたんじゃないのか? 

 少なくとも今年の前期の実力テストで5教科あわせて100点とかやってた俺ではまともな高校に入れずに、金を使い果たして野垂れ死ぬ可能性もあったんじゃないだろうか? 

 

 それでいいのだろうか? 

 今、こうして勉強を教えてくれてる殺せんせーを殺せたとしても同じ事が言えるだろう。

 

 俺たちは……少なくとも俺は、暗殺に成功してしまったら破滅する未来しか見えない。

 だったら、せめて普通の成績くらいは取らないと。今後、苦労する事が分かっているんだから。

 

「殺せんせー、ここの問4なんですけど」

 

「おお、もうそこまでやってましたか。キミは飲み込みが早いですね。普段は勉強に向いてなかった地頭の良さがようやく勉強に向き始めた様に見えます。なにか心境に変化でも?」

 

「昨日、理事長先生の言葉を聞いて思ったんです。暗殺計画を立てた癖に俺は殺せんせーを殺せた後のことを深く考えてなかった。賞金があるからどうにかなるだろうと、漠然としたことしかね」

 

「ほうほう」

 

「けど考え直したんです。殺せんせーを殺した賞金はあるけど低い自力のせいで底辺高校に入学しました、底辺企業に就職しましたじゃあいずれ野垂れ死ぬんじゃないかって。だからまあ、そうならない為にも勉強はするに越したことはないと思ったんです」

 

 殺せんせーに褒めてほしいとか思ってた事は言わない。それで緑のしましま顔になられてもムカつくし、調子に乗られたら更にムカつくから。

 

「ヌルフフフフ、いいですねぇ。乃咲くん。最初の頃の人とのコミュニケーションを避け、のらりくらりしていた頃に比べて実に先生好みに仕上がってきています。烏間先生が体育教師になった辺りからキミは変わり始めた」

 

「気持ち悪い事言わないで下さい」

 

「照れ隠しですね? けれど、事実、キミは優秀だ。地頭の良さ、皆を纏めた指揮能力、人並外れた集中力に加えてキミは今、第二の刃を研ぎ始めている。先生はそれが実に嬉しい」

 

 第二の刃か、そう言えば、杉野が暗殺失敗したときにそんなことを殺せんせーが言っていた気がする。

 たしか、暗殺に失敗した時、咄嗟に使える武器を持てって話だったかな。万に通じた殺し屋と一つしか極めてない殺し屋の優劣の差について話している時に俺は、『万に通じている方が切れるカードが多いから優れている』みたいなことを言った。

 

 なるほど、暗殺を第一の刃とするなら勉強は第二の刃なんだろう。あの時の俺は意外と殺せんせーとの問答の本質を見抜けていたのかもしれない。

 

「ふむ。乃咲くん。少しテスト範囲から逸れてしまいますが、次のページの問1をやってみませんか?」

 

「次のページですか?」

 

「えぇ。次のページでやる問題は今回ページの応用ばかりです。進学校だと偶にあるんですよ、教えてないけど生徒の応用力を測る為に敢えてそういう問題を出すことがね」

 

「分かりました、やってみます」

 

 殺せんせーに言われるがまま、問題を解く。ちょくちょくゾーンに入りながら自分の中では時間をかけて、出来るだけ丁寧に。そうこうしているうちに数学のテスト範囲に関しては1人で全問解ける程度には頭に詰め込む事ができた。

 ひたすらに頭に数式を頭に詰め込む作業は久しぶりだ。ただ、やる気を取り戻した俺の頭は予想以上に働きたがっているらしい。俺の脳はようやく無職ではなくなったようだ。

 

 思えばやる気がないからと言って全く勉強しないというのも良くない話だったのかもしれない。

 何を隠そう、俺たちの職業は学生なんだから、勉強しないってのはある意味で職務放棄してるようなもんだ。ある意味ってか、完璧に職務放棄か。

 

「よぉし、ではこの調子で少しばかり教科もテスト範囲の先取りをしましょう。次は国語ですね」

 

「了解です」

 

 こうして俺たちのE組は6時間目の終わりまで色んな教科を詰め込み続けるのだった。

 テストは明日。殺せんせーのお陰で今回のテストは前回までの成績を大きく上回る結果を残せるだろう。

 

 そんな確かな手応えを感じていた放課後。

 俺たちは今後のE組生活を掛けた大きな賭けをすることになるとは今はまだ考えていなかった。

 

⬛︎

 

⬜︎

 

⬛︎

 

 息も絶え絶え。ぜぇぜぇと息切れしている殺せんせーにクラスのみんなが少し困った様な顔をする。どうしてそこまでするのかが分からなかったからだ。

 

「流石に相当疲れたみたいだな」

 

「1人につき5人の分身だからね」

 

「今なら殺れるんじゃないか?」

 

 殺せんせーの疲労状況を見て、好き勝手に言う仲間たちに苦笑する。確かに今の殺せんせーは一見すると無防備にしか見えない。だが、攻撃を仕掛けたら仕掛けたで避けられるに決まってる。

 なんとなく、労いの思いを込めて、上気した触手や顔に向かってうちわを使って風を送り続けているが、きっと、この距離から暗殺を仕掛けてもこの人には躱されてしまうのだろう。

 

 大人しくうちわ係に徹していよう。

 そう心に決め、風を送り続けていると、岡島が何気なく問い掛ける。

 

「俺たちのためにどうしてそこまで一生懸命に勉強を教えようとするのかねぇ」

 

「ヌルフフフフ、君達の成績が上がれば私の教育手腕が認められて、殺し辛くなる。それに、もしかしたらナイスバディなお姉さん達に勉強を教えて、とせがまれる可能性も……!」

 

 それに対する殺せんせーの回答はなんと言うか、夢に溢れていた。ピンク色の妄想に本日2度目の苦笑い。

 ただ、そんな殺せんせーの妄想に対して、クラスの雰囲気はなんとなく不穏な物だった。いつもなら杉野辺りが『ねぇよ、そんな展開!』とツッコミ入れるところだったろうに返って来たのは三村からの諦めに近い声音の呟きだった。

 

「……いいよ、勉強の方は程々で」

 

「……だよね」

 

 そんな呟きにたまたま近くにいた矢田さんが反応し、同調し、不穏な空気がより一層強まる。いや、不穏というより、以前までなら居心地良く感じていた、『エンドのE組』特有のジメッとした空気が広がりつつあった。

 俺たちはエンドのE組だから何をしても無駄。そんなここしばらくは感じてなかった嫌な雰囲気。

 

「なんたって、暗殺に成功すれば賞金100億円だし」

 

「それに100億あればその後の人生バラ色だしさ」

 

「「「だよね〜」」」

 

「ニュャァ!? そんな考え方しちゃいますか!?」

 

 空気がどんどんジメッとしてゆく。

 そうか、少し前まで気づかなかったけど、俺がやる気を無くしている時もこんな空気だったのか。

 少し反省しないとな。

 

 などと思っていると、岡島と三村が決定的な一言を言い放つ。昨日の昨日の理事長の言葉を迎合する様な一言を、殺せんせーに向かって。

 

「だってさ、俺たちエンドのE組なんだぜ? 殺せんせー」

 

「成績も待遇も最底辺。そんな俺たちにとっては暗殺の方がよっぽど身近にあるチャンスなんだよ」

 

 いや、岡島や三村が言わなくてもいずれ誰かが言ったこと、そして誰でも思っていたことなんだろう。

 事実、杉野が野球での暗殺に失敗した時、俺も似た様なことを考えていたから気持ちは分かる。

 

 けれど、殺せんせーは違った。

 この人はこの場において俺たちの考え方とは対極にあった。それを裏付けるかの様に数秒前までは薄いピンク色に顔を染めた甘い妄想に浸っている状態だったのに、今は黄色い顔に戻った。

 

「——なるほど、よく分かりました」

 

 黄色い顔だが、声音が明らかに不機嫌なものに変わった。顔色は変わっていないけど、不機嫌なことは見てとれた。

 

「なにが?」

 

「今の君たちには……暗殺者の資格がありませんねぇ……。全員、校庭に出なさい。乃咲くんはイリーナ先生や烏間先生を呼んできてくれますか」

 

「……はい、了解です」

 

 なんとなく、殺せんせーが怒っている理由が分かった。それは、ついさっき、テスト勉強中の殺せんせーとの会話の中にあった。

 

 俺は言われた通りに職員室に向かい、先生2人を連れて校庭に出る。校庭に出た時、ビッチ先生も烏間先生もギョッとしていた。

 校庭の朝礼台をゆっくり引き摺りながら歩く殺せんせーを見て、不機嫌であることを悟ったのだろう。

 烏間先生は心なしか焦っている様にも見えた。

 

「イリーナ先生、プロの殺し屋である貴女に問います」

 

「な、なによ」

 

「貴女が暗殺を仕掛ける時、準備するプランは一つだけですか?」

 

「いいえ。本命のプランなんて失敗することの方が多いわ。予想外の出来事、不測の事態に備えて予備のプランをより綿密に作ることが暗殺の基本よ」

 

 殺せんせーからの急な問いかけに困惑した顔をするが、プロとしての仕事の内容を問われた途端にビッチ先生の顔が変わる。

 自分の仕事に自信と自負を持つプロの暗殺者の顔を持って答えたビッチ先生に殺せんせーは満足そうに頷き、彼は続けて烏間先生に問い掛ける。

 

「烏間先生。ナイフ術を生徒に教える時、重要なのは第一撃だけですか?」

 

「……いや。確かに第一撃は最重要だが、次の動きも大切だ。強敵が相手ならば初撃は高確率で躱されるだろう。だから、その後の第二撃、第三撃をいかに高精度で繰り出せるかが勝敗を分ける」

 

「結局、何が言いたいん——」

 

 殺せんせーの先生方への唐突な問い掛けに前原が先を急ぐ様に言葉を投げるが、彼の言葉を遮って殺せんせーが言う。

 

「先生方のおっしゃる様に自信を持てる次の手があるから自信を持った暗殺者になれるんです。そこのところを念頭に置いた上で、君たちはどうでしょう?」

 

 殺せんせーが踊るようにその場でくるくると回り出す。最初は緩やかに、そして徐々に加速しながら。

 

「『俺たちには暗殺があるからいいや』と考えて、勉強の目標を低くしている。それは目の前の劣等感から目を背けているだけです。困ったことにこのE組はよく出来ている。E組脱出の方法を明らかにすることでそれすら掴む事が厳しい状況に生徒達を置き、劣等感を煽っている」

 

 そう、このE組には一応の救済措置はある。

 それはテストで50位以内に入り、尚且つ元のクラスの担任が復帰許可を出すこと。けれど、それを掴める者は今のところいない。いないからこそ、E組である、という劣等感は大きくなるのだ。

 

「そんな君たちを置いて、先生がここから逃げ出したら? 暗殺のターゲットである私がこの後でなんらかの気まぐれで教室を去ったら? もし、先生が他の殺し屋に先に殺されたら?」

 

 クラスメイトたちの顔に危機感が宿る。

 

「暗殺という拠り所を失った君たちにはE組である、という劣等感しか残らない。違いますか、乃咲くん」

 

 ここで俺に問いかけてくる殺せんせー。

 その理由はさっき殺せんせーに言われた言葉に大きな理由があるのだろう。『キミは第二の刃を研ぎ始めている』きっとその第二の刃がクラスのみんなに必要だと言いたいんだ。

 

「違わないでしょう。仮にこのまま殺せんせーを殺せたとしても残るのは山分けして目減りした賞金と達成感。んで、取り残されるのがどうしようもない成績の低さ。賞金があるから何でも出来る、とか言って金を使い続けていつの間にか金が無くなり、野垂れ死ぬんじゃないんですか」

 

「そうですね、野垂れ死ぬかどうかはさておき、単独での暗殺が成功しない限りは賞金は山分け。湯水の様にあると思い込んでいるものこそ、いつの間にか無くなっているものですから」

 

 殺せんせーはますます加速する。

 最大でマッハ20まで出せる超生物は加速を繰り返し、風を起こし、校庭の砂や雑草を巻き上げながら巨大な竜巻が形を成して行く。

 

「今のキミたちは実に危うい。そんなキミたちに先生からアドバイスです。——第二の刃を持たざる者は暗殺者を名乗る資格なし!」

 

 竜巻は一気に膨張したかと思うと激しい風と土埃を撒き散らして霧散する。

 風と土埃の去った校庭に現れたのは、今までの雑草や整備不良で凸凹の溢れていた荒地のような光景ではなく。しっかりと雑草一本ない平坦で白線の引かれた一般校の校庭と比較しても遜色ないくらいに整備された手入れの余地のない見事な校庭だった。

 

 そんな学校の庭の中心にポツリと立っている1人のモンスターは自らの力の一端を誇示すると俺たちの耳に聞こえるように、けれど何処か呟くように三日月の口をゆっくりと開いた。

 

「校庭に少しばかり雑草や凸凹が多かったのでねェ。手入れしました。先生は……地球を滅ぼす超生物です。ここら一帯を平らにすることなど容易いことです」

 

「……」

 

 思わず息を呑む。殺せんせーのスピードの凄さは知っているつもりだったが、やろうと思えばここまでのことができるとは考えてもいなかった。

 こうして力の一端でも改めて見せられると自分達が殺そうとしている相手の異常性を否応なしに考えさせられる。

 

「もしも君たちが自信の持てる第二の刃を示すことができなければ……。相手に値する暗殺者はこの教室にはいないと見なし、校舎ごと平らにして先生はこの場を去ります」

 

 先生方とみんなが校舎と先生を見比べるように視線を向ける。平らになった校庭を見るとそれが如何に容易いことなのかを理解できる。

 クラスメイトたちが絶句する中で渚が口を開いて、殺せんせーに問いかける。

 

「第二の刃……、いつまでに」

 

「決まっています。明日のテストです。明日のテストでクラス全員50位以内に入りなさい」

 

「「「……!!?」」」

 

 渚の問いに対して帰ってきたのは、無茶振りとも思える要求だった。

 これは流石に無茶振りというか無謀だと思ったのだが、どうやら殺せんせーはそんな風には微塵も思っていないらしい。顔には50の数字を浮かべていた。

 

「君たちの第二の刃は既に先生が育てています。そして、先生は本校舎の教師達に劣るほどトロい教え方をしていません。自信を持ってその刃を振るって来なさい。君たちの最初のミッションです」

 

 俺たちの初めてのミッション。

 俺たちの初めての暗殺対象(ターゲット)は本校舎の同級生達ということなんだろう。

 

「ミッションを成功させ、笑顔で胸を張りましょう。君たちが暗殺者でE組であることに!」

 

 やはり、殺せんせーはE組の仕組みを間違っているとは言わない。どうせならいい環境のほうが教育だってしやすいだろうに。そこだけがやはり不思議だった。

 

「でもさ……」

 

 殺せんせーの言葉に未だに賛同できないクラスメイトたちは居る。そんな彼らは口篭る。

 それも当然だ。今までずっと最底辺にいた奴が急にそんな自信を持てるわけがないんだ。

 

 どうしたものか。

 考えるが、俺に出来ることなんてそんなにない。

 

 そう、そんなにないってだけでない訳じゃない。だから、出来ることをしてやろう。発破を掛ける。

 俺は不良なんだから、少しくらいドロを被ってやってもいいのかもしれない。

 

「……なあ、お前らさ、それでいい訳?」 

 

「……圭一?」

 

 磯貝が不安そうにこっちを見るが、気にしない。

 

「この前さ、ビッチ先生を追い出そうとした時にさ。お前らが言ってたんじゃん。勉強の邪魔だから出て行けって。なのにその勉強の成果を見せろって言われて尻込みするわけ?」

 

 チラッとビッチ先生を見るとクスリと笑い返される。いつもは年上の余裕みたいな感じで少し鼻に付くその態度が今回ばかりは頼もしく思えた。

 

「その通りね。私はプロとして仕事をする為に教師をすることを選んだわ。その発端になったアンタらが中途半端な結果しか出せないなんて許さないわよ?」

 

「な、何言い出すんだよ!?」

 

「チッ、偉そうに言うなよ。学年最下位の癖に」

 

「おう、学年最下位だ。んじゃ、寺坂。お前よりいい順位取ってやるよ」

 

「あぁん!!?」

 

 あーあ、やっちまった。

 とんでもない啖呵切っちまった。こんなの絶対に俺のキャラクターじゃないのに。

 クラスメイトたちからのヘイトを買ってどうするつもりだよ、俺。確かに不良扱いされてるけどさ、別に人から嫌われたい訳じゃないってのに。

 

「はぁ……。圭一、お前またそうやって」

 

「磯貝くん、またって——」

 

「磯貝、片岡。お前ら2人よりもだ。ここに居る奴ら全員よりいい点取ってやる」

 

「っ、言ったな!?」

 

 岡島や前原たちが俺の啖呵に過剰反応する。

 よし、少しは泥を被ってやった甲斐があった。

 

「出来なかったらここに居る全員に土下座しろよ」

 

「分かった。土下座でいいんだな? 寺坂」

 

「やれるもんならやってみな」

 

 こうして俺は、折角馴染みつつあったクラスの雰囲気をぶち壊し、一瞬で本校舎のみならずE組の中でもアウェイになったのだった。

 

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