暗殺教室 不良児は認められたい   作:ZWAARD

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予定通り投下します。
シングルベル万歳!

それはそうと
UA15500件、お気に入り490件突破と
沢山の高評価ありがとうございます!

シングルベール、シングルベール涙出る〜。  

——追記——
どうも、シングルベルで涙が枯れ果てた者です。
誤字報告ありがとうございます!


17話 旅行の時間 その1

 

 とあるテストから数日後の昼下がりのこと。

 

「ねぇ、乃咲。修学旅行、一緒に班組まない?」

 

 そんなありがたい誘いをしてくれたのは我らのマスコット、渚だった。しかし、そんな有難い誘いを受けた俺は苦々しく口を開く。

 

「ありがとう、でも随分前に磯貝に誘われてさ。ごめんな」

 

「あっ……うんん、気にしないで」

 

 渚がこんな誘いをして来た理由は一つ。

 来週から2泊3日の修学旅行が始まる。まだ班を決めていない連中はそれに向けての班作りをしているのである。

 

「ねぇ、乃咲くん。乃咲くんはどっか行ってみたい場所とかないの?」

 

 渚に申し訳なさを出しながら頭を下げてると倉橋さんたちがやって来る。どうやらもうどこに行きたいかを話し合ってるらしい。その辺の最終決定は6時間目の学活で決まる筈だが、気の早いこと……とは言うまい。それだけ楽しみにしている、と言うことだ。

 俺は少しだけ考えてみるが、京都に詳しい訳でもないので無難な選択肢しか思い浮かばなかった。

 

「清水寺かな」

 

「お、ベタな所を選んだねぇ」

 

「あとは祇園とか?」

 

「それも良いねぇー!」

 

「他は? 折角の修学旅行なんだからもっと自己主張しろよな、乃咲」

 

「ははは、頑張る……」

 

 ごめんよ、倉橋さん、矢田さん、前原。

 俺、マジで京都のこと何も知らねぇんだわ。ほんと、ありがちな所しか提案できなくてごめんね。

 

 とか思ってると、片岡に渚が詰められていた。

 どうやら班決めが終わってないのは渚と複数名だけらしい。やはり断ったのは少しだけ申し訳なかったな、と見守っていると、茅野や杉野、カルマ、奥田さんに神崎さんと組むことになったらしい。

 

 無事に班が決まった様で安心した。

 

「全く……3年生も始まったばかりのこの時期に総決算の修学旅行とは片腹痛い」

 

 っと、修学旅行ムードで明るい雰囲気のクラスに戒めの言葉を我らが担任が投下する……のかと思いきや、殺せんせーはマッハで姿を眩まし、戻ってくると舞妓の様な衣装に着替え、修学旅行で使い切れるのか怪しい大量の荷物を抱えて戻って来た。

 

「先生、あんまり気乗りしませんねぇ」

 

「めちゃくちゃノリノリじゃねぇか!?」

 

「ちゃっかり舞妓姿だしよ!?」

 

「しかも似合ってるよ!?」

 

 今日も杉野と前原、岡島のツッコミが冴えてるなぁ。

 

「バレましたか……正直、先生。キミたちとの旅行が楽しみで仕方ないのです」

 

 照れ顔しながら多すぎる荷物を片付け、着替えて戻って来た殺せんせーに俺と渚は苦笑した。

 

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⬛︎

 

「よし、素振り止め!」

 

 体育の時間。俺はいよいよ烏間先生に二刀流で挑もうと思っていた。両手を同時に動かす訓練もだいぶ積んだし、そろそろ実践で試してみる段階に持っていくのは有りだろう。

 

 ナイフの素振りが終わったら、烏間先生と簡単な組み手を行うことになっているが、俺はここで仕掛けようと思う。

 しかし、困ったことにナイフが一本足らない。普段、二刀での訓練はナイフ一本と適当な木の枝で行なっていたから。

 

 磯貝あたりに借りようかと思ったが、アイツは素振りしているし、男子連中は大体何かしらの訓練でナイフを使っているので、借りられるとしたら素振りも組み手もせず、烏間先生との組み手を見学している女子くらいだ。

 俺はたっぷり3分ほど悩み、一番話しやすい女子に声をかけることにした。

 

「倉橋さん」

 

「ん? なになに? どうしたの? 乃咲くんから話しかけてくるなんて珍しいね」

 

 倉橋さんとは前、通学中にたまたま出会い、そのまま2人で登校した事があるので声をかけるハードルは低い。修学旅行も同じ班だからね。

 片岡も見学してるなら片岡から借りたんだけど、彼女は男子に混ざって素振りしてるしから声かけられないし、邪魔しても悪い。

 

「ごめん。申し訳ないんだけど、ナイフ貸してくれないかな。烏間先生との組み手で使いたくて」

 

「あれ? 乃咲くんのは?」

 

「持ってるけど、2本で試してみたい事があるんだよ。男子から借りようと思ったんだけど全員素振りか男子同士で組み手してるから頼み辛くて」

 

「あ、そゆことね。良いよ〜」

 

「ありがとう」

 

 事情を話すと快く貸してくれたのでお礼を言いながらナイフを受け取る。受け取ったナイフを右手に握り、自分のナイフを左手に仕込む。

 これで準備は出来たので烏間先生の下へ向かう。

 

「烏間先生、次は俺と頼みます」

 

「乃咲くんか。良いだろう」

 

 こうして授業中に烏間先生と向かい合うのは実は久し振りだったりする。烏間先生には放課後、個人的に訓練を付けてもらっているから、授業中の組み手は他のクラスメイトたちに譲っていたから。

 んで、そんな俺が烏間先生と向き合っているのを目敏く見つけた男連中が物見遊山的に寄ってくる。

 

「なんだ? 乃咲が烏間先生とやるのか?」

 

「へぇー。見てみようぜ」

 

 俺が放課後、烏間先生に訓練をつけてもらってるのはクラスメイトのほとんどが知っている状態。半ば周知の事実と化している。

 だからか、普段、烏間先生と誰かの組み手を見学してる奴に加えて今回はギャラリーが多かった。

 

「烏間先生、今日はどんな手を使っても殺す気で行きます」

 

「ふっ……。その気概で良い。本気で来い」

 

 少し余裕そうに微笑を浮かべる烏間先生。

 今日こそ彼に一撃入れる。

 

 そう心に決め、俺は一歩、鋭く踏み込んだ。

 踏み込みながら繰り出す突き。この前、殺せんせーから鋭く重い良い突きと評された渾身の突きを放つが、烏間先生は半歩身を逸らして交わす。

 もう一度、今度は距離を詰める様に踏み込み、躱されたナイフを横薙ぎに振り抜く。これもまた、半歩下がって躱された。

 

 紙一重での回避、しかしそれは危なげを感じさせる紙一重ではなく、俺のリーチと斬撃と突きの速度を把握し切った上での神業的な紙一重。

 こうして対峙するとやはり自分の理想の高さと言う奴を見せつけられている様な感覚を覚えるが、同時に心の中で理想にした人が間違ってなかったことを実感できて嬉しさも感じた。

 

 その後も右手で斬撃を繰り返し、時折り、左手での打撃を混ぜる。殺せんせーに貰った訓練ノートのお陰で今の俺は両利きとまでは行かずとも、左手で板書を取っても読める程度の字を書ける位には左手も器用になることができた。

 無論、そんなこと、烏間先生にはお見通しだ。当然。だって、烏間先生との訓練で左手も使う様になっているのだから。

 

 けど、今日はいつもと違う。

 それは左手にナイフを仕込んでいること。

 

 烏間先生にはパターンがある。

 ナイフは紙一重で避けるが、拳での攻撃は腕で逸らして防ぐのだ。当然、勢いよく振るった拳を逸らされれば体勢を崩す。それが普段の敗因だが、今日はそれをあえて狙う。

 

「フンッ!」

 

 気合いを込めて拳を振る。左足で踏み込み、勢いを殺すことなく振るった拳はやはりいつもの様に逸らされる。いつもであればそのまま背中を押されて態勢を崩して敗北する流れだが、今日は違う。

 攻撃を逸らされた勢いを殺すことなく、更に2歩、踏み出して左手に仕込んだナイフを握り、烏間先生の胸板目掛けて振る。

 

「ほぅ……!」

 

 しかし、避けられた。

 だが、それは普段の紙一重の半歩下がった避け方ではなく、バックステップでの明らかな離脱。

 初めて取らせた明らかな警戒姿勢に思わず手を止め、喜びの雄叫びを上げそうになるが、そこをグッと堪えて、今度は二刀での追撃を行う。

 

「距離を取った相手を見送るのではなく、瞬時に追撃するのは見事な判断だ」

 

「ありがとうございますっ!」

 

 右のナイフを右へ振ったのなら、左のナイフはさらに踏み込んで右から左へ、振り下ろしを避けられたのなら、避けられた分の距離を詰めて別手で握ったナイフを振り上げ、それも避けられたのなら、また踏み込み、逆手で横薙ぎ。

 

「っ!」

 

 繰り返すうちに攻撃は何度か、烏間先生の腕に掠る。浅く、本当に掠った程度ではあるが、攻撃は確かに数回、烏間先生を捉えている。

 しかし、組み手は終わらない。

 違う、俺が終わらせようとしない。俺は言った、殺す気でやる、と。ナイフが掠っただけで死ぬ奴は居ない。だから続けることを選んだ。

 烏間先生も俺が止める気がないのを見て何かを察してくれたのか、また微笑を浮かべて構えを取り、引き続き組み手を続けてくれた。

 

 いや確かに続けてくれたが、今までの俺の攻撃を避けるか逸らすかしかしない組み手ではなく、ナイフを袖から引き抜き、俺が隙を見せた時に反撃する模擬戦という形での継続だ。

 俺は放課後の訓練以外、俺の対人術の組み手以外で初めて、烏間先生に反撃させる所まで持ち込んだ。

 

 それだけでガッツポーズ取りたくなるが、反撃してくる烏間先生に対してそんな余裕があるはずもなく、寧ろ反撃されるようになったことで俺はどんどん確実に余裕を失ってゆく。

 

「ふっ……!」

 

「くぅっ……!」

 

 烏間先生の攻撃は重いし、早い。

 反撃されるようになり、何度もゾーンに入り、辛うじて攻撃を躱す。烏間先生のナイフが俺に掠り始める。

 烏間先生の防御テクニックをパクって攻撃を防ぐが、全て紙一重。彼の様に神業的な紙一重ではなく、本当に辛うじて躱しているという意味でだ。

 

 まずい。反撃の隙が見当たらない。

 このままでは負ける。

 

 なんとか攻撃を試みるが、全て防がれる。

 本日何度目かのゾーンに入り、思考する。

 

 攻撃は全て防がれる。

 反撃は防ぐので精一杯。

 烏間先生に隙はない。

 

 なら、隙を作るしかない。

 どうやって? 

 

 烏間先生の意表を突く。

 意表を突くというのは、予想を超えた動きをすること。烏間先生にとって、模擬戦中に相手にとって予想外の動きとはなんだ? 

 考える。相手の意表を突く行動、戦闘中に意表を突く行動ってなんだ!? 

 

 攻防を繰り返しながら考える。

 そして、俺は、一つの答えに辿り着く。

 試すには肉薄するしかない。

 

「烏間先生! 最後の攻防、行きますよ!」

 

 烏間先生が攻撃してくる中で、更に踏み込み、ナイフを振る。防御を捨てて全攻撃の姿勢へ。

 

 俺は烏間先生の反撃を掻い潜りながらナイフを振る。

 

「くっ……、やる様になった」

 

 烏間先生が口を開いた瞬間、隙が出来た。

 俺はその瞬間にナイフを振る。ナイフを振りながら……。

 

「……なにっ!?」

 

 両手のナイフを宙に置く様に手放し、俺が選んだのは超古典的な不意打ち方法……猫騙しだ。

 猫騙しを受け、ほんの少し、仰け反った烏間先生。僅かに防御に向かっていた腕の位置が下がった隙を見逃す事なく、宙に置く様に手放したナイフの一本で突きを放つ。

 

 ぐにゅっ、とナイフの鋒が歪む感覚が手に伝わる。

 見ると、俺のナイフは烏間先生の胸板にしっかりとクリーンヒットしていた。

 

「まじか!?」

 

「乃咲のやつ、やりやがった!?」

 

 息が切れた。思わず膝から崩れ落ちる。

 やった。初めて烏間先生にクリーンヒットさせた。

 

「よっしゃ……やったったで」

 

 疲労のあまり口調がおかしくなっている。肺が空気を求めて悲鳴を上げる中、なんとか落ち着けていると烏間先生が手を差し伸べて立たせてくれた。

 

「腕へのヒット15回、胸へのクリーンヒット1回。今回のキミの成績だ。すごい進歩だな。二刀術の訓練なんていつの間にしていたんだ?」

 

「放課後の訓練の後です。奇襲に使えれば儲け物程度に考えてたんですけどね」

 

「いや、素晴らしい精度の斬撃と突き、そして起点だった。ナイフをワザと手放してからの猫騙しは完璧に意表を突かれたぞ。今後とも頼りにしているぞ、乃咲くん」

 

 ——認められた。

 

 烏間先生から認めて貰えた。

 クラスで誰よりも早く烏間先生に攻撃を当てる事ができた。

 

「はいっ!」

 

 当てた直後は実感が湧かなかったが、頼りにしていると言う言葉を受け取るとフツフツと実感が湧き、本日2度目の雄叫びを上げたくなる衝動に駆られるが、それをグッと抑えて代わりに大きく返事をする。

 

 自分の努力をこんな風に認めてもらえたのはやはり嬉しい。

 俺は、さっき手放したもう一本のナイフを拾い上げて鞘に納めて倉橋さんの下へ向かう。

 

「ありがとう、倉橋さん。お陰で烏間先生に褒められたよ」

 

「ううん! 凄かったよ! 烏間先生に攻撃を当てられるなんて思わなかったもん!」

 

 借りていたナイフを返すと興奮気味の倉橋さんも褒めてくれた。その後も磯貝を始めとしたいつもの面子に絡まれ、カルマに揶揄われて、渚が嗜めてくれて、一部を除いたクラスメイトたちも浮き足立っていた。

 きっと、俺の今の攻防で烏間先生に攻撃を当てるのは不可能ではないと証明できたからだろう。

 

「よし、今日の体育はここまでとする! 全員、整列!」

 

 烏間先生も少し離れた場所で微笑を浮かべていたが、5時間目の終了時間が迫って来たので集まる様に号令が掛けられる。

 少しだけいつもより集められるのが早い。何事かと思ったが、全員が揃った後、烏間先生の言葉で真意を理解する。

 

「知っての通り、来週から2泊3日で修学旅行が始まる。極力キミらの楽しみを邪魔したくないが、これ(・・)も任務だ」

 

 任務、その言葉で理解できた。

 やはり、この修学旅行でも暗殺のことは頭の中において置くべきらしい。同じことを考えたらしい岡野が口に出して質問する。

 

「ってことは向こう(・・・)でも暗殺?」

 

「その通り。京都の街は学校内とは格段に広くて複雑。しかも奴はキミらの決めたコースを班ごとに時間で分けて付き添う予定だ」

 

「なんか、本格的な暗殺って感じですね。狙撃でもするんですか?」

 

「キミの想像の通りだ。狙撃手を配置するには絶好のロケーションだからな。既に国は腕利のスナイパーを手配したそうだ。成功した場合は貢献度に応じて100億円の中から分配される。暗殺向けのコース選びをよろしく頼む」

 

「「「はーい」」」

 

 街中での狙撃での暗殺か。なんだかいよいよを持って創作物の様なシチュエーションになって来たな。

 

⬛︎

 

⬜︎

 

⬛︎

 

 6時間目の学活。

 来週の修学旅行のコースを決める時間。

 E組校舎は活気に溢れていた。普段不良ぶって色々と興味なさそうにしている寺坂ですらいつもの面子に原さんを加えたメンバーでワイワイやってる。

 

「ねぇねぇ! 清水寺はいつ行こうか?」

 

「そうだな……折角の名所なんだしゆっくりしたいよな」

 

「それ分かる〜」

 

 磯貝、前原、木村、片岡、岡野、矢田さん、倉橋さんたちの輪に加わって俺も皆んなとワイワイギャーギャーとあぁでもない、こうでもないと意見を交換していると、ビッチ先生が現れた。

 

「ふん、皆んなガキねぇ。世界中を飛び回った私には旅行なんて今更だわ」   

 

 出た。ビッチ先生がたまに見せる大人っぽい余裕。

 しかし、無情かな。修学旅行を前にした無邪気な生徒たちの前にはそんな大人の余裕は打ち砕かれるのだ。

 

「じゃ、留守番しててよビッチ先生」

 

「花壇に水やっといて〜」

 

 前原と岡野の無情な一言。きっとビッチ先生が求めていたのはそういう言葉ではないんだろうが、なんとなく面白かったので特にフォローはしない。

 その後も話し合いは続く。あそこ行きたい。こっちも捨て難い、でも暗殺と野良兼ね合いを考えると〜と。 

 とかなんとかやってると、ビッチ先生が怒鳴り出した。

 

「何よ! 私抜きで楽しそうな話ししてるんじゃないわよ!!」

 

「あーもー! 行きたいのか、行きたくないのかどっちなんだよ!?」

 

 このビッチ。結局、一緒に旅行に行きたかったのだ。ジャキッと小型のリボルバーを胸元から取り出してギャーギャー言い出したビッチ先生に前原が「銃向けんな!」と叫びながら逃げる。

 結局、彼女に一番懐いてるらしい矢田さんの提案でビッチ先生も加えて話し合いをすることに。

 ちょっと時間が経つと殺せんせーがやたらと大量の辞書を持って教室に入って来た。

 

「1人一冊です」

 

 マッハで配られる辞書。なんだこれ? そんなことを思いながらその広辞苑並みに分厚い本を開くとデカデカと【修学旅行、旅の基本】と書かれていた。

 

 辞書とか広辞苑じゃなくて旅のしおりかよ!? 

 

 声を大にしてツッコミ入れたくなるのを抑えて、いると少し離れたところで渚の班として話し合いをしてた杉野がツッコミを入れた。

 

 閉じて表紙を見ると確かに『修学旅行のしおり』と書いてあったのだ。

 

「辞書だろ、これ!?」

 

 うん、前原。お前とはつくづくツッコミでは気が合うな。俺が声を出してツッコミたいことは前原と杉野が大体ツッコミを入れてくれてるからやらずに済んでる部分がある。

 

「イラスト解説の全観光スポット、お土産人気トップ100! 旅の護身術、入門から応用まで! 昨日徹夜で作りました……! 初回特典は組み立て紙工作金閣寺です!」

 

「どんだけ浮かれてるんだよ!?」

 

「そろいもそろってうちの先生は!!」

 

 ページをペラペラ捲ると確かに殺せんせーが今言っていた内容が収録されてるらしい。因みに、鴨川の縁でイチャつくカップルを見た時に自分を慰める方法なんかも書いてある。

 この辞書、もとい旅のしおりはどんだけ先を想定しているんだろうか。ツッコミどころの絶えない先生である。

 

「大体さぁ、殺せんせーなら京都まで1分で行けるっしょ」

 

「もちろんです。ですがね、移動と旅行には大きな違いがある。皆で楽しみ、時に皆でハプニングに遭う。そういう経験の共有……。先生はね、君たちと一緒に旅が出来るのが嬉しいのです」

 

 恥ずかしげもなくそんなことを言う殺せんせー。

 だけど、彼の気持ち、分からない訳ではない。だって事実、俺もこのメンバーでの旅で少しだけ浮かれていた。

 

「ねぇ、乃咲くん。暗殺するなら何処がいいかなぁ」

 

「いっそスナイパーを本能寺の一番上に配置して真上から狙うのもありじゃない?」

 

「おお、真上! 確かにそれはこの校舎(ここ)じゃ出来ない暗殺だよね!」

 

 こうして俺たちの修学旅行は幕を開けた。

 




後書き

はい、後書きです。

今回は戦闘描写の練習で書いてみた話でしたが、やはり一人称でキャラの動きを表現するのは難しいですね。

ですが、辛うじて圭一は烏間に攻撃をクリーンヒットさせられました。圭一が烏間の防御テクをパクれるのは原作の浅野理事長が3日で黒帯になった手法と同じような理屈です。
ただ、戦闘のプロである烏間には経験不足の圭一では楽々勝てる訳がなかった感じですね。
ちなみに烏間はまだ力半分って所です。真のチートキャラは烏間では……?

ご愛読ありがとうございます!
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