暗殺教室 不良児は認められたい   作:ZWAARD

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なんとか書き終わったぜぇぇぇぇぁぁぁぁ!

と、UA42000件、お気に入り900件、高評価、誤字修正ありがとうございまぁぁぁぁす!  

※なんとか連載ペース守れて、書き終わってテンション高め
更新出来なかったら『あっ』で察してやって下さい。

——追記——
誤字修正、文脈修正ありがとうございます!


26話 転校生の時間 2時間目

 

 先日、烏間先生から連絡が来た。

 "転校生がやって来る"と。

 

 暗殺者が……仲間が増える。そういう意味では頼もしい限りではあるのだが、律の件がある以上、一筋縄では行かない奴が来るという先入観がどうしても働いてしまう。我ながらよくない癖だと思う。

 

 そんなことを考えながら朝、目が覚める。

 カーテンの隙間から挿す朝日に目を思わず窄めながら目を開ける。最近の俺は健康優良児そのもの。早寝早起き、朝ごはん、すっかり不良児などではない。

 しかし、寝起きの布団の居心地の良さはやはり素晴らしい。健康優良児になった俺でも30秒は布団と格闘してしまう程だ。

 

『おはようございます! 乃咲さん』

 

「おはよう、律」

 

 たっぷり30秒布団の中で英気を養ってからのそのそ布団を出ると同時に充電していたスマホに律が表示された。

 最近は目覚し時計を使う機会が減った。目覚し時計に起こされるよりも早く俺が起きたり、こうして律が起こしに来てくれるからだ。

 

 いやー同級生女子に朝、起こされるだなんて俺もとうとうリア充の一員か。だなんて思っていると目覚し時計が鳴り始めたので止める。

 さて、今日も1日、頑張るぞい。と着替えて、意気込む。

 

 祖母が作ってくれていた朝食を食べて、行って来ますと家を出る。朝から雨が降っているのでこの前買った傘を担ぐことも忘れない。

 

「さて、今日の昼飯はなにがいいかなぁ」

 

『乃咲さん、今日はそぼろのおにぎりが新発売らしいですよ!』

 

「んじゃあ、買いに行くか」

 

 律からもひと押しがきた商品を求めてコンビニに立ち寄り、無事に目的のブツをゲット。何気なく映画雑誌を立ち読みしてから通学路に出る。

 さっき見た映画雑誌に載っていたソニックニンジャの続編。あとでカルマに教えてやろう。アイツ、あの映画好きだったから。

 

「あ、乃咲くんじゃん。おっはー!」

 

「ん? あぁ、おはよう、倉橋さん」

 

 コンビニから出ると倉橋さんがちょうど正面を横切るところだったらしい。

 目が合うと声をかけられた。

 声をかけられたので挨拶を返す。なんか、前も似たような事があった。あの時は天気の話でもしようかと悩んだっけか。話題が思いつかなさ過ぎて。

 

 でも、今は違う。かれこれ2ヶ月以上。流石に話題に困ることは無くなったし、以前とは違い、俺から話題を出すこともできるようになった。

 そう思うと俺、随分と成長したものである。

 

 そう言えば、最近は1人で通学する事が減った。朝は大体、何故か俺のスマホに入り浸っている律と駄弁っていたりとか、途中で杉野と渚、カルマなんかと鉢合わせる事が多くなったから。

 それに、不良に喧嘩を売られることも無くなったしね。平和な朝が続いている。

 

「烏間ファンクラブ会長の倉橋さんや。知っているかな? 烏間先生、犬が大好きらしいぞ」

 

「え、ほんと!? 初めて知ったよ」

 

「この前、放課後訓練が終わった後の雑談で聴いてみたんだ。なにか好きなものとかあるんですかー? って。そしたら答えてくれた」

 

「そうなんだ?」

 

「そう。なんだけど……犬に近づくと死に物狂いで吠えられるんだってさ。可哀想だよな」

 

「あー……。もしかして生物としての格上感が出てるのかもね。この前のロヴロさん? とビッチ先生の暗殺試合の時とか凄かったし」

 

「だなぁ。あん時の烏間先生は只者じゃないオーラがやばかった。でも、そんなあの人から一本取っちゃうビッチ先生にこそ俺は驚かされたけどねぇ」

 

「そうだよね! 私もあの時は感動したもん! 苦手を克服ってこう言うことなんだなぁって」

 

 ロヴロさんたちの話題が出て来ると、自然と思い出してしまうのはあの暗殺の後に烏間先生から告げられた例の話題だ。

 なんでも、転校生がまた来るとか。

 

「そう言えばさ、烏間先生からのメールみた? 今日からまた転校生が来るって」

 

「みたみた。また大変なことになりそうだよな」

 

「ね、律の時みたいなことにならなきゃ良いけど」

 

『それに関しては本当に申し訳ないです……』

 

「別に責めてるわけじゃねぇーよ」

 

 申し訳なさそうな声の律に返事をすると倉橋さんが目を丸くする。だから、スマホを取り出した。

 

「律、乃咲くんのところにいるんだ?」

 

『はい! 現状、乃咲さんがE組の指揮を取る事が多い傾向にあるみたいなので、彼の思考パターンを理解できればと思いまして』

 

「……ですよねぇ」

 

 律がことある度に俺のスマホにいる理由がよく分かった。てっきり二次元女子に好かれてるのでは? みたいな夢のような妄想をしていたのだが、やはり、所詮は妄想に過ぎなかったらしい。

 乃咲くん、ショック。

 

「乃咲くんが二次元の女の子を家に連れ込んでる〜」

 

「酷い風評被害だな? 間違ってないけどさ」

 

 倉橋さんに揶揄われながら俺たちは雨でぬかるんだ通学路を歩いた。ちなみに、しっかり俺が車道側を通り、倉橋さんの歩くペースに合わせている。修学旅行での学びは無駄にしなかったのだ。

 

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⬛︎

 

 学校に着いた俺たちはやはり転校生の話で盛り上がることになる。クラスメイトは皆、律に群がる。

 なにか、情報はないのかと群がるクラスメイトたちに律は淡々と怪談でも聴かせるみたいに新しい転校生について語ってきかせてくれた。

 

「私と彼は本来同時投入される予定でした。私が遠距離攻撃、彼が近距離攻撃を担当して連携して殺せんせーを追い詰める。それが本来のプランでした」

 

「へー……。律と連携できるってよっぽど能力高いんだね」

 

「はい。ですが、少々、彼は性能が高過ぎたのです。私では彼に暗殺者として圧倒的に劣っていたのです。それが同時投入されなかった理由の一つです。あとは彼の調整に少し時間がかかり過ぎたのがもう一つの理由ですね」

 

「嘘……」

 

「律ですら能力が低い……?」

 

 クラスメイトたちは戦慄した。そりゃあそうだ。不意打ちなしに殺せんせーの触手を破壊し、俺たちとの連携で触手まで破壊した彼女がそんな扱いなのだから。そんな律より性能が高いとか新手の怪談というかお化け扱いされるよな。

 そんな時、がらっ! と教室の扉が開いた。と、同時に殺せんせーが教室の上端に液状化して逃げた。

 殺せんせー、ビビりすぎだろ。

 

 などと思いつつ、ちゃっかりゾーンに入り、思わず扉を見てしまった俺。別にビビったわけじゃない。ただ、咄嗟にやばいっておもっただけのこと。

 

 息を呑んで見ていると、男が入って来る。

 いや、顔は見えないから男かどうかはわからないが、背格好的に男だろうって予想しただけなんだけど、恐らくは間違っていないだろう。

 長身で白装束に身を包んだ男。中学生と言うにはあまりにも纏う雰囲気が浮世離れしていた。

 

 男は徐に手から鳩を取り出すマジックをしてクラスメイトたちを驚かせ、得意げな声を出すわけでもなく、あっさり笑うと自己紹介を始めた。

 

「あはは、驚かせてしまったようだね。ごめんよ、私は転校生ではないよ。私は保護者なんだ。名前は……まあ、白いし、シロとでも呼んでくれ」

 

 いや、なぜ偽名を名乗る? と突っ込みたいところだが、律の話からすると転校生も暗殺者。だから、その保護者としてのコードネームみたいなもんなんだろう、と納得しておく事にした。

 

「いきなり入ってきて手品とかしたらそりゃぁビビるよね」

 

「うん……殺せんせーでも無い限り……」

 

 茅野と渚よ。そんなこと言ってるけど当の殺せんせーはとっくにビビって天井の隅っこに張り付いてるぞ。と指摘する前に岡島たちが現状に気付いたらしい。

 

「ビビってんじゃねぇよ! 殺せんせー!」

 

「奥の手の液状化まで使いやがって!?」

 

「い、いや、律さんが朝っぱらからおっかない話ばっかりするもんですから」

 

 バツが悪そうにしながらも脱ぎ捨てた服に戻り、元の身体に戻ると気を取り直したように殺せんせーが口を開き、シロに向き直る。

 

「初めましてシロさん。肝心の転校生は?」

 

「初めまして、殺せんせー。ちょっと性格とか色々と特殊な子でね。私が直で紹介させてもらうよ……っと、はい。これ贈り物。甘い物が好きだと聞いてね」

 

「これはどうもご丁寧に」

 

 見知らぬ白装束から渡されたようかんを包装紙ごとバリバリ食う殺せんせー。これに関してはもう、突っ込まない。だって、似たような光景見飽きてるし。

 などと思っていると、一瞬、教室全体を見渡しているシロさんと目が合った気がした。

 

「なにか?」

 

「いや、皆いい子そうですな。これならあの子も馴染めそうだ。——おおぃ! イトナ、入っておいで!」

 

 そう言う意図での見渡しだったのね。

 なにか安心した様子のシロさんが声をかける。

 

 ちなみに、廊下には烏間先生以外の人影はない。加えて、何故かシロさんは廊下に向かって声を掛けるではなく、俺たち生徒の方を見て声をかけたのだ。

 直後、ドォォォオン! と凄まじい音を立てて俺とカルマの間の席の後ろの壁が爆発した。

 

 そして、そこから1人の男子が入って来る。

 俺たちと同じ制服。背格好も中学生のそれと比較しても大差ないだろう。だが、少し気になるのは外から入って来た癖に濡れてない(・・・・・)こと。一滴たりともだ。

 

 外は梅雨特有の土砂降り。加えてイトナくんとやらが開けた穴は直接校舎の外に通じてしまっているので外の様子がわかる。この雨の中、傘をさしていたとしても一滴も濡れないのは無理だ。

 しかも彼は手ぶら。ますます謎が深まる。

 

「俺は勝った。この教室の壁より強いことが証明された。それだけでいい……。それだけでいい……」

 

「「「いや、ドアから入れよ!?」」」

 

「「「また面倒な奴が来やがった……!?」」」

 

 殺せんせーもリアクションに困って妙な顔をしているし。笑顔でもなく、真顔でもなく、すっごい中途半端な顔をしてやがる。

 

「堀部イトナだ。名前で呼んであげて欲しい」  

 

 そしてこの状況で動じることなく転校生の紹介をするシロさんも相当だな。

 

「あぁ、それと私も少々過保護でね。しばらくの間、彼のことを見守らせ貰いますよ」

 

 それは過保護を通り過ぎてモンスターペアレントなんではないかい? 

 ツッコミどころを見つけてしまった俺は流石に初対面相手に声を出してツッコミをする気力はなく、行く末を見守っていると、俺と同じことが気になったらしいカルマが声を出した。

 

「イトナくんさ。外が土砂降りなのに一滴たりとも濡れてないのはなんでなの? 傘も持ってないのにさ」

 

「カルマもそこ気になるか」

 

 俺の言葉に頷くカルマ。そんな俺とカルマを見比べてイトナは近くにいるカルマの頭を撫でた。

 

「お前とあの銀髪は同じくらい強い。このクラスでもトップなんだろう。けど、安心しろ、お前らは俺よりも弱い。だから、俺はお前たちを殺さない」

 

 ……珍しい。あのどうしようもなく喧嘩っ早いカルマがされるがままに撫でられている。どうしたんだろう。いつもなら頭撫でられた瞬間に相手の頭を掴み返して顔面に膝でも叩き込んだだろうに。

 

 そんな俺の心配も知る由もなく、転校生は胸元からようかんを取り出しながら殺せんせーに詰め寄った。

 

「俺が殺したいと思うのは俺よりも強いと思う相手だけ。この教室ではアンタだけだ。殺せんせー」

 

「強い弱いとは喧嘩の事ですか? イトナくん。力比べでは先生と同じ次元には立てませんよ?」

 

 緑のしましまに染まった殺せんせー。そんな変化にびっくりすることもなく、冷静にようかんの包装紙を噛みちぎりながら毅然と言った。

 

「立てるさ。だって、俺たち、血を分けた兄弟なんだから」

 

「えっ!?」

 

「き、き、き、兄弟ぃぃ!?」

 

「まじかよっ!!?」

 

「あの乃咲がガチ驚きしてるぞ」

 

 兄弟ってあれだよな? 

 悟空とラディッツ、一輝と瞬、スカイラブハリケーンの立花の双子と同じ兄弟って事だよな!? 

 

 どういうことだ!? 

 

 殺せんせーが人体実験される前の血縁者ってことか!? どういうことだってばよ!? 

 いや、人体実験云々も俺の考察でしかないわけだからそれすらあやふやなんだけど……! 

 

「兄弟同士、小細工は要らない。兄さん。アンタを殺して俺の強さを証明する。時は放課後。この教室で勝負だ」

 

 兄弟云々に驚いているとイトナが捲し立てるようにそう宣言すると、自分が開けた穴に戻るように踵を返して口を開いた。

 

「今日がアンタの最後の授業だ。コイツらに別れでも伝えておくんだな」

 

 そう言って雨が上がった梅雨空の下へと消えて行った。新しい転校生、相当な不思議くんだな。

 

「ちょっと殺せんせー! どういうこと!?」

 

「兄弟いるなんて、聞いてないよ!?」

 

「いやいやいや! 先生も初耳です! 昔、両親に兄弟が欲しいって言ったら家庭内の空気が気まずくなりましたから! よく覚えてます!?」

 

「アンタの家庭事情なんてしらねぇよ!?」

 

「つか、親とかいるのか、殺せんせー!」

 

「失敬な! 先生にも両親くらいいますとも!」

 

 ギャイギャイと騒ぎ立てるクラスメイトたちの中で俺は困惑を深めていた。

 

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⬜︎

 

⬛︎

 

 昼休みになる頃には殺せんせーと転校生の関係に関する考察がクラスメイト達の間で収拾がつかないほどに膨れ上がっていた。

 

 生き別れの兄弟説、亡国の王子説などなど挙げ出せばキリがないほどに。

 

 そんなみんなの妄想を肯定するかのように、2人はあらゆる好みが合致していた。

 

 昼休みに食べるのは弁当ではなく、大量のお菓子だったり、徐に机に広げたのが巨乳の女性が載っているグラビアだったりと。もう、クラス内は大騒ぎだ。

 

 そんな中で俺は考える。

 

 殺せんせーは何者なのかを。

 

 殺せんせーは実は人体実験の果てにモンスターになった元人間で〜みたいな想像をしたのは確か、浅野理事長が来た時以来だけど、イトナの正体が判れば考察が進むかもしれない。

 

 そして放課後を迎えた。

 

 放課後になると俺たちはシロさんの指示でイトナと殺せんせーを囲むように机を並び替える。

 並び替えられた机はまるで……。

 

「机のリング……!?」

 

 ビッチ先生が驚愕の声を漏らすと、烏間先生は頷いた。俺の感想はビッチ先生とまるっきり同じ。こんな暗殺を仕掛けた奴は今までいなかった。

 

「まるで試合だな」

 

 烏間先生の言葉に心中で同意する。

 

「ただの暗殺は飽きたでしょう? ここは一つ、ルールを決めないかい? このリングの外に出たら即死刑。どうかな?」

 

 シロの提案を杉野が鼻で笑う。

 

「なんだそりゃぁ。負けても守る奴いるのかよ?」

 

 そんな杉野を制するようにカルマが口を開いた。

 

「いや、みんなの前で決めたルールを破れば先生として(・・・・・)の信頼が落ちる。殺せんせーには効くんだ。あの手の縛りがさ」

 

 そう、殺せんせーは何者であるよりも先に俺たちの教師であろうとする。だから、カルマの言う通り教師としての信頼を失うような真似をこの人はしない。

 

 シロの提案に対して頷いた殺せんせーは追加でルールを作ることをイトナに提案した。

 

「いいでしょう。受けて立ちます。ですが、イトナくん。観客の皆さんに危害を加えた場合も負けですよ。いいですね?」

 

「…………いいだろう」

 

 イトナは頷いた。

 

 それを皮切りにシロさんが手を挙げる。試合開始の宣言をする為に。

 

「では、合図で始めようか」

 

「……」

 

「…………」

 

「暗殺……開始……!」

 

 シロさんの宣言と共に殺せんせーの触手が物理的に吹き飛んだ。切断されたと言っても過言ではない。

 あまりに一瞬のことでゾーンに入る隙間もなく、見逃してしまったが、俺たちは見てしまった。

 殺せんせーの触手を吹き飛ばし、今もなお激しくうねり、暴れる、白い触手(・・・・)を。

 

 その触手は殺せんせーではなく、イトナから生えていたのだ。

 

「……まじかよ」

 

 予想すらしていなかった光景に俺はただただ唖然とした。

 

 

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