暗殺教室 不良児は認められたい   作:ZWAARD

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それから誤字報告、高評価、しおりをありがとうございます!
やっと書けましたので投下します。


37話 5教科と終業の時間

 

 迎えた試験当日。

 

 俺は通学中に出会った渚と中村さんの3人で試験会場へ向かっていた。会場は本校舎。相変わらず、俺たちE組にはアウェイな戦場だとおもうな。賭けの話が広まっているせいか、好奇の視線が寄せられているのがよく分かる。

 

「おやおや、A組に無謀な賭けを挑んだおバカちゃんたちが来たぞ」

 

「お前ら負けたらどんな酷い命令されるんだろうな」

 

 えっと、名前を忘れたが、いつも2人一緒にいる危ない雰囲気のD組の生徒が絡んでくる。

 さて、なんて返してやろうかと考えていると、中村さんが手早く鉛筆をD組生徒の側の鼻にぶっさすと通りすがりに思いっきり上に向かって突き上げた。鉛筆が折れる程の勢いで。

 

 その容赦のなさにスカッとすると同時に少しだけ引いていると、俺たちの試験会場、すなわち、戦場に辿り着いた。

 誰かの気配がしたので中を覗き見てみると、俺の隣の席に誰かいた。普段は律がいる席だが、そこにいたのは…………。

 

「「「誰だ……!?」」」

 

 生憎と髪型以外は見知らぬ第三者。いや、まじで誰だよ。そこは3次元の女がいて良い席じゃない。Dを一つ失ってから出直してこい、と言いたくなる衝動を堪えていると疲労した様子の烏間先生がやって来て、補足してくれた。

 

律役(・・)だ」

 

「役……?」

 

「あぁ。流石に理事長から人工知能の参加は認めてもらえなかったんだ。結果、律がネット授業で教えた替え玉を使うことでなんとか決着した……。律も生徒として登録している以上、奴の用意したチャンスに乗っかる権利はあるからな。無駄にはできん」

 

 つらつらと説明してくれていた烏間先生がより一層疲れた顔をして、ため息をついた。本気で疲れてるらしい。それも肉体的にではなく、精神的に、だな。可哀想に。

 

「交渉の時、あの理事長から『大変だな、コイツも』……という哀れみの目を向けられた俺の気持ちが君たちにわかるか」

 

「「「いや、ほんと、頭がさがります!」」」

 

 他人事のような思考を打ち切って最敬礼。

 駄目だ。烏間先生の苦労を俺たちが慮ることはかなり難しいだろう。毎度毎度、想像できそうで、辛うじて想像できない斜め上方向の苦労をしてるからな、烏間先生。

 しかも無駄に微妙に突っ込みずらい相手、状況なのがタチ悪い。いっそ殺せんせーやビッチ先生みたいにわかりやすいツッコミどころ満載ならこっちもやりやすいんだが。

 

「律と合わせて俺からも言わせてもらおう。頑張れよ」

 

「……はい!」

 

 しかし、彼からの激励以上に心に沁みる言葉も中々ないのだから不思議だ。おそらく、ここにいたのが鷹岡だったら、俺たちは今の言葉でやる気と勇気をもらう事はなかっただろうな。

 

 こうして始まった期末試験。

 俺たちが対峙するのは問スターとA組。そんな俺たちへ声援をくれる律や烏間先生たち、そして野次を飛ばす他の組の連中はまるで観客。となると、俺たちは闘技者(グラディエーター)と言ったところか。

 

 一人一人が課された問題と向き合っている。それぞれ各々のタイミングで別々の、あるいは同じ問題と。タイミングは違えど、同じ相手を標的に自分の磨いてきた刃を試すのはいつもの暗殺と変わらない。

 なるほど、ここに来てようやく、烏間先生が赴任してきたばかりの頃に言ってきた『暗殺も勉強も同じ』という言葉の意味が少しだけ理解できた気がする。

 

 しかし何だな、こうして努力して来た皆んなや5英傑の言動を思い返してみると、この問スター相手に様々なやり取りを繰り広げる皆んなが想像出来てしまうのだから不思議だ。

 

 けど、周りがどんな風に解いていようが俺には関係ない。俺は中間から今日まで行って来た、過去の復習と本校舎の連中への復讐が出来れば良い。

 

 いつものようにゾーンに入る。もうこれをずるいとは思わなくなっていた。だってこれは間違いなく俺の才能なんだから。

 出来の悪い頭をフル回転させながら問題を解き続ける。今日まで詰め込んできた膨大な知識の中から最適解を見つけ出し、弾き出し、記入する作業を繰り返す。

 

 問スターの攻撃を全て躱して急所を射抜き、片っ端から問題を片付ける。何度も何度も、問スターが息絶えるまで。

 

 そしてテストが終わる頃には知恵熱を出し、頭の中が真っ白になる2日間を繰り返して俺のテストは終わった。

 

 

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 2日間の攻防の末、全ての戦い(テスト)が幕を下ろした。

 暗殺の有利も同級生との賭けも全ては丸の数次第。

 

 そして3日後。  

 

「さて、皆さん。全教科の採点が届きましたよ」

 

 殺せんせーの一言でクラスメイトたちに緊張が走る。無論、俺も例外ではない。最善を尽くしたし、自信だってある。

 中間から今日までやれることはやった。

 

 今は静かに結果を待つばかりである。

 

「まずは英語から……E組1位は……中村莉桜!そして学年でも1位です!100点!完璧です。キミのやる気はムラっ気があるので心配でしたが……!」

 

「うふふーん!なんせ賞金100億かかってっから!触手一本忘れないでよ?殺せんせー」

 

「ヌルフフフ、もちろんです」

 

 どうやら英語は1位を逃したらしい。とか思っていると殺せんせーから答案が各生徒に配られた。

 俺の答案にあるのは99点という何とも言えない点数だった。どうやら一番最後の問題で部分点を落としたらしい。

 

「乃咲くん、渚くんも大健闘でしたが、乃咲くんは最後の口語体への変換が、渚くんは肝心なところでスペルミスを犯す癖が治ってませんね」

 

 殺せんせーの指摘に苦笑しか出ない。自分のボキャブラリーがもう少しあれば満点取れたかもしれないのにな。悔しい。

 などと思っていると殺せんせーは触手の一本に破壊予約済みの旗を刺すと余裕そうに言い放つ。

 

「さてしかし、1教科トップをとったところで潰せる触手は1本のみ。それにA組となら5教科対決もありますから。喜ぶ事ができるかどうかは全教科返した後ですよ」

 

 中村さんの満点に盛り上がっていたクラスメイトたちが少し沈黙するが、そんな空気を切り替えるように殺せんせーが次の教科の返却を開始する。

 

「続いて国語……E組1位は……乃咲圭一!99点!」

 

「またかよ!?」

 

「どうやら最後の論文で減点されているようですねぇ。500字中499字で終わっているのが減点だったのかもしれません。そこは教師の好みもありますからねぇ」

 

「んで?学年では?」

 

「残念!2位です!神崎さんは3位!2人とも大躍進ですねぇ!学年一位はA組浅野学秀!」

 

 つーことはあいつは100点ってことだよな。

 やっぱすげーわ、アイツ。

 

「やっぱ点取るな、浅野」

 

「強すぎ……。英語だって乃咲と並んで中村と1点差だぜ?」

 

「流石全国1位。中間よりも遥かに難易度高いのに全教科変わらず隙がない。5英傑なんて並べられてるけど、結局、浅野を倒さなきゃ学年トップは取れねぇんだ」

 

 少しだけクラスメイトの空気が落ち込むが、すぐさま殺せんせーが次の教科を返却する。

 

「では続けて返します。社会、E組1位は……磯貝悠馬98点!そして学年では……おめでとう!浅野くんを抑えて見事1位です!」  

 

「よし!」

 

「マニアックな問題の多かった今回のテストでよくぞここまで取れましたね」

 

 帰ってきたら答案をみると、そこには97点の数字。

 磯貝と1点差。俺が外したのは1問。恐らく互いに1問ずつ外して、外した問題が2点か3点かの差だったのだろう。

 また惜しくも1位を逃してしまった。

 

「これで2勝1敗!」

 

「次、理科は!?」

 

「理科のE組1位は奥田愛美!そして……すばらしい!学年でも1位です!」

 

 帰って来た答案は97点で2位。奥田さんは満点か、98点以上だな。奥田さんもかなり強い。次のテストの各教科のライバルはこの教室の中の方が多そうだな。

 

「3勝1敗!これで勝ち越し確定だ!」

 

「仕事したな、奥田!触手一本お前のもんだ!」

 

「数学の結果を待たずしてE組がA組に勝ち越し決定!」

 

「ってことは賭けの賞品のアレ(・・)もいただきだな」

 

「楽しみ〜!」

 

 はしゃぐ皆んなを宥めつつ、殺せんせーがテスト返却を続行する。そうだ、まだ数学と総合順位が残ってる。

 

「次!数学、E組1位は……乃咲圭一!またまた99点!」

 

「……証明か」

 

「ですね、キミはどうも文章が絡んだ問題に弱い傾向があるようです。今後の要課題ですね」

 

「反省せねば……」

 

 つか、俺がE組1位かよ。カルマは?

 そう思ってカルマを見るがあいつは席に居なかった。

 

「学年一位は……残念!浅野学秀くんの100点が最高得点です!」

 

 強いな、浅野は。

 

 だが、ここまでのトータル点数は491点。まだ総合一位の可能性が残っている。

 さて、どうなる?

 

「最後になりましたが、5教科、E組総合1位は……乃咲圭一!そして学年でも浅野くんと並んで総合1位です」

 

「おおっ!」

 

「やったね!圭ちゃん!」

 

 俺がガッツポーズするよりも先に磯貝がガッツポーズを決め、倉橋さんが飛び跳ねて喜んでくれた。

 

「ヌルフフフ、おめでとう、乃咲くん。大大大躍進ですね、実力テスト最下位から中間51位、そして期末1位!キミは見事に第二の刃を身に付けた。そんなキミにこの触手を差し上げましょう」

 

「ははは、ありがとう。殺せんせー」

 

 なにやら特別感のある七色に光る謎の触手に触手破壊予約済みの旗を立てる殺せんせー。

 こうして俺たちとA組の対決は勝ち越しで終わった。

 

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「カルマ」

 

「ん、なに、乃咲クン」

 

 俺は1人クラスを抜け出したカルマの元に赴いていた。俺が声をかけるまで無表情でテストの答案を握り締めていた彼に俺がかける言葉は一つ。

 

「努力なんて泥臭いことせずに勝つ俺カッコいい〜、とか思ってただろ?」

 

「っ……!」      

 

 おちょくるように言った俺の言葉にカルマの顔が真っ赤に染まる。どうやら図星だったらしく、プルプル震えていた。

 

「分かるぞ、本気を出せばなんでも出来るって思い込みたくなる気持ち。俺もそうだったからな」

 

「……あ、そ」

 

「その結果が前回の惨敗だ。悔しかったよなぁ」

 

 あの時の悔しさを思い出して、興味なさそうにしながらも俺の言葉に耳を傾け続けるカルマに言葉を投げる。

 

「今度はお前の番だぞ。E組一位、俺から取り返しに来いよな」

 

 俺は言いたいことだけ言って正面から来た殺せんせーとすれ違って教室に戻る。人に教えることは俺には向かない。

 だから、俺に言えるのはコレくらい。中間の時に土下座をさせないでくれた恩に対して俺が返してやれるのはこんなおざなりな発破くらいなものだからな。

 

 頑張れよ、カルマ。

 

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「さて皆さん。素晴らしい成果でした。5教科プラス総合点の6つ中、君たちがトップを取れたのは4つです。早速暗殺を始めましょうか。トップの4人はどうぞ4本ご自由に」

 

 そう言って顔を緑のしましまに染める殺せんせー。どうせ『4本くらい失っても余裕でしょう』とか思ってるんだろうなぁ。

 なんて考えていると、寺坂組が立ち上がり、徐に口を開いた。狭間さん、吉田、村松はニヤけ顔、リーダー寺坂は悪びれもしない真顔でテストの答案片手に教卓に近づいた。

 

「おい待てよタコ。5教科トップは3人じゃねぇぞ」

 

「にゅ?5教科トップは3人ですよ。寺坂くん。国・英・社・理・数のうち……」

 

「は?アホ抜かせ。5教科つったら国・英・社・理……あと家だろ」

 

 そう言って彼ら4人は答案を教卓に置いた。100点満点の家庭科の答案を本当に悪びれる様子なく。

 

「か、家庭科ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?ちょっ待って!家庭科のテストなんてついで(・・・)でしょ!?こんなのだけ(・・)なに本気で100点とってるんですか君達は!!?」

 

「だーれもどの5教科とは言ってねーよな?」

 

「クックックっ、クラス全員でやりゃぁ良かった。この作戦」

 

 不気味に笑う狭間さんとごねる殺せんせー。そんな状況を見て、珍しく大人しくしているカルマに千葉が『言ったれ、カルマ』と発破を掛ける。

 

ついで(・・・)とか家庭科さんに失礼じゃね、殺せんせー?5教科の中でも最強と言われる家庭科さんに向かってさ」

 

 そんなカルマの言葉にみんなが乗っかった。

 

「そーだぜ!約束守れよな、殺せんせー!」

 

「一番重要な家庭科さんで4人がトップ!」

 

「合計触手は5教科と総合1位であわせて8本!」

 

「は、8本……ひぃぃぃぃ!!!?」

 

 怯える殺せんせー。

 そんな彼を尻目に磯貝が口を開いた。

 

「それと、殺せんせー。これは皆んなで相談したんですが、この触手を破壊する権利を使う暗殺に今回の賭けの『戦利品』も使わせてもらいます」

 

 そう、実は賭けのことが決まった時点で皆んなでとある相談をしていた。それは、今回のトップをとれた場合に得られる触手を破壊する権利を賭けの戦利品……沖縄の南の島リゾート合宿で使用するって内容だった。

 殺せんせーの弱点の水で囲まれた島での暗殺に使った方がより確実だと結論つけた上でみんなが納得した。

 

 磯貝が言っているのはそれのことである。

 

「……ヌルフフフフ、考えましたね、皆さん」

 

 触手を組んでうんうん頷く殺せんせー。その顔色には侮りの緑のしましまは一切ない。心の底から俺たちを誉めてくれているのだと分かった。それだけで今回のテストで頑張った甲斐があったと思えるな。

 

「いろいろと言いたいことは有りますが、先ずは終業式です。行きますよ、皆さん」

 

「「「はい!」」」

 

「……水を差すようで悪いが、お前はここでイリーナと留守番だ」

 

「にゅやぁっ!?」

 

 烏間先生の無情な言葉に出鼻を挫かれた殺せんせーはぷにょんぷにょんと壁パンしながら大人しく引き下がり、俺たちはそのまま終業式の為に移動することになった。

 移動の途中の話題は勿論テストや南の島でどんな暗殺をするのかについてのプランニングだった。

 皆んなで山を下りながらふと思う。こんな風にE組全員で一緒に山を下りるのは初めてだったよな、と。

 

 皆んなと談笑しながら下りる山道は少しだけいつも楽しかった。何気なく修学旅行の時の班のメンバーで談笑していた時。

 ふいに眩暈がした。立ち眩みに似た、目の前が真っ白く染まり、頭から下に向かって血の気が引いていく、寒さに似た感覚。俺は思わずふらついてしまった。

 

「っと、大丈夫か?乃咲」

 

「あ、あぁ。大丈夫、ありがとな木村」

 

 たまたま隣いた木村が支えてくれたお陰で倒れずに済んだので少し体を落ち着かせてからまた体を動かす。

 なんだろう?貧血みたいなもんかな?

 

「ちょっと、大丈夫?乃咲、顔色、良くないよ?」

 

「大丈夫、ちょっと最近、勉強し過ぎたみたい」

 

 心配そうに覗き込んでくる岡野にそう答えて力瘤を作ってみせると心配そうにしてくれていた面々がホッとしたような、納得したような表現で頷いた。

 

「確かに、凄かったよな、乃咲」

 

「だな。これはマジで銀の秀才復活かもな」

 

「秀才やら死神やら勘弁してくれ。磯貝」

 

「悪い悪い、最近のお前、なんだか揶揄い甲斐があるからさ」

 

「そうか?」

 

「そうなんだよ」

 

「でた、乃咲と磯貝くんの親友漫才」

 

 皆んなが笑う中で倉橋さんが浮かない顔で俺の隣まで歩いて来た。1人だけ、いまだに心配そうにしてくれている。

 

「本当に大丈夫?」

 

「うん、へーき。ありがとう、倉橋さん」

 

「……ダメ、やっぱり心配だよ」  

 

 笑ってみるが、食い下がられる。

 その様子にみんなも目を丸くしていた。

 

「そんなに心配なら手でも繋いでくれる?」

 

 大丈夫アピールをする為に少し戯けて言ってみると、倉橋さんは本当に手をがっつりと握って来た。

 

「これなら圭ちゃんが急に立ち止まったりしても気付いてあげられるよね」

 

「え、あ、あ、うん」

 

 少し口籠る。こんなリアクションが返ってくると思ってなかったから。何を言えばいいのか分からない。

 しかし、みんなも深くツッコんでくることはなく、俺たちはそのまま校舎まで手を繋いで歩くことになった。

 眩暈は一瞬だったからもう、大丈夫なんだけどなぁ。

 

 などと思いながら校舎まで辿り着き、E組らしく全校生徒が来る前に整列しておく。すると、ある意味で今回の賭けテスト・触手破壊部門のMVPである寺坂組が少し早めに体育館に入って来た生徒会の連中に絡み出した。

 

 そんな様子を見かねてか、或いは賭けの釘を刺しに行ったのか、みんなが生徒会の満面の前に並び立つ。

 磯貝が代表して口を開いた。

 

「浅野、賭けてたよな。5教科を多く取ったクラスが何でも一つ、要求できるって。要求はさっきメールで送らせてもらった、アレで構わないな?」

 

「……あぁ。構わない。約束は約束だからな」

 

 他の面子を煽る寺坂をスルーした浅野は真っ直ぐに俺の方まで歩いてくると、さっきまでの鉄仮面のような表情は何処へやら、珍しく笑っていた。

 

「おめでとう、圭一。またキミをライバルと呼べる日が来るのを楽しみにしていた」

 

「……いや、今回は俺の負けだ。総合1位でお前とタイでも、各教科でのトップを数えたらお前が1番であることに変わりない」

 

「ふっ……その姿勢で頑張ってくれ。戻ってくるんだろう?A組(うち)に。楽しみにしている」

 

 相変わらず言いたいことだけ言ってさっさと歩き去ってゆく浅野。言われて気付いた。そうか、俺はあと元のクラス担任の許可が降りればA組に戻れるのか。

 まあ、今のところは戻るつもりはないけどな。

 

 そうこうしてるうち集会は始まり、そして終わった。珍しくカルマも出席した今回の集会では俺は途中退場させられることはなかった。それは一重に、E組弄りに対して周りからのウケが良くなかったのが原因だろう。

 当然だ、エンドがトップとバッチバチにやりあって、そして各教科や総合で1位を取る奴が現れたのだから。

 

 みんなも珍しく胸を張って集会に臨んでいた。

 

 そんな集会が終わると次に待っているのはホームルーム。今学期、最後の集まりだ。

 

「1人一冊です」

 

 そんな殺せんせーの一声と共に渡されるのは修学旅行の時よりもさらにパワーアップした過剰なしおりだった。

 

「出たよ、恒例の過剰しおり」

 

「アコーディオンみてぇだな」

 

 岡島の比喩に全力で同意しながらページを捲る。が、しおりの横幅がありすぎて机の上では開ききれない。

 過剰すぎるだろ、これ。

 

「夏休みのメインイベント、南の島での暗殺。君たちの希望だと、この離島での合宿で触手を破壊する権利を行使する、との事でしたねぇ」

 

 殺せんせーが口を開く。ポリポリと頬を掻きながら。

 

「触手8本の大ハンデにも満足せず、四方を先生の弱点である水で覆われたこの島を使い、貪欲に命を狙う。正直に認めましょう。君たちは侮れない生徒になった。君達に見せる通知表は配り終わりましたが、これは標的(せんせい)から暗殺者(きみたち)への通知表です!」

 

 殺せんせーはそう言うとマッハで紙に赤ペンで何かを大量に書き記し、教室中に向かってソレをばら撒いた。

 宙で舞い散るそれを一枚だけ手に取って見てみると、そこに記されていたのは二重丸。教室中が朱色の二重丸で彩られていた。

 

「1学期で培った基礎を充分に活かし、夏休みも沢山学び、沢山遊び、そして沢山遊びましょう!!暗殺教室、基礎の1学期、これにて終業!!」

 

 こうして俺たちの波乱に満ちた怒涛の1学期は幕を閉じた。2学期には更に波乱に満ち溢れた毎日が待っているとも知らずに。

 

⬛︎

 

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⬛︎

 

 支配者が座する玉座。

 浅野學峯はただ玉座から終業式の様子を見据えていた。

 

 今回の期末で生徒全体の学業意識が向上した。当然だ。普段、エンドと馬鹿にしていた相手がトップに立ったのだから、E組に対する屈辱や危機感はなお一層、奮起する材料になる。

 

 地球の存亡が掛かるような異常時でも、そんな彼の教育理念は正しく機能していると言える。

 

 ただ一点。E組の生徒がトップに立つという異例な事態が起こらなければ。

 

「(手を打とう、夏休みの間に)」

 

 彼の手元には竹林と乃咲の2名の生徒情報がまとめられた資料が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがき

はい、あとがきです。
圭一がようやく総合1位になれました。
しかし爪の甘さが出てますね、惜しくも満点は取れませんでしたとさ。頑張れ圭一、次こそ満点を目指せ!

ちなみに磯貝の点数が原作より高いのは誤表記ではありません。圭一に総合一位を守らせる為にはこうするしかなかったんです……。

問スターとの戦闘もカット!
すんません。それやっちゃうと詰め込みすぎで8000字超えそうだったのと自分の実力不足です。

今回はここまでということで。
ご愛読ありがとうございます!
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