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かけましたので投下します!
今回もお付き合いください……!
『皆さん、これから先はテラスになります』
律の手短なナビに全員の足が止まる。
「テラス……ってことはバーフロアか。問題の階ね」
速水さんが深刻そうな顔をして言った。
彼女の言葉に律が画面の中で頷き、再度ここのフロアの突破条件を説明してくれる。
『はい。ここから先に進むにはこのバーフロアを正面突破するか、バーフロアを突破して非常口に通じるドアを開けるしかありません』
バーフロア。たしか、各業界のトップの子供達がヤクやらキメてパーティーを開いてるとか言う曰く付きのフロアだ。
そんなやばいパーティーを開いてる場所ではあるが、中にいるメンツは何度も言うが政財界なんかのトップの子供。下手なトラブルを起こさない、起こされないように中には警備が配置されてることだろう。
流石にこの人数で突破するのは目立つし、流石に無理があるか。しかも、烏間先生は磯貝の肩を借りなきゃまともに歩けない状況だ。こんな烏間先生を連れて中に入るのは目立ち過ぎる。1発で警戒されることだろう。
どうしたものか。少し考えてみるが、最善策が思い浮かばない。体調が優れない所為か、頭がぼーっとする。
それでも考えて、なんとか捻り出せた策は少人数で潜入して非常口の扉を開ける、なんてシンプルな作戦だけだ。
「ここはわたし達の出番ね」
考えていると、女子連中が我こそは、と一歩前に出ていた。
「そうそう、こう言うところ、男のチェック厳しいし」
「だね、女子だけの方が警戒されないと思う」
女子が口々に決意を表明する。だが、俺たちを信用してくれてる烏間先生も流石に女子だけをこんな魔境に送り込むのは躊躇いがあるらしい。
「女子だけを行かせるわけにはいかない」
「そうですね、烏間先生に賛成です」
烏間先生だけでなく、殺せんせーも反対した。
フロアを通過しあぐねていると、カルマと菅谷が何か妙案でも思いついたみたいにポンと手を打った。
「渚くんに女装させれば良くない?」
「乃咲なら歳の割に落ち着いてるし、雰囲気もあるし、違和感ないんじゃないか?」
「……僕ら?」
渚が俺とカルマや菅谷に視線を向けると表情をものすっごい引き攣らせていた。
そして、速水さんは目にも留まらない速さで渚を掴むとそのまま何処かへと引っ張ってゆく。
俺はと言うと菅谷に男子トイレに連れ込まれてしまった。
数分後——。
「おお……」
「すっごい。髪型だけでかなり印象変わるね」
皆んなの前には入手経路不明の女物の服に身を包んで違和感のない女装姿を披露する渚とトイレの手洗い場に放置されていた誰かのワックスで髪をオールバックに固められた俺がいた。
「渚の女装凄いな……。違和感なさすぎて新鮮味がない」
「そんな新鮮さ要らないよぉ……!」
「んで、圭一もだな……。髪型一つでここまで変わるのか」
「烏間先生リスペクトのオールバックだ。トイレにたまたまワックスがあったんでな。ちょいと拝借した」
「う〜ん。でも乃咲の落ち着いた雰囲気と髪型も相まって只者じゃない雰囲気がムンムンなんだけど逆に怪しまれない?」
「じゃあ、こんな設定はどう? 私達はヤクザの娘。んで、乃咲くんは歳が近いってことで護衛を任された精鋭、的な?」
「あ、その設定使えるかも! 私、実はビッチ先生から集英組の大紋借りてるから」
「中に本物のヤクザいるかもしれないけど通じるかなぁ?」
「そこは腕の見せ所でしょ、男見せてよ、乃咲くん!」
女子連中からの無茶振り。今の俺にそんな器用なことが出来るとはあまり思えないが……。
「やはり女子たちだけでは不安だ。やってくれるか? 乃咲くん。渚くん」
烏間先生にこんな風に頼まれては嫌とは言えない。それに、俺がE組のみんなの為に何かをしてやれるかもしれない数少ないチャンスだ。断ると言う選択肢はなかった。
「やります」
「僕も……!」
俺に続いて渚も決意表明する。
こうして作戦は決まった。
女子たちで潜入。俺と渚はその護衛。
何かあれば俺か渚で注意を逸らして女子たちが店の奥を目指し、非常通路の鍵を開ける。
かなりシンプルな作戦だ。
「それじゃあ、行って来ます」
「はい、どうか気を付けて」
皆に見守られながら店内に侵入する。
俺が気をつけるのは女子に危険が及ばない様に周囲の動きに気を配りつつ、あんまり目立つ行動はしないってこと。
あんまり楽な任務でも無さそうだ。
戦闘力の高い片岡と岡野を先頭に、真ん中に渚、1番後ろに俺、という布陣で店の中を進む。
店の中は明らかに未成年と言った風貌の連中がいるにも関わらず、酒と何かの煙で充満していた。
……あまり長居したい雰囲気ではないな。
異臭とまではいかないが、どうにもこの煙と酒の入り混じった臭いは好かない。こりゃあ、来年以降も地球が存続して、俺が大人になったとしても、バーとかは苦手になりそうだ。
鼻をつまみたくなるのを我慢しながら進む。
しかし、こんな場所に女子の集団と言うのは目立つのか、鼻の下を伸ばしながらやって来るバカが現れた。
「ね、どっから来たの? 君ら」
鼻の下を伸ばした軽薄な男が女子たちの方へ手を伸ばす。が、俺はそれを黙って見送った。何故なら——。
「え……?」
男が手を伸ばしたのが女子……に扮した渚だったからである。
すげぇ。女子が大半を占める中、手を伸ばした先がまさかの女装系男子とは。運があるんだが、ないんだか。
「そっちで俺と飲まねぇ? 金あるから何でも奢ってやンよ?」
しかもボンボンと来た。ある意味、この魔窟の住民に相応しい人材かも知れないな、恐れ入る。
挙句、一応、君ら、と言っているが、その視線は渚にしか向いていない。何だか、この男に向けられる女子たちの視線が冷たい物になった気がする。
「……はい、渚、相手しておいて」
「え、えっ!?」
得体の知れない男の相手を片岡に押し付けられた渚が困惑した様な声を出す。
「あんたなら1人でも大丈夫でしょ。『作戦』の下見が終わったらすぐに呼ぶからさ」
「の、乃咲……」
「ナンパされちゃったな、おめでとさん」
「う、裏切り者ぉ……!」
恨めしそうに俺を見て観念したのか、渋々軽薄そうな男に連れて行かれる渚ちゃん。そのまま部屋に連れ込まれてある意味で女の子にされたりしなきゃいいけどな。
「そっかぁ〜。渚ちゃんって言うのかぁ〜。俺、ユウジな」
まあ、心配することでもないか。あれでも男だし、このユウジとか言う男にそんな度胸があるとも思えん。
連行される渚ちゃんとホクホク顔のユウジくんを見送ることもなく、俺たちは再び足を進めることにした。
が、再び問題発生。
「よう、お嬢達。女の子ばっかじゃん。今夜俺たちとどうよ?」
1番後ろに居るせいで、気付いていないのか、不審な男達が女子の先頭集団に声を掛けてしまう。
この雰囲気、今までの殺し屋達の足元にも及ばないが、堅気の人ではないだろう。ヤクザとまではいかないかも知れないが、反社か或いは半グレか。今度は俺の出番かも知れない。
関節を鳴らし、ウォーミングアップを始め、前に出ようとしたその時。俺を静止するようにすっと細くて白い腕が俺の前に出される。
「矢田さん?」
「ここは私に任せてよ」
矢田さんが俺を止めて、ポケットから例の大紋とやらを取り出しながら微笑み掛けて来たので、おとなしく引き下がる。
「お兄さん達カッコいいから遊びたいんだけど、あいにく今日は私たちパパ同伴なの。うちのパパちょっと怖いから止めとこ?」
「うひゃひゃひゃ、パパが怖くてナンパできッか——」
「じゃ、うちのパパ紹介する?」
軽やかな口調で大紋を見せつける。すると途端に男達はあからさまに顔色を悪くし、ガタガタと震え始めた。
「ねだったらくれちゃって。スクバのチャームにでもしようかなぁって思ってるんだ、コレ」
「や、止めておきます……失礼しました……」
矢田さんカッコいい。小道具と言葉で巧みに騙して無血で連中を退散させてしまった。
いかんな。普段、あんな感じの輩に絡まれては暴力で黙らせて来たからついつい暴力に頼ろうとしてしまった。
こんな平和な解決方法があるんだなぁ、と感心した矢先、2度あることは3度あると神様は言いたいのか、また2人組の男が現れる。
「なぁ、お嬢ちゃん。その大紋、集英組のだろ? よかったらそのパパとやら、俺たちに紹介してくれよ」
小物臭いセリフを伴って現れた2人組。集英組とやらがどれくらいの組織かは知らないが、ヤクザの大紋を恐れていない所を見るとさっきの連中とは違い、本格的に反社会勢力に与する奴らかも。
さっきは感心したが、脅しが効かない相手となれば状況は変わって来る。しかも矢田さんたち女子に興味があると言うよりは、彼女が持ち出した集英組とやらに興味があるらしい。
これでは脅しは逆効果になってしまうだろう。
今度ばかりは俺が前に出た。
さっき矢田さん達が言っていた設定をなぞる様に口調を変え、ビッチ先生から習った自分を演じるテクを使って即興で作った架空のキャラクターになりきる。
「お嬢、おやっさんがお呼びです。こんな連中は放っておいて、お早く部屋に戻って頂きたい」
「あん? んだ、お前」
睨まれたので睨み返す。だが、流石に大人。中坊の睨み一つで踵を返してくれるほど生優しくはないらしい。
「私はこの馬鹿共を始末していきますので、どうぞお早く。でなければおやっさんに大目玉を喰らってしまいます」
俺の意図を察してくれた様で矢田さんが頷いた。
「それじゃあ、ここはお願いしようかな? ごめんね」
「いえいえ、これが自分の役目ですので」
そう言って皆んなに手を振って送り出す。
矢田さんたちを追いかけようとした男2人の行手を阻むように手を伸ばし、立ちはだかる。
「お前、女の前だからって調子乗ってると殺すぞ」
「わぁ、怖い怖い。ここで騒ぎを起こすのもアレだから、ちょっと向こうの人気がない所に行こうか」
俺が指差した、ホールの端。誰も興味がないのか、見向きもしない、店の隅っこには誰もおらず、そして視線を向けている者も誰もいなさそう。俺が指差した先を見て、男達がニヤリと口元を歪める。
「いい度胸じゃん? ガキの癖に」
「いいぜ? ボコってやんよ」
普段、烏間先生とか、ついさっきまで殺し屋を警戒していたせいか、こいつらの言葉がやたらと軽く感じる。
ヤクザってのは義理人情を重んじて、女子供には手を出さない、みたいなイメージがあったが、どうもそれは映画の中だけの話らしい。こいつらからは悪意が感じ取れる。
男達の後ろに付いていく形で移動する。
無駄に派手で無駄に高そうな上着を着たガタイのいい男2人とそいつらに連れ回される中学生という絵面はこの場でも異質な物だったのか、いくつか好奇の視線を向けられたが、気にしない。
ぶっちゃけ、この移動中に後ろから絞め落としてやろうかとも考えたが、流石に目立つので控えた。
目的の場所に着くまでの十数秒。男達の出立ちを観察する。引き締まった身体付きに袖から出た筋肉のある腕。成金趣味のジャケットのポケットの膨らみからして、折り畳みのナイフも入ってそうだ。いざとなったらアレを使われるだろうな。
「さてと。逃げずに着いてくるなんて大した度胸じゃん?」
目的地に着くと男が余裕な笑みで俺を見下した。
さて、どうしようか。
本物のヤクザってのがどの程度の実力なのか分からないのは少し不利だな。加えてどんどん体調が悪くなって来やがる。あんまり激しくは動きたくないな。頭痛がする。
寒気と頭痛に苛まれながら、改めて男達を正面から観察する。
ニヤニヤと浮ついたニヤけ顔。こちらを警戒している素振りはまるでない。心底、俺を舐めきっているのだろう。
一瞬、黒幕に雇われた殺し屋の仲間である可能性も考えたが、だったら曲がりなりにも訓練を受けている相手を警戒する動きはあってもいい筈なので、その可能性は一度、頭の隅に追いやる。加えて、それならヤクザがどうこうって会話をする必要はないわけだしね。
考え出したらキリがない。それに、こんな体調で深く考えようとしてもドツボにハマるだけだ。
思考を切り替えて、相手をどう制圧するかを思案する。
体調の所為であんまり激しく動けない。それに、注目を浴びるのも不味い。やられる前にやるいつもの喧嘩術は使えない。できるだけ暴力を使わず、そして省エネで倒したい所だな。
相手の力量によってはそう上手く事を運ぶことはできないだろうが……。などと思案していると、男が焦れた様に前に出た。
「なんだ? さっきまでの威勢はどうした? 今更になってビビってるのかよ?」
威圧する様な声。不良達がよくやる、殺すぞ、という威嚇に似ている。低い声で、それでいて大声を出せば勝手にビビってくれる。そんな魂胆が透けて見える。
——ぬるい。
本当に気に食わないのならここに着いた時点で殴りかかって来れば良かったのに。
いちいち殺すだとか、威圧しないと動けない惰弱さも、相手を挑発してニヤけるしょうも無さを俺は知っている。
子供がやる分には精一杯イキがってる感じがしてまだ可愛げがあるが、大人がやるとこのうえなくダサい。
しかも、大人が子供にしているのだからますますダサい。これが反社会組織の人間だというのだからお笑い種だ。
「……ふふ……」
思わず笑みが溢れた。
「……何笑ってんだよっ!」
ついに拳が振るわれた。無駄に大きく振りかぶり、その割に踏み込みが甘い。大きく体を見せて威圧する為だけの拳。
さっきの殺し屋や烏間先生の蹴りに比べるとこの拳はなんてちっぽけなんだろう。
半歩、横にずれて躱し、ヤクザのポケットから折り畳みナイフをくすね、ついでに踏み込んだ足を踏み付けてやると、自らの拳の勢いで男は勝手にすっ転んだ。
「次」
半身逸らしたままの状態でクイクイと指を曲げて挑発すると、頭の悪い単細胞はそれだけで頭に血が昇ったらしい。
「このっ……!」
顔面目掛けて蹴りが飛んで来る。避けてもいいのだが、そうなると次の攻撃に繋がりそうで面倒だと判断し、俺の顔の高さまで上がった足を右手で受け止め、そのまま足を思いっきり持ち上げてやるともう1人も情けなく尻餅を付いた。
「おい、大丈夫か?」
声を掛けてやると2人とも慌てた様子で立ち上がり、さっきとは打って変わって俺に対して警戒を露わにする。
どうやら俺を脅威と認めたらしい。
「テメェ、ぶっ殺してやる」
脅し。中学生相手に攻撃を外し、挙げ句の果てに転ばされた事による恥が彼らを突き動かすのだろう。
成金趣味のジャケットの男が右ポケットを弄り、続いて左ポケットを弄り、焦った様な顔をする。
その探し物にすぐピンと来たのでくすねたナイフを見せる。
「探してるのはコレか?」
「……! いつの間に……?!」
「中坊相手に光り物抜こうとするなよ、みっともない」
「返せ……っ!」
再び殴って来たので、今度は転ばせることはせず、また避けなが、今度はナイフを元あったポケットに返す。
今度は転ぶことなく、身を翻し、再び殴り掛かろうとした男の前で両手上げて手のひらを開く。
「テメッ!? ナイフを何処へやった!?」
その質問に対し、奴のポケットを指差す。
俺の動作を見て、慌てた様にジャケットのポケットに手を突っ込む男。しかし、その顔は折角武器を返してやったと言うのに喜びではなく、驚愕で彩られていた。
「どうした、来ないのか」
ナイフを持った男へ一歩近づく。だが、距離は縮まらない。俺が踏み込んだ分だけ、男が後ずさっていたから。
その顔に浮かんでいるのは恐怖。あの顔は知っている。寺坂達が殺せんせーにガチギレされた時、あんな顔をしていた。
ここで俺は初めてゾーンに入る。
相手の視線、息遣い、瞬きの回数、体の動き、震えを見て意識の波長を感じ取る。呼吸の度に波長に激しい波が出来ていた。
拳を固め、踏み出す。相変わらず、その分だけ男も後ずさるが、遂に壁に追い込まれ、背中が壁に当たった瞬間、今日見た中で最も怯えた顔を見せてくれる。
そこまで来て、固めた拳をこいつがさっきやったみたいにやたらと大振りに振りかぶり、男の顔面目掛けて振り抜く。
が、当てはしない。暴力は使わないと決めていたから。男の意識が迫り来る拳に集中し、意識の波長が最大限まで高まった頃合いを見計らって拳を解く。
何が起きたのか、理解できない。そんな様子で解かれた俺の手の動きを顔を使って追いかける男の眼前で、俺は思いっきり、両手の掌を叩きつけて、後ろで爆音で流れている曲をかき消す様な音を立てた。
「————っ…………!!!!?」
その直後、男は白目を剥き、そして膝から崩れ落ちる様に倒れた。
ロヴロさんが伝授されたこのクラップスタナーという技。実戦で使うのは初めてだが、音の鳴らし方だけでも練習して来た甲斐があった。この技、想像上に使える。
自分の練習が報われたことに満足感を抱きつつ、敵はもう1人の敵に視線を向ける。そいつはそこで伸びている奴以上に怯えているのがゾーンに入るまでもなくよく分かった。
この様子なら向かってくることはないだろう。しかし、一応はヤクザごっこ中なので手緩いことはせず、更に相手を追い詰めることにする。
俺はすこし考えた後、今倒した男の服を弄り、財布を取り出し、中に入っていた免許証を出して、写真を撮る。
財布と免許証を倒した男に向かって無造作に放り投げて、もう1人の方に足を向ける。
するとそいつはそれだけで後退りしようとした足をもつれさせ、惨めに尻餅を付いた。
けれど相手が立ってようが、転んでいようがやることは変わらないので気にせず男に近寄り、徐に胸ぐらを掴む。
「おい、免許証出せ」
「は、はひぃっ……!!」
呂律の回らない返事をして震える手で財布を掴み、ガタガタと震えながらおっかなびっくり免許証を渡してくる。
無言でそれをひったくる様に受け取り、写真を撮り、投げ返す。ここまでしたらあとは立ち去るだけでいいのだが、逆恨みされるのも嫌なので徹底的に脅かすことにした。
「お前らの個人情報は手に入れた。顔も名前も住所もな。痛い目見たくないなら今さっき起きた事は忘れるこった。今後突っかかって来たら……分かるよな?」
「………っん!!」
泣きそうな顔でブンブンと首を縦に振る。
そこで俺はようやく手を離し、倒れている男を片手で持ち上げて、尻餅を付いている男に向かって投げ渡す。
「……これからどうするべきか、言うまでもないよな?」
「きききき、消えますっ! ごめんなさいっ………!」
気絶している奴を担いでそそくさと飛ぶ様に逃げていった。
よし、ミッションコンプリート。踏んだり、胸ぐら掴んだりしたが、血を流すことなく奴らを退散させた。
周りを見る。流石に客も何人か通り過ぎていたが、面倒ごとに巻き込まれたくないのだろう。店員を呼ぶ様子もなければ俺と目を合わせる事なく、去って行く。
この様子なら自然と客の中に紛れ込むことが出来るだろう。俺は気配を消して、女子達に合流するべく歩き出した。
あとがき
はい、あとがきです。
圭一、体調に引っ張られて少しおかしなテンションになってます。おまけにさりげなくロヴロから伝授された猫騙しを完璧なクラップスタナーとして使ってたり……まじでなんなんだ、この男……。
次話、圭一に女難が見えます。
今回もご愛読ありがとうございます!