暗殺教室 不良児は認められたい   作:ZWAARD

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本日も書き終わりましたのでお付き合いください。


49話 チャンスの時間

 

 バーフロアを抜けた俺たちはVIPフロアに到達。

 物陰に身を潜めて、通路を観察する。ひとまず、目に見える俺たちの脅威は2人。進行上、必ず通らねばならない階段に男が2人、配置されていた。

 たった2人、と思うかもしれないが、彼らは一目見て、エントランスやバーフロアのヤクザやチンピラとは格が違うのが分かった。立ち姿に一切の無駄がない。

 

 筋骨隆々な肉体は飾りではないだろうし、あの油断のない目。明らかに只者じゃない。

 流石にVIPがいるフロアと感心するべきか。ホテルもここの警備には想像以上の力を入れているらしい。

 

『このVIPフロアはホテルの者だけに警備を任せず、客が個人で雇った見張りを置けるようです』

 

 律の補足に納得した。

 監視カメラや警備員など本来のホテルの警備システムに加えて、客が個人で雇った兵隊。なるほど、後ろ暗い連中が愛用する訳だな。この上なくおあつらえ向きだ。

 

「どうする?あの見張りどうにかしねぇと進めねぇぞ」

 

「うん……。しかもめっちゃ強そう」

 

「私たちを脅してる奴の一味なの?それとも無関係の人が雇った護衛の人なのかな……?」

 

「どっちでもいーわ。倒さなきゃ通れないのは一緒だろ?だったらサクッと倒してとっとと進もうぜ」

 

 寺坂の言うことも一理ある。だが、そう上手く行くかな?相手は2人。人数で勝っているが、相当な手練だろう。声を出させず、応援を呼ばせず、速やかに無力化するのは難しそうだが。

 

 腕を組み、彼らを物陰から睨んで思案していると、殺せんせーが寺坂の言葉を肯定しながら口を開く。

 

「ヌルフフフフ、その通りです。寺坂くん。そして、倒すにはキミの持っている武器などが効果的でしょうねえ」

 

「……ケッ。透視能力でもあんのかよ、テメーは」

 

 武器?寺坂はそんなものを持って来ていたのか。

 騒ぎにならず、なおかつアイツらを無力化するのに最適な武器という奴に興味をそそられ、背負っていたリュックを降ろす寺坂の動きを何気なく見守る。

 

「出来るのか?一瞬で2人を仕留めなければ連絡されて応援がくるかもしれないぞ」

 

「任せてくれって。おい木村、テメー1人なら敵だと思われねぇだろ。ちょっとアイツらをここまで誘い出してこい」

 

「はぁっ!?俺が?どーやって!?」

 

「知らねぇよ、なんか怒らせること言えばいい」

 

 あまりにアバウトで適当すぎる指示に表情が曇る木村と苦笑する面々。そんな中で唯一楽しそうにカルマが手を叩いた。

 

「じゃあ、こう言えばいいよ〜」

 

「ノッて来たね、カルマくん……」

 

 楽しげな笑みに呟く渚。俺たちを尻目にカルマは意気揚々と木村に何かを耳打ちし、よほど酷い煽り文句だったのか、俺が言わなきゃ駄目なのか!?とビビる様子の彼。

 ただ、時間がない事を察してか、木村は肩を落としてため息を一度吐くと、切り替えたようで。ずんずんと歩き出す。

 

 そして、警備のおっさんたちの前に立つと言い放つ。ある意味では毅然と。そして全力でバカにしたように。

 

「あっれェ〜、脳味噌くんがいないなァ〜!こいつらは頭の中まで筋肉だし〜!……人の形してるんじゃねぇよ。豚肉どもが」

 

「あは〜、本当に言っちゃった〜」

 

「ほんと、素敵な性格してるよな、お前。木村になんて事言わせてるだよ……。あれじゃあジャスティス(笑)だろ」

 

「まあ良いじゃん。あ、ほら、木村こっちに来る。寺坂、準備準備〜」

 

「わあってるよ。ったく、おい吉田!」

 

 木村の煽りに血管ピクピクでブチギレている警備のおっさんたちが鬼の様に凄まじい形相でこちらに逃げ帰ってくる木村を全力で追いかけていた。

 寺坂はと言うと、リュックの中から黒くて細い円柱状の棒を取り出すと、吉田に向かって無造作に投げる。

 

「アイツら押し倒して首筋にそいつを当てたらグリップのスイッチを入れろ」

 

「は?てか、なんだよこれ?」

 

「いいから。ほら、来るぞ!」

 

 直後、木村が壁に隠れる俺たちの横を通り過ぎ、それに遅れてドタドタと激しい音を立てる男たちが走ってくる。

 寺坂と吉田はタイミングを合わせて飛び出すと、宣言通り、男たちをタックルして押し倒し、持っていた棒を首に押し当てる。

 

 その形状から警棒か?と思ったが、そうではないことがすぐに分かる。彼らが声を上げる前に押し付けていた棒のグリップ部分にあるスイッチを押すと、棒の先端からバチバチと激しい電撃音を迸らせた。

 

「がっ……!?」

 

 短い悲鳴と激しい痙攣の後、警備たちは沈黙する。

 

「スタンガンか……?」

 

「あぁ」

 

 俺の呟きにぶっきらぼうに頷く寺坂。

 なるほど、確かに対人においては無類の威力を発揮する武器だろう。しかし、よく持って来ていたな、そんなの。

 

「タコに電気を試そうと思って買っておいたのよ。まさか、こんな形でお披露目とは思わなかったがよ」

 

「買っといたって……高かったでしょ、それ」

 

「ん、あ、あぁ。実は最近、臨時収入があってよ」

 

 バツの悪そうな寺坂。あの反応から察するに俺たちに対して後ろ暗い事。つまりはシロとイトナ関連だろう。

 だがまあ、いい。お陰で助かったのだから。

 

 何気なく倒した男たちを観察する。

 気にしすぎかもしれないが、体付きがゴツすぎる気がする。少なくとも下であったヤクザたちはもっとヒョロかった。

 なんというか、鍛え抜かれた精鋭、みたいな印象を受ける身体と言うべきか。鍛えようと思わなければ鍛えられないような所まで筋肉が付いていて、一般人でないことはよく分かる。

 

「……?」

 

「乃咲?どうかしたの?」

 

 男たちを観察していて気がつく。こいつらの胸元、妙に膨らんでいる。ぱっと見は男なのでパイ乙ではないことは確かだが……。となると、武器か?でも、折り畳みナイフにしては大き過ぎるような……。

 

「……こいつら。武器持ってる?」

 

「良い観察眼です、乃咲くん。その通り。寺坂くん、彼らの胸元を探って下さい。キミのスタンガンは良い武器ですが、膨らみから察するにそれ以上に良い物が手に入りますよ」

 

 殺せんせーの言葉に怪訝そうな顔をして男たちの胸元に手を突っ込む寺坂。探ってから数秒後、その顔が凍り付く。

 何事かとその挙動を見守っていると、彼が取り出したのは静かに黒光する鉄の塊だった。

 

「ほ、本物の銃……!」

 

 小型のリボルバーが男たちの胸から出て来た。

 予想外のブツの登場にたまらず思考が停止した。

 

 本物の銃?バカな。ヤクザですら持っていたのは精々ナイフだったんだぞ?それをなんでこんな奴らが銃なんて持ってる?

 銃なんてそう簡単に手に入るものではない。猟銃とかならまだしも、奪うにしろ、盗むにしろ、この平和な日本では拳銃を堅気が手に入れることはほぼ不可能に近いはずだ。

 

 となると、彼らは何者だ?

 

 熱と頭痛で纏まらない思考をどうにかこうにか回し続けるが、やはり頭は思ったように働いてくれない。

 どうやら俺も相当やられてしまっているらしい。いつも以上に思考力が低下しているのがよく分かる。

 

 だが、考える事をやめたらそれこそ負けな気がするので、回らないなりに思考を続けてことの進行を見守る。

 

「千葉くん、速水さん。この銃は君たちが使いなさい」

 

「っ……」

 

「……!」

 

 指名された2人が息を呑む。

 当然だ。今まで使って来たエアガンと本物の銃では文字通り重みが違うし、なにより、先の暗殺で狙撃を失敗したと自責していた2人だ。殺せんせーからの言葉に尻込みするのも無理ない。

 

「烏間先生はまだ精密な射撃ができるほど回復していない。現状、それを最も上手く扱えるのは君たち2人です」

 

 そう、殺せんせーの言う通りだ。ここにいるみんな、銃が下手な訳じゃない。ただ千葉と速水さんがずば抜けて上手いのだ。

 だからこそ先の暗殺では彼らに最後の狙撃を任せた。

 

「だ、だからっていきなり……!」

 

「ただし!先生は殺すことは許しません。君たちの腕前でそれを使えば殺さずに倒す方法はいくらでもあるはずです」

 

「………」

 

 寺坂から手渡された銃を無言で思い詰めた顔で見つめる2人。やはり、先の暗殺が失敗に終わった事を気にしている。

 

「さて、行きましょう。ホテルの様子を見る限り、敵が大勢で陣取っている気配は無い。雇った殺し屋も残るはせいぜい、1人か2人。このまま畳み掛けて薬を奪取します!」

 

「おう!さっさと行ってブチ殺そうぜ!!どんな顔してんだ?こんなクソな計画を立てる奴はよぉ!」

 

 キレる寺坂。その顔色は優れない。緊張しているような、焦っているような、そんな顔。

 もしかしてコイツもやばいんじゃ?なんて良くない想像をしてしまう。感染を疑うべき人物はあのトロピカルジュースを飲んだ者全員だ。ウイルスが悪さをしだすまで個人差があるようだから、ここに来て体調が悪くなりだしてもおかしくない。

 

 俺だけではなく、寺坂も無茶するのは不味そうだな。

 

 みんなの先頭をずんずんと進んで行く寺坂を見送りながら、最後尾で銃を見つめて苦い顔をしていた千葉と速水さんの仕事人コンビに向けて声をかける。

 

「行こう、2人とも。みんなに置いてかれるぞ」

 

「……乃咲。頼む、代わってくれないか……?」

 

 千葉から弱気な言葉が飛び出す。

 職人気質というか、仕事を任されたら言葉ではなく、結果と仕事に対する姿勢で応える彼らしくない弱音。

 

「なんでだ?」

 

「だって俺……。さっきの暗殺でも失敗したし……。ここ一番で失敗する俺より、もっと信頼できる奴がやった方がいいに決まってる。お前も射撃の成績は良かっただろ?」

 

「確かに射撃の成績も上位に居ると自負しているが、殺せんせーが指名したのはお前たち2人だろ?」

 

「分かってる……。分かってるけど………」

 

「分かってるけど何だ?」

 

 言葉を言いかけては飲み込む千葉にあえて問う。その声に続くだろう言葉を知っているが、こう言うのはやはり、本人から聞かないと意味がないと思うから。

 数秒そうしていると、速水さんが徐に口を開いた。

 

「………怖いんだ」

 

「………あぁ。怖い」

 

 2人の表情はやはり優れない。さっきの失敗がよっぽど堪えているらしい。銃を持つ手は小刻みに震えていた。

 

「さっきはエアガンですら失敗した。リハーサルよりもずっと良い状況で、理想的なロケーションが揃っていたのに。俺たちはミスった……。チャンスをモノにできなかった」

 

 前髪からはみ出た千葉の目が震えていた。その目の動き、手の震え、声の強張りから彼が何を懸念しているのか分かる。

 それは速水さんも同様で。ゾーンに入るまでもなく、彼らの意識の波長が乱れているのは分かってしまう。

 

「もし、失敗してしまったら、相手を……殺してしまうかもしれない。もし、外してしまったら、俺たちのうちの誰かが殺されるかもしれない……!」

 

「ここの見張りが銃を持っているってことは、これから戦うことになるかもしれない殺し屋だって銃を持ってるかもしれないってこと………だから……!」

 

 2人は最悪の可能性を想像しているのだろう。失敗した時のことを想像して、手が震え、瞬きが多くなり、どんどん息が荒くなっている。不味いな、このままじゃ、2人とも過呼吸になるかもしれない。どうにかして落ち着けないと。

 

 肩の上下が激しくなる2人。

 俺は少し躊躇った後、2人の意識の波が高くなったタイミングを見計らって彼らの首筋の動脈をその波長の昂りごと押さえつけるように軽く触れた。

 

 思ったのだ。クラップスタナーを一言で言えば意識の波長を読み、極度の緊張に追い込み、意識を飛ばす技だ。

 けど、意識の波長を読んで相手を追い込むことができるなら、逆に相手の波長を落ち着かせてやることもできるんじゃないかって。結果、それはドンピシャだった。

 

「っ……」

 

「………あ、れ……?」

 

 千葉と速水さんがキョトンと俺の手に自分の手を乗せパチクリと瞼をしばたかせていた。

 どうやら俺の目論みは成功したらしい。

 

 にしても、なんか、今日の俺はおかしい。みんなを焚き付けるような事を言ったり、知らない他人を助けたり、体調良くないのを誤魔化したり、こんな風に同級生に触れたり。本当に自分らしくないことをしている実感がある。

 

 でも、コイツらに発破掛けられるのもこれで最後だろうから。だから少しくらい、自分らしくない事してもいいよな?

 説教だなんて俺らしくないけど。俺らしくないことをやって、コイツらが多少でも前向きになれるなら。

 

「0.5秒射撃が早ければ、殺れていたかもしれない。30cm近ければ当てられたかもしれない。律がそう言ってたよな」

 

「……聞いてたのか」

 

「あぁ。聞こえてた。それでお前らが思い詰めてるのも知ってた。でもな、一つだけ言っておくことがある」

 

「なに……?」

 

「お前らはあの時、俺の指示に従って撃った。違うか?」

 

「……あぁ。お前の声を合図に撃った」

 

「だったら失敗の原因は俺にもある」

 

「そんなこと……。だって、撃ったのは私たちで……」

 

「そうだな、撃ったのはお前らだ。千葉は動作を0.5秒短縮出来たかもしれないし、速水さんは30cm詰められたかもしれない。けど、それを言い出したら俺も同じだ。あと1秒早く指示を出していれば千葉は余裕を持てたかもしれない。あと30cm以上速水さんの方へ殺せんせーを誘導していたら殺せたかもしれない」

 

「………」

 

「いいか?たらればの話をしたらキリがないぞ。触手を破壊するタイミングをもう少しずらしていたら、もっと殺せんせーを弱らせていたら、お前ら以外にもスナイパーを配置していたら。こうしていたら殺れたかもしれない、なんて話は無限に出てくる」

 

「……けど」

 

「けどもへったくれもない。俺たちは最善を尽くした。そして失敗した。なら、その責任はみんなのものだ。千葉と速水さんだけで背負うべきものじゃないし、ここまで言ったのに『それでも自分の所為だ』とか思うならそれはただの傲慢だ」

 

 俯く千葉と速水さんに、そしてどこか自分に言い聞かせるように思いつく限りの言葉を紡ぎ続ける。

 

「大体、たった一度の失敗が何だ。俺なんて今回を含めたクラス合同暗殺3回中3回指揮をとって全部失敗させてるんだぞ?たった一度のお前らがそんな落ち込んでたら、俺なんてみんなへの申し訳なさと自分への失望でノイローゼになって学校来れないレベルになってなきゃダメだろ」

 

「乃咲……」

 

「考えすぎなんだよ。そもそも殺せんせーに完全に警戒されてるお前らじゃなかったらあんな風に意表をつくことは出来なかったかもしれない。もしかしたら完全防御形態を使わせるに至らなかったかもしれない。そしたらこの先出るかもしれないもっと良いプランをあの形態で躱されたかもしれない。けど、今回失敗したからこそ、完全防御形態の存在を知ることが出来て、今後の対策を取れるかもしれない。たらればするならそう言うプラスの方向でやろうぜ」

 

 本当に俺らしくない。前向きな思考なんて柄じゃない。斜に構えて最悪の状況を妄想する、それが俺だ。

 でも今後、同級生に説教するなんて二度とないんだろう。A組に行けばこんなこともなくなる。たぶん、そんな確信が俺を饒舌にさせているのかもしれないな。

 

「まだ先生の暗殺期限まで半年もある。チャンスなんてこれからいくらでもあるだろう。そんな無数の可能性の中でたった一回、成功させれば良い。俺たちはその一回を掴むために努力を重ね、経験を積み、学んでるんだろ。何百とあるチャンスのうちの一回をミスった。今回の失敗はたったそれだけのことなんだよ」

 

「だけど、失敗できない局面が目の前にあるんだ。ありえるかもしれない銃撃戦。射撃手の俺たちがミスったら……」

 

「お前らはミスしないよ」

 

「なんでそう言い切れるの?」

 

「速水さん、キミは動いている的にも止まっている的にも弾丸を当てられるスナイパーだ。さっきの暗殺だって、標的を外したわけじゃない。違うか?」

 

「………」

 

「千葉、覚えてるか。律が転校して来た時の合同暗殺」

 

「あぁ……」

 

「覚えてるんなら考えてみろ。お前はあの時、マッハで動き回る殺せんせーの触手を破壊してるんだぞ。んで、例の如く、お前だって的を外したわけじゃない。そうだろ?」

 

「あの時はお前の指示があったから」

 

「今回だって俺がいる。俺だけじゃない。みんなもいるし、なにより殺せんせーがいる。0.5.秒の隙を見つけてくれる怪物が指示をくれるんだ。俺なんかよりも確実な指示をな。それに例え銃撃戦になったとしても、相手は人間。音速には全然届かないただの人間だ。普段からマッハ20を狙ってる俺らだぞ?殺せんせーに比べれば止まってるようなもんだろ?楽勝じゃない」

 

 励ましにしては大雑把。言っていることのほとんどが極論じみている。だが、それでも俺は言葉を止めなかった。

 いつの間にこんな説教くさくなっちまったのかな、俺って奴は。少し自分に呆れてしまう。

 

「お前らだけがソレで戦うわけじゃない。暗殺も戦闘も同じだ。必要ならみんなでお前らをサポートする。仮に失敗したってみんなで何度でもチャンスを作ってやる。お前らだけに責任を負わせたりなんかしない。努力して足掻く奴には絶対チャンスが来るもんだからさ。こんな事で諦めないでくれよ」

 

「努力して足掻く奴にはチャンスが来る……か」

 

「学年最下位から1位になった奴が言うと説得力あるな……」

 

「だろ?俺みたいな浮ついて喧嘩ばかりしてた不良児に出来たんだ。何事にも真剣に、黙々と向き合えるお前らに出来ない筈がない。俺はそう思うね」

 

「……そう……ね。分かった。もう少し、頑張ってみる……励ましてくれてありがとう」

 

「……だな。ありがとう、乃咲。少し元気出た」

 

 千葉と速水さんが銃の感触を再度確かめる様にグリップを強く握り締める。

 万全とまだはいかない。まだ迷いはあるようだが、瞳に少しだけ力が戻った様に見える。

 だが、その様子を見て少し安心した。

 

「こんな言葉で良ければいつでも掛けてやるよ。ほら、早く行こう。みんなに置いて行かれる」

 

 こんな拙い言葉の数々で俺がいなくなった後もみんなの頼れるアタッカーであり続けるだろうこの2人が前を向く一助に慣れたのなら、万々歳だ。

 

 俺はふらつく足を地面に叩きつける様に歩き出し、千葉と速水さんの背中を急かすように押してみんなの背中を追った。

 

 




あとがき

圭ちゃん、どんどん説教くさくなってるような……。最近、倉橋さんと絡んでないせいで擦れて来ているのかも知れませんね……。早く倉橋さんの発するマイナスイオンを補給させなければ……!

それはそうと、皆さんの中の倉橋さんってどんなイメージなんですかね?何気なく頂いた感想を読み返していたからなんか、えらく肉食系なイメージが強いんだなぁーみたいな印象を受けました(笑)

もうトータルの話数は50話を超えたことですし、この伏真島編が終わったら50話突破記念に倉橋さんを主題にした番外編でも書いてみようかな……(書くとは言ってない)

今回もご愛読ありがとうございます!
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