暗殺教室 不良児は認められたい   作:ZWAARD

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みなさま、応援ありがとうございます!

物語としてはまだ中盤も良いところですが
今後ともよろしくお願いします!


52話 疑惑の時間

 

 さて。敵も倒したし、残るは2階だけ。殺せんせーの見立てではこれ以上、殺し屋が待ち構えていることはないらしい。

 けど、今回の戦いで俺の中にはどうしても引っかかる事があった。奴は、この銃手は何故、シート越しに俺たちを撃たなかったのか。それだけが頭の中から離れることがなかった。

 

 折角、千葉と速水さんのお陰で生き残れたと言うのになんだか釈然としない。喉に小骨がつっかえてるような気分。

 そんな心境が顔に出ていたのか、肩を貸してくれているカルマが不思議そうに口を開いた。

 

「どうしたの、そんなに難しい顔しちゃって。折角勝ったのに嬉しくないの?」

 

「いや……。嬉しいんだけどさ。少し引っかかることがあって……。素直に喜べないと言うか……」

 

 チラリと簀巻きにされている男に視線を向け、カルマに俺の感じていた違和感を話してみる。

 すると茶化すことなく俺の話を全て聞いてくれた彼は真剣な顔をして俺と同じ様に考え込んでしまった。

 

「言われてみると確かに……。相手が本物の銃を持ってたからそっちにばっかり意識がいってたけど、改めて言われてみるとやっぱり少し変だね……。銃の威力についてはよくわからないけど、本物ならシートくらいは貫通してもおかしくない……」

 

 カルマと2人して考える。俺だけでなく、カルマもこうして考えると言うことは、あの銃撃戦で感じた違和感は決して的外れなものではなかったということだろう。

 もう一度、戦場となったフロアを見渡す。さっきまで命懸けの戦いをしていたとは思えないほど、静かだった。

 

「ん?なになに、どうしたの、乃咲くんとカルマくんが揃って考え込むなんて珍しいね」

 

 不破さんが俺たちに気付き、声を掛ける。その声に反応した他のメンツが教師陣も含めて俺たちの元に集まった。 

 折角なので俺たちの感じた違和感を全員に話し、ついでに自衛隊所属の烏間先生にも意見を求めてみる。

 

「……そうだな。このタイプのシート程度なら貫通もする。奴の腕ならそのまま撃ち殺すことも可能だった筈だ」

 

 シートを軽く叩き、材質などを確かめた烏間先生が同意してくれた。しかし、いよいよ謎が深まる。

 一瞬、俺たちを殺すつもりがなかったんじゃないか、なんて思考が過ったが、理性と本能がそれを即座に否定する。あの時、向けられた殺気は本物だったと思う。それに、奴は引き金を引くのに躊躇しなかった。

 殺すつもりがないのなら、撃たないし、仮に撃ったとしても本物の銃だぞ?引き金を引くのにも躊躇いは生まれるだろう。

 

「乃咲くん」

 

「はい?」

 

 殺せんせーが呼んだので返事する。

 

「キミは観察力に優れ、それに見合った考察力もある。今、思ったことを口に出して言ってみてください。それが答えに繋がる筈ですよ」

 

 みんなの視線が集まった。意味があるかは分からないが、殺せんせーに言われた通り、思ったことを口にしてみる。

 

「アイツ、俺たちを殺す気なかったのかなって」

 

「でも、それなら初めから撃ったりしないんじゃね?」

 

「ああ。あの殺気は本物だったし、マジで死ぬと思った。だからこの線はないと思ったんだけど……」

 

「それでも引っかかるって?」

 

 吉田の言葉に頷く。なんだろう。何かを見落としているような気がする。決定的な何かを。

 再び長考に入ろうとした時、不破さんが芝居がかった動きで俺の視界に入り、イタズラな笑みを浮かべる。

 

「ふっふっふ〜。乃咲くん。確証がないのなら証拠を集めればいいのよ。あの人が私たちを殺す気がなかったかもしれない。状況証拠として、彼はシートごと私たちを撃たなかった。なら、物証を集めるべきだわ。探偵漫画の基本よ」

 

「……物証、か」

 

 言われて考える。彼に殺意がなかったと断定できるだけの証拠。そんなものあるだろうか?

 考えていると、またしても不破さんが笑みを浮かべる。まるでしてやったり、というか出し抜いてやったぜ!とでも言いたげな顔のまま、彼女は菅谷に指示した。

 

「ねぇ、菅谷くん。そのカカシ見せてもらってもいい?」

 

「ん?あぁ」

 

 キョトンとした顔でカカシを床に置く。

 釣られるようにそれを目をやり、観察する。さっきも遠目に見たが、結構でかい。菅谷のやつ、こんなのよくあんな時間もない中で音を立てずに作れたな、と感心。

 シルエットだけでなく、顔にはしっかり目と鼻と口まで描かれている。それにしっかり俺たちが使ってるエアガンを持たせて射撃態勢を取らせている。確かにこんなのが薄暗闇の中に飛び出して来たら人と誤認してもおかしくないだろう。

 

 俺があの殺し屋と同じ立場でもきっとこんなのが出て来たら撃ち抜いてしまうだろう、と考えながらカカシを観察していると、ふと、眉間の弾痕に目が止まった。

 弾丸が命中したであろう場所が凹み、焦げたみたいに黒ずんでいた。その状態を見て、思わず身震い。もしかしたら自分もこうなっていたかも知れないと思うとゾッとする。

 

「……あれ、凹んでるだけ?」

 

 考えて思わず呟く。別に凹んでること自体はおかしくない。丸めた布だって強い衝撃を与えれば凹みはする。

 だが、変だ。銃弾が命中したと言うのに、命中箇所が凹み、黒ずみ、数ミリの破れはあるが、弾が貫通した様子がない。

 

 カーテンが思いの外に分厚かった?いやいや、烏間先生だってシートくらいは貫通するって言ってるんだぞ?この布切れごとき易々と貫通できて然るべきじゃねぇの?

 何気なく眺めただけなのに強烈な違和感を植え付けられてしまった。そんな俺を見て名探偵不破が頷く。

 

「ワトソンくん。何か調べたいことでもあるのかね?」

 

「……木村」

 

「……?おうよ」

 

「殺し屋の使ってた銃、吹っ飛んだ方向覚えてるか?」

 

「あぁ。覚えてるけど?」

 

「すまん、探して来てくれないか。確認したいことができた」

 

「わ、わかった。任せとけ!」

 

「付き合うぜ、木村」

 

 木村とそれに着いて行った吉田。速水さんが狙撃して吹っ飛ばした先に向かっていくと、案外、わかりやすい場所にソレは転がっていたらしく、数分とせずに戻って来た。

 

「ほら」

 

 手渡されたリボルバーをみる。殺し屋の部下から奪った銃には実弾が込められていたらしく、速水さんの狙撃によって銃身が痛烈に歪んでいた。けど、見たいのはそこじゃない。

 銃を受け取り、シリンダーの操作を試みるが、リボルバーなんて初めて触ったので諸々の操作方法が分からず、首を傾げ、これ以上は時間の無駄だと悟ったので、素直に先生を頼る。

 

「烏間先生、こいつの弾について教えて貰えませんか?できれば用途なんかを詳しく」

 

「……あぁ」

 

 銃を受け取ると慣れた動作でシリンダーを開き、そこに装填されていた弾を1発取り出すと目を見開いた。

 黄金の薬莢、そしてグレーの弾頭。銃に疎い俺でも違和感を覚えた。薬莢部分は明らかな金属製なのに、弾頭はまるでゴムのように見える。もしかしてこれって……。

 

「……これは模擬弾だ。主に射撃訓練やテロの鎮圧などで使われる殺傷能力の低い弾。本物の銃を使って発射するだけあって威力は高い。だが、暗殺や殺害を目的とした実践で使用されることはまずないだろう」

 

「……そうですか。ありがとうございます……」

 

 烏間先生からの解説を反芻する。

 何故、模擬弾を使ったのかはわからない。目的は全然割り出せないが、一つ言えることがある。

 

「殺気はあったけど殺意はなかったって所か」

 

「乃咲くん。なにかわかった?」

 

「あぁ。今回の戦闘での違和感は払拭できた。ゴムの弾頭じゃシートは貫通しない。だから攻撃しなかったんだ。シートの弾力で弾き返されるのがオチだし、殺傷能力が低いと悟られればそのまま特攻される可能性もあったから。確実に身を出した奴だけを狙ったんだろう」

 

 そう。今回の戦闘はそれで説明がつく。だが、また別の疑問が湧いて出てくる。コイツは何故、実弾を使わなかったのか。実弾を使っていれば確実にこっちがやられていたと思うのに。

 

「……いや、待てよ……?」

 

 そこまで考えてまた疑問。考えてみれば確実に俺たちを殺すことができた場面ならここまでに何度もあったじゃないか。

 

「まだ何かあるのか?」

 

「今、なんでコイツが実弾を使わなかったのか考えて見てたんだけどさ。考えてみれば、俺たちを殺す機会なんていくらでもあったよなって。例えば一番最初にあったガス使いのおっさん。あの人、俺たちに致死性のある毒を使わなかったよな。あそこで使ってれば少なくとも寺坂と吉田は殺せてたはずだし、結果的に2人を庇った烏間先生だって殺せた筈なのに」

 

「やっぱりそこ不思議よね。私も今、変だなって思ってた」

 

「た、確かに……」

 

 名探偵も同じことを疑問に思っていたのか、顎に手を当てて考えだす。みんなも釣られて考察モードに入る。

 

「黒幕は要求に従わないならワクチンを壊す、つまり、感染したみんなを殺すって言ってた。そんな奴が私たちを生捕りにしろ、なんて指示を出すとは思えない」

 

「あぁ。それに、おじさんぬはオレ達の引率に烏間先生がいることを知っていた。だと言うのに持っていた殺傷性のあるものは小さな折り畳みナイフだけ。変じゃねぇか?素手の戦闘楽しみたいけどプロとしての仕事だからって割り切って毒ガス使う人だぞ?なぜ、あの時使った毒は致死性のないものだった?精鋭の烏間先生を想定していたのなら吸ったら死ぬ奴を携帯し、使っても良かった筈だ。けどソレをしなかったのは何故だ?」

 

 そう、考えてみればおかしな所だらけだ。

 使われなかった即死系の毒と実弾。おじさんぬだってなんでわざわざあんな見晴らしのいいところに陣取っていた?気配を消して物陰に隠れていれば俺たちを後ろから一人一人始末することだって出来たはずだろう。

 それをしなかった理由は………。

 

「連中は俺たちを本気で殺すつもりはなかった?」

 

「結論としてはそうなるわよね……」

 

 そうとしか考えられない。これだけ状況証拠と物証が揃っていてはそう言う結論になるしかないだろう。

 と、なると、俺たちに盛られた毒は本当に致死性のあるものなのか、という疑惑も出てくるが……。こっちはなんとも言えないな。希望的観測に任せて気を抜くわけにはいかないし。

 

「でもさ、となると今回の黒幕も俺たちやみんなを殺すつもりはないってことなのかな?」

 

「結局のところそこだよね。黒幕にも殺す気がないんなら案外、交渉でどうにかなりそうだけど、俺らは黒幕に繋がりそうな情報を何も持ってない。これじゃあ考察のしようもないね」

 

 そう、俺たちは黒幕に繋がりそうな情報を何も持っていないのだ。考えたくても考えられない。

 これまでの殺し屋は毒、腕力、銃という得意分野があった。黒幕を含めて4人の殺し屋グループだと考えると最後の1人はどんな分野で攻めてくるだろうか?という予測をするのが関の山だ。

 

「黒幕……どんな殺し屋なんだろうね」

 

 思い詰めたようにみんなの思ったことを口にする渚。すると殺せんせーが誰も考えていなかった可能性を出した。

 

「今回の事件の黒幕は、おそらく殺し屋ではありません」

 

「どういうことだ?」

 

 殺せんせーの言葉に首を傾げる烏間先生。俺たちもその言葉の真意が知りたくて殺せんせーを見る。

 

「殺し屋の使い方を間違えています。もともとは私を殺す為に雇ったのでしょう。ですが私がこんな姿になり、警戒の必要が薄れたので見張りと防衛に回した、というところでしょうか。でもそれは殺し屋本来の仕事ではない。彼らの能力はフルに発揮すれば恐るべきものです」

 

「……確かに、さっきの銃撃戦は殺せんせーの戦略で勝ったけど……。アイツ、狙った的は1cmたりとも外さなかった」

 

「カルマくんもそう。敵が廊下で見張るのではなく、日常で後ろから忍び寄られていたらあの腕力に瞬殺されていたでしょう」

 

「………そりゃぁね」

 

 これまでに戦った殺し屋たちの実力を振り返り、対峙したみんなが渋い顔をする。

 殺せんせーの言う通り、これが今回ような防衛戦ではなく、日常の中での暗殺だったのなら、俺たちは全員が成す術なく一人一人確実に、一瞬のうちに全滅させられていたことだろう。

 

 そう考えると黒幕は殺し屋の使い方を分かっていないというか、確かに間違えているように思う。

 けれど、それだと一つ、辻褄が合わなくなることがあるように思う。だから、聞いてみることにした。

 

「……でもさ、殺せんせー。それって変じゃないか?」

 

「おや、また何かに気付きましたね、乃咲くん」

 

「まあ、気付くというか、そもそもの前提条件が違うというかさ。相手が殺し屋じゃないなら事情が全く読めなくなってくるというか……。なんて言えばいいんだろ」

 

「焦る必要はありません。あのボスの正体に関わる大事なことです。しっかり思ったことを口にしてください」

 

「……殺せんせーって国家機密なわけだろ?だったら黒幕はどうやって殺せんせーについて知ったのかなって」

 

「ふむ……」

 

「殺し屋だって言うならまだ分かるんだ。日本、あるいは世界各国の首脳たちが雇った殺し屋が黒幕なら殺せんせーについて知っていても不思議じゃない。むしろ妥当だ。でも、殺し屋じゃないなら、どうやってアンタを認知した?曲がりなりにも国家機密、世界の首脳やお抱えの軍隊しか知らないような世界共通の最重要機密だぞ?」

 

「それはほら、その各国首脳直下の烏間先生みたいな人が黒幕だった、とか……?」

 

「だとしたら烏間先生が今回のことを何も知らないのは変じゃないか?うちらの暗殺……延いては現場を監督をしてるのはこの人だ。そんな彼に何も伝えずに暗殺作戦が実施されることなんてあり得るのか?これが単なる狙撃だけならまだしも現場で任務に参加している俺たちを巻き込んでまで。下手したら外交・国際問題にまで発展しかねない案件だぞ」

 

「うぅぅん。烏間先生、そこんところどうなんですか?」

 

「確かに乃咲くんの考える通りだ。仮にここが日本の外ならあり得ない話ではないが、ここは日本。我々日本政府の管轄だ。傍迷惑な観光客がはっちゃけるのとは訳が違う。この国で勝手をするのであれば外交問題になるだろう」

 

 やはりそう言う話になるよな。国の要人が他所の国で好き勝手するというのはそう言う事だ。

 

「加えて君たちはターゲットに間近から攻撃できる数少ない人材だ。そんな君たちを害し、危険に遭わせるのは超生物暗殺という地球の命運を賭けた任務への妨害に他ならない。そんなことをすれば今後、日本だけでなく、他国からも爪弾きにされるのは間違いないだろう。よって、他国の抱えるエージェントが主導している可能性は限りなくゼロに近い」

 

 無論、ゼロに近いだけであって可能性がないわけではないのは念頭に置いておく。だが、そうなるとますます色々と疑問が尽きなくなってくる。各国のエージェントでも雇われた暗殺者でもないのなら犯人は何を思ってこんな事件を起こしたのだろう?

 

 そもそも、俺たちが殺せんせーに近距離から攻撃できる環境にあるのは、彼が俺たちの担任であることに拘っているからだ。

 そんな俺たちに危害を加えて、クラスの半数を殺しでもしようものなら、学校は責任を問われてメディアに晒され、E組という制度を解体されるかもしれない。そうなれば国家機密の殺せんせーは椚ヶ丘学園から出ていく可能性だってある。

 

 それは地球を破壊する超生物を監視する術も近距離から攻撃をするチャンスも失うことになる。

 そうなれば今回の事件の首謀者は大戦犯だ。国際指名手配される可能性だって充分すぎるほどにある。

 

 もし、俺たちとの交渉が決裂し、感染したみんなが死に、なおかつ今日、ここで殺せんせーを殺すことができなかった場合、そんな末路が待っている。犯人はそこまで考えているのだろうか?もし、考えているのなら、そこまでのリスクを負ってまで作戦を始めた理由はなんだ?

 

 いくら考えても理解が出来ない。犯人像も全然固まらない。

 

 暗殺者ではない。殺し屋の使い方を間違えているから。

 

 他国のエージェントではない。自分の国の立場を悪くするような行動を取るはずがないから。

 

 かと言って一般人であるはずがない。そうであるのなら、そもそもとして殺せんせーを認知してる訳がない。

 

 以上3つのポイントを除外して考えた時、もっとも可能性のある犯人像はどんな奴になるんだろう?

 首を傾げ、考えていると、不意にスマホが震えた。何事かと取り出してみると液晶にはしてやったり、と言った様子の悪戯っぽい笑みの律が映っていた。

 

『たった今、最上階にあるパソコンの付属カメラのハッキングに成功しました!これで最上階の様子が見えますよ!』

 

 さらっととんでもないことをしていた律。コイツも大概なんでもありになって来たよなぁ、と改めて呆れると同時に感心。

 なんとなく、勝手に電子機器に入ってハッキングして、自在に操作して。電子ウィルスみたいなことしてるなぁ、とか考えそうになる思考を嗜める。

 クラスメイトとしては頼もしい限りだ。

 

「見せてくれ」

 

『はいっ、こちらになります』

 

 おそらく全員のスマホに映像を映し出したのだろう。みんな手に持った端末の画面を食い入るように見つめる。

 数秒と経たずにスマホの画面が切り替わった。

 

 犯人のいる部屋は無駄な照明を消しているのか、部屋は薄暗い。ただ、薄暗い部屋の中で光るモニターがあった。その手前には椅子に座る大柄な人物。その更に手前にはトランクケースらしき物体。あれが治療薬の入ったケースだろうか?

 などと思っていると律がカメラをズームさせたのか、モニターに何が映し出されているのかがはっきり見えた。

 

「モニターに映ってるの感染させられたみんなじゃねぇか……!ちくしょう……ふざけたことしやがって……!」

 

 吉田が怒りを隠そうともせず口を開く。

 あぁ。全くの同意見だ。悪趣味なことしやがる。

 

 憤っていると、カメラの視点が後退し、遂に事件の首謀者のシルエットが顕になった。

 

 悔しいことにアングルの問題と部屋の照明のせいでシルエットしか分からない。だが、奴はまるで寛ぎながら映画でも眺めるみたいにタバコを噴かしながらみんなの様子を見ている。

 

「楽しんで見てやがるのが伝わって来やがる……!変態野郎が……!」

 

 吐き捨てる寺坂。そんな彼に同調するように画面を睨む者、不安そうな顔をする者、引き続き思案を巡らせる者。

 さまざまな反応を見なが示す中、俺は画面の中のモニターを注視する。アングル的にあの時、俺が睨みつけた位置にあるカメラで間違い無いだろう。現に、モニターの中にはウィルスの与える苦痛に顔を歪める倉橋さんが映っている。

 

 それを見た瞬間のことだった。

 

——プツン。

 

 頭の中の何かがキレる音がした。

 

 

 

 




あとがき

はい、あとがきです。
圭一ちゃん、ブチギレ。次回もまた考察回になりそうです。
ガストロの銃に装填されてるのが模擬弾なのは公式ではありません。いや、殺意がないなら実弾使わないんじゃないか?と思いまして……。

今回はここまでとさせて頂きます。

今回もご愛読ありがとうございます!
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