暗殺教室 不良児は認められたい   作:ZWAARD

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加えてたくさんの高評価、感想ありがとうございます!

本日も投下しますのでお付き合いください……!


80話 病院の時間

 

 磯——悠馬と和解を済ませたあと、みんなは帰って行った。俺としては一人一人に頭を下げたい所だったが、律の中継してくれてる先で聞いてた寺坂の『やらかしたと思うならさっさと身体治して暗殺に貢献しやがれッ!』という不器用でぶっきらぼうな言葉に俺以外の全員が賛同したことでお開きとなった。

 

 やっぱり言い方は乱暴だが、寺坂はいい奴である。

 そんな彼の言葉に頷いて帰っていくみんなも結構なお人好しだと思うが、それがE組の良さなんだろう。

 

 みんなが帰った後、俺は何気なくテレビを付けてぼーっと過ごしていた。そう言えばテレビをゆっくり眺めるのも久しぶりだ。最近は暇があれば教材と睨めっこし、分からない部分を調べることでしかネットは使ってなかった。

 なんとなく新鮮な気分で眺めるニュースは俺の記憶していた古い情報をアップデートしてくれた。

 海外でミサイル実験が行われたとか、冷戦というか膠着状態だった複数の紛争地帯が再び動き出したとか、月が爆発した原因がどうこうとか。色々と。

 

 紛争に関しては考えてもどうしようもないが、海外のミサイル実験とやらは、本当に実験なのか?案外、飛行する殺せんせーを撃ち落とそうとしたのをメディアにキャッチされただけだったりするのかもしれないよな。

 

 勉強も暗殺も一時的に辞めて眺めた世界は、俺が思う以上に平和な気がする。暗殺のあの字もない。辛うじて見つけられる暗殺の痕跡はそれこそニュースで出てるミサイル実験くらいだ。しかし、それも事情を知らない人々からしたら、『また隣国がミサイル撃ってるよ』くらいの感覚なんだろう。

 紛争が起こってることから目を背ければ、世界は平和だ。来年の3月には地球がなくなるかもしれないって危機感は誰も抱いてないし、まして、中学生が地球を破壊する生物の暗殺に駆り出されてるなんて考えもしない。

 

 少し前まで、これが当たり前だった。ミサイル発射とか聞いても『物騒だな』くらいしか思わず、月が爆発したとか聞いても『まじか、なんでなんだろ?』くらいしか考えなかった。それが普通だった。それが当たり前だった。

 

「なんか、随分と感性がおかしくなったもんだ」

 

『そうなんですか?』

 

 律が話しかけてくる。

 

「まぁな。暗殺とか関係ない人たちを見てるとそう思う。少し前まで俺も向こう側だったのに、いつの間にか平気で暗殺のこととか、どうやったら殺せるか、とか。そんなこと考える様になってんだもん。自分を客観視して、驚いたよ」

 

 そう、驚いてる。E組が暗殺教室になったばかりの頃、俺の感性はまだ、普通よりだった。殺せんせーの安全性について疑問を持ち、政府の判断を疑い、殺せんせーの正体を考察して、各国首脳達に疑念を持っていた。

 それが今はどうだ?最近は殺せんせーの正体を考えることも少なくなったし、なんなら信頼してるし、正直に言えば国のことは信頼できないけど、烏間先生は無条件で信頼してる。

 

 ビッチ先生に対してもそうだ。最初は『暗殺者とか言っても、所詮は殺人鬼だろ?』とか思ってたのに、いつの間にか馴染んでる。国家機密とか、殺し屋とか、暗殺とか、地球滅亡とか。気が付けば非日常が日常になっていた。

 

『ふむ……。確かに普通の中学生とはかけ離れた生活をしてるのは否定できませんね。暗殺、国家機密、過労。どれも普通の中学生が経験する様なことではないでしょう』

 

「はい、ごめんなさい。猛省しておりますので許してください……。2度と過労で倒れませんので」

 

『もう……。常にいろんなことを考えてるのは乃咲さんの良い所ですけど、考えすぎるのは悪い所ですよ?こういう時くらい、何も考えずにぼーっと過ごせば良いんですよ。乃咲さんくらいの年頃の男の子は遊ぶ事とエッチなことだけ考えてるのがデフォルトなんですから。年頃らしくしてください』

 

「それは偏見がすぎるんじゃないかい!?というか、エッチなこと考えて良いなら人のスマホに住むなよ!?お前がいるからスマホでエロいの検索出来ねぇじゃん!」

 

『良いじゃないですか。私のことは気にせず調べても。乃咲さんが周りに触手触手言われるから興味本位で調べた結果、思いの外にハマりそうでいろんな触手ものの同人誌を見てることなんて女子の間では共通の認識ですよ?』

 

「……え、どうしよう。俺、やっぱり転校しようかな」

 

 ってことはアレか。さっきの悠馬とのやりとりや、この前の父さんへのコンプレックスをぶちまけてるシーン中、女子連中は『コイツ触手愛好家なんだよな〜』とか思ってたのか!?

 え、どうしよう。転校するか、E組行きをやめるかガチめに悩みそうだぞ、これ。立ち直れないかもしれん。

 

『まあ、この話は置いておくとして』

 

「ほんとお前、強かになったな。図太くなったというか、いつの間にそんなキャラになったのか」

 

『置いておくとして!』

 

「はいはい、分かった分かった」

 

『乃咲さんは一度考えるのを止めましょう。恐らくですが、過労の原因の一つはその高すぎる集中力と思考力にあります。いつもの調子で考え耽っていたら回復するものもしませんよ』

 

「それは……まぁ……」

 

 一理ある。恐らくは夏休み中の無茶もあるのだろうが、過労を加速させているのはゾーンに入りながらの勉強だろう。

 俺のチカラが努力と言う過程をすっ飛ばして熟達した結果のみを得る〜的なものだったらこんな事にはならなかったのだろう。だが、俺の場合はしっかり自分の体感時間ではあるものの、しっかり時間を使って努力をしているつもりだ。

 

 言ってしまえば、ゾーン中はある種の精神と時の部屋状態。考え事をしているだけで周りの倍の時間が過ぎるのだから、頭を使っていては休まらないのは当然である。

 

『分かっているのなら、たまにはゆっくりしてください。明日は一日中何も考えずに日向ぼっこしてましょう!』

 

「……はーい」

 

 律の言葉に頷く。彼女の言い分は理解できるし、俺の視点でも何も考えずに休むと言うのは理に叶っている。

 しかし、何も考えないと言うのは思いの外に難しいと言うことを俺は身をもって知る事になるのだった。

 

⬛︎

 

⬜︎

 

⬛︎

 

「…………」

 

『……あの、乃咲さん?』

 

「……………ん?」

 

『えっと、勧めておいてなんですけど、やっぱり少しくらい頭を使っても良いかもしれませんね。ゲームでもしますか?』

 

「…………………ん?」

 

『あっ、これ、電源入ってませんね』

 

 いや、電源は入ってるんよ。でもね、いざ何も考えないってのは結構難しくてね。なんとか最低限の思考能力だけ残した脱力状態を作ることは出来たけど、こうなるとやる気が出ないんだわ。

 

 何も考えないことを考える……とか、一行矛盾を昨日、あの後からかましているのだが、これが思いの外に難しかった。

 何も考えない様にすると、何も考えてない状態ってどんなだっけ?と考える様になり。いっそ寝てしまおうと思えば、今度は眠り方が分からなくなって。最終的に俺って勉強、訓練、ゲーム問わず何もしてない時って何をしてたっけ?とかドツボにボッシュート。結果、ゲシュタルト崩壊してしまった。

 

 その果てに、何も考えないことを考え続け、最適解として身体の力を抜いてぐだーっとしながら、ベットテーブルのシミの数を数えるだけの究極的にやる気のない男が生まれた訳である。

 

「ぬぼ〜〜〜〜……」

 

『まさかここまでになるとは………』

 

 律の声を聞き流しながら、付けっぱなしのテレビから聞こえてくる情報を右から左へ受け流していると、昨日と同じ様に扉がノックされた。今日は3回。うん、分かってる奴だ。

 

「圭ちゃん、入っていい?」

 

「律〜、返事しておいてぇ……」

 

 倉橋さんの声が聞こえた。しかし、扉に聞こえるくらいの声で返事する気力もないので、適当に律に振る。

 すると数秒後、躊躇いがちに扉が開いた。

 

「失礼しま——って、圭ちゃん!?」

 

「わっ、乃咲!?なんで溶けてるの!?」

 

 入ってきたのは倉橋さん、茅野、渚、カルマ、杉野だった。

 

「かくかくしかじか」

 

「いや、どう言うこと?」

 

 衝撃、かくかくしかじかでは伝わらないらしい。

 それもそうか。俺はテーブルに突っ伏したまま、顔の向きを変えて、ざっくりした概要を話した。

 

「何も考えない様に考えるって何言ってんのかわかんねぇな。頭痛が痛いとか、努力を頑張るとか、それに近いものを感じる」

 

「て言うか、それでこんなドロっとする?机の上で液状化しててもう乃咲、人間の形を保ててないじゃん。これ型に流し入れて冷蔵庫に入れるだけで治るかな……?」

 

「茅野は俺をプリンかゼリーだと思ってる?」

 

「え、油固め剤とかの方が良かった?」

 

「ごめん、ちょっと泣きたくなったからみんな出ていってくれ。小一時間くらいで泣き止む様に頑張るから」

 

「ごめんごめん。ほら、お見舞い持って来たからさ!」

 

 そう言って茅野が俺の顔の横にどさっと袋を置く。中に入っていたのはちょっと良い値のするコンビニスイーツ達だった。

 

「疲れてる時は甘いのが良いって言うし、みんなで選んだんだ。小腹が減ったら食べてよ」

 

「これはご丁寧にありがとうございます」

 

 お礼を言いつつ身体を持ち上げ、伸びをする。

 なんとなく頭が重く感じるのは過労か、それとも良くない姿勢でいた所為なのか。考えすぎないことを考えていたからか、頭が糖分を欲している。

 

「んじゃ、早速いただきます」

 

 袋からプリンを取り出し、一口。

 

「ん、久しぶりに食べたけどプリンって美味いのな」

 

「お?乃咲もプリンの良さが分かった?」

 

「茅野や殺せんせー程じゃないけどな。疲れてる時は甘いものってあながち間違いじゃないのかも」

 

「へー、じゃあ、今度喫茶店でも行く?竹林イチオシのメイド喫茶に寺坂あたりを連行して遊ぼうよ〜」

 

「それは寺坂を弄って遊びたいだけだろ……」

 

 言葉を交わしながらプリンを食べ進める。

 雑談の様な雰囲気で会話が進む中、渚がふと口を開いた。

 

「ねぇ、乃咲。これからどうするの?」

 

「どう、とは?」

 

「ほら、乃咲は倒れて小テスト受けられなかったじゃん。一応、うちの学校的に例え小テストでも受けなかったらE組行きってルールでしょ?乃咲はどうなるのかなって」

 

 みんなの視線が俺に向く。多分、お見舞いが本来の目的だけど、その辺が気になっているのも本心なんだろう。せっかくだし、話してみることにした。

 

「ちょっとした特例措置で成績にもよるけどA組に残るか、E組に戻るかを選ぶ権利を理事長から貰ったよ」

 

「特例措置?あの理事長が?」

 

「そ。ほら、前に俺が教師を殴ったって話はしたろ?その時に殴った教師の発言が問題視されてさ。生徒を過労で倒れるまで追い込んだってことで学校側にも責任があるってことで」

 

「……何言われたんだよ?」

 

「父親と違って、なんでお前は出来損ないなんだってさ」

 

「………なるほどな。そりゃあお前もキレるか。この前のアレを見せられたら納得するしかないだろ」

 

「ま、そう言うこと。テストで8割正解すればA組に残留するか、E組に残るか選ばせてやるってことだな。ざっくり言うと」

 

「8割ってハードル高くない?」

 

「いや、別に。それに理事長の話だと8割が今回のA組の平均らしいからな」

 

「A組流石にバケモンだな……。5英傑が平均を爆上げしてるってものあるんだろうけどさ」

 

 8割と聞いても涼しい顔をしているカルマ以外が苦笑を浮かべる。どうやら、それなりに難しい問題だったらしい。

 けどまあ、舐めてるわけじゃないけど問題はないだろう。中学に入ってから、この前倒れるまでの範囲、それから秋頃に習う部分までは何回も復習したし、予習もした。よっぽどがなければ落とさない。そんな自信がある。

 

 そんな俺の自信を感じ取ってか、あるいは単純な興味なのか、カルマが試す様な口調と表情で言う。

 

「それで?乃咲クンはどーすんの?」

 

 何をどうするか、そんな明確な問いではないけど、意味は分かった。彼が聞きたいのは俺がE組に戻るのか、戻るつもりがないのか。そこの部分なんだろう。

 

「正直、悩んでる。E組に戻りたいのは本心だ。A組で学ぶよりE組にいる方が実りがあるとも思ってる」

 

「それって悩む要素あるのか……?いや、俺たちとしてはお前が戻って来てくれるなら心強いし、嬉しいけど」

 

 俺の言葉に杉野が苦笑する。確かに彼の言う通り、俺が今言った内容だけをみると、悩む要素はないと言える。

 だが、なんとなく。暗殺教室から離れ、倒れ、今日に至るまでの生活を振り返ってみると思うところがないわけじゃない。

 

「確かにE組に戻りたいって方向に心が傾いてるのは事実なんだけどさ、思ったんだ。A組……と言うか、本校舎に残って暗殺に貢献する方法はないのかなって」

 

「本校舎に残って暗殺を……?」

 

「そう。E組は暗殺に必要な条件が整ってる。いるのは殺せんせーの関係者だけだし、人目につくことはない。でもE組の外は不確定要素が多い。関係ない奴もいるし、人目にもつく」

 

 そう。父さんに好きな様に頑張れと背中を押された今、俺を縛る要素はほぼ無いに等しい。A組にこだわる必要はない。

 A組で学べることはほぼない。でも、暗殺という観点から見れば、A組とか本校舎の生徒という立場にも利用価値はある。

 

「だけどそれは、E組の外ならある意味で殺せんせーが暗殺を警戒しなくて良い条件も揃ってるってことだ。人が行き交う雑踏の中でナイフを振り回したり、例えエアガンであっても銃を構える奴はいないからな」

 

「……なるほどネ。そんなに上手くいくとは思えないけど、でも可能性は充分ある。俺らも街中で暗殺なんて仕掛けたことないし、ノーマークかもしれない。乃咲クンが本校舎に残ればそう言う隙を作れるかもってことだね?」

 

「そう言うこと。外部からの暗殺者は接近すら出来ず街に入った途端、殺せんせーにマークされるから暗殺の決行までいかないらしいけど、俺は基本この街にいるから不自然さはない。だからE組外の暗殺者としても動けるだろうし、上手くやれば、修学旅行の時みたいな狙撃作戦もやれるかもしれない」

 

「凄いや乃咲……。僕、そんなこと考えもしなかった」

 

「まあ、理想論だけどな。案外、E組の教室で近接戦を仕掛けた方が可能性はあるかもしれないし、修学旅行の時にみたいにあっさり失敗する可能性だって高い。どっちがより有用な作戦なのか。それも重要だな。ただ、E組の事情を知ってる外部協力者ってのは烏間先生に提案してみるつもりだ」

 

 そう、こうやって並べてみるとE組の外部協力者という選択肢は全然アリだ。自分で言うのもなんだが、俺はそこそこ能力も高い。烏間先生がロヴロさんに俺を紹介してくれた時の評価を信じるなら、俺は彼に相当買って貰えてるし、記憶消去に関しても、協力者なら気にする必要はないはずだ。手間は省ける。

 

 まあ、もっとも。一度抜けておいてどのツラ下げて提案してるんだ?って俺が烏間先生の立場なら思うけど。

 

「……でもさ」

 

 そこまで無言だった倉橋さんが口を開く。

 

「一番大事なのは、圭ちゃんがどうしたいのか。そこだからね?その方が暗殺成功率が高いから、とか。みんなの役に立てるとかさ。そんなことは考えないで欲しいよ。私は圭ちゃんがやりたいことをやって欲しいかな」

 

「……まいったなぁ」

 

 驚いた。まさか倉橋さんにまでそんなことを言われるとは思わなかった。でも、結局のところ、彼女の言ってることが一番大事なのは間違いないだろう。

 俺がどうしたいのか。何をやりたいのか。そこが一番大事というのは今回の件で得た教訓の一つでもある。

 

「うん。ありがとう。考えてみるよ」

 

「あ、でも1人で考えすぎるのも良くないからね?行き詰まったら私や磯貝くん、ここにいるみんな。誰でもいいから相談すること!1人で抱え込んで悩んでたら怒るから!」

 

「はい、気をつけます」

 

「うむ、よろしい!」

 

 なんだか倉橋さんとこんな風に話すのも随分と久しぶりな気がする。思えば、暗殺肝試し以来かも知れない。それ以降は昔の自分の考え方をなぞってたからか、基本的に素っ気ない態度ばかり取ってたからだな。

 

「それじゃあ、あんまり長居しても悪いし、帰るね」

 

「あぁ。みんな来てくれてありがとう」

 

「気にしないで。早く身体治してね」

 

「なんかあったら相談しろよ?俺らも暗殺とかでなんかあったら相談すっからさ」

 

「あはは、そうね。なんとなくみんなで暗殺する時も乃咲の指示がないとちょっと寂しいし」

 

「乃咲クン、元気になったらファザコンネタでガンガン弄ってあげるからね〜。早く戻っといで」

 

「……まあ、この際。腫れ物を扱う様な態度になられるより、弄られた方が俺も楽だけどさ。ほどほどにしてくれると助かる」

 

 出ていくみんなに手を振って見送る。

 俺も考えないといけない。A組に残るか、E組に戻るか。

 

『乃咲さん?考えるのは良いですけど、考えすぎちゃいけないってこと忘れないで下さいね?』

 

「………はい、善処します」

 

 すかさず飛んで来た律からの釘に黙って刺されることにした。

 

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⬜︎

 

⬛︎

 

「乃咲、顔色だいぶ良くなったよね」

 

「表情も前より柔らかくなったよな。なんつーか、張り詰めてる感じが無くなったわけじゃないけどだいぶ緩んだって感じ」

 

「倉橋さん、乃咲クンのお見舞いって毎日行くの?」

 

「へっ!?いや、えっと………。ま、毎日は圭ちゃんも疲れないかな〜って思うんだよね。それにLINEで聞いた話だと地元の知り合いの病院に転院するって話だったし………」

 

「え〜?乃咲は絶対喜ぶと思うけどな〜。いざとなったら殺せんせー辺りに頼めば連れてってくれるんじゃない?」

 

「それはあるかも。僕、これから暗殺に行くし、お願いできるか聞いてみるよ。マッハ20ならすぐだもんね」

 

「え?これから殺りに行くのか?んじゃあ、俺も行こうかな。今日は暇だし。乃咲居なくても触手の一本くらいは破壊できる様になりたいよな」

 

「それじゃあ私も行くよ。倉橋さんとカルマくんは?」

 

「俺も行こうかな」

 

「私も行く。自分のやりたいことだし、自分からお願いするのがスジってやつだもんね」

 

 圭一の仲間たちがそんな会話をしながら病室から離れて行く。彼らにとってはありふれた日常の光景と会話。

 だが、それが日常でない者も、ここには出入りしている。例えばそれは他の入院している患者だったり、そのお見舞いに来ている者たちだったり、問診して回る医者や看護師だったり。

 

「……暗殺?マッハ20?触手?何を言ってるんだアイツらは」

 

 ————圭一の見舞いに来た友人だったり。

 

「しかも圭一が居なくても触手破壊がどうこう言っていたな。加えて殺せんせー?うちの学校に殺なんて文字が名前に入ってる教師はいなかった筈だが……。それにE組の教師は烏間と言う担任とALTのイリーナとか言う女しかいないはずだ」

 

 タイミングが悪かった。数分早ければこうはならなかった。この男がE組を取り巻く事情に勘付くことはなかっただろう。

 

「父さん、E組、圭一。一体、僕に何を隠している?」

 

 A組が誇る、本物の天才は静かに牙を見せた。

 

 

 

 




あとがき  

はい、あとがきです。

いやぁ、とうとう一般生徒にバレましたね。
そもそもこれまでの行動でなんでバレないんだ?と不思議なところは多々ありますが……。触れてはいけない禁忌なんだろうか……?

浅野がどんな具合で絡んでくるのか、それは今後のお楽しみということで……。
ご愛読ありがとうございます!
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