「【ヒートウェイブ】!」
式神を手に入れた凍矢は、さっそく修行用異界でレベル上げに勤しんでいた。
無銘の刀を振るって横凪の一撃で敵悪魔を切り裂いていく破裂の人形。
イレーザー音で敵悪魔を挑発して横凪で纏めて悪魔を切り裂いていく鎧騎士姿は、まさしく、漫画で憧れたモーターヘッドそのものだった。
「ヒューッ!!さすが【
そこに痺れる!憧れるゥ!!バンバンやってくれ!【マハブフ】!!」
防御力と攻撃力を兼ね備えたメインファイター&タンクの役割の破裂の人形が出来たことにより、戦闘の効率は遥かにアップした。
今までよりもサクサクと効率よくレベルアップできるのはありがたい。
そのおかげで破裂の人形もアガシオンも次々とレベルアップしていった。
戦いのスタンスとしてはこれでいいだろう。
こちらも【マハブフ】を覚えたので、破裂の人形との【ヒートウェイブ】と組み合わせれば悪魔が複数存在しても一気に纏めてダメージを与える事ができるので、より効率よく悪魔を倒す事ができるようになった。
これにより、より効率よく経験値上げができるようになっていたのだ。
だが、そこで凍矢は一つの問題を抱えていた。
それは、彼があまりにも冷気系に特化している事である。
彼の故郷、新潟は豪雪地方であり、当然冷気に抵抗力をもっている悪魔が多い。
そうなれば、メイン火力はアガシオンの【アギ】だけという何とも心もとない結果になってしまう。
ここは、冷気系以外の別属性の攻撃魔術の必要性を感じ取っていたのだ。
欲を言えば凍矢も【アギ】を覚えればそれが一番いいのだが、相性的な意味で難しいらしいので、【ジオ】やら【ザン】やら他系統の属性でもまあいいとしよう。
とりあえず、修行異界から離脱して、修行用異界に入るための受付の建物に帰ってきた彼は、うーんと彼はその欠点について考えこむ。
そんな凍矢に対して、受付嬢が話しかけてくる。
「あ、お疲れ様です。製作班からそちら用のデモニカが届いていますよ。後はこちらが格安で手に入れられる産廃武器のリストですね。」
そこには、一機の注文していたデモニカが存在していた。
全身黒の塗装で覆われた鎧騎士を連想させるメカ風の外見をしたデモニカ。
それは【バッシュ・ザ・ブラックナイト】の外見をしたデモニカだった。
「破烈の人形と対になるんならバッシュ・ザ・ブラックナイトだろ!!」とメカ部の人々が張り切って勝手に外見を黒騎士にしたデモニカを送ってきたのだ。
近接用スキルも勝手に入れるつもりらしかったのだが、そちらは丁重にお断りした。
(元々凍矢用ではなく、現地人用に持たせるつもりなので)
そして、次に製作班から渡された産廃武器のリストを見る。
産廃武器は作っては見たけど問題があってほとんど売れなかった武器の総称だ。
その大半は『カッコ悪い』『使い勝手が悪い』というものである。
こういった武器は、ガイア連合に繋がりのある現地民へと販売されることになる。
(それでも現地民にとっては神器級のオカルト兵器なので買い漁るが)
そのリストの中に「けん玉フレイル」*1だの「旗竿ランス」*2だの「
覚醒した現地民にこれらの格安の産廃武器を持たせて戦力化するつもりではあるが、ともあれそれはまた後の話である。
リストをしまいこみ、デモニカを破裂の人形に持たせて考え込みながらアパートへと帰る。
「うーん、どうしようかなぁ……。ショタおじに相談してみるか……。いや忙しそうだしなぁ。」
そんな風にブツブツと帰っている途中で、いきなり背中に柔らかい感覚と鼻腔をくすぐる良い匂いに加え、耳元に熱っぽい吐息が吹きかけかける。
「どうしました?何かお悩みですか?」
いきなりの背後からの柔らかい女性の感覚と穏やかな声に驚いた凍矢は、慌てて飛び上がって振り返る。
そこには、にこやかに笑うやたらめったら妖艶な雰囲気を醸し出しているロングヘアーの女性が存在していた。
ジャーンジャーンジャーン
げえっ、ミナミィ!!と彼は心の中で絶叫した。
彼女はショタおじ直伝の弟子であり、黒札の中でもズバ抜けた霊能力を持っている女性、通称ミナミィである。だが、彼女は一つの大きな悪癖があった。
それは、邪教の館ならぬ、自らの欲望で悪魔娼館を作り出すほどの貪欲な性に対する欲望である。
嫌いではないが、そのやり方から彼女にドン引きしている黒札たちも多い。
そんな彼女に絡まれてしまっては、絶対ロクでもない事になる、と判断した彼の判断は早かった。
凍矢は逃げたした!
しかし、ミナミィに回り込まれた!
「ふふふ、知らなかったんですか?
まあ、それはともかくあなた中々いい素質をしていますね。
魔特化ステならいいスキルカード製作班になれそうです。」
こちらの魂まで見透かすような彼女の視線に、凍矢の背筋に寒気が走った。
こええええ!マジこええええ!
こんな怖いのとHする黒札がいるとか本気!?
勃つ物も勃たないよ!さっさと逃げていい!?
そんな怯えを感じ取ったのか、彼女は少し困ったかのようにほほ笑む。
「うーん、いいスキルカード要員だと思ってがっつき過ぎちゃいましたか。
警戒心を抱かせるとは私もまだまだですね。」
しかし、ここまで来たら現状を話さないと解放してくれないだろう。
渋々ながらも、凍矢はミナミィに彼の現状についての悩みを相談する。
「ふむ、ともかく貴方のお悩みは分かりました。
そこで取り出したスキルカードはこちら。じゃん!【ザン】付きのスキルカードが入った指輪です!これとアガシオンと式神があれば凍結耐性を持った悪魔とでもそれなりに戦えるでしょう。
後、貴方のスキルだとMP不足が大きな問題になりますよね?
そこでさらに出てくるのが、じゃじゃん!【吸魔】スキル付きの指輪!
これさえあればMP回復スキルとして大いに役に立ちますよ!」
【ザン】も凍結耐性を持っている敵に対して有効とは言い難いが、
凍結耐性を持っている敵にブフオンリーで挑む泥仕合より遥かにマシである。
それにMPを吸い取る事のできる【吸魔】スキルは魔術メインである凍矢からしたら喉から手が出るほど欲しい代物だ。
くっ!鬼!悪魔!ミナミィ!と心の中で吠える彼の腕を、ミナミィは柔らかく抱きしめる。
傍から見たら羨ましい光景だが、当の本人からすれば『絶対に逃さん』と言われている気分である。
「ふふふ、お礼はいりませんよ。ちょっと【ブフ】のスキルカード生産を手伝ってもらうだけで結構です。
あとは、悪魔娼館でちょっとMAGの調整なども行いましょうか。
そうすれば自前で【ザン】とか放てるようになるかもしれません。さあ、行きましょう♪」
たーすーけーてー!!
そう心の中で叫びながら、彼はミナミィの拠点である悪魔娼館へと引きずられていった。
―――それからしばらく後。
「しくしくしく……。もうお婿にいけない……。」
悪魔娼館の一室で、上半身裸のままベットに横になってしくしく泣いている凍矢の姿があった。
まあ、実際は体内の気の流れやチャクラなどを操作する事で凍気系と違う魔術の素質を引き出したのだが、それが運よく【ザン】だったため、【ザン】のスキルカードは宙に浮いた形になった形である。*4
だが、全身のチャクラを活性化させるため、自分の上半身を裸にするのは分かるが、ディープキスは必要なかっただろ常識的に考えて、と凍矢は思った。
「もう、ディープキスしただけで大袈裟ですね♪
別にHしても良かったんですが、女性恐怖症とかEDとかになられても困りますからね。
まあ、悪魔娼館に来てくれれば好みのサキュバスの子を紹介しますよ♪
というか、地方に帰る前に悪魔娼館に来て女の子慣れしておいたほうがいいですよ。
地方に帰るとハニトラやら嫁攻勢が凄いですからね。」
それにサキュバスも吸魔持ちで吸魔との相性がいいですからね、吸魔指輪付きでHすれば貴方自身が吸魔や房中術を覚えることができるかもしれません、とミナミィは言う。
サキュバスの件は、彼は理想の彼女式神ではなく、メカ型式神のため、地方組織やらメシアンからの山のようなハニトラが心配だったと言っているが、黒札に対しては真摯な彼女からすればそれは本心なのだろう。
「あの……もし来なかったら……。」
「私が貴方を食べちゃいます♪色仕掛けやハニトラでメシアンに絡めとられるよりは遥かにマシですからね。メシアンに絡め取られないようにしっかりと女の子慣れしていってください♪」
おのれメシアン!!何もかも全部お前らのせいだ!!*5と彼は心の中で八つ当たりの叫びをあげた。
碧神 凍矢 男・20歳 転生者・覚醒済 Lv15
ステータスタイプ:【魔】中心の魔術師タイプ
耐性:破魔無効、凍結耐性
スキル:ブフ、マハブフ、コンセントレイト、ディア、ザン、吸魔
特殊スキル:ブフストーン作成、凍結弾付与作成
装備:アタックナイフ、退魔銃、ケプラーペスト
仲魔:式神【破裂の人形】 Lv5
ステータスタイプ:パワー型前衛
耐性:物理耐性、精神状態異常無効、呪殺無効、氷結耐性
スキル:挑発、かばう、ヒートウェイブ、グラムカット
汎用スキル:会話、人型変化E
装備:無銘の刀
仲魔:妖魔アガシオン Lv6
物理耐性、雷撃弱点、アギ、ムド、エネミーソナー
デモニカ【バッシュ・ザ・ブラックナイト】
スキル:ザン*6