【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち   作:名無しのレイ

106 / 220
9/16、ノートルさんのご指摘で修正しました。


第106話 魚沼政治部門&アリウススクウッドの今

 

「えー……。というわけで、佐渡島で市民様がやらかしたので、それに対応する対応策を我々政治部門で行っていきたいと思います」

 

 佐渡島から流れてきたスクリーンに映し出された映像*1を見て、魚沼市の政治部門たちは皆揃って頭を抱えた。

 未覚醒者も理解しやすいように、悪魔(天使)登場のシーンにはCG処理が被せてあり未覚醒者でも何が起こったかはっきり理解ができる。

 まさかここまでするアホがおる? おかしいでしょ貴方? という沈黙が周囲を支配する中、それでもこのある意味テロに対する対策を練っていかなければならないのが悲しい所である。

 しかも魚沼ではつい最近大規模な暴動が起きたばかりである。何としてもあれを繰り返してはいけない、黒札の手を煩わせてはいけない、というのは彼らの共通認識である。

 

「もうデモを徹底的に禁止して、デモをする人間を片っ端から牢獄にぶちこめばいいのでは?」

 

「独自の法律を作って内乱罪を作ろう! 内乱する奴らは全て死刑! シェルター追放だ!!」

 

 一気にヒートアップして加熱しかかったその場を、まあまあと元市長はなだめる。

 いきなり極端な施策を出してしまっては市民の反発が出てしまう。

 正直、元名家である静にとっては、市民たちの反発などそれこそダークサマナーと同じ要領で闇から闇に葬ればいいとは思うが、それでも数が多すぎると対応しきれない。

 そういった大規模な市民デモに対する対策を行っていかなくてはいけないのだ。

 

「まず、佐渡島シェルターで活用されている対人使用のナイトメアフレーム『グラスゴー』の導入に加え、デモノイド警官の導入を行っていこうと考えています。対人機銃などに反発を覚えてしまう人もいるかもしれませんが、やむを得ない処置だとお考え下さい」

 

『グラスゴー』はガイア連合呉支部にて量産されているナイトメアフレームであり、対人機銃やガスグレネードなどといった各種対人装備が搭載されている仕様をそのままこちらでも使用しようというのだ。

 普段なら対人武器を搭載した巨大ロボなど!! と議員たちからの反発を予想していたのだが、静の覚醒者であり、実戦を潜り抜けた戦士としての特有の圧力でこれを押し通すつもりである。

(そもそも、これの導入は黒札の自腹なので議員の賛成を得る必要がないのだが)

 しかし、実際のところは、あれほどの暴動があった上に佐渡島でも暴動があったことで受け入れている議員がほとんどである。

 

「しかしねぇ……。これを市民に何と説明すればいいのか……。いきなり治安圧力が高まると市民の不満も募ってくるよ?」

 

「これは、ガイア連合の映像部門のCG班の力を借りて、この映像の悪魔降臨のシーンのみをCG処理して魚沼市のCMとして流したいと思っています。これくらいしないと彼らは理解しないでしょう」

 

「こ、これをこのままTV放映で流すのかね!? さ、さすがにそれはショックが大きすぎる!!」

 

 反対の声も大きい中、条件付きで賛成の議員たちも数が多い。

 これは純粋にこれを市民たち皆に知ってもらいたいためである。一部の人間がやらかしたせいでシェルターが崩壊し、せっかく終末をやり過ごしたのに死ぬことになる。それは彼らとしても避けたい事態なのだ。

 

「要は子供に見せなければいいのでは? 高校生の授業や定期的な大人の集会で流す分には問題ないと思います。それとも、市民様がシェルター内に悪魔を召喚するのを見過ごすおつもりで?」

 

 その言葉に、反対派の人間たちもううむ、と唸る。こういった条件付きならばまぁ……。とほとんどが賛成に流れていった。

 

「名家代表の私としましてもこういった事態を見過ごすことはできません。各名家に「お願い」をする必要があると考えています」

 

 この静の言葉に、各議員たちはシャンと思わず背筋が伸びた。名家は彼ら議員たちにとって最重要視すべき対象である。(終末になってなお、彼ら名家は脈絡とした力を現地民たちにもっている)

 魚沼近辺の名家は、静の手によって、不満を持っているまともな若手に対して凍矢が持ってきた武器を陰ながら渡すことでクーデターを起こして、ほぼ全ての名家が自浄作用を起こしており静と凍矢に服従を誓っている。

 それでも何かやらかすようなら、その名家の上に事実上立っている静が直接殲滅する予定である。

 

「ということは、デモはその巨大ロボや人工生物? で抑え込むとして、彼らが暴れだしたらどうするのかね?」

 

 人工生物、デモノイドは基本的に融通が利かない。いくら市民様でも瞬時にグロ映像の肉団子になってしまっては、せっかくこちらによっているまともな市民の心が離れてしまう。

 できれば、非殺傷兵器で相手を捕えて”教育”を施すなり、佐渡かどこかに輸送しなければならない。

 

「それに対する対策ですが、魔法……魔術の中でも「状態異常」と呼ばれる相手に特定の効果を与える魔術が存在します。対象を眠らせるドルミナー、混乱させるプリンパ、緊縛状態にさせるシバブーなどです。

 これらを発生させる魔道具を対人鎮圧兵装としてグラスゴーへ取り付け、デモ隊などに叩きつけることにより彼らを無力化します。さらに、同様の効果を持つ武器を開発して警官の皆様に渡すとのことです」

 

 おお!! とその場にいる皆が盛り上がる。確かにそういった非殺傷武器があればより効率的に市民様を取り押さえることができる。

 霊道支部でデモニカG3マイルドと共に販売されている「電磁警棒(スタンロッド)『ガードアクセラー』」

 これに「ドルミナー」「プリンパ」「シバブー」などを付与することによって、『市民様』を容易く無力化させることができる。

 魚沼でもリース生産でG3MILDの生産ラインを設置されており、同時に『ガードアクセラー』の生産ラインも作られており、すぐに生産は可能である。

 

「ち、ちょっと待ってほしい。未覚醒者にそんなことしても大丈夫なのかね?ワシ、オカルトはよくわからんが……。」

 

その質問に、静は心の中で舌打ちをした。静的にはマーベルヒトモドキがどうなろうが、むしろいなくなったほうがありがたいので、その辺はスルーしようと思っていたのである。

 

しかし、デモノイド警察はともかく、普通の人間がそれを行ってしまって後遺症などが起きてしまったら彼らの心理的な問題があるだろう。

 今や市民様……マーベルヒトモドキは、その悪行によってごく普通の市民たちにとっても、シェルター崩壊の要因になりうる明確な「敵」という考えが広まっているのだ。というかあの暴動と佐渡島の暴動を見てそう思ってもらわなければ流石に困る。それがトーンダウンするのは避けたい。

 

「ふむ……。妖怪たちと交渉して、百鬼夜行に護衛してもらいましょうか……?それなら大人しくなるでしょう。食われてもそれは自己責任ですね。こちらには関係ありません。」

 

「全く、未覚醒者や覚醒者、重機用のロボなどで外壁も建築中なのに……それより前に内部からシェルター崩壊されてしまってはたまったものではない」

 

 この外壁は、十勝支部などで用いられているマグネタイト外壁を使用している。覚醒者・非覚醒者を問わず外壁建設に協力することで、人類を覚醒者と非覚醒者に分裂させず、人類の統合を目指す……といえば聞こえはいいが、要は単に政治的なアピールのためである。

 外壁は二重構造になっており、内壁はそういった覚醒者・非覚醒者が協力、外壁はグラスゴーの手により、より強力で安定した防御壁が作られている。内壁はあくまで単なるアピールでしかない、と静は割り切っている。

 

「しかし、問題は内部からの天使召喚といったテロリズムだよ。アレをこちらでやられてしまってはひとたまりもない。何か手段はないのかね?」

 

「手段はいくつかあります。まずは、天使ラグエルの『天使を監視する権能』によって監視結界を構築すること。……ですが、これはあまり期待できません。メシア教の天使の暴走をご覧にいただければそれは明らかかと」

 

 それを聞いて、政治部の皆は眉を顰め、穏健派は思わず黙り込む。

 過激派がこの地で魔王ミトラスを召喚し、そこからメタトロンを召喚しようとしていたのは、すでにこの場にいる皆は知っている。

 ラグエルの探知結界を張るのに、穏健派ではなく、メルキセデクと桜子を筆頭にする一神教調和派新潟支部に頼るのも考えたが、やはり信用できない、というのが静の本音である。

 

「あと一つは、堕天使シェムハザ──彼は人間に魔術を教えた魔術師たちの祖と言われています──に天使降臨を防ぐための結界構築をしてもらうこと。ですが……正直いくら吹っ掛けられるかわかりません。

 おまけに結界に対して何らかの小細工をする可能性も高い。こちらも正直不向きかと」

 

 あれやこれや案は出るが、やはりどうも今一つというのが本音ということである。

 とりあえず、対テロリズムとしての警備をしっかり行うしかない、ということで一致した。

 

「あとは、凍矢様が切れて氷像化させてしまった人間をあちこちに晒し物としておいておきましょう。『黒札を怒らせたものたちはこうなる』という見せしめを作れば、そうそう彼らも逆らいはしないでしょう」

 

 氷像化。それは凍結魔術で死亡した人間は内部まで完全に凍結してこの状態になる。*2

 この状態になった人間は、解凍には蘇生魔術か特殊な魔術が必要になる。

だが、凍矢は氷像化させてもまだ仮死状態で生きている状態にすることに成功したのだ。

 以前、彼を切れさせた人間は氷像化させて、魚沼の人外ハンター商会の玄関に晒しものにしていたのだが、これを市内のあちこちに置こうというのだ。

 

「……聞きたいんだが、この氷像化とやら、中の人間は死んでいないのかね? *3

 

「解凍には特殊な魔術が必要と聞いていますが何か?」

 

 お、おう……。という反応になる政治部門の人たちだが、ことオカルトについて専門家に逆らうわけにはいかない。おとなしく従うことにした。

 

 


 

 そんな会議を行っている中、旧公民館内部では、ほむらが対ペルソナ事件対応部門となったアリウススクワッドへと話と行っていた。

 今まで彼女たちはペルソナ事件などに対抗するために、あれやこれや走り回ってもらっている。

 彼女たちがメシア教で行わされていた虐待じみた状況を聞いて、凍矢たちは絶句していたし、ただでさえ情の厚いほむらなどは思わず涙くんだものである。

 

「ご苦労様。最近はどう? きちんと食事は一日三食取ってきちんと休憩は取れているの? 前みたいに「一日一食、味のない固形物でいいです」なんて言ったらアタシが(切れて師匠を)ブン殴るわよ。

 もし取れてなかったらアタシに言いなさい。師匠に怒鳴り込んでもぎとってきてやるわ」

 

 凍矢もあれやこれやで忙しいので、情に厚いほむらに定期的にアリウススクワッドの面倒を見てほしい、と彼女に頼み込んでいる。

 なんだかんだで彼女も異議を唱えていないところを見ると、他人の面倒を見てまとめ上げるのが彼女も気質的に合っているのだろう。

 ほむらは、アリウススクワッドのメンバーに、とある物体、天使の輪のようなものを差し出してくる。

 

「あと、これ師匠からアンタたちに与えられた物らしいからそれそれ貰っておきなさい。

 ええと……『ヘイロー』というんだって。*4正直あのクソ天使どもを思い出すから面白くはないんだけど……それでも効果はすっごいわよ。力・体・速の基礎ステータスの底上げに【物理耐性】! これがあれば、異能者の中でも脆いアンタたちペルソナ使いもそれなりに防御力が増すはずよ」

 

 まあ、アタシはつける気ないけど、とほむらは言葉を放つ。

 普通の異能者と異なり、ペルソナ使いはかなり脆いのは事実であり、LV50を超えたペルソナ使いでさえ【落盤事故】や【放射能】、【空腹や窒息】などと言った非概念の攻撃に対して弱い。*5

 そのため、やはりガチガチに防御力を固めるべきだ、と凍矢は判断したのである。

 

「あと、ええと……『ABCマント』だっけ? 何でも黒札が使っている一反木綿シキガミを加工してマント状にした物で、ヘイローと同じ【物理耐性】に加えてマント自体に【マカラカーン】効果がついているんだって。それに鎧代わりの『シークレットジャケット』*6を支給するから、ヘイローに加えてこれで防御力を高めてほしいって師匠言っていたわ。あとは……状態異常「毒・睡眠・混乱・風邪」無効にするガスマスクもそれぞれに与えるからできるなら装備してほしいって言っていたわね」

 

 ドンドンドン! と黒札専用装備にも勝るとも劣らない装備を渡されて、彼女たちは目を白黒させる。

 本来は使い捨ての戦力、テロの道具として使われる予定の自分たちにここまで大事にされるとは思ってもみなかったからである。

 おまけに、目の前のほむらは、メシア教に酷い目にあわされたと聞く。思わず自分たちが憎くないのか? と彼女に聞いてみる。

 

「? 何でよ。悪いのあのクソ天使にクソ天使メシア教!! アンタたち被害者で何も悪くないじゃない! 

 そんなアンタたちにあれやこれや言うのは筋が通らないでしょ。

 むしろ何かいう奴らがいたら、アタシに言ってきなさい。ぶっ飛ばす……のはまぁ問題あるかもだけど、まあ何とかしてあげるわ。それより、アンタこそ何か問題はないの?」

 

「うむ、問題はない。以前からしたらここはまさしく天国のようなものだ。きちんと食事も休憩も取れて、なおかつ娯楽まである。休みがない? その程度大した問題ではないだろう? 

 それに……最近はこういった娯楽もハマっているしな」

 

 そういいながら、サオリは自分の黒いキャップを脱ぐと、新しいキャップを頭にかぶる。

 赤いキャップの中央部に堂々とMの文字がプリントされており、それを見たほむらは思わずブフォ! と吹き出す。いわゆるマリオキャップと呼ばれるものである。*7

 

「フッ……。全ては虚しい。どこまで行っても、全てはただ虚しいものだ。(キリリリッ)」

 

 マリオキャップを被りながらキリッといつもの彼女の言葉を言い放つのを聞いて、ほむらの腹筋は限界に達したのか、思わず笑いこける。

 

「ちょwwwやめろバカwww反則すぎでしょwwww」

 

 そんな笑い転げるほむらの声が、旧公民館内部に響き渡っていた。

 


 

 田舎ニキ:メイン戦力だが、金を稼ぐためにあちこちの都市シェルター防衛や悪魔退治などに飛び回っている。借金は十分の一ぐらい? 

 破裂の人形:同様にメイン戦力だが、あちこちのシェルター防衛などに飛び回っている。余裕のある時は静やほむらの手伝いや書類仕事なども行っている。

 静:魚沼シェルター全体の指揮・統括。プラスして、現在では魚沼の市議会・市役所との連携。

 ほむら:直接戦闘、及び前線部隊の指揮。大型悪魔の討伐。(人外ハンターと自衛隊のまとめ役でもある)

 キクリヒメ:各種神格との交渉・まとめ役。結界構築役の一柱

 アリウススクワッド:ペルソナ事件に対する対策、防衛に加え諜報担当。魚沼支部に対するテロ行為の摘発。(についてもらう予定)

 ロボ部の黒札:開発担当。技術開発、新商品開発等。

 

 


(アルカトラズ・レポート 中編をみながら)

ガイバーカッコいいなぁ。現地民に埋め込んだらロストナンバーズとかできるんだろうか。(やめろ)

*1
「ファッション無惨様のごちゃサマライフ」様、アルカトラズ・レポート 中編

*2
某オタクくんサマナーで実際にメガテンにあるということを初めて知りました。

*3
通常の氷像化だと死亡しているが、実際は仮死状態になっている。

*4
「【カオ転三次】TS^2ようじょの終末対策」様

*5
小ネタ 中華英雄と現地人ペルソナ使い

*6
真・女神転生IMAGINE

*7
某オタクくんサマナーのネタを使用させていただきました。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。