ウォレスニキVS田舎ニキのプロレスというのも考えましたが、ガチの近接系と後方支援系を同じ土俵で戦わせるのも……。となってしまいました。ううむ。
(ガイアプロレスから目をそらしながら)
旧公民館内部……ではなく、その隣に色々あって建築された巨大な家。
静、ほむら、破裂の人形や家族たちが暮らすのに、様々な霊的拠点と化している旧公民館よりも居住地である場所を作るべき、という判断を受け、ようやく建築完了したのである。
(これは周囲の人物たちの支援によるもので、凍矢の借金は関係ない)
その家の中で、凍矢はとある人物とCOMPを通して通信を行っていた。それはパピヨンニキ、蝶野光爵である。そして彼が作り上げたが「ハイデッカー」についての会話を行っていたのである。
「で、どうだい? こちらで作成した『ハイデッカー』は? そちらのニーズに合っていると思うが?」
蝶野光爵。ガイア連合佐渡島支部の支部長であり、佐渡島シェルターのトップの黒札である。*1
同じ新潟に属する黒札として、凍矢は蝶野としょっちゅう連絡を取り合って、お互いに意思疎通を図っている。凍矢からしても蝶野は極めて頼りになる味方の一人だ。同じ県に所属する黒札として手を取り合って仲良くやっていきたいのが本音である。
そんな蝶野が作り出したのが、彼が運営する日本生類創研で作り出した「ハイデッカー」────クローンヤクザのバリエーションである。
ハイデッカーは、蝶野が開発したクローンヤクザの変更版であり、現役警察官から回収した【警邏】【犯罪捜査】【捕縛術】【追跡】【尋問】【簡易鑑識】といった各種技能を内包した警官用汎用スキル詰め合わせセットを搭載してあるため、治安維持にも高いポテンシャルを有している。
このハイデッカーに加えて、霊山同盟支部*2が作り上げたG3MILDのオプション『電圧調整機能付きガードアクセラー』 『プリンパ』や『ドルミナー』版もあり。を装備させれば、あっという間に極めて優秀な警察&鎮圧部隊の結成である。
このガードアクセラーは調整機能もついており、非覚醒者が食らっても後遺症が残らないように調整されている。
デモ隊の鎮圧には、これを持たせたハイデッカーを前面に出させれば問題はないだろう。
「うん、マジで助かってるわ。ありがとうパピヨンニキ。魚沼弾のほうも役に立っているようで何より。」
魚沼の豪雪の概念を封じ込めた弾丸やミサイル”魚沼弾”は極めて有用だとあちこちのシェルターで引っ張りだこになっている。
佐渡島でもキッコウセンを迎撃するためにF-2改の空対艦ミサイルASM-2でも活躍している。
空対艦ミサイル、地対艦ミサイル、空対空ミサイルなど様々なミサイルにも付与できるが、それ以上にありがたいとされるのは、やはり普通のデビルバスターたちが使用する銃弾のガイア弾に冷気を付与して魚沼弾ができるということだ。
ASM-2(魚沼弾対応型)などのデータが送られてきたのを見た凍矢は、大きく頷く。
「魚沼弾の方も順調みたいなんで、そちらにガンガン送るからよろしく。新潟市の戦艦群などにも売れてるしありがたい。
近代化改修を行った戦艦群用のRIM-7 シースパロー*3や空対空用のAIM-9サイドワインダー*4、AIM7スパロー*5の魚沼弾も試作していくから欲しいのなら言ってくれ。
あとは、歩兵用にFIM-92 スティンガー*6やドラゴンATM*7のミサイル用の魚沼弾やらも試作していくらしい。」
ミサイルには電子機器や半導体だけでなく、ミサイルの部品や弾頭に用いられるマルエージング鋼が必要となる。
ここには、ヒヒイロカネ・マルエージング合金が存在するため、そういったミサイルを作り出すのに最適な場所なのだ。
(さらに佐渡で開発された『ヒヒイロカネ・ジュラルミン合金』の研究も行っている)
そのため、佐渡で活躍しているF-2改のASM-2(魚沼弾対応型)などもここで生産が行われているのだ。
歩兵……というよりはデビルバスターたちにとって、大型の悪魔というのは極めて厄介である。
物理法則を完全に無視したような巨体の悪魔に対抗するためには、極めて優秀なデビルバスターか、ロボ部が開発してるような人型兵器、自衛隊の多脚戦車、あるいはシキオウジロボと限られてくる。
そこで目をつけられたのは、歩兵たちが有していた対戦車ミサイルである。
FIM-92 スティンガーは極めて優れた対空ミサイルであり、この終末対応にして、その魚沼弾を大型悪魔に叩き込む事によって、そんなにLVが高くないデビルバスターたちでも十分な功績が上げられる事はすでに証明されている。(もちろん、通常のアサルトライフルなどの冷凍弾としての魚沼弾も存在する)
「……個人的には、FGM-148 ジャベリンを大量生産してほしいんだけど? あれは極めて優秀な対戦車ミサイルだからレベルの低いデビルバスターたちに持たせて大型悪魔退治支援に回したいんだが。」
「ロボ部によると終末対応を行いやすい兵器と結構難しい兵器があるらしい。まぁF-2とかASM-2とか終末対応できてるからできることはできるけど」*8
ふむ、と腕を組む蝶野に対して、ロボ部から送られてきたデータを見ながら、凍矢はさらに言葉を続ける。
「FIM-92 スティンガーなんか、何かよくわからないけど終末対応しやすい上に「マハザン」の概念がかなり付与させやすいみたいだからなぁ。おまけに対空ミサイルのはずが平気で地上の大型悪魔とかにも使えるし。*9おまけにドラゴンATMも「マハザンマ」を付与させやすいみたいだし。
これを魚沼弾にすれば「マハザン」や「マハザンマ」と「マハブフ」の複合属性だから、レベルの低いデビルバスターにとってはかなり有用になる……はず。多分。」
それに対して、蝶野もやれやれ、と思わず肩を竦めてしまう。
「スティンガーのように、一部の通常兵器は、今までと違う扱い方になるとは、元自衛隊たちは嘆きそうだなぁ。まあ、ガイア連合の超技術です、とでも言っておけばいいだろ。」
まあ、レベルの低いデビルバスターや自衛隊員にとっては、弾数が制限されているが、これを叩き込むだけで大ダメージを与えることができるので、それこそ神の武器ともいえるほどの切り札になる。
前線に立つ彼らにとっては強力な武器はあればあるほどいい。
簡易的呪術銃などを装備させた多脚戦車を前線に出して、後方からスティンガーやドラゴンATMを叩き込む。
これは自衛隊の大型悪魔狩りに大いに役に立つだろう。
(個人的には、呉支部の⑨ニキの力を借りたいんだけど、彼もめちゃくちゃ頼りになるけど、情報を総合すると内面は秘密主義で気難しいらしいからなぁ……。*10ある程度距離をおきつつ、ロボ部同士の交流にまかせておいた方がスムーズにいきそう)
現代兵器の終末対応で二歩も三歩も先に進んでいるのは、やはり⑨ニキ率いる呉支部である。*11
そこから終末対応の技術を引き出し、終末対応兵器を量産化できれば、大いに役に立つ……のではあるが、それはこちらの都合に過ぎない。
それなら、下手に仲良くしよう! と距離を詰めるより、お互いのロボ部の
「了解。何かあったら注文しよう。で、問題としては……アレか。『魔人化の抑え込み』か。
魔人化を抑え込むためにウチの『ユニット・ガイバー』を使用してくれたのはありがたいんだが……。正直よく抑え込めたもんだ。ウチとしても魔人化抑制なんて貴重すぎるデータを得られたのはありがたいんだけど。」
そう、新しい問題は、魔人アジ・ダハーカと化したシンジのことである。
パピヨンニキが開発した新しいシステム。「ユニット・ガイバー」。体内に埋め込むシキガミパーツ“制御球”をコアとして展開する体内埋め込み型のシステムだ
大量の強殖生物をアジ・ダハーカの体内に注入して制御し、”制御球”にシンジの魂を移植して保護する。
だが、これでも一応制御はできているが、まだ暴走・浸食の可能性もある。
もう一段階安全装置が欲しいところである。
「で、さらなる安全装置の開発だっけ?まぁ……。ないことはない。今はアジ・ダハーカの内部から抑えている形だけど、それだけでなくて外部から抑える形式……要は何らかの鎧の形で外部から抑え込めばいいんだ。」
「それって……。」
「そう! 『巨人殖装(ガイバー・ギガンティック)』だ!! こいつで外部から抑え込む形になる。
これならば、状況はかなり安定するだろうし、アジ・ダハーカの千の魔術……重力魔術や火炎魔術なども使用できるはずだ」
『巨人殖装(ガイバー・ギガンティック)』
英雄ファリードゥーンの力が込められた外装、そこにさらに女神アナーヒターの外装に力を込めて作り上げた外部装甲、いわゆるアジ・ダハーカの力を外部から抑え込む『拘束具』でありながら防御用の『鎧』である。
これを展開用デモニカとしてシンジに持たせて、いざという時に装備させればいい、と言うのが彼らの考えである。
強殖生物によって内部からアジ・ダハーカを制御し、巨人殖装を装備することによって外部から抑え込む。
この二重拘束ならばかなり制御できるはずである。
「よし、それでやってみよう。データは逐一そちらに送るのでいい?」
「ああ、魔人抑制のデータなんて貴重極まりないからな。F-2改用の魚沼弾のミサイルとそちらのシンジとやらの現在の状況データ。それでガイバー・ギガンディックの代金はチャラにしよう。それでいいか?」
その言葉に、凍矢は頷いた。
「失礼します。マスター。ゆかり様から「多脚戦車」の試作品*12が他のアイアンクラブと共に届きました。こちらは「小千谷市シェルター」や「南魚沼市シェルター」「十日町シェルター」に輸送という形でよろしいでしょうか?」
「うん、それでよろしく。他のシェルターの黒札たちも戦力くれ~助けて~と煩いから、これを与えて黙らせておく。きちんと代価は後でもらうから大丈夫。」
この多脚戦車(試作品)&アイアンクラブは、ゆかりのレベルアップ用にショタおじが作った【氷結悪魔の湧きどころ】*13に凍矢が魚沼の豪雪概念を定期的に補給してるから、というお礼代わりに渡されたものである。
その多脚戦車(試作品)やアイアンクラブなどを、周囲のシェルターにバラまいて戦力保持してもらおうという考えなのだ。(むろん代価はもらうが。)
周囲のシェルターのことなど放置すればいいじゃん、という意見もあるが、周囲のシェルターが攻略されて孤立無援の状況で、四方八方から物量で押されれば、さすがにこの魚沼シェルターも陥落しかねない。
それを防ぐための『盾』として周囲のシェルターに戦力を供給しようというのが彼の考えである。
黒札でもシェルター防衛で一杯一杯だったりするため、代理購入して代価をもらったり、後でツケで払ってもらうところもある。
「はー疲れた……。これなら最初から魚沼だけじゃなくて、新潟全土を守るために行動するべきだったかなぁ……。」
イスに座ってうーんと背伸びをしている凍矢に対して、たっぷりのミルクと砂糖を入れたカフェオレの入ったコップを凍矢に渡しながら、静は言葉を放つ。
「やるのでしたら初期目標からそれを目指すべきでしたね。今から新潟全域を守護するとなれば、確実に負担で凍矢様が倒れますよ。今でさえキャパシティーオーバーぎみなのに。責任も今より遥かにのしかかるでしょうしね。」
ですよねーと凍矢は頷く。どこかしこもシェルター防衛だけで手一杯なのに、これ以上を行う余裕などない。それをするなら、呉支部の『藤原僭王国』のように終末前から大規模な活動を行って県全土をまとめ上げておく必要があっただろう。
(個人的には、馬ニキ*14が頑張って北信地方や長野市を支配下においてくれると安心できるんだけどなぁ。
馬ニキ頑張れ!頑張れ頑張れ!お前ならできるって!!と掲示板で応援はしてるけど。)
しかし、それも凍矢の願望であって本人がやる気がないのならどうしようもないし、仕方ない。
マンパワー不足というのもあるみたいだしなぁ、とううむ、と凍矢は考え込む。
ゆかりネキからの多脚戦車(試作品)を何らかの理由をつけて供与するべきか……?いや人材ばかりはどうしようもないしなぁ……。とううむと考えこんでいると、そんな彼に対して静が話しかけてくる。
「凍矢様はもっと自信を持つべきかと。貴方は立派にこの地を救い、多くの人々を救っています。それ以上望んでキャパシティーオーバーになってしまっては元も子もありません。現状でも十分満足するべきかと。」
そうかな……?そうかも……。と思っている凍矢に、そっと静は手のひらを重ねる。
「それに……凍矢様がこの地を救うことに力を注いでくれたからこそ、私は貴方と出会うことができたのですから。貴方は私を救ってくれた私にとっての救世主なのですから。」
お、おう。と思わず顔を赤くしてしまいながら俯く凍矢と静に対して、どこからともなく視線が刺さってきた。
(あーもうじれったいわね!ちょっとやらしい雰囲気にしてくるわ!)
(ここは皆揃って協力してマスターのストレスを解消させるべきでは?)
(何で私までここに……?解せない。)
そんな物陰に隠れているほむら、
それを見ながら、凍矢はやれやれ、とため息をついた。
アイデアをいただいた皆さん、どうもありがとうございました。