【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち   作:名無しのレイ

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第129話 凍矢の一日の仕事など。

 ───魚沼シェルター、碧神邸。

 何十もの厳重な結界で防備されており、周囲は静直轄の精鋭の黒騎士部隊*1によって24時間厳重な警戒態勢で防備体制になっている。

 そして、その土台にはセッツァーニキたちが作り出した、イワナガ製セメントなどで耐震性をガチガチに固めており、その屋敷内部では、凍矢と破裂の人形だけでなく、静やほむらたちも一緒に暮らしており、さらにお手伝いのメイドたちも存在している。いざとなったら彼女たちが凍矢の盾になる気満々である。

 そんなガチガチに固められた霊的要塞とも言える自らの部屋の中で、資料の山に埋もれながら凍矢はあれやこれやと考えていた。

 

「うーん、とりあえず第一防壁が完成か。簡易結界でその周辺開拓も順調だし。元難民たちを第一外壁外に住まわせて…………。それだけだと不満がたまるだろうから、護衛として覚醒者も住まわせて…………」

 

 資料を見ながら、凍矢はこれからのプランを考え込む。

 魚沼シェルターは第一外壁が完成し、周辺悪魔たちも叩き潰して雑魚悪魔程度しかでないようになっている。そのため、ある程度周辺土地を確保した後で、その土地を結界で覆って開拓して畑や田を作り出そうというプランである。

 さらにある程度広範囲を開拓した後で第二外壁建設に取り組む予定である。

(念のための外敵襲来の防御壁として、第一外壁は取り壊さずに次々と外壁を作っている予定。多分何重もの外壁に取り込まれる城壁都市になっていく)

 こうしてどんどん自らのシェルター範囲を広げていこうというのが彼の考えだ。

(この機にスラム街やら闇市やらも取り込んでいく予定)

 

 外部の開拓に元難民たちを使うのは当然ならば文句は出るだろうが、そこは開拓した土地は自分のものになる(きちんと年貢はもらう)という報酬を渡せば、難民たちも納得するだろう。

(なお、シェルター民たちも自分たちで土地を開拓したいという頼みが山のように来て頭を抱える事になる)

 

「後は越後湯沢…………湯沢町はスキーとか温泉で有名だけど、今は観光なんてできなくてひぃひぃ言ってるらしいからなぁ…………。パピヨンニキに相談してデモノイドを輸入してもらうとするか。あとはタバコとか栽培したらどうか、と言ってみるか」

 

 パピヨンニキの佐渡島*2ではデモノイド産業が盛んであり、聖獣スラビーを利用して生み出した乳牛型デモノイド『デミスラビー』低位の牛系妖怪がベースになっている『佐渡版デミナンディ』あとは『デミフリムニル』や、山羊『デミタング』などが盛んに作られている。

 どうせなら、そういう畜産業に力を入れてみたらどうだ、というのが凍矢の考えである。

 

 さらに、終末の際にコメ、酒などある意味生活必需品は黒札が守ろうと必死になっていたが、嗜好品であるタバコを守ろうとする黒札はほとんど存在しなかった。そのため、最近ではどこもかしこもタバコが存在せず、タバコはかなりの貴重品になっているらしい。

 タバコの生産量の上位は宮崎県・熊本県・岩手県・鹿児島県・青森県ではあるが、新潟でも生産はできるため、タバコの神であるカヤノヒメを招いて作ってみたらどうか? と言ってみる予定ではある。

(実際にうまくいくかは不明ではあるが)

 後は、湯沢町は温泉で有名な場所であるため、良質な霊湯を沸かせることができれば黒札たちも観光にやってくるかもしれない。そうすれば観光業も復活できるはずである。

 

(確か温泉の神様って大国主と少彦名神だったっけ? この二柱の神が温泉発見していることが多いとか何とか。探求ネキ*3にも相談して、普通の温泉を山梨支部みたいに霊的温泉に変える方法がないか聞いてみるか…………)

 

 ラフムシェルターから救出された人々は、必然的にもっとも近くである湯沢町に避難させるしかなかったが、その分のテコ入れなども行う必要がある、と凍矢は考え込んでいたのだ。

 

(後は、何か多神連合の「戸隠神社」から霊道の作成…………国道406号線または18号線を霊道として復活させ、糸魚川あるいは上越シェルターを繋ぎたい*4らしいけど、いかに戸隠神社といえどやっぱり多神所属だからなぁ…………。いまいち信用できないというか…………。同じ黒札の馬ニキの口利きがあるなら信用できるんだけど…………。とりあえず様子見かな)

 

 糸魚川シェルターや上越シェルターと長野県との霊道を作られるのはいい。手に入れたラフムの泥を使用した疑似霊道作成技術も試したいところではある。

 だが、やはり多神連合という地点で、いかに有名な戸隠神社といえどいまいち信用できないのが本音である。(ラフムがやらかしたのが大きいし)

 馬ニキの口利きがあるのなら信用できるが、そうでなければしばらく様子見というのが本音である。

 さらに、今度は交流のある十勝シェルター………北海道関連の資料を見て、凍矢はさらに頭を抱えた。

 

「うーん、まさか北海道と樺太が陸続きになるとは…………。*5ガイア連合の上層部は防衛線を押し上げなくちゃいけないみたいで大わらわみたいだなぁ…………」

 

 以前*6樺太に戦力を送り込むついでに十勝シェルターの黒札たちが検地をおこなった結果、やはり北海道と樺太は繋がっていたという情報が舞い込んで、ガイア連合の上層部は、防衛線をどう押し上げるかてんてこ舞いらしい。

 

 北海道と樺太が陸続きになるということは、そこを通路として過激派、穏健派、難民、ロシアの現地民などなど、ロシアに存在する様々な勢力が山ほど樺太に群がるという事になる。

 つまり、樺太の地は理想郷日本の通行口になったも同然である。それに群がらないほうがどうにかしているだろう。

 

「とはいうものの、本当にてんやわんやしているのは恐山だろうなぁ。

 万が一北海道が陥落したらあそこが真っ先に狙われるだろうけど…………。まあ霊視ニキがいるから大丈夫だろう」

 

 最悪中の最悪で、もし万が一北海道が陥落した場合、次の盾になるのは、霊視ニキのいる恐山勢力、ニヒトニキのいる岩手県、幼女ネキのいる宮城県になる。

 これらの勢力を簡単に突破して新潟まで侵攻してくるとは流石に考えにくい。しかし、何にせよ十勝シェルターに武装支援などを行っておいて損はあるまい。

 

「ともあれ、念のためのウォレスニキには支援を送っておく必要があるか…………。以前実戦テストを行った【G3寒冷地仕様】用の対寒冷地セット*7にほむらが作った火炎弾を範囲攻撃用のハンドグレネード*8やスティンガー*9を送ってみるか。あとはG3もシノさんと話がつけば送った方がいいか………。『霊山同盟支部』と繋がりがあるだけのウチからの贈り物なら問題はないとは思うけど。それと話は変わるけど、発電機の方はどう?」

 

「はい、このシェルターの予備発電機である【三宝荒神式浄炎発電機】は上手く起動しているようですね。

 他の十日町市シェルター、南魚沼市シェルター、小千谷市シェルターでも順調に稼働中です。

 今度は津南町シェルター、湯沢町シェルターにも設置予定です。

 元々、三宝荒神は我が九重家の守り神でもあるので、そこから信仰を獲得できるのは大いに結構! との事です。他のシェルターにも三宝荒神への信仰をお願いしていますし…………。発電するだけでなく、浄化の炎によって周囲に対悪魔の結界を構築することもできますしね」

 

 三宝荒神。火と竈の神であり、不浄を浄化する仏法僧の三宝を守る日本特有の神である。

 日本特有の荒魂に、古代インドに源泉をもつ夜叉神の形態が取り入れられ、神道、密教、山岳信仰などのさまざまな要素が混交して成立した神だ。神格化された聖徳太子とも普賢菩薩と習合するともいわれている。

 清浄な場所である台所や竈を守護する神でもあり、大体竈神といえば源流はこの神となる。

 炎の神でありほむらの神であるホノカグヅチと権能は被るが、凍矢の妻である九重家の神であり、凍矢としても無碍にはできなかった結果、碧神邸での台所で祭られ、碧神邸を守る結界を構築している。

 さらに、信仰を得るために火力発電機としての原動力を役割として与えたので、本霊的にもニコニコだろう。

 

「後は、凍矢様のMAGを備蓄して発電する大型MAGバッテリーもバンバン売れていますね。

 超大型シェルターで半年、大型シェルターで1年、中シェルターで数年単位は持ちますし…………。

 これと【三宝荒神式浄炎発電機】とを併用すれば停電することはないでしょう」

 

 この魚沼シェルターでは、地下のロボ部の大工場のメインジュネレーターには凍矢の血や彼から発生する膨大なMAGによって賄われており、市民たちの生活に必要な電力も賄われている。

 元々魔特化であり膨大なMAGを所有する彼からしてみたら、大都市の電力にも匹敵するMAGも何なく発生させることができる。言うなれば彼自身が膨大な電力発生装置と言ってもいい。

 ロボ部の大工場に必要な大規模なMAG必要量、魚沼シェルターの市民生活に必要なMAG、それらを単体で賄い、さらに大型MAGバッテリーを数十機補充できるだけの膨大なMAG消費量を賄うことができるのだ。

 この終末の世界では、彼こそが原子力発電所にも匹敵する大規模な生体発電所と言っても過言ではないだろう。

 もっとも、単体で賄っていると、彼がいなくなった時にたちまちMAG不足に陥ることは間違いない。

 そのために、予備発電機である【三宝荒神式浄炎発電機】などでいざという時でも停電にならないように気を使っているのだ。

 

「それと、『霊山同盟支部』*10には陸路、空路、ターミナルの併用でキクリ米の輸出と………。

霊道自体は山梨まで通じているから、途中で霊道のメンテを行ってくれている馬ニキの所に色々お礼の品を送って、そのまま山梨を通ってS県へ。そして向こうから色々なオカルトアイテムを輸送して帰還かな。」

 

 馬ニキたちと協力して作り上げた新潟から山梨を通じている霊道は、十日町から長野、上田を通じて山梨の韮崎市へと向かう道である。しかし、霊道とはいえ途中で悪魔が襲い掛かってくる可能性も十分存在する。

 そのため、輸送を行う際にはキャラバンのように大規模な輸送部隊に大規模な護衛がついて移動することがほとんどである。

 もちろん、ターミナルでの輸送が一番安全ではあるが、それだけではいざターミナルが使えなくなる時に遮断されてしまう形になっているため、マザーバンガードによる空路や霊道による陸路による輸送も行われている。キャラバンの護衛にはシンジを使って誰かお目付け役をつければちょうどいいだろう。

 もっとも、魔人であるシンジは山梨に入ることは返って危険であるため、山梨に入るギリギリまでになるが。

 

 そんな風に考えていると、関西の方からターミナル通信が入ってきた際に、凍矢のCOMPに電話が入ってくる。終末後の世界ではもう電波もシェルター外にも飛ばないので、気軽に他のシェルターに対して電話することもできない。

 そのため、お互いのターミナルを通したターミナル通信でなければ気軽にTELもすることもできない。

 お互いのターミナル同士が通じた際に、この気を逃すな、と猛烈な勢いでお互いに電話が飛び交うのがいつものことである。

 この世界ではもう気軽に電話もできないから、この気を逃すな、というのも当然である。

(そのおかげで、リアルタイムでお互い連絡を取れる掲示板がさらに盛り上がっているというのもあるが)

 そして、関西に繋いだターミナル通信を通して関西からTELがかかってきたので、凍矢はそれに対して出る。

 

『よう、田舎ニキ。元気か?』

 

 うっ、やっぱりウシジマニキか……。と凍矢は心の中で一歩引く。

 ガイア連合関西支部支部長代行、通称ウシジマニキ。*11

 大阪市梅田にあるジュネスの関西支部の取りまとめ、支部長の代行として取りまとめを行っている人物だ。

 だが、凍矢にとって一番問題なのは「闇金金融」という彼の肩書である。(元ではあるが)

 元借金持ち(一応返したが)にとっては、レベルに関係なく天敵と言ってもいい。どうしても本能的に警戒してしまうのである。

 

『まあそんなに警戒するなよ。今回はお前さんにとってもいい話なんだぜ?』

 

その彼の言葉に、ますます嫌な予感を覚えながらも、彼はウシジマニキの言葉を聞くことにした。

*1
デモニカ装備部隊、各LV30代程度。

*2
ファッション無惨様のごちゃサマライフ」様  アルカトラズ・レポート

*3
「【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく」様

*4
「【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話」様

*5
【カオ転三次】現地民とのぐだぐだ小話様 偉大なる王による夢の国家運営譚

*6
拙作、THE・G3V(ザ・G3バリエーション)

*7
F90Cセットとほぼ同じ。スキーユニットに両肩部、腰部、脚部につけられるヒーターユニット、一反木綿を加工した純白のマント。

*8
真Ⅰでのアイテム。敵1グループにザンマの効果

*9
真Ⅰでのアイテム。敵1グループにマハザンの効果の効果

*10
霊能力者、鷹村ハルカは改造人間である。」様

*11
【求む】カオス転生でダークサマナーが就職する方法 閑話・終末後の後日談「関西支部」

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