今回は劇場版(文字通りの意味で)なので派手に行きたいと思います。
……派手すぎて各方向に多大な影響を与えるので、映画という形でお茶を濁していくスタンス。
シン・ヱヴァンゲリヲンとシン・仮面ライダーとエースコンバットZEROが融合した結果がご覧の有り様だよ!
(画面に浮かび上がる波とガイア連合の略字「ガ連」の文字。
そして終末対応空想投射機のジジジ、という音と共に物語は始まる)
「……終末前まで我々は上手くやっていた」
だだっ広い部屋の中、床と天井に巨大な「生命の樹」が描かれた部屋。
そのぽつんと置かれた机と椅子に座っているのは、メシア教過激派の大司教の一人である。
ただ広い空間の中、彼は淡々と言葉を続ける。
「我々の邪魔になるものは何か? それは「文化」である。我々と異なる文化、文明、風土、風習、言語。これらは全て最大の敵である。
アメリカではネイティブアメリカンたちの文化を踏み潰し、土地を奪い取り、アメリカと言う世界覇権国家を作り上げた。オーストラリアではさらに上手く行った。アボリジニたちの文化をほぼ根こそぎ殲滅させ、彼らもほぼ殲滅し、上手く支配する事ができた」
「……しかし、それを邪魔する勢力が現れた。言うまでもなく、それは「ガイア連合」である。彼らは直接的な攻撃だけではなく、文化的攻撃……「漫画、アニメ」を使用し、最早滅んだ文化の復権・復活、そして失われそうになっている文化・風習の保存・復活・浸透を目指している。*1
やはり、日本を吹き飛ばさねば、我々の勝利はあり得ない。そのために、貴様を作り上げたのだ。『アバドン・ハレル』よ」
大司教の前に存在するのは「純白の仮面ライダー」としか言いようのない異形の存在。
仮面ライダー自体はガイア連合が散々デモニカモチーフにして作っているが、メシア教過激派が仮面ライダーに似た存在を作り上げるなど異例である。
大司教の言葉に答えるように、その複眼は白から紫色へと変化する。
どことなく蝶を連想させるその姿は、シン・仮面ライダーに登場する「仮面ライダー0号」にそっくりの姿であった。彼は無言のまま大司教の言葉に耳を傾ける。
「…………」
「我々の目的はただ一つ、終末時に降臨した大天使サタン様*2を再臨させ、メギドアークで地表全てを吹き飛す。この異教の文化で汚染された地上を消し飛ばし、全てを一からやり直す。そして異教の文化・宗教・言語を滅ぼし、我々は汚れた知恵の実を捨て、楽園に帰還するのだ。これが我々の大義である」
過激派の大司祭の目の前に映るモニター内には、薄布を纏った美男美女たちが、この世の物とも思えない人工楽園で楽しそうに笑顔を見せながらただひたすらに戯れながら聖歌を歌い続けている。
これこそ、過激派が作り上げた【人造神聖異界】という名の【楽園】そして、その内部に存在する【穢れなき原罪なき人々】である。
彼らは人類から「闘争心」「敵意」など負の感情や「知性」を取り除いた原罪なき「新人類」である。
辛い事も悲しい事も不幸も闘争心も何もなく、ただひたすら楽園で戯れながら聖歌を奏でるだけの存在。これが過激派が作り上げた「原罪なき人間」である。……客観的に見れば、知恵の実……知識・知性を取り除いたただ穏やかに微笑みながらひたすら聖歌を歌うだけの『歌唱機』、白痴に近い人間たちだが。
「特別に空中機動救済箱舟ノア型一号艦『
──―終末後、佐渡島。
黒札の一人、パピヨンニキ……蝶野攻爵*3の手によって万全の防備体制が整えられている佐渡島。
今この島では最大級のエマージェンシー、レッドアラートがかけられていた。
佐渡島の妙見山には日本最大の亀甲模様の大型レーダー通称“ガメラレーダー”が存在する。
日本海から大陸方面への防空の要として作り出されたこのレーダーには、亀甲型のレーダーそれぞれに妙見菩薩の騎獣である聖獣ゲンブを憑依させた事により、その性能は大きく拡張されており、また妙見菩薩の持つ千里眼・天眼通の権能を引き出し、未来視・占術の機能すら有している。
そのガメラレーダーの菩薩の占術だけでなく、あらゆる占いが凶兆の様相を呈していたのだ。
中国大陸を横断する『何か』の存在は確認できたのだが、それが何なのかまでは確認は取れなかった。
当然、現在の中国大陸のシェルターにそんな訳の分からない物を迎撃する力は残っていない。
個人的な力なら地獄の中華戦線を潜り抜けた歴戦の戦士は存在していたが、組織の力としてはすでにボロボロである彼らに、組織的な迎撃を行うことは難しかった。
そして、ついにガメラレーダーに感知された『それ』を見て、防空体制のために上空を飛行している天狗たちやF-2終末対応機やF-15J終末対応機、そして、彼らを率いるデモノイド・グランチャーを駆る沙霧尚哉大尉*4たちは思わず声を上げた。
「な、何だあれは!!」
「空中戦艦……。メシア教過激派の空中戦艦か! まさかあんなものまで開発していたとは!!」
「ノアの箱舟か! あんなものまで空中戦艦にするなんてどうかしてるぜ!!」
中心部は巨大な魚の骨にも見え、側方に戦艦のブリッジを宿している三胴構造。左右に巨大な人の手にも見える巨大な翼と、機体下部にエンジェルハイロゥを展開する巨大空中戦艦。
空中機動救済箱舟型ノア一号艦『ヴーセ《贖罪》』*5
アララト山に存在していたノアの箱舟の残骸を元に、メシア教過激派が作り上げたその箱舟は、本来はあらゆる存在の種の保存を行い、終末の大洪水を乗り切り新世界へと移行する予定だった。
もちろん、その種は全てメシア過激派の手が施され『穢れなき生命』へと改造されている。
原罪の存在する人間は乗っておらず、大洪水を乗り切った後は、自動的に『原罪なき無垢の人間』たちと『穢れなき生命』たちを大量に生み出す生物生成プラントも兼ね備えている。
だが、大洪水による人類浄化の可能性は低いと判断した過激派は、それを空中戦艦へと改造。
『アバドン・ハレル』分体『アポリオン』を無数に生み出す移動型生物生成プラントへと改造したのである。
中心部は巨大な魚の骨にも見え、側方に戦艦のブリッジを宿している三胴構造のヴーセの装甲がスライドし、数十もの出入口となったその穴から、凄まじい勢いで『アポリオン(LV5)』の分身が湧き出る。これは言わばアバドンの分身の蝗が人の姿に変化しただけの存在である。
ヴーセから無数に放出されるアポリオン分体。
LVはさほどではないが、とにかく数が多い。天空全てを埋め尽くさんほどのその数は数千単位ですら足りなかった。青空を埋め尽くさんと数億に近い純白の『アポリオン』たち。比喩表現ではなく、青空が三割にアポリオンたちが七割を占めるほど膨大な数が生み出されたアポリオンは二手に分かれ、片方は佐渡島に、もう片方は新潟市シェルターへと向かっていった。
「いかん! 新潟市シェルターの黒札様に至急連絡を!! あれほどの大群が襲い掛かってはシェルターが壊滅しかねないぞ!! 早くしろ!!」
そして、それら無数のアポリオンたちは空中から地上へと舞い降り、
当然、それに対して佐渡島シェルターの人々も無力ではない。人外ハンターたちやハイデッカー、アマゾンシグマなどを装備した異能者はそれぞれ陣形を組んでアポリオンの対応を行っていた。
「陣形だ!! 陣形を作れ!! グラスゴーを前面に押し出せ! 陣形崩したら死ぬぞ!!」
「地形を生かせ!! 不利になったら山岳地帯や森に逃げ込め!!」
「こいつら図体が人型なだけで実態はただのアバドンの分身だ!! アポリオンキラーだ!! アポリオンキラー根こそぎ持ってこい!!」
「おい! 今アポリオンキラー品薄なんだけど!? アポロン様がボイコットしてるんだぞ!? それでも持ってこい!? マジかよ!?」
「倒したアバドン分身は海に放り込め!! 地上が汚染される前に瀬織津比売・速開都比売・気吹戸主・速佐須良比売の祓戸四神に浄化してもらうんだ!! *6」
そんな中、当然ながら佐渡を守護する防衛隊も無力ではない。五十猛神やダイアナ、戦闘型デモノイド『ネメシスT型』、七陰のアルファのダン・オブ・サーズデイやデルタのディアブロ・オブ・マンデイたちも前線に出て無数のアポリオンたちと戦いを初めていた。
さらに、佐渡島シェルターの切り札・守護神そのものとも言える『デスザウラー』*7もついにその姿を現す。
「マスターの搭乗並びにシステム接続を確認。神経接続良好、システム・オールグリーン。第二心臓フォマルハウト・エンジンの稼働率72%に上昇。デスザウラー、完全起動します────!」
蝶野のシキガミであるエセルドレーダがデスザウラーのコックピット内部でそう叫ぶと同時に、デスザウラーの放つ荷電粒子砲は空を切り裂き、純白のアポリオンたちの雲霞のような群れを直線状に切り裂き、纏めて数百体ものアバドンの配下の群れを殲滅していく。
それだけでなく、第二射は真横に薙ぎ払うと、まるで純白の雲を切り裂くようにアポリオンの群れが切り裂かれ、焼き尽くされ、消滅していく。
第三射、第四射と連続の横凪の荷電粒子砲で、無数のアポリオンたちは次々と焼き払われていく。
それに対して、アポリオンたちはデスザウラーを危険と判断したのか、アポリオンたちは次々とデスザウラーへとへばりついていく。
デスザウラーも手のクローや尻尾の加重力衝撃テイルを振るうが、雲霞のような小型の塊のアポリオンに対してクローを放ってもあまり効果はない。雲霞に対して人間が手を振ってもあまり意味がないのと同じである。数体程度ならば物の数ではない。だが、数千、数千万もの群れが張り付いていく様は、まるでデスザウラーを純白の繭で包み込むようにも見える。
むろん、アルファのダン・オブ・サーズデイやデルタのディアブロ・オブ・マンデイたちもデスザウラーを守ろうと群がろうとするアポリオンたちを切り払っていくが、何せ数が圧倒的すぎる。下手をすれば自分たちもアポリオンの取り込まれて身動きが取れなくなる、と思うと思い切った攻撃が取れなかった。
まるでニホンミツバチの蜂球を思わせる勢いで群がってくるアポリオンたち。
「マスター!? 強殖生物の発生を……!」
「ダメだ!! このまま『デストルドス』になると、強殖生物ごと大量にアポリオンを取り込むことになる!! そうなればどうなるか予想がつかん!!」
コクピット内でそこまで口に出した蝶野は、その自らの発言でいいアイデアを思い付いたのか、パチンと自らの指を鳴らした。
「いや……そうか! 『逆』だ!! 強殖生物を発生させ、機体表面のアポリオンを吸収・食らいつくさせる!! どこまで吸収できるかは不明だが今よりはマシだ!!」
「……!? 強殖生物を『生体攻性防壁』として利用しようと……!! 了解しました!!」
蝶野のその言葉に応じて、デスザウラーに搭載されたストレージCOMPが起動し、内部に保存されている膨大な量の強殖生物が溢れ出し、デスザウラーを覆いつくしている無数のアポリオンたちを食らいつくしていく。デストルドス用の強殖生物を使用した、いうなれば強殖生物による生体攻性防壁とでもいえる代物だ。
だが、無数のアポリオンを飲み込んでいく強殖生物に対して、なお無数のアポリオンたちはそれを無視して群がろうとして次々と吸収されていく。
「強殖生物が限界を迎えたら、各部にある重力魔術発生装置を最大出力にして、アポリオンたちの浸食を防ぐ! それでもダメなら最終手段として、フォマルハウト・エンジンの冷却機関を停止!! デスザウラーの強殖生物を赤熱化させてアポリオンたちを焼き剥がす!!」
「そ……それは! いかにデスザウラーといえどダメージが大きすぎます!!」
人間でいうなれば、40度を超える高熱で体内のウィルスを焼き尽くすぐらいの無謀さである。
だが、このままではジリ貧である。圧倒的物量によりデスザウラーですら封じ込められてしまう可能性すらある。そんな状況で、空中戦艦……もとい空中生体生成プラントとも言えるヴーセに対して、次々と砲撃が叩き込まれる。
それも一撃や二撃程度ではない。無数のビームやレーザー、マハラギダインによる砲撃が次々とヴーセに叩き込まれていくのだ。その方面を見ていた人外ハンターたちは歓声を上げた。
その帆船を連想させる特徴的なシルエットをしている空中戦艦は、この新潟の地において知らぬ者はいないと言っていい。
帆船の部分にビームフラッグによりガイア連合のシンボルを展開しながら、大航海時代の帆船をモチーフとした美しい外観。そう、それこそ空中戦艦『マザーバンガード』である。
「あれは……マザーバンガードだ! マザーバンガードが来てくれたぞ!!」
「それだけじゃない! アレは……『超力戦艦ヤソマガツ』だ!!」
金剛型戦艦を元にして作成されたヤソマガツは、戦艦状態から変形を開始して人型の巨大ロボである『超力超神ヤソマガツ』へと姿を変える。
そして、その指から荷電粒子砲を発射し、空中のアポリオンたちの群れを薙ぎ払う。
本来なら拡散型荷電粒子砲は搭載していないが、改造を行った結果ヤソマガツは拡散型荷電粒子砲への切り替えが可能である。そして、その拡散された荷電粒子砲は、まさに雲霞のようなアポリオンにとっては天敵そのものだった。
拡散荷電粒子砲は次々と空中にいる無数のアポリオンたちを焼き払っていった。
危険を察知したアポリオンたちは、デスザウラーに群がっているアポリオンたちも離れ、一斉にヤソマガツへと飛来するが、それはまさに死地に飛び込んでいくような物だ。拡散荷電粒子砲に次々と焼き払われていくアポリオンを後目に、マザーバンガードはそのスピード性能を生かし、全体にビームシールドを展開させながらアポリオンの群れへと突っ込んでいった。
「――――!!!」
ビームシールドを展開させながら突っ込んでくるマザーバンガードに避けきれない無数のアポリオンたちは次々と焼き払われていく。
そして、その向かう先はメシア教過激派の空中戦艦ヴーセである。
「うぉおおおお!吶喊ッ!!食らえぇええええ!!」
ビームシールドを展開させながらマザーバンガードは鋭い切っ先、衝角をヴーセに向けながら凄まじい勢いで突撃し、凄まじい衝突音と共に、ヴーセを真横から串刺しにする。
真横から串刺しにされたヴーセは大ダメージを食らい、アポリオンを生成することも出来ずにそのまま浮遊力を失い、海上へと落下していった。
「うぉおおお!! 乗り込めー!! 制圧しろー!!」
「生物生成プラントという事は逆利用すればアバドンの分身を取り込んで処分する事にも利用できるはず……!! 機能が死なないうちに占拠して確保しろー!! 黒札様に引き渡すんだ!!」
「命を惜しむな!名を惜しめ!!俺たちの佐渡島がダメになるかならないかなんだ!!突撃ィイイ!!」
そう叫びながらも、水上に墜落したヴーセの生物生成プラントを占拠せんと、決死隊である人外ハンターたちは船やら何やらでヴーセ内部へと飛び込んでいった。
──―そして、場所は変わって新潟港。アバドン・ハレルの凄まじい量の分身が襲い掛かってくると聞いて、皆が大騒ぎになっている中、この新潟市を守護する黒札である『鑑定ニキ』*8は戦略兵器とも言える『人魚ネキ』*9を招き、「子守唄(睡眠貫通)」から「永眠の誘い」という即死コンボを用いて歌声の聞こえるアポリオンたちを次々と殲滅していった。
人魚ネキの子守唄から永眠の誘いは、まさにこういう数を頼みにして襲い掛かってくる敵に対してはまさに天敵である。歌声が聞こえる範囲のアポリオンたちはなすすべなく睡眠から死亡へと倒れこんでいく。
もちろん、人ひとりの音量の範囲などたかが知れている。だがロボ部が新開発した『サウンドブースター』*10により、増幅された彼女の子守唄はさらに広範囲のアポリオンたちを次々と永遠の眠りへと誘っていた。
その中、騒がしい新潟港の中、一人の何の変哲もない人間が手にもっている純白のCOMPを終末対応のメシア穏健派の輸送車の傍に立っている人間に無言で手渡す。
そして、COMPを手渡された男は、そのままメシア教穏健派の終末対応車に乗り込もうとする。
だが、その瞬間女性の鋭い声が響き渡る。
「止まりなさい!! それ以上動けば撃つわよ!!」
それは新潟市シェルターを守護する現地霊能組織『命蓮寺』の吸血鬼の祖先帰りであるクルル・ツェペシである。
この新潟市シェルターの最大の戦力である黒札『鑑定ニキ』やトップの『聖白蓮』などは新潟市シェルターの防衛のために走り回っている。そのため、比較的動ける彼女たちが対応に当たったのである。
使命は「あのCOMPを奪い取ること」だ。だが、彼らはそんなクルルたちの言葉を無視しながら叫ぶ。
「行け! 全ては世界の浄化のために!!」
「世界の浄化のために!!」
その言葉と共に、白いCOMPを搭載したメシア教穏健派の車は、フルスロットルでその場を離脱していった。