【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち   作:名無しのレイ

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大天使サタン再臨計画②

 ──―新潟県中越地方、魚沼市シェルター。

 佐渡島シェルターと新潟市シェルターに過激派の大規模襲撃が行われたという情報はこのシェルターにも迅速に伝えられていた。

 佐渡島シェルター、新潟市シェルターに進撃が行われたとなれば、進撃ルート的に考えれば、次に襲い掛かってくるのは、間違いなく長岡市シェルターかここ魚沼市シェルターである。

 ここを通してしまえば、次は旧長野県か旧群馬県を通り過ぎて山梨支部への強襲を仕掛けていくだろう。

 何としてもここで食い止めなければならない&市民たちの安全を確保しなければならない、そのために凍矢たちや静たち、ほむらたちは文字通り走り回りながら各所に指示を飛ばしていた。

 

「市民の誘導急げ──ッ!! できる限り地下施設に避難させろ──ッ!!」

 

「ロボ部の技術班の黒札たちは地下ロボ部施設に避難させろ! 最優先だ!!」

 

「複座型士魂号、単座型士魂号、カルダトア・ダーシュ、カルディトーレなどロボ全機起動!! 戦闘態勢に入れ!! 全機の人工血液にMAGを注ぎ込め!! 武器弾薬もフル装填だ!!」

 

「泡状結界の各結界出力最大!! 結界構築を最大限にまで上昇させろ!! 地下基地のメインジュネレーター出力全開!! 臨界点到達!! 霊的エネルギー102%到達!!」

 

「各部山脈の対霊的武装展開!! 自衛隊……もとい防衛隊の配備完了!! デモニカ隊、多脚戦車隊の配備完了!! 人外ハンターたちの配置も完了しつつあります!!」

 

 そんな中、凍矢の拠点である旧公民館内部では、静が無数の各モニターに張り付きながら指示を飛ばしていた。当然凍矢も静と共にシェルターの防御態勢&迎撃態勢を整えつつあった。

 

「エマージェンシー・レッドをかけて防衛体制は整いつつあります。このまま最大限の防衛体制を展開したまま24時間は警戒態勢に入ったほうがいいでしょう。新潟市シェルター、佐渡島シェルターの情報は?」

 

「新潟市シェルター、佐渡島シェルター共に防衛成功。「アポリオン」たちの襲撃を何とか凌ぎきったらしいが……どうなるか分からないからな。24時間様子見で行こう」

 

 皮肉な事に、この世界において黒札が書き込む掲示板こそが最も情報速度が速い。

 何か大事があった場合、当事者以外の黒札たちが真っ先に掲示板に書き込むことが多いため、もはやリアルタイムチャットとでも言っていいほどなのだ。

 新潟市シェルターでも、手が空いた黒札たちが色々書き込みを行っているが、それらを解析・分析してみれば、アポリオン迎撃はうまく行っていると言ってもいいだろう。

 そんな風に凍矢と静たちが戦況を分析しながら防衛体制を指揮していると、いきなりドアをコンコン、とノックする音が聞こえる。

 定期連絡でもない予想外の来客に、静や配下の黒騎士部隊の数人は、とっさに自らの武器であるガイア製のアサルトライフルを構えて扉に向ける。

 まさか侵入者? この厳戒態勢をすり抜けてここまで? 私が肉盾になって黒札様は逃がす、と静が素早くそう判断している中、凍矢は静に武器を下すように指示を出す。

 

「いや、気配からして敵じゃない。多分黒札だろう……。入って来ていいぜ」

 

 その凍矢の言葉と共に、ドアが開けられるとそこには長身の彫りの深い青年が立っていた。

 厳戒態勢の魚沼市シェルターの防衛装置を全てすり抜けてしれっとやってきたのは、黒札の一人『くそみそニキ』こそ『阿部 清明』だった。*1

 あれだけの防衛機構・結界・警報装置をすり抜けてここまで来れるとは、流石に凄腕の黒札の一人である。恐らくはお得意の未来予知・占術を使用して警戒装置を全てすり抜けたのだろう。

 黒札同士の秘密会議には自分は不適格だろう、と静は自ら部屋から出て行って周囲を最大限に警戒するように自らの黒騎士部隊に命令を下した。そんな中、阿部は椅子に腰かけながら言葉を放つ。

 

「まあ、まずは落ち着けよ。田舎ニキ。あれは『陽動』だ。『本命』は別にある。今慌てて動くべき時じゃない」

 

 その阿部の言葉に、佐渡島シェルター&新潟市シェルターの襲撃は全て『陽動』である事を凍矢は悟る。

 確かに陽動は派手であればあるほどいい。そういう点ではあれほどの派手な陽動は適格だと言えるだろう。

 

「やばすぎる卦が出たんでな……。『鬼門から災厄がやってくる』とな。

 S県からの鬼門……つまりは山梨県からの鬼門でもある新潟県であるお前さんのところからやってくる、という卦だ。その災厄もある程度は予想はついている」

 

「その目的は、終末時に降臨した『大天使サタン』の再臨だ。*2終末時、大天使サタンはS県の海から降臨した。つまり、S県の海は他の場所に比べてロウの力が強く、異界との壁が薄い、サタンが降臨しやすい『穴』になっている」

 

 それは凍矢にも分かる。一度時空の穴が開いてしまった以上、塞いだとしても降臨しやすい事には変わりない。だが、そこに再びサタンを降臨させる事なんてできるのか? 

 その当然の疑問に対して、阿部は指を立てながらその疑問に答える。

 

「その疑問も当然だ。再びサタンを再臨させる事などそうそうできるはずもない。だが、ここに一つの存在がある。それは『アバドン』だ。アバドンは、奈落の主とも言われ、「奈落の鍵を管理していて、千年の間サタンを閉じ込めていた」とある。だが、逆に言えば、アバドンの力なら閉じ込められているサタンを開放できる権限がある、とも捉えられる。これを利用して、アバドンの力で大天使サタンを再臨させる、これが過激派の陰謀だろう」

 

 アバドンはしばしばサタンの別の名前として使われている事がある。これは、アバドンとサタンは同一視されているという事でもある。

 そのため、アバドンはサタンを千年間閉じ込める役割を得たのだと考えられている。

 この権能を利用し、アバドンの力でサタンをS県の海から無理矢理引きずり出す。これが過激派の計画だろう。

 その阿部の言葉を聞いて、凍矢は思わず椅子から乗り出して、バンと机を叩きながら言葉を放つ。

 

「ふざけるなよ! サタンを何とかしてから千年後ところか千日も立ってないじゃないか!! 

 そんな事されたらただでさえ切れまくっていたサタンだってまたブチ切れるだろうが!!」

 

 メシア教過激派の行いや、四文字の好き勝手のやり方に、激おこぷんぷん丸だった大天使サタンは、ハルカの説得と試練を乗り越えた事を認められて「まあしばらくは大目に見るか……」というモードに入っている。

 そんな状態で「地球を吹き飛ばすためにお越しください」と無理矢理地上に再臨されたらどうなるか? 

 人類も天使も唯一神も、己の使命に従って『裁く』べきモノだと一度は判断したサタンは、再びブチ切れて地上殲滅へと走る可能性は非常に高い。

 何とか終末を逃れて魔界地球と融合したこの世界を再度焼き尽くすわけにはいかない。

 

「とりあえず、陽動ではなく『本命』はある程度こちらの方でも掴んである。うまくすればそれで……」

 

 と、阿部のCOMPに連絡が入ってくる。それに阿部が出るととある声が聞こえてきた。

 

『こちら馬ニキ!!目標を発見!!これより追撃に入る!!』

*1
「霊能力者、鷹村ハルカは改造人間である。 」様から。主人公、ハルカの師匠であり、現在のハルカを作り上げたある意味元凶。極めて優れた占術を行い、未来を見通す力を持つ。

*2
「霊能力者、鷹村ハルカは改造人間である。」様 (……勝ったぞ、みんな)から。

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