【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち   作:名無しのレイ

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多分DDSにシン・仮面ライダーPVみたいな映像とか、ブルアカの4thPVみたいに黒札たち皆が戦ってるPVとかが宣伝として流れそう。(こなみ)
今回のシーンは、シン仮面ライダーの「未公開シーン 大量発生型バッタオーグ」のイメージでお願いします。


大天使サタン再臨計画④

 S県の海に面した砂浜。そこはかつて大天使サタンが降臨した場所であり、アバドン・ハレルが目指す最終目的地そのものである。

 そして、その砂浜には数十基の小型『結界装置』と、『マニ車型結界増幅装置』が設置されている。

 これら持ち運びできる小型の結界装置は霊山同盟支部のシノが開発したものであり、S県で度々発生する悪魔の侵攻で結界が破壊されるのに対応した物である。*1

 そして、マニ車型結界増幅装置は、探求ネキがベイブレードから思いついたマニ車の概念で反復詠唱による概念強度上昇術式により、マニ車による超高速反復祝詞を行う事によって、神々の力を借りて結界自体を強化する仕組みである。*2阿部たちの結界に加えて、さらにこういった結界を作ることで絶対最終防衛線を作り上げようとしているのである。

 そんな風に大勢の人数が動き回っている中、そんな彼らを見ながら、自らの力で砂浜に岩で出来た腰掛けに腰を下ろしながら、詰まらなそうに黒札の一人、通称『セッツァーニキ』*3は阿部に向かって問いかける。

 

「どうでもいいんだけど、「絶対最終防衛線」って絶対に破られる、ってのが大体の創作物のお約束だと思うんだが、その辺はどう思う?」

 

 そのセツニキのセリフに、阿部は思わず渋い顔になりながら彼に対して煙草を差し出しながら言葉を返す。

 

「俺も気にしてるんだからそういう事言うなよ……。まあ何とかなるだろ。多分」

 

 そう言いながら、阿部はちらりと空を見上げる。

 そこにはいつものような青空ではなく、夕焼けでもなく、まるで鮮血のような鮮烈な真紅の色で染め上がった空だった。

 それはここだけではない。日本全土全てが真紅の赤色で染め上げたような赤い空へと変貌していた。

 それを見上げ、未覚醒者も、覚醒者も、大悪魔たちも、黒札たちも、知性ある存在は皆同じ事を感じていた。

「よく分からないが、何かヤバい事が起きている」と知性ある者たちは皆本能的に感じていたのだ。

 それを感じ取ったあらゆる存在……人間のみならず野生の悪魔に至るまで、安全な場所(少なくとも自分たちがそう思っている場所)へと逃げ込んで怯えて震えていた。

 そして、それは大悪魔のみならず、シェルターに避難している大半の人間たちも同様であった。

 皆、ほとんどの人間たちはシェルター内部に籠って震えているだろうな、と煙草を吸いながらセツニキはぼんやりとそんな事を思う。

 そして、彼は煙草を吸いながら、アバドン・ハレルの言葉を聞きながら悲しげにゆっくりと首を振る。

 

「哀れだよ。アイツはどうしようもなく哀れだ。そう思い込む事でしか正気を保てなかったんだな。さらに哀れなところは、例え地球が吹き飛ぼうとも、恐らく山梨支部まで消し去るほどの力はあるまい。

 そうなれば、以前却下されていた『輝夜作戦』*4が決行されるだけだな。止める者はいないし、過激派など追撃の手もなく決行できる。いっそ喜ぶ黒札すらいるかもしれん。

 ……どうしようもなく哀れだよ」

 

 そういいながら、彼はため息と共にタバコの煙を吐き出す。星祭神社……山梨支部の敵であるアバドン・ハレルに対して、こんなに同情的な彼は珍しいと言ってもいい。

 彼の姿は一歩間違えてガイア連合に保護されなかった黒札……転生者たちのもう一つの姿である。

 もちろん、「運が悪かっただけ」「あいつは黒札じゃない」と切り捨てるのは簡単だ。

 だが、それでも「何かが一歩間違っていたら自分たちもああなっていた」と思うと、そう簡単には切り捨てられない、苦々しい物を感じ取る黒札も多い。

 だが、それとこれとは別だ。暴れまわるのなら対処しなければならない。それが当然である。

 阿部、セッツァーニキ、探求ネキの三人の結界に加え、さらに結界装置による結界と何重にも張り巡らされた結界を見ながら、セッツァーニキは他二人に向かって言い放った。

 

「……とはいうものの、当然そんな事をやらせない方がいいに決まっている。

 せっかくあれやこれやとようやく軟着陸させたのに、それを無駄にさせる訳にはいかない。

 ……アバドン・ハレルが最終防衛線まで辿り着いたら、問答無用で三人がかりで殲滅する。異論はないな?」

 

 山梨支部を守る事に全力を注いでいる彼ではあるが、それでもようやく滅ぶ事無く魔界地球に軟着陸する所まで持ってこれたのだ。ようやく一段落したのに、再度地球を吹き飛ばすような真似をさせるわけにはいかない。山梨支部は無事だとしても、地球自体が吹き飛ばされては元も子もない。その彼の言葉に、阿部も探求ネキも頷いてそれに答えた。

 

 


 

 自らのデモニカ『グリスブリザード』を纏っている凍矢とすでに変身を行っている鷹村ハルカ*5に対して睨み合っているアバドン・ハレルは、自らの上に天使の輪、エンジェルハイロゥを展開させてふわりと宙に浮かび、彼ら二人を見下ろしながら言葉を続ける。

 

「ふむ、だが仮面ライダーたちに対して、アバドン・ハレルでは収まりが悪いな。

 では、こうさせていただこう」

 

 そう呟くと、彼は物質の再構成を行い、何もない無の状態から白いマフラーを作り出し、それを優雅な仕草で自らの首に巻き付ける。

 

「俺は俺なりのやり方で人類を救済(殲滅)する。俺の名前は……『仮面ライダー0号(アバドン・ハレル)』だ。これならお前たちとお揃いだ。相対する権利はあるだろう。

元々、『イッチ』とかいう黒札……というよりは仮面ライダーか……の情報を入手して過激派の手で作り出されたのが俺だ。十分名乗る資格はあるだろう。」

 

 元々カルトに攫われて体内にアバドン虫アポリオンの遺体を埋め込まれ、魔人アポリオンを創造しようという計画に巻き込まれ、ポビー部などの努力でヒーローとしての概念と封印具を提供され、ある意味仮面ライダーになった『イッチ』*6

 それ自体はショタおじやガイア連合の技術者たちに阻まれたが、その情報自体は当然ながらアバドン虫アポリオンを通してアバドンへと流れ込んでいた。

 そのアバドンが受け取った情報を解析し、そこから得られた情報を元にメシア教過激派が転生者が改造を受けたのがこの『仮面ライダー0号(アバドン・ハレル)』である。

 その姿は、まさしくシン・仮面ライダーに出てくる『仮面ライダー0号』そのものであった。(色はほぼ純白で複眼だけが紫なのを除けば。)

 

「ノリノリじゃねえかこの野郎……!!」

 

 思わず呻く凍矢を無視しながら、仮面ライダー0号は再び指を天に向けながら自らの思想を語る。

 

「では、問答の続きといこう。お前たちも感じたことはあるだろう? 『この世界は狂っている』と。ゆえに、この狂っている世界を全て吹き飛ばす。魔界地球を破壊し、悪魔も人類も全て消滅させる。それが俺の望みだ。全てを虚無に返さなければ、人類には救済はありえないのだ。」

 

 だが疑問は残る。いかに転生者でありメシア教過激派に散々改造されたと言っても、全世界を消滅させるほどの思考に走るか、という事である。

 そこで、凍矢は散々彼が出していた「虚無に還る」というキーワードにピンとくるものを感じた。

 メガテン世界でそんな事を主人公に繰り返して発言する者たちは存在した。

 主人公を懐柔して天使も悪魔も宇宙さえもまとめてブラックホールで葬ろうとした存在。

 神の滅びを回避しようとしたが、どれも無駄だったため、全てを虚無に返すしかない、と判断した存在。

 真・女神転生4に出てきたその存在こそは……。

 

「そうか……。お前ただの転生者だけじゃないな。まさか”ホワイトメン”か!?」

 

「ふむ、我らホワイトメンのことも知っているとは……。ただ者ではないようだな。然り!! 

 この『我ら』はお前たちに見捨てられた転生者とお前たちが言う『ホワイトメン』との融合体である!! 

 転生者である『我ら』とホワイトメンである『我ら』は、お前たちのみならず、魔界地球全土を粉微塵にする事で合意に至った」

 

 凍矢の言葉に対して、アバドン・ハレルはその言葉を肯定する。そう、彼は転生者だけでなく真4で出てきた”ホワイトメン”も内包して融合しているのである。

 全てを虚無に返そうというホワイトメンの思想から強く影響を受けたからこそ、アバドン・ハレルは「人類は生まれるべきではなかったし、存在するべきではなかった。もう滅んで楽になるしかないんだ」という極めて虚無的な反出生主義の思想を持つ存在へとなってしまったのだ。

 

「どの可能性を引いても神の思惑から逃れられないなら世界を無に還すしかない。

 どうせ数百年も立たぬうちにガイア連合も世界も腐敗し、黒札の末裔は非覚醒者を虐げる弱肉強食の世界が到来する。覚醒者たちが非覚醒者たちを奴隷扱い、非人類扱いする世界はやってくる。

 そうでなくとも、穏健派がガイア連合を侵食し、乗っ取り、いずれはカテドラルを建設し人類を支配する二択の世界しかない。

 そして、それを狙って唯一神は大洪水を再び起こす気だ。そうなれば、世界はより絶望的な未来しか残ってはいない。絶望に満ちた世界になる前に、世界を、人類を虚無に還すしかない!! これが五度目の人類に私たちが下す慈悲である!!」

 

 極度に悲観的であり絶望的な未来しか予知できないアバドン・ハレル。

 これは彼内部のホワイトメンの強い影響を受けているのだ。過激派に改造された絶望と憎悪を持つ転生者たちは、同じ絶望を持つホワイトメンたちと極めて相性がよく、お互いの思想がエコーチェンバーを起こし、絶望的な未来しか描けないのである。

 

「ふざけるな!!そんな物、僕は認めない!!人類の未来を捨てさせるわけにはいかない!!人類はそんなに醜悪なだけの存在じゃないし、そんな未来を迎えると確信できるほど人類は愚かじゃない!!」

 

 それに対して、強い正義感を持っているハルカは、アバドン・ハレルに対して思わず吠える。

 彼の考えからしれみれば、アバドン・ハレルの言葉はどこからどう見ても完全な逆恨みだ。

 メシア教に憎悪を持つのならば、メシア教過激派に攻撃を仕掛ければいい。ハルカはその正論をアバドン・ハレルに対して真正面からぶつけた。

 

「そもそも、それだけの力があるのならメシア教に攻撃すればいいだろう!!ガイア連合や黒札に対する攻撃は完全な逆恨みでしかない!!」

 

「それができればしている!! だがメシア教過激派が自らの逆らうことを許すと思うか!? 

 この脳には特殊な天使の羽……『宣教の羽』が大量に植え込まれている。これは絶対服従ではなく、「感情・思考誘導」機能が存在している。メシア教過激派への憎悪、怨念は全てガイア連合や黒札への恨みへと”誘導”されてしまう。

 この感情が逆恨みなのは理性では理解している。だが!! 感情はどうしようもない!! この荒れ狂う苦しみと憎悪はどうしようもないのだ!!」

 

 『宣教の羽』とはメシア教会過激派が一般的に多用する洗脳手段である。KSJ研*7によって提出されたレポートによれば『レベル30越えの高位メシア教徒が、レベルを代償に作成する』というものであるらしいが、アバドン・ハレルの脳に植え込まれている『宣教の羽』は他の羽とは異なる仕様になっている。

 そもそもLV140もの超絶的存在を縛り付けるほどの無数の宣教の羽など存在しない。

 ガチガチの何千、何億もの呪的束縛で逆らえないように縛り付けられている彼だが、それでもLV100オーバーの超越者である彼が本気を出せばそれらすらも破ってこちらに牙をむく可能性もある。

 それゆえ、過激派は、『絶対服従』ではなく『思考・感情のベクトルを歪める』という効果のある天使の羽を彼に植え込んだ。

 つまり過激派に対する怒りは全てガイア連合に対する怒り、黒札に対する怒りへと向けられる事になる。いかに理性的な人間でも、感情を自在にコントロールすることは難しい。負の感情となればなおさらだ。

それを他のところに誘導させられていると自分で気づくのは難しいし、もし気づいても感情が水のように高い場所から低い場所に流れるようになっていては自覚していてもどうしようもないだろう。

 彼自身も薄々自分の感情が誘導されているのは自覚しているが、それでも過激派に対する怨念や憎悪は全てガイア連合と黒札に対する怨念へと誘導されてしまうのはどうしようもないのだ。

 ガチガチに霊的呪縛で縛られ、『宣教の羽』で思考誘導を行われている彼は、自由意志はあっても完全に逆らうことはできず、過激派に表面上は従いつつもこうして自分の独自の計画にすり替えることしかできなかったのである。

 

「俺たちの言う事を負け犬の逆恨みと笑うか、仮面ライダーにこの地の守護者よ。ならばそれも良し!! 俺たち負け犬の逆恨みが! 正義の味方と勝ち組の黒札を滅ぼす!! こんなに痛快な事があるか!! 少なくとも俺たちは痛快だ!!」

 

 滅ぼせ、滅ぼせ、虚無に返せ、と転生者の意思とホワイトメンの意思は融合して共鳴する。その言葉に、ハルカは思わず顔を顰めながら反論する。散々酷い目にあっているが、それでも精神が折れない精神的超人である彼は、アバドン・ハレルの言うことは理解できるがそれほどの力があってなぜそんな事を、と思うのも当然だった。

 

「貴方ほどの実力者が何と情けない……! それだけの力があって何故そんな事をするんだ!! それだけの力があれば世界をより良い方向へと向けることもできる!! 洗脳もガイア連合に頼れば解除できるだろう!! だから……!!」

 

「確かにお前は凄いよ、仮面ライダー。精神的にも肉体的にも超人だ。尊敬に値する。だがな!! 全ての人間がそんなになれない!! なれるはずがない!! 数十発殴られれば心が折れて言いなりになる!! それが普通の人間なんだ! ”統治”を行うのならば! 人の”弱さ”を知るがいい!! 

 俺たち心の弱い負け犬の憎悪が! 世界を滅ぼす! という事もあるという事をなァ!!」

 

 その言葉と共に、浮かんでいる仮面ライダー0号(アバドン・ハレル)の真下の影が分裂し、膨れ上がって数十体の影は実体化を行う。

 しかも、彼らはそれだけではなくバイクに乗っており、手にはアサルトライフルを手にしている『大量発生型相変異バッタオーグ』そのものだった。漆黒の仮面ライダーの姿をした彼らは、赤い複眼を輝かせながらバイクに乗り、一糸乱れぬ行動でずらり、と並んで雨が降る中凍矢やハルカに対して向かい合う。

 

「コイツらはアバドン虫アポリオンに俺の情報を送り込んで人型に変化させた『大量発生型相変異人型アバドン虫アポリオン』だ。こいつらはお前の孤独相とは違う群生相。相変異を起こした黒いバッタは群れるもの。そしてより凶暴な性質を持つ。では死ぬがいい。仮面ライダーに守護者よ。」

 

 そのアバドン・ハレルの言葉と共に、黒い仮面ライダーたちはバイクのエンジンをかけると、雨が降る中水たまりの水をバイクの車輪で吹き飛ばしながら、一糸乱れぬ行動で二人へと突き進んでいった。

 

 

*1
「霊能力者、鷹村ハルカは改造人間である。」様の「聖人/異端ポイントハイスコアRTA。これが一番高いと思います(参考記録)」から。

*2
「【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく」様の「063:趣味こそ全開」から。

*3
「【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録」様から

*4
「小ネタ 転生者たちの初期プランと現在の状況」から。簡単に言うと地球脱出作戦。富士山周辺だけを別世界に移動させて、核の力を使って新しいミニ地球を作る感じらしい。なお結局実行はされなかった。

*5
「霊能力者、鷹村ハルカは改造人間である。」様の主人公

*6
「【カオ転三次】がんばれシフター ギラギラ転生記 ~僕がライダーになった理由~(仮)」様から

*7
「アビャゲイルの投下所」様から

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