──―鳥煮亭総合学園。
魚沼シェルター内部に作られたその小・中・高校の一体高校は、周辺の学校を纏め上げて作り上げられた総合学校である。
そして、そこで教えられているのはこの世界で最も求められている学問『悪魔学』である。
悪魔の事を学び、悪魔に対抗するための能力を開発するための教育機関。それがこの学校の存在意義である。とはいえ、一から悪魔に対抗するためのオカルト教育技術を構築するための時間もノウハウもなかったので、十勝に存在する「ガイア学校」*1からノウハウを教えてもらってそれを流用する形になっている。
そして、そこを統治する三人の生徒会長が「ティーパーティー」でありそのうちの一人が、『桐藤ナギサ』である。そして、彼女は学園内部で定期的に小説・絵画・音楽など創作活動を推奨していた。
それは黒札がオタクが多く、黒札の感性に命中する作品を作り出せば、本人だけでなく学校自体にも大きい恩恵を受けることになる。
そのため、今回文化祭を行う際に彼女は【万事屋】の【銀さん印のあんバターサンド】を優勝景品として掲示したが、そこに強く反応する一グループが存在した。
「う~ん。【銀さん印のあんバターサンド】かぁ……。これは手に入れたいなぁ……」
学校内に張り出されたポスターに見入っているのは鳥煮亭総合学園の一部活『放課後スイーツ部』に所属している「栗村アイリ」である。*2
この文化祭はただの文化祭ではなく、黒札が喜ぶ作品を作る事を奨励しているため、漫画なども作る事は肯定されているが外でとある女生徒の音楽を聞いて、アイリはこう思った。
「そうだ! バンドしよう!!」と。
「うーん、バンド活動かぁ……。確かに良さそうだけど、問題は機材だよなぁ……。この終末後の世界でそんな機材どこにあるんだろ……」
とはいう物の、バンド活動には多種多様な機材が必要になる。この終末後の世界で終末対応されたそれら音楽機器を手に入れるだけでも目が飛び出るほどの値段になるだろう。
勢いでバンドをやろう! と思いついたアイリだが、やはり考え直すべきか……? と腕を組みながら鳥煮亭総合学園内部の廊下を歩いていると、目の前に何かぽいんぽいん、と跳ねる変なのが現れた。
これは鳥煮亭総合学園に最近現れたスライム(仮)であり、危険な七不思議や生徒に危害を与える学校に出現する悪魔などを殲滅してくれるので、七不思議の一つでは? と言われている謎生物だ。
だが、生徒を守ってくれているのは確かだし、ティーパーティーの皆も何も言わずにむしろ頼りにしている上に、そこらの生徒たちがかかってもフルボッコにしたり、きちんと戦い方を体に叩き込んでくれる事も多いので、ある意味の先導者の一人であると受け入れられていた。
そして、基本話さないスライム(仮)は、生徒の愚痴を言うのも最適な相手だった。しかも、スライム(仮)に話した結果、自分自身の望みが叶ったというジンクスもあるので、アイリも何となく自分の悩みをスライム(仮)に話してみる。
そのアイリの言葉をふむふむ、と聞いたスライム? は、ぽいーんぽいーんと励ますようにジャンブすると、偽肢を作り出すと、その偽肢は親指をグッと立てたポーズを疑似的に作り出す。
そのまるで「任せとけ!」と言わんばかりの態度を見せたスライム? はぽいーんぽいーんとその場から跳ねながら立ち去っていった。
「……で、何でアタシたちはここにいるんだっけ……?」
ごとんごとんと揺られる列車内部で、放課後スイーツ部の四人は会話を行っていた。
あれからしばらく後、そうして放課後スイーツ部は、長岡市シェルターに通じる武装列車へと乗り込んでいた。魚沼シェルターから長岡市シェルターに上越新幹線の路線を再開発して作った霊的線路だが、現在では長岡市シェルターから新潟市シェルターまで霊的路線を伸ばすために努力されている。
この武装列車には、佐渡に本社を持つ日本生類創研の系列企業である旧日本ハムこと『ガイアミート』の魚沼支部で作られた大量の『デモノイド肉』に加えて探求ネキが開発した『加工肉植物』が積み込まれている。
魚沼の豊かな自然と山はこういった探求ネキが開発した加工肉植物を栽培するのに適しており、豊かな自然を利用して山神たちと協力して作り上げられた大量の『ベーコンの葉』『ロースバナナ』『ウインナース』*3などといった、これら大量の加工肉植物は新潟県では人口が二番目の長岡市シェルターに運び込まれ、多くの人々の食糧源になっている。*4
また、それだけではなく、魚沼シェルターが探求ネキが開発した『穀物の木』を利用して作り上げた大量の小麦、大麦、稗などの『小豆の木』*5から生み出された大量の小豆も長岡市シェルターに搬送されていく。
さらには、ロボ部で開発された手持ちの対悪魔兵装の火炎瓶*6、ハンドグレネード*7、スティンガー*8、ドラゴンATM*9、煙幕弾や様々な属性弾、各種ストーン、そしてアサルトライフルや拳銃など大量の武器弾薬なども同時に積み込まれている。
これらと悪魔がより強く視認できる『魔女の目薬』を併用すれば、半覚醒者でも十分に悪魔にダメージを与えられる仕様となっている。
長岡市は魚沼シェルターより遥かに人口は多いものの、そこまでガチガチのオカルト兵装やオカルト結界で守られているという訳ではない。
半覚醒者たちでも戦えるようなこういった対悪魔兵装は、どのシェルターでも喉から手が出るほどほしい兵装である。それら対悪魔兵装や食糧を大量に輸送するのが、この装甲列車の役割である。
現在では長岡市シェルターだけでなく、新潟市シェルターまで霊路を伸ばそうとしている作業の真っ最中である。これは対オカルト兵装を長岡市シェルターのみでなく、新潟市シェルターにまで輸送して販売し、代わりに海に面している新潟市シェルターから食料の保存や魔虫の防衛のために必要な大量の『塩』を持って帰ってこようとするのが目的だ。
そして、この装甲列車に放課後スイーツ部が乗り込んでいるのは、「長岡市シェルターにバンド活動に必要な機器がある。」「その機器をそちらに貸し出す」とティーパーティーの一人である桐藤ナギサから直接伝えられたからである。しかし、何故学園トップである彼女がわざわざ銅札である放課後スイーツ部たちに直接そんなことを伝えたのか?という事を疑問に考えていたが、それはそれとして、銅札であり、ターミナルなどホイホイ使用できない彼女たちは、こうして長岡市シェルターに繋がる装甲列車に乗り込むことになったのである。
もちろん、ターミナル通信を使ったターミナル転送の方が手軽で早いのは確かだが、もしターミナル通信に何か不具合があって転送できない場合大変なことになる。
現在では長岡市から新潟市に向けて上越新幹線を生かした路線を再建している最中である。
そして、その列車を指揮しているのは、通称列車ニキといわれる黒札の一人「旋風寺舞人」である。*10
彼はこの装甲列車の指揮を執っており、今回の物資輸送に対する責任者である。
今回は護衛として元スラム街の覚醒者たちを雇って彼らに武器や弾薬などを供給している。これは新しく入ってきたスラム街の住人たちの仕事を与えるのと同時に、彼らを霊的に強くさせる一石二鳥の作戦である。そして、その元スラム街の住人たちの指揮官となっているのは、顔役の一人である「ダッチ」である。そんなダッチに対して、列車ニキ……もとい、舞人は指揮車の中でダッチに向かって話しかける。
「さて、という訳で君たちには「新兵器」を供給して試験運用を行ってもらっているわけだが……勝手はどうかね?」
「そうですね……俺たちスラム街にとってはまさに神具のような防御性で最高! といいたいんですが……正直にいうとケツが痛いですな。列車護衛と言った長距離護衛は少し問題があるかもしれません。」
それを聞いて、舞人はふむ、と腕を組みながら言葉を放つ。
「ふむ、能力的には問題がないがそういった問題がある、と……開発班には伝えておこうか。列車の護衛は交代頻度を上げてくれて構わない。疲労したらすぐ交代してくれ。そうでないといざという時に使い物にならないからね」
「しかし、いいんですかい? 我々スラム街上がりの人間に新兵器の実験運用テストなんてさせて……。もっと”お行儀のいい”覚醒者たちがやるべきでは?」
「まあそれもそうなんだけど……。我々からしたら君たちは貴重な使い勝手のいい『戦力』なんだ。銀蠅*11もまあやめてほしいけど……。君たちの経緯を考えると完全にやめろ、とは言いにくいからね。ただあまり大きくやりすぎると、ね?」
「……うちらのメンツには厳しく”指導”しておきますんでどうかご容赦を……」
ダッチは冷や汗まみれになりながらサングラスを指で押し上げて何とかそれだけを答える。
銀蝿は古来日本帝国軍の頃からの伝統芸と言っていい。ましてや育ちの良くない元スラム街の住人からすれば目の前に山のような宝物があるのだから、魔が差してしまうのは分かる。だが、厳しくしすぎて根こそぎ処罰しまくって、肝心の戦力としての運用ができなくなるなど、まさに本末転倒である。
そのため、多少は大目に見るが程度を過ぎると処罰するという流れに上層部も列車ニキも切り替えたのである。
だが、ダッチからしたら銀蠅をした馬鹿どものせいで黒札に睨まれるなんてとんでもない、というのが本音である。それはそれとして、舞人は指揮車のモニターから見える、装甲列車に搭載されている「戦術甲冑・震電」を見ながら言葉を放つ。これらは旧式ならば最外周部の元スラム街たちの武装として供給されている。
「……ふむ。元々そのマシンは戦力としても「覚醒者を増やすための機械」として作られた。
その仕組みは、『悪魔を倒した際に空中に飛散したMAGを吸収し、装着者へとMAGを流し込み、覚醒を促す』というシステムだ。*12もちろん、きちんと内部システムが機能していれば問題はない。」
「戦術甲冑・震電」が大型なのは未覚醒者に対する鎧としての意味合いもあるが、その内部にはマグネタイト操作の大型のオカルト機械が搭載されているのである。これだけ大型のシステムなのは、外部のマグネタイトを吸収し、未覚醒者に注入すると下手すると「パァン!」が起きてしまうため、それを防ぐために慎重に注入する必要がある。その計算のために大型演算システムが必要となったのだ。もちろん、安全のためにリミッターはかけられており、未覚醒者がパァンしそうになったら緊急停止したり、覚醒者にさらにマグネタイトを注入し「変化」させないようにもなっている。
「だが、覚醒した人間がそのシステムを切らずにそのまま運用したらどうなるか?
もちろんLVは上がりやすくなるだろう。だが才能限界まで到達したら中の人間はどうなるか?
答えは「人間の器から外れる」だ。悪魔人になるか、悪魔人間になるか、デビルシフターになるか、それとも悪魔へと変貌するか。だからリミッター解除は行わずにきちんとした運用を行うか、システムを切って「ただの強いオカルトアイテム」として運用してほしい。いいね?」
「……なかなか物騒な機械ですな……。」
「後は、そろそろ来そうだからこれを皆に回しておいてくれ」
そう言いながら、舞人は液体の入った大量の瓶を部下に頼んで運んでこさせる。
これは『青リンゴのシードル』*13この効果は、「敵よりレベルが低いとき、戦闘で得られる経験値をアップする」という効果で、ガイア連合が作り出した終末対応食品の一つである。*14ともあれ、これが配られるということは、それはそろそろ敵が襲い掛かってくる、という事を意味していた。
そして、彼の予想は正しく、お約束のように無数の下級天使の群れが装甲列車へ向けて襲い掛かってくるのを見ながら、搭乗している兵士たちは声を上げる。
「やっぱり来たか!! 羽根つきどものお越しだ!! 銃弾の挨拶を叩き込んでやれ!!」
ジャキッと音を立てながら装甲列車の側面から向けられるのは、戦闘機F-15Jイーグル(終末対応型)、F-2(終末対応型)などの機関砲や、航空機の対地攻撃や地上用の対空機関砲、艦船の近距離迎撃システム(CIWS)として使用されている【ゼネラル・エレクトリック M61 “バルカン”】*15
ヘリコプターや固定翼機の搭載機銃として開発したM61を、1960年代に小型簡略軽量化したガトリング銃【ゼネラル・エレクトリック M134 “ミニガン”】*16などを構えた砲手たちが、次々と文字通りの意味で弾丸の雨を天使たちへと叩き込んでいく。
装甲列車はこういった極めて重い重機関銃でも平気で運用することができる利点も存在しており、移動砲台とかして移動しながら天使どもに弾丸を叩き込んでいく。
高価なガイア弾ではなく、コストの面から考えて、それよりもさらに量産に向いている自衛隊が開発した五島弾*17だが、それでも下級天使たちの群れには十分通用していた。唸り声のような音を立てながら砲身が回転し、猛烈な勢いで弾丸の雨霰が天使たちの群れを薙ぎ払っていく。さらにそれだけではない。
「焼き払え!! 朝に嗅ぐナパームの匂いは格別だぜぇえ!! 羽根つきどもを石器時代まで戻してやれ!」
装甲列車から射出されるナパーム弾。これは燃焼剤に蒸留を繰り返した蒸留ノロイ酒が内蔵されており、本来は弱体化をもたらすノロイ酒だが、これは相手に呪殺の効果をもたらす。
つまりこの炎には「呪殺効果を持つ炎」事実上地獄の火炎と同じ効果を持っている。
さらに、装甲列車に内蔵されている重火器からは、同様に蒸留ノロイ酒や各種オカルト火薬が入っている鉄徹焼夷弾が天使に対してばら蒔かれていく。
さらにそれだけではなく、備え付けの固定武装である蠱毒皿ピッチャーから次々と蠱毒皿が投げつけられていく。
「皆!青りんごのシードルは飲んだな!!行くぞぉ!!突撃ィ!!」
そして、装甲列車から次々と巨大な車輪が飛び出していく。巨大な車輪は大地を疾駆しながら天使たちの群れへと突っ込んでいく。それを見て、天使たちは恐慌に陥る。それは中華戦線で幼女ネキが散々過激派を苦しめた兵器「パンジャンドラム」だと思ったのだ。
だが、それはパンジャンドラムではない。それはモノホイール型の一輪車であり元スラム街の住人が内部に乗っているロボ部が開発した新兵器『アインラッド』である。*18
幼女ネキが作り上げ、魚沼シェルターでもミサイルとして使用された*19「パンジャンドラム」に影響を受けたロボ部が開発した試作兵器であり、これが舞人やダッチが言っていた『新兵器』だ。攻撃に使用されるパンジャンドラムと正反対に、これは防御力に特化されたモノホイール型戦車であり、とにかく凄まじくオカルト防御力も物理的にも堅い。スラム街の住人からしたらまさに移動する結界要塞そのものである。*20
「ヒャッハー!!まさに『鉄壁』だぜ!!コイツはよー!!」
「突撃しても傷一つつかないとか最高だな!!ひき潰してやるぜ!!」
天使たちの様々な攻撃魔術を「アインラッド」の車輪は全て弾き返していきながら、天使たちを次々と跳ね飛ばしていく。防御力に特化された「アインラッド」は中級レベルの攻撃魔術を食らっても傷一つつかない。天使たちの群れに突撃しながら天使たちを吹き飛ばしながら、アサルトライフルの銃弾を叩き込んでいく元スラム街の住人。
そして、その先陣を切っているのはダッチと同様にスラム街の住人の顔役の一人、女性ではあるが、荒々しい性質を持つ「レヴィ」だった。彼女は片手でアインラッドを操作しつつ、もう片手のベレッタで次々に天使たちに弾丸を叩き込みながら悪魔の群れへと先陣を切って突撃していく。
「嵐が来るぜ、鉄と血の嵐だ!!行くぜ野郎ども!!神なんざより力のほうがよっぽど役に立つって羽根つきどもに思い知らせてやりな!!」
手にしたベレッタで天使どもに銃弾を叩き込み、アインラッドで吹き飛ばすレヴィたちやバルカンなどで天使たちに弾丸の雨を叩き込んでいる兵士たちを見ながら、装甲列車の指揮車内部でそれをモニターしていた二人の制服を身にまとった少女たちは喜び勇んで歓声を上げる。
「パヒャヒャヒャ!! 例え凍矢様の仲魔がいなくとも! 貴様ら雑魚は私達だけで十分だよ!」
「バーカバーカ♥️ザコ天使♥️突っ込んでくるしか能がないクソザコ♥️物量しか能がない無能♥️」
そんな天使どもを薙ぎ払っている元スラム街の住人たちを見ながら、装甲列車の制御装置式神であるシュポガキ……もとい「橘ヒカリ」「橘ノゾミ」である。
だが、そんな風に天使を楽しそうに罵っている彼女たちだが、舞人は心配そうに周囲をモニターするように彼女たちに呼びかける。
こうやって相手の注意を引き付けておきながら、相手の背後辺りから別働隊が奇襲を仕掛けるのが戦術的には基本中の基本である。そして、舞人のその危惧は実に正しかった。
「霊的レーダーに反応!!左側から奇襲!!こ、これは地面から……いえ、地下から沸いてきたのか!?」
右側から強襲して注意を引き付けておいて、左側からの奇襲をかけて挟み撃ちにする。戦術的には基本中の基本ではあるが、天使たちが地下から沸いてくるとは予想外だった。
しかし、それを予期していなかったわけではない。それを迎撃するための遊撃隊がここに存在する。
「いくよ! 放課後スイーツ部攻撃開始ィイ!!」
スイーツ……チャクラプリン*21やひらめきマカロン*22などをキメた放課後スイーツ部の四人はそんな敵を迎撃するために装甲列車から身を乗り出して攻撃を仕掛けていく。
アイリのMP5K、ヨシミのSCAR-H、ナツのマイクロUZI、カズサのマビノギオンが同時に火を噴き、迫りくる敵に対して火箭を集中させる。だが、普段は天使に通じるはずのムド効果のある「呪いの弾丸」はその迫りくる敵に対して効果が薄かった。
それは迫りくる敵が通常の天使ではないからだ。まるで食屍鬼のような悍ましい姿に羽根が生えた姿。それは間違いなく天使と食屍鬼を融合させたいわば「グール天使」とでも言う代物だ。彼らグール天使はその食屍鬼の特性を生かして、地面に穴を掘り進める事によって奇襲を仕掛けることができたのだろう。
ムド系を無効にし、ガンに対しても強い「幽鬼グール」と融合した天使たちは、まさに銃を主戦力にする放課後スイーツ部の四人とは相性の悪い敵だった。
「うわぁああん! び、びくともしないよぉおお!」
「慌てないで! 破魔効果のある銀の弾丸に切り替えて遠距離から削って……」
次の瞬間、彼女らが持っていたタンブラーから「何か」が飛び出してくる。
それは、学園からついてきて来たスライム(仮)である。一見スライムにしか見えないそれは、ぽいんぽいんとスーパーボールのように高速で跳ね回りながら、超高圧縮された水……すなわち、超圧縮水流カッター(研磨剤代わりに氷の粒が大量に内部にある)を噴出し、一瞬で天使を両断する。
切り裂くと言うよりも「切り飛ばす」と言うのが正確な超圧縮水流カッターは、通常なら切り飛ばすのに時間がかかるのだが、天使の群れをまるで紙切れのように縦横無尽に水のレーザーで切り飛ばしていく。
グール天使の群れを横凪に纏めて数体両断したり、直線状の水のレーザーでグール天使数体の頭部を貫いていたりするその姿はまさに無双といっていいレベルだった。
「うおお! 流石スライム(仮)さん! 凄すぎるよ!!」
「スライム(仮)さん鬼強い!! このまま全部薙ぎ払っていこうぜ!!」
「えっ!? アレってスライムなの!? 私液体アガシオンって聞いたんだけど!?」
そんな放課後スイーツ部の四人を後目に、装甲列車から水のレーザーでグール天使を狙撃・切り払っているそのスライム(仮)をモニターで見ながら、舞人は思わず何か言いたげにジト目で見てしまうが、とりあえず黙ることにしていた。
・アインラッド
ロボ部が活躍していたパンジャンドラムを見て、「むっ!ティンと来た!」で開発した武装。
攻撃用のパンジャンドラムとは真逆で防御性を徹底的に高めたモノホイール型戦車。
元は『小ネタ ガイア連合ライディング・デュエル部』で開発されていたランディングデュエル用のライドマシン(試作機)をDホイール型&戦闘用に改造した。
なぜランディングデュエルなのかは、Dホイールの『ホイール・オブ・フォーチュン』繋がりから。
元ネタに近づけるため車輪の部分の防御性は凄まじく、車輪左右も霊的バリアを張ることができる。(当然ながら高コスト)
これは対人用だが、当然ロボ用も建造中。パンジャンドラムと並んでアインラッドが突っ込んでくると凄い絵面になる。地球クリーン作戦かな?