あ、オリジナル新作も書き始めたのでそちらもよろしくです~。
グール天使などの地面からの奇襲もあったが、戦いは順当に装甲列車側の勝利で終了した。
地面に散らばる下級天使や、スライム(仮)や放課後スイーツ部が撃退したグール天使の死屍累々を見ながら、伊原木ヨシミは喜々とした声を上げる。
「ふー。グール天使の戦いも終わって何とかなったか……。それじゃ、素材集めだよね!!」
「素材! 素材! 楽して勝てて素材を集められるとか最高!!」
放課後スイーツ部や元スラム街の住人たちも天使たちの残骸を見てワクワクした顔になる。
半終末での無限天使沸きが終わった後、天使のフォルマはそれなりに値上がりしており、そこから出来るマッスルドリンコ自体も値上げになっている。
値段自体は金札などからすれば対した金額ではないが、それでも元スラム街の住人たちからすれば大事な資金源である。放課後スイーツ部たちも天使たちの残骸に向かおうとしたが、その前に列車の上から元スラム街の住人たちに対して、アイリたちは声をかけて手にした複数の瓶を見せる。
「あ、そうだ!! 皆さ~ん!! こういうのがありますよ~!! 今なら買い時!!」
そう言いながらアイリたちが列車の上から見せたのは、瓶に入ったイン・サイダー*1にプラシーボドリンク*2である。
これらは終末後では貴重な甘味である以上に、戦闘後で水分を取れて、しかも天使たちからの色々な回収率も上がる一石三鳥のアイテムだ。それを見て、思わずレヴィは苦笑いを浮かべる。
「まったくアタシたちから金を搾り取ろうとするなんてちゃっかりしてるな。まさか混ぜ物がしてないイン・サイダーとか飲めるとはなぁ。これだけでもシェルター側になった甲斐があるぜ。」
そう苦笑いを浮かべながら、投げつけたマッカと等価交換でレヴィたちはイン・サイダーなどを手に入れるとそれを飲んで天使たちの残骸の元へ向かった。銅札である彼女たちは元スラム街の住人たちよりは恵まれているが、それでも取れる金は取っておかなくてはならない。それほどこの終末後のスイーツは高価なのである。アイリたちも「護摩味噌らあめん(ベビー○ター版)」*3を齧りながら後、列車から降りて、体が両断されたり、頭部が吹き飛んだグール天使の残骸の元へと向かうが、その食屍鬼と融合した天使の醜い姿を見て、思わず彼女たちも顔をしかめてしまう。
「うーん……。でも、なんかこう……バッチィんだけど……?」
彼女たちは護摩味噌らあめんを改良した味付けフライ麺風のスナック菓子をバリバリと齧った後で、グール天使の死骸へと近づいていく。
グロ死体の前では普通は食欲が失せるが、それでも高いお金(彼女たち基準)になるのだから仕方ない。
「わがまま言わない。新型悪魔……もとい新型天使だから解析の必要があるって高い値段もらってるんだから。……といってもやっぱりグール天使なんて触った後は霊水で手を清めるからスライム(仮)が……あれ? どこ行ったの?」
ともあれ、放課後スイーツ部や元スラム街の兵士たちは天使たちのフォルマやら天使の羽やらマッカなどを回収する作業に移っていった。
装甲列車の指揮車内部。その中でも列車ニキ……舞人の個室とも言える部屋で、舞人とスライム(仮)はお互い向き合っていた。舞人はスライム(仮)を見下ろしながら、呆れたような言葉を放った。
「……で? 一体何やってるの?」
『何のことかな!? 僕はただのスライム(仮)だよ! ぷにぷに! (必死)』
必死になってごまかすようにぴょんぴょん跳ねるそのスライム(仮)の念話に舞人は声を一段階落としながらさらに同じ言葉を放つ。
「……で? 何やってるのかな?」
その舞人の言葉に対して、スライム(仮)は男性の声……凍矢の声で言葉を返す。そう、このスライム(仮)は凍矢の分身……の失敗作だったのだ。舞人に詰められ、スライム(仮)は渋々と口……もとい念波を放っての会話を行う。
『アッハイ……。いやね、俺がいない時に拠点防衛用の分身を置くべきだろうなぁと思って分身の試作をしたんだけど……。「肉体作るのめんどくさくね? 俺の作り出した霊水に魂を分ければ安易に分身量産できね? 勝ったなワハハ!」した結果が……
以前、ちょっと凍矢が留守にしただけで、メシア教過激派の大規模襲撃が起きて何とか北斎ネキたちの力を借りて抑え込んだという事態が起こり、やはり拠点防衛用の分身の必要性を思い知った凍矢は、ハルカの分身の活躍っぷりを見て、自らも分身作成技術に挑んだ。
だが、ショタおじでさえ初めて分身作成を行うのは時間がかかった*4というように、初めての分身作成を行うには彼も苦戦していたのだ。(一度完成したのなら後は量産できるのだが)その分身作成の失敗がこのスライム(仮)である。
他にもきちんとした分身ができると思ったら女性化分身ができるなどのハプニング*5もあったが、何とか分身技術を身につけた凍矢は拠点防衛用として常に魚沼シェルターに分身を置くことに成功したのだ。
『いや失敗作とはいえ消すのも勿体ないし……。結果学園の拠点防衛用という事で話が纏まったし。黒札の子供とか金札の生徒とか学園自体を守る要になれればそれでいいかなぁって』
スライム(仮)の念話を聞いて、舞人ははぁ~とため息をつく。凍矢が拠点防衛用の分身を作るために四苦八苦しているとは聞いたが、まさかその失敗作がこんな所でこんな事をしているのは予想外だったのだ。
「まあ、それで学園や生徒を守ってくれるんなら別に僕としては文句はないけど……。で? 本音は?」
『青春してる生徒を近くでじっくり見てぇ!! 青春してる生徒に脳が焼かれたい! 皆もっと青春しろー!!』
つまり、簡単に言うと放課後スイーツ部や他の学生たちの青春に脳を焼かれたという事である。*6どこからどう見てもフェンス越しに学校を見てる不審者と同じです。本当にありがとうございました。もしもしポリスメン? と言いたいところだが、きちんと鳥煮亭総合学園や生徒を守護して、いざとなったら学園の最終防衛線になる気だから……まあそれぐらいいいか……と舞人はそう結論づけた。
──―長岡市シェルター。
新潟県第二の人口を誇るこの都市は、魚沼シェルターほどのガチガチの防衛体制に固められてはいないが、それでも黒札がいる以上それなりの防備体制が存在していた。
街周辺を武器を持った士魂号や探求ネキが開発した量産型超機人「防人」*7を改造した「雷虎改」、宮城のロボ部が士魂号を元として拠点防衛型の量産タイプとして開発されたアルディラッドカンバー*8、カルディトーレ、そしてそれを補助するために武器を持ったATが立って街の警備を当たっている。
巨大な人型兵器など非効率的だ、と笑われることは多いが、実際に悪魔が跳梁する世界において、街を守ってくれるその威容は市民たちに対して大きな安心感を与えていたというのも事実だ。
巨大兵器によって守られているという安心感は、長岡市シェルターの治安維持にもやはり大きな貢献を果たしていた。(そのため、わざわざ市民たちに見える所に士魂号や量産型超機人をわざと立たせているのである)
そんな中、装甲列車が無事駅に到着し、駅は歓声が溢れかえっていた。
大量の食糧や武器弾薬が届き、装甲列車から搬送されていく大量の食糧や武器弾薬を実際に見るという事はシェルター内部に閉じこもっている市民たちの士気に多大な影響を及ぼし、一種のお祭り騒ぎになっていたのだ。
このシェルター内部はガイア連合の地脈結界だけでなく、エジプト神話のフェニックス由来の温暖結界が張られており、冬の猛吹雪でも平穏に暮らすことができているのだ。装甲列車から降りた放課後スイーツ部の面々は、はえーと新潟県第二の都市であり、中越地方の中心地である長岡市シェルター内部を見て感心する。
「そういえば、何でこの都市ってフェニックス様の結界張られてるんだろ。全然関係ないよね?」
「ううん、そうでもないらしいよ? この長岡市はフェニックス様と関係が深いみたい」
その言葉に、他の放課後スイーツ部は何で? と思わず疑問符を浮かべる。
日本の神ならともかく、エジプトの神であるフェニックスがなぜこの都市と関係が深いのか? そんな疑問に、アイリはCOMPで情報を検索しながらその疑問に答えていく。
「ええとまず長岡市の市章は「長」の字と不死鳥を併せたものを図案化した形となっていて、市内の多数の公共施設にフェニックスの名称が取り入れられているみたい。
これは、『北越戦争や長岡空襲の二度の戦禍から不撓不屈の精神で復興し、地方中核都市として限りなく発展するという願いを込めたものである』だってさ。
終末以前だけど、「復興祈願花火フェニックス」と長岡花火祭りで何度も打ち上げられてたみたい」
そのアイリの言葉になるほど、と皆は思わず頷く。これだけ関係が深ければ日本の都市でありながら外様神であるフェニックスと関係が深いのも頷ける。その関係もあってこの都市では外様神であるフェニックスの温暖結界を張ることもできたし、他の日本神もそれを受け入れているのだろう。
(そうでなければ、外様神の分際で生意気だ!! と日本神にボコボコにされてしまうことは間違いない)
その都市自体との強い結びつきがあるからこそ、簡単に都市を覆えるほどの温暖結界を張ることができるし、日本神も外様神の大規模結界を張る事を許可しているのだろう。
「で、ナギサ様からの指示でこの街に存在するフェニックス様の分霊と出会って曲をもらえだって。それでいいんだよね? スライム(仮)さん?」
それを聞きながら、スライム(仮)はにょろっと腕を生やすと鉛筆を手に取ってさらさらと紙に文字を書いていく。それは、そのフェニックスに会う際に差し入れを持っていけ、という指示である。彼女たちはその指示に従って差し入れをするためのアイテムを買い求め、この都市に存在するフェニックスの分霊の元に向かった。
「ん? 不死鳥ネキさん*9からの差し入れっすか? そうじゃない? 珍しいっすね~」
その部屋の内部にいるのは頭部が鳥の頭であり、背に燃える羽を背負った鳥男とも言える異形の姿。
彼は「ファイアーバードP」の名前で知られる外様神「フェニックス」の分霊である。
しかし、この分霊は純粋なフェニックスではなく、日本の神として朱雀や鳳凰と合一し、さらに本体から派生したソロモン72柱の侯爵悪魔「フェネクス」の力を引き出している分霊だ。
そして、そこから「フェネクス」の権能である優れた詩を作る事を生かす事によって、動画投稿サイトで流行っている歌声合成ソフトでの作曲者やV系アイドルに作詞を納品するクリエイター系悪魔である。*10
何故彼がここにいるのかというと、この都市自体がフェニックスと縁があるから過ごしやすいのと、黒札であるぼっちちゃんネキがいるため、音楽に関係が深い彼女に対して曲や歌詞を売り込むために存在しているのだが、曲はまだしも歌詞は自分で作っている結束バンドの皆には売れないようだ。
「ええと……。初めましてフェニックス様。私たちは放課後スイーツ部といいます。このたび私たちの歌詞を書いてくださると……。」
さすがの彼女たちもフェニックスクラスの大悪魔と直接会話をするのは初めてである。
銅札の彼女たちも、現世を見捨てたエジプト神話の神々と異なり、フェニックスとハトホルたちは最後まで現世に留まり戦い続けた事ぐらいは噂には聞いている。
だが、彼らエジプト陣営の本拠地は関東圏であり、今は関東圏、東京の見守り・その地域の防衛に頑張っているはずである。しかし、ハトホルもフェニックスもそのエジプト神話の汚名を注ぐため、エジプト神話の影響力を高めるために必死になって分霊を作ってあちこちで独自の活動を行っている。
フェニックスもしれっと日本神話に食い込んだり、暴走した部下をミイラとして処分したり、非常に『いい』性格はしているが、それでも他の外様神や多神連合の神々に比べれば遥かにまともな神だと言えるだろう。
「ああ!聞いてるっすよ~。よろしくお願いするっす。歌詞や曲は……ははは……少し待っていただけると……。元々、長岡市は市章が「不死鳥」をモチーフにしてるっすからね……。後は花火大会にフェニックスとかつけてくれるんでめっちゃ住み心地いいっすねぇ!!」
フェニックスも外様神ではあるが、外様神としてはかなり上澄みであり、日本神やガイア連合と協力体制を取り、豚のようにやりすぎて排除されないように強かに立ち回っている。
実際ここ長岡市でも日本神のメンツを潰さないように、都市を覆う結界内部にさらに温暖結界を構築して、豪雪地帯である長岡市を外の厳しい冬から守っている共存関係を作り上げているのだ。
「あ、あの……フェニックス様、こちらを差し入れとして持ってきました。よろしければどうぞ、との事です。」
そう言いながらアイリが差し出したのは、「サンチョの焼きいも*11」と「ネゴシエール*12」である。これも実質的な悪魔との交渉であるため、ネゴシエールは効果的に働くし、旋律や歌詞が思い浮かばなくてうんうん唸っているフェニックスにとってINTを上げるのは非常に重要だ。
「む……むむむ!!」
そんな風に捧げものを捧げられたのを気にせず、フェニックス……もといファイアーバードPはじーっとアイリたち放課後スイーツ部を食い入るように見ながら言葉を放つ。
「何だかこの子たち……凄く……凄く凄いっす!! (語彙力)とんでもない青春力を感じるっす!! ちょっと待ってるっす!!」
そう言いながら、フェニックス……もといファイアーバードPは凄まじい速度で曲と歌詞を書き上げると、その紙の束をアイリへと手渡す。どうやら、彼女たちを見てよほど創作意欲が掻き立てられたらしい。
「できたっすよ!! こいつを持っていくっす!! 作曲代はロハにしておくから有名になったらよろしくっす!!ファイアーバードPを!ファイアーバードPをよろしくお願いするっすよ!!わりとマジで!!」
・スライム(仮)
本来は凍矢が分身を作ろうとした失敗作。水と相性がいいから自分の作り出した霊水に自我とか込めれば肉体を作り出すより安上がりにできるんじゃね? という考えの元作り出された。探求ネキたちが使う木分身の水版である水分身を作ろうとした結果失敗してしまった感じ。
せっかく作りだしたのに消滅させるのももったいないという事で、学園の最終防衛兵器としての役割を持たされて鳥煮亭総合学園に配備される事になった。
(これはこの学園には黒札の子供の金札たちも通っているため)
学園内をぽいんぽいん跳ね回って、七不思議やらオカルト事件やらを薙ぎ払って生徒たちを守りながら、青春している学生たちの青春に魂を焼かれながら後方腕組みしながら見守っている。
(今回のように極めて青春力の強い生徒なら手助けもしてあげたりする)
・田舎ネキ(女性体)
凍矢が自分の分身体を作ろうとした時に、デメテルから「今だ!私の分霊をシュウウウウ!!」→分身「グァアアアアア!!(肉体がFGOのデメテル化)」されてTSしてしまった分身体。(これ以外は普通に男性の分身体)
分霊が突っ込まれた影響で、外見はFGOのデメテル化したが内面は凍矢そのものであり、性自認は男性。
元々凍矢が留守の際に置くための拠点防衛用分身だからまあ女性体でもいいか……となった。
デメテルの権能も使えるが、浸食される可能性もあるためあまり使わない。「豊穣の加護」を使用して豊穣ニキと一緒に農作業の加護をしている。そのうちこの辺は書くかも?
動力炉に宝玉型五行器、装甲・結晶筋肉・骨格は装甲護符により展開構築される仕組みで、元ネタの超機人とは異なり、自意識は搭載していないため自律性は無い。
拡張性や汎用性の有る量産機をメインコンセプトに、多様な場面で使用可能とするため、機体の大部分が装甲護符により構築されるシンプルな構造である事を活かし、機体を10メートルから30メートルの範囲で、5メートル刻みに縮尺を変化させる機能があり、重力制御による飛行能力と、空中での踏み込みを可能にする足場結界展開能力、空気や海水などの抵抗を低減する流体制御機能が搭載されている。