長岡市の存在するライブハイス「STARRY」。
元々は東京に存在していたこのライブハウスは東京を脱出してきた後、ここ長岡市に逃げ込んで新しくライブハウス……黒札の拠点として再建されたのである。そこには何重もの防御結界と入口には半終末後にガイア連合へ加入したマルティンニキのスキルを利用して探求ネキの手によって開発された『メシアン度測定器』*1が設置されており、放課後スイーツ部たちはそのメシアン探知機のゲートを潜り抜けて内部へと入っていく。
このライブハウス自体が核シェルターと化しておき、さらにライブの行えるメインホールの地下には、核シェルターとしての地下施設が広がっている。
だが、この終末後の世界では、ライブハウスなど閑古鳥が鳴いて真っ先に潰れてもおかしくない。
それに対抗するために、ここでは多神連合や人外ハンターなどに販売されている「ギターアックス」「ベースアックス」の生産、チューニングの調整を行っている。*2
そう言った「ギターアックス」は炎系の能力操作、「ベースアックス」は衝撃系の能力操作を有していたのだが、ギター以外には売れなかったので、ギターアックスに三種類操作能力を付与するように改造されている。
(特にドラムは雷撃系の能力を有しているが、こちらは持ち運びの大変さでほとんど売れなかった)
それら楽器系の武器の生産工場も兼ねているのが、ここ「STARRY」である。
黒札がいるこの拠点は、極めて厳重な警備が行われており、周辺は「ギターアックス」や「ベースアックス」を持った人外ハンターたちが24時間警備で行われている。
……固定砲台として「STARRY」周辺の外部に雷撃を放つドラムがあちこちに装備されているのは流石にシュールではあったが、それも仕方ない事である。
そして、それら警備と結界、そして『メシアン度測定器』を潜り抜けて、放課後スイーツ部は内部へと入っていった。そして、その中で楽器の練習をしていたのは、四人の少女たちだった。彼女たちは4ピースバンドである「結束バンド」であり、その中の一人が、やってきた放課後スイーツ部の皆に気が付いて、にこやかに金髪のサイドテールの女性が話しかけてくる。
「あ、こんにちわ! お話は聞いてるよ!! 私はぼっちちゃんの仲間の「伊地知虹夏」!! で、こちらのほうが黒札の……!!」
そういいながら、彼女はピンクのジャージを聞いてギターを抱きかかえているロングヘアーのピンク髪の少女を紹介する。
「ど、どうも……。『後藤ひとり』です……。よ、よろしく……」
それだけを言うと、ひとりはぐにょんと溶けて……比喩表現ではなく物理的な意味合いで溶けて……いわゆる「ツチノコぼっち」に変身してうにょんうにょんと這いずりながら床を進んでいって、スライム(仮)と「ぷにぷにぷに! *3」「ノコノコノコ……。*4」とお互い会話*5を行っていたが、それに驚いたのは放課後スイーツ部の面々である。
「と、溶けたぁあああ!! 物理的に溶けたぁあああ!! っていうか何か変化した!?」
「さ、流石黒札様……! 物理的に変化できるなんてお茶の子さいさいなんですね……」
ひとりの変化した姿を見ながら驚愕している皆を見ながら、伊地知虹夏はあははと笑い声をあげる。
「ひとりちゃん……ぼっちちゃんはちょっと人見知りが激しいシャイなだけだから!! 私がお話の担当になるよ!! で、バンド用の楽器が欲しいんだっけ?」
ちらり、とスライム(仮)を見るがよろしくお願いしまっす! とでも言わんばかりの頭を下げる仕草を行う。彼女たちとしても終末対応のバンド用器具は貴重ではあるが、同じ黒札同士の頼みならまぁ……程度の代物でしかない。
ならばここでバンド演奏を録音すれば良いのでは? とも思ったが、スライム(仮)の要望で(学園の屋上の一番上からじゃないとヤダ!! 青春力が足らねぇよ!!)という理由によりバンド器具を持ち帰る形になったのである。
ともあれ、ついでだから……と放課後スイーツ部が結束バンドたちからギターの弾き方や楽器の操作の仕方などを習っている中、見知らぬ人と接しすぎてツチノコからメンタコぼっちちゃんと化してすみっこでうにょうにょしていたひとりはふと元の人型に戻るとぴくり、と妙な反応を示した。
「? どうしたのぼっちちゃん?」
その声にひとりは目を閉じて聴覚を研ぎ澄ましながら聞こえてきた音に耳を傾ける。
「……シェルター外から変な音がする。この足音から推測すると人型の形状に羽つき……この翼の形状なら多分天使パワーかな? 数は十体程度で距離はおよそ五キロ。東の海岸線から流れてきたのかな。
他にもでっかい人型の物体が一体。こちらは7mほどかな。地中の振動音とか高高度の風切り音とかは聞こえてこないから、伏兵はいないと……思う。多分」
「……は!? シェルター外の音!? そんなのが聞こえるの!?」
そのひとりの言葉に、思わずヨシミは驚いた声をあげるが、銅札である彼女のその言葉に不愉快になるでもなく、虹夏はえっへん! と胸を張って言葉を返す。
「そうだよ! ぼっちちゃんは凄いんだよ! ぼっちちゃんの聴覚はそこら辺の霊的センサーよりも遥かに優れてる、まさに防衛の要なんだよ! っとそれどころじゃなかった。誰か! 防衛隊に至急連絡!! 敵が迫ってきてるって知らせて!!」
ぼっちちゃん……ひとりから近づく敵を知らさせた防衛隊の速度は迅速だった。
敵の巨大さから歩兵部隊や多脚戦車を向かわせるよりも、長岡市防衛のために護衛にあたっていた士魂号や飛行が可能の防人改を先行して向かせようというのだ。
「回せーッ!! サブフライトシステム持ってこい!! 士魂号を乗せるんだ!!」
「防人改を先行させろ!! 重力圏内に巻き込まれるなよ!!」
長岡市の防衛を行っている士魂号やカルディトーレがズシンズシンと足音を立てながら、運び込まれてきたロボ用のサブフライトシステム『ベースジャバー』の上に乗り、しっかりと取っ手などを掴み機体を固定させていく。
それだけでなく、防人改……鋼機人『轟龍』『轟龍改』はF90のミッションパックの流用装備である警備・護衛用ミッションパックのGタイプを流用した、佐渡島シェルターから生産された合金樹で作成された刃渡りに特有の波紋が発生している巨大な剣や、肩部に装備されている巨大シールドを装備させたり、他の機体は防御用の防人改を覆えるほどの巨大な長方形の合金樹で構築された大盾を背負いながら、次々と空中に飛翔して指定された地域へと向かう。
探求ネキが開発した拠点防衛用機体『防人』は重力制御による飛行能力と、空中での踏み込みを可能にする足場結界展開能力、空気や海水などの抵抗を低減する流体制御機能が搭載されている。
当然、これらの機体も飛行能力を有しているため、真っ先に敵に向かって強襲が可能である。
そして、そのサブフライトシステムの周辺から整備兵たちが次々と退避していくと、まるで空母のカタパルトオフィサーのように手信号で発進許可を行う。
「GO!!」
整備兵が手を振ると、機体を乗せたサブフライトシステムは次々と空へと飛翔していった。
上空から巨大な人型の怪物……「邪鬼グレンデル」とその後ろで聖歌を歌っている数十体の天使たちを発見した防人改『轟龍』は飛行能力を遮断すると、そのまま落下する勢いを生かしながらグレンデルに合金樹でできた刃を叩き込んでいく。
だが、猛烈な勢いで叩き込まれたその刃は、グレンデルの肉体を切り裂くところか多少めり込んで浅傷を負わせるほど程度である。
『クソォ!! 伝承防御か!? 『物理耐性』『銃耐性』スキルを獲得しているのか!!』
そんな彼らに対して、後ろの聖歌隊の歌声が響き渡る。これはグレンデルの血筋に眠っている「カイン」の力……初めて鉄や銅の刃物を鍛えた鍛冶の始祖「トバルカイン」の力を引き出し、「人の作り出した武器をある程度無効化する=物理耐性&銃耐性」を得ることができたのである。
「ククク!! バカめ!! 我々は天界で音楽を司る『サンダルフォン』様の権能を(無理矢理引きずりおろして)宿した存在!! 我々の聖歌はすなわちサンダルフォン様の御力である!!
サンダルフォン様の加護を得たグレンデルの前には敵はない!!」
彼ら聖歌隊は聖歌によってカインの末裔であるグレンデルをその力を引き出して、自在に操作しているのだ。恐らくはグレンデルの脳にも宣教の羽が埋め込まれているかもしれないが、防衛隊にとってはどうでもいいことである。物理耐性と銃耐性を持っているグレンデルに対して、防衛隊のロボは慌ててマガジンを変えていく。
『属性弾だ!! 衝撃弾に切り替えろ!!』
『衝撃弾!? ねえよそんなの!! あるのは火炎弾だけだぞ!?』
『クソォ!! ならもう「切り札」を切るしかないか……皆下がれ!! フォックス1! フォックス1! 全弾ミサイル発射!!』
士魂号の背中には大量のミサイルが発射できるミサイルランチャーが搭載されている。
しかも、これはただのミサイルではない。爆発系……ギガ系の魔術『マハギーガ』*6の魔術と同じ爆発系のダメージが与えられるようにオカルト改造されている。その射出されたミサイルは空中を引き裂きながら、次々とグレンデルへと突き刺さり激しい爆風をまき散らす。いかに物理耐性、銃耐性スキルがあっても、爆発耐性を持っていないグレンデルは流石にこれを完全に防御することはできない。
『これで我々の来年度予算はパァだな。……来年度があればの話だが』*7
『お前それが言いたいだけだろうが!!』
後ろの天使の聖歌隊もまとめて丸ごと殲滅せんと放ったミサイルは、グレンデル自身が盾となって全てその肉体で受け止める。ミサイルの爆発と爆風によって、グレンデルは片腕を吹き飛ばされて全身の皮膚が剥がされながらも倒しきることはできずに悲鳴のような咆哮を上げる。
『引くな!! 一歩たりとも引くな!! 我々が突破されたら誰があの地を守るんだ!! 命を惜しむな! 名を惜しめ!! 諸君、誠にすまないが……死守だ!! 防人改を前に出せ!! 足止めをしろ!!』
その言葉と同時に、合金樹の合金で作られた機体の全長ほどの巨大な盾を持った機体が三体揃って前に出る。片腕を失って痛みで怒り狂ったグレンデルはそのまま大型の盾に拳を叩きつける。合金樹で出来た大型の長方形の盾は凹みもしないが、その盾を支えている機体の方は必死に踏ん張って関節各部がミシミシと悲鳴を上げる。そんな彼らにもう一撃繰り出そうとする瞬間、ギター音と共に凄まじい衝撃破がグレンデルに襲い掛かり、彼を吹き飛ばす。
そんな防衛隊のロボや天使たちの耳に、天使たちの歌を打ち消すようなギターが響き渡りながらこちらへと急速に接近してくる。
『黒札様だ! 黒札様が来てくれたぞ!!』
鳴り響くギターの音に、防衛隊から一斉に歓声の声が響き渡る。それと同時にギターをかき鳴らしながら、両足から衝撃破を放出し、さらに背中からも衝撃破を噴出させ推進力にしながらホバー移動で高速で疾駆する後藤ひとりの姿があった。
さらにその後ろには他の結束バンドのメンバーや放課後スイーツ部、スライム(仮)を乗せた終末対応の車が駆けつけてきた。
「皆ー!! 下がってくださいー!! これからは私たち『結束バンド』が引き受けますー!!」
その結束バンドのメンバーの一人、喜多郁代の声に従って、防衛隊のロボたちは一斉にその場から離れてひとりたちの後方へと撤退を開始した。いかに巨大ロボと言っても黒札と悪魔との戦いに巻き込まれてしまっては五体バラバラの粉砕状態にされかねないからだ。他のメンバーがCOMPのストレージボックスからそれぞれの楽器を取り出す中、ひとりは天使の歌う聖歌を聴いて、つまらなさそうに吐き捨てる。
「よくわかりました。貴方たちの音楽は『
ひとりは、まるで地面に埋もれるぐらいに自分の頭を下げ、後頭部と背中を見せるほどの完全な前傾姿勢になりながら凄まじい勢いでギターを掻き鳴らす。
ひとりがギターをかき鳴らした瞬間、その場の全ては完全な沈黙、静寂に包まれた。天使の聖歌隊もグレンデルもこちらの味方も全て口をパクパクするだけで何の音もしない。
ひとりの腕は残像が見えるほど激しく掻き鳴らされているが、その音すら一切しない。
(い、一体どうなっているんですか!? これは何!?)
アイリも声を出したつもりだが、その声すら一切出ずに口をパクパクさせることしかできない。天使たちの聖歌隊も自分たちの歌がかき消されるのが不思議らしく口をパクパクしている。
周囲から発生される音に対して、完全に反対の逆位相の音を発生させることで音を相殺させる「ノイズキャンセリングヘッドホン」と同じ原理である。
しかも、これはただ音を相殺させているだけではなく、MAGも同様に逆位相MAGを発生させているので、天使たちの聖歌なども完全に相殺させることができる。
流石に探求ネキや人魚ネキのような超級クラスを真向面から相殺するのは難しいが、それでも理論上ジャミング程度はできるはずである。
その逆位相の音波と逆位相MAGによって天使隊の聖歌は完全に遮断されて強化されていたグレンデルの強化は解除される形になったのだ。そんな中で、結束バンドの虹夏と郁代はそれぞれ思念波で叫び声をあげる。
『皆!! 絶対にぼっちちゃんから前にいちゃダメだよ!! 指向性をカットされたぼっちちゃんの音楽叩き込まれたら皆粉微塵になっちゃうよ!!』
『みんなに見せてよ! 本当の後藤さんは凄くカッコいいんだって所を!!』
それと同時に、今度はひとりだけでなく、他の三人も揃って演奏を始める。ひとりも全ての音を打ち消すノイズキャンセリングを停止して、ほかのメンバーのそちらの曲へと切り替える。その曲は『星座になれたら』であるが、当然ただの曲ではない。
ドラムスの伊地知虹夏が皆に【衝撃ギガプロレマ】を、ベースの山田リョウが【衝撃貫通】を付与し、そしてギター・ボーカルの郁代は歌を歌いながら、疾風魔法、ガル系の【マハガルーラ】を叩き込む。そして最後に叩き込まれるのは……。
「【衝撃ギガプレロマ】!!」
「【衝撃貫通】!!」
「【マハガルーラ】!!」
「【音楽貫通】*8【マハザンバリオン】ッ!!」
それらに加え、ひとりの【マハザンバリオン】がグレンデルに対して放たれる。その結束バンドの皆の力で増幅&疾風魔法を混ぜ込まれた衝撃魔術最高峰の【マハザンバリオン】は強力な衝撃&疾風の属性を持った衝撃波と真空刃としてグレンデルに襲い掛かったのだ。
それはもはや音の大波とも言えるほどのとてつもない強力であり巨大な衝撃破である。その音の大波とも言える衝撃波を食らい、巨大なグレンデルは天使たちを巻き込みながらその地域一体ごと殲滅していった。
長岡市での戦いの後、放課後スイーツ部は色々な物品を搭載した装甲列車によって魚沼シェルターへと帰還してきた。そして、結束バンドからもらったバンド用の楽器を使用してバンド活動を行おうとしていた。
「───で、黒札様たちから楽器の練習を受けてバンドの舞台を整えてもらったわけですが」
「……で、ここで演奏すればいいってマジ? こんなところ普段は使わせてくれないのに……」
───鳥煮亭学園の学園棟の屋上。景色こそいいが純粋に危険なため封鎖されているのが今回バンド活動の申請のために実にあっさりと許可されたのだ。……まるで元から許可されていたように。
結束バンドのメンバーから教えを受けた放課後スイーツ部は、バンド用の道具などを屋上に運び込んでさっそく準備を始めた。
透き通った青空に鳥煮亭学園の最上階でバンドを行う。これでシチュは完璧や! 青春力をフルブーストするんや!! とぽよんぽよんとシチュを完璧に整えたスライム(仮)は、彼女たちのCOMPの映像録画機能のスイッチを押す役割を行う。ぐっとスライム(仮)が腕を疑似的に作り出してぐっ! と親指を立てると、彼女たちは演奏を始める。
「まあいいけど……それじゃいくよ! 放課後スイーツ部『シュガーラッシュ』!!」
透き通った青空、真っ白い入道雲、そして学園の屋上という青春真っ只中という爽やか雰囲気の中で、響き渡る放課後スイーツ部たちの爽やかな歌声。
その最高のシチュエーションとライブを生で見る事ができたスライム(仮)は、固定して録画されてるCOMPとは違い、もう一個のCOMPでふわふわと浮かんだり接近したり完璧なカメラワークで彼女たちの演奏を録画していた。*9
「~~~♪」
結束バンドから習った腕と、フェニックスPが作成・作曲してくれた曲を完璧に弾き終えた放課後スイーツ部のメンバーは、満足気に演奏を終える。それと同時に青空の元でカズサは爽やかな笑みを見せる。それは他の三人も同様だった。それこそが、まさに彼女たちが青春真っ只中ということを示す証だった。
───そして、それからしばらく後。バント活動の配信を許可した彼女たちは恐る恐る順位をCOMPで見ていた。
今や娯楽産業……小説、漫画、音楽産業などは、黒札の気に入られるための群雄割拠の戦場へと変貌していた。そんな中で素人のバンド演奏が皆の目に止まり、高順位になるなど奇跡でもない限り不可能だ。
目標としては、何年も予約が満杯の【銀さん印のあんバターサンド】を手に入れる事だが、それもこんな素人バンドの演奏が鳥煮亭学園の配信の最上位になれるはずもない。彼女たちもせいぜい「少しでもお金になればいいなぁ」程度の考えである。
バンドの楽器代やフェニックスPの作曲代も払わないといけない(本人たちは別にいいよ、とは言っていたが)これからますますお金を稼がないとと考えながらCOMPを覗く。
「うーん、ちょっと待ってね。バンド活動の配信は許可したけど少しでもお金になっていれば……な、何これ!?」
それは、自分たちの演奏がネット内で凄まじい勢いで再生数が伸びていたのだ。
さらに再生数だけでなく、ガイアポイントやらマッカやら銅札である彼女たちが目をむくほどの額がぽんぽんと投げ込まれてくる。その投げ銭に対して四人は思わず驚いた顔で悲鳴を上げる。
「け、桁が! 桁が違うぅううう!! 何これ!? どういうことなの!?」
「ガイアポイントだけじゃなくてマッカがバンバン放り込まれてくるんだけど!? 何があったの!?」
「わ、私たちのバンド活動の再生回数が飛んでもない事になってるぅうううう!! 何で!? あんな素人音楽で何でこんなに再生されるの!? え? 黒札がお勧めしてくれたぁ!? 何でぇえええ!?」
そう、それは黒札である田舎ニキとぼっちちゃんが紹介したからというのもあるが、純粋に「爽やかな青春」というこの世界では失われかけているのを強く押し出したのが、荒れた人心にストライクだったらしい。終末前の日常アニメなど、終末を生き延びた人間が見たら号泣する人もいるのだ。
その終末前の青春を押し出したイメージのPVが心を掴むのも当然といえる。そんな動揺している四人に対して、さらっと隣にいるスライム(仮)は、まあまあ落ち着け、とぽいんぽいんと跳ねながら彼女たちを落ち着かせる。
「え? 何スライムさん? 『受け取っておいていいんじゃないか? 正当な報酬だよ』そ、そこまでいうのなら……」
そんなどんどん積み重なってくるガイアポイントなどを見ながら、アイリはきっと覚悟を決めたように拳を振り上げてほかの三人に対して言葉を放つ。
「この終末環境では甘味を手に入れる事は中々難しい。今は安定しているけど、いつまた甘味が不足するか分からない。だったら!! かの伝説の銀時印様を見習って!! この資金を元手にお菓子会社を作りませんか!? 幸いこのシェルターは甜菜を多く作成している北海道の十勝シェルターとの繋がりがあります!!
甜菜から作られた砂糖を元に!! 私たち好みのお菓子を作り上げる! 『放課後スイーツ部』印のお菓子販売です!!そのために銀時様のお菓子会社とコンタクトを取ります!異論は!?」
賛成!!と放課後スイーツ部の残りの三人はそのアイリの言葉に皆賛同した。こうして放課後スイーツ部は、自分たち好みのスイーツを作り上げるためにこのお金を元にするため動き出し、この功績によって銅札から銀札へとランクアップすることになった。
なお、このあまりに凄まじい青春力を持った曲を聴いて号泣する黒札たちも何人か存在しており、放課後スイーツ部は「黒札を号泣させた伝説のバンド」「黒札泣かせ(ブラッククライ)」となり、伝説のバンドと化して、他のバンドたちに羨望や憎悪の目で見られるが……それはまた別の話である。
・スライム(仮)
本来は凍矢が分身を作ろうとした失敗作。探求ネキの木分身を見て、水と相性がいいから自分の作り出した霊水に自我とか込めれば肉体を作り出すより安上がりにできるんじゃね? という水分身の術の応用の考えの元作り出された。
せっかく作りだしたのに消滅させるのももったいないという事で、学園の最終防衛兵器としての役割を持たされて鳥煮亭総合学園に配備される事になった。
(これはこの学園には黒札の子供の金札たちも通っているため)
学園内をぽいんぽいん跳ね回って、七不思議やらオカルト事件やらを薙ぎ払って生徒たちを守りつつ、学生たちの青春に魂を焼かれ後方腕組みしながら見守っている。
(今回のように極めて青春力の強い生徒なら手助けもしてあげたりする)
・ぼっちちゃん。
一言でいうと「後藤ひとりの皮を被ったミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク」
ギターを操って音を操る術に長け、ミッドバレイの行っている事の大半を行う事ができる。多分本霊は『弁財天』とかそのあたり?
恐らく一番の異常性は『聴覚』であり、長岡市10km全周囲をその聴覚による霊的センサーで感知しており、長岡市防衛に大きく貢献している。
(大体この辺の圏内)
またこの聴覚を利用し相手の心音や呼吸音などから相手の心理状態を読み取る『ポリグラフ探知』。あるいは敵の筋肉や関節、血流、足音や踏み込み音を読み取って相手がどんな近接攻撃を繰り出してくるかを読み取る『先読み』も可能。(なおコミュ障がそれら全てのメリットを打ち消す模様)
さすがに超級クラスの探求ネキや人魚ネキには叶わないが、彼女たちの操る音のジャミング程度は行う事ができるし、逆に彼女たちの能力のサポート・補助・ブーストなども行うことができる。
他の三人のメンバーはシキガミパーツを埋め込んだ現地人たちであり、元々の信頼度に加え、そのこともあるためぼっちちゃんの事を深く信頼している。
次は、
・凍矢、分身作成に苦戦する。(襲い掛かるTS魔人ニキとデメテル分霊)
・静の半終末・終末活動(地元退魔組織として黒札に出会ってからの大まかな行動)
・凍矢、ドリームランドに招かれる
(人魚ネキの子守唄防御をニャルが突破。助けて!ランドルフ・カーター!!)(こちらは未定)
の三つでお送りしたいと思います。(嘘)