【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち   作:名無しのレイ

161 / 220
静と凍矢との間の子供を『愛清フウカ』から『調月リオ』に変更させていただきました。ご了承ください。



『破裂の人形』の妊娠と凍矢の子供たち。

 

 インドなどに凍矢分身が遠征などを行っている中、一方魚沼シェルターの内の凍矢の家では喜ばしい出来事が起きていた。ロボ形態ではなく、変化スキルSを使用することによって人間形態に変化している『破裂の人形』。

 綺麗なロングヘアーの銀髪と綺麗な無表情な容貌をしている彼女は『高峯のあ』の姿へと変化しており、この姿は彼女のもう一つの姿だといえた。厳重な結界に守られている凍矢の家内部、その中でもさらに堅固な結界になっている凍矢の部屋で彼女はブイサインを出しながら宣言した。

 

「と、言うわけで……。どうやら妊娠したようです。ぶい」

 

 その言葉に、部屋に集まっている凍矢の関係者たちから一斉に歓声が上がる。あれやこれやと忙しく走り回っているとはいえ、このシェルターの守護者である凍矢の後継者が生まれるのは皆まだかまだか、と待ち望んでいたからだ。高レベルの黒札の跡継ぎができたとなったらこの地の防衛はさらに保障されたと言ってもいい。そして、それを聞いてこの魚沼シェルターの現地民と黒札たちの間を取り持ち、常識人力では随一の『ババアネキ』が凍矢たちに対して次々と指示を出していく。*1

 

「ほら貯めこんでおいた粉ミルクや紙おむつやらの備蓄を出すんだよ! こういう時のためにため込んでおいたんだろ! 足りないところはアタシが何とかするからアンタは生むことだけ考えな!! 赤ん坊を生む事を舐めてるんじゃないよ!!」

 

 ニメートルは超える巨体で仁王像にも似た威容の彼女ではあるが、彼女は凍矢たちと共にこの魚沼シェルターを作り上げて色々な黒札たちを招き入れた立役者であり、同時に現地民たちのまとめ役でもある。黒札・現地民両方のまとめ役で相談役でもあり、トップである凍矢ですら頭が上がらない、凍矢や破裂の人形に対して遠慮なく突っ込みを入れられるいわば常識の外付け役、影の実力者ともいえる人物である。

 彼女はこういう時を見越して紙おむつや粉ミルクの備蓄を独自に行っており、凍矢たちの尻を叩いて半終末時に紙おむつや粉ミルクの備蓄なども行わせているので、子供が3人ぐらいは平気で育てられるだろう。

 

「うぐぅ……」*2

 

「何がうぐぅだい! 可愛い子になってきた出直してきな!」

 

「うぐぅ……」

 

 女性体分身である田舎ネキを出してまで「うぐぅ……」とか言い出してくる凍矢に対して、ババアネキは両方の脳天に対して自らのチョップを叩き込む。ともあれ、問題は『破裂の人形』は元々ロボ型式神であり、子供もそのロボ成分を強く受け継いでいる子供であるということである。普通の赤子ですら生まれるのが大変だというのに、ロボ型となれば下手をすれば帝王切開を行う必要もある。だが、オカルト的な霊的検診を行ってみた結果、そこまでの心配はいらないという事だった。

 

「とりあえず医療班やロボ部が調べた結果、ロボではなくて普通の赤ん坊として生まれてくる可能性が高いらしい。ただやっぱり破裂の人形がもっている変化スキルやロボ成分に影響されて、体の一部を変形させたり全体を変形させたりすることもできるようになる可能性が高いとの事だ。まあ制御できるまでスキルは封印するけど……」

 

 つまり簡単に言えば『破裂の人形』の子供……後の『碧神ハルナ』は、ファイブスター物語の重合人間のように腕だけロボ化させて攻撃を受け止めたり、人間の姿から戦闘状態であるロボ形態に変身できるという事である。

 しかし、まだ制御の利かない赤ん坊ではそんな状態になったら大変になってしまうためきちんと育つまでスキルは封印して普通の子供として育成する予定である。正直、ロボのまま生まれてくる可能性もあったため、これは凍矢もほっとできる情報だった。この時のために色々稼ぐために手広くやっているし、『破裂の人形』がいない時の前線用の仲魔としての『ザオウゴンゲン』も存在する。さらに怪我の功名とはいえ、凍矢は拠点防衛用の自らの分身である『田舎ネキ』も存在する。凍矢は自らの分身である彼女を『破裂の人形』の護衛につけようというのだ。

 

「彼女の護衛は拠点防衛用の私がつけばいいでしょう。ガチガチに結界で固めて四六時中私がつけば神々も干渉はできないはず、多分。」

 

 そう、新しい問題は凍矢が分身を作り出した時の騒動のように、妊娠した中の子に多神連合やら色々な神々が何らかの干渉を行ってくるということだった。自分の分身はまだしも、子供にまで干渉をされたら怒り狂うしかない。そのため、家自体をガチガチの結界で何重も覆い、さらに護衛である自分の女性分身を護衛としてつけて神々からの干渉を遮断していく。それが凍矢が考えた自分の子供の守り方である。

魚沼シェルターの人々も、自分たちの守護者の後継者が神々の干渉を受けるなど絶対に避けたいので、全力で妊娠した『破裂の人形』を守護している予定である。

 それはさておいて、ババアネキは凍矢の女性型分身である『田舎ネキ』をじろり、と睨みつけた。

 

「それよりアンタ……。きちんと処女は何とかしたんだろうね? 超越者の領域に到達した存在の分身が処女なんて絶好の霊的存在、神々が放っておくはずないんだからね。」

 

そう、それは『田舎ネキ』の性的問題である。アバドン・ハレルとの闘いで超越者の領域、LV100に到達した凍矢の女性体分身である彼女は当然のごとく処女であり、処女性は聖性に繋がり、当然霊的存在としてはさらに希少価値が跳ね上がってしまう。そんな高レベルの存在の処女など霊的存在としては貴重すぎて神々も喉から手が出るほど欲しい存在である。いざとなったら自爆すればいいとはいえ、狙われる可能性は下げておいたほうがいい。それを聞いて、田舎ネキはだーっと目と同じ幅の大量の涙を流しながらえぐえぐと言葉を放つ。

 

「変化スキルを持つ破裂の人形に何とかしてもらいました……。うう……。私からしたら入れられるのは、男にアナルをアーッ!!されるのと同じ感覚なのに……。私は悲しい……。」

 

式神からされたんなら問題ないだろ、予防接種だと思って我慢しな、と言葉を放つババアネキに対して、田舎ネキはえぐえぐと涙を流しながら頷いた。そんな彼女たちを見ながら、凍矢はクズリュウの欠片から誕生したミニクズリュウ『キュー』の頭を撫でながら呟いた。

 

「ともあれ、キュー、お前はこの子のお兄さんになるんだからこの子を守護ってくれよな。頼んだぞ」

 

 キュイッ! (`・ω・´)とキリッと顔を見せたクズリュウの分体『キュー』はこの後凍矢の娘……『碧神ハルナ(LV60)』の仲魔となってハルナの前衛&タンク役として活躍するのだが、それはまた別の話である。

 


 

 ……修行場である『黄泉比良坂』の中層部。終末時のマヨナカテレビのイザナミ騒動によりキクリヒメの手で一旦封印されていた中層だったが、アリウススクワッドを初めとするペルソナ使いたちの活躍により、ようやく状態が安定化。今は再度高位霊能者の修行場として復活を果たしている。

【妖鬼ヨモツイクサ】【鬼女ヨモツシコメ】が多量に出てくる中層ではあるが、ヨモツイクサのLVは40代にも及ぶ事がありさすがにそれだけのLVになると現地民では対抗ができない。

 そのため、封印を司るキクリヒメの手で『千曳の岩』の権能を使用し弱体化を行い、大体LV20、LV10程度にまで弱体化されている。そして、そんなヨモツシコメたちやヨモツイクサたちを手から放たれた火炎で次々と焼き尽くしている一人の少女の姿があった。

 

『秋葉ユウカ(LV50)』

 

 凍矢とほむらの間に生まれた子で、黒札と現地人ではあるが高レベルの霊能素質を持っている『すり抜け枠』でありながら、同時にホノカヅグチの転生体であるほむらの子供である故に、当然彼女も高い霊能力を持って生まれた子である。

 彼女の特性としては、凍矢の冷気とほむらの火炎系の素質を両方受け継ぎ、両方の魔術をハイレベルで使いこなす事ができるという特性である。その特性上特化型には威力は及ばないが、それでも属性が重要であるメガテン世界では、氷結無効と火炎無効を両方併せ持つ悪魔はそうそういない。大体の悪魔はどちらかが無効であるならどちらかが弱点という悪魔が多く、それをつけるというのは極めて優秀である。

 さらに、火炎と冷却を同時に操作できる彼女にとってまさに最適という魔術が存在した。

 手から出した火炎を刀状にしてヨモツシコメやヨモツイクサを焼いていた彼女だったが、今度は右腕からアギダイン、左腕からブフダインを展開するとその力を融合させて、光で構築された弓を作り出す。

 

「食らいなさい! 極大消失呪文(メドローア)ッ!!」*3

 

 火炎と氷結の力を対消滅させた極大消失魔術『メドローア』これこそが彼女の奥の手とも言える魔術である。

 ホノカグヅチの転生体であるほむらと氷結特化である黒札の凍矢の間の娘である彼女は、二人の才能を受け継いだ事によって高レベルで火炎と凍結同時に放つ事ができる。

 そして、その火炎と氷結、両方を使いこなせるという特性を利用して『メドローア』を自在に使用できるまで修行を積んだのである。

 発射されたメドローアは、大地を削り取りながら多数のヨモツイクサやヨモツシコメたちを多数消滅させていく。それを見ながら、ユウカは満足げに小さくガッツポーズを行った。

 

「良し! 父さんや母さんでも使えないメドローアを使いこなすとか私完璧~!!」

 

 さらに彼女はマハラギダインで次々とヨモツシコメたちを焼き払っていく。これだけ焼き払えばしばらくは中層も安定化してくるだろう。

 終末時の騒動により未だ人類滅亡を諦めていない本体に近いイザナミは、心の海『黄泉比良坂』に拠点を構築しそれは未だに解決されていない。

 その影響はこちらの『黄泉比良坂』にも及んでおり、ヨモツシコメたちやヨモツイクサたちが地上を目指して侵攻を行ったりするがそれらの数を大幅に減らして『黄泉比良坂』を安定化させるのも、凍矢の子供たちである彼女たちの大きな仕事である。

 

 ユウカは直接戦闘力だけではなく、色々金で困った凍矢の状況を反面教師として、魚沼シェルターの経済管理を行えるほどの経済知識を持ち、独自にマッカやガイアポイントの投資や融資なども行い、多大な個人的資産を所有している。さらにシェルターの経営状態のチェック、凍矢の資産管理やガイア連合から受ける支援などもきちんと行っており、魚沼シェルターの経済管理をこの年ですでに行っている。

 

「全くもう……。父さんも私がいないとついうっかり重要な書類を提出し忘れたとかやるんだから……。きちんと領収書をチェックしないと……。そもそも個人でシェルター運営するよりもしっかりガイア連合の支援を受けなさいよ!!メシアンを受け入れるのが嫌とか分かるけど!!ハルナ姉さんはハルナ姉さんでフリーダムだし!! 私がしっかりしないと!!」

 

 そんな彼女の傍には、ロボ部たちが開発した『異界対応ドローン』がふよふよと浮かんでおり、そこから彼女の母親である『秋葉ほむら』の声が聞こえてくる。

 悪魔を倒したMAGはLVの低い者ではなくLVの高い方へと流れていく。ここにほむらがいた場合全てMAGがほむらへと流れ込んでいってしまうのだ。それでは修行にならない、と考え出された案がドローンを通してユウカの戦いを見届ける事である。

 

『とりあえずホノカグヅチ様から紹介してもらった悪魔……『国津神オオヤマツミ』様はどう?きちんと使いこなしてる?』

 

「そっちも完璧~!! ハルナ姉さんがクズリュウの「キュー」を前衛にしてるように、私も『オオヤマツミ』様の分霊を前衛にして後方から銃撃などで攻撃を仕掛ける。これが鉄則よ」

 

 国津神オオヤマツミ(LV40)は、日本書紀ではイザナギが軻遇突智を斬った際に生まれた神とされており、ホノカグヅチの転生体であるほむらの娘であるユウカとは相性が非常に良い神である。

 さらにオオヤマツミは極めて有名な山の神であり、山に囲まれた魚沼シェルターにとっては相性の良い神でもある。ユウカの仲魔のオオヤマツミを通して、魚沼シェルターを取り囲んでいる山神と交渉して山菜探索、山を開拓して畑を作り出す。魚沼の豊かな自然と山はこういった探求ネキが開発した加工肉植物を栽培するのに適しており、豊かな自然を利用して山神たちと協力して作り上げられた大量の『ベーコンの葉』『ロースバナナ』『ウインナース』などといった、これら大量の加工肉植物が作り出されているのだ。

 

 また、それだけではなく、魚沼シェルターが探求ネキが開発した『穀物の木』を利用して作り上げた大量の小麦、大麦、稗などの『小豆の木』などもオオヤマツミの力を得てさらに効率よく大量に作物は大量に作成されている。自然の多く山に囲まれている魚沼シェルターにとって、山の神であるオオヤマツミの力はまさに最適と言ってもよかった。

 

 ユウカは両腰部に吊り下げられていたSIGが開発した銃『MPX』(ガイア銃使用)二丁を構えて射撃体勢に入る。

 元々凍矢が頼み込んで特注で作ってもらったガイア銃ではあるが、ユウカ専用に作られ、調整されたその銃はまさに彼女の手によく馴染む代物だった。今までは市販のアサルトライフルで敵を薙ぎ払っていたが、ようやく彼女専用の銃が開発されて届けられてきたのである。

 

『よし、それじゃ次は銃撃スキルで『猛炎乱撃』*4『猛氷乱撃』*5そして『十字砲火』*6の練習をするわよ! アタシの子ならこれぐらいできるはず! ビシバシいくわよ!!』

 

「分かったわ母さん!!」

 

 ユウカに渡されたガイア銃『MPX』は銃身に特殊なオカルト加工が行われており、ユウカのMAGを通す事によって弾丸に火炎、もしくは氷結を纏わせる事ができるのだ。つまり、属性弾を使用しなくても自動的に属性弾に変化することができるのである。(炎と氷だけではあるが)

 もっとも、彼女が使えるのは炎と氷だけであり、それ以外は素直に属性弾を使用するしかない。

 前面に仲魔であるオオヤマツミを展開させ、本人は遠距離から銃撃で相手を削り、もしくはメドローアで止めを刺す。これが彼女の基本的な戦い方である。(もちろん近接戦闘もきちんとほむらによって仕込まれている)

 

 ほむらが持っているスキル【火之迦具土】を部分的に受け継がれている彼女は、【火炎貫通を得る。最大HPが50%増加。弱点以外で受けるダメージが60%減少】という能力を持っており、十分に前線に出て戦えるタンク役も行える。それでもきちんと幼女ネキの宮城支部からヘイローを購入してつけさせているのはやはり親心というものだろう。

 

「食らいなさい!! 『猛炎乱撃』ッ!! 『十字砲火』ッ!!」

 

 ユウカの手から放たれる火炎を纏った疑似的な火炎弾で次々とヨモツシコメやヨモツイクサは薙ぎ払われていく。

 元々メドローアで大きく陣形を崩されていた状態に加え、その銃撃は極めて効果的だった。

 疑似的な火炎弾と両手から放たれるアサルトライフルの連射による猛烈な銃撃。それらは黄泉の軍勢を薙ぎ払っていく。しかも近づこうにも前衛では【オオヤマツミ】がそれを許さずに次々と黄泉軍勢を叩き潰していく。そして、そんな風に黄泉軍を薙ぎ払っている彼女に対して、後ろから声をかけてくる存在がいる。

 

「……ユウカ。大丈夫?」

 

 彼女たちの元にやってきた存在。それは黒を基調とした衣服と長い黒髪、それらと対照的な白のタートルネックを着用した色白の肌を持つ大人びた容姿、そして頭の上にユウカと同じくヘイローをつけている女性。

 彼女こそ、凍矢と名家である九重静との間にできた子供。『九重リオ(LV30)』である。

 静譲りの美貌と優れた頭脳、そして冷静な判断力を持ち合理性に重きを置いた彼女は、静に続いてこの魚沼シェルターの頭脳とも言えた。

 ハルナやユウカと異なり現地人との間の子であるリオは直接戦闘力は二人には多少劣るとはいえ、それでも平気で汚れ仕事を行ったりする名家代表であるその立場は極めて重要であり、リオはその役目を十分行えるだけの能力を秘めていた。(もっとも合理性を極め、魚沼シェルターの裏仕事や汚れ仕事も平気でこなす彼女も静からしたら「まだ甘い」らしい)

 

「リオ姉さん。姉さんも修行に来たの?」

 

 ユウカは一旦攻撃の手をやめて、リオとの会話を始める。前線はユウカの連続攻撃によって大分間引けたため『オオヤマツミ』に任せておけば大丈夫だろうと判断したユウカは、リオと話す程度の余裕は持てていた。

 

「いえ、修行もあるけれど、間引ける時にできるだけ間引いておいた方がいいという判断よ。私は貴方たちと違ってそこまで戦闘は得意ではないから……。静母様からも「ドローンやアヴァンギャルド君を使う前に自前の戦闘能力を鍛えなさい」とは言われているし、いざという時に備えて実戦経験は必要よね。来なさい。『アラハバキ』。」

 

 リオのCOMPから出てきたのは『国津神アラハバキ(LV30)』である。このアラハバキは、以前凍矢の手によって倒されたアラハバキの分霊である。

 自然回帰派ともいえるアラハバキだったが、新潟に迷惑をかけた代償として凍矢自身がアラハバキ自身と交渉して分霊を獲得し、当然の事ながらガチガチに契約で縛られている。そして、彼女がアラハバキを仲魔にした理由、それは彼女がアラハバキのその姿に惚れ込んだという理由が大きい。

 

「はあ……。相変わらず素敵なデザインをしてるわね。」

 

 頭脳明晰、眉目秀麗、静に次ぐこの魚沼シェルターのブレインと言ってもいいリオではあるが、彼女は大きな欠点が一つあった。それは所謂美的センスである。

 アラハバキのあの土偶の姿にうっとりし、ロボ部の素材を利用して『アヴァンギャルド君』という強力ではあるがシュールなデザインのロボを好んで作り上げるというセンスは周囲から流石にどうか? とは言われるようにはなっていた。それさえなければ、ロボ部と協力して異界対応型ドローン群『AMAS』や不格好ではあるが異界でも平気で動き回れる強力なロボである『アヴァンギャルド君』を作れるほど技術的には有能なのに……と技術班から惜しまれるぐらいには有能である。

 

「うーん、リオ姉さんのそのセンス、本当どうかしてると思うわ……。まあ、ともあれリオ姉さんは私が守るわ!! リオ姉さんは私のさらにさらに後ろで援護をよろしく!! それじゃいくわよ!!」

 

 リオはアラハバキの他に、COMPからさらに九重家の守護神である「竈神」である【魔神:三宝荒神】*7を召喚し、火炎を叩き込んでいく。

 

「オン ケンバヤ ケンバヤ ソワカ!! 『烈火の調べ』*8『ファイアブレス』*9ッ!! 『メギドラ』ッ!!」

 

 三宝荒神は不浄や災難を除去する神であり、同時に火と竈を司り不浄を嫌う竈神である。

 その不浄を焼き払う神炎は黄泉の存在であるヨモツイクサやヨモツシコメにとってまさに特攻と言ってもいい威力である。これは日本では竈がもっとも清浄な場所であるという伝承から由来しているのだ。九重家の主神である三宝荒神を使役できるなど、さすがは黒札様との間の子! と九重家関係からは天才扱いされるリオではあるが、正直さらに才能のあるユウカやハルナを見ていると、そんな誉め言葉など全くの空虚に思えてしまうのは仕方ないことだった。(九重家は最後の最後までメシア教と戦った名家の生き残りなので、神からの受けもよかったのもある)

 三宝荒神が放つ強力な火炎……ファイアブレスと、アラハバキの放つ万能攻撃『メギドラ』はさらに黄泉軍を次々と殲滅していった。一息つけるようになったユウカは、腰に手を当てながら自分の仲魔のオオヤマツミやリオのアラハバキを見つめる。

 

「まあ、何か天津神からは『国津神多い……多くない?』とは言われるけど、父さんの関連する神が天津神の逸れ者の『ホノカグヅチ』様と天津神、国津神どちらでもない『キクリヒメ』様、そして修験道の神である『ザオウゴンゲン』にクズリュウ……『九頭竜権現』じゃない!! 元々逸れ者の神しかウチいないんだから天津国津言われても困るわよ! しいて言えば独立愚連隊みたいなもんでしょ!!」

 

「ああ、それとハルナ姉さんから連絡があったわ。『黒星くん*10がそろそろストレス貯めて人類滅びねぇかな~と言い出すタイミングなんで気分転換に食べ歩きに連れまわしますわ!!護衛?わたくしが護衛ですわ!!』との事よ。堂満様からは『いつ連れ出してもヨシ!!』と許可証は頂いているから大丈夫でしょう。」

 

そのリオの言葉を聞いてユウカは思わず頭を抱えた。ガイア連合のトップである『峰津院 堂満』の息子である『黒星』を平気で連れまわすとか傍から見たら正気か?としか思えないし、黒星の妻や婚約者たちから怒りの目で見られてしまうのも当然といえる。(ハルナからしたら『夫を癒すのが妻の役割なのにストレスを貯めたままにしておくとか、貴女たち何やってるんですの?』と返すだけだが)

 

「あーっもう!! ハルナ姉さんはホンッットフリーダムなんだから!! 父さんの変人な部分と母さんの世間知らずな部分を一番色濃く継いだとかよく言われるのよ!!」

 

「でもユウカ。姉さんは他の多数の幅広いシェルターとの交渉、交易、他シェルターの防衛依頼もきちんと自分の役目は行っているわ。あまり言うのも……」

 

「ハルナ姉さんは食べ歩きのついでに行っているだけじゃない!! 本人的には絶対そっちの方がメインだと思ってるわよ!! この前もとか多神のお酒を舐めた瞬間『こんなクソマズ酒出しているのは人類にとって有害! ブッ潰しますわ!!』とか言いながら多神のシェルター潰しにいくし!! 結果そのシェルターが人間たちを分解して酒に変えているとかやらかしてた『女神オエノ』*11だったから何とか大義名分はついたけど!! まったくもー!!」*12

 

「とりあえず私は弥彦神社の『天香山命』様*13と調整をしてくるわ。火炎瓶の原料の霊的石油……霊的ガソリンの件で交渉してこないと……。ユウカは上に上がって私がいない間はよろしくお願いするわ。」

 

 天香山命は最近は石油の権能が着目されているが、元は越後国(新潟)に漁業や製塩、稲作、養蚕などを伝え、越後国を作り上げた開拓神とも言える神である。そんな越後国……新潟の守護神とも言える神に対して敬意を払うのは当然である。九重家も定期的に天香山命の元に通い様々な交渉をしているため、九重家の後継者であるリオが向かうのはある意味自然である。そのリオの言葉にユウカは胸を張って任せて!と答えた。

*1
「ファッション無惨様のごちゃサマライフ」様、魚沼TSV ~転生者バリエーション~ 02

*2
某kanonっぽく。今の人たちは知らない?それはそう。

*3
「【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく」様、077:合体技・合体魔法は浪漫

*4
敵全体に強力な攻撃を行う。属性:火炎。

*5
敵全体に強力な攻撃を行う。属性:氷結

*6
敵全体に強力な攻撃を行う。属性:銃撃

*7
オリジナル悪魔。能力・スキル的にはメガテン5の【霊鳥ホウオウ】とほぼ同じ。LV22

*8
アクティブにいる間、味方全体は火炎属性で弱点をついた時に与えるダメージが上昇する。オリジナル特殊効果として不浄な相手にはさらに威力が上昇する。

*9
敵全体ランダムに2〜5回小威力の火炎属性攻撃

*10
ショタおじと恐山の長老との間の息子。詳しくは『小ネタ エイプリルフールという名の未来の可能性ネタ』

*11
バッカス神からあらゆるものを酒に変えられる権能を受けた女神。これを悪用していた。

*12
ハルナは多分食べ物で悪さをしている店とか勢力とか百発百中で当てる。きちんとシェルターやガイア連合上層部に許可を取って悪さをしてる店を襲撃する程度の良識はある。

*13
親友が英雄の転生者だった件について」から。新潟一宮「弥彦神社」の主神。新潟県を開拓した神であり石油を司る権能を新しく有した。AAは利根

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。