お体をお大事になさってください~。
新しいカオ転三次様も増えてくれて嬉しい嬉しい……。
──―大籠キリシタン殉教公園。岩手県に属するこの元はかつて、キリスト教布教と殉教の歴史を後世に伝えるために作られた公園ではあるが、終末後の状態ではすっかり来る人もなく自然に還りつつある状況である。
その遥か地下に存在する過激派の秘密拠点前線基地。
岩手支部や鬼手一族からの監視・さらにはセツニキの目すら逃れて拠点を構築している過激派は、「実に上手く隠れていた」と評するべきだろう。
その地下に開設された異界を利用して作成された巨大な空洞の中で、テーブルに向き合いながら過激派は持ち寄った情報交換を行い、作戦会議を行っていた。
「マライカスーツ……もといマライカアーマーの搬入は完了したのか? 生産は完了したと聞いていたが」
「はっ、インドで『ペイルライダー計画』によって開発・生産されたマライカアーマーはCOMPに封入されて日本に到着しました。各種シェルターでの「同時開放」計画も現在進行中です。さらにはロンギヌスの槍奪還部隊の編制も完了しました」
マライカスーツ*1ならぬマライカアーマー。
それはマライカスーツを巨大化させて『中身』を詰めて人工筋肉として動けるようにした『器』を用意して、そこに悪魔を降臨させて巨大人工悪魔兵器とする、新潟のロボ部の作り方とかなり近いやり方をして開発された兵器である。その『中身』は以前セツニキが出会ったグロテスクな『生命の樹』*2の技術を流用しヒ人工筋肉とした物である。レギオンシフターではなく、以前存在していた【邪神ラフム】の【生命を生み出す泥】、そして中国神話の自ら増殖する能力を持った生きている土【息壌】を併用し、その【ラフムの泥】に終末の大崩壊のどさくさに紛れて確保した多数の覚醒者たちを投入。【息壌】の力によって生きている泥と覚醒者の融合体を爆発的速度で増やしていったのだ。
そして『ラドゥエリエル』の歌声によって生み出された無数の天使【ケルプ】にこの【ラフムの泥】と【息壌】を併用して作成した異能者の【生命の樹】を融合させて人工筋肉を構築。
外部装甲は多数の異能者の血液と金属との融合で構築、関節部には異能者の筋肉、人工筋肉に血液を送るのは異能者の内臓を血管代わりに使用している巨大な「中身の入ったマライカスーツ」がこの【マライカアーマー】である。そうしてインドで作成されたマライカアーマーはCOMPに入れられて日本に輸入されてきたのである。
「ペイルライダーの力を利用した「悪魔化ウィルス」開発計画はどうなっている? 都市部で悪魔化ウィルスを大量散布し、大量の市民を「喰奴」へと変貌させ、全てを食らう飢えた「喰奴」を大量に作り出す計画は?」
「「悪魔化ウィルス」の実用化は現在では不可能です。情報を所有していた開発班が全滅し、製造方法が喪失してしまったので……。おまけに「喰奴」のサンプルも全く存在しないのでそもそも開発不可能かと。どこかに「悪魔化ウィルス」を所有している「喰奴」でもいればサンプルがあるので開発は一気に進むのですが、現状では到底……」
セツニキが処分した【悪魔化ウィルス】*3とはまた別のウィルスであり、感染した人間を【喰奴】へと変化させるウィルス*4を開発しようとしていたのだが、これは喰奴のデータ自体が存在しないため、全くの失敗に終わったらしい。
「【聖母改造魔人(劣化)】*5のCOMP収容実験は完了しました。各種シェルター内部で【聖母改造魔人】たちを発動させ、それと同時に潜り込んだ同志たちが同時多発テロ……いえ、「同時開放作戦」を行い、注意を引き付ける準備は行われています。皆、命を問わずに戦ってくれるでしょう」
そう話をしている彼らの目の前に存在するのは、およそ11体もの【聖母改造魔人】。かつてカス子ネキがトラピスチヌ修道院解放の際に戦い、聖母ネキが変えられていた異形の融合体である。
そのデータから新しく生み出された【聖母改造魔人】は聖母と天使だけでなく、聖母にされた娘や天使と融合した父親と合体、あるいは聖母にされた姉や天使と融合した弟などがお互い融合しており交じり合いながら異形の子を大量に生み出すシステムである。そして、その【聖母改造魔人】はカバラの【生命の樹】のセフィラの位置に置かれており、その【生命の樹】の力を注ぎ込む事により、【聖母改造魔人】はさらに強力な力を放つことができるのだ。
これをCOMPに収納して各種シェルター内部に配置、発動させて同時多発テロを起こそうというのが彼らの目的である。
「うむ、【聖母改造魔人】は【生命の樹】のカバラによる魔術と子宮の天使【アルミサエル】の力でさらなる祝福強化を与えられたようだな。これをCOMPに収納し、宮城・岩手の間で【生命の樹】を描くように配置する。これにより巨大な【生命の樹】の術式を発動させ、「同時開放作戦」を行う。欲を言えば地脈に馴染んでくれればいいだろうが……流石にガイア連合もそれほど無能ではあるまい」
岩手と宮城の間、盛岡市シェルターをセフィロトの【王冠(ケテル)】、仙台市シェルターをセフィロトの【王国(マルクト)】と位置づけ、北上市シェルターを【知識(ダアト)】、一宮市シェルターを【美(ティファレト)」などと位置付けていき、そこに【聖母改造魔人】の入ったCOMPを設置。同時起動させて「同時開放作戦」を行おうというのだ。
【生命の樹】の術式を刻み込まれた【聖母改造魔人】は通常より遥かに再生力・生命力が向上しており生産力も向上している……はずである。
「各種シェルターで「同時解放運動」を行い、ペイルライダーたち四機で混乱させ、その隙に精鋭部隊でロンギヌスの槍を奪取する作戦ですか……。確かに敵戦力の分散は基本中の基本ですな。あれだけの黒札たちとまともにぶつかり合ってはこちらの勝ち目はない。あくまで一撃・一度で奴らの喉笛を噛み切る」
「脳にソナー羽や讃美歌羽入りの兵士たち*6も各シェルターに潜ませて一斉蜂起の準備をさせろ。ガイア連合は「人道的」だからな。捕虜になって治療させるだけでもガイア連合のリソースを削り取ることができる。*7穏健派内部のスパイたちの扇動準備も今のうちから行っておけ」
そんな風に作戦会議をしている中、ロンギヌスの槍の保管先だけではなく、その槍の搬入先の情報(もちろん欺瞞情報)を聞いて、過激派の皆は思わず憤激する。
「こんなふざけた場所に輸送するとか!! 我々を舐めているのか!?」
──―青森県・青森県三戸郡戸来村。つまり日本に存在する”キリストの墓”である。
当然日本にキリストの墓など常識的に考えれば存在はしない。ゴルゴダの丘で処刑されたのはキリスト本人ではなく、実際にはその弟であるイスキリであり、キリストは実際には日本まで逃れ、当時神都として栄えていた戸来で余生を過ごした……という異聞が存在する。
「キリストの墓(墓とは言っていない)にロンギヌスの槍を入れるのは自然な事だろう?」という挑発を仕掛けているのだ。
当然、これは欺瞞情報であり、過激派に対して舐め切って中指を立てて挑発しているような物である。そしてそれだけの挑発と巨大な釣り餌を目の前に垂らされて我慢できるほど今の過激派に余裕などあるはずもなかった。
「諸君! これは『革命』である!! 圧政を行うガイア連合から民衆を解き放ち! 富を蓄えて肥え太るガイア連合を打倒し、民衆を『救済』するのだ!!」
「全ては聖槍のために。聖槍による世界救済のために!!」
「この狂った世界を秩序満ち溢れた正しい世界にしなければならない!! それこそが我々の正義なのだ!!」
おおおおおお!! とその声にその場にいた過激派の皆は大歓声を上げた。
「……さて、散々
(流石に過激派も戦力的には弱体化しているはず。戦力を無駄に使うことはできないだろう。となれば戦力を集めて一斉蜂起させるのが自然だ。戦略的に考えれば「こちらの戦力を分散させるため」の策略を取ってくるはず。こちらのもっとも嫌がる事とすれば……やはり「大規模同時テロ」だろう。何らかの魔法陣の形をしたテロ……恐らくは生命の樹の形状あたりか。岩手・宮城各シェルターの警備はガチガチに固めてある)
セツニキは、シャッシャッとタロットカードを使用したタロット占いを行いながら現状の把握に努める。
この世界において占いというのは情報を得るのに大きな力になりえる……がそれだけに頼っていてはひっくり返される事もある。
そして、彼が引いたタロットは『戦車』の正位置。勝利、征服、援軍、行動力、成功などを象徴するカードであり、この状況ならば吉兆の証ともいえるカードである。
(この状況で潜んでいる過激派を引っ張り上げて始末できれば、東北地方の過激派は大きく勢力を減らすはず。少なくともしばらく表には出てこないだろう。欲を言えば犠牲がほとんど出ない形で始末できればいいが……)
「という訳で、ロンギヌスの槍とお前さんの”運命力”で過激派を吊り上げて過激派の根切りをする。これが成功すれば少なくとも東北地方の過激派の戦力を大きく削げるはずだ。頼んだぞ田舎ニキ」
「えっ? ちょっと待って? 何かおかしくない?」
セツニキと向かい合って作戦会議を行っていた凍矢は驚いた顔を見せる。ここはオカルト全盛の終末後のメガテン世界。未来予知、占術などを作戦に入れるのは当然ともいえるが、まさか「運命力」なんてあやふやな物を作戦の主軸に据えるとは思ってもみなかったからだ。
「大体運命力って……俺の運命力なんて大した事ないし、それに釣られて過激派が襲い掛かってくるなんて事ないだろ。いやまあ毎回毎回騒動が起こるのは俺の運が悪いだけだし……。運命力に釣られて過激派が襲い掛かってくるなんて事ないない。それにこれだけ戦力を整えておけば勝ったなワハハ!!」
なぜ人はフラグを立てるのか……&お前の周囲の騒動とそれを次々と鎮圧してる地点で普通人じゃないんだよなぁ……という色々な感情の入り混じった目でセツニキは凍矢をジト目で見ていた。*8
「うわぁああああっ!! か、怪物だぁああ!! に、逃げろぉおおお!!」
そして、過激派の目的通り、各シェルターでCOMPに封じられた【聖母改造魔人】が同時期に開放される事になった。
【生命の樹】と【子宮の天使アルミサエル】の力によって強化された【聖母改造魔人】はさらに大量に【邪鬼 ネフィリム】を生産・量産することが可能である。
そして、この【聖母改造魔人】11体が入ったCOMPを岩手・宮城内各地に配置、岩手・宮城を通して巨大な【生命の樹】を構築することが過激派の目的である。
巨大な【生命の樹】の力により地脈の力が【聖母改造魔人】に流れ込み、強大な再生能力・生産能力を付与することによって、大量のネフィリムを生み出す事によって
だが、宮城や岩手の黒札や協力者たちは決して無力でも無能でもなかった。
「見つけたよ! このまま叩き潰す!! 行くよ!!」
「ウォオオオン!!」
真っ先にCOMPから出たばかりの【聖母改造魔人】に対して襲い掛かるのは、狼王ロボの妻、ブランカと幼女ネキがアメリカで味方にした狼王ロボ*9である。
さらにそれだけではない。各シェルターに出現した【聖母改造魔人】は幼女ネキの娘であるイズナやみちるたち【忍術研究部】、さらにアズサやシスター日向、宮城支部長のレン子ニキ、リンクニキ、大蛇丸たちを始めとした『暁』メンバーによって次々と【ネフィリム】すら出す暇もなく薙ぎ倒されていった。
本来は11体出現するはずの結界の柱となる【聖母改造魔人】の入ったCOMPは次々と回収され、あるいは出現した瞬間に黒札たちの率いる戦力によって迎撃されていった。そして、それは宮城だけではない。岩手も同様である。
──―北上シェルター。
生命の樹のダアトに当たるここで発動した【聖母改造魔人】を撃滅するために活動を開始したのは黒札の一人である【ニヒトニキ】*10である。現地民たちを霊的に鍛えて戦力としている彼はその現地民たちと協力し【聖母改造魔人】と立ち向かっていた。
「行くぞ!! 皆はネフィリムが出てきたら叩いてくれ!! 【聖母改造魔人】は僕がやる!!」
ニヒトニキは両手にそれぞれルガーランスを手にしながら【聖母改造魔人】へと立ち向かっていく。そして、それは岩手・宮城の黒札たちだけではなかった。青森の恐山のイタコ衆の決戦兵器である【カス子ネキ】や【邪視ネキ】たちもそれぞれの岩手や宮城のシェルターで過激派を薙ぎ払っていた。この【聖母改造魔人】は彼女たちの仲間である魔人ネキが変貌していた姿でもある。魔人ネキが【聖母改造魔人】と出会わないように今のうちに根こそぎにしておきたいと思っているのが彼女たちの本音である。
「いくよシオリっち!! カレンっちがこんなのを見る前に始末する!!」
「了解ッ!!」
【聖母改造魔人】はその本質である【ネフィリム】の大量生産による拠点制圧すら出来ずに次々と殲滅されていき、同時に蜂起した過激派も次々と制圧されてしまっている中、過激派の【切り札】はそれだけではなかった。
【聖母改造魔人】とは別の四機のCOMPが過激派の手によって起動させられると、そこから18mもの巨体が実体化し、市民のみならず黒札たちですら驚きを見せる。だが、その中でも黒札……ロボ部が驚きを見せたのはその「機体」のルックスを見たからであった。
「「「ガ、ガンダムの『レッドライダー』!?」」」
ロボ部の皆はその姿……”機体”を見て絶叫した。そう、それはメガテンで終末によく姿を現している魔人レッドライダーではない。
機械……ガンダムの「ペイルライダー計画」で作成された特殊な機体「レッドライダー」であった。
そしてガノタが多いロボ部でそんな機体を見せれば分からないはずもない。
あちこちで鹵獲されたロボ部の機体、そして、天使の分霊を通して伝わってきた天使を圧縮されて構築された戦艦アークエンジェルの情報。
それらを吸収した過激派は、自分自身の手で天使たちを圧縮して機体「レッドライダー」を作成。そして、その器に「魔人レッドライダー」の分霊を封じ込めたのだろう。
>【マシンメシアン】【マライカアーマー】レッドライダーLV70
>【マシンメシアン】【マライカアーマー】ホワイトライダーLV70
>【マシンメシアン】【マライカアーマー】ブラックライダーLV70
>【マシンメシアン】【マライカアーマー】ペイルライダーLV70
メガテンで召喚される「黙示録の四騎士」ではなく、某ガンダムの「ペイルライダー計画」に似た巨大な機体。しかし、そこにはきちんと「黙示録の四騎士」としての神威が感じられた。
「お前らぁああ!! ふざけんなよ!! あんなデカブツどうやって隠してたんだ!? いや、そもそもどうやって建造していたんだ!? いくら何でも気づかれるだろ!?」
四機もの18mもの巨体の機体を見て、さすがに凍矢も思わず絶叫する。テロを仕掛けてくるだろう、と予期はしていたのだが、まさかこんなロボを敵が繰り出してくるとは予想外だったのである。
物理的な問題としてあんな巨大ロボを瞬時に転送してくるなど、それほどの大規模転送技術があるのか? と凍矢は警戒するが、他のロボ部の黒札がそれを見切ってその疑問の答えを出す。
「いや……そうか! あれは【生きている】【メシアン】判定なんだ!! メシアンは人間合体もできるしCOMPの中にも仕舞い込める!! どこか他所の中国かどこかで建造してCOMPに封じ込めて日本に持ち込んだのか!!」
【聖母改造魔人】も【マライカアーマー】も両方とも【生きているメシアン】判定でありそのためCOMPに収納可能である。そのため、以前も言っているようにインドで大まかに完成したマライカアーマーを日本に持ち込んで完成させたのである。
「そうか……。ポンポン召喚できる終末時とは異なり、終末を過ぎ去った現在ではそんな簡単にレッドライダーを召喚はできない。そのため”器”を作り出し、そこに魔人レッドライダーを憑依させた……か」
「KSJ研究所から聞いた「マライカスーツ」という奴か? それでレッドライダーの『器』を作り出したってわけか。「
「終末は過ぎ去ったから基本的に終末時ほど強力な終末の四騎士は召喚できない……召喚できても終末時ほど強大な力を振るうことはできない。その抜け道があのマライカアーマーってコトか……!!」
数多の異能者の生き血の中の鉄分を装甲、 さらに内部は数多の異能者の筋肉や内臓を圧縮して機構としている強化外骨格方式の作り方で製造されている。
人一人のスーツを作り出すだけでも軽く数百人が犠牲になる代物である。
それがおよそ18mの巨体となればどれほどの異能者の犠牲が出ているか想像もつかない。ガノタも多いロボ部のメンバーのほとんどはMSだのMAだのを聞いて思わず青筋が浮かび上がるほどである。
「うげぇ……。あれただ犠牲者の筋肉や内臓を圧縮しているんじゃないな。悪魔合体……天使と覚醒者、メシアンを合体融合して生体筋肉にしていやがる」
恐らくはロボ部の鹵獲した機体を解析し、マライカスーツの技術を応用しそれを自分たちなりにそれを再現・試作したのがこの機体なのだろう。
過激派は信仰排出ゼリーなど信仰的に絶対に使わないし使えない。
それならば、マライカスーツの技術を応用して覚醒者の筋肉や内臓とメシアン、そして天使を融合させた『人間合体』を使用する事によって人工筋肉を作り出し、それによって機体を動かしているのだ。
つまり、ロボ部としては忌むべき不倶戴天、共に天を抱かざる『怨敵』と言っても過言ではない。
「ともあれ絶対に叩き壊してやる!! 破片も残さず殲滅だ!!」
その声に呼応するように、マザーバンガードからマライカアーマーに対して次々と射撃が叩き込まれる。
その遠距離攻撃を行っているのは、マザーバンガードの甲板上部に存在する【サージェスニキ】が操る「アルケーガンダム」だった。アルケーガンダムの中にいる彼は、オープン回線で楽しそうに言葉を放つ。
『全く田舎ニキについていくと飽きませんなぁ!! 結構結構!! 実に結構!! 戦争が好きで好きでたまらない戦争屋としちゃ最高の職場だぜ!!』
自身を「戦争屋」と位置付けて傭兵稼業やスパイ活動を行っているサージェスニキ*11にすれば、毎回毎回戦争や騒動が頻発する凍矢の傍や魚沼シェルターはまさに「飽きのこない最高の職場」であるらしい。
アルケーガンダムが遠距離攻撃でペイルライダーたちを牽制している中、マザーバンガードから次々とロボ部の機体が飛び出してくる。いつでも状況に対応できるように常に第一種戦闘態勢を取っていた彼らは口々に叫ぶ。
「「「こんな事もあろうかとッ!!」」」
ダンバインやキングゲイナー、ファイヤーバルキリー、そして巨大な剣と巨大な肩アーマーを装備した警備・護衛使用のF-90Gタイプが落下してきてレッドライダーの前に立ちふさがる。左肩のハードポイントから強力な結界【マカラカーン】【テトラカーン】を展開したF-90Gタイプがタンクとなってマルチプル・ビーム・ウェポンからビーム刃を展開、レッドライダーの攻撃を受け止め、その隙にダンバインがその機動性を生かしてレッドライダーの腕部に【ハイパーオーラ斬り】を叩き込んでいく。
「くたばれ!!【ハイパーオーラ斬り】!【ハイパーオーラ斬り】!!もいっちょ【ハイパーオーラ斬り】だぁああ!!」
ピキピキ、とレッドライダーの左腕の装甲がダンバインの【ハイパーオーラ斬り】によって打ち砕かれると、そこからレッドライダーの内部が明らかになる。
ギチギチギチ、とその内部構造が明らかになったが、そこに存在していたのは人工筋肉ですらなかった。
『ラドゥエリエル』の歌声によって生み出された無数の天使【ケルプ】にセツニキがかつて出会った人間の肉体と脳味噌で構築された【生命の樹】を融合させて人工筋肉を構築。
外部装甲は多数の異能者の血液と金属との融合で構築、関節部には異能者の筋肉、人工筋肉に血液を送るのは異能者の内臓を血管代わりに使用している巨大な「中身の入ったマライカスーツ」。
つまりこれ自体が一つの生きている『巨人』そのものなのだ。ギリシャ神話のヘカトンケイル、ギガースであり、聖書でいうなればゴリアテやネフィリムである。
そして、この巨人の器に「黙示録の四騎士」を招き寄せ、「物理的肉体を持った疑似的四騎士」として行動させるのだ。
そして、コクピット内部には両手両足を切り落とされて胴体部と頭だけしか存在しないグレイズ・アイン方式で文字通りの『人機一体』と変貌しているのだ。機体を解析して、そのキモさを悟ったロボ部は必ずやこのグロ機体を叩き潰さなければならないと誓った。
「こっちは俺たちが引き受ける!!ホワイトライダーとペイルライダーは頼んだぞ!田舎ニキ!!幼女ネキ!!」
「ブラックライダーが余るんだよな……!!どうしようかねぇこれ!!」
そんな事を叫びつつ、ロボ部たちとレッドライダーの戦いは開始された。
──―宮城県、仙台市シェルター。
セツニキやカズフサニキが流した欺瞞情報により、過激派はここに『ロンギヌスの槍』が保管されていると情報を入手していた彼らは同時多発蜂起を起こし状況を攪乱。そして大規模な反乱によって攪乱を起こしているうちに特殊部隊で聖槍の奪取を行おうとしていたのである。
だが、その過激派の特殊部隊を防がんと立ち塞がる聖槍の守護部隊が存在した。それはかの【一神教調和派】の戦力たちである。
その戦力の前に立ちながら【一神教調和派】に所属する【大天使メルキゼデク】は皆を叱咤激励した。
「聞くがいい! 一神教の同胞たちよ!! ガイア連合はかの『聖槍』の護衛を我々に託された!! これほど誉れ高い任務を任されるということは我々がそれだけ信頼されているという事である!! 大義は我らにあり!! 迎撃せよ!!」
おおおおおッ!! と一神教調和派の面々の士気はまさに最高潮に達していた。
かの聖槍、ロンギヌスの槍の護衛任務、その上七大天使のうちラグエルの加護を受けている天使人間である【コハル】と、名前は秘められているがもう一人七大天使の加護を受けている者*12がガイア連合に存在し、大天使たるメルキゼデク自身もそれを認めている。これだけの大義名分が揃っていては一神教に属する人間としては盛り上がらない方がおかしいというものだ。カルト外道集団のメシア教などブッ飛ばしてやるぜ!! と一神教調和派のシスターたちは過激派の迎撃を必死で行っていた。
「ヤコブ神拳絶技!【ヤコブの手足】【ゴッドハンド】ッ!!【雷霆蹴り】ッ!!」
一神教のシスターである桜子はメルキゼデクと共に前線に立ち、天使たちに対して自らの特技である【ヤコブ神拳】と零距離銃撃を次々と敵に叩き込んでいく。そして、陣形が乱れたところに襲い掛かっていくのは調和派のシスターたちの銃から放たれる天使たちに混乱をもたらす【ラグエル弾】である。
「ラグエル弾撃てー!! ラグエル弾で弾幕を作り出せ!!」
ピシピシッと天使たちに命中するラグエル弾。だが、その弾丸が命中しても混乱する天使は少ない。それは恐らく天使たちに混乱防止のステータスが付与されているからだろう。
「ふ……。ふははは!! 何が「光に復讐するもの」だ!! 所詮堕天使に零落した天使!! そんな天使に何を言われても痛くも痒くもないわ!!」
「貴様ァ!! それは単に開き直っているだけではないかッ!! 鉄拳制裁ッ!! 制裁制裁制裁制裁ィイイ!!ならば新兵器の登場といこう!!やるがいい!!」
「了解ッ!!メルキゼデク様!!これを食らいなさい!!」
ラグエルの力を付与された天使人間【下江コハル】が持ち出してきたのは文字通り大砲とも言える彼女の身長ほどもある巨大な砲台だった。それは新しく開発された試作式対天使礼装【汝埋葬にあたわず】*13である。
大天使サリエルが元霊である「邪視ネキ」*14のMAGと大天使ラグエルが元霊のコハルのMAGを同時に封入し新しく開発された『対天使堕落魔術礼装』それこそがこの【汝埋葬にあたわず】である。
「罪を犯した天使を堕天させる」サリエルの権能&「天使の行いを監視する」ラグエルの権能が合わさったその武器は、いうなれば対天使審判機能である。ここから放たれた光を食らった天使はラグエルの審判を受け、それにアウトを食らった天使はサリエルの権能により堕天され醜い存在へと零落させられる。
それは「自分たちは神の愛を受けている」と思い込んでいる天使に現実を突きつけるという何よりの尊厳破壊兵器ともいえる。それを見てラグエル弾を凌ぎ切った天使たちも思わず悲鳴を上げる。
「ひ、ヒィイイイイ!! む、向けるな!! そんな物を我々に向けるなぁあああ!!」
「「そんな物」だと? どうした? 貴様らが罪を犯していないと胸を張っているのなら、サリエルとラグエルの審判を大人しく受けてみるがいい!!」
「了解ッ!! 食らいなさいッ!! 試作型対天使審判術式霊砲『我埋葬にあたわず』……もとい『汝埋葬にあたわず』発射ッ!!」
コハルはしっかりと腰を落として反動を受け止める体勢になると、『汝埋葬に能わず』のトリガーを引いてその銃口から膨大な光束が迸る。
その光をまともに命中した天使の白い羽はボロボロと抜け落ち、その肉体自体が耐え切れずぐじゅりぐじゅりと崩れさり、腐敗し、次々と天使たちの存在を零落した【スライム】あるいは【堕天使 グリゴリ】へと変貌させていく。それはかつて邪視ネキの中の【大天使サリエル】が行った事を霊的に再現できないか? と開発された術式である。
「ヒ、ヒィイイイイ!!」
サリエルとラグエルの力が込められた光によって堕天・腐敗したかつての同胞を見て、他の天使たちは一斉に悲鳴を上げ恐慌状態へと陥る。それだけ天使にとっては罪人認定を受けて堕天するのは屈辱的なのである。
コハルは、このおおっ! と砲身を振り回し、横凪に天使の群れに対してサリエルとラグエルの審判の光を照射し、次々と天使たちを【スライム】か【堕天使グリゴリ】へと変貌させていく。
しかも、この【堕天使グリゴリ】は明らかに霊質が崩壊し、それだけではなく腐敗し腐れ落ちている。
その腐れはてた肉塊となったグリゴリたちにもはや戦闘能力などありはしない。否、それどころか【屍鬼コープス】や【悪霊レギオン】にまで零落してしまう元天使たちすら存在するほどである。
「やった!! 思った以上に効果あるじゃない!! これなら……あちっ!!」
バシュウウウ!! と赤熱化した『汝埋葬に能わず』の砲身から猛烈な煙が噴出される。予想以上の過負荷により冷却機能が追い付かずに砲身がオーバーヒートしてしまったらしい。
まだまだ試作兵器である以上、連射機能に難があるらしいがそれでも十分な能力を示したといえる。
この術式砲台が完成の暁には天使どもなど纏めて堕天させてくれるわ!! と技術班もノリノリだったため、十分な実戦運用データが取れたといえるだろう。ともあれ、その多数の天使たちを堕天させた大砲に過激派は怯えのため混乱をきたし始めた。
「うぉおおお!!このまま押し切れぇええ!!過激派どもを根絶やしにしろぉおお!!」
マライカアーマーは元々インドで出そうと思っていましたが御蔵入りしていて、ちょうどいいから出しちゃえ、という流れになりました。
ブラックライダーは星杖ニキと戦う流れにしようかな……?と考えています。