──―マザーバンガード船内。砲撃などで微かな振動が響き渡る中、一人の少年と金髪を肩で切りそろえた美女が室内で会話を行っていた。それはロボ部が作り出したエヴァ初号機に搭乗するシンジニキとその式神であるリツコだった。本来彼らも過激派迎撃のための戦力とされていたのだが、急遽出撃禁止を言い渡されてしまい、それに納得がいかないシンジは自分自身の式神であるリツコに食ってかかっているのだ。
「おかしいですよミサトさん!! じゃなかったリツコさん!! 何でエヴァが出撃禁止なんですか!!」
「分かってるでしょシンジくん。生命の樹とエヴァは『相性が良すぎる』下手をすれば過激派にエヴァが乗っ取られるか旧劇場版の人類補完計画みたいな事になりかねないわ。大人しくしておきなさい」
某新劇場版は皆に衝撃を与えた作品であり、そこでもエヴァと生命の樹は大きな役割を果たしていた。
そして結果として『人類補完計画』が発動し衝撃的なラストになってしまう。アレを見ている人たちにとっては、生命の樹を持ち出してくる奴らに対してエヴァを出そうとは思わないだろう。十二分に戦力は整っている状況でわざわざエヴァとシンジを前線に出す必要もない。そのため、シンジたちはマザーバンガードの中で待機を命じられたのだ。シンジもそれが分かっているから大人しく出撃禁止には従っているが、やはり感情では納得できないというのも当然である。
「クソッ!! せっかくのマッカの稼ぎ時なのに!!」
「まあ……少年を最前線に無理やり立たせるほどガイア連合の戦力は枯渇していないという事よ。ここはおとなしく様子見と行きましょう」
「でも……あの……幼女ネキは……?」
そのシンジの言葉に、リツコはそっと目をそらした。
COMP内部から姿を現した黒い異形の巨人、顔面を箱型バイザーが覆い両側頭部にブレードアンテナが伸び、背中に二対の円盤状のレドームが存在している漆黒の巨人『ブラックライダー』。
黙示録の四騎士のうち『ブラックライダー』が憑依しているこの機体は、本来は【光学迷彩】*1を所有し、周囲に溶け込んで後方攪乱を行うための機体である。
だが、この【光学迷彩】は完全に姿を消せるものではない不完全な物だ。それでも半透明ぐらいにはなれるので、それを活用しようとした時、ブラックライダーの目の前に一人の人間が現れる。
ブラックライダーからすれば踏みつぶせるほどの存在でしかないそのコートを纏った初老の老人は、スラリ、と剣を抜いて18mはあるブラックライダーと対峙する。
それを見て、ブラックライダーは思わずせせら笑う。あんな小兵ごときが何ができるというのだ。だが、そのブラックライダーの嘲笑に答えるように、その初老の人間【星杖ニキ】*2は剣を逆手に持ったまま不敵にほほ笑む。
「なるほど……。巨人斬りならぬ『機神斬り』ができるとは……。サージェスニキの言葉を借りれば『結構結構!! 実に結構!!』と言ったところでしょうか。巨大ロボを刀一本で切り裂くとは……漢の浪漫と言えますな。実に面白い!!」
「かのライドウが行ったとされる『戦艦斬り』には至らぬ物の『機神斬り』ができるとなれば少しはライドウに近づけたというもの。喜んでお相手をさせていただきましょう」
にこやかな表情でそう楽し気に言葉を放つ「星杖ニキ」に対して、それを踏みつぶさんばかりの威容を誇るブラックライダーはツインアイを光らせながら言葉を放つ。
『ほざくな虫けらが!! ブラックライダーの力を見せてやる!!』
ブラックライダーはメシア教海上艦艇の艦砲として利用されていた兵器を転用したレールキャノンの砲身をヴィザニキへと向けるとその砲身からブラックライダーの権能を秘めた氷の弾丸を射出していく。
『【荒廃の訪れ】*3【ブフバリオン】!!」
レールキャノンの砲身から放たれるのは通常の弾丸ではなく、ブラックライダーの力が込められた氷結の弾丸である。猛烈な勢いで乱射される【ブフバリオン】の弾丸。しかし、星杖ニキはそれを華麗な回避と疾走で次々と回避していく。それは彼が取得している縮地法(戦闘時、あらゆる障害物を無視した移動が出来る)の効力と身に着けた禍除けのケープマント(魔法回避率が上昇するマント)のお陰である。しかもそれを回避しても星杖ニキの服の表面にピキピキと次第に凍り付いていく。
これは【荒廃の訪れ】の効果である敵全体に15%の割合ダメージを与えるという効果だ。
正直、ブフバリオンは回避できるが、この【荒廃の訪れ】の割合ダメージは回避することができない。彼にとってこちらの方が遥かに厄介だと言えた。ブラックライダーより遥かに小型であり、小回りが利いて俊敏性に優れているという特性を生かして、まるで飛び回るようにしながら【ブフバリオン】の弾丸を回避していく星杖ニキ。
それに痺れを切らしたのか、ブラックライダーは広範囲の面制圧へと切り替えていく。
『ならばこれを食らえ!! 【荒廃の訪れ】【マハブフバリオン】!!』
それを見たブラックライダーは今度は氷の弾丸ではなく、レールキャノンの砲口から猛烈な冷気を放ち全方位の面制圧攻撃に切り替える。まるで火炎放射器の氷版とも言える猛吹雪は星杖ニキに襲い掛かり、いかに回避力に優れる星杖ニキでも回避しきれない面制圧を食らってはひとたまりもない。禍除けのケープマント(魔法回避率が上昇するマント)で全身を覆いながら、彼のシキガミである空飛ぶ剣『オルガノ』がカバーを使用してその冷気を受け止め、切り裂いていく。星杖ニキもそれに加え、自らの剣である杖刀“斬鉄”で冷気を切り裂いていくがそれでも完全に防ぎきることはできず、体のあちこちに凍傷を負ってしまう。いくら切り裂いてもまた切り裂いた場所に冷気が流れ込んでくるから気体系の攻撃は厄介だな……と思わず心の中で呟いてしまう。
「……!! 今すぐ回復を……!!」
「いえ、回復は結構。このままいきます」
『それじゃ……こちらが困るんだよなァ!! 【精神支配】*4 ッ!!』
ブラックライダーの背中の二対の試作戦術型ユニットレドームから、猛烈な精神支配波が発生し周囲の人々を汚染して支配していく。黙示録の四騎士の精神支配を免れるなど高位の黒札でもない限り防ぐことは難しい。
離れてこちらをうかがっている現地民やLVの低い黒札たちも、その精神波の干渉を受けてある程度行動を操られてしまう。
「ガ……ギ……!!」
「ア……ガ……!!」
ブラックライダーの精神支配感応波に支配された人々は、震える手で懐から回復系アイテムを取り出し、星杖ニキへと次々と投げつける。
「……? 何を……? 敵を洗脳させて敵を回復させる……? 何故そんな事を……?」
「ハハハハァ!! 『回復』したなぁ!! ならば我が『飢餓』の権能を受けるがいい!! 【ソウルバランス】 *5ッ!!」
そうブラックライダーが叫んだ瞬間、回復したはずの肉体からごっそりとHPが削り取られ、その膨大なHPは全てブラックライダーへと流れ込んでいく。自らの所有しているHPの半分、実質生命力の半分を削り取られた星杖ニキの片腕・片足はまるで氷のように冷たくなって動かなくなってしまう。
そんな状況でまともに剣が振るえるはずもない。
「ぐ……ぬッ!!」
その瞬間、彼の肉体から自分自身の暖かさ……有しているHPとMAGがちょうど半分ごっそりと削り取られていく。問答無用でHPの半分を削ぎ落された星杖ニキは思わず唸り声を上げる。自分自身の半身を削り落とされたにも等しい状況に、唸り声だけで済ませるのは大したものだ、といえるだろう。これはブラックライダーの【飢餓】の権能を象徴する力【ソウルバランス】である。奪い取られた星杖ニキのHPの半分はブラックライダーへと吸収され、みるみるうちにブラックライダーの負った傷が回復していく。
高位の黒札のHPとMAGの半分を奪い取れて、その凄まじい溢れる力にブラックライダーは思わず歓喜する。
「なるほど……。『その程度』ですか。獲物を前に舌なめずり。三流のすることですね」
HPの半分を削られながらもニヤリ、と不敵にほほ笑む星杖ニキ。彼らのような修羅勢にとっては「HPを半分も奪われた」ではなく「半分も残っているし食いしばりも使っていない。ここからが本番だ」と考えるのがほとんどである。そんな彼らからすればHPを半分奪って歓喜しているブラックライダーはそんなことしている暇があったら追撃を仕掛けて確実に仕留めろ、と言わんばかりである。まさに「獲物を前に舌なめずり」と言ったところだろう。
「それに私は戦略は詳しくありませんが……。そもそも機体の運用自体を間違えている。その機体で後方で光学迷彩を使用して情報収集、あるいは【光学迷彩】を使用して敵陣奥深くに侵入、さらに【精神支配】を使用して後方陣地の人々を洗脳して攪乱した方が万倍役に立つ。それをされたらガイア連合のシェルターでも一つや二つは容易く陥落していたでしょうな」
『黙れ!! 大人しく我の糧になれ!!』
言外に「脳筋」と言われたブラックライダーは怒り狂ながら攻撃を仕掛けようとするブラックライダー。だが、それに対して星杖ニキもただ棒立ちしているほど甘くはなかった。
「こちらとしてもこれぐらいの小細工は……させてもらいましょうか!!」
星杖ニキが手にしたのはいつも所有している杖刀“斬鋼”ではなく、サブの武器である小刀である。そしてその小刀……正確に言えばその『鞘』に秘密はある。この鞘は「3分間、自分の武器の相性を神経相性に変化させる」という能力を持つ『神経の鞘』である。さらにこの小刀にはバッドステータス『盲目』をつける効果が付与されている。つまりこの小刀には『神経による「BIND」または「PALYZE」効果』&『盲目』を付与させることができる星杖ニキの切り札である。
星杖ニキは、その小刀を投擲するとそのままブラックライダーの箱型バイザーへと突き刺さる。ツインアイを狙ったのだろうが、あいにくこのブラックライダーはきちんとツインアイをバイザーで防御している! 問題はない! とブラックライダーが考えた瞬間、彼の全身は麻痺状態&盲目状態へと陥った。
それは一瞬のスキではあったが、星杖ニキにとっては十分な時間すぎた。自らのシキガミ武器『オルガノ』を手にした星杖ニキは、そのまま大剣を振りかざしてブラックライダーの脳天に一撃を叩き込む。
「終わりにしましょう。【気合】、秘剣【神技一閃】ッ!!」
まさに電撃一閃の刃。兜割とも言えるその一撃は、ブラックライダーの頭部を見事に叩き割り、そのまま胴体すらも一刀両断に叩き切る。
そして、レッドライダーを対峙するのは魚沼シェルターのロボ部の黒札たちである。
警備・護衛仕様のGタイプ(ガード)タイプの武装を装備したF90は、大型のマルチプル・ビーム・ウェポンからビーム刃を展開し、レッドライダーの手にする大剣、ツヴァイ・ハンダーとぶつかり合う。
「俺は!! 俺は! スペシャルで! 2000回で! 模擬戦なんだよ! こんな場所で死ねるかぁあああ!!」
パイロットであるパトリックがそう叫ぶと同時にF90は左肩部を覆う大型シールドから【テトラカーン】と【マカラカーン】を展開。まさしく警備・護衛の名に恥じない鉄壁のタンク役となってレッドライダーの攻撃を受け止め、弾き返す。
そして、そんなF90がレッドライダーを足止めしている間に、ダンバインとキングゲイナーがお互い連携攻撃を仕掛けてレッドライダーを削っていく。そしてファイアーバルキリーはその本質である音声によるバフ・デバフをかけて彼らを支援していく。【勇奮の鼓舞】*6【いのちのうた】*7【死の旋律】*8【たかぶりのうた」*9などをかけることによって、味方を支援していき敵の戦力を削いでいくという息の取れた連携攻撃である。
さらにそれに加えて、マザーバンガードからの砲撃やサージェスニキからの遠距離攻撃なども加わっていくのだ。
「うぉおおおお!!! お前を倒してマッカをブン取る!! マッカを寄越せ!! そしてぇ……ガイアアニメーションに頼んでダンバインの新作映像を作り出すんだぁあああ!!」*10
「思いっきり私欲で草」
「この件に関しては普段殴り合いしてる呉支部とのダンバインとがっちり握手して協力してるからなぁ……」
羽を震わせて高速飛行をしているダンバインとハイロウを展開して高速飛行を行っているキングゲイナーはその小型な機体を生かした高速飛行攻撃を食らいながらレッドライダーは少しずつ機体にダメージを負っていく。
彼らを叩き落そうとしても、Gタイプの装備を行っているF90がタンク役となってレッドライダーの大剣の攻撃を巧みに防いでいる。それに業を煮やしたレッドライダーは、自分の切り札を切る。
『【AREUS】起動ッ!! リミッター解除ッ!!』
それはハルカたちが使用する【MAG燃焼】である。自らの体内に存在するMAGを燃焼して限界以上の力を発揮する能力。それを行うのが【AREUS】である。機体内部の無数の天使【ケルプ】に【ラフムの泥】と【息壌】を併用して作成した異能者の【生命の樹】を融合させて人工筋肉が悲鳴を上げて限界以上の力を発揮される。
『食らうがいい!! 【鮮血の訪れ】*11【テラーソード】ッ!! *12』
「させるかぁあああッ!!」
ダンバインとキングゲイナー纏めて両断せんと襲い掛かったレッドライダーの全力の横凪の一撃。だが、そうはさせじとF90の大型のマルチプル・ビーム・ウェポンのビーム刃。だが、レッドライダーの全力の一撃は、そのビーム刃すらも切り裂き、マルチプル・ビーム・ウェポンを両断する。そしてその死の刃はF90の胴体部へと迫りくる。
「うぉおおおお!! イケメンは!! 死なねぇえええ!!!」
F90の操縦者である「」はとっさに左肩の大型シールドと左腕を盾にすることによって、レッドライダーのツヴァイハンダーの刃を受け止める。そして、それが切り裂かれる瞬間に、残ったマルチプル・ビーム・ウェポンの刃で左腕を切り落とし、スラスターを吹かす事でその場を急速離脱する。
そして、その隙を見計らって迫りくる機体の影があった。それは──―。
『────行くぞ、レッツ・マイトガイン!!』
F90たちが時間を稼いでいる間に駆けつけてきた列車ニキが乗っている機関車を模した大型支援列車『ロコモライザー』が変形すると同時に、ロボ型シキガミ『ガイン』並びにデモニカ戦闘機『マイトウイング』へと変形。
そして、瞬時に変形・合体シークエンスを完了させる。
『銀の翼に希望を乗せて、灯せ平和の青信号────』
完成した『マイトガイン』は主兵装である動輪剣を抜刀し、その巨大な刃で己の必殺技である【動輪剣・横一文字斬り】を渾身の一撃を叩き込んで隙だらけになったレッドライダーに向かって振り下ろす。
『────勇者特急マイトガイン、定刻通りにただいま到着!!!!』
マイトガインの【動輪剣・横一文字斬り】を叩き込まれ、レッドライダーはブラックライダーと同様に真一文字に一刀両断され、レッドライダーもブラックライダーと同様に爆発四散していった。
『オオオオォオオオ……!!』
そして、凍矢の前に立ちふさがる機体。それは純白の塗装にまるで王冠のようなアンテナが付いた頭部、マントのような大型放熱板、そして手にする巨大特殊兵装『シェキナー』を所有する『ホワイトライダー』である。
だが、目の前のホワイトライダーは、今まで出現したデータから感じられた「黙示録の四騎士」とはまた別の感覚を感じさせた。高位能力者の霊的直観は頼りにするべきである、とセツニキも口にしていた。
そう、その異様な気配は、ホワイトライダーの手にした特殊兵装である。そこから感じられる異様な気配……大地母神の気配と反する法の気配。大地母神と法の力、そして「シェキナー」という武装の(ガノタ知識)によって全ては一つに繋がった。
「まさか……それは……『シェキナー』か!!」
シェキナー。それはホワイトライダーが所有している特殊兵装である。だが「シェキナー」の名を有する存在はメガテン世界に存在する。
それは女神転生……いや、「ストレンジジャーニー」内で登場する「神霊シェキナー」である。メムアレフの対となるロウ的側面の大地母神である。当然そんな存在がいかに魔界地球であろうがホイホイと姿を現すことはできない。だが、魔術世界には「類感呪術」というものが存在する。
類感呪術は、似たもの同士は互いに影響し合うという「類似の原理」に基づいている魔術である。つまり似た名前が存在すればそれを通して他の存在にも力を及ぼせる。
「シェキナー」という名前、そして法の力によって鍛造された特殊兵装は、地球意思「シェキナー」と共感し、その力の万分の一程度をこの特殊武装は受け継ぐ事になったのだ。
『実りを……実りを寄越せ!! デメテルの分霊を寄越せ!!』
まるで餓えたケダモノのようにホワイトライダーは叫びをあげる。宇宙卵も「実り」も存在しない、本編のシェキナーの万分の一程度の程度の力しか引き出せないホワイトライダーと融合したシェキナーが考えたのは、デメテルの分霊を取り込んで少しでも力を取り戻す事である。そして、デメテルの分霊の匂いを漂わせている存在が目の前にいれば襲い掛かってくるのは当然である。そう、それは以前にデメテルの分霊を取り込んだ凍矢である。
「そうか……デメテルの分霊……というより田舎ネキの匂いに引き付けられて俺を襲い掛かってきたのか……」
ホワイトライダー……というか『神霊シェキナーの破片』と四騎士のホワイトライダーの融合体ともいえるホワイトライダーではあるが、同じ名前とロウの力という繋がりだけで宿ったシェキナーは本体の神霊シェキナーの満分の一程度にすぎない。そのため、力を取り戻すための活動の第一歩がデメテルの分霊の取り込みを行おうというのだ。
「でも残念!! 俺は分身なので中に田舎ネキはいません!! 本体じゃなくて分身を派遣した本体GJ!!」
だが今の凍矢は田舎ネキが存在しない分身体である。ホワイトライダーはただデメテルの分霊の残り香に引きずられたに過ぎない。それでもホワイトライダーは彼を取り込み、さらに田舎ネキ&凍矢の本体も取り込まんと襲い掛かってきた。それに対して、凍矢の分身体も仲魔であるザオウゴンゲン……千雪と共に戦いを挑んでいった。
次回は田舎ニキVSホワイトライダー&幼女ネキVSペイルライダーをやろうと思います。