「ははははははは!! ははははははは!!」
召喚された四騎士の一騎、ペイルライダー。漆黒の塗装で覆われたその機体を目の前にして呵呵大笑しているのは、六本腕にそれぞれ銃装剣(ソーデッドカノン)を手にした異形で禍々しくもありながら神々しい機体『イカルガ』のコクピットに乗っている一人の少女、すなわち『幼女ネキ』である。
ロボ好きな彼女にとって、ロボ同士でぶつかり合うこの状況はかなりご機嫌なシチュエーションであるらしい。
コクピットの中で腕を組んで呵呵大笑しながらペイルライダーに対して言葉を放つ。
「なるほど! ペイルライダーか!! 以前ハルカが黙示録の四騎士と戦った事があったが……見たところ、あの時のように一つの騎士が落とされたら能力がほかの騎士に移動するということはなさそうだな。
つまり! 個別に分けて撃破すればいいだけの話!! いいだろうペイルライダー! 貴様は私が薙ぎ払ってやろう!! ハルカへのいい手土産になりそうだからな!!」
「先手は打たせてもらうぞ!! 『【混合式・蓋棺鉄囲山】』ッ!!」
その言葉と共に、幼女ネキが作り出した領域が展開され、イカルガとペイルライダーの周囲が結界で遮断されていく。周辺の地形は火山へと変化させ、さらに【招雷吼】を組み込む事によって、周囲の空間は猛烈な炎と雷で荒れ狂う空間へと変貌する。さらにクトゥルーと戦った時のように結界内を『火』の属性を強める事によってペイルライダーがまき散らす【疫病】の細菌やウイルスもその高熱で焼き払い、浄化を行っていこうというのだ。いかに強力な病原体と言えど、高熱で焼き尽くされてしまってはその効果を失う。ましてやテュポーンの狂暴な霊力を秘めた雷撃と火炎の嵐の前では、いかにペイルライダーの【疫病】と言えど焼き尽くされてしまうのは当然である。
「この領域の外に貴様の疫病をまき散らすことはできん。私の雷撃と炎が疫病を焼き尽くすからな。出たければ私を倒すがいい!!」
イカルガに乗った幼女ネキが、まずはペイルライダーがまき散らす疫病によって東北を汚染されるのを防ぐためである。疫病を操るペイルライダーならばその疫病を大都市シェルターに向かってまき散らそうとするのが自然だろう。そんなことになれば、県全体に対して大ダメージになってしまう。
それを防ぐために、幼女ネキは火と雷で疫病を焼き尽くす領域を展開して周囲の空間を遮断したのである。
『……良かろう。ならば食らうがいい。【黄泉の訪れ】*1【ザンバリオン】ッ!!』
ペイルライダーは手にした巨大なマシンガンから、【サンバリオン】で構築された衝撃の弾丸ともいえる攻撃を連射する。おまけはこれは【黄泉の訪れ】によって衝撃貫通と基礎確率100%で毒を与える効果【疫病の権能】も付与されている。これだけで大都市を容易く滅亡させるだけの効力をもつ非常に危険な存在である。
「ほう、貴様……。本霊がテュポーンである私に衝撃で挑もうというのか? 台風の語源であるテュポーンに? 百年早いわ!!」
だが、それに対してイガルガ内部にいる幼女ネキはにやりと不敵に微笑むと、イカルガも銃装剣(ソーデッドカノン)で迎撃を行う。イカルガもそのマギウスジェットスラスタから発生する機動性を生かして、ザンバリオンの弾丸を回避しながら迎撃を行うが、完全には回避しきれずに弾丸を食らってしまう。そして、イカルガの機体に毒がまき散らされたと思ったペイルライダーは自らの切り札を切り出す。
『黙れッ!! 『【ペストクロップ】ッ!! *2』
つまり、ロボ部のロボが基本的に生体兵器、人工筋肉を使用しているが故の弱みを突こうというのだ。
完全に機械でない生体部分が多いのなら、毒が効くのは必然。疫病で人工筋肉を汚染させることができれば、こちらの好き勝手に機体を操ることも可能なはずである。毒に汚染されているのなら、切り札のペストクロップでHP半減、黒死病を主とするあらゆる病気でさらに人工筋肉を汚染することが可能だろう。
だが、そのペイルライダーの目論見は、幼女ネキの一言で粉微塵にされた。
「ふっ……。バカめ! 私のイカルガの人工筋肉はファフニール!! その特性としては『毒無効』だ!! いかに貴様の疫病が強力でもイカルガの人工筋肉には通用しない!! 残念だったな! このまま粉々に粉砕してくれる!! くたばれッ!!」
イカルガの六本の銃装剣(ソーデッドカノン)が唸りを上げ大火力が次々とペイルライダーへと叩き込まれる。ペイルライダーも火力こそあるものの、大火力に耐えられるほどの耐久性はない。必死で回避するがそれでも無尽蔵ともいえる面制圧砲撃に完全に回避しきれず、ついには粉微塵に打ち砕かれることになった。
「機神召喚ッ!デモンベインッ!!」
ホワイトライダーと対峙していた凍矢は、自らの切り札の一つである機械神……【破裂の人形】の本霊である【デウスエクスマキナ】……【デモンベイン】の召喚を行う。デカブツにはデカブツをぶつけんだよ!! という至極単純な理論である。九頭竜以来のデモンベインではあるが、【破裂の人形】がいない上に分身体である凍矢では制御が難しくなっているが、脳缶ニキの用意してくれた【機械言語翻訳版ネクロノミコン】と鑑定ニキが見つけた【フィレタスの10世紀ギリシャ語版ネクロノミコン】*3をシキガミ化させたシキガミ【アル・アジフ】の力で制御を行っているのである。
その【デモンベイン】に対して、ホワイトライダーは自らの大型神霊兵装『シェキナー』を【デモンベイン】へと向けてその力を解き放つ。
シェキナーの砲台から凄まじい光が解き放され光の束が放出される。何もかも打ち砕く万能の力。しかもそれだけではない。向こうの能力を向上させる【羽繕い】とこちらの力を低下させる【天罰】の相乗効果により、威力はさらに向上しているのだ。ダメージブーストが難しい万能攻撃ではあるが、こちらの能力低下と向こうの能力向上ならば十分にダメージは向上していると言える。
しかもこの厄介なところは、『敵全体に万能ダメージ』『敵全体の能力ダウン』というところである。
つまり、ほかの四騎士やネフィリムたちと戦っている黒札の能力も低下させてしまうのだ。これは早く倒さなくてはならない、と凍矢はデモンベインを操作して、ツァール&ロイガーを召喚。卍型のブーメラン形状にしてホワイトライダーへと投げつけていく。
「ハハハ! 無駄だ!! 【中庸のトーラ】*6ッ!!」
その言葉と共に、ホワイトライダーに神霊シェキナーの力がこもったバリアーが展開され、デモンベインが放ったツァール&ロイガーのブーメランが弾き返される。
これはニュートラルスタンスの攻撃を全て弾き返すという神霊シェキナーの特殊能力である。凍矢の属性はニュートラルであり、ホワイトライダーが【中庸のトーラ】を張り続ける限り攻撃が反射されてしまう。
「ならば……これを!!」
そう叫んだのは「破裂の人形」の代わりに乗り込んでいるザオウゴンゲン……もとい桑山千雪である。ソウルハッカーズでは鬼神族/破壊神に位置するザオウゴンゲンは属性としては「LIGHT-CHAOS」だ。
彼女は自らの力である【究極不滅の怒髪天】*7【ゴッドハンド】*8をバルザイの偃月刀に込める事によって「カオス属性の攻撃」へと位置づけようとしたのだ。この一撃ならば【中庸のトーラ】を突破できるはずである。
だがその一撃は中庸のトーラは突破できたが、さらなる新しいトーラ……【混沌のトーラ】ではじき返されることになった。弾き返されて反射させられたゴッドハンドの一撃は、デモンベインのバルザイの偃月刀だけでなく、右腕すらをも半壊させた。それを見ながらホワイトライダーは彼を嘲笑した。
「くくく……ハハハ!! 無駄無駄!! 今の私はいわゆる『チート』だッ!!
【秩序のトーラ】*9【中庸のトーラ】*10【混沌のトーラ】*11
これら三つのトーラを超高速でシャッフルして展開しているのだ!! つまり今の私は秩序・中庸・混沌のあらゆる攻撃を反射できる絶対防御能力を有している!! 今の私には……あらゆる属性の攻撃が通用しないッ!! これぞまさしく『チート』だと言えるだろう!!」
「チートを使うのを偉そうに言うな!! これだからチーターは……!!」
とはいうものの、三種類のトーラを超高速で展開し、それによって自身のHPをみるみるうちに回復していくホワイトライダーは確かにチートと言っても過言ではなかった。
たとえトーラをすり抜けて攻撃を仕掛けても、トーラの回復能力でみるみるうちに回復していってしまう今のホワイトライダーは、実質『完全反射』&『HP無限回復』チートと言っても過言ではない。
そして、そんな調子に乗ってぶいぶい言わしているホワイトライダーに対して正直イラッ☆としたのも事実である。そこで凍矢が考えた結論は一つである。自分が殴れないなら他の人たちとボコればいいじゃない! である。そう考えた凍矢は、魚沼シェルターで破裂の人形の面倒を見ている自分の本体に掲示板に書き込みをしてくれと思念波を送る。
>★【戦いとは】修羅勢総合スレ10234【パワー!!】
>1434:田舎ニキ
>みんなー!! 好きなだけ殴れる玩具があるよー!! 座標はこちら!! つ座標&情報。
「「「「好きなだけ殴れると聞いてッ!!」」」」
凍矢(本体)が掲示板に書き込んだ瞬間、トラポートで瞬時にこの戦場へと転移してきた存在がいた。
まず真っ先に駆けつけてきたのはセツニキ*12。そして次に駆けつけてきたのはカス子ネキ*13と彼女についてきた邪視ネキと団長ニキである。(魔人ネキは子育てで忙しいらしい)
セツニキはニュートラルであるが、カス子ネキはカオス属性、そして団長ニキはロウ属性である。
これで三属性は全てカバーはできた。
「なにぃ~? ニュートラルは無効だぁ~? 嫌な事思い出させやがって!! それじゃこのカオス属性のカス子様がボコボコにしてやんよ!! ロウ属性代表として団長ニキも連れてきたぞ!!」
「なるほど……。各属性の切り替えに0,1秒だけのタイムラグがあるな。つまりその間は殴り放題ってことだ!! 0,1秒も隙があるなんて修羅勢を舐めるなよ!!」
「0,1秒? つまり6フレームって事だな!! なんだ余裕じゃん!! シェキナーさんくそ雑魚か~?」
ジェネリックショタおじとも言える高位修羅勢の導師(メンター)とも言えるセツニキは瞬時に、ホワイトライダー/シェキナーのチートの隙を見破り、それをカス子ネキが煽る。しかも、転移してきたのは彼ら彼女らだけではない。好き勝手殴れて頑丈な玩具があると聞いて次々と修羅勢たちが転移してくるのだ。
、近接能力だけで言えばガイア連合の最上位帯である星祭に所属する【グラG】、【シエラ婆】や高位の吸血鬼に血を吸われて高位眷属となった【阿良々木ニキ】*14、高位の仙人とも言えるトリコネキ……じゃなかった【探求ネキ】*15、メシアンの魂などを回収して駆けつけてくれた副王代理人の【脳缶ニキ】*16、大鎌使い愛好家の死神同盟の三人【鎌ショタニキ】【鎌ロリネキ】【鎌ホモニキ】、棍棒を持った【棍棒ニキ】にるろうに剣心の斎藤一そっくりの【壬生狼ニキ】*17銃器を愛するキノにそっくりな【キノネキ】*18などなどなど……。
密輸課や自力でトラポートを使える修羅勢が次々とこの場へと転移してくるのだ。そしてその目的はただ一つ。
「「「好きなだけ殴れる面白い玩具があると聞いてッ!!」」」
「チーター狩りだ!! 狩りの時間だ!! 祭りだ祭りだ!!」
「すげえな! 流石超越者だ! 本当に死なねえぞ!!」
「全属性反射!? オモロがすぎるやん!! 色々試してみようぜ!!」
「混ぜろ混ぜろ!! 俺たちも混ぜろ!! 祭りだワッショイ!!」
「なあお前チーターだろ!?なあ!チーターだろお前!!」
「チートごときでこのメガテン世界勝てたら苦労しねぇんだよ!!」
「神霊にボクの銃火器がどれほど効くか絶好の的だね。」
「なるほど。神霊ですか……。興味深いですね。試したい仙術があったので試してみますか。」
「お前がチーターか……。神霊とやるのは初めてだ……退屈させてくれるなよ。なるほど。そういう動きもあるのか。面白いな。どうした? 面白いのはこれからだろう、動けよ」
そんな次々と攻撃を仕掛けてきた多数の歴戦の黒札たちにホワイトライダーが
『貴様らふざけるなぁああ!! 恥ずかしくないのか!! 恥を知れ恥をぉおおお!!
囲んで殴るとか誇りはないのか!! 戦士の誉れはないのかぁああああああああ!!』
『何か勘違いしているようだな。ホワイトライダー&シェキナー。
これは一対一の決闘じゃない。棒で囲んで叩くただの狩りでしかない。
チートを使って黒札を挑発したんだから、ネタや玩具にされて当然だろ? せいぜいみんなを楽しませる玩具になってくれよな!!』
『あああああああああぁああ!!』*19
その後、過激派たちは殲滅され、残党たちもKSJ研究所や脳缶ニキたちが連れ去っていき、隠された拠点もそのうちKSJ研究所や脳缶ニキたちの強襲を受けて壊滅させられるだろう。KSJ研究所が提案した「ロンギヌスの槍で釣る」作戦は大成功を収め、凍矢や皆の活躍によって東北新幹線の霊線構築は行われる事になった。
そして、そのできたばかりの路線に、冥界エクスプレスとはまた異なる列車が走っていた。
──―『魔列車』。それはセツニキが探求ネキと合同開発した独自の列車であり、セツニキが終末……「大崩壊」によって亡くなった多数の人たちのために作り出した特別な列車である。
この列車は人を乗せるための列車ではない。人間たちの『迷える魂』を収集する列車だ。
かの終末、『大崩壊』によって多数の人々が亡くなり、悪魔にも取り込まれず未だに彷徨っている大量の魂が東北の地には存在する。
六道すべての世界の衆生を救う菩薩であり、冥界と関わりが深い「地蔵菩薩」や「浄土信仰」を持つ「阿弥陀仏」などの力と、死者たちの魂を乗せた鎮魂の列車であり、その走る世界は“天上”へと向かう死後の世界であるという「銀河鉄道の夜」などの解釈を付与した魔列車は彷徨える魂にとってはまさに光り輝く存在だ。(特に東北、岩手県という地域の特性上)
そこに引き寄せられていった魂たちを菩薩たちの力で保護し、狂気などを落ち着かせるために弥彦神社で行われる「鎮魂祭」を行い阿弥陀如来の西方極楽浄土や冥界へと送られる予定である。(弥彦神社で保護される場合もある)
そんな魂を集める列車に対して、黒札たちも現地民たちも、それぞれ手を合わせたり頭を下げたり敬礼をしたりそれぞれ独自の敬意を示している中、魔列車は発進していった。
──―どこかでカン高い警笛の音がなった気がした。
この後は何とか苦戦しながら鉄道網を作り上げたということでお願いします。