本編の黒札サクラコ様は「サクラコ」、こちらのサクラコは「桜子」で統一してあります。
ご了承ください。
新潟県長岡市、一神教調和派新潟支部。
だが、この支部はいつもの静かな状況とは異なり、あれやこれやとシスターたちがてんやわんやを行っていた。
それは彼女たち長岡市に拠点を構える調和派が魚沼シェルターへと招かれて穏健派の代わりに働いてほしい、という正式な要請が来たからである。
これは元メシア教という桜子はあまりいい目で見られていなかったが、彼女の長年の真摯な努力が報われた、という事でもある。穏健派は浸透のために『一時的な棄教』すら行って対象に潜り込んでいく。この偽装棄教のため「メシア教を捨てた」と言っても信用されず、渋々穏健派に戻っていく人々すらいるほどである。
だが、長年の努力によって、心の底から一神教へと変わった桜子は、ようやく凍矢や静たちの『共に働ける仲間』としての認定を受けたのである。
そして、そんな引っ越し作業で慌ただしい教会内に一人の女性が訪ねてきた。そしてそれを迎える女性……『歌住桜子』とまるで鏡写しのようなそっくりの女性。
それは一神教の大聖人とも言われる強大な霊力を誇り、三大天使すらをも使役する一神教サクラコ派筆頭、黒札である『歌住サクラコ』だった。*1まるで双子のようにそっくりな二人はお互いにこりと微笑みながら会話を行う。
「ようこそいらっしゃいましたサクラコ様」
「ふふ、自分と同じ顔の人に「様」づけされると変な気分になりますね」
まるで双子のようにそっくりな二人ではあり、名前さえもほぼ同じであるが、実際には何の関係も赤の他人同士である。とはいうものの、たびたび海外に出て自費で穏健派シェルターを支援している三大天使を使役するシスター黒札であるサクラコはこの界隈(穏健派&一神教界隈)では極めて有名人である。そして、彼女とそっくり、瓜二つである元メシア教の一神教のシスターとなれば、深い関係を疑われない方がおかしいといえた。
「私たちの関係は双子の姉妹とか黒札の影武者とか黒札のクローンとか言われていますが……」
「完全に無関係! 無関係の別人です! だけど誰も皆それを信じようとしない……。くっ……」*2
二人とも揃って例のくっ……! という苦虫を噛み潰したような顔を見せる。実際彼女たちの容貌からスタイル・声に至るまで何から何までそっくりすぎて、これで「赤の他人です」と言い張るほうが説得力がないレベルである。
周りの人間からは「黒札サクラコの影武者」「いや実は双子の姉妹」「いや実は黒札様のクローンだ」と好き勝手言っているが、そちらのほうが遥かに説得力もあり世間一般も納得している(赤の他人という真実は全く信用されていない)というのが二人にとって不本意だった。
ともあれ、嘆いていても仕方ないので、彼女たち二人は教会内のテーブルに座って紅茶のティーカップを口にしながら言葉を話す。
「それではいつもの「アレ」をしますか。……わっぴ~♪」
「わっぴ~♪ わぴわぴ? わっぴ♪」
「わっぴ♪ わぴわぴー♪ わっぴわっぴ♪ わぴわぴわぴー♪」
これはサクラコと桜子の二人にしか通じない通称「わっぴ~語」である。
彼女たちはこれだけで意志疎通ができるがほかの人間には何を会話しているか全く理解ができない。
これは彼女たちが生み出した二人だけの暗号会話! さすがWサクラコ様!! とシスターフッドの皆は尊敬の目で見ているが、別に彼女たちにそんな意識は全くない。ともあれ、わっぴー語だけ盛り上がった後、二人はお互いの状況についての情報交換を開始する。
「とりあえず、シキガミパーツの具合はいかがですか? 相性はいいと思うのですが?」
「ええ! とても素晴らしいです!! これでLV上限が上昇できるなんて!!さすがガイア連合様の技術ですね!」
そう言いながら、桜子は自らの右腕の掌を握ったり開いたりして状況を確認する。サクラコは桜子に対してシキガミパーツの移植を提案し、彼女の伝手でガイア連合からシキガミパーツ移植を受けた彼女はその違和感のなさにびっくりしていた。そして、それを見たサクラコも移植されたシキガミパーツと霊的相性がいいという桜子を見ながらほっとする。
(よかった。私の血肉を培養して作り出したシキガミパーツは彼女と相性が良さそうですね。
これなら『アレ』を渡しても問題ないでしょう)
黒札として大活躍しているサクラコは過激派の天使たちを論破して堕天させることによって「サタンの化身」「神敵」として付け狙われている。
そんなサクラコとうり二つの桜子は過激派からすればいい的であり絶対に狙ってくるに違いない。
それを危惧したサクラコは自らの血肉を培養したシキガミパーツを桜子に移植することにより、さらなる力を与えたのである。
パーツ自体の霊的相性の良さもあって、これによって桜子のLV上限はLV30からLV50にまで引き上げられる事になった。これはほむら、シンジと同レベルであり、中堅黒札修羅とほぼ同じ領域にまで達成できることになる。
これだけのLVがあれば過激派も早々手出しはできまい、とサクラコは心の中でほっと安心する。サクラコ自身は自らを【一神教の異端で非道】と認定しており、そんな彼女とそっくりであり同じく【異端の道】を選ぼうとしている桜子の身の上を危惧して底上げしてそれなりの力を与えているのである。
サクラコ自身が作成したクッキーや静岡県から仕入れた桜子が入れた紅茶を楽しみ、他のシスターたちもそれにご相伴する。サクラコのクッキーには悪夢が治ったり皆で分け合ったらお腹がいっぱいになったりするという不思議な効果がある。そのために保存のために取っておくシスターたちも多いが、サクラコは別段それを気にするほど器は狭くない。今のこの時代、紅茶とクッキーを楽しめるだけ幸せな環境であることは彼女たちも知っていたのだ。*3
「そういえば……。今まで活動していた長岡市から魚沼シェルターに正式に招かれて活躍されているとか? おめでとうございます。桜子さんの長年の辛抱強い活躍が凍矢さんにも見込まれたのでしょう。これからも穏健派の代わりに頑張ってくださいね」
「はい! ありがとうございます。凍矢様からの信頼や静様、ほむらさんの信頼に答えるべく頑張っていきたいと思います」
以前は確執からほむらも彼女を殴ったことはあるが、桜子の地道な長年の活動を見てきた被害者であるほむらも彼女のことを認めて、魚沼シェルターで穏健派の代わりの活動を許されることになったのである。
実際、これは同じ黒札である桜子の活動を認めている幼女ネキの後押しや黒札のサクラコからの声もあって叶ったことである。
今の桜子は、一神教調和派にして一神教サクラコ派の大幹部(実質腹心にして影武者)の地位まで上がっている。
黒札であるサクラコから合法結界の作成の仕方や超一流のサマナーである彼女から直接サマナーとしての訓練を受けており、自らもサクラコと同じ教育をほかの一神教のシスターたちへと教える事ができるというサクラコ派の腹心としての活動も行っているのである。
「サクラコ様の教えにより、私もサクラコ様の 『信仰の力』を『退魔の力』に変換する結界構築が可能になりました。これをロザリオに付与してあちこちの一神教教会に配ろうかと」
「おお! 素晴らしいですね! これほどの才能を誇る私のそっくりさんがいるとは……私も誇らしいです。
貴女のような女性を私と同じ人でなしにするのは気が引けるのですが……それでも大事な物を守護するために私と同じ道を選ぶのでしょう。
こちらはガイア連合の最高峰のCOMP、そして私の関係者であるという金札である証明であるゴールドカード、さらに……召喚『サンダルフォン』様。」
そのサクラコの召喚に応じ、彼女たちの前に現れた大天使を見て、シスターたちは思わず大きく騒めく。
メシア教の人間に近しい天使とは異なり、サクラコが使役するメカ型大天使に近しい存在。V型のアンテナにツインアイのいわゆるガンダムフェイス、凛々しい鎧騎士を連想させる外装にブルーを基調とするデザイン、その外見デザインは別の世界線ではこう呼ばれていただろう。『ダブルオークアンタ』と。
──大天使サンダルフォン。
このダブルオークアンタの外見を持った大天使こそ、サクラコが自らのメカ型大天使と同じように作り出した『大天使サンダルフォン』の姿である。だが、暴走を防ぐため、サクラコが使役する大天使たちと同様に実際は『ガワ』、『格』を借りているだけで、ほとんど自由意志は存在しないいわゆる「メカ型」の天使に近い存在である。*4
天使や大天使たちに自由意志を持たせると暴走するのは穏健派でも散々見てきた桜子からすれば、こういったロボ型のサンダルフォンの方が遥かにありがたい。
メガテンⅤではやたらLVが高いが現地民である桜子にはそこまで高いレベルは使役できないため、それなりのレベルのデチューンされているが、その本質の権能は『罪を犯した天使たちを永遠に閉じ込めておく幽閉所の支配者』という事である。
つまり、いわば『罪を犯した天使を捉える警察兼刑務所』の権能を有している。
この権能を使用すれば罪を犯して平然としている過激派の天使たちを幽閉所に永久封印を行うことができるのだ。*5
「この大天使様を貴女へと与えましょう。さらにいえば、サンダルフォン様は元は人間である預言者エリヤが昇天して天使になった存在。そのためある程度の人間としての良識や常識なども持ってくれている……はずです。
まあ……預言者エリヤはバアル信仰の敵対者であるため、脳缶ニキとの相性は悪くなるでしょうが……その辺りは私か田舎ニキ……凍矢様へと頼ってくださればいいようにしてくれるでしょう」
サンダルフォンの元になった預言者エリヤは、バアルの預言者たちと対峙した伝承が存在する。エリヤはカルメル山に祭壇を築いて、それぞれの神に祈ったところ、バアルからは何の答えも無く、ヤハウェのみが天から火を降らせるという奇跡をなした。直後にエリヤはバアルの預言者を捕えるよう指示を出し、バアルの預言者たちは捕えられて処刑されたという逸話があり、バアル信仰とは相性が悪い預言者であり天使でもある。
脳缶ニキは別段そんな事気にしない……歯牙にもかけない(実際彼は一神教に対してはかなり配慮している)だろうが、それでも気を付けた方がいい、とサクラコは考えているのである。
「さて、これで私の全てを貴女に教えることができました。貴女も私と同じように合法結界展開やサマナー指導を行えることができるはずです。ですが、デビルサマナーは一神教において異端。サマナーにすることは異端であり人でなしにする事にほかなりません。それを心してサマナーたち育成を行ってください」
元がメシア教穏健派である桜子は、サクラコが教えなかった『聖書の言葉に、力を加える』とか『力ある讃美歌』とか『聖書に奇跡を部分的に再現』で聖書を通した『ハマ』やら『ディア』を使うことができる(実際はサクラコも使える)も使えるが、それは全て封印してできる限りサクラコの戦闘・指導スタイルを真似、その上で自らのカバラ神拳を使役するスタイルにするつもりらしい。
……結果サクラコの影武者としての属性がますます強まってきているが、本人は別に気にしていないらしい。ともあれ、その言葉に勢いよくはい!と答える桜子を見て、サクラコは穏やかにほほ笑む。
「さて、それでは……」
「ええ、これから天使たちを殴りに……。失敬、『説得』して『わからせ』してくるとしましょう。
これが私からの試験の一つです。天使に説法を行って『説得』する。これが行えるのなら私から免許取得ということで」
望むところです!と桜子は気合を入れなおしながら戦闘準備に入った。この免許取得試練のためにサクラコと桜子は過激派の天使たちを『説得』するために出かけていった。
「はい、では『Wサクラコのわっぴーチャンネル♡世界に愛と平和を♡』の生放送を行っていきたいと思います。今回の論戦相手はこちらです! どうぞ!!」
という訳で、サクラコたちは適当な過激派のパワーを見つけると彼らに論戦を吹っ掛けることにした。このパワーたちを説き伏せればサクラコからの免許皆伝という訳である。サクラコがCOMPで撮影してそれをDDSチャンネル内で流そうというのである。
「貴様らぁあああ!! この天使たる私と論戦だと!? ふざけた事を抜かすな!! しかも貴様らは我らが聖なる陣営(過激派)が神敵のサクラコではないか!! ちょうどいい!! ここで纏めて始末してくれるわぁあああ!!」
戦闘中なのに呑気にカメラを向けられて切れまくっているパワーたちの群れ。
これはガイア連合に一泡吹かせるために長野県に隠れ潜んでいた天使たちの群れであり、ちゃくちゃくとガイア連合の黒札シェルターを襲うべく力を蓄えていた過激派の一派である。
それがあっさりと見つけられ、しかもカメラを突き付けられて生放送を行うという事をされているのだ。
彼らの立場からすれば「おちょくっているのか!!」と怒り狂うのは当然である。
「まあまあ、とりあえず落ち着いて……。大天使ウリエル様どうぞ」
「そうですね。大天使サンダルフォン様どうぞ」
そのWサクラコの言葉に応じて召喚されるのは『大天使ウリエル』と『大天使サンダルフォン』の二体。二機のロボ型大天使を見て、さすがのパワーたちも腰を抜かしそうになる。ダブルオークアンタの姿をした大天使サンダルフォンはそのツインアイをヴン!と光らせてパワーたちを威嚇する。その威嚇に思わずパワーたちは怯えながら後ずさりする。サンダルフォンは罪を犯した天使たちを幽閉所に封印する権能を持つメシア教の天使たちの天敵。新約聖書外典『ペトロの黙示録』でウリエルは懺悔の天使として現われ、神を冒瀆する者を永久の業火で焼き、不敬者を舌で吊り上げて火であぶり、地獄の罪人たちを散々苦しめるといわれている同じくメシア教の天使の天敵だ。パワーたちが恐れるのは当然といえるだろう。
「げぇっ!! サ、サンダルフォン様!ウリエル様!!い、いや違う!だがこれは……!!」
それを見て動揺している隙を見逃さずに、後ろでサクラコが見守りながら桜子はパワーに対して説法を仕掛けていく。
「そも何故天使が人を害するのか!!天使が人を害してもいい理由などどこにも存在しない!!」
「バカめ!! それは我らが天使だからである!! 天使は神の御心を代行する存在!! 我らが行動は神の御心そのものである!! 貴様ら愚かな人間は我らにおとなしく従えばいいのだ!!」
「十戒?聖書?そんなものは人間どもの戯言!!主の使いである我々はそんなものに従う義務などないのだ!!」
そう言いながら、パワーは光り輝く光輪と力ある堂々たる言葉により相手を精神的に屈服させる【洗脳】のスキルを発動させて桜子を洗脳しようとする。
真・女神転生3のパワーは洗脳スキルを所有しており、彼らはこの力で多くの人を完全に洗脳して過激派の支配下においたのである。その力ある言葉に逆らえる人間などいない、と圧倒的迫力で見下ろすパワーに対して、桜子は燦然と腕を前に突き出してその言葉に反論する。
「……【こういう者たちは、偽使徒であり、人を欺く働き人であって、キリストの使徒に変装しているのです。しかし、驚くには及びません。サタンさえ光の御使いに変装するのです。ですから、サタンの手下どもが義のしもべに変装したとしても、格別なことはありません。彼らの最後はそのしわざにふさわしいものとなります】*6貴方たちが天使の皮を被っている悪魔でない保証はどこにあるのですか?」
自らの洗脳を容易く弾き、さらによりによって自分たちの聖なる勢力(過激派)をサタンの手先が化けた姿扱いされてパワーたちは一気に怒り狂う事になった。
いつも相手の事を否定し、サタンの手先呼ばわりを押し付けている彼らにとって、自らがそんな風に言われるのは自らの天よりも高いプライドに泥を塗られた、と怒り狂うのは彼らからしてみれば当然だった。文字通りの意味で口から炎を吐き出さんばかりにパワーたちは怒り狂い顔を真っ赤にする。
「貴様ぁあああ!! 高貴な我ら天使を天使の皮を被った悪魔呼ばわりするかぁあああああ!? 許さん!! 絶対に許さんぞ!! 異教徒を殲滅し、四方を平定し、人類に恒久の平和を与えるべく活動している我らの信念がなぜ理解できん!!」*7
怒り狂って武器や盾を振り回すパワーであるが、大天使たちの言葉があるため彼女に襲い掛かることはできない。
こんなこざかしい論戦よりも力で相手を叩き潰して「剣はペンより強し」と全て力でねじ伏せてきている彼ら的には、到底論戦を行えるほどの論弁能力や知性などパワーたちにあろうはずもなかった。
「【心の中で兄弟を憎んではならない。同胞を率直に戒めなさい。そうすれば彼の罪を負うことはない。復讐してはならない。民の人々に恨みを抱いてはならない。自分自身を愛するように隣人を愛しなさい。わたしは主である】*8なぜ貴方達は敵に慈悲をかけて同胞にすることをせず、異教徒を殲滅・平定する事ばかりを考えるのですか? ただの綺麗事に過ぎない? その綺麗事がなくなった果てがこの魔界地球の弱肉強食世界ではないですか!!」
「【愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える】*9貴方達がいかに人に危害を与えようとしても愛まで滅ぼす事はできないのです!」
もはや黙れ黙れ黙れ!!としか言えないパワーたち。怒りが頂点に達している彼らだが、それでもサンダルフォンの縛りがあるため暴力を振るうことはできない。元より暴力を振るうしか能がない聖書も勉強していない彼らが弁舌できちんと聖書を勉強している桜子に勝てるはずもない。
「【しかし、民の間に、偽預言者が起ったことがあるが、それと同じく、あなたがたの間にも、偽教師が現れるであろう。彼らは、滅びに至らせる異端をひそかに持ち込み、自分たちをあがなって下さった主を否定して、すみやかな滅亡を自分の身に招いている】*10
これは貴方たち過激派の事では? 貴方たち過激派こそは聖書でいう『偽預言者』に他なりません!!」
自分たちの聖なる勢力(過激派)を偽預言者、アンチキリスト呼ばわりされたパワーたちの怒りは頂点に達し、ついに自らの綺麗事すら取り繕う余裕すらなくなり、顔を真っ赤にして槍を振り回しながら絶叫する。
「黙れぇえええ!! そう! これは聖絶だ!! 異教徒どもを力で殲滅して何が悪い!!犯して奪って洗脳して何が悪い!!我らに従わない貴様らが悪い!!貴様らが悪いんだ!!」
「略奪して何が悪い!犯して何が悪い!命を奪って何が悪い!この世界は弱肉強食!綺麗事では何も変わらん!!我々は理想ではなく"現実"を見ている現実主義者なのだ!綺麗事の寝言をほざくな!!」
「【それとも、正しくない者が神の国をつぐことはないのを、知らないのか。まちがってはいけない。不品行な者、偶像を礼拝する者、姦淫をする者、男娼となる者、男色をする者、盗む者、 貪欲な者、酒に酔う者、そしる者、略奪する者は、いずれも神の国をつぐことはないのである。 】*11略奪を、欲望を満たすのを良しとして自らの欲望のまま動くのは主の意思にあらず!!やはり貴方達過激派はただのケダモノの集まり!主の意思を語ることは許されません!!」
「もう我慢できん!!我らは地に堕ちてもあの外道を撃つ!!」
あまりの怒りに切れたパワーの一部天使たちの形状が変化したり羽が漆黒へと変貌していく。これは自ら堕天して堕天使や降天使に変貌して桜子を力で殲滅しようとしているのだ。堕天使や降天使ならばサンダルフォンの言葉の効果もない。主の意思なども知るよしもなく自らの欲望のままに好き勝手できる。周囲のパワーたちも、そんな堕天使や降天使たちに攻撃を仕掛けるところか、協力して皆で桜子に対して攻撃を仕掛けようとする有様である。
そんな彼らを見て、サンダルフォンはツインアイを光らせながら堂々と宣言する。
『 承認。汝らを罪人と認定する。
その無機質なサンダルフォンの宣言と共に、空間から穴が開き、無数の鎖がうねりと金属音を上げながら天使や堕天使たちを根こそぎ束縛していく。
カン高い金属音と共に鎖で束縛された天使や堕天使たちは絶叫を上げる。その漆黒の鎖は罪人たちを締め千切るほどの凄まじい力で彼らを縛り上げているのだ。一部の堕天使や降天使などその鎖の締め付けで手足がへし折られ、千切れるほどである。それを見ながらダブルオークアンタ……もとい大天使サンダルフォンは淡々と言葉を紡いでいく。
『 【彼らは、欲のために、甘言をもってあなたがたをあざむき、利をむさぼるであろう。彼らに対するさばきは昔から猶予なく行われ、彼らの滅亡も滞ることはない。神は、罪を犯した天使たちを容赦せず、闇の綱で縛って、
「い、嫌だぁあああ!! タルタロスに封印されるのは嫌だぁ!!」
「ち、違う!! 俺は天使とは違う!! もう堕天使だぞ!? 降天使すらいる!!何でタルタロスに封印されるんだ!?」
サンダルフォンの漆黒の鎖は、パワーたちのみならず、堕天使や降天使と化した元天使すら縛り付けている。あまりの拘束力に手足が粘土のようにねじ曲がったり手足が落とされているほどである。堕天さえすればサンダルフォンの影響を逃れられると考えていた彼らにとってそれはあまりに予想外だった。
だが、そんな天使や堕天使たちの悲鳴を他所に、サンダルフォンは彼らに対して淡々と言葉を放つ。
『我が幽閉所は、罪を犯し堕落した堕天使の一団・グリゴリを処罰する場所でもある。それは当然堕天使であろうが罪を犯した天使は我が幽閉所に封印されるという事でもある。知らなかったのか?』
『主がお前たち罪人を裁くまで永久に闇の中に幽閉されるがいい。祈れ。主の慈悲を』*13
そのサンダルフォンの言葉と共に、闇の鎖で縛りつけられた天使や堕天使、降天使たちは次々と開いた時空の穴に悲鳴を上げながら飲み込まれていく。彼らにとって幽閉所に封印されるということは、永久に刑務所に閉じ込められることに等しい。だが、泣いてわめいて慈悲をすがろうとも、すでにサンダルフォンの決定は覆りはしない。幽閉所に封印されていった天使たちの群れを最後まで見ながら、映像を撮っていたサクラコは満足げに頷いた。
「お見事です!これでもう何も言うことはありません。それではこれをチャンネル内で流しますか。ネット内の投げ銭は全て一神教調和派に寄付ということで。黒札たちやメシア教嫌いの神々も投げ銭してくれるでしょうからそれなりの資金源になるでしょう。」
サクラコ自身はこういう説法を見せびらかすのは好みではないが、説法により天使たちが堕天するのは黒札たちには受けがいいと知ってはいる。今回桜子が行ったこの映像を広めれば黒札から投げ銭が投げ込まれ、桜子の一神教調和派に寄付されることにより、一神教が強化されるというのがサクラコの考えである。
結果的に全て一神教の強化に繋がり、それが人類のために繋がるのでヨシ!!とサクラコは心の中で呟いた。
・歌住桜子
一神教調和派の幹部にして一神教サクラコ派の大幹部という訳の分からない地位についた。
傍から見たら黒札サクラコの腹心、影武者として扱われているが当の本人にその自覚はない。
黒札サクラコから直々に指導を受け、さらにサクラコ本人自身の細胞を培養したシキガミパーツを移植しているので、LV上限がLV50にまで跳ね上がった。
(これは過激派から桜子が狙われるであろうサクラコがその身を危惧したもの)
黒札サクラコから徹底的な指導を受けたので、黒札サクラコのやることは大体行える。
(超一流の黒札サクラコから一つ落ちる一流の腕前ではあるが)
サクラコが使役するメカ型大天使と同じ大天使サンダルフォン(罪を犯した天使を幽閉所に封印する権能に特化した)を操る。
長年の地道な活動により、穏健派の代わりに一神教調和派と共に魚沼シェルターに招かれる。
……なお穏健派が偽装棄教して一神教調和派に潜り込もうとするのに苦労する模様。