どうもありがとうございました。
新潟県上越市。
新潟県第三の大都市で上越地方の心臓部とも言える場所。日本海に面し直江津港という重要な港を所有しているこの場所は、半終末を迎え様々な人種が存在していた。その中で最も多いのはやはり中華戦線から命からがら逃げ伸びてきた中国人や韓国人たちであり、多数の難民が押し寄せてきたため治安自体も悪化していた。日本から中華戦線へと物資を輸送する重要な港であるこの場所には、ガイア連合も力を入れてオカルト防衛を行っているが、それでも天使の侵入を完璧に防ぎきることはできない。
他の名家の支配下であり、さすがの九重家の権力もこの地には完全には通じないが、それでも以前のクーデターにより名家は比較的まともな若手になっている。
その名家も九重家からのガイア連合の霊的武器の払い下げで低級悪魔などを退治しながら霊的治安を守っていたが、そんな彼らでも太刀打ちできない存在が表れていた。
「天使プリンシパリティ……ガイアLV28、DLV92ですか……。さすがにこれはそこらの名家では対抗できないのも納得ですね……」
そう、この市に潜むのはメシア教過激派の天使。『天使プリンシパリティ』たちである。ガイアLV28にも達する天使たちにはその辺のデビルサマナーや名家たちでは対抗できるはずもない。
『国家及びその指導者層の守護。国家の興亡。悪霊からの守護を司る』はずの権天使が悪行の限りを尽くしているのは、まさに一神教徒からすれば悪夢の極みな状況である。
デモニカの限界LVはガイアレベル30。度重なる戦いでデモニカの上限に近づきつつある黒騎士部隊ならばいい勝負ができるはずである。これ以上となると基本的に破損を覚悟した黒騎士部隊の総攻撃か黒札たちに任せるしかない。
「はい、上越市の名家からの要望、そして穏健派からの情報提供によるものです。穏健派の人間も過激派の天使が好き勝手やるのは目障りらしく……」
「本来は彼ら穏健派が何とかするべきでしょうに……!!」
思わず切れそうになる静ではあるが、静直轄の黒騎士部隊も度重なる悪魔退治により、ガイアLV30のデモニカの上限に達している機体も出てきている。
育ち切ったデモニカなら彼らプリンシパリティにも対抗できる……というか彼ら以外では黒札ぐらいしか対抗できないだろう。本来なら蹂躙もできるだろうが、幸い?中華戦線に物資を送る港がある上越市にはガイア連合の結界がある。そのため内部から食い破って好き勝手に蹂躙するつもりなのだろう。
プリンシパリティたちは身を隠すためにいつもの教会ではなく、とあるビル内部に籠って過激派としての実験を行っているらしい。ともあれ、穏健派の「協力者」からそのビルの詳しい情報や天使たちの詳しい情報を調べている静はビルの構造を調べているうちに「あること」に対して気づく。
「ふむ……。これは……『アレ』が使えるかも……。穏健派の協力者に追加調査を依頼しなさい」
とあるビルの中、過激派に属するプリンシパリティたちは「とある実験」を行っていた。
目の前には縛られた老若男女の人間たちが連れてこられ、その異教徒たちに対して、プリンシパリティたちは聖書の一文が刻み込まれた真っ赤に焼けた霊鉄でできた焼きゴテを持っている。
その焼きゴテには「すべての人は、上に立つ権威に従うべきである。なぜなら、神によらない権威はなく、おおよそ存在している権威は、すべて神によって立てられたものだからである。したがって、権威に逆らう者は、神の定めにそむく者である。そむく者は、自分の身にさばきを招くことになる」*1という聖書の一文が刻み込まれている。
「よし、行きますよ。大丈夫大丈夫。異教徒の貴方も神の教えをその身に刻むことを光栄に思いなさい」
プリンシパリティはその焼きゴテを容赦なく捕らえてきた人間たちに押し付ける。その真っ赤に焼かれた霊鉄は人間の肉体をすり抜けて、魂に直接聖書の一文が文字通りの意味で『焼き付けられる』魂に直接焼印が押されて彼らは絶叫して狂い死するほどもだえ苦しむ。
魂の直接加工。魂自体にメシア教の『焼き付ける』事によって輪廻転生してもずっとメシア教の教えを忘れなくさせる『焼印』技術である。*2魂に直接焼印された場合輪廻転生しても未来永劫メシアンであるし、メシア教の教えは文字通りの意味で魂に刻み込まれ忘れることはない。
何らかの形で失われても『焼印』を押されていれば見つけやすいというまさにメシア教の天使にっこりの技術である。(つまり、天使から見れば『焼印』された人間は家畜でしかないという意味はあるが)
「よしよし。これを刻み込まれた人間は大人しく我らの権威や権力に従ってくれますからね。「天使の羽根」を量産するコストをその分節約できる!! 未来永劫魂にメシア教の教えを刻まれた家畜人間を大量生産できる!! まさに革命ですね!!」
「まあ未覚醒の異教徒はすぐ死んでしまう事も多いですが……未来永劫転生してもメシアンのその教えを魂に刻み込まれるとは光栄でしょう!!」
『焼印』を押し付ける事によってメシア教に従順な家畜人間を大量生産できる。ショックで死亡したとしてもその『焼印』が刻まれた魂はメシア教に使用できる。まさに過激派からすれば笑いが止まらない状況だった。今度は連続で『焼印』を押して魂をメシア教の教えまみれにしてみましょう! どれくらいまで耐えきれるか楽しみですな!! と彼らはゲラゲラと笑う。
だが、そんなプリンシパリティが好き勝手している中、ビルの周囲が人払いをされてシン、と静まり返っているのは彼らは全く気付いていなかった。穏健派と名家が手を結んでビル周囲の人たちを全て退避させて封鎖させている事など、ビル内部で好き勝手している彼らには気づくはずもない。黒騎士部隊のデモニカ『ベルリン』は特殊部隊よろしく、簡易ガイア銃やオカルト素材でできた金属盾を手にしながら建物の中へと突撃していく。
「突入開始!! 突入開始!!」
「GOGOGO!!」
黒騎士部隊は簡易ガイア銃に加え、対天使用装備として用意した呪殺効果のある『試作型怨嗟刀』と同じく呪殺効果のある『呪怨弾』、呪殺の秘石などを装備している。天使と言えば呪殺に弱い。そしてそれはプリンシパリティと言っても例外ではなかった。開けた場所ではない建物内部では蟲毒皿ピッチャーは使用できないが、蟲毒皿を所有している戦闘班たちもおり、黒騎士部隊のみならず、戦闘班たちもムドストーンを装備している。
相手はDLV90台、ガイアLV30近いまさに大悪魔である。そんな強敵を倒すためには相手の弱点を突くことは基本だ。そして、建物内部に侵入してとある箇所を調べていた戦闘班は静に対して連絡を行う。
『静様! 確認しました!! やはりこの建物には『アレ』が使用されているとの事!! 静様の狙い通りです!!』
「分かりました。全部隊に通達!! 『アレ』を行います!! 黒騎士部隊以外は至急建物から退避!!」
その連絡を受けて、戦闘班たちは捕らえられていた人々をできる限り助け出し、建物の外へと脱出していく。今回の戦闘班の役目は捕らえられた人々の救出であり、戦闘ではない。デモニカも装備していない名家の戦闘班がプリンシパリティと戦うなど無謀極まりないので「戦いはデモニカ部隊に任せろ」と彼らには厳命されている。
「アナライズ完了!! 天使プリンシパリティ!! ガイアレベル28!! 呪殺弱点!」
やはり穏健派からの情報は正しかったらしい。天使というのは基本的に呪殺に弱いが彼らも例外ではない。そのため呪殺系の装備で固めていたのだ。(蟲毒皿ピッチャーはさすがに建物内部ということで持ち込めなかったが)ともあれ、呪殺系の装備で真正面からぶつかり合えば、たとえ黒騎士部隊でも大きな被害に遭いかねない。そんなビル内に侵入した彼らに対して、ついに目の前に霊威に満ち溢れた天使たちが現れた。
手には杖を持ち、背中には純白の翼、光り輝くローブを身に纏った「天使プリンシパリティ」その霊威はガンギマリの九重家の戦闘班(大体LV5~10)すら圧倒してひれ伏すほどである。だが、今の目の前にいるのはいわゆるロバである名家の人間ではない。デモニカをLV30近くまで育て上げたデモニカ部隊である。
黒騎士部隊のデモニカたちは一斉に火炎瓶を取り出すとそれを天使に向かって投げる……のではなくて、そこらへんの壁に投げつける。そして割れた火炎瓶から火が巻き起こるが、天使たちはそれを見ながら黒騎士部隊をせせら笑う。
「どこを狙っているんだ無能どもめ!! 火炎瓶すらまともに当てられないのか!!」
だが、それは黒騎士部隊たちの『狙い』通りである。火災を感知した建物内の火災感知器はジリリリリ!! とけたたましくアラームを鳴らし、異常を感知した建物内部のあちこちから隔壁が下りてそれぞれの天使たちや黒騎士部隊たちを遮断する。もしかして、自分たちを分断するために火災を起こしたのか?
バシュウウウウウ!!! とあちこちから『何か』が閉鎖された隔壁内部に噴出されるが、その程度天使たちには何の痛痒も感じない。この程度の消火剤? で自分たちをどうこうできると思っているのか。
天使たちはそうせせら笑うと静たちにたいして攻撃を仕掛けていく。だが、数秒経った後で天使は異常に気付く。
その異常とは、異常に息苦しいのだ。それだけではない。息苦しいのがやがて呼吸ができなくなり、視力障害,耳鳴り,チアノーゼなど異常が天使たちに発生しだす。
「い、息が……!! ぐ、ぐるじい……!!」
「呼吸が……!! ま、まざかこの気体、呼吸を阻害する……!?」
その天使の言葉はかなり当たっている。これはただの消火剤ではない。この気体の正体は『二酸化炭素消火剤』。つまり、二酸化炭素である。二酸化炭素は不燃性ガスで空気より重たい気体であるため、上部に拡散することなく低所に滞留し、燃焼面を覆い空気中の酸素濃度を希釈することにより消火が行われる。そして、二酸化炭素が人体に有害なのは知っての通りだ。
消火に用いる濃度(概ね 35%)では、ほとんど即時に意識喪失に至り、 高濃度(55%以上)の二酸化炭素が存在すると、酸素欠乏症とあいまって、短時間で生命が危険になる。
>【SUFFOCATE】(サフォクート)
これは皮膚に炎症を起こし呼吸困難を起こすマスタードガスや呼吸阻害のガス空間に晒された酸欠状態で発生する特殊な状態異常である。*3
1T目は無害、2T続くと物理的攻撃が不可能になり、3T目以後は精神チェックで失敗すると気絶 ターンごとにペナルティが悪化。気絶毎ターンごとにHP-20ずつかかっていくという極悪状態である。*4なおデモニカは普通に完全気密性であり、ABC兵器などにも対応しているので、この空間でも問題なく普通に対応できる。
呼吸困難で攻撃どころではなく苦しんでいるプリンシパリティたちに対して、黒騎士部隊のデモニカ『ベルリン』は『試作型怨嗟刀』や呪殺効果のある『呪怨弾』でプリンシパリティの足に対して攻撃を仕掛けていく。そして足を撃たれたり切られた天使はそのまま床に倒れこむが、その苦しさはますます酷くなっていく。*5
「がっ……がぁああ! くるっ、苦し……!!」
「きっ貴様ら……!! 我ら高貴な天使に対してこんな事……!!」
二酸化炭素は空気よりも重く、自然と床にまず溜まっていく傾向がある。足をやられて床に倒れれば、当然二酸化炭素が濃くさらに呼吸困難に陥る。そんな【SUFFOCATE】(サフォクート)状態*6で苦しんでいるプリンシパリティたちを冷ややかな目で見ながら、黒騎士部隊のベルリンたちは情け無用、と『試作型怨嗟刀』でザクザクと突き刺していく。静の『バッシュ・ザ・ブラックナイト』もすらり、と鞘から『試作型怨嗟刀』を引き抜いて、倒れ伏してもがき苦しんでいるプリンシパリティに対して、ゆっくりと向かっていく。
「流石は天使様。並の人間では気絶する二酸化炭素濃度でまだ意識を保っているとは上位存在様は凄いですね。ではきちんと楽にしてあげましょう。上位存在様がどれくらいで命を落とすかいい『実験』になりそうですね。
これは単なる害獣駆除です。駆除は楽なほうがいいでしょう?」
ぎらり、と輝きながら呪怨の呻きが聞こえてくる『試作型怨嗟刀』を突き刺すたび、プリンシパリティの傷口から呪いが浸透していき、傷口がぐずぐずと腐っていく。
その静の絶対零度の視線と口調に、声を出せない悲鳴を心の中で上げながら、呼吸困難に陥っているプリンシパリティたちは弱点の呪いによる刃に無惨に突き刺され、切り刻まれていった。
その後メシア穏健派や過激派のやらかしで『秋葉ほむら』とまさに天然の超天才SSRを手に入れた凍矢は、ほむらを自らの弟子として霊的修行をつけ、なおかつ静にオカルト界隈についての常識を教え込む事を依頼した。
ほむらは霊的才能は天才的ではあるが、その霊質上頭に血が上りやすく、かつオカルト常識やオカルト組織についての知識などがないのでやらかしをする可能性がある(実際やらかした)ため、静が直接オカルト常識について指導する事になったのである。
「えっと……。静さん以前はガイアLV1未満の悪霊でも名家は滅びかけていたとかマジなんですか? これはいくらなんでも……」
「大マジです。これを何とかするために霊能が少しでもある人間たちを人柱に捧げたりすることを平気で行っていました。貴女のように霊的に超天才ばかりじゃないのです。だから貴女も自分の身の回りは警戒してください。九重家の人間を護衛につけますのでいざとなったら肉盾にしていただいて結構です」
「い、いやそれはいくら何でも……。それにアタシはいわば『超人』なんでしょ? そういう奴らは力で吹っ飛ばせば……!!」
「……残念ながら貴女の才能はダイヤモンドより遥かに希少価値が高い。ありとあらゆる勢力がありとあらゆる手段で貴女の身柄を捕えようとしてくるでしょう。黒札様ぐらいの超絶能力ならともかく、飲み物や食べ物に覚醒者用の薬を入れる……睡眠、魅了、麻痺、石化など状態異常を利用するなど、あらゆる方法で無力化させようとしてくるでしょう」
メガテンでは状態異常は極めて強力である。これを悪用してハメ技を作ろうとするというのは極めてあるあるだ。いかにほむらが強力な天才であろうとも、状態異常の事を何も知らずに力のみで何とかしようとすれば、再びどこかの勢力に捕えられるか悪魔に捕えられる可能性は十分にある。
それを防ぐためにまずは状態異常などこの世界の戦い方の基本を身に着けさせようというのが静の考え方だ。
「幸い? 名家にはそれを悪用したノウハウが山のようにあります。ですが、知っておけばノウハウを逆用したカウンターもできます。それをきちんと勉強していきましょう」
はーい……とほむらは大人しく応じる。こういう悪魔との戦い方。状態異常の活用方法などはメガテン世界ではまさに値千金の価値がある。
これを知っておけば対策もできるし、活用して独自に戦い方を構築できる。そうすれば楽に悪魔と戦えるし、ダークサマナーの類も全て退けることができる。
こうした勉強を通じて静とほむらの関係も良好な関係が構築できたことは二人にとっても良い事であった。
シキガミパーツを移植されてデモニカと同じLV30近くにまでなった静。レベル30となればもはや小神と同レベルであり、名実ともに彼女に逆らえる名家などほとんど存在しない。
だが、それでも黒札にとっては「頑張ってるけど弱い」と言っていいレベルであり、これ以上のLV上限突破は再シキガミ移植手術でもしなければ難しかった。
「個人的には片腕だけでなく、もう片腕や両足をシキガミパーツに換装すればさらに上限はあがると思うのですが……どうでしょう? 『実験』ということでシキガミパーツの再手術を私に施してみるのは?」
自らの拠点である公民館内部で砂糖たっぷりのカフェオレを凍矢に差し出しながら、メイド服姿の静はそう提案してくる。彼女的にはさらなる力を求めているのだがやはりLV上限の壁は大きい。となればやはりさらなるシキガミパーツ再手術という手しかないのだが、凍矢的には消極的らしく、彼は目を逸らしながら棒読みで答えた。
「い、いやぁ~。金がないからなぁ~残念だなぁ~」
まあ、それは予想していた静は別に落胆もしない。シキガミパーツ移植手術を行ってもらっただけで十分に恵まれているのだ。これ以上求めるのは十分すぎるというもの。だがLVを上げずにこれ以上強くなる手段など……。
「ふっ……実は! あるッ!! (デデン!)」
ドヤッ! と厨ニ病ポーズを決めながら凍矢は、高らかに宣言する。
そう、実はLVを上げれなくても強くなれる手段はある。それは探求ネキがマリッサたち*7に教えた『武器熟練度』*8と『宝石による能力強化』による各種ステータスアップだ。*9これらはLVを上げることなく能力ステータスアップが可能というまさに現地民にとっては最適とも言える強くなれる方法である。(武器を使いまくることや宝石集めが大変なことを除けば)そして、その他に出来るステータスアップ手段といえば……。
「まずは……「香」だ!! それぞれ「力の香」「知恵の香」「魔力の香」「体力の香」「速さの香」「運の香」など様々な種類の香がある。これらを使えば簡単にステータスアップができるまさに優れもの!! ……まあ中々手に入らないんですが」
正直香は凍矢自身も使用したいが、シキガミパーツで底上げされてこれ以上のレベルアップが中々難しい静とレベルアップできる黒札とどちらに使った方がいいかと言われたら、まぁうん、である。それぞれ各種の香を見て思わず静は目を白黒させる。香なんて貴重な上に現地民でも黒札でも喉から手が出るほどほしいものだ。当然宝石と同じように価値は跳ね上がっており、中々手に入らない。
宝石の価値を遥かに上回る各種2個ずつという大量の香を見て、静は思わず目を白黒させる。
「でもこんな香なんて無茶苦茶高価じゃないですか? よく持ってこれましたね」
「まあそれも取引があって……静にはこちらを実験してもらいたいんだよね」
凍矢は、机の上にある各種香の他に、とある『温泉の素』を見せて、さらに公民館内部に持ち込まれてきた各種トレーニング器具を見せる。それは単なる温泉の素や器具ではない。ガイア連合の技術班が新しく開発した試作品を持ってきてもらったものである。そこから放たれる霊気に圧倒されている静に対して、凍矢は、それらを紹介する。
「これは、ガイア連合が新しく開発した『温泉の素、雷オヤジの名湯』*10だ。以前セツニキが開発した温泉の素を改良した物で何と!! 入った人間の力をアップさせる効果がある!! *11
さらにこちらはガイア連合が開発したステータスアップマシン『ランニングマシーン』*12と『ウェイトトレーニング』*13『木人形』*14さらには『プロテイン』*15これで鍛える事によって生命力を高める効果があるんだ!!」
静はペルソナ使いではないのでSPはあまり意味がないように思えるが、それでも精神力の向上は大事である。何よりHPが向上するというのは非常に大きい。HPが上がれば純粋に死ににくくなる。そして温泉の素は力をアップをするものや他のステータスをアップさせる効力させるものがある。この世界ではLV上限は非常に厳しいため、上限突破するためにはシキガミパーツという奥の手が必要になるが、これらを使用すればLV上限があってもステータスアップを行えることができるということで、まさに現地民の救世主と言っても過言ではない。
黒札だけでなく、現地民デビルサマナーたちの底上げ自体が必要じゃない? という凍矢や探求ネキ、幼女ネキたちの要望に技術班も現地民強化用アイテムの開発に取り組み始めたのである。(黒札自身のステータスアップもできるというのも大きい)
「これは……我々名家やデビルサマナーの救世主なのでは!?」
「その通り! これさえあれば静たち現地民……おっと名家やデビルサマナーのステータスをアップできればレベル上限に関係なくステータスをアップできる! 実用化されたらまさに救世主になれるはずだ!! ただ、静みたいなシキガミパーツ移植の人や名家の人間*16に対して効果があるかはまだ未確認だ。だから静や九重家の人間でこれらの器具の実験を行ってほしい」
「喜んで! やらせていただきます!!」
その言葉に、静はスライディング土下座しながらそう答えた。これは信頼できる名家や現地民に実験体になってもらい、効果が出たのなら各種現地民の異能者学校などに置かれる予定である。
静にとっては無償で九重家の戦闘班たちの底上げができるまさに値千金の機会。これを絶対に逃すわけにはいかない、とスライディング土下座したのだが、凍矢は、いや、スライディング土下座せんでも……と思いながら、ともあれ実験は開始された。
その後、静の温泉の素を入れた入浴シーン(見せられないよ!)や九重家の人間たちのトレーニングなどを行うことによって、これらの温泉の素や器具などの効果が現地民たちにも効果があることが確認された。
特に九重家の戦闘班たち(大半がレベル5~レベル10。レベル10に行ければ上澄み)はレベル上限に関係なく鍛えればヒットポイントが上がるなどまさに神からの祝福そのものであり、嬉々としてトレーニングに打ち込んでいった。さらにステータスアップを行う『温泉の素』も名家の人間……つまりは現地民でも十分ステータスアップの効果が確認できた。
だが、彼ら戦闘班だけではなく、いわゆるガイアレベル1にも満たない覚醒者「偽覚醒者」や半覚醒の人にも効果があるのか? と九重家の中でも才能の無い人間にも試してみた結果がこちらである。
「ぐああああ! 普通にバチバチして痛いー! ゆっくり風呂に浸かるどころの騒ぎじゃないー!」
「木人を叩いたら固すぎて腕が折れた……!」
ガイアレベル1未満や半覚醒の人間にとっては、こういった温泉の素やトレーニング器具は少し荷が重かったらしい。これを見ながら、うーん……まあ……ステータスは上がってるのは確認できたし、こう言った才能の無い現地民には福音になるだろうから……まあいいか!! ヨシ!! と凍矢は判断した。
九重家「窒息鬼つええ! ガンガン使っていこうぜ! 具体的に言うと毒ガスとか!」
ガイア連合「ダメです」
九重家「はい。( ;´・ω・`)」