40:田舎ニキ
というわけで!道南支部……というか北海道の支援をしまぁぁぁす!!
41:名無しの転生者
どうした急に、いやマジで。
42:田舎ニキ
いや……。GPの上昇でめっちゃ大変そうだし……。できることはしたいなぁと。
43:名無しの転生者
でもよぉ、金がないお前が何か大規模支援とか難しくない?どうするの?
44:田舎ニキ
ふっふっふ。自分で支援が難しいというのなら……。他人から引っ張ってくればいい!!
というわけで!!ロボ部の皆が作って放置している『ゾイドブロックス』を支援に行かせようかと!!
45:名無しの転生者
おいおいおい、ちょっと待てよ。これは俺たちの私物だぞ?
いかにお前と言えど同じ黒札に命令権とかないよな?そんなことしたら山梨支部に帰るぞ?
46:田舎ニキ
ふっ!そんな無理矢理させるような真似はしない!!
ただ活躍してくれたゾイドは……ロボ部の撮影部でめっちゃカッコいいPVを撮って宣伝してもらうだけだ!!
47:名無しの転生者
何っ!!
48:名無しの転生者
カッコいいゾイドの活躍PV……撮影してネット流してええんか!?
49:田舎ニキ
流して良しッ!!
50:名無しの転生者
ウ、ウチのゾイド……滅茶苦茶活躍させてみんなから羨望の眼差し集めてぇな……!!
51:田舎ニキ
活躍させて良しッ!!
52:名無しの転生者
おいおい流れ変わってきたな。
53:名無しの転生者
俺たちの作った最強のガンプラ、もとい最強のゾイドが活躍してるところ……見てえよなぁ!!
54:名無しの転生者
仕方ないな~。カス子ネキたちも大変そうだしな~。仕方ないな~。
55:名無しの転生者
自分が作り出したゾイドたちが活躍するところ見たくない奴おる!?いねぇよなぁ!!
56:名無しの転生者
……ちなみに、これ断ってもいいんだよね?
57:田舎ニキ
もちろん。俺に他の黒札の命令権なんてないしね。あくまでお願いだから別に断ってもいいよ。
58:名無しの転生者
せやろな。
59:名無しの転生者
だが、面白そうなものには乗るのが俺たち!!そんな餌に釣られクマー!!(AA略)
60:名無しの転生者
(面白そうだから)いいよ!!こいよ!!
61:名無しの転生者
まあいいや!ウチで埃被っているよりも活躍させた方が彼らもいいだろうし!!
62:名無しの転生者
しかし問題はGPだよなぁ。俺も新開発した『エストマストーン』を試作の名目で道南支部や北海道各地の支援はするつもりだけど……。
これで都市一つは覆えるはずだから向こうも助かる……はず。
63:名無しの転生者
でも実際問題一度上がったGPを下げる方法ってないんだろ?
64:名無しの転生者
カルトマジックとかであるみたいだけど……そこまで大規模に行使するのは難しそうだしな……。
65:田舎ニキ
まあ……それにちょっと気になる事もあるし。
66:名無しの転生者
ああ、例の『予言』*1だっけ?北海道は『自衛隊が堕天使や天使の策謀で同士討ちし壊滅状態。堕天使が札幌を支配』だったかな?
67:名無しの転生者
なおカス子ネキ*2やウォレスニキ*3のおかげで普通?の無事な模様。
68:名無しの転生者
あそこらへんがいれば堕天使も天使もフルボッコよぉ!!札幌を支配させるなんて事ありえねぇよなぁ!!
69:田舎ニキ
いや、そっちじゃなくてもう一つの方。
70:名無しの転生者
えぇ……?もう一つって……もしかして『樺太』ォ?『災禍から逃れた人々が静かに暮らしているが「艮の金神」復活の予兆有り』だっけ?
71:田舎ニキ
というわけで、俺はウォレスニキと一緒に樺太に行くやで。道南支部支援のためにブレックスゾイド派遣よろしくな!!
72:名無しの転生者
何が「というわけで」なんだ!?さっぱり分からんぞおい!?
―――北海道、道南地区。
ここには魔人ネキやカス子ネキを始めとした函館……道南支部が存在しており、函館には厳重なガイア地脈結界が張られておりガチガチに霊的防御が固められている。
そしてそれ以外の道南の各市町村には派出所を設置、小型ターミナルも設置して簡単な霊的結界も張り人々を保護する形になっている……が、問題はやはりGPの上昇による大悪魔の跳梁だった。
大悪魔が平気で跳梁する状況のせいで、現地民のデビルハンターたちのレベルアップが厳しく、育ち切ったデモニカを装備したデビルハンターですら力不足というこの状況では、現地民たちの育成が難しく、やはりどこも人手不足は否めなかった。魔人ネキの子供【威霊ティターン】による【十二巨兵防衛圏】でも人口が少ない村までは守り切れない。
その中でも道南地方に存在する『黒松内町』は防衛力の不安から黒札『田辺』や威神ティターンの一柱『テティス』が存在する長万部町への集団避難を決意したのである。
「おい、本当に来てくれるのか?」
「解らん……けどこの周辺をDレベル100オーバーの怪物たちがウヨウヨしてるって話じゃないか。」
「ウチにはデモニカ?もなければ高いレベルのデビルハンターたちもいない……。黒札様や黒札様の身内?様がおられる街に避難するのが一番なんだが……。」
人々は避難の支度をして結界ギリギリの指定された場所に集まっていた。そんな中、ゲートパワーの余波で深い原生林になった木々をベキベキとなぎ払い、押し潰しながら巨大な金属製のダンゴムシのような存在が彼らの前に姿を表す。
「うわぁああ!!か、怪物だぁあああ!!」
「いや待て!!アレガイア連合のマークつけてるぞ!?」
全長14mもの巨体をした金属で構築された巨大なダンゴムシのような姿。
これは頑丈な装甲と強力な牽引力を兼ね備えた昆虫型ゾイド。戦闘装甲輸送車ゾイド『グスタフ』である。
これは宮城のリンクニキが開発した『ゾナウギア』を元に作り上げた人工ゾイド『ブロックスゾイド』……ゾイド型シキガミの一体である。(グスタフは正確にはブロックスゾイドではないのだが)*4
戦闘用ゾイドではないため、戦闘的ではないが、とりわけ高い外殻の堅牢さと砂漠・岩場を走破可能な地形を選ばない移動力の高さにより極めて優れた輸送用ゾイドである。
そして、その外殻の表面には輸送用と所属を示すために、ガイア連合のマークがデカデカと描かれていた。そして、そのコクピットからグスタフを操作している人間がコクピットハッチを開けて皆に呼び掛けていく。
「ガイア連合の者です!!皆さんを救出に来ました!!」
そして、グスタフの後ろからぬうっと姿を現したのは強靭な四つ足を持ち、鋭い爪と牙を持った金属で構成された青い塗装のライオン型の巨大なゾイド『ブレードライガーブロックス』である。
グルル……とブレードライガーは口を上げて空に対して咆哮する。始めにこんな金属で出来た機械のライオンなど現れたら完全に何も知らない人間は大混乱に陥りそうなのでグスタフを先行させたのである。
さらにその後ろから出てきた四つ足の巨大ゾイドは、同じライオン型ゾイド……ではなくオオカミ型ゾイドである『ジーニアスウルフ』である。ブレードライガーもジーニアスウルフも、四つ足で大地を疾駆できる高速型ゾイドと呼ばれる種類ではあるが、GPが上昇した結果原生林など様々な過酷な環境になってしまった道南近辺では極めて走破性に優れたゾイドだと言えるだろう。
二足歩行の巨大ロボよりも、四足歩行の巨大ロボの方が走破性も安定性も優れ、過酷な自然環境でも安定して歩行できるのは理にかなっている。
さらにそれだけでなく、極めて巨大な空飛ぶ金属製の鯨としか言えない代物マッコウクジラ型輸送ゾイド『キングホエール』*5もゆっくりと着陸してくる。
全長225.0m、全高は54.0mほどの巨体の金属製のマッコウクジラ型飛行船が下りてくる姿はまさに圧巻そのものだった。まずはキングホエールに避難民たちを避難させて、ガイア連合の装備や家財道具はグスタフのコンテナに運び込み、それをコンテナごとグスタフがキングホエール内部に運び込む予定だったのだが、
グスタフの大型コンテナに避難民たちを誘導している中、『ブレードライガー』や『ジーニアスウルフ』は唸り声を上げながら周囲を警戒している。そして、弱いとはいえ結界の外から出てきた人間たちを見逃すほど、悪神……ウェンカムイたちも無関心ではなかった。この二体が守護している中、キィィインと空を切って警戒している空中用ゾイド、ハヤブサ型ゾイドである『ジェットファルコン』は上空から周囲に近づいてくる悪魔がいないか索敵を行っていたが、その『ジェットファルコン』から警戒を促す通信が地上部隊へと入ってくる。
それと同時に、避難を行っている人々を狙って湖沼に棲み悪臭を放つ翼を生やした蛇体をした蛇神が彼らの前にぬうっと姿を現す。
>龍王『ホヤウカムイ』(ガイアLV50)*6
『黒松内町』の皆が避難しようと決意した町の周囲を虎視眈々と狙っていた大悪魔『ホヤウカムイ』
ガイアLV50は普通の黒札でも蹴散らされるほどの強さである。これほどの超存在が町の周囲をウロウロしていれば安心して暮らせないというのも納得いただけるだろう。
このGPの高さだと、これほどの大悪魔ですら平然と出てきてしまうのが道南地方の恐ろしさである。そして、ホウヤウカムイは町の結界ギリギリに出てきた人間たちをむさぼり食らおうと襲い掛かってきたのだ。
本来ならばキチンと街の結界やインフラの撤去なども行うべきだが、この状況ではそんな暇などない。皆悲鳴を上げながらグスタフの後ろのコンテナへと一斉に逃げ込んでいく。
ホヤウカムイに対してブレードライガーは雄叫びを上げながら背中のブレードを展開しながら、ホヤウカムイへと突撃し、そのまま横をすり抜けざまにブレードによる《ギロチンカット》でホヤウカムイを切り裂く。
またジーニアスウルフも同時に突撃してホヤウカムイの喉笛に《ヘルファング》で噛みつき、さらに《アイアンクロウ》の鋼の爪でホヤウカムイの肉体を切り裂いていく。だが、ただでやられるほどホヤウカムイも甘くはない。
『毒ガスブレス!!*11』
ホヤウカムイの口から猛烈な悪臭を放つ毒ガスが猛烈な勢いで噴出される。ホヤウカムイは異常な悪臭がただようため、近づくことができないと言われており、無理に近づこうとすれば、悪臭によって皮膚がはれたり、全身の毛が抜け落ちてしまうと言われている。そんな毒を吸ったら未覚醒者たちである避難民たちは一たまりもない。
「いかん!!グスタフ!『かばう』だ!!」
それを防ぐため、グスタフが前面に出て毒ガスブレスを真正面から受け止める。表面はジュウジュウと腐食していくが、この程度の毒でどうにかなるほどグスタフはやわな機体ではない。念のためザンやガルなどで毒ガスブレスを弾き返しながらグスタフはなおもキングホエールをかばっている。
そんな毒ガスブレスを防がれたホヤウカムイは『ブレードライガー』や『ジーニアスウルフ』たちからフルボッコを受けて、爪や牙に引き裂かれ、ついに倒される事になった。
―――道南地域、長万部町
交通の要衝として昭和時代から栄えてきた町であり、平坦で肥沃な農耕地を有する海に面した町である。
この街には黒札の一人【田辺】*12が拠点を構える街であり、防衛強化のために魔人ネキの娘の一人、威霊十二体子供達の一人【テテュス】が存在している街でもある。
だが、いかに高レベルでも二人だけでは純粋に手が足りないだろうと、この街にも『キングホエール』に搭載されたロボ部が作り上げたゾイドたちがぞろぞろと搬入されていった。ウミガメ型、ムササビ型、バッファロー型、ワシ型、ワニ型などなど様々な動物型の姿をまねた巨大機械型のシキガミたちが降り立っていく。GPの急上昇により原生林など厳しい自然に囲まれている道南地区では、二足歩行よりもこうした動物型ロボの方が厳しい自然に適応できるのではないか?というロボ部と凍矢の考えにより、道南地区の支援としてロボ部が作り上げたはいいが、埃を被っていたブロックスゾイドたちがこの地に派遣されてきたのである。(メインは道南支部へと派遣されて、こちらに来ているのはごく一部)
「これが……ゾイド型シキガミ『ブロックスゾイド』!!これだけのロボがあればこの街の防衛力もさらに向上するし、周囲の街の支援・救援にも行ける……!!ロボ部に圧倒的感謝!!」
「うむ!だがこれはあくまでレンタルであるからその辺注意であるぞ。別に現地民を載せてもいいとはロボ部も言っていたがな。というか『少年少女を乗せて活躍するゾイドは映えるが少年少女の命を危機にさらすのは論外!マジジレンマ!!』と言っていたな。まあカス子ネキや魔人ネキたちと相談して決めるがいい。」
そう言っているのはギターを抱えている白衣を纏っている緑髪の青年『ウェストニキ』である。彼の作り出した特殊ロボ『破壊ロボ』を背にしながら彼は田辺に対してゾイドたちの注意を口にする。
シキガミであるゾイドはやはり創造主であるロボ部の黒札たちに服従しており、現地民を乗せて彼らをパイロットにするというのは不本意だったが、それでも少年少女ならまあ仕方ないか、と考えるロボ部がほとんどとのことらしい。そんなゾイドたちを搬入している最中に、こちらにも悪性のカムイが人を求めて襲い掛かってくるが、これぐらいテティスたちが出るまでもない、とウェストニキの操る巨大ドラムカンに足とドリルアームが生えたような姿のロボット『破壊ロボ』が悪性カムイの迎撃にかかる。
「わーっはっは!!何かカムイか!!悪神ごときが吾輩の破壊ロボに勝てると思うでないわ!!みよ!!この文明の象徴である『ドリル』を!!コイツで自然の象徴である貴様のケツ穴をドリルでルンルン♪してやるのでぁああある!!これぞ文明の勝利確定の象徴!!『ケツ穴確定』なのであぁぁぁある!!」
ウェストニキの破壊ロボは悪性のカムイにドリルを突き立てるだけでなく、カムイの臀部にドリルを突き刺してそれを回転させるというえげつない攻撃を仕掛けていく。それを見ながら、魔人ネキの子供である巨人『テティス』はウェストニキの言葉に反応して不思議そうに首を傾げる。
「ねーねー。田辺ちゃーん?『ケツ穴確定』ってなーにー?」
ケツ穴かくてー!ケツ穴かくてー!と面白そうにキャッキャッとはしゃぐテティスに対して、そんな下品なスラングを子供に教えるな!!と田辺はウェストニキに対して怒鳴りつける。
「こらー!!ウェストニキ!テティスちゃんに変なこと教えるなー!!後で魔人ネキからお仕置きだからね!!」
「えっ!?これもしかして吾輩怒られる流れであるか!?理不尽ッ!!」
「―――樺太神社?」
陸地となった宗谷海峡を通り過ぎ、樺太へと足を踏み入れたウォレスニキと凍矢は、旧ユジノサハリンスクへと向かっていた。彼らが目指しているのはそこに存在していた跡地……樺太神社の跡地である。
樺太神社は明治44年(1911年)日露戦争の講和条約であるポーツマス条約により、樺太の南半分が日本領有となり、その鎮護のため、国土経営に神功のある上記開拓三神が奉祀せられたことによって作られた神社である。
そのあと、樺太はロシア領になり、さらに終末でロシアも実質滅んでしまった以上、もはや跡地しか残っていないであろう場所に、凍矢とウォレスニキの一団は向かっていた。
終末後、北海道と樺太が陸地で繋がってしまったため、海という天然の防壁も失われ、ガイア連合上層部は防衛線を北海道から樺太まで押し上げざるを得ない形になってしまった。
そのため、一番近い十勝のウォレスニキたちが度々検知と平定のために樺太へと足を延ばしているのである。
「まーったく。ネット上でも噂が広まっていて樺太に上陸しようという奴ら、そして樺太から北海道へと逃げ込こもうとする奴らが文字通り山のように出てきているからねぇ。正確な地図も霊道もないのに命がけでよくやるよ全く。おまけに霊脈の乱れで大悪魔は発生するわ北海道に侵攻しようとするわ……たまったもんじゃないよ。」
「なるほど。それでウォレスニキが考えたのが『樺太神社の復活』か。」
何だかんだで霊的に守護されていた日本本土と異なり、樺太はほぼ霊的防御も何もない無防備な状況だった。
そして終末を迎えて、無防備だった樺太は地脈の歪みやら何やら霊的に荒れた状態になってしまっている。
そこから発生した大悪魔などが樺太を通して北海道に侵攻しようと虎視眈々と狙っているのだ。そして、それに対応しようというウォレスニキの作戦が『樺太神社の復活』である。樺太神社を復活させて、祭神の力で地脈などを安定させて大悪魔の発生を防ぎ、さらに結界を張って人々を保護する。(そして北海道に変な神や難民などが入らないように防壁にする)予定なのだろう。樺太の総鎮守・総氏神である樺太神社が復活すれば樺太自体の霊脈の乱れなどもある程度はマシになるであろう、というウォレスニキの考えである。
そして、そんなウォレスニキに対して「そういうことなら田舎ニキを連れて行ったほうがいいぜ」と提案したのが占術に長けているくそみそニキ*13である。未来予知・占術はショタおじにも匹敵する彼の言葉を無視できる人間はそうそういない。ウォレスニキもそれを受け入れて、凍矢を誘って樺太神社再建のために樺太……旧ユジノサハリンスクへと向かっていたのである。樺太についての『予言』についても聞いてる彼はふむ、と歩きながら言葉を放つ。
「『艮の金神』ねぇ……。確か陰陽道の方位神の一柱だっけ?ああ、だからくそみそニキが助言したのか。」
ウォレスニキはどこからか、ラム酒の瓶を取り出すとその頭瓶を指でピン!と弾いて頭瓶自体を弾き飛ばすと、そのままそのラム酒を一気にラッパ飲みする。その酒はただの酒ではなく、未覚醒者や低レベルの人間が飲んだらそれだけで魂があの世に持っていかれそうな濃厚な死の力……ゲーデの力が籠ったラム酒である。そんな物を平気でガブ飲みしたウォレスニキは、くう~これこれ!キクなぁ!と満足気にしている。ガイア連合ではなく、恐らく多神連合が作り出した魔酒を美味そうに飲んでいるウォレスニキを凍矢は興味深そうに見る。
「?なにそれ。酒?」
「ああ、旧アメリカ……ニューオリンズとハイチ・キューバ方面でコロニーを作ってる「死神ゲーデ」が作ってるゲーデの力がふんだんに込められたラム酒『魔酒ゲーデ』だな。体があったまるよ。どうだい?まあ多神の酒は死ぬほどクソマズと聞くけどねぇ。これはパンチも効いていて旨いよ?まあレベルが低いと文字通り魂が体から離れて冥界行きになるけど。」
サトウキビの廃糖蜜または絞り汁を原料として複数回の蒸留を行う蒸留酒であるラム酒。そのラム酒に対してハイチ・キューバを支配下に置いている『死神ゲーデ』*14が自らの力をふんだんを込めたのがこの『魔酒ゲーデ』*15である。
高レベルの覚醒者でも酔える半面、低レベルの覚醒者や未覚醒者はその天国のような味を味わいながらそのまま死神ゲーデの力によってあの世に旅立ってしまうほどの危険な酒である。元々多神連合は『当たりはずれが激しすぎて、死ぬのも珍しくないし、それ以上もある感じ』な死ぬより酷い悪魔化すら陥る酒を平気で売っている組織である。*16これはその中でもかなり当たりな酒ではあるが、それでもそんな危険な酒を平然で売っている多神連合に対して凍矢は思わず突っ込みを入れる。
「そんな酒を平気で売るなよ!どうなってるんだよ多神は!!」
「高レベルなら問題ないから平気平気。同じゲーテの権能を持つ黒死ネキ*17お気に入りの酒だよ?」
ああ、確かに同じゲーデの力を持っている黒死ネキなら、ゲーデの力がふんだんに込められたラム酒とか気に入りそうだな……と凍矢は納得する。*18
凍矢の力により荒れ狂う猛吹雪を操って逆に周囲の天候を穏やかにして、さらにエストマを張りながら移動して周囲の悪魔を退けながら一行は極めてスムーズに樺太の厳しい自然の中を進んでいく。
やはり本霊が冬将軍である凍矢は樺太の地とは相性がいいのか、樺太の猛吹雪を鎮静化・あるいは猛吹雪自体を吸収してどんどん体調がよくなっていく。むしろどんどん奥地に行くほど体調も良くなって元気になっていく凍矢を流石のウォレスニキも呆れた目で眺める。
ともあれ、旧ユジノサハリンスク、旧樺太神社跡にやってきた一行はそこに膨大な力の塊(まだ実体化していない)が存在しているのを確認する。そして、それと同時に凍矢はCOMPから自らの仲魔である『ザオウゴンゲン』……もとい『桑山千雪』である。ゴツい男性型のザオウゴンゲンと異なり、淑やかな落ち着いた雰囲気の三つ編みの女性である彼女は修験道の主神という存在からは真逆ではあるが、それでも膨大な力を秘めた強大な神霊であることは間違いない。千雪はまだ金神になっていない力の塊との会話が可能らしく、そのままその存在と会話を行っていく。
「ふむふむ……。やっぱり金神様の存在を感じますね。まだ実体化していないぼんやりとした力ですが、私なら意思疎通ができそうなので……ふむふむ……。金神様的には『穏やかに暮らしている人々を苦しめたくない』『ただでさえ苦しんでいる人たちをこれ以上苦しめたくない』ということらしいですね。」
じ、常識的~と思わず凍矢は驚いてしまう。金神は方位神の一柱でありあらゆることが凶とされている。その中でも『艮の金神』は「久遠国」という夜叉国の王である巨旦大王の精魂とされている。そんな神なら当然荒ぶる神であると思っていたのだが、終末を得て滅びかかっている人々をこれ以上苦しめたくない、と考える神であったらしい。それを聞いて、千雪はふむ、と顎に指を当てて考え込む。
「ふむ……分かりました。それなら金神様ではなく『国常立尊』として存在を変えればいいのでは?私……『蔵王権現』は『国常立尊』としても習合されているので、『国常立尊』の本霊に働きかけることもできるでしょう。」
『艮の金神』は某宗教では『国常立尊』として祭り上げられているとされている。そしてそれは凍矢の仲魔である『蔵王権現』も同様に『国常立尊』として習合されているとされている。同じ『国常立尊』という共通フォーマットがあるからこそこの二柱は会話できたのだろう。同じ習合されて同一化された『蔵王権現』が『国常立尊』に働きかければ、『国常立尊』本霊も悪いようにはしまい。そしてこのまま『艮の金神』を『国常立尊』として祭り上げて荒御魂を和御魂化させれば万事解決という流れだ。恐らくくそみそニキはこれを予測してウォレスニキに凍矢(正確に言えば仲魔)を連れて行けといったのだろう。
「ふむ、国之常立神は「国土が永久に立ち続けること」「日本の国土の床の出現」を象徴するらしいし、樺太守護の神としてはちょうどいいか……。了解。開拓三神*19と一緒に『国常立尊』を祭神にして皆から崇めて和御魂化させよう。皆もそれでいいならその方向でいこうか。」
やったぜ、と国常立尊となった彼はウォレスニキたちに感謝して、荒御霊から和御魂になることによって結果樺太地方の『予言』は丸く収まる形になったのだった。
金神は国常立尊と同一化される&蔵王権現も国常立尊と同一化されるという逸話と『予言』を組み合わせた結果がこうなりました。