こちらは以前の『九重静の終末対策10』の続き(半終末)になります。
あとわりと過激派よりのスレになります。
250:名無しの国津神
うぉおおおお!!東夷撃滅!!南蛮撃滅ぅうう!!
251:名無しの国津神
メシアン許さねえ!!ゆる早苗ぇえええ!!
252:名無しの国津神
夷荻共がぁあああ!!祟ってくれるわぁあああ!!
253:名無しの国津神
我らの氏子を見捨てた根願寺に復讐すべき!!
254:キク☆りん
あーもう皆さんメチャクチャですわ~。少し落ち着けですわ~。*1
それに実際問題、皆さんが暴れまわってもメシアンも根願寺にも大してダメージ与えられませんわ~。
255:名無しの国津神
そんなことはない!!例えこの身を悪霊となしても奴らを……!!
256:キク☆りん
で?皆さん方の氏子や覚醒者や戦力は~?あ、わたくしは黒札の仲魔ですので?
MAGもバリバリで高レベルにもなった勝ち組ですが~?
257:名無しの国津神
がぁああああ!!がぁああああ!!
258:名無しの国津神
でも、実際、我らの戦力はクソ雑魚&雑魚!!氏子も星1のロバ未満ばかり!!
これでは到底戦いに勝つことは……。
259:名無しの国津神
認めたくないものだな!!自分が負け犬であるということを思い知ることは!!
260:名無しの国津神
氏子がいるだけマシだろ!!氏子もいなくて暴走している奴らも多いんだぞ!?
270:名無しの国津神
それ裏切者の子孫しかいなかった我に言える?おまけにクソ雑魚だしさぁ……。正直切り捨てたい。
271:名無しの国津神
だからいるだけマシって言ってるだろうが!!氏子を滅したメシアンも寺も許さねぇぞぉおおおお!!
272:コトシロヌシ*2
氏子の末裔を保護してくれたのは礼を言うが……元手が!金がない!!これからどうすればいいんじゃ!!
273:ヒトコトヌシ
同意!同意!同意!
274:キク☆りん
まあとりあえず皆落ち着くべきかと~。*3今の現状では皆様に勝ち目はありません~。今は戦力や体制を立て直すのに専念するのが正しい戦略でしょう~?
275:名無しの国津神
そりゃそうなんだが……。でもどうするの?我らマジで負け犬よ?正直もう詰んでない?
276:名無しの国津神
諦めるな!!ネバーギブアップの精神じゃ!!
277:名無しの国津神
東夷とか南蛮とか言ってるのに横文字使う奴~。
278:キク☆りん
ともあれ、まずは暴走せずに落ち着いてガイア連合や日本神たちと連携を取るべきですわね~。はっきり言って根願寺なんかに構っている暇はないと思いませんか~?*4
279:洩☆矢*5
そうそう。暴走したらアタシらは責任取らずに切り捨てるからね。逆に言えばいい子にしていれば飴玉くれるようにアタシとキクリヒメでガイア連合に話をつけてきたわ。
人間に対して友好的な霊的誓約を誓えば、融資や金を貸してくれたり、格安で新しい氏子を紹介してくれるそうよ。
280:キク☆りん
当然ガイア連合のために神霊としての権能は使用してもらいますが~。生産職や結界構築などなど働ける仕事は山のようにありますし~。
281:名無しの国津神
うおおお!神降臨ッ!
282:名無しの国津神
神は我々やろがい!!いや確かにキクリヒメは神だが!!
283:名無しの国津神
権能を使用して稼いでそれを元手に何とか復興するぞ!!メシアンどもにも一泡吹かせてやる!!今日も一日頑張るぞい!!
284:名無しの国津神
まずは何をするのも力を蓄えないと何もできないか……。
285:名無しの国津神
やーやーなの!!我の氏子はあの子たちじゃなきゃやー!!クソッ!!コトシロヌシはうまくやりやがって!!
286:名無しの国津神
国津神の姿か……?これが……?
287:キク☆りん
あーもう……。分かった分かりましたわよ。ガイア連合にオキニの氏子たちの子孫が生き残ってないか探索もお願いしますから……。その代わり見つからなかったら大人しく諦めなさい~!!*6
288:名無しの国津神
本当か~?本当に氏子の末裔探してくれるんか~?
289:名無しの国津神
んあー!!農業とかの権能持ってない俺たちはどうするんだよー!!どうしようもないじゃんよー!!
290:キク☆りん
あーもう!!太ももの太い方のわたくし*7に話を通して『狐憑きニキ』*8様に皆VTuberとしてデビューさせてもらいなさい!!後黒札様受けに漫画、アニメ、ゲームのサブカル知識も勉強なさい~!!
291:名無しの国津神
ぶいちゅーばーって何!?さぶかるって何!?南蛮渡来の言葉なんて我のデータにないぞ!?
292:名無しの国津神
しれっとネタを使ってるんじゃねーよ!というか知ってるんじゃねーか!!
293:名無しの国津神
暇しまくってた日本神はサブカルにはまりまくってるけど、我ら現世を必死に覗き見して張り付きまくってたからなぁ。
294:名無しの国津神
ここでも我ら遅れを取ってる……ってコト!?
295:名無しの国津神
だから知ってるじゃ(以下略)
296:名無しの国津神
まあ自然と流れてくるからそれなりには知ってるんだけどなブヘヘヘ。
297:キク☆りん
ぜいぜい……わたくし滅茶苦茶頑張りましたわ~……。*9
まあいいですわ。メシア教は~?
298:名無しの国津神
殲滅!!
299:名無しの国津神
撃滅!!
300:名無しの国津神
消滅!!
301:キク☆りん
氏子は~?
302:名無しの国津神
絶対!!
303:名無しの国津神
守護する!!
304:名無しの国津神
いい暮らしさせたい!!あと国土守護したい!!
305:キク☆りん
それでヨシ!!ですわ~。
我々の大目標はあくまで『メシア教迎撃』と『氏子守護』……ひいては『国土防衛』ですわ~。
これはスサノオ様*10とオオクニヌシ様*11も同意が取れています。
これに逆らって暴走するようなら粛清されますので注意なさい~!!
306:名無しの国津神
は~い……。
307:名無しの国津神
スサノオ様、オオクニヌシ様はなぁ……。多分アマテラスも合意してるだろうし……。
308:名無しの国津神
ぬう、天津神のアマテラスに頭下げるのは腹が立つが国津神の上層部のあの二柱が従っている以上はなぁ……。
309:名無しの国津神
そういえばキクリヒメ!お前は黒札と繋がりあるんだから黒札紹介してクレメンス!!
310:キク☆りん
え?普通に嫌ですが~?いや、わたくしと契約した黒札様は完全にキャパオーバーでこれ以上の負担は普通に無理ですし~。……まあ注意した方がいい黒札様ならアドバイスはできますが~?*12
311:キク☆りん
まずは【幼女ネキ様】ですわね~。彼女は一生懸命努力する存在には好意的ですが、天候神……スサノオ様と同じように気性の荒さがありますから、寄生しようとすると普通にブッ飛ばされますし、苦労する羽目になりますわよ~。どうしてもというなら『ウカノミタマ』様を通して交渉しなさい~。
312:キク☆りん
後は【人魚ネキ様】ですかね~。あの方は『悪魔(神霊)コワイ!』で悪魔交渉などせずに全部吹っ飛ばすタイプのお方ですから下手に交渉しないほうが身のためですわ~。
313:名無しの国津神
何で黒札たちはこんなに個性的(オブラート)なんだよ!!我らに力を貸してくれる存在はおらんのか!?我ら日本神ぞ!?
314:洩☆矢
とりあえず今回やらかしたコトシロヌシとヒトコトヌシ、アンタたち私に協力して私の準本体*13を説得しなさい!!
うまくいったら報酬を多めに上げるからそれを元手に体制を立て直せばイケル……はず!!
315:コトシロヌシ
なるほど。ワシらの権能で鎮魂させるつもりか。確かにワシもヒトコトヌシも呪術神じゃからのぅ。
同じ立場で同じ国津神のワシらが霊酒でも持っていけば無碍にはされまい。
それを元手にして態勢を立て直せば……!
316:ヒトコトヌシ
良!良!良!
317:洩☆矢
よーし。それじゃ落ち着かせるために霊酒『越ノ氷輪山』*14と大吟醸九段仕込み*15を山ほど用意したわ。後は超高級酒の『蓬莱島』*16も用意したし、友愛の時のプレゼント『すいせんの花』と冷静の時にプレゼント『写楽の浮世絵』で何とかなるはず……!
318:名無しの国津神
……いや!ちょっと待てよ!別にキクリヒメって天津でも国津でもないだろ!?なんで国津神にしれっと紛れ込んでいるんだ!?*17
319:キク☆りん
……てへ☆
320:名無しの国津神
てへ☆じゃねーよ!!
「ふう……。とりあえず暴走する前に何とかいい方向に持っていけましたか……。」
ぐったりとパソコンの前で顔を伏せる凍矢の仲魔である『キクリヒメ』。彼女は過激派ぎみの国津神の集うスレに書き込み【乙女の仲裁】を連打しながら国津神が暴走しないように誘導して彼らを上手く治めたのである。
封印から解かれたはいいものの、氏子を失い暴走しようとする『馬鹿』な国津神は数多くいた。
日本防衛のための力になる日本神たちをそんな暴走して失わせるわけにはいかない、と上層部の頼みを受けて、キクリヒメは何とか彼らをいい方向に持っていったのだ。
そしてその上層部こそが……。
『うむ、礼を言うぞ。天照である私が気が立っている国津たちに口を出すとまた荒れそうだからなぁ……。』
キクリヒメの傍にいる神聖な雰囲気を出している大きな白い犬『モロ』……すなわち『天照大神』その人である。
自分が国津神のスレに書き込んだら絶対暴走が加速すると危惧した彼女は、キクリヒメに依頼してこの場を何とか治めてもらったのだ。実際にアマテラスとスサノオ、そしてオオクニヌシなど天津と国津の上層部では日本防衛・対メシアンで合意が取れているので、キクリヒメの言った事はほぼ事実である。
「今恐れるべきはせっかく復活したばかりの天津と国津の間に内乱を起こされて、その隙をメシアンに突かれて再封印されることですからね~。しかしこうもスムーズに天津と国津の間で合意が取れるとは……。やはり神々でも団結するためには『敵』が必要ということですか~……。」
現状、日本の外ではメシアン過激派が暴れまわっており、世界征服に王手をかけている状況と言っていい。そんな強大すぎる敵に取り囲まれている中、お互いに敵対している場合ではない!という考えが出るのは当然である。この過激派の脅威と恐れにより、長年対立している天津と国津は手を組んで協力体制に入ったのだ。そのための第一歩として国津神たちの暴走を防ぐため、ある程度の目標設定を行うべくキクリヒメが必死にスレに書き込んで仲裁したというわけである。大きくため息をつきながら、キクリヒメはちらりと再度ディスプレイに目をやる。
「はぁ~。全く仲裁しまくったせいでネット越しに【乙女の仲裁】を使用できるという過労死と酷使待ったなし!な権能が生えてきましたわ~。まあ、元々わたくしは『人の縁を繋ぐ』という権能がありますから不思議ではないんですが……。」
元々、キクリヒメは伊奘諾尊と伊弉冉尊を仲直りさせたとして、縁結びの神とされているため、その逸話から発生したのが【乙女の仲裁】である。このネット全盛期で神々でも平気で掲示板を使う世界になったのなら、電脳世界でも縁結び、仲裁の権能が生えてくるのは当然といえるだろう。しかし、『ネット越しでも怒り出してしまった際に発動し、会話を続行する交渉スキル』などという交渉役……宥め役としてこれ以上ない権能を所有する彼女は荒れた場を宥めるために呼び出されまくるのは目に見えていた。これからこき使われまくるのを予想して、彼女ははーとパソコンの前で深いため息をつく。
「……ともあれ、これで貸し一つ……いや貸し十つぐらいですわね~。こういう宥め役はスクナビコナやクシナダヒメが一番だと思うのですが……。」
【乙女の仲裁】を連打しまくったキクリヒメはぐでーと行儀悪く椅子にへたりこむが、ふと思い出したようにアマテラスに対して言葉を放つ。
「あと一応釘を刺しておきますと~。『沖縄』*18に変なちょっかいかけない方が身のためですわよ~。「友好的中立」を保って「困ったら何か手助けするよ!」程度に留めておいた方がいいかと~。」*19
『いやいや、別に沖縄が霊的に独立するのが嫌って訳じゃないぞ?*20ただ彼らがしくじれば九州まで被害が及びかねないんだろう?きちんと意志疎通して連携しておいた方がいいって話だ。』
未来予知・占術を行う日本神によって『沖縄』は下手すれば大惨事になる可能性が強いという卦は出ているが、その辺はショタおじ自身が日本神たちに『琉球ニキ』に託すから手出し不要、と明言している。
だが、万が一しくじれば被害は沖縄だけでなく、九州地方、もしくは西日本にも被害が及びかねない。アマテラスの立場としては、そんな状態でただ見ていることなどできるはずもない。何らかの形で沖縄ときちんと意思疎通をしておきたいというのが本音なのだろう。
「わたくしの主の凍矢様は沖縄の『琉球ニキ』様たちとは割と交流があるので意思疎通がしたかったらそちらを通してできますわ~。下手にちょっかい出して琉球ニキ様たちの邪魔になっては元も子もないので、大人しく九州地方の霊的防衛に力を入れておいた方が賢明ですわ~。」
そのキクリヒメの言葉に、モロ……もといアマテラスは渋々と頷いた。ニライ=カナイは自分自身の魂自身を琉球ニキへと預けており、その私心のないことはショタおじも確認している。沖縄はそれほど状況が悪化しており、触れば割れるシャボン玉同然のところを琉球ニキたちが何とかしている状況である。下手にちょっかい出すよりも彼らに託してアマテラスは九州地方の霊的防衛を行えとキクリヒメは釘を刺しているのだ。
『うーむ、まあそれもそうか……。不安だが……彼らに託すしかないかぁ……。』
「うーん……。」
一方そのころ、拠点である元公民館内部の作戦室で静は纏められた資料を読んでいた。それは主に名家たちの動きを独自に調べたものだが、本来彼女たちと縁のない九州地方の名家たちの動きを探っているのに凍矢は不思議そうな顔をする。そんな凍矢に気づいたのか、静は口を開いて彼に対して説明に入る。
「いえ、最近名家たちの動きが……。簡単に言うと『最近の流行は沖縄名家!!沖縄の名家を取り込んでいけ!!』という感じですね。沖縄名家は根切りがされていないので強い名家が生き残っていますので、その血を取り込もうと名家たちが狙っているみたいですね。」
沖縄名家はメシア教によって根伐りされていないいわゆる『準黒札』とも呼べる戦力である。
そんな霊能力を秘めた血筋、しかも黒札と異なりガイア連合からの保護がほとんどない存在に対して、同じ名家が目をつけていくのは至極当然だった。
「……沖縄名家って琉球ニキと異界攻略のために共同戦線張ってるだろ?そんな余裕あるの?」
「ありませんね。だいたい本土名家がちょっかいかけようとして「それどころじゃねーよボケ!!」とブッ飛ばされてるみたいです。ガイアレベル30台が平気でいるような名家たちに本土の名家たちが敵うはずもありませんから。」
沖縄の名家は他の地域と異なり根切りがされておらず、本土の名家と異なり霊的に強者たち……日本基準なら最高峰だった割と多数の霊能者や亡くなった霊能者の遺児達が居る。だが、それらは全て極めて厄介な異界である【銃火暴風怨嗟域】によって疲弊しきっている状況である。そんな状態で本土名家にちょっかい出されては怒り狂うのも無理はないだろう。だが、それ以外にも沖縄名家の血を穏便に取り込める方法はある。それは『避難場所』としての需要である。
「まあ……賢い名家は沖縄名家が避難させようとしている女性や子供たちを保護して同じ子供たちを幼馴染とかにしてくっつけようとしたり、婚約者(沖縄名家も合意)とかにして囲い込みをしようとしているみたいですが……。沖縄名家もいざというときは自分の血を繋げる、本土名家も沖縄名家の優れた血を取り込めるというお互いウィンウィンの形に持っていってるみたいですね。」
沖縄名家の中でもまだ子供を作ることが出来る者達やその遺児達などを他県の霊能組織などに嫁がせたり養子にしたりで沖縄が本当に駄目になった際の避難所としての縁を作ろうと必死であり、それは本土名家たちにとっても渡りに船だったのだ。だが、それに選ばれなかった名家たちがこちらに沖縄名家の血を引き込もうと平気であくどい事もやろうとしているのが、名家の悪い部分が出ているとしか言いようがなかった。
「悪い方?聞きたいですか?初めはいい顔して『保護』した後で弱みにつけこんだり脅したりして、霊的契約の隙をついた『自由恋愛での結婚』をしようとした例などなど……。まあ女性と言っても素質のある彼女たちに根切りされてボロボロの本土名家が敵う訳もないですが……。」
「ともあれこちらとしては……『沖縄名家への注意勧告』『(比較的マシな)保護してくれる名家の厳選・推奨』そして、『九重家への避難の誘い』でしょうか……。沖縄から純粋に遠いこの地では『距離』という防壁があるので沖縄名家たちも安心して避難できるでしょう。もちろん、あくどい事などせずにきちんと保護するつもりではありますが。」
「……本音は?」
「『ショタ強化計画』*21が凍矢様にストップをかけられたので、準黒札の沖縄名家の血の取り込みはバンバンやっていきたいです!」
お目目キラキラで生き生きとそんな言葉を口にする静に対して、彼はぺちんと静の額にデコピンを叩き込むのだった。