>君達本当になんか重めの裏設定とかないんです?
ナイゾ。唐突に生えてくるかもしれないが少なくとも今は考えていません。
>田舎ニキの親御さん
特に詳しい設定はしてませんが、普通に仲のいい家庭と思われる。
まあ家族と仲が悪かったら「知るかこんなとこ!」と普通に山梨に行きそうだし。
◎再生青春プロジェクト。
──―魚沼シェルター内部、鳥煮亭総合学園。
終末後、メシアンたちの襲撃を退けたこの学園は、若者だけでなく老若男女問わず様々な人々が『覚醒』を求め、あるいは覚醒した後のオカルト関連職の技術を身に着けるために多くの人々が通っていた。
大体が異界『黄泉比良坂』で『銀の弾丸』などでガキを倒した後覚醒→その後で鳥煮亭総合学園で色々なオカルト関連の職を求めるという流れではあるが、『黄泉比良坂』を使用できるほど金がない、もしくは無理矢理悪魔を倒して覚醒するよりも、鳥煮亭総合学園で修行を積んでから覚醒しようと考える層も存在するので、そこらへんは人ぞれぞれである。(なお大概の現地民たちはガイアレベル1~10までの間が普通。レベル20あれば一目置かれる事になる)
だが、この学園では覚醒した金札の子や覚醒した学生たちが、未覚醒者や銅札などの一般人を見下す、いわゆる『トリカス』もそれなりに発生している。この悪魔が跳梁跋扈してしまう超格差社会となってしまった現状、誰か見下す対象を作らなければやっていられないというのもあるのかもしれない。……で、その辺の『トリカス』たちをどうにかする存在と言えば……。
「ちょっと未覚醒者を見下してバカにしただけなのに!! どうしてこんな……!!」
「私たちは悪くない!! 悪く……ごぼぼぼ!!」
トリカス生徒たちの顔面に対して『アクア』で作られた水球が投げつけられ、生徒たちの顔面に命中し顔面が水球に覆われる。当然のことながら顔面が水で覆われれば呼吸をする事ができない。状態異常である『窒息』状態になった生徒たちは必死に水球を掻きむしりながら床に倒れて苦しむが、その程度では顔面にへばりついた水球を剥がす事はできない。
「ぷ~に~!! (お仕置きだべ~!!)」
それは凍矢が自分の分身を作るために仮に作り上げた分身プロトタイプと言える存在、つまり『スライム(仮)(スライムとは言っていない)』である。今の彼はここ鳥煮亭総合学園の先生であり、同時にこの学園を守護する決戦兵器でもある。以前にメシアンが魚沼シェルター全体を襲った結果、この学園も襲撃されたので、金札や黒札の子たちも通っているこの学園を守る必要がある、と判断した凍矢は自分の分身をここに置いたのである。(彼は以前に現地民や未覚醒者たちに対する教育方法も学んでいたので、普通にオカルト先生としての役目も果たせる)
散々トリカスたちをしばき回してきちんと反省させた後、彼はこの学園の生徒会長である『桐藤ナギサ』がいる生徒会室へと向かって紅茶*1を口にしながらスライム(仮)へと話しかけてくる。
「スライム先生。お疲れ様でした。そちらに色々問題をどうにかしてもらうのは気が重いのですが……」
「ぷに……。(まったくもー。何でいわゆる『トリカス』がこんなに定期的に沸くんだか……。まあナギサたちも一生懸命どうにかしようとしてくれてるからかなり数は少なくなってるけど……)」
なお、サクラコ(現地民)も長岡市シェルターから魚沼シェルターへと移動したことにより、定期的にこの学園にやってきて『メシア教の脅威や対処方法』などを市民や学生たちに教えている。元々メシアンであった彼女はメシアンのやり方もそれに対する対処方法も心得ている。まさに『蛇の道は蛇』である。
また、サクラコ(黒札)から直接指導を受けた彼女は黒札サクラコのやれる事は大抵行うことができるため、優れたデビルサマナーたちの教官としての才能もあるので、学園でデビルサマナーたちの教育も行っているのだ。
「ぷに。(まあそれはいいや。それより新しく始めた『アイドル巫女科』の方はどう?)」
新しく鳥煮亭総合学園に作られた学級『アイドル巫女育成学科』の状況について、スライムはナギサに対して問いかけていく。これは基本的に女性中心の学科で『霊能はあるけど戦闘向きではない』『戦場に立てるほど精神面が強くない』という戦闘に不向きな霊能の女学生たちの要望に応えて作られたものであり、その本質は歌やダンスによって相手の精神を慰撫・あるいは高めたり、MAGを操作する『巫女』の役割である。
これは元は『星川リリィ』*2たちが開発した『ライブの形を借りた異界の浄化と土地の活性化を願った祭』であるが、現地民たちに黒札並みに高度な異界浄化や土地の活性化などできるはずもない。馬ニキが東ゆうや東西南北たちに対して行ったプロデュースを流用しているのが正直なところだ。普通の現地民ではLV10もあれば上澄み、LV20代は才能に愛されている人間たちだ。正直そこまで期待をしていない、というのが本音である。
「はい、黒札のヒッツニキ様*3の力を借りたり、馬ニキ様のシェルターにいられる『東ゆう』*4様や、鑑定ニキ様と繋がるアイドルユニット『ワルキューレ』たち*5をアイドル講師として招いてアイドルとしての訓練を行ったり、同時に巫女としての訓練を積んでいます。……まあ正直非常に厳しい道ですが……」
「ぷに。(キクリヒメから最近国津神たちは氏子だけではなく『巫女』も欲しがっているからそちらに就職させる形になるか……。もちろんきちんと人道的配慮はさせるけど)」
キクリヒメから聞いた感じだと、どの国津神も氏子もであるが霊能のある『巫女』たちも欲しがっているらしい。古今東西神事と踊りとは切り離せない。特にこの日本ではなおさらだ。その神事のために巫女を欲しがるのは当然といえるだろう。……この際才能は大目に見るからと譲歩するぐらいの巫女不足であり、そのため彼はわざわざアイドル巫女学科を作ったのだ。この学科はあくまで巫女育成がメインであり、アイドルはついで、というか他の黒札たちが行っていた異能アイドル育成を流用しているというのが正しい。
そういった『巫女科』のほかには『医療科』『建築科』『農業科』『牧畜科』『警備科』『ペルソナ科』『デビルサマナー科』などそれぞれの才能によって道を選んでいく。当然の事ながら前線に立って大悪魔(LV20代)たちと戦えるなどエリート中のエリートである。悪魔と真正面から戦えるほどの高い霊能、鍛え上げられた肉体、強い精神力を持ち合わせる人間などそうそういない。(とびぬけた才能がない限り)
「……しかし、これ思うんですけれどアイドル要素要りますか? 普通に巫女さんを育成する形でもいいのでは?」
確かにナギサの言う通りである。この学科はあくまでも巫女を育成するところであり、アイドル要素はあくまでおまけ。アイドル要素を削って普通に巫女を育てた方が効率がいいだろう。
「ぷにぃ……。(いや、何かアイドルに脳を焼かれた国津神や天津神が多いらしくて……)」
東京を守護していた四天王、鬼神たちですらアイドルたちに脳を焼かれてサインを求めているし、何ならアメノウズメですらアイドル活動を行っているほどである。恐らくはそこから国津神や天津神にもアイドルという概念が普及していったのだろう。そして、どうせ巫女にするんならアイドル巫女がいい、何ならアイドル巫女を地下アイドルからスタートさせる! というプロデュース活動すら流行しているらしい。
そのために、巫女だけでなくアイドル要素も入れているのだ。
ともあれ、スライム(仮)は次の話題へと話を振る。それは山梨支部から各学校に提案された試作案である。その紙にはこう書かれてあった。
来たれ! 暗黒の青春を送った君たち!
失った青春を取り戻そう! 今度は勝ち組間違いなし!
霊能チートで今度は楽しい青春を!!
これは「暗い青春時代を送った黒札たち」に対する救済案の一つ『再生青春プロジェクト』である。本来はそういったいわゆる「青春をやり直したい!」という物好きな黒札たちの要望だったのだが、『清華学園退魔生徒会』*6などと言った学園内の黒札たちの優位性を持った交流が社会復帰に流用できるのではないか? という事から、家の中に完全に引きこもっている「重度引きこもり」*7の黒札たちに対する『黒札社会復帰プロジェクト』の一環として再提案されたのだ。家から出れない黒札に対してドッペルゲンガー系のシキガミを用意してリアルタイムで(チヤホヤ)学園生活を味わってもらう。これによって失われた自尊心を回復させようというのだ。もし実際に参加したいというのならそれでも良し、これで自尊心を回復して外に出るきっかけになってくれればそれで良し、である。
……一番困るのが家から出れずにリアルタイム学園生活にドハマりする事であるが、そうなったときはそうなったときである。
「ぷにっ! (山梨支部からの要請で引き受ける形にはなったけど、こんなのに参加する暇人なんておらんやろ! 補助金だけもらってウハウハや! 勝ったなワハハ!!)」
何故人はフラグを立てるのか……と思いながら、ナギサは優雅にカップに入った紅茶を口に運んだ。
「……よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします!!」
しばらく後、ドッペルゲンガー型シキガミボディを経由した二人の男女の黒札が『鳥煮亭総合学園』へとやってきていた。一人はとあるきっかけで十年近く引きこもって部屋から出てこなかった男性黒札である。セツニキたちの『星祭』を馬鹿にしてしまい、半分素人の彼らが面白半分で連打した呪詛の雨を喰らい、パソコンの前で盛大に下痢をしてしまって重度引きこもりになってしまった男性黒札だ。*8
最近のガイア連合内部では黒札たちにシェルター運営をさせるのがブームになっていたり、黒札という貴重な存在をどう表に出そうか本部は奮闘している。
その過程の一つとして作り出されたのが『黒札社会復帰プロジェクト』である。彼のような重度引きこもりをどうにか社会復帰させてその能力を活用させよう、というプロジェクトだ。覚醒者(特に黒札)の寿命はあってないような物である。その長い人生をずっと部屋の中に引きこもったままというのは本人のためにも世界のためにも良くない、何とか社会復帰してほしい、というのが上層部の考えである。
嫁式神からの強い要望や働きかけもあって、今回彼は山梨支部の家の中からドッペルゲンガー型シキガミボディを操作して参加しているのである。メンタル的な問題は家の中で嫁式神が寄り添ってがんばれがんばれ♡しながらリモート通学で人に慣れてもらい、慣れたら山梨からのトラポート通学、そして定期的に家から出れるようになったら社会復帰完了である。
そして、もう一人は元アイドル志望の女性黒札であったが、芸能界でそれなりに活躍したため、【探知】系スキルで辿られ、身代金目的の闇召喚士や聖母を求める過激派残党によって両親が羽根入り、名家やメシア教からのアプローチに耐えきれずにノイローゼになってしまい引きこもりになってしまった黒札である。
薬物療法とオカルト心理療法などを使用してノイローゼは治療した彼女だったが、何とか引きこもりから脱出したい彼女は今回自ら黒札社会復帰プロジェクトに参加したのである。彼女も同様に遠隔ドッペルゲンガー型シキガミボディで山梨支部の家から参加している形になる。
「ぷにぃ……。(お、おう……。まあよろしくね……)」
(いや……マジで来るのかよ……やるけどさ……!!)とスライム(仮)は心の中でぼやいた。こんなの何か参加する黒札なんておらんやろ、と考えていた目論見は完全に外れる事になった。ともあれ、男性黒札のほうは星祭の事もあったので性格的な問題もある、と判断してスライム(仮)がしばらく付きっ切りで指導(指導とは言っていない)を行う予定である。とはいえ、ずっとひきこもっていたせいもあって、すっかり陰キャになってしまった彼なので今のところはそういった問題も起きていない。
さらに嫁電池になっていたとはいえ、そこは黒札。あっという間にドッペルゲンガー型シキガミボディの性能を把握して、その能力を引き出せるようになっていた。(遠征式神組は『人形遣い』としての才能が開花することもあるのでその関係)
そして、そのドッペルゲンガー型シキガミボディの霊能力は、現地民ばかりの教室ではひときわ目を引く性能だった。(黒札そのものではないが、シキガミボディだからね。仕方ないね)そんな彼は転校生でありながらあっという間にクラス内で注目を集める生徒になったのだった。女生徒から熱烈な視線を集めて、男子生徒から純粋な憧れの目で見られ、彼も陰キャからどんどん社会復帰を果たしていった。シェルター外に出る『修学旅行』でガイアレベル6にもなる『地霊コボルト』数体を『菩薩掌』*9や『マハザンマ』*10で容易く倒していく彼が人気が出ないはずがない。何ならガイアレベル11の『地霊スダマ』さえ倒せばそれはガチ尊敬の目で見られるのは当然である。(本当はガイアレベル20ぐらいの敵と戦わせようかと思っていたが、それぐらいの敵になると生徒たちにも被害が出る可能性があるので無理は避けた)
「す、凄い!! DLV36のスダマまで簡単に倒せるなんて……! しかもコボルト数体をマハザンマで仕留めるとは……!! 転校生と聞いてるがま、まさか黒札では!?」
彼は性格的な問題点があるので、陰キャを克服したこの地点で調子に乗ってしまい問題を起こしてしまう懸念も十分にあったが、彼は『星祭』と一言いえばトラウマでガクブルしてしまうので、何とかこうした飴と鞭を使い分けながら遠隔シキガミボディから実際に学園に来てもらい人と慣れてもらう→社会復帰をさせていく予定である。
もう一人の女性黒札のほうは芸能界で実際に元アイドルとして活動しており、しかも黒札であるため、星川リリィが行っていたような『ライブの形を借りた異界の浄化と土地の活性化を願った祭』も行うことができるのだ。(例えドッペルゲンガーシキガミボディであってもだ)それは普通の人から毛が生えたようなアイドル巫女志望の女学生たちにとっては、まさに天と地ほどの能力差だった。
「あ……。あんなに可憐なダンスを軽々と……!! それにあのMAG操作技術やMAG操作量……! まさかあの子単独で異界の浄化すら可能なのでは……!?」
「まさか黒札……!? いえ「もう新しい黒札は現れない」と掲示板では噂になってるし……!?」
かつては芸能界でそこそこのアイドルになった彼女だったが、年のため戸籍も操作して若返りやオカルト整形技術で顔も変えたりしている。そんな状況で彼女が元アイドルだと知るものはいないが、見る人がいればその堂に入った立ち振る舞いから鋭い人は彼女が元アイドルである事を察する人はいるかもしれない。とはいうものの、アイドルに憧れる彼女にはこのまま『アイドル巫女科』を引っ張っていく最優秀生徒として活躍してもらうつもりである。有名なアイドルたちである『ワルキューレ』やアイドル活動を頑張っている『東ゆう』たちとの交流はあんな状況になっても、未だアイドルに憧れている彼女にとって大きな支えになるだろう。
……ただ彼女にも問題はある。それは「メシア教や名家からのアプローチを受けると昔のトラウマを思い出して発狂してしまう」という点である。そこらへんは九重家に指示を出して彼女に対する名家たちからのアプローチの禁止(同時にさりげなく彼女の周囲を護衛)し、さらにスライム(仮)が寄り添ってそれらの干渉を跳ねのける予定である。表向きメシア教は禁止してあるので、あとは名家からのアプローチを禁止すれば彼女のトラウマは防げるはずである。トリカス? 彼女たちの霊的威圧でひれ伏しますが何か? ……まあそれはともかく、何とか重度ひきこもりの黒札の社会復帰が上手くいっているようでスライム(仮)もほっとする。
「ぷにっ! (まあ何やかんやで結果的に上手くいっていればヨシッ! ヨシったらヨシッ!!)」
ともあれ、そんなこんなで引きこもり黒札たちの社会復帰も上手くいっている中、生徒会長のナギサは凄く……凄く微妙な顔をしつつスライム(仮)に話しかけてきた。何でも「こんなのこないやろ」と思っていた「再生青春プロジェクト」に複数の申し込みがあったということである。何だか嫌な予感を覚えながらも、スライム(仮)はその再生青春プロジェクトに申し込んできたという黒札たちと面談をすることになった。
「ふふ……。人生はままならないね……」
その部屋の中にいた複数の黒札たち。まず出てきたのは象牙色のロングヘアにハチミツ色の瞳をした白い……青白いといってもいい肌をした四肢がガリガリの美少女。骨と皮だけ、と言わんばかりのそのルックスは確かに美少女ではあるが、どことなく病的な物を感じさせた。そう、その姿は某学マスの『篠澤広』そのものだったのだ。
スライム(仮)は彼女を一目見た瞬間その正体を見抜いて突っ込みを入れる。
「ぷにぃいい!! (何しれっと紛れ込んでるねんカス子ネキ!!)」
そう、それは道南支部の重鎮にしてイタコ衆の決戦兵器でもある黒札『カス子ネキ』*11がコスプレをした姿だったのだ。あっさりと正体をバラされた彼女は、『篠澤広』のコスプレを辞めて普段のカス子ネキへと戻る。
「あ、バレちゃった? いやー田舎ニキたちが何か面白そうな事やってるからつい……。アタシもねー。第二の人生イタコたちの面倒みたり悪魔と戦ったりして、青春とか学園生活とか無縁だったからね~。ここは一つ波に乗ろうかと!!」
「ぷに。(帰れください)」
次に進み出た少女? は極めて小柄……身長133cmで緑髪をポニーテールにした赤目のまさに美少女と言った容貌そのものな少女? だった。その姿は『ギャラクシーエンジェルのヴァニラ』そのものの姿である。だが、そんなクールロリ美少女の風貌とは異なり、その少女? はあっけらかんとした口調で言葉を放つ。
「そうそう。やっぱり今世で青春学園生活とか憧れるよねー。いかにこの世界がメガテンのお排泄物世界でもさ。僕なんか十数年ずっと脳缶だったし……。だから僕も年齢的には問題なく学生になれると思わないかい?」
見た目のクール系ロリ美少女とは全く異なるあっけらかんとしたその口調をした美少女? に対して、スライム(仮)は思わず全力で突っ込みを入れる。
「ぷにぃいいい!! (お前も何やってんねん脳缶ニキ!! わざわざ女装してくるんじゃないよ!! 性癖が壊れる生徒が出たらどうするんだよ!!)」
その美少女? の正体、それはわざわざ女装して鳥煮亭総合学園にまでカス子ネキとやってきた『脳缶ニキ』*12だった。彼が女装すれば完全に美少女としか見えない(実際騙された黒札もいる)ので全くもって恐ろしい。(何だか終末時に色々酷い目にあったらしいがまあそれはそれ)そんな全力で突っ込みを入れてくるスライム(仮)に対して脳缶ニキはにへら、と笑う。
「いやー。全力で突っ込んでくれるから安心感がありますねぇ。黒札はボケが多くて深刻なツッコミ不足! これではいけません。ツッコミがいないとボケが冴えないからね」
「ぷにっ! (ええいここはお前の遊び場じゃないんだから帰れ帰れ。こっちは仕事で忙しいんだから邪魔すんな)」
「まーまーまー。ここに来たのは僕とカス子ネキだけじゃないから。そう、僕とカス子ネキと来たら……さあどうぞ!!」
べべん! と脳缶ニキが指し示す方向には、スライム(仮)もよく知る人物。田舎ニキとも割と交流のある腕組をしてその胸を張る堂々とした態度を取る幼女。その彼女こそが……。
「うむ! 遊びに来たぞ田舎ニキ、もといスライム(仮)!! よろしくな!!」
そこにいたのは、わざわざご丁寧に鳥煮亭総合学園の制服を身に纏って堂々と腕組みをしている幼女ネキ*13その人だった。そんな彼女に対して、スライム(仮)は思わず何やってんねん! と全力で彼女に対してツッコミを入れた。
「ぷにぃいいい!! (何やってんねん幼女ネキぃいい!! 確かに学校に通っている年齢といえばそれはそうだけど!! というか地元で学校があるんだからそっちでやれや!!)」
確かに肉体年齢的には三人とも楽しく青春を行っていてもおかしくはない。しかしわざわざ自分自身で好き勝手に色々なことを楽しめるほどの実力があるので『再生青春プロジェクト』なんて物好きの極みに首を突っ込んでくるなんて「何か田舎ニキが面白そうな事やってるから行ってみようぜ!!」と悪ノリで来たに違いない。ご丁寧に鳥煮亭総合学園の各種制服に身を包んだ三人(ブルアカでもトリニティは色々な制服がある……脳缶ニキの制服にはなぜか逆五芒や蠅のマークがついているがその辺はめんどくさいのでスルーする。)だが、そんな事は関係なしに幼女ネキはさらにスライム(仮)に対して爆弾発言を容赦なく投げつけてきた。
「ふっ! 甘いぞ田舎ニキ!! 今回来たのは私たちだけじゃない!! 学園生活とか青春とかに憧れるとっておきの人材を連れてきた!! さあどうぞ!!」
その幼女ネキの言葉と同時に、空間が歪んでそこから一人の少年が姿を現す。何重もの結界が張られているこの学校内部に、こんなに高度な転移術式で軽々と入り込める人物はそうそう存在しまい。そこから姿を現した『少年』にしか見えない黒髪のロングヘアーで布を体に巻き付けた存在は、圧倒的な霊力を持ちながら満面の笑みを浮かべて気軽にその場にいる人々に挨拶していく。
「やあ! どーもどーも!! 僕の事は気軽に「峰・満(みね・みつる)」と呼んでほしいな!! 皆よろしくね!!」
「ぷにぃいいいイイイイイッ!! (ショタおじやんけぇえええええ!! 何してるんだよぉおおお!!!)」
スライム(仮)の渾身の突っ込みを受け流しながら、ショタおじ……もとい「満」*14は目を閉じながら静かに言葉を放った。
「いやぁ……。ほら、僕って前世もアレで今世もアレじゃん? 「楽しい学園生活」とか「青春学園物」とかどんな感じなのか一回やってみようかなーと思ってさ。」
確かに、ショタおじは前世も今世も人並みの青春など送った事のない人物である。そんな彼からすれば皆で楽しく学園生活!や皆で楽しく青春!というものに憧れを抱いても全く不思議ではない。ルシファーを体から解き放ってそれなりに落ち着いた終末後(落ち着いたとは言っていない&ショタおじのクソ忙しさはさらに増している)ならば好きなことしたいじゃない!というのが彼の本音らしい。
だが、この学園は現地民の学校であり、彼らのような超越的な黒札専門学校ではない。
「ぷにゅぁあああ!!(えーいやかましい!帰れ帰れ!!散れ散れ!!ここは黒札専門学校じゃないんだぞ!!ショタおじは山梨支部に連絡して出荷よー!!)」
わー!とスライム(仮)に怒られて彼らは楽しそうにその場から散って転移で消え去っていった。どうやら本当にからかいに来ただけらしい。ぜーぜーとツッコミ疲れで疲れているスライム(仮)はさらっと学園に籍を入れていった彼らの名前を見て思わず愕然とした。
「ぷに……。(あいつらしれっと学園に籍入れて帰りやがった……。まさかマジで来る気なのか……?)」
・なお再生青春プロジェクト本来のメインターゲット層であるゆかりネキ。
「え? 学園生活をやり直す? 今度は霊能チートでモテモテ? いやぁ~今現状で私は十分満足してますし、別にわざわざ学園生活やらなくても……」
・黒札社会復帰プロジェクト&再生青春プロジェクト
元々は完全に別のプロジェクト。復帰プロジェクトの方が「これ使えるんじゃね?」と採用した。
『黒札社会復帰プロジェクト』は生存本能ちゃん(仮名)が他の黒札にシェルターを進めていたようにこれからは黒札たちが活動してくれないと、メシアンたちが再度力を取り戻すと判断した彼らの手段の一つ。
なお嫁式神をダンジョンに送って好き勝手してるいわゆる『遠征組』の「外に出歩ける黒札たち」は対象外。(彼らはショタおじ推薦のライフスタイルであり社会にも触れ合えているため)
『再生青春プロジェクト』は本来はゆかりネキなどといった元ひきこもり&暗黒青春生活を送った人をメインターゲットにしていたが、何か予想外の人物たちが乱入してきた。