「【カオ転三次】幼女ネキの謎を解明するため、黒札調査隊は宮城県の奥地〇〇町出張所へと向かった――。」様の新キャラがゾイド好きと聞いて思わず出してしまいましたw
「「「うぉおおおお!! できたぁああああ!!」」」
シキガミクリエイター科の皆は教室内で歓声を上げていた。彼らの目の前にあるのは、比較的大型のサメ型のシキガミ。そして、その隣に存在する二足歩行の4mほどの恐竜型シキガミ。恐竜型シキガミの方は通常の恐竜ではなく、金属構造の肉体、そして上体部を覆うクリアブルーの半透明な装甲に胴体部は人が乗るためのコックピットが存在するそのシキガミは、いわゆる『ゾイド型シキガミ』の一体である。
それはシキガミクリエイターの先生たちから課題として課せられていた簡易シキガミ『ツチザメ型シキガミ(LV20)』そしてゾイド型簡易シキガミ『バトルローバー(LV20)』である。
オルニソレステス型ゾイド『バトルローバー』
恐竜の「オルニレステス」をモデルに作成された高速偵察の切り札とされるゾイドの一体であり、二足歩行ではあるが極めて高速で疾走することができる。
それは終末後の舗装されていない土地であろうと例外ではない。さらに乗っている人にほとんど振動を与えない乗り心地も考えられている仕様である。
前衛を勤め、偵察、連絡、護衛に活躍できるゾイドであり、限定的ながら格闘戦も行え、対人戦や軽作業にも対応できる。背中に乗れば低レベルの覚醒者でも十分シェルター外への移動が行えるし、乗り物酔いなどにも十分配慮は行われている。馬ニキのように後ろに荷物車を設置し、それを牽引することで霊道上でのシェルター間の荷物の移動なども行えるだろう。そして、そのゾイド型簡易シキガミの作成を後押ししていたのは……。
「よし! よく頑張ってくれたねお兄ちゃんたち!! これでゾイドの普及にまた一歩前進したよ!!」
そう叫んでいるのは、長い髪を二つに分けてスマートグラスをかけた白衣を羽織った小柄の少女そのものである存在……すなわち『ドクターネキ』*1である。彼女は極めて強いゾイド愛を秘めており、独自にゾイド型シキガミを普及するために色々な行動を行っていた。そして、それに対して魚沼シェルターのブロックスゾイドを所有しているロボ部の黒札たちも大いに共感し、彼女のゾイド型シキガミ作成について協力を行っていたのである。
シキガミクリエイター科という学科を見て、ドクターネキが真っ先に目をつけた理由は「これはゾイドのいい宣伝になる!!」と思ったのが大きな理由の一つである。そのため、彼女はわざわざ自分からシキガミクリエイター科の講師になり、その条件としてゾイド型シキガミの制作・作成を行う事にしたのである。
厳しい自然に覆われた終末後のシェルター外の活動では、森林に山岳、砂漠や湿地帯みたいな環境での行動は人型より獣型、動物型、昆虫型の方が有利だろう、という考えに土地の測量や悪魔のわき潰しを行っているカズフサニキたちも注目し、ドクターネキとカズフサニキ*2はお互い利害が一致。そのためシキガミクリエイター科でお互いシキガミ作成講座を開いていたのである。
「ぷにっ! (やったぜ!!)」
「まあちょっと文珠という反則は使ったが……それでも彼ら自身でここまでやれたのはめでたい。あとは彼ら自身の手でできるようになるだけだな」
彼らが自らの手でこれほどのシキガミを作れた事に、教師であるスライム(仮)やドクターネキ、そしてカズフサニキは三人とも喜んでいた。
シキガミクリエイター科がこれほどのシキガミを作れるようになった理由は「クラス皆で協力して一丸となって作り上げられた事」が大きい。まず先生たちが設計図を出して、生徒たちがそれぞれの霊的なパーツを作り上げていき、それを組み立ていき大型シキガミを作り上げてきたのだ。レベルが高くない現地民たちでも協力して分担作業を行えば高度なシキガミを作り出すことができるのである。(最後の組み立ての際に横島の文珠『組』『立』で多少組み合わない部分を修正しているという裏技も使用しているが)
次の課題は、横島の文珠というチートなしできちんと早期に作り上げる事ができるシキガミの作成である。彼らの作り上げた簡易シキガミが実戦でも十分に通用するとなれば、各シェルターから注文は山ほど来るはずである。
「おっ、その顔は「次は大量生産を!」という顔だね!! でもまだ彼らにデスマーチさせるのには早いんじゃないかな? まずはもっと作り上げて生産に慣れてもらうところからじゃない? まだシキガミコアの術式に甘い所とかも色々あるし」
カズフサニキの表情を読み取ってドクターネキは、忠告する。カズフサニキとしては即時にこれらを実戦投入したいが、シキガミコアの干渉防御などにまだ甘いところがあるのは事実だ。そこらへんのセキリュティをしっかりしておかないと悪魔たちに干渉されて乗っ取られる危険性がある。そして、そんな組みあがったツチザメ型シキガミやバトルローパーに、ぴょんぴょんとキュウリやナスに割りばしが突き刺さって足になっているまるで冗談のような存在が飛び乗って、各種パーツがきちんと組みあがっているか、齟齬なくスムーズに動くか確認している。これはシキガミクリエイター科の使い魔『聖獣ショウリョウウマ/聖獣ショウリョウウシ』*3である。
レベル1にもならない戦闘能力もほとんどない使い魔ではあるが、シキガミクリエイターにとってはまず最初に作成を行う慣れ親しんだ存在である。
「ぷに。(そこで提案なんだけれど……まだ出来上がったばかりの実験機みたいな物だし、試験運用として弱小シェルターに貸し出してみてもいい?)」
つまり、出来上がったばかりのツチザメ型シキガミやバトルローパーたちを「試験運用」として戦力の足りない弱小シェルターに貸し出して実戦データなどの採取を行おうというのだ。*4それに対して、ドクターネキもカズフサニキもスライム(仮)の意見に同意した。
「いいですよ! こちらとしては何に問題もありません!! ゾイドが広まるのはいいことですし!! でも今回は湧き潰しの高速偵察用に作ったゾイド型シキガミだから、シェルター防衛に使われるとはちょっと予想外だったなぁ。*5それならもっとシェルター防衛用に向いた簡易型ゾイドとか面白いかもですね! 夢が広がるなぁ!!」
「まあ出来上がったばかりだしね……。試験運用するのも必要か。まだシキガミコアの術式が甘いし暴走の可能性もあるからシキペット*6も対暴走や護衛として派遣するかな」
そんな風に話している中、カズフサニキはスライム(仮)に対してふと思った事を言葉にして投げつける。
「そういえば田舎ニキは拠点防衛用の『Aトール』作り出せるようになったんだって? ……それ、悪魔の無限湧き潰しに使えねぇかな……」
拠点防衛用氷人形『Aトール』*7
元々は黒死ネキ*8が作り出した無数の人形……【サバトマ】、【ネクロマ】【ドロイド】の複合召喚に加え、【シシリッカ】【クイッカ】【バルザック】の魔術を付与した『永劫輪廻・交叉廻廊』によって生み出された死の兵士たち。これに対抗するため、黒死ネキの「死の河」を参考にして凍矢は自らの本霊である『冬将軍』の権能を使用し、ロシア戦役(ナポレオン戦争)などで亡くなった多数の兵士たちの魂を氷で作ったロボ型人形に付与、戦闘データの付与された魂が宿った氷人形たちによって、黒死ネキの「死の河」の軍勢に対抗したのである。
(属性としては『種族:マシン』……戦闘用ロボットに低級の悪魔が乗り移って操られている『マシン:ジャンク』が一番近い)
その特性の強みとしては堅牢な装甲に加えて、両肩部の「ラウンドバインダー」による防御性能の高さ、そして元が兵士であるため『軍隊としての規律行動が取れる』という事だ。凶悪に暴れまわる「死の河」の人形たちに対して、一列に並んで彼らの攻撃を受け止め、シールドバッシュや氷のメイスで人形たちと戦っていく迫力は、黒札たちにそれなりの人気が出たものだ。
カズフサニキは、凍矢が一時的に生み出しただけのAトールに簡易シキガミコアを搭載させて簡易シキガミ化させて悪魔の湧き潰し用にできないものか? と考えたのである。簡易シキガミ化したときの特徴としては、幼女ネキたちが作り出しているてらほくんや島二郎、クローンヤクザとかプリニーとかスパルトイとか土偶などと異なり、完全に戦闘・防衛特化に性能が偏っているのが特徴といえば特徴である。
「ぷに。(いいよー。それじゃ試してみようか)」
そして、その作戦は瞬時に決行されることになった。
──―九州地方、地獄湯近辺の元シェルター跡地。*9
かつて、メシアン系シェルターと多神連合系シェルター、日本神シェルターが存在する跡地は、大量に湧き出した悪魔がそこを占拠すべく完全に無秩序な状態から、悪魔たちの共食いによりまるで蠱毒のような状態で自然と強い物がトップへとのしあがりつつあり、生き残った人間たちを奴隷にしながら独自の勢力が形成されようとしていた。だが、難民で大混乱に陥っている地獄湯にそこを奪還するだけの余裕はない。独自の勢力が構築されようとしている中、そうはさせじ、と新しい戦力が送り込まれてきた。
空を引き裂く飛行音と共に飛来してくるのは、新潟県の黒札たちが共同所有している飛行戦艦『マザーバンガード』高速で大量の食糧や物資などを運搬する飛行戦艦だが、今回はマザーバンガードが輸送するのは食料ではない。装甲の一部がスライドし、そこから数十体もの氷で作成された盾とメイスを手にした西洋の鎧騎士にも似た氷騎士たちが空挺部隊のように地面に次々と降り立っていく。
それは凍矢が生み出したAトールに簡易シキガミコアを付与して簡易シキガミと化したAトールたちである。
地面に降り立った彼らは、盾を構え横一列に並び、ズシン! ズシン! と足音を立てながら数十体のAトールたちはメイスと氷盾を構えながら盾一列になって一矢乱れぬ進軍を開始する。
簡易シキガミとなったAトールたちの能力的にはメイス用の【鈍器の心得】*10【不屈の闘志】*11【キルラッシュ】*12【ヘビーカウンタ】*13【仁王立ち】*14などを所有している。それに加え、ガイア銃も装備しており、これによる攻撃も可能だ。一糸乱れぬ進軍を行うAトールたちは、そのメイスから冷気を放射しながら無数の悪魔たちを片っ端から叩き潰していく。冷気もメイスも通用しない相手は、シールドバッシュや盾に装備されている実剣などで対抗していく。そうして、元シェルター跡地の湧き出した悪魔たちはAトールたちに殲滅されられ、悪魔の湧き潰しにも有効であるとその実用性を立証したのだった。
そして、送られてくるそれらのAトールの悪魔の湧き潰しを別の安全な地域で画面を見ながら、スーツ姿の青年……地球環境改善組織『ブルーコスモス』のトップである「アズラエル」は状況の分析を行っていた。「そもそも何故悪魔が無限沸きしてくるのか?」この理由を解析しなければ同じことの繰り返しになるからである。そして、地脈操作に詳しい彼はそれを見ながら一つの結論を出した。
「そもそも何故悪魔が湧く……そして湧き潰しが必要になるかというと、地脈の『支流』が放置されているからですね。メイン地脈……地脈の大動脈はショタおじや各地方の黒札たち、そして遥か昔に星祭神社が作り出した「地脈遠隔制御用巨大霊装」*15できちんと管理・制御されています。しかし、細かな地脈の支流……毛細血管までは押さえきれていない。それに便乗して悪魔たちが湧くための力になっているんです。つまり……アイツらは夏に大量発生する虫と一緒ですね」
「虫」
「ええ、例えば夏に川の近くでユスリカが大量発生するでしょう? それと似たようなものです。抑え込むなら地脈の支流もある程度管理しないといけませんね。まあその辺りはこちらで何とかしましょう。旧鐙沢星祭神社の地下深く存在する「地脈遠隔制御用巨大霊装」を解析して小型版を作成・設置するというのもありますが、まだ全然解析できていませんからね……。不安定な地脈の支流を安定させればカズフサニキが行っていた地形の再測量も安定するはずです……多分。」
無限悪魔湧きも、地形が広くなったり変化するのも、全て地脈の支流の不安定さによるものだとアズラエルは判断している。逆に言えばそこを安定させればいいはずだ。少なくとも、黒札シェルターの周辺地は無限沸きしないようにきちんと地脈を安定化させなければならない。アズラエルはまた仕事が増えた……。と深いため息をついた。
そこで呼び出されていた生徒「横島」はいきなり呼び出されて大いに動揺していた。目の前に存在しているのは、すらりとした肢体とロングヘアーをしたあらゆる人々を見惚れさせるほどの美貌、そしてその超越的存在は、まさに仙人そのものだった。美しい女性に対しては欲情を露わにする横島だったが、それすら許さないほどの芸術的美貌の女性。彼女こそ黒札の一人『探求ネキ』*16だった。
「こんにちわ。初めまして……ですかね? ともあれ、よろしくお願いします」
「は、はひ……」
にこり、と探求ネキに微笑みかけられた横島は、まるで魂が抜かれたかのように呆けた表情になる。普段は女性に対して尻乳ふともも~! と叫んでいる彼だが、それすら起こる気がないほどの美術品的な美貌にそんな下劣な欲望など容易く消えてしまうのだ。そんな文字通り圧倒されている彼に対して、探求ネキは単刀直入に彼に向けて話し出した。
「さて、単刀直入にいいましょう。貴方のその能力『文珠』ですが、それを解析させてくれませんか? その能力は黒札たちが喉から手が出るほど欲しい能力。それを解析して使えるようにできれば皆喜んで使うでしょう」
「もちろんタダとはいいません。きちんと今後黒札たちが使用した分の特許料もそちらに支払われる事になります。そうですね……。とりあえず私の自腹ですが……まずは手付金としてこれだけのマッカはいかがですか?」
「こ、こんなに……!? いやいやこんな大金この能力にあるんですか!? 単に『便利なだけの能力』ですよこれ!?」
横島からすれば文珠は『器用貧乏』『何でもできるがそれだけ』の能力だ。例えば文珠を使用すればディア、アギ、ブフに加え、重力を操り相手を転ばす、多種多様な能力は使うことができるが、それも全て黒札たちからすれば低レベルの術。器用貧乏ではあるが決定打に欠ける、という考えだ。
……しかし、それは彼のレベルがそれなり(とはいってもレベル20はある)であるためだ。レベルの高い黒札が使用すればまさに『万能』といえる能力が発揮できるだろう。(黒札の本霊などの能力の兼ね合いもあるが)それを見ながら、セフィロスニキの女性体「セルベリア」は横島に向かって助言を行った。
「……横島。悪いことはいわん。大人しく従っておけ。断っても何もいいことないぞ? 何もせずに大金が転がり込んでくるんだ。ラッキー! と喜んでおけ」
こうしてセルベリアの助言もあって横島はアッハイ、とおとなしく従う事になった。データベース化された「文珠」の術式は黒札なら誰でもアクセスできて覚えられるようになるだろう。(霊的才能の兼ね合いもあるが)横島は特許料で大量のマッカが手に入り、黒札たちは学べば「文珠」の能力を使用できるウィンウィンの取引になったのだ。*17だが、文殊という特殊能力を使いこなす横島に対して、どうやって彼を保護するかセルベリアは考えていた。
(しかし……文珠を生み出せる彼が知られれば外様神やメシアンたちが狙ってくるのは明白。特に外様神がこんな存在を知ったら何をしても手に入れようとどんな手を使ってくるか分からない。ガイア連合の庇護下だけでなく、まともな名家……九重家辺りの庇護にも入るか? もしくは別のまともな名家を紹介してもらうか……)
〇余談
ビビアン(ジ────ッ)
スライム(仮)「ぷに……。(見られてる……。めっちゃ見られてる。アイエエエエナンデ!? というかなんでここにいるの!?)」*18
カス子ネキ「……あの子に何かしたの?」
スライム(仮)「ぷに。(何かって……。困ってたのを助けてあげたぐらいだけど……。それとせっかく助けたのにすぐ死ぬと可哀想だから格安のシキガミお下がり霊衣とか製造部失敗武装の格安の「傘槍」とかあげたぐらいだけど……)」*19
カス子ネキ「(そういうところなんだよなぁ)」