【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち   作:名無しのレイ

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「救護ネキが迷惑をお掛けした場合は田舎ニキが切腹してお詫びいたします。(嘘)」
「えっ?酷くない?」


魚沼シェルター第三外壁スラム街

 ───魚沼シェルター第三外壁。

 第一、第ニ外壁に加え、さらに第三まで広げられた外壁は、十勝支部*1から技術を貰って作り上げられた素材によって覚醒者たちが築き上げた外壁であり、物理防御のみならず、堅固な防御結界を展開できる優れものである。

 そして、第一外壁が完成した後でその周辺にまたスラム街が出来ていって、さらに外部の第二外壁を建設。その第二外壁にさらに住民が~という無限ループになっていき、どんどん規模が膨れ上がっているのが実情である。 

 以前のスラム街だった第一外壁と第二外壁は、今は旧スラム街……わりと普通の街へと変貌している。こうして、外壁の外に行けばいくほど治安も悪く、安全性も落ちていく形になっているのだ。そして、その一番外部である第三外壁……現在は第四外壁建築中である……に対して霊道を通して、武装商人集団……いわゆる『キャラバン』がやってきた。

 

 現地民キャラバン集団は、中古でボロボロになった「モビルワーカー」や「アーマードトルーパー」またボロボロの「デモニカ」を買い取り、闇市から流れてくるパーツで修繕、あるいはニコイチやサンコイチで半ば無理矢理修復して、キャラバン集団の護衛へと活用し、霊道を通って各地スラム街へと移動し物資の輸送を行っている。

 当然、霊道を通っているとはいえ、シェルター外の世界は悪魔がウヨウヨと徘徊している世界である。こんな危険な行為を行うよりも、ターミナルを使えばいい、というのは自然な考えだ。だが、ターミナルはどこもかしこでも置けるような代物ではない。個人所有のCOMPによる輸送も小規模しかできない。そのため、ターミナルが存在しない小規模や中規模の村や街などでは、こういった「キャラバン」たちこそが命綱になるのだ。

 

 そして、キャラバンたちが連れてくるのは物資だけではない。それは『人間』である。黒札ではない低レベルの現地民たちにおいて、キャラバンによる輸送は貴重なシェルターからシェルターに移動できる貴重な機会である。(当然、危険な旅であり死亡する可能性もあるが)

 

「おお~! ここが魚沼シェルターか~!! わりと安全地帯と聞くしウチらも保護してくれるとええな!!」

 

「元スラム街とは思えないほどしっかりしてる!! ここなら私たちも暮らせるかも……!!」

 

「でもその前に『試験』と『健康診断』を受けないとアカンらしいで~。大丈夫かいな。失格だったらうちら元のスラム街に出戻りで借金背負うだけやんけ!!」

 

 今回特殊交易部と一緒に魚沼シェルター旧外壁スラム街に移動してきたのは、いわゆる「ゆるキャン部」*2のメンバーである。魚沼シェルターがわりと安全が確保されていると聞いた彼女たちは、特殊交易部と一緒に移動する形で魚沼シェルターまで移動してきたのである。

 シェルターから出ることのできない住人にとって、キャラバン隊と一緒に移動することは唯一の移動方法と言っていい。ターミナル? 転移魔術? 知らない子ですね……。ともあれ、彼女たちはキャラバンたちと共に移動して第三外壁(現在第四外壁建設中)の建築ラッシュに沸く魚沼シェルタースラム街へとやってきたのだ。

 

 そんな彼女たちを出迎えるのは、第一外壁・第二外壁内部の旧スラム街並びに今のスラム街を纏め上げている『ロック』という男である。*3九重家の息のかかった銀札である彼は、膨れ上がっていくスラム街の統治を静から直接任せられている。彼ら『ラグーン商会』は、列車ニキから魔列車の護衛任務や輸送任務なども任せられており、旧スラム街ならびにスラム街の顔役にまで巨大化しているのだ。ここらへんには、凍矢の精神的負担を減らすべく彼や黒札たちやまた九重家も(表向きは)統治せず支援のみの止め、実質的にはスラム街の顔役……その中でも大手の『ラグーン商会』が旧スラム街・現スラム街の統治を行っている。(なお中心人物には九重家の息のかかった人間がいるので実質的に九重家の配下になる模様)

 

 外壁にまるで張り付くようにして作られている色々な素材でできたバラックやあばら家などが存在し、そこはまさに戦後の闇市を連想させる賑わいだった。

 

「おっ、新入りさんか? 大人しく外壁の検疫とか受けておいた方がいいよ? 大人しくしておかないと、おっかないお人様がいるからね……」

 

「新入りの人こちらでーす!! 並んで検疫を受けてくださーい!! 検疫の後には炊き出しがありまーす!!」

 

 そして、彼女たちを出迎えたのは、救護ネキ(分身)を始めとする『救護騎士団(仮)』のメンバーや、桜子たちが所属する『一神教調和派』のシスターたちである。

 

 そして、彼女たちに誘導されてやってきた移住希望者は、まずは救護ネキ(分身)が用意した『霊水を沸かした簡易大浴場』に入ってもらう。冷たい霊水のプールは嫌がられるが、温かい風呂なら長旅で疲れ切っている人間は、大体大喜びで入ってくれる。さらに沖縄支部から非常に格安(黒札基準)で販売されている大量の『天使石鹸』で体を洗って体を肉体的・霊的にも綺麗にしてもらうのだ。『天使石鹸』は沖縄支部から大量に出る天使の脂肪と沖縄の石灰を利用し、それに香料を入れて身体を綺麗にするために作られた衛生用品である。

 

 天使はその霊質上、清浄さに極めて重点が置かれており、その清浄さを流用すれば、人間たちの身体を綺麗にする事もできる。ある黒札などは『半人半石鹸』『歩く消毒液』*4などとまで言っている。

 沖縄支部の名産ともいえる『穢教滅閃』、簡単に言えば『天使爆弾』とも言える拷問にかけて痛めつけた天使を弾丸として使用する際に出る『副産物』……エンゼルヘアーや天使の羽だけでなく『天使の脂肪』。これを有効利用できないか? として開発したものが『天使石鹸』である。

 

 当然黒札などはこんな衛生用品は使わないが、海外の人間たち、そして底辺のスラム街の人間によっては極めて貴重な衛生用品だ。(手軽で安くて大量に手に入れられる衛生製品なので、他のシェルターにも救護ネキが普及ささせていると思われる)*5さらに、『信仰排泄ゼリー』の技術により、天使の意思と人格を奪い、その肉体を液状化させて作られた『ドライ天使ボディソープ』などといったものもあり、彼らは霊水と天使の石鹸により、徹底的に体を綺麗にしてもらう。さらに風呂上りに霊水とブドウジュースを混ぜたジュースを供給し、体の外も内部も徹底的に洗浄して、魔蟲や寄生虫、体の中に寄生している悪魔などを浄化するためである。

 

 ……なおこのブドウジュースは当然、脳缶ニキの『バプテスマ』*6から作られたものであり、ワインの『喜劇』ほどではないが、メシアンに対して効果がある。さらに食料として『バプテスマ』をレーズンにして『聖者麦』と合わせて作られたレーズンパン*7や『聖者麦』を霊水を使って粥にした『麦粥』なども大量に振舞われていく。

 ただでこれだけの大量の食糧を食べられるなど、他のスラム街などに住んでいた人間にとってまさに天国そのものである。飢餓状態が長く続いたあとに急に栄養補給されると、心不全や呼吸不全、腎不全、肝機能障害ほか多彩な症状の『リフィーディング症候群』を起こすことがあるため、まずは聖者麦粥から食べさせて、ある程度満腹になったらレーズンパンを与えるようにしている。

 

「ひゃー!! 暖かい風呂に入れて奇麗な水にブドウジュースに麦粥にレーズンパン!! まさに天国やー!!」

 

「うう……。借金は背負ったけどここにこれでよかったよぉ!! 私たち、ここでずっと暮らす!!」

 

 暖かい霊水風呂に入った後で、ブドウジュースを飲んで麦粥を無我夢中で貪り食らうゆるキャン部の皆は、その味に感動の涙を流す。スラム暮らしが長い彼女たちにとって、まさにここは天国のような場所そのものだった。

 そんな中、食料を与えている調和派のシスターなどは、吐いている人間や暴れだす人間がいないか注意深く観察している。これは、スラム街という絶好の場所に住み着き、魚沼シェルターに攻撃を仕掛けようとする過激派……何なら穏健派も移民たちの中に混じっており、それらをあぶり出すためである。『天使石鹸』を使っているのも、過激派たちをあぶり出すための一種の罠であり、それをすり抜けても『パステスマ』や『聖者麦』のレーズンパンを潜り抜けられた過激派のスパイも穏健派のスパイも存在しない。

 

 ここで聖者麦などの影響で重度の麦角菌中毒になったメシアンスパイたちは、いくら救護ネキでも救護はしない。だが、そんな麦角菌に侵されたメシアンスパイたちは、いわゆる『俗世派』に引き渡されていく。

 その後は救護ネキもノータッチで後は全て向こうに任せている状況だ。

 ……では、何故『俗世派』は彼らを引き取っていくのか? 自分たちの手で汚点は止めを刺すというのだろうか? もちろん彼らがそんなに殊勝な訳はない。重度のメシアンに触れた聖者麦は全て麦角菌汚染された聖者麦へと変貌していく。それが狙いだ。

 

 俗世派はその麦角菌汚染された聖者麦を利用して、麦角菌汚染された聖者麦から『幻覚剤』を作成し、それを穏健派に販売していたのだ。……だが、当然ながらモーセの怒りに満ちた麦角菌汚染された聖者麦がそんなに上手く利用できるはずはない。この幻覚剤は、メシアンたちが使用した場合極めて精神と肉体が離れやすくなり、幻覚と快楽……サイケデリック体験を味わいながらそのまま死亡する危険性が極めて高いのだ。最後に快楽を覚えるのはせめてもの慈悲だろう。……なお、そんな幻覚剤を使用したメシアンたちは自動的にモーセの怒りにより魂の行先は変更されるが、そんなことを彼らが知る由もなかった。(なお、これらの効果はメシアン以外には効果がない)

 


 

「ぷ、ぷにゃ~……」

 

 しおしおになりながらよたよたと地面を這いずってくる謎生物。それは、学園の最終防衛兵器ともいえる凍矢の分身の失敗作である『スライム(仮)』である。彼は救護ネキに、直接両手で雑巾のように絞られて(比喩表現ではない。マジにやられた)霊水を根こそぎ絞り取られてへろへろになっているのだ。

 そんなスライム(仮)を見つけて、スラム街と旧スラム街を束ねている『ラグーン商会』の黒幕でもあり、九重家のスパイでもある『ロック』は呆れた声を出す。

 

「……こんな所で何やってるんですか? また静様に怒られますよ? スラム街には関わらないのが精神衛生上一番いいですって」

 

「ぷにぃ……。(俺も関わらないのが精神安定上いいとは理解してるんだけど……救護ネキがね……)」

 

 そう、本来スラム街の統治は九重家の息がかかっているラグーン商会などに任せて、凍矢はノータッチの予定だったのだが、そこで問題になってくるのが『救護ネキ』の存在である。彼女が暴走しないように、凍矢は自分の分身であるスライム(仮)をたまに派遣して監視するようにしていたのである。

 

「ぷに……。(救護ネキがやらかすと俺が謝罪行脚しないといけないから……。以前人魚ネキに結界作ってもらったときにも霊酒と新潟湾の塩とか海産物とか大量に持って謝罪したし……。もっとも、本気で人魚ネキが嫌がってるなら戦いになるだろうし、「疲れる。めんどくさい」というのが大きいんだろうけど)」

 

 以前、救護ネキは人魚ネキに対して、彼女の作る『安産の守護結界』の素晴らしい効果に目をつけ、深層だろうがシェルター奥深くだろうが突撃して『説得』して『安産の守護結界』をあちこちに作ってもらっていた。*8

 だがそれはかなりゴリ押しであり、人魚ネキがかなり疲労していたのを見て、凍矢はお詫びの霊酒やら塩やら海産物やらを彼女に送って謝罪にいったのだ。彼女曰く「本気で嫌なら迎撃しています。ただちょっと……疲れてめんどくさいだけですね……」と遠い目をしていたのが印象的だった。ともあれ、お詫びと一緒に救護ネキと謝罪に出向き、この一件は人魚ネキから許してもらう事になったのだった。

 

「ともあれ、さっさとシェルター内に戻ったほうがいいっすよ。やっぱりスラムはスラムなんでろくでもない光景山ほどあるし、絶対貴方精神的にへこみますって。これでも救護ネキ様が定期的な炊き出しや大規模入浴施設などを作ってくれてかなりマシになったんですから。まあそれでもろくでもない奴らは……」

 

「───さあ! 皆で首を吊ろう!!」

 

 そんな中、一人の男がスラム街で手に荒縄を持ったまま叫んでいた。その男が異様なのは、手に縄を持っているだけでなく、首にも縄を巻いていながら叫んでいることだった。

 

「この大悪魔が跳梁跋扈し、人権なんて欠片もないろくでもない世界では、救われる手段はもはや『首吊り』しかない!! 首を吊れば我らが女神『イシュタム』様は我々でも楽園に導いてくださる!! この腐った世界から脱出し、永遠の幸福を味わうにはイシュタム様のお慈悲に縋るための首吊りしかないのだ!! 死すら救いのないこの世界だが、イシュタム様は我らをお救いくださる!! さあ首を吊ろう!! 我らに救いを!! 我らに安楽死を!!」

 

 それは、終末後どこのスラムやシェルターでも自然発生している『首吊り教』……つまりかつて凍矢が打倒した『女神イシュタム』への信仰である。*9人類社会が滅び、悪魔が支配するこの世界に絶望し、自分で死を選ぶ民衆は多数存在する。だが、この世界において死すら救済ではなく、悪魔にゾンビにされたり死すら支配されてしまう。だが、そんな中彼らでも唯一永遠の幸福へと行ける手段がある。

 それが首吊りの女神イシュタムに自分を捧げる行為、つまり『首吊り』を行って、女神イシュタムの永遠の楽園……常にハピルマがかかっている永遠の天国へと向かうのだ。だが、そんな信仰はスラム街を支配するラグーン商会……『ロック』たちが許すはずもない。

 ロックは懐から銃……ベレッタを取り出す。外見こそベレッタではあるが、これは結構最近できた技術である『無限弾薬銃』である。*10弾倉に込められた凍矢のMAGにより、大気中の水分を収束させ、水の弾丸を霊力で射出するかなり最新鋭の技術である。その射出された水弾により、イシュタムの信者は倒されて、ラグーン商会の人間に運ばれていく。その先は……まあ御察しである。

 

 これら最新の『無限弾薬銃』に加え、九重家の暗部たちが使用する『吸血』スキルを付与された無痛ナイフ*11を所有し、このスラム街でもスーツ姿でいるロックは、スラム街の取り纏めであるラグーン商会である事もあって非常に畏怖の目で見られている。

 

「ぷに……。(大悪魔はボコれても『思想』まではボコれないからな……。こればっかりはどうしようもないか)」

 

 かつて凍矢が倒した女神イシュタムも、終末後死と救済を求める人々の思念により間違いなく復活を果たして、こうして自らの教えを各シェルターやスラム街にばらまいているだろう。イシュタムは倒せても、『思想』までは倒せない。これを如何にかするためには、皆の生活水準を終末前にまで上げるぐらいしかないだろう。そして、そこまでは一介の黒札ではさすがにお手上げである。

 

「ぷにっ! (でも割と反抗的な奴らが少なくて良かった! スラム街もっと安全な魚沼シェルターに反感バリバリかと思ってたし!!)」

 

「……まあ、そうですね」

 

 なお、実際反抗的な人間、過激派のスパイ、穏健派の犬などはロックを始めとする『ラグーン商会』の旧スラム町の面々、そして『ヴィルトゥオーサ』を筆頭とする九重家の暗部(それでもダメなら静が黒死ネキ*12に依頼する)によって凍矢の耳に入る前に次々と秘密裏に処分されている模様。黒札様の精神安定上と治安維持のため仕方ないネ!! 

 


 

 ともあれ、こうして第三外壁のスラム街に住み着いたゆるキャン部のメンバーは、集合住宅で共同生活をしながら働き始めた。建設ラッシュに沸くこの地では、仕事は山のように存在している。例えば外壁の建設の手伝い、食料の炊き出し、物資運搬、田んぼの跡地を再度田んぼへと戻す作業、空いた土地の農地転用開拓作業、その後で発生する霊的農産物の農作業などなどである。そして、働き出してしばらく立ってスラム街の生活に馴染んだ彼女たちが真っ先にハマった物。それは……。

 

「うぉおおお!! そこやいけぇえええ! やれぇえええ!!」

 

「やっちまぇえええ!! お前が勝ったらいいご飯が食べられるんだぁああ!! 勝てぇええ!!」

 

 そう、ボロボロになったATやモビルワーカーをニコイチ、サンコイチなどで修復して、パイロットを載せて戦わせる『バトリング』である。基本的に安全性を考慮して、銃器などは使用しない殴り合いや肉弾戦が基本ではあるが、それでもその迫力からそれなりの人気はあり、当然ながら賭け試合も大規模に行われている。

 ここにやってくるため、大きな借金を抱えた彼女たちがお金を返すためには、これら賭けを行うのが一番早い、と彼女たちは判断したのである。どこからともなく沸いてくる補給パーツ(ロボ部が横流しをしている)によって、ここではモビルワーカーたちの賭け試合などが大盛り上がりしているのだ。さらに盛り上がっているのはそれだけではない。銃を手にしたATは、それを迷いなく引いて弾丸……本物の弾丸が射出される。

 

「ひゅーっ!! リアルバトルか!! 盛り上がってきました!!」

 

「やっぱり賭け試合はこうでなくっちゃ!! やっちまえー!!」

 

 本物の銃弾を使用した『リアルバトル』はこのバトリングでも大盛り上がりする場面である。弾丸代や修理費も高く、人の命も流れ弾で失われる可能性もあるが、それでも観客たちは大盛り上がりしている。(なおこれらに凍矢は関与していない)

 こうして、ゆるキャン部の皆も含め、その場の賭け試合に参加した皆は大盛り上がりで楽しみましたとさ。めでなくなしめでたくなし。

 

 田舎ニキ「知らん……。マジで知らん……。何か勝手に始まってた……」

 静「まあ名家が絡むのもアレですから……。誰かほかの元スラム街の顔役などに任せておきますので……」

 ロック「いやあ……。この辺は他の名家に仕切らせてもアレですし……。こっちのほうで仕切っておきますね」

 


 

 〇余談

 

 キャラバン「キャラバンのツギハギデモニカやツギハギモビルワーカー、アーマードトルーパーの修理? まあいいんですが……」

 キャラバン「これ見た目とコアこそ元のままだけど内部構造が実質新品になってる!? 何で!?」

 キャラバン「あと、何でこのシェルターどこからともなく大量の予備パーツが闇市に出回ってるんだろうか……。」*13

 

 ウェストニキ「ううむ……。やはりこのツギハギデモニカ……。良い仕事をしておる……。侘びておるのぉ……。この侘びっぷりを無くすなど論外! 内部構造だけ新品にして写真を撮って元のキャラバンに返す! このツギハギデモニカのデータを見せてロボ部から「羨ましい!」と言わせるのであーる!!」*14

 


 

 〇余談2

 

「どきなさい!! このシェルターにプリストロベリーがあるって聞いたの!! 私は絶対幸せになるんだ!! 何かも全部ブッ壊して幸せになるんだ!! 「みんな幸福笑顔になっていい」って言ってたんだぁ!!」

 

 筋肉モリモリでボロ布のような服を着たツインテールの女性『紅菩哀唯』*15

 魚沼シェルタースラム街に招き入れられた彼女だが、彼女には借金をチャラにする代わりに、過激派が隠し持っていた薬を打たれ、可憐な少女から筋肉モリモリの異形の女性の姿へと変貌していた。これは過激派が開発した『地獄への回数券』の模造品であり、肉体を変貌させて魂を燃焼させて一時的に暴れ回るように仕組んで移住民としてスラム街へと送り込んでいた。

 ……だが、相手が悪かったと言わざるを得なかった。彼女……『紅菩哀唯』の前に立ち塞がる女性、それは四角いライオットシールドを地面に突き立てて小揺るぎもしない可憐でありながら強い眼差しを秘めた女性。すなわち『救護ネキ』である。

 

「──救護!!」

 

 薬が完全に回りきる前に、救護ネキは自らのライオットシールドを振り上げ、ハンマーもかくやという勢いで彼女に叩きつける。高位黒札の一撃を受けて無事で済むはずもなく、彼女の肉体は頭部を残して粉微塵に砕け散った。そして、その頭部も意識が遠のいていった。

 ……そして、彼女が医務室で目を覚ました時、彼女は自らの体を見て飛び上がらんばかりに驚いた。それは、あの筋肉の塊のような異形な体ではなく、元の可憐な女性体に戻っていたからである。そのまさに人知を超えた奇跡とも言える技術に困惑している彼女に、救護ネキは話しかける。

 

「お目覚めのようですね。貴女の肉体はメシアンの作り出した薬によって限界を引き出されて暴走。薬が回ったままでは身体どころか魂まで燃え尽きてしまうところでしたので、緊急手段として薬の回った肉体を破壊。魂が宿った頭蓋を確保。そのまま簡易シキガミボディを作成してそこに貴女の魂を移植しました。……幸せを追求するために暴れるのは許可しませんが、幸せになるために頑張るのなら私は否定しません。その肉体で、第二の人生で幸福を追求してください」

 

 そう、救護ネキは薬の回った肉体を破壊、まだ回りきっていない頭部……そこに宿る魂を確保して時間凍結して保存。そして医療部の所有する『3Dプリンター簡易式神作成装置』で簡易シキガミボディを作成。そこに彼女の魂を封入して彼女の魂を救済したのである。自分の肉体があの化け物ではなく、元の体……正確に言えば簡易シキガミボディになった彼女は、そのままひたすらに号泣していた。そんな中、救護ネキは凍矢にCOMPで連絡を取った。

 

「……と、言うわけで彼女は『テロリスト』ではなくて『救護対象者』でしたので私が救護しました。テロリストとしての彼女は死亡。『救護対象者』として私の自腹と独断で『簡易シキガミボディ』を与えて復活させましたのでよろしくお願いします」

 

『よろしくお願いします。じゃないでしょ? まったくもー。……まあいいか。変な薬もなくなったし暴れまわらないだろうし。借金は……そうだな。救護ネキの『救護騎士団』の看護婦として働いて返せばいいんじゃないの?』

 

こうして、救護ネキの『救護騎士団』で働く看護婦が一人増えたのだった。

 


 

 〇余談3

 

救護ネキ「ううむ……。『安産の守護結界』の件で人魚ネキには迷惑かけてしまったのでこれ以上のゴリ押しはいけませんね……。破魔ネキならワンチャンいけますか……?いえ、彼女も忙しいですから迷惑かけるのも……。エイレイテュイア*16を召喚したり、タマヨリヒメの『安産の結界』*17を利用して独自簡易版ができないか試してみますか……。*18

 

*1
「【カオ転三次】現地民とのぐだぐだ小話」様、十勝支部運営会議から。

*2
小ネタ 戸籍なしグループの生活模様

*3
自作、第136話 魚沼シェルタースラム街から。

*4
【R-18】アビャゲイルの投下所第三支部

*5
「【カオ転三次】 終末に向けての準備するとある転生者の話」様、外伝23話:武器型の雑談スレ part◇×● と シェルター内雑談スレ □◆◇で、救護ネキが各地のシェルター回って衛生と医療環境のテコ入れしているため

*6
「【カオ転三次】本霊デビルなの バ レ バ レ」様、サマエル! 山梨はブドウの名産地! から。

*7
「ファッション無惨様のごちゃサマライフ」様、とある黒札の性癖がブッ壊れた話04

*8
【カオ転三次】 終末に向けての準備するとある転生者の話」様、外伝22話:持ち物検査です? 

*9
マヤ神話に登場する自害を司る女神。「空の帯」に繋げられたロープを首に巻き付けてぶら下がった姿で描かれている。両目を閉じ、顔面は爛れて腐敗しかけている。自作「第80話 人類安楽死計画」から

*10
小ネタ >>4829見て思い浮かんだネタから。

*11
「【カオ転三次】世界が終わるまでのバイク旅」様の暗部との暗部同士の情報共有が密やかに行われている。ロックも当然のように暗部働きを行うことがある。

*12
「【カオ転三次】酒と葉巻と病と死神 ~みんな楽しく踊ればいい~」様の主人公

*13
ロボ部が密かに横流ししてる。

*14
ロボ部からしたらツギハギデモニカなどは侘びた茶器を見ているような不思議な魅力があるため。「【カオ転三次】 終末に向けての準備するとある転生者の話」様、外伝12話:新人覚醒者の相談スレ ●×▼から。

*15
忍者と極道、読み切りに出てくる女性キャラ。何で出したかって?自分が読んだからかな!

*16
神々の王ゼウスとその正妻ヘーラーの間に生まれた娘で、結婚の神でもあるヘーラーの供として出産と産婦の保護を司る

*17
「【カオ転三次】 終末に向けての準備するとある転生者の話」様、外伝23話:武器型の雑談スレ part◇×● と シェルター内雑談スレ □◆◇から

*18
なお難しかった模様。ポンポン量産できるのは人魚ネキだからと明言されているし。……何かタマヨリヒメが酷使されそうな予感。

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