れべっかさんからのバトンを消化できて満足でした。
───バレンタインデー。
それはモテない男たちからは呪わしき日である。そして、それはガイア連合の黒札たちであっても例外ではなかった。……いや、ほとんどは専用シキガミから、あるいは名家や色々な立場の女性たちから熱烈アプローチを込めて様々な贈り物をもらっている。
(なお、チョコの原料であるカカオは沖縄支部や南米からのカカオが超高級品であるため、『食べる黄金』と揶揄されるほどである。……例外もあるが)
ともあれ、そんなリア充? 真っ最中の中でも例外は存在する。そう、その例外とは……我らが三羽烏*1である。
「うぉ~んおんおんおん!! 呪われよ!! 恵まれしものどもよ! 呪われよ!!」
「これは……やるしかありませんか!! しっとマスクを!!」
「でもよぉ……それって「ありがち」って流されねぇ? もっとこう……何かないかねぇ」
三羽烏…… ヨロイニキ、クロマニキ、サスケニキはバレンタインデーのリア充オーラに呪いを放ちながら何か面白いことはないか? と三人でうんうんと頭をひねっていた。いわゆる「しっとマスク」になってリア充どもに襲い掛かるのも実にありきたり。さて、どうしたものか、と考えている三人に向けて、一人の女性が話しかけてくる。
「ふっふっふ……お困りのようですね!!」
メガネをかけて、ニットにタイトスカート、そして白衣を纏った妙齢の美女の姿。メガネをくいっと指で上げながら言葉を放つその女性は、田舎ニキの女性体分身『田舎ネキ』だった。
彼女はほむらや静たちからファッションを聞いてそれを取り入れて三羽烏の元にやってきたのである。
いつになくハイテンションである彼女に対して、三羽烏は? と疑問を浮かべるが、その地点でこの流れだと……あれでは!? と彼らは気づく。
「もしかして……田舎ネキ!? チョコですか!? 僕たち三人にチョコをくれるんですか!?」
「やるんだな! 田舎ネキ! 今ここで!!」
この三人がまともな女性からチョコをもらえるはずもない。(実際は黒札マタギを行っているので救われた女性もいると思うのだがそれはそれ。ドクターネキからももらっていると思うがそれはそれ)
そんな彼らが(少なくとも外見は)綺麗な女性からチョコをもらえるとなれば、それは大喜びするのは当然である。だが、そんな大喜びしている彼らに対して、田舎ネキはにんまり笑ってこう宣言する。
「ふふふ……。それでは食らいなさい!
男(男ではない)からのママチョコ(ママではない)を!!」
「「「ぐはぁあああああああっ!!」」」
彼らは三人とも血を吐いてのたうち回りながら倒れる。
いい年をした男性が女性からのチョコを貰えず、ママ(ママではない)からのママチョコをもらう。これは彼らの自尊心に多大なダメージを与える事になったのだ。実際は田舎ネキは彼らのママでも何でもない? それはそう。
まあ、それはともかく、この終末に置いてチョコ……カカオなんてものは沖縄と南米ぐらいしか取れない超高級品である。そんな超高級品を三馬鹿の嫌がらせ? のために割と多めに持ってくるなんて、年中金欠でひぃひぃ言っている彼女らしくはなかった。
「ち、ちょっと待ってください田舎ネキ!! どこからそんな大量のチョコを持ってきたんですか!?
カカオなんて超高級品!! 食べる黄金じゃないですか!!」
「ふふふ……。そこは抜かりはありません。無惨ニキが火星開拓でグレート・テオブロマ*2から生成されるアホみたいな量のチョコレートを「火星チョコ」として格安で販売しています。超高級品の沖縄や南米と違い、現地民でもがんばれば購入できるぐらいの安さ! これならば本体も文句は言わないでしょう!!」
うーん、まあとりあえず食べてみようぜ、と三人は田舎ネキが渡したチョコを少し齧ってみる。
その表面には魔導書『ソロモン王の鍵』の魔法陣である「火星の5の魔法陣(護符)」……中央に蠍(サソリ)の描写、周囲にラテン語で「Et in terra pax hominibus bonae voluntatis(地に平和と善意を)」が刻み込まれている。火星から算出され、火星の護符を表面に刻み込まれているこのチョコは、悪霊や敵の攻撃、恐怖心から護る「護符(タリズマン)」としての効力も有している。……なお、火星からの情熱、行動力、闘争心、男性性という魔術象徴も有しているので、実際はこのチョコには精力強壮の能力も存在する。
ポリポリとチョコを食べている三人だが、その味に三人は思わず首を傾げてしまう。
「うーん……。確かに甘いんだけど……。こうなんていうか味にコクがない!! 沖縄産のチョコと比べてダンチだよなぁ。向こうは『食べる黄金』と揶揄されるぐらいだし」
「これは霊的な味の問題でしょうね。火星は純粋に人が少ない……というかシキガミや機械ばかりですから、人間のMAGがないですからねぇ……。その点で地脈からのMAGといってもあんまり人間派生のMAG味が少なくなるんでしょうねぇ」
確かに、火星開拓は行われているが、やはりその環境は厳しく開拓のメインはシキガミたちである。そして火星は広大であり、開拓は進んでいるといってもまだまだ無人の土地は非常に多い。その影響かグレート・テオブロマから生成されるチョコも「きちんと甘いのだが秘められたMAGはいまいち薄い」という影響を及ぼしているのだ。
もちろん、現地民からすればそんなことは気にならないだろうが、黒札である彼らは少し首を傾げる味だった。だがそれでも彼らにとっては十分満足できる味だったといえる。
しかし、そこでクロマニキは、はっ!? と何かを気づいたように大声を出した。
「ちょっと待ったァ!!」
その大声に残る二人と田舎ネキもびっくりした顔で彼の顔を見る。だが、それを気にすることなく、彼は大声で意気揚々と声を張り上げる。
「ママチョコをくれたということは……田舎ネキが私たちのママになってくれるということですね!? 」
「「!?」」
「えっ。(素に戻る)」
その言葉に衝撃を受けて盛り上がる三人を後目に、田舎ネキはその言葉に思わず冷静さを取り戻していた。えっ? ママチョコってそういうものじゃなかったような……いやそうだったかも……? と田舎ネキが困惑している中、三人はマーマ! マーマ! マーマ!! と大盛り上がりで田舎ネキの周りを取り囲んで歓声を上げる。
「うぉおおおお!! 甘えさせてくださーい!! 私たちのママになれぇえええ!!」
「ママチョコをくれたのならつまり甘えてもいいということ!! 汝はママ!! ママになれぇええ!!」
「貴方たち甘える対象が私で本当にいいんですか……? (困惑)いやまあ膝枕ぐらいならいいですけど……?」
その田舎ネキの言葉に、三人は大盛り上がりしながら感涙を流す。彼女の自覚はともかく、彼女の外見は巨乳のメガネ美女である。そんな彼女に膝枕されて喜ばない男はいないだろう。デメテルの第1再臨の姿なら「私も膝枕してほしい!」と幼女ネキすら言い放つほどである。(頼まれたら多分する)その膝枕権利を獲得した三人は、喜びながら小声で話し合う。
(よくよく考えると私たち……デメテルの姿をした田舎ネキの膝枕をされてチョコをもらえるとか超勝ち組では!?)
(それな!! 俺たちは勝ち組!!)
(転んでもタダでは起きない! それが我らの信条!! エンジョイ&エキサイティング!!)
マーマ! マーマ! マーマ!! と三人のママコールに困惑しながら、三馬鹿たちを膝枕したりヨシヨシしながら田舎ネキは(どうしてこうなった!?)と思いながら彼らを甘やかしていた。*3
まあ、何だかんだでその後、ぐでーんとしている三羽烏の三人は、何か面白そうなことない? と彼らは田舎ネキに聞いてくるが、それに対してうーんと彼女は考え込む。
「面白いことですか? そうですねぇ……何かとあるゲームの影響を受けて『お母さん度数』を判断できるようになった事ですかね?」*4
ちなみに、お母さん度数は琉球ニキは63、馬ニキは32,クロマニキたち三人は40代前半である。そして、そんな面白そうな事に反応しない三人なわけはなかった。彼女の言葉に、三人は見事なほど飛びついて反応を示した。
「えっ? なにそれ面白すぎない?」
「さっすが田舎ネキ!! 俺たちの予想を超える事をやってくれるぜ!! それでこそだ!!」
「やろうぜ!! 女性黒札の「お母さん度数判定」だ!! こんなに面白いことなら皆笑って許してくれるぜ!!」
なお、田舎ネキの「お母さん力判定」は完全に「彼女の第一印象と独断と偏見」であって正確ではないことは明記しておく。つまり「これは違う!」と思っても笑って許していただきたい、ということだ。(メタネタ)
「一応言っておきますが、これは私の独断と偏見であって、実際とは違うから……」
まーまーまー、まーまーまーと三人は田舎ネキを宥めながら、とりあえず手持ちのCOMPから女性黒札たちの写真を見せていく。田舎ネキ自身もそれなりの女性黒札との関わりはあるため、そこからの情報と独断と偏見でお母さん力判定をするらしい。
まず彼らが見せたのは、不敵で邪悪な笑みを浮かべる黒髪ロングハッツンの幼い少女……いわゆる「黒死ネキ」*5である。田舎ネキはしばらく黒死ネキを見ながらうーんと考え込んでお母さん力を発表する。
「発表!! 黒死ネキのお母さん度数は……9!!」*6
黒死ネキの「お母さん度数」は田舎ネキから見たらかなり低いほうではあるが、三羽烏たちも、黒死ネキの顔を思い浮かべながら、うーんまあうん、と微妙な納得を示していた。彼女は自分の愉悦に生きる女性であり、いわゆる「母性」とはあまり縁のない女性である。普段の彼女を見ていれば「お母さん度数」とはあまり縁がないといえた。
「……まあうん」
「酷くない? でもまあ……うん」
「で、でもよ! 黒死ネキはああ見えてイギリス系の淑女らしい技術は完璧にできるんだぜ!? その点でいえば……」
「淑女とお母さん度数は違うのでは?」
その田舎ネキの言葉に、三人は顔を見合わせて言葉を放った。
「「「……よし! 次にいくか!」」」」
次に行った彼らが見せた写真は「幼女ネキ」*7の写真である。三羽烏や田舎ネキともそれなりの親交のある彼女であるが、幼女ネキの顔写真を見ながら田舎ネキはうーんと考え込んで判定を出した。
「幼女ネキのお母さん度数は……14 !!」*8
「……まあはい。幼女だし」
「まあうん。母性とか甘えさせるとかいうか甘えるほうだしな。お母さん度数低くてもやむなし」
「人魚ネキとかにも甘えてるしな。大人になったらわからんけど。よし! 次行こう次!!」
そして、次に彼らが田舎ネキに見せたのは幼く見える少女の姿……つまりは「破魔ネキ」*9の写真である。ふむふむ、と田舎ネキは破魔ネキの顔をしげしげと見ると言葉を放つ。
「破魔ネキのお母さん度数……69!」*10
「まあきちんと子供たち育ててますし。……あの見た目でお母さん力低くなりそうだったですが」
その言葉に、三羽烏は慌てて田舎ネキに突っ込みを入れてくる。
「見た目でマイナスつくのは反則だろ!?」
「それをやったら流石にアレですよ田舎ネキ!!」
「ま、まあ私の独断と偏見ですし……よし次行きましょう!!」
次にデデン、と出てきたのはガイア連合の中でも屈指の研究者・開発者でもあり、万能の天才ともいえる美人「探求ネキ」*11である。うーんと考え込んで田舎ネキが出した結論はこれだった。
「探求ネキのお母さん度数……79!!」*12
「なるほどなー。探求ネキはエルメロイ二世相当かー。まあ、同じく知性的だし、お母さん度数高めだしなー」
「ちなみに、キノネキ*13はどれくらいなの?」
「キノネキはねぇ……難しいんですよね……。私的にはお母さん度数62*14ぐらい……? ボーイッシュ少女のお母さん度数図るのって難しくないですか?」
「ふむふむ。それならカス子ネキ*15は? 田舎ネキのことだから偏見で低くならない?」
「失敬な! まあこれ全部私の独断と偏見ですが! カス子ネキは……70!*16邪視ネキは80!!*17」
それを聞いておおーと三人は声を上げる。
「カス子ネキわりと高いなー。まあきちんとママしてるし、きちんと子供育ててるしな。むしろこれでも低いぐらいじゃない? ……これカス子ネキの言動と外見でマイナス入ってない?」*18
「邪視ネキはなー。お母さん度数高いの分かるわー。いかにもいいお母さんになりそうだし。……なお前世男性の模様。」
「いやそりゃ俺たちの中には山ほどいるしな。それでも邪視ネキの女子力っぷりはかなりのものだよな。……田舎ニキと邪視ネキが並ぶとまんまFGOのAチーム結成になるのが草。」
ともあれ、彼らは次の女性黒札の写真を見せてくる。それはイギリス支部のプーサーニキの妻であるモルガンネキ*19の姿だった。それを見て田舎ネキは叫ぶ。
「モルガンネキのお母さん度数……89!」*20
「うわたっか」
「まあ実際ママだし」
「きちんとアルトリアちゃん育ててる立派なママだからな。カス子ネキや破魔ネキとの違い?見た目……ですかねぇ?」
「やっぱりこれ見た目補正入ってるって田舎ネキ!!」
独断と偏見なんだから見た目補正入ってくるのは当然でしょう!と思いながらそんな彼らの言葉を無視して、田舎ネキはさらに人魚ネキの写真を見ながらそのお母さん度数を出していく。
「人魚ネキのお母さん度数、90!!*21」
「うおたっか。まあ大地母神ガイア補正入りまくってるからな。」
「やっぱり大地母神入ってるから強い。はっきりわかんだね。双子の面倒や幼女ネキの面倒も見てるしなー。」
「さて、ここで貫録のお母さん度数EXの発表に参りましょう!!田舎ネキどうぞ!!」
その三羽烏の言葉を受けて、田舎ネキはごほん、と咳払いをしてついにお母さん度数EX保有者の発表に取り掛かった。
「魔人ネキのお母さん度数……貫禄のEX!!」
それは、道南支部の事実上のトップに立つ女性、過激派に囚われながらも再起して支部の運営を行っている鋼の聖女『魔人ネキ』である。彼女は過激派に捕らわれて魂だけになっている自分の12人の子供を救い出し、その12人を支部運営を行いながらもきちんと育て上げたという偉業を持つ。
『例えるならば児童虐待DV旦那から子供達の親権を奪い取って豚箱に叩き送ったバリキャリウルトラウーマン』である。そんな彼女ならばEXになるのも当然といえるであろう。
「……しかし、これで現状一番低かったのは黒死ネキになるわけだが。」
「……何か黒死ネキって「フフフ……ハハハ……ハァーハハハハハ!!よし■す」って感じで切れそう。」
三人は顔を見合わせて、視線で会話し、黒死ネキに怒られる最悪な形を予期し、その責任を全て田舎ネキに押し付けることにすることにした。判断が早い。
「はーい!!……そもそも人に点数をつけて人を判断する田舎ネキが悪いと思いまーす!!」
「その通り! 俺たちは悪くねぇっ!! 悪くねぇっ!!」
「はい!そうですね!女性に点数をつけるのは悪いことです!!全て田舎ネキが悪いんです!僕たちは悪くありません!!」
三人揃って責任をこちらに押し付けされた田舎ネキはえっ?マジ?酷くない?まあ確かに悪いのは私ですが……と困惑の表情を見せた。*22
なお、某ゲームの影響を受けて「霊基酔い」していた田舎ネキもこれによって正気に戻ったとさ。めでたくなしめでたくなし。
なおお母さん度数は田舎ネキの独断と偏見のみで出ていますので、それは違うよ!と思ってもスルーしてあげてくださいw